パタリロ・ド・マリネール8世

登録日:2018/11/18 Sun 22:40:53
更新日:2024/01/09 Tue 10:30:41
所要時間:約 10 分で読めます




パパンがパン!


『パタリロ・ド・マリネール8世』は魔夜峰央の漫画作品『パタリロ!』の主人公。
主な呼称は単にパタリロ、あるいはタマネギ部隊の面々や国外の人間からは殿下と呼ばれる。

演じた声優・俳優


  • 白石冬美 アニメ(82-83)『パタリロ!』『ぼくパタリロ!』*1
  • 甲斐田ゆき アニメ(05)『パタリロ西遊記!』
  • 小山瞳 舞台(07)『抱腹絶倒 爆笑活劇 パタリロ西遊記』
  • 加藤諒 舞台(16)『パタリロ!』*2

人物

  • 年齢 10歳(サザエさん時空につき変化しない)
  • 身長 140cm
  • 体重 36kg(身長はともかく体重は変化しているだろう)
  • 血液型 RH+-ヌルα型
  • 諡号 黄金王(宮殿を大量に蓄積したウ○コで埋めた為)
  • 宗旨 真言宗智山派
  • 主語星 ハレー彗星
  • 背後霊 パタリロ7世
  • 前世 パンドラ(ギリシャ神話)

10歳の国家元首

常春の国マリネラの現国王。
父である先王ヒギンズ3世がTVゲームのやり過ぎによって崩御したことで、連載第2話にて即位。以降、40年以上に渡り王政を維持している。
その権威はお飾りではなく、マリネラの行政、司法、立法、軍事の最高責任者であり、儲け話を兼ねて外交も積極的に行っている。
先王の頃には政府も存在していたようなのだが、王家との確執によるパタリロ自身の暗殺未遂を経て、パタリロの代からは絶対君主制に回帰していると思われる。タマネギ部隊ですら内閣の存在をすっかり忘れていたり、内閣の面々も国会で将棋に興じていたりと、議会制は完全に形骸化している。
マリネラの国土は佐渡島の形状とよく似ており、人口も10万人程度である。このような小国でありながら、豊富なダイヤモンド資源を持つ*3豊かな国であり、国民の生活・文化レベルは極めて高く、各国に立派な大使館も存在している。
軍事大国でもあり、練度の高い陸海空の三軍を保有している。さらには核兵器を配備する核保有国であり、大陸間弾道ミサイルや爆撃機搭載型の戦術核ミサイルも保有している。しかし核配備宣言以来、核の行使は臨界実験を含めて一度も確認されておらず、核保有自体がブラフではないかとの見方もある。核弾頭の製造、保管はパタリロしか把握していない最高機密であり実態は不明だが、核のブラックボックスはタマネギがパタリロの性格を考慮して偽物とすり替えてある。反陽子ミサイルのほうは本物らしい。そっちの方がはるかに強力なのだが
タマネギ部隊はそれらの重要機関の責任者達でもあり、国政を担うエリート中のエリートとして、タマネギ部隊への選抜はマリネラ三軍や政府機関の若者達の名誉であるらしい。
パタリロはその頂点に君臨する格好になるのだが、パタリロが政務にやる気を出そうが出さなかろうが国事は回るため、マリネラ王宮のタマネギだけでも国政の殆どは滞りなく運営できる有り様である。
むしろパタリロが外出し宮殿を空けている方が仕事が進むうえ、平穏な生活を送れるとタマネギには好評。*4

軍事国家らしく、いつも着ている服も歴とした軍服で、同デザインの服を数百着分は所有している。
何故か日本に似た文化があり、マリネラ人も日本人みたいな生活と性格だが。

弱冠10歳での即位となったが、元々年齢の離れていた父親の死に際しても大きな悲しみを見せることもなく、
国王即位以前よりの世話係であり、側近でもあるタマネギ部隊と共に国政の舵を執っている。*5
母親のエトランジュ王妃(王太后)だけには頭が上がらないのだが、彼女は病弱でマリネラから離れて母国のスイスで療養している為、
普段のマリネラでパタリロの暴走を止められる者は居ないという有り様である。
国王となった以上は本来「陛下」と呼ばれるのが適当なのだが、「屁、以下」に聞こえるという理由で嫌がり*6、以前のまま殿下と呼ばせている。

生態

まだ少年(?)であるが、人類の範疇を越えた天才であり、頭脳は勿論、身体能力と耐久性に優れる
……ギャグ漫画なので、範疇の越え方が超人的、且つ変態的だが。
異常に生命力が強く、ほぼ不死身。
不死身はギャグ補正の部分が強かったが、自分に取り付こうととした物体Xを逆に吸収しており、その再生能力を身につけている。
さらにお迎えに来た死神をもある方法で追い返しており、物理的にも概念的にも不死身に近い。
生存本能も極めて高く、守銭奴であることをはじめとして、異常なまでの欲の持ち主である(前述の死神もこれが原因でパタリロを連れ去り損ねた)。
作中では何度も死亡しては何らかの手段で復活したり、死んだ過去自体をなかったことにする等してしぶとく現世にとどまり続けている。
また一流の諜報員であるバンコラン等に頼らずとも、パタリロ自身人間離れした戦闘能力の持ち主でもある。
根来流忍術の継承者であるらしく、これは初期のギャグ描写に留まらずパタリロの固有技能となっている。

見た目はつぶれあんまんと呼ばれる等、へちゃむくれで太め。
バンコランから、顔面殺虫剤と呼ばれたことも。
「ゴキブリ走法」を得意とし、人間離れしたスピードで走れる。乗用車に追いつくなど朝飯前である。
視界が悪い中を、コウモリの様に超音波を発して敵の人数と距離を把握できる等、底知れぬ能力が何かしらのエピソードの度に登場する。
猫語をはじめ多様な動物の言葉も解する他、初対面の異世界の種族との意思の疎通をスムーズに行えるコミュニケーション能力の高さが特徴であり、これは人外に対する偏見が少なく、むしろ共感性が高いという精神性が根底にあると考えられる。

TVアニメのエンディングにもなった『クックロビン音頭』は、マザーグースの一節に勝手な節と振りを付けた伝統(?)芸能。*7
この音頭を聴いた人間は、なぜか敵味方を問わずに釣られて踊りに参加してしまう効果がある。バンコランも何度も乗せられている

第1話では不細工とされながらも痩せて見えたのに、国王に即位した途端に急速にデフォルメがされ始めて、連載が進む毎にどんどん丸っこく頭身も低くなっていった。*8
本人はこれを国王を務めるにあたっての重圧によるものと弁明している。
80年代アニメ化の当時は下膨れで、アニメでもそのデザインだったが後には丸顔になり、現在までに絵柄が更に簡略化される等しても、デザインその物は安定した。

太っているのは異常な暴飲暴食をしているからで、この年齢にして多くの成人病に冒されている。
症状を抑える為にこれまた大量の薬(3kg)*9を服用しており、その分量を越えた薬を摂取すると、途端に誤作動を起こす場面もあった。
そのお陰か毒物に強いという描写がある。数十匹のフグを生で食い散らかした際には流石に高熱にうなされ、一時は生死も危ぶまれたが、そもそも成人男性一万人分の致死量のテトロドトキシンを摂取しても生還したというのが人間離れしている。*10
それどころか、間違って濃縮ウランを飲み込んだ際も下痢で済んでいる。
体内の臓器はその日の気分や体調で勝手気ままに移動するという常識はずれな体質で、ついには正規の教育を受けた医師が発狂してしまった。根本的に人間の循環器系とは異なる生態を有しているらしい。
一ヶ月に渡り宇宙人に捕らえられ、完全な断食を強いられた際にも、衰えながらも生存し、その後一ヶ月分の食事を取り戻そうと「食べる→根性で消化→排泄→食べる」を繰り返し、見事に回復している。

見た目に関してはバンコランやマライヒは勿論、タマネギ達にすら散々な言われようをしているが17歳頃には7世の例から絶世の美少年になる……らしい。(自称)
生涯3度の脱皮の内の一回目にて、ゆるゆるに伸びた皮膚のせいで美少年に見えたことはあるので、そういうことなのかも知れないが……。*11

尚、どう見ても両親には似ておらず、突然変異の様なパタリロだが、先祖や子孫にはそっくりな見た目で性格や能力も似ている歴代のパタリロが存在しており、
7世と10世はタイムワープしたパタリロ(8世)が窮地を救ったことが縁で、後の事件解決にも協力したりしている。
6世は悪魔に魂を売って従者となっていたという変わった経歴の持ち主で、
パタリロはこれを自分の夢として、魔界の物語を体験している(後に過去の契約を盾に8世にも従者となることをやめときゃいいのに迫った)。

このことから、マリネラ王家ではパタリロの様な人間は、直接の子供か隔世遺伝かは解らないが誕生する決まりとなっている様で、
どんな血脈が入り込もうとも変えられないのだと予想される。
容姿や性格がまともだと思われていたのに、後々になっておかしなエピソードが登場してくる人物も居るため、
パタリロ型ではなくともマリネラ王家その物にその傾向があるのかもしれない。
実際、従兄弟にはパタリロそっくりで異常な能力を持つヨタリロや末叔母ハーネスの12生児、そっくりではないが異常な能力の持ち主であるマッタリロ等、
血縁にも異能児が生まれている。
異母兄のボニー=クライド=アイゼンバッハは現時点で(容姿を含めて)パタリロ以上に優れた天才でもある。

頭脳

初期作品で特に知られていたのが科学者としての顔で、発明パタちゃんの異名と共に国王に即位する以前より科学の先端分野で名を馳せ、多数の有力な研究者とも交遊があった。
生まれてからすぐに異常性を発揮しており、既に乳児の頃に人体を羊羮に変える不気味な機械を発明しており、その異常な頭脳により既に大学も卒業済み。
卒業論文は『ゴキブリホイホイにおける茶羽根ゴキブリの生存の可能性』で、高い評価(三重丸)を受けている。
元々、タマネギ部隊はパタリロの異常性を危惧したエトランジュが、若くて優秀な武官や文菅を集めて世話係を頼んだことが切っ掛けで結成されたものである。
この辺の関係は後に「国際発明家団体連絡協議」の一員である、と語られたことの元になっている。
また、詳しくは後述するが発明家以外にも優れた推理能力を持つ「世界名探偵友の会」の一員だったり、
世界中の王族が在籍する「世界王様会議」の一員でもあり、これ等の設定が登場する度に事件の火種になったり、事件に巻き込まれる切っ掛けとなっている。
ゴキブリ達に認められた「名誉ゴキブリ市民」でもある。

多彩な分野における優れた科学者であり、以下のように様々な発明を残している。
  • 流星号・銀星号
    • 光速の90%の速度で飛行できる絨毯型飛行ユニット。絨毯をクロワッサンのように丸めた形状で、4人程度が搭乗できる。現代科学を超越した高性能ぶりを誇り、飛行速度はもちろん、外敵の攻撃の一切を受け付けないバリアーや、可動メイザー砲なる強力な兵器を備える。重力操作も可能で、巨大な物体をまるごと持ち上げて曳航することができる。銀星号は流星号が出払ったときに用いた後継機で、より光速に近い速度で飛行できる。
  • ロボット
    • ロボット工学者として世界最高の技術者であるとする描写があり、中でも月面の探査/採掘用として制作された筈のプラズマXは、当初は言語機能も無かったものの人間サイズのボディでありながらも30万馬力を誇り、宇宙でも海底でも移動可能で腕からは稲妻のような熱戦を放つ等、スーパーマンレベルの『パタリロ!』世界最強のロボットである。それに嫉妬したライバルのスカンキーがその技術を盗むため*12に娘と称したロボットを送り、更なる騒動の元となった。
    • 数万年後にはパタリロの子孫により再起動され、未来の地球を救ったと語られた。20(21)世紀に制作されたロボットが数万年後でも破格の性能を誇ったあたり、8世の科学技術力の高さがうかがえる。
  • 各種発明品
    • パタリロの発明は『ドラえもん』のひみつ道具ばりに、エピソードの火種や助けとなるネタでもあり、本人が使うだけでなく他者に悪用されたケースも少なくない。
      • 代表例は「次元反転装置」で、装置から発するビームが当たった物体はその表裏が逆転する(機械類に照射した場合、外装が内側に、内部機構が外側に入れ替わる)というものだった。これをとある人物が悪用し、世界中の銀行の金庫室を破壊して強盗をはたらくという事件が発生した。
    • 空間を歪ませてレンズを作り出し、拡大鏡の要領で月を大きくみせる装置を開発したときは、主に広告代理店を中心に売り込み競売にかけた。だが太陽光を収束させれば強力な戦略兵器になる点を全く失念しており、競売に各国の軍部が殺到する事態になっている。
    • 頭の回転の速さは現在でもそうだが、以前にはネタとして人間コンピュータなる高速演算能力を発揮する場面もあったが、宮殿にマザー・コンピューターと呼ばれるスパコンを設置してからは、そちらに分析を依頼するケースが多くなった。無論これもパタリロの発明である。
      • さらにマリネラ本土の地下にはグレート・コンピューターなる巨大スパコンが鎮座しており、マリネラの政府関連施設のコンピューターを統括する能力を備えていたが、ある事件の際に緊急停止させられ、以降は登場していない。
    • 傑作品は数多いが、同時に失敗例も多く存在し、時には実験の失敗で宮殿を崩壊させたこともある。工作室や倉庫にはこれらの発明品や試作品が山積しており、うっかり起動させると死人が出るようなものまで無造作に放り出されている。
    • 物体を分解し電話線に乗せて遠隔地に送信できる伝送装置なる装置を発明したが、伝送先が必ず爆発するという重大な欠陥があり、(それを承知の上で)バンコラン邸を破壊したことがある。

そして、これらをも越えるパタリロ最大の特殊能力と呼べるのがタイムワープで、視察中に発破で吹き飛ばされたショックにより目覚めた。
事故で過去に飛ばされるのみならず、自分の固有技能としてしまい、過去や未来に自由に飛ぶことが出来る。
……使ったら楽だろうに使わないようなシナリオもあるが、それはそれ。
必要と判断した際には7世と10世にも伝授しているので、パタリロ一族ならば身に付けられる可能性が高いらしい。

実は息子が登場したことがある。名前はパタリロ9世。
見た目も性格もスペックも8世と全く同じといってもいい。
これは作者が書いた短編「ルル=ベル火星行」の主人公ルル=ベルをゲストキャラとして出すための処置である。ルル=ベル火星行は200X年の出来事とはっきり書かれてるのでつじつま合わせのためパタリロを息子という設定で出したということである。
作者いわく「パタリロがどういう風に成長してどんな女性と結婚したかなどということはこの際詮索しない事」とのこと。

作者が熱心な読者家であり古典的探偵物に明るいこともあってか、中期には発明家として以上に、名探偵として推理を行うエピソードが数多く作られている。
初期には、バンコランの恩人のグローブナー将軍を殺した*13犯人を捕まえるエピソードにて、誤った推理を自信満々に展開して、
本人も知らぬままにマライヒに利用されたりしていたのたが、探偵エピソードが描かれる頃にはまともな名探偵となっている。
また、この頃になってもマライヒがパタリロに匹敵する名探偵であるという設定も残っており、パタリロの思惑に最初に気づくのはマライヒだったりする。

性向

バンコランとの初対面時の、修正に修正を重ねた写真に添付されていた資料でも最悪と称される程に悪い。

人に迷惑をかけることを生き甲斐としており、先述の様に人が死んでもおかしくない悪戯を仕掛けるのを趣味としており、他人を犠牲にすることも厭わない。「人をおちょくる50の方法」なる題名の本を愛読書としている。
基本的にはぐうたらで面倒くさがりの癖に、悪戯の為ならばどんな労力でも惜しまない。
……その結果として、自分が負傷したり鉄拳制裁を食らったり、予想外の出費をしたりと痛い目に遭うことも多いのだが止めるという選択肢は無いようだ。*14
相手が如何なる人物であっても、初手でおちょくるのは挨拶替わりとなっている。
本人曰く殺人上等であり、ギャグ補正も掛かっているとはいえ、他人を殺しかねないイタズラを仕掛けるのは日常茶飯事。

また、性格の悪さと共に取り沙汰されるようになっていったのが、異常な守銭奴であるという点で、それも豊かな国の国王の癖に小金に執着し、
小金を儲ける為なら、どんな回りくどい方法でも使う傾向がある(タマネギ曰く「帳簿上の一億ドルより目の前の十セントが好き」)。
小銭が落ちた音に過敏な反応を示し、全体の儲けはさほどでは無くとも、身の回りに置ける小銭が集まればそれで満足する。それがパタリロの欠点でもあり、不利な条件を呑んでしまった事も未遂を含め何度もある。
パタリロはこれを「守銭道」と称し他の実践者とも親交があり、同好の士(守銭奴)であればその目つきからすぐに見抜けるらしい。
作中ではごうつくばりだの言われ、実際に金銭(特に小銭)への執着心は前述の通り常人離れしているが、作中本人や周囲が言うほど金に汚いかと言われると一概に言えない。
ケチではあるも肝心な点が抜けており、燃費節約と称して復路の国王専用機を無人のままマリネラに帰らせる一食分の食費を浮かせる為にわざわざロンドンのバンコラン宅に専用機で来る下水処理を他国に任せる為にマリネラの下水道を各国の下水道に繋げる工事を行う*15等、倹約どころか明らかな無駄な行動を起こし大損することもある。また、一発ギャグの為に仏壇や姿見を購入したり、将来の為にと今着れない大人用の服を多数購入したりと無駄遣いも多く、タマネギから「無駄遣いをさせたら殿下は天才」と皮肉を言われている。
だがビジネスの場で真面目に思考しているときは、その頭脳を駆使して投下資本の回収などの複雑な損益計算を瞬時にこなしており、その点ではタマネギからも信頼されている。

基本的に酷薄で、タマネギやプラズマ一家の様な部下達にも厳しい暴君を気取っているが、その心根は優しく、それが窺える数々の感動エピソードが生まれている。*16
この為、偽善者ならぬ偽者と呼ばれることも。
国王として必要な資質をこの年齢にして持ち合わせており、何だかんだでパタリロと出会った人間が、その人間性や寛大な温情に救われる場合も多い。
タマネギ部隊の個々人とのエピソードにも名編が多く、読者からの人気も高い。
これについては、最愛の母親をはじめとして家族と離れていることもあり、タマネギや自身の創造物が家族と呼べる存在ということもあるのだろう。

また、パタリロ世界では珍しい異性愛者であり、従姉妹のマデリーンが初恋の相手。
以降のエピソードでも彼女に似た美少女にメロメロになる場面があるが、大抵はロクな結果に終わらず失恋を重ねている。

本人は恋愛に対して純情な様子を見せるくせに知識面では非常にマセており、27歳のバンコランを年寄り扱いする一方で、
10歳にして大人同士の恋愛で何が行われているのかとか、バンコランの様な同性愛者や、ヒューイットの様な小児性愛者の嗜好までも同意せずとも理解はしており、バンコランを同性愛ネタでからかうのも定番だった。
しかし、実際に少年好きの中国主席に迫られた時には激しく拒否したり、自分を好きになった少女を悩んだ末に離れていくように仕向けたりしている。

……しかし、最悪と呼べる出会いと体験をしたことから、ニューハーフについては拒絶反応を起こし、一時は深刻なトラウマを抱えていた*17
その割にはニューハーフからは好かれる傾向が強く、ロンドンに店舗を構えるニューハーフカフェ「東カリマンタン」のママには初対面で唇を奪われている。
また、タマネギ部隊にバンコラン菌による同性愛が蔓延したことについてはほとほと困り果てており、最初はバンコラン病を治すと息巻いていた。現在は諦めたのか黙認しているが、タマネギ部隊に蔓延する「女が好きな男は変態」という認識には呆れている(タマネギ部隊にも古参を中心に既婚者や異性愛者は無論居り、バイセクシャルもちゃんと認められてる事から異性愛が否定されている訳ではない)。

当人は真言宗を信仰しており、神や天使、悪魔や魔術師等が存在する世界観で彼もそれらと接触した事があるのもあって宗教や神の教えは否定してはいないが同時に過度に当てにすることもない。

怪談は聞くのも駄目。*18

変装

バンコランに扮したパタコラン等、バレバレな見た目の扮装も多い一方で、
独自のキャラクターとして独立したエピソードも存在するシバイタロカ博士(日本編ではほぼシバイタロカ博士としてのみの登場)や、
犯罪学の権威フリッツ・フォン・マンテル博士は初期の代表的な変装。
また、親戚にあたる美術館館長パタモドキ氏に変装したときには変装を解くまで疑いを持たれることさえなかった。

尚、シバイタロカ博士になるとパタリロ時とは真逆の善意の人となり金銭への執着欲が無くなるが、それはそれで変装を解いた時の反動が大きくなったり、
金銭の替わりに善意を要求するようになる等、パタリロの変装らしい危うい面もある。

日本(ジャポネスク)編では、気弱な少年の願いに応えた結果、勇気を出させるためによりにもよってバンコランの性格をコピーした
プレイボーイスーツを開発(ただし、対象は女の子)したものの、これを身につけてバンコラン化した少年を中心に大騒動が巻き起こり、
解決した後に適当にスーツを放置したことで新たな事件に繋がったと想像させて終わる等、結局はトラブルメーカーのままである。

交友関係

国王という立場からも考えても、多種多様な人種・生物との交流を日々経験している。他者との交流経験の特殊さでいえば、人類でも随一の豊かさである。
  • バンコラン
    • 第2話以来の腐れ縁である英国情報局秘密情報部のエージェント。王子であった頃のパタリロが訪英した際に、彼の護衛任務を命じられたのが運の尽き。以降ことあるごとにパタリロの護衛や厄介ごとに巻き込まれ、いつの間にやらマライヒ共々家族ぐるみの付き合いになってしまった。この縁は前世から脈々と続くある種の呪いのようで、マリネラ国王とバンコラン家の確執は今後も続くらしい。エージェントとしては特A級の凄腕で、ワルサーPPKの名手*19。だが超がつくほどの現実主義者であるため、パタリロの特殊能力やそれに起因した超常現象の類を目の当たりにしようが、頭からトリックと断じて信じようとしないなど頑な面がある。例にもれず同性愛者であり、また美少年キラーの名を欲しいままにするプレイボーイ。さらにタマネギ部隊に同性愛者を増加させた張本人。目を合わせた少年を無条件で魅了してしまう「眼力」を発揮するが、パタリロ一族にはこれが一切効かない。この点でもバンコラン一族にとって、パタリロ一族は最大の天敵といえる。
  • マライヒ
    • 国際ダイヤモンド輸出機構の子飼いだった殺し屋。敵であったバンコランに手籠めにされ、以降なし崩し的にパートナーとなり、ついには伴侶として出産まで経験した美少年*20やたらと性描写が多く、ベッドシーンはもちろん自慰に及ぶシーンまで描かれた。性自認はれっきとした男性だが、ジュエリーに目がなかったり、バンコランの前でウェディングドレスを着たいという願望をずっと抱いていたりと、徐々に女性的な思考や行動が表れている。パタリロはなぜかマライヒに対しては下心抜きに優しさを見せる場面が多く、フィガロを妊娠していた際は「身重の人間から金など取れん」とタダで面倒を見たり、「身を切られるよりも辛い」と言いながらも金を貸してやろうとしたり、気を紛らわせるために趣味の集まりに招待したりとしている。……もちろん普通にとんでもない悪戯に巻き込むことも多々あるが。ガチガチの現実主義者であるバンコランと異なり、怪異や超常現象にも柔軟に適応する傾向が強く、パタリロとも多くの奇跡を目の当たりにしてきた。その縁からか、マライヒも度々マリネラを訪れてはパタリロを頼ることが多く*21、パタリロに対する態度も比較的柔らかい。パタリロがおちょくり目的でマライヒに(肥溜めに落ちた後の体で)しがみついた際も、「どうした?」ととりあえず様子をうかがわれるあたり、一定の信頼は置かれていると考えられる。*22
  • タマネギ部隊
    • 先述した、パタリロ誕生後に創設されたマリネラ王宮付きのエリート部隊。総数は400人程で、毎年選抜試験が実施されるがその課程は極めて難易度が高く*23、採用者ゼロの年も珍しくない。パタリロの成長と暴挙を最も間近で見届けてきた、ある意味でパタリロの父や兄にあたる存在。マリネラ国民の憧憬を一身にうける彼らであるが、その労働環境は劣悪を極め、薄給で福利厚生もほとんど受けられない、パタリロのいたずらや思い付きに命懸けで付き合わされる奴隷同然の存在、とパタリロ自身が放言している。しかしそんな待遇であっても、事実上の近衛兵として国王を守護し補佐するという職務には誇りをもっており、パタリロが筋を通せばタマネギも筋を通すという強い信頼関係で結ばれている。身体を張って命を救ったこともお互いに幾度もあり、その「意地」に男泣きしたことも一度ではない。頻繁に登場するのは、強力な霊能力者である非番の44号。
  • フィガロ
    • バンコランとマライヒの間にできた子供。世界初の男性同士に産まれた子供とされたが、同時期に世界各地で同様の家族が発生していたことが後に発覚。その正体は天界から降臨した大天使ミカエルであり、数千年後に起こる大災害と大量死に備え、「同性間にも子供を授ける」か否かの実証試験を自ら実施していた。検証結果は「時期尚早」とされ、両親の記憶を消去の上で帰還する予定だったが、パタリロの説得によって両親の寿命が尽きるまでは現世に留まり人間社会を観察することにした。この経緯を記憶しているのはパタリロのみだが、これはパタリロの信用のなさを看破したフィガロがあえて記憶を留め置いたため。周囲の人間からはあくまで赤ん坊として扱われるため、パタリロにとっては正体を知っていても手が出しにくい天敵といえる。
  • エトランジュ
    • パタリロの実母。病弱のためにスイスで療養しており、マリネラへ帰国するのは稀。パタリロにとっては頭が上がらない唯一の存在で、同時にタマネギ部隊にも手に余る状態に陥ったパタリロに対処できる最後の切り札。同性愛者であるバンコラン*24が唯一心を惹かれる存在であり、決定的な男女関係には至らずとも互いに複雑な感情を抱いている。一度バンコランと肉体関係を持とうとして未遂に終わった瞬間を、あろうことか息子であるパタリロに目撃されたことがあったが、当のパタリロはタマネギ達の心配をよそに「見直した」と語り、母親に対する虚弱で嫋やかでしかなかった認識を改めている。ちなみにパタリロとバンコランとの関係も特に気まずくはならず、性愛面でも偏見を持たずに当事者の事情を斟酌して受け止めるだけの度量が見うけられる。
  • ヒューイット
    • CIAのエージェントにして重度のロリコン*25。この点でパタリロに散々にいじられ・ダシにされ・利用され、自業自得の面もありながらも散々な目にあっている。
  • バット
    • ロンドン大使館近くにニューハーフカフェ「東カリマンタン」を構えるママさん。他の「ホステス」の多くが毛深いオッサンや正真正銘の人外ばかりという中、バットは一見するとかなりの美女に見えるが、無論男性である。一人「娘」がいる。初登場時点では、まだ「ついている」らしい。パタリロをいたく気に入り、唇を奪うばかりか、冗談で「お口」でのサービスを提案している。パタリロのオカマさんへの敵意が深刻だった当時は、ロンドン市役所に風紀の乱れを陳情し閉店要求を出す*26に始まり、果ては特殊部隊を派遣し壊滅を目論むが、オカマさんたちによって全て撃退されており、パタリロも軍事的攻略は諦めるしかなかった。国際ダイヤモンド輸出機構の元構成員で、当時から「それっぽかった」が、組織の脱退後「本格的」になった。世界がニューハーフ「マダム・ケツハリ」による征服の危機に瀕した際にはパタリロに味方し、当時の情報網を駆使して貴重な情報を提供した。
  • プラズマX
    • パタリロが製作したダイヤモンド採掘用人型ロボット。ウランを動力源とし、30万馬力を発揮し極超音速飛行を可能とする。活動領域を問わず戦闘力もすさまじいが、絵のセンスは壊滅的。誰が教えたのか刺繍やお菓子作りが趣味。妻子を持ったと思ったら妻を亡くしたり後妻が来たら娘が家出したりと騒動が絶えなかったが、ひと段落した後はダイヤ鉱山の発掘に協力していたらしい。遠い未来の宇宙においてパタリロの子孫の手で再起動。再び地球の危機に奮闘することになる。
  • 間者猫
    • 猫。それでいて凄腕のエージェントであり、各国情報部すら凌ぐ情報網を持っている。だが冷戦終結後は仕事にあぶれ、酒と女に溺れポン引きで生計を立てるまでに落ちぶれたが、パタリロに仕事を紹介され更生した。すると今度は酒と聞くだけで体調を崩すまでになるなど、なにかと両極端。弟に「スーパーキャット」がおり、こちらは宇宙からやってきた猫で、故郷の惑星が崩壊する際に両親が脱出させ、地球に流れ着いたとされる。
  • アスタロト
    • 魔界の大公爵にして四大実力者の一角。パタリロ6世が魂を売り従者として仕えていたが、天界が創り出した最強の免罪符「血脈」を盗み出す際にうっかり昇天。仕方なく子孫の8世に対して、6世の契約不履行を理由に魂を要求した*27
  • 魔夜峰央
    • マリネラ王国唯一の納税者。*28




追記修正は小銭に反応してからお願い致します。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2024年01月09日 10:30

*1 80年代を代表するアニメ作品の一つとしても有名。故に、パタリロをはじめとして、本作のキャストのイメージが強いファンも多い。

*2 異常な原作再現は作者から絶賛され、ファンを喜ばせた。

*3 宝石収集は作者の魔夜峰央の趣味でもあった

*4 パタリロもそれを見越して代わりのいたずら用ロボットを置いていき、タマネギの僅かな平和を乱したりと堂々巡りである

*5 「あのボーッとした父上」等とも評しているが父親に対する敬愛の念は非常に強く、折に付け父王の遺した伝言や心配りに触れると感銘を持って受け入れている。とはいえ、さすがに隠し子騒動の時は憤慨してブチ切れていたが。

*6 というか当時の臣下である衛兵隊長も悪ノリでこの呼び方をしていた節がある

*7 萩尾望都の『ポーの一族』で引用されていたのをネタにしたらしい。元は初期作品にも登場しているアシスタントのルカの劇団が同作のパロディ劇でネタがスベった時にやっていたネタ。アニメでも元は節が決められていた訳ではなかったが、エンディング曲(演奏 スラップスティック)になるまでに決められて定着した。

*8 原作のみ。アニメでは第1話の時点で既に頭身が低かった。

*9 各種生活習慣病の薬の他、深爪の薬なんてものも混ざっている

*10 ただし話の展開上、一度死ぬ必要があった際にはフグを利用している

*11 それ以外にも86巻「ベニクラゲ」に於いて、タマネギ達のポカで美形で頭身の高い美少年に成長してしまった事があった。この時にはタマネギ達も惚れる程だったが、成長しているという事はイタズラも余計過激になっているのではと推測した為結局元の姿に戻した。

*12 パタリロの発明の設計図は全て頭脳の中のみにあり現物を残さないため。

*13 実際の真相は別。

*14 また、初期は彼自身も普通の人なら死んでもおかしくないような制裁を受ける事が多かった(例として5巻の「スターダスト」ではギロチンで頭部を切られる場面があった)。上述した異常な生命力で大抵はすぐ元に戻っているが。

*15 もちろん無許可であるうえ、総工費は下水処理場数百棟分に上った。しかもアメリカの下水道局にこれが露見し請求書が回される事態になった

*16 自分の生命エネルギーを分け与える能力を持ったロビー少尉に、やむなく犠牲を強いて苦悩する回は初期の名エピソードとして名高い

*17 それまでは「何か苦手」という程度で普通に付き合う分は平気だった

*18 ただし作中では幽霊や悪魔などと物怖じせずに普通に会話している場面が多く見られている。おそらく脚色された物語、もしくは恐怖を煽る雰囲気を恐れているのだと思われる。

*19 銃弾を街灯の柱で跳弾させて、物陰に隠れた敵を正確に狙えるだけの射撃の腕を誇る

*20 これでも当初は早々に死亡する予定だった

*21 大抵はバンコランの浮気関連で、毎度のことパタリロも呆れている

*22 マライヒはバンコランですら敵わない一流の殺し屋でもあり、警戒されていれば近寄ることすら許されない

*23 体力測定は無論のこと、「ボツワナの高地にある湖」の名を問う設問があったり、電極間の陽電子の移動を見極める動体視力検査がある

*24 女性とベッドインしようものなら、我に返った瞬間に悲鳴を上げて脱兎するほどに女性を避けている

*25 接触や行為には及ばないだけで付きまといや盗撮などは行っており、普通に性的倒錯の犯罪者である。現代では到底描写不可である

*26 役所の上層部がほとんど常連だった為に即却下

*27 理不尽なように聞こえるが、債務者が死亡したときは負債も相続される為、アスタロトは代襲相続人にあたる8世に対して債権を主張できる

*28 マリネラはタックスヘイブン(無税)である