天使のいない12月

登録日:2010/02/06(土) 23:33:41
更新日:2024/03/15 Fri 21:16:53
所要時間:約 5 分で読めます




願ったのは、束の間の安らぎ──
──叶ったのは、永遠という贖罪



大手ブランドLeafから、あのヤバイ日*1に発売されたエロゲー。
略称としては、「天いな」が主流であると思われる。 
サブタイは「December when there is no angel」。
「天使のいない12月」をそのまんま英語にしただけであるため、サブタイ…というよりも“英訳を併記している”と言ったほうが相応しいのかもしれない。

ゲーム中のテキストを対話シーンでは通常のAVG同様画面下部ウインドウに表示し、
独白シーンはビジュアルノベル形式で表示をするというハイブリッドな方式を採用している。

今なお多くの固定ファンを持つLeafであるが、本作をリリースした当時は今以上の隆盛を誇り、雑誌などでも大々的に宣伝され、前評判は上々だった。
実際、音楽、CG、システム等のクオリティは非常に高い。

にもかかわらず、他の並み居るleafゲーに比べて何故本作の知名度が極端に低いのかというと、端的に言えば、シナリオが賛否両論の極みだからである。
合わない人にはとことん合わない。
だが、合う人にとってはこれ以上ない神作になりうる。

本作がよほど売れなかったためか、その意志を受け継ぐような作品も特に存在しない。
要は、典型的な「埋もれた名作」なのだ。
他の「埋もれた名作」と呼ばれているエロゲーと違い、特にプレミアが付くこともなく、大抵は1000円以下で買えてしまうので「まぁleafだし」と軽い気持ちで買ってしまうと危険。
このゲームが原因で他のゲームをやれなくなったという人も多いだろう。

というのは当時の話で、現在は結構プレミア価格が付いている。
一時期DL販売がされていたため値下がりしたが、現在は停止しておりまた値上がりしている。


◎あらすじ

人間関係は軽く薄く小さくがモットーであり、なにごとにもいい加減で投げ遣りな生活を送っている主人公。

特にやかましい妹がいるせいもあって、女は面倒だと思っている。

そんな主人公と違い、友人は女の子との恋愛に時間を費やし、肉体関係になることに至上の価値を求めているので、主人公に恋愛を勧めるのだが、
まるで聞く耳を持たない。

ところが、ある女の子とのささいな言い争いから、なりゆきと興味本位でその場限りの関係を持ってしまう。

◆木田時紀(きだ ときのり)
本作品の主人公(名前は変更可能)。
一言で言ったら厨二のヘタレで、ヒロインに対しての暴言がハンパじゃない。
しかしこの作品は彼がいてこそなので、割と許せてしまうかもしれない。

◆栗原透子(くりはら とうこ)
(声:鮎川ひなた)
本作品のメインヒロイン。主人公としのぶのクラスメイトで、常にしのぶの後に付いて行動している。
時紀が屋上にいるのを偶然目撃すると、自分も屋上を居場所にしたいと頼みこみ、その交換条件として時紀と肉体関係を持つ。
それは一回限りの関係のはずだったが、誰かに必要とされたいと思うあまり、その後も関係を望むようになる。
トンマなとうこだから主人公から「トン子」とかいわれるかわいそうな子。
彼女は、他の誰のルートでも物語に絡んでくる。

◆榊しのぶ(さかき しのぶ)
(声:鷹月さくら)
おしっこ。
彼女を語る上でかかせないのが彼女が放ったエロゲーのヒロインにあるまじき発言だろう。
「もう何もすることがないから。あとは家に帰って、ご飯食べて、オナニーして寝るだけ。」

◆麻生明日菜(あそう あすな)
(声:皆美伊吹)
主人公がアルバイトをはじめるケーキ屋の女子大生で、一見すると典型的お姉さんキャラ。
すごく、すっごく優しい人柄である。主人公をいつも大切に、それはもうイヌのように大切にしてくれる。

◆須磨寺雪緒(すまでら ゆきお)
(声:井村屋ほのか)
主人公の同級生(クラスは違う)。
初登場の第一声が「殺したいの?」だったり、考えが怖い人。(なお断っておくが、犬に対してタマネギを与えようとしたヒロインに注意したセリフである)
いつもクールで、感情をみせることは少ないが、その実誰よりも優しく繊細な心を持っている。(淫乱メンヘラ女と揶揄される)
性欲旺盛でセフレ上等。出会ったばかりの男をホテルに誘うそのスタンスから【Leaf一のビッチ】と呼ばれている。
「セックスのこと?ええ、気持ちよかった。それでいいじゃない。愛し合ってる訳じゃないわ。」
BADENDでは、主人公と何度もSEXをした後にもかかわらずNTR、新しい相手にベッタリ依存し、主人公をガン無視する様になってしまう。

◆葉月真帆(はづき まほ)
(声:安玖深音)
10月1日生。時紀の後輩で、恵美梨のクラスメイト。ラクロス部所属。性格は明るく元気で、落ち着きが足りない。
功の彼女であるが、恋愛における肉体関係について納得できる答えが見つからず、功を拒んでいる。そのために功との関係がギクシャクして悩んでいる。


◆木田恵美梨(きだ えみり)
(声:みる)
時紀の実の妹で、同じ学校に通っている。子供っぽいところが多く、発言も子供っぽい。ハンバーグしか作れない。
主人公に、「死んじゃえ。」とか普通に言う、ちなみにまったくデレはない。実の妹だからHシーンもない。エロゲーの妹キャラとしてはかなりリアル。好きな人がアレ。
残念ながらHシーンを拝むことは出来ないが、後に発売したファンディスクで微エロCGが書き下ろされる。

◆霜村功(しもむら いさお)
時紀の悪友で、真帆の彼氏。クリスマス・イヴに真帆と初体験を飾ろうと目論んでいるが、その下心を真帆に見透かされ、最近は関係がうまくいっていない。
ちょっと某ゲームの正義の味方になりたい主人公に似てるかもしれない。(外見的な意味で)


登場人物の名前には全て漢字の「木」の字が部首として含まれているが、この作品の「十字架と翼」のタイトルロゴマークは「木」を図案化したものとも考えられる。
ギャルゲーでは、派手な髪の色をしたキャラクターや、奇抜なデザインの学生服が当然のように登場することが多いが、
本作では現実感を強調するため、キャラクターの髪の色は黒や茶といった色に設定されており、制服も男子は学ランに女子は黒のセーラー服となっている。
なお、葉月真帆や須磨寺雪緒が立ち絵で羽織っている薄橙色の上着はカーディガンである。

シナリオ重視のエロゲーのご多分に漏れず、本作もコンシューマ移植を期待する声はそれなりにあったが、内容的にどうしても性描写なしでは成り立たないストーリーであるためか実現しなかった。
当然のごとく、地上波アニメ化もなされていない(君のぞのような作品は例外中の例外といえよう)。
それなら、今からでも遅くはないからOVAでやってほしいところだが…。

それは永遠でなく
真実でなく
ただ、そこにあるだけの想い・・・。


追記修正、よろしくおねがいします。

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最終更新:2024年03月15日 21:16

*1 2003年9月26日発売。同日にCROSS†CHANNEL、月は東に日は西にも発売された。ErogameScape-エロゲー批評空間-に得点データが1000以上あるタイトルが同日に3本発売された日は、2020年現在でこの日の他に3回ある。