極悪がんぼ

登録日：2018/12/17 (月) 01:05:01
更新日：2021/03/23 Tue 17:53:47
所要時間：約 7 分で読めます

俺はビッグになりたいんや！！

『イブニング』で2001年から2009年まで連載されていた漫画。
作者は原作：田島隆/作画：東風孝広。全16巻。
2014年にテレビドラマ化された。

続編に『激昂がんぼ』全8巻。
更に続編『がんぼナニワ悪道編』全9巻が存在する。

一般社会の裏で暗躍し、様々な事件に介入して報酬を得る『事件屋』の事務所に入所した青年、
神崎守の『ビッグになる』という夢に向かってもがく姿を描く。

同じ作者の別作品『カバチタレ！』とは世界観が同じで、両作にお互いの登場人物が顔出し出演したり、特別編のような話ではあるが直接対決した事もある。

『カバチタレ！』が法律を使って依頼人を守り、助けていくというものに対し、こちらは「いかに法の穴をくぐり抜けるか」というもので、
そのためには犯罪スレスレな方法も当然のように行われ、しかも自分の利益にならないと判断すれば依頼人を裏切ることさえある。
優先されるのは依頼人の利益ではなく、あくまで自らの利益であり、まさしく『カバチタレ！』とは『明と暗』である。

「がんぼ」とは、広島弁で「わんぱく、いたずらっ子、悪ガキ」という意味。
作者側はタイトルを「がんぼ」だけで行こうと考えていたが、編集側から「極悪」をつけるように要求されたとか。

ちなみに、一般人からすれば事件屋もヤクザも同じようなものだが、作中での描写によれば明確な違いがあり、
簡単に言えば「メンツにこだわる」のがヤクザで、「金にこだわる」のが事件屋らしい。

作品内で紹介されている裏の技を使った場合、バレたら間違いなく逮捕されるので絶対にマネしないようにしてください。

【登場人物】

◆神崎守
演：尾野真千子

主人公。8月20日生まれの28歳。
所長に貰った入所祝金で買った赤いスーツを着ている。
喫煙者で、好物はコンビニのカルビ弁当。
事件屋になるまでは、中卒であるがためにアルバイト生活をしており、
就職しようと面接に行けば給料を低く見積もられるなど、うだつの上がらない生活をしていた。
ある時、悪友の茸本の誘いに乗ってカード詐欺を行い、一時は多額の金を手に入れる事に成功するものの、
ヤクザもどきの土建屋のカードに手を出したために茸本と共に袋叩きにされ、賠償金を請求されてしまう。
しかし、支払い能力が無かったために後に入所する事になる「ハタ秘密探偵事務所」の金子と冬月に作業船に売りとばされてしまう。
が、作業船に向かう途中で金子に貰った名刺を思い出して救助を求めて作業船から脱出。
そして、これまでのうだつの上がらない人生に見切りをつけるため、「ビッグになりたいんや！！」と宣言し、
看板使用料として一年以内に2千万、払えなければ自らに懸けた生命保険という条件でにハタ秘密探偵事務所に入所した。

当所は全くのド素人であったために他の所員からいいように使われて報酬をふんだくられたり、
仕事を成功させても結果的に金子の邪魔をする事になって暴行された上に金も奪われるなど散々で、それどころか本気で殺されそうになった事が(借金の生命保険とは別に)2回もある。
しかし、少しずつ経験を積んで成長し、金を稼ぐようになっていく。

とはいえ、基本的に根がお人好しなため非情になりきれない事があり、感情優先で動く事もしばしば。
中学生の時に親が事業に失敗して蒸発し、一人で生きてきたという過去があるため、特に子供のいる人間にはターゲットであっても罪悪感を持つ事もある。

物語終盤、金子と所長の対立騒動に絡んでハタ事務所のフランチャイズのような形で独立を果たす。
そして、金子の市議選出馬のサポートを成功させて大きく飛躍し、続編の『激昂がんぼ』では大物フィクサーになっている。

テレビドラマでは「神崎薫」という名前で性別が女性に変更された。

◆金子千秋
演：三浦友和

「ハタ秘密探偵事務所」所員。
金髪で恰幅のいい強面の男で、秦所長が不在の時は実質事務所を仕切っているが所長には頭が上がらない。
若い頃は城丘という男とコンビを組んで事件屋をやっていたが、ある事件絡みで関わった秦所長に感服し、ハタ事務所に入所した。

性格はまさしく「悪」と言ってよく、何か気に入らない事があればすぐに暴力を振るい、依頼人を裏切りカモにする事もいとわない。
しかし、級友の本間には割安で仕事を引き受けるなど義理堅い面もある。

事件屋としては百戦錬磨で、多方面に多くの如何わしい知り合いがいる。
神崎の事を率先して使っており、「ボンクラ」「スカンピン」と呼んで見下していたが、成長していく神崎を少しずつ認めるようになっていく。

所長の仕事の監査で不備を指摘され、そのペナルティとして関東に行かされて仕事を成功しかけるが、実は級友の城丘もろとも玩具にされていた事から、ついに袂を分かつ。
一匹狼として活動しようとするが、所長から潰す標的にされ、一時は所長を道連れに無理心中を図るなど追い詰められるが、
神崎が「金子を部下にする」という条件で独立したため何とか生き残る。

その後、ひょんな事から市議選に出馬する事になり、神崎のサポートを受けて当選。
事件屋を辞め、政治家の道を歩む事になった。
この時、見事に選挙のサポートを成功させた神崎を認め、秘書として一緒にやって行きたいと誘ったが神崎は事件屋としての道を選択。
続編では政界から神崎をバックアップしている。

『カバチタレ！』に全く同じ姿の人物が登場しているが、名前が違うので恐らくデザインを流用した別人だと思われる。

◆冬月啓
演：椎名桔平

「ハタ秘密探偵事務所」所員。
体格のいい二人とは違い、痩せ形の体型の知性派。方言ではなく標準語を話す。蝙蝠柄のスーツを着ている。
かつては警察官僚の道を歩んでおり、その頃のツテで警察に顔がきく。
秦所長に気に入られており、秘書のような役割をする事もある。
パソコンに詳しく、解析も得意。
神崎が仕事を頼む事もあるが、冬月を動かすには最低7桁が必要である。
期限までに2千万払えなかった神崎に利息10%で4千万貸し付けるなど狡猾な面もある。

一応、所長からは神崎の教育係を任されているようで監査の際には教育に問題があるとされ、収入の屋台骨のひとつであるラブホテルを所長に奪われてしまった。

普段、所長に気に入られて近くにいるせいか、反面失敗した時の仕打ちを極度に恐れており、金子にハメられて下手を打った時には海外に雲隠れするほど。

◆夏目大作
演：竹内力

「ハタ秘密探偵事務所」所員。
血の気が多くすぐに手の出る性格で、神崎とはウマが合わない。
あまり表だって動く場面はなく、主に金子の仕事のサポートをしているが仕事柄知り合いは多く事件屋として劣っている訳ではない。
ただし、ピッキングで書類を盗み出すなど(この時は時間的な制約があったが)やり方は荒っぽい。

こちらも神崎の事は下に見ていたが、知り合いの保証人代行業者にハメられた際、神崎の案で事態を解決させた事をきっかけに神崎を認めるようになる。

◆秦光浩
演：小林薫

「ハタ秘密探偵事務所」所長。
1940年朝鮮・済州道生まれ。
肩に大きな傷がある。
事務所の経営者であるが、秦事務所はあくまで余技に過ぎず、所員からは法外な看板料をふんだくるばかり。あまり広島にもやってこない。
過去は謎に包まれており、公安警察を恐れている。

ヤクザや銀行などはもちろん、「芸南遊技組合」の名誉顧問を務めるなど金子達以上に顔が広い。
広島や大坂における大物フィクサーであり、特に広島で所長に筋を通さずして裏家業で稼ぐ事はできない。

一見、穏やかな好々爺のような雰囲気だが、弱味を握れば所員含めて知人であっても財産を根こそぎ奪い取る冷酷な人物で、敵対する者は徹底的に潰そうとする。
そのせいか、金子や夏目は「妖怪ジジイ」と呼んで敬遠している。

テレビドラマでは「小清水元」という名前に変更されている。

◆古市和磨

神崎の舎弟。
元々は茸本の舎弟で、裏ビデオ屋をやっていたが神崎が茸本から裏ビデオ屋の営業権を奪った事をきっかけに神崎の舎弟となる。
神崎と共に、引き続き裏ビデオ屋を営んでおり、盗撮などマニアックな知識を持つ。
神崎の裏仕事を手伝う事もあるが、ある仕事で警察に逮捕された時、
責任を全て被るように言われたために縁を切ろうとするが、神崎から裏ビデオ屋の営業権を譲られて謝罪された事で関係は修復した。
続編では神崎の事務所で事件屋として活動している。

◆茸本長三

神崎のバイト時代の悪友。
神崎にカード詐欺を持ち掛け、ハタ事務所に入所するきっかけを作った張本人。
カード詐欺がバレた時には神崎が主犯だと言って責任を逃れようとしたり、裏ビデオ屋がヤクザに見つかった時にも同じように神崎に全て押し付けようとした。
神崎に裏ビデオ屋を奪われた後は競売専門の不動産屋をしていたが資金繰りがショートして手形詐欺を企み、神崎に協力を頼みにくる。
しかし、でっち上げたペーパー会社の役員を全て同じにしたために、「カバチタレ！」の登場人物である田村と栄田に詐欺を暴かれてしまう。
そして、遂にキレた神崎に作業船に売りとばされてしまった。

お前ウチの追記・修正料として来年の今日までに2千万払うか？

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