VOCALOID

登録日:2012/6/8(金) 21:38:22
更新日:2024/02/23 Fri 23:11:25
所要時間:約 5 分で読めます




VOCALOIDとは、ヤマハの開発した音声合成ソフト(ソフトウェア・シンセサイザー)。
この業界じゃ他に類を見ないほどのベストセラーなソフトである。
よくわからない人向けに一言で説明すると、初音ミクの声の素。

ただし、「VOCALOID」は音源エンジン自体や、初音ミクやMEIKO等の、個別のソフトやキャラクターを指すことがある。
後者についてはVOCALOID一覧を参照。

ここでは、DTMソフトとしてのVOCALOIDを説明する。


■簡単な説明


歌詞と音符を入力するだけで好きな歌を歌わせることができるソフトだよ!
他にも、息遣いや口の開き具合、年齢まで変えることができて、調整次第で同じボカロでも元気なロリ声から新宿ニ丁目風のねちっこいカマ声まで出すことができるよ!
頑張れば歌わせることだけじゃなくて喋らせることもできるよ!


■詳しい説明


VOCALOID EDITORというアプリケーションで音程や歌詞を入力することで、VOCALOIDに歌わせることができるソフトシンセの一種。
エディターはピアノロール型のシーケンサが音源が一体となったもので、DAWでのMIDI打ち込みと似た操作で歌を打ち込む。

一般的なMIDI打ち込みと異なる点は、歌詞や音符等に加えていくつかのVOCALOID専用のパラメータを打ち込むことである。
これらのパラメータを調整することで、人間らしい歌い方に近付けていく。

またMIDIと一部互換があるので、MIDIデータから歌詞、ノートナンバーやベロシティ等を読み込み、エディターに反映することができる。

スコア入力派はDAWにMIDIを打ち込んだ後エディターに読み込ませるのが楽。

「簡単な説明」で述べたように、打ち込み次第では喋らせることもでき、これを利用して寸劇等を行う「トークロイド」というジャンルがある。
が、基本的にはVOCALOIDは歌用なので喋りは不得手であり、自然に喋らせるにはそれなりにスキルが要る。


■バージョンによる差異


これまでに3バージョンリリースされている。バージョン2は1、3は1と2の上位互換である。

  • VOCALOID(1)
2003年に発表。MEIKOやKAITO等が採用。以降のシリーズとは音源エンジンが大きく異なる。
アンドゥが1回しかできない。

  • VOCALOID2
2007年に発表。
初音ミク等が採用。
Rewire機能を実装。
アンドゥが1回しかできない。

  • VOCALOID3
2011年に発表。
アンドゥの回数が無制限に。
その上、オーディオを取り込んだりエフェクターをかけることが可能になったりと、色々な機能が追加された。
しかし何故かRewireとVSTi機能が廃止になる。
ヤマハェ…。

しかし、最近有志によりV3でRewireでの同期が可能になるソフトが開発された。


■これまでの歩み


2003年2月、ヤマハがVOCALOIDを発表。

2004年3月、ZERO-G社から英語版の「LOLA」「LEON」が発売。
同年11月、日本語版としては初となる「MEIKO」がクリプトン・フューチャー・メディア(以下クリプトン)から発売される。
「MEIKO」は、この業界でヒットの目安とされる1000本をあっさり超えた。
当時はmuzie等に曲が投稿されていた。

2005年に日本語版男声ボカロ「KAITO」がクリプトンから発売。
今でこそ4桁なのだが、当初はてんで売れず、そのことを(売上を伸ばした後も)度々ネタにされることに。

2007年1月にVOCALOID2が発表される。同年8月、声に声優を起用した「初音ミク」がクリプトンから発売。
バージョンアップに加えてKEIによる可愛らしいイラスト、ニコニコ動画の設立等様々な要素が合わさって爆発的に(実際MEIKOより1桁多い)売れる。
12月には、VOCALOID作品用SNSのPIAPRO(ベータ版)が開設。

2008年4月には、産業技術総合研究所から、人の歌声からVOCALOIDのパラメータを抽出する「VocaListener(ぼかりす)」を開発していることが発表される。
同年7月、「がくっぽいど」がインターネット社から発売。クリプトン以外の日本語版VOCALOIDとしては初めてである。
声にミュージシャンのGACKTを起用したことで話題になった。

2009年3月、supercellのアルバムが一般向けに発売。商業分野進出の走りとなる。
同年6月に、ゲーム作品である初音ミク -Project DIVA-がセガから発売。

2011年10月にVOCALOID3が発表。
堰を切ったように、様々な会社からVOCALOIDが発売される。

2012年10月に「ぼかりす」が一般ユーザー向けに発売。

現在は同人音楽界で一分野を築き上げている他、商業CDも関連雑誌も多数発売されており、VOCALOIDというジャンルは多方面に展開されつつある。
また、VOCALOIDという言葉自体もDTM・音声合成ソフト、及びそのキャラクターの代名詞となっているが、だからと言ってまるっきり混同するのはどうかと思うのだが。
ちなみに重音テトなどUTAUを使った作品をニコニコ動画の「VOCALOID」カテゴリで扱うことに関しては論議があったが、現在はヤマハ等も容認している模様。


■余談


  • ヤマハは音源エンジンのみを他社に販売し、販売先(クリプトンやインターネット社等)が歌手の音声データを入力して、一般向けに販売する形態をとる。
    ……のだったが、最近はヤマハも自社で一般向けにVOCALOIDを販売している。

  • VOCALOID EDITORにMIDIを読み込みのは容易だが、書き出しは少々厄介である。
    書き出したMIDIはSMFではなく「VOCALOID MIDI」という形式で保存され、
    それらにはノートナンバー等の情報は含まれないので一般的なシンセで発音することは不可能。
    VOCALOID2に限り、とあるプラグインを用いればSMFでの保存が可能になる。

  • ヤマハの開発者はVOCALOID3でRewireを無くした理由について、
    「初心者にRewireは難しい為」「オーディオトラックを搭載したV3にRewireの必然性が薄い為」と説明しているが、
    実際はRewireの開発元であるpropellerhead社が、今後サポートを打ち切る可能性があるから、というのが専らの噂。





追記・修正は楽譜入力+アンドゥ無限回数+Rewire+VSTiを全部搭載したバージョンをリリースしてからお願いします。

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最終更新:2024年02月23日 23:11