皇の扉(遊戯王ZEXAL)

登録日:2018/11/19(月) 13:07:23
更新日:2024/02/16 Fri 07:02:43
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この扉を開く者は、新たな力を得る

しかしその者はその代償として、一番大事なものを失う


皇の扉(おうのとびら)とは、アニメ『遊戯王ZEXAL』に登場するキャラクター(一応)。ネット上での相性は「扉さん」。
CVは井上和彦氏。
この項目では、このキャラクターをモデルにした遊戯王OCGのカードについても取り扱う。


概要

主人公・九十九遊馬の夢の中に度々出てきては、上記の言葉を投げかけていた巨大な門。
縦に長く、下部には怪物の顔が描かれている。
扉へ続く道は切り立った崖のようになっており、扉の周囲は壁に囲まれている。

扉そのものは通常は鎖で雁字搦めになっており、開くことはできない。
遊馬の持つ「皇の鍵」のみがこの扉を開くことができる。


第一話での遊馬とシャークさんのデュエル中、破壊されていた皇の鍵が自己修復し、遊馬の精神世界にこの扉が出現。
問いかけを受けながらも、ほぼ即答で皇の鍵を用いて扉を開いた遊馬は扉との「契約」を結ぶことになる。

ここで扉が開かれた結果、アストラル世界からバリアン世界を滅ぼすべく送り込まれた使者「アストラル」が出現したが、彼の記憶と力は50枚のナンバーズとなって散逸。目の前のシャークにはNo.17 リバイス・ドラゴンが渡り、遊馬とアストラルのもとには希望皇ホープのみが残された。

その後は皇の鍵の内部空間にて、アストラルとカイトの対戦中にまたも遊馬の前に出現。
カイトを「契約遂行の邪魔者」と判断し、事態を打開させるべく遊馬を導きZEXALの力を与えた。

「II」に移行後は回想を挟み、ホープレイV登場の89話で久々に再登場。
門番らしき巨人を出現させ、アストラルに「ナンバーズの記憶を手に入れろ、その時全てが動き出す」と語った。
その後、遊馬を引っ張り込んで巨人とデュエルをさせたが、この意図は結局不明のまま。


遊馬は最初に開いた時はほぼ即答で動いたが、「一番大事なものを失う」ことについては物語を通してずっと考えており、彼の行動の一因として根付いている。


この扉が最後に出現したのは最終話、遊馬とアストラルのデュエルの最中である。
アストラルが発動した永続トラップモンスター《運命の扉》として攻撃表示で特殊召喚され、未来皇ホープの攻撃を無効にした。
だがアストラルの真の狙いは、この戦いを通じて遊馬に「デュエルを楽しむ心」を思い出させ、使命を果たした自分と別れる覚悟を決めさせることであり、未来を切り開く決意を固めた遊馬は《ダブル・アップ・チャンス》を発動。

未来皇による追加攻撃で扉を粉砕し、決着をつけたのであった。


結局のところ、この扉が何だったのかは明確にはされておらず、不明のまま。
また、遊馬が代償として失う「一番大事なもの」についても不明瞭であり、アストラルは「デュエルを楽しむ心」、遊馬は紆余曲折を経て、最終的にはアストラルがそうだと考えていた。
だが、アストラルとの戦いの儀を経て遊馬はデュエリストとしての初心に立ち返り、アストラルについても遊馬達の前から去りはしたが、アストラル世界で再びの戦いに向かっており、総合的に見れば「失った」とは言い難い。

また、
  • 切り立った崖の先に立つ扉
  • 鎖で雁字搦めにされている
と言った描写は、バリアンの力でカオス化したナンバーズが出現する際に描写される「バリアンの扉」と酷似している。
あちらはバリアン世界の象徴である赤い世界として描かれていたが、こちらは青い光の雪が降り注いでいる。
ZEXALの世界観において「青」はアストラル世界を意味すること、この扉からアストラルが現れ、またアストラル世界の伝説であるZEXALの力を与えられたこと、アストライトで造られた皇の鍵によって開かれることから、アストラル世界に関連する何かであることはほぼ疑いない。

本来は単独で人間界に来るはずだったアストラルが、一馬によって行き先のプログラムを変えられたことで遊馬と出会ったこと、皇の鍵内部の飛行船に一馬の姿があったことなどから、扉と九十九一馬にも何らかの関わりがあるとみられるが、これ以上の手がかりは現状存在しない。

ただ、一期のエンディング(「僕クエスト」)では皇の鍵を象った椅子に座って俯く遊馬と、背を向けて佇むアストラルというかなり暗い雰囲気のカットが存在する。
直前のサビ部分では遊馬と凌牙、鉄男、小鳥、アストラルのカットが入るが、これが記録映像か何かのような描写になっている。
これらを絡めて考えると、当初の構想における契約の代償とは「仲間」あるいは「記憶」だった可能性がある。

また、メタメッセージを含ませるため「あえて判明させなかった」可能性もある。

「遊馬……人は大抵、成長するなかで大事なものを捨てちまう。だがお前は絶対捨てるなよ。人を信じる力、諦めない心、絶対に捨てんじゃねぇぞ」

これはシャークさんが散り際に遺した言葉だが、最終回目前に発言された「大事なもの」に関する発言であること、また遺言として発言=シャークさんが遊馬に最も伝えたかったであろう重大な言葉と踏まえると「運命の扉の代償」との関係性は無視できない。

「新たなる力」とは作中で考えると「ゼアル」の力をはじめアストラルとの融合などが考えられるが、作中・外を問わない「人が成長し得る力」なのかもしれない。
生々しいが、リアルな例でいうと財力や権力、あるいは人を値踏みする観察眼や妥協だろうか? 「大事なもの」を失わずそれらを得る人が果たしてどれだけいるだろう?

遊戯王シリーズ随一の「子ども向け」として(シリーズ恒例のそうとは思えない局面もあったとはいえ)、「絶対に諦めないチャレンジ精神」である「かっとビング」を揺るがないテーマに据え、食べ物の好き嫌いの克服など子どもにとって身近な「かっとビング」も描いた本作が「子どもに向けたメッセージ」を多分に含ませていても不思議ではない。

「新たなる力を得るが一番大事なものを失う」。
その扉を「遊馬に似てる」と評された未来皇ホープで*1、「俺は未来を切り開く!」と遊馬はブチ壊していった。その未来はきっと「新たなる力のために大事なものを失う」ことなどない輝かしいものとなるだろう。


皇の鍵

遊馬が首から提げている金色の鍵で、アストラル世界の鉱石である「アストライト」で出来ている。全体が漢字の「皇」を象っており、異なる世界の扉を開く力を持つ。
皇の扉を開くことができる唯一のアイテムで、破壊するにはアストラル世界またはバリアン世界の力が必要だが、自己修復機能があるため破壊されても問題ない。

ナンバーズの侵蝕から所持者を守る力があり、その大本であるアストラルによる干渉も防ぐ。
その代わり、アストラルはこの鍵の内部空間に入ることができ、遊馬と出会ってからは基本的にこの中にいる。なおアストラルの意志によってナンバーズを譲渡した場合、この鍵がなくともナンバーズの侵蝕は受けない。

内部空間には巨大な飛行船(のちに遊馬によって「かっとびユーマ号」と命名されている)があり、収集したナンバーズはこの中に保管される。また、《No.66 覇鍵甲虫マスター・キー・ビートル》のカードが文字通りマスターキーとなっており、このカードをセットすると飛行船としての機能が動き出し、現実世界に転送される。

ここにはアストラルの他には一馬しか入れないが、カイトはバリアン由来のカオスのエネルギーを使うことで無理やり侵入している。

ただし、鍵が遊馬の手元を一定の距離以上離れると全ての機能が解除され、休眠状態になる。

元々は、一馬が探検中にアストラル世界への道に迷い込み、その際にアストラル世界の住人らしき何者かに渡されたもの。後に、河原でデュエルしていた遊馬にかっとビングの言葉と共に譲られ、以後は彼が所持している。
《RUM-アストラル・フォース》にはこの皇の鍵が描かれており、鍵そのものはアストラル世界で造られたようだ。また、ドン・サウザンドの不完全体は胸部の眼とその下部の紋様がちょうど皇の鍵を象っている。

ただ、内部の飛行船「かっとびユーマ号」については、
  • コクピットが人工であり、オービタル7が制御可能
  • 素人の中学生たちであるナンバーズクラブでも操縦可能
  • 内部でアストラルが視認できる
  • アストラルの記憶と力の欠片であるナンバーズを動力や鍵として動く
  • ドン・サウザンドの復活やアストラルの記憶の回復に連動して一馬のメッセージが浮かぶ
  • 七皇の記憶を封印したNo.の遺跡の位置が登録されている
といった要素から、一馬がバリアン七皇との戦い、そしてドン・サウザンドの復活を予期して作り上げたものであることがほぼ確実視されている。

まとめると、扉、鍵、飛行船、いずれにも謎が残っている。
だが本当の謎は、これらすべてに加えて三つの世界全てに関わり、それぞれの行く末までも見通していた男、つまり九十九一馬とは果たして何者だったのかという点に尽きるだろう。
なにせあの御仁、遊馬がアストラルの半身の転生体であることまで知っていたフシがあるし。


OCGにおいて


《運命の扉》
永続罠
(1):相手モンスターの直接攻撃宣言時にこのカードを発動できる。その攻撃を無効にする。その後、このカードは効果モンスター(悪魔族・光・星1・攻/守0)となり、モンスターゾーンに特殊召喚する。このカードは罠カードとしても扱う。
(2):このカードの効果でこのカードが特殊召喚されている場合、自分スタンバイフェイズに自分の墓地の「希望皇ホープ」モンスターを任意の数だけ除外して発動できる。(同名カードは1枚まで)。除外した数×500ポイントダメージを相手に与え、このカードの攻撃力はそのダメージの数値分アップする。

ネクスト・チャレンジャーズで登場。
アニメでアストラルが使用した時とほぼ同じ効果を持っているが、攻撃の無効とモンスターとしての特殊召喚のタイミングが個別であるため、ダブル・アップ・チャンスはタイミングを逃して発動できない。
加えて攻撃を無効にできるのは発動時の1回きりなので、他にモンスターがいると破壊される。

後半の効果は希望皇ホープを除外してのバーンと自己強化。
だが、発動条件の都合上このカードはホープデッキに投入することになるが、ホープデッキで大量のホープが墓地にある時点でほぼ負け戦である。
一応、9種類全部除外すれば4500ダメージ&4500打点になるので逆転も狙えるが、手間を考えると割に合わない。

採用するとしてもファンデッキになるが、万一の時の逆転手段として狙ってみるのも一つの手か。
一応《パージ・レイ》とはコンボを成立できる。

デュエルリンクスにて、イベントのURカードとして実装されたが、そこでリンクス史上最大級の悲劇が待っていた。
リンクスでは初期LPが4000なこともあり、バーンダメージの効果が実質倍となっていた。初期手札が-1なことを考えると、バランスが取れていなかったと言える。
やがてカードプールの増加によって深刻化していったらしく、途中から新録カードおよび一部のバーンによるダメージは半減という処置が下された。
もう一回言わせてもらう。バーンダメージ半減である。
即ち、バーンダメージによって攻撃力が変わるこのカードの攻撃力も半分となった。
効果によるものとはいえ、攻撃力がOCGの半分というかつてない環境ダメージである。


追記・修正は一番大事なものが何だったのか考えてからお願いします。

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最終更新:2024年02月16日 07:02

*1 遊馬役の畠中さんが声も担当されている