切札勝舞はマジック・ザ・ギャザリングを使いつづける

登録日:2018/09/29 Sat 00:32:59
更新日:2024/03/15 Fri 09:53:23
所要時間:約 5 分で読めます







デュエママジックやろうぜ!




『切札勝舞はマジック・ザ・ギャザリングを使い続ける』とは
コロコロコミックの人気漫画『デュエル・マスターズ』のif展開を描くギャグ漫画であり、
コロコロアニキ2018年秋号より連載がスタートし、コロコロアニキは紙媒体としてラストになった2021年春号まで連載された。
2020年3月にコミックス第1巻が出版され、コミックは全2巻。

作者は松本しげのぶ大先生ではなく、彼の元アシスタントで現在は主に別冊コロコロで活躍するコーヘー氏であるが、
氏の画力とアシスタント時代に培った経験を元に、原作初期に似た絵柄を上手く再現されている。
特にデュエル時の黒城は割と本気でカッコいいのでファンなら一見の価値あり。


現在もコロコロコミック誌上で連載されている漫画『デュエル・マスターズ』は
同名の国産TCGである『デュエル・マスターズ』(以下DM)を題材としているが、
連載のごく初期の間は元々(6巻/2002年まで)はMagic the Gathering(以下MtG)のタイアップ漫画であった。
現在ではほとんどの人に忘れられているor知られてすらいないが
しかしまさかまさかの1章の最終戦で作品の途中でDMでの宣伝戦いが行われて以降はそちらにシフトしたため*1
作中からMtGが無かったかのような扱いになり*2
今日に至るまで一貫してDMでの戦いが描かれているのである。


そして本作はそれを逆手に取り、主人公の切札勝舞が
『悩んだ末にD・MではなくMtGを続ける事を選んだ世界』というifストーリーをギャグで展開するというまさかの発想によって生まれたものであり、
第一報が伝えられた途端、MtG時代のデュエル・マスターズを知るおっさん世代アニキ世代の日本国民を大いに元々MTG漫画だったのを思い出させた驚かせた。


そしてMtGの有名プレイヤーであり、現在はMtGを制作・販売しているウィザーズ・オブ・ザ・コースト社社員の金子真実氏が本作のテクニカルアドバイザーを担当しているため、
ギャグ漫画の割にデュエルシーンは意外としっかりしているのも特徴。
とは言えギャグにページを割く上に一話完結型の都合上、展開はかなり端折られているので、描かれるのはほぼクライマックスシーンのみではあるが、その分内容も濃い。

そしてカードプールは当時ではなく、現在のものに準拠している。
とはいえ原作のMtG時代末期のように複雑なコンボや展開がなされるわけではないので、MtGを殆ど知らない読者でも安心して楽しむことができる。
禁止カードを主人公が使ったりしないしね!



◆登場人物

ご存知漫画・アニメ『デュエル・マスターズ』の初代主人公。
原作通りに神殿のラスボスである白凰との戦いに挑む際、かつて父が使用した伝説のカードゲームであるD・Mを手にする。

…が、戦い方を把握している矢先に、黒城の執拗なまでの説得(?)で正気(??)を取り戻し(???)、
「D・Mに手を出すのやめる!! カードゲームで死にたくないからな。」 と
人として極めて真っ当なカードゲーム漫画の主人公としてあるまじき暴言と共にD・Mをデッキごとポイ捨てし、MtGの道を再び歩み続ける事に。もし他のカードゲームなら間違いなくなにからしらの自業自得を受け、最悪死に至る禁断の所業である

とは言え、原作の彼も『デュエルでの命のやり取り』に対しては一貫して否定的なスタンスを取っており、
敗北すれば自分が死ぬ状況であるにも拘らずフィニッシュを放棄したり、「大好きなデュエルで人の命は奪えない」と涙ながらに語ったり、
記憶を無くしたまま大人になった際には「カードに命かけるやつなんてこの世にいねーだろ。」と発言している。
常識が通用しないカードゲーム漫画のデュエリストとしては失格だが至極全うなゲームを純粋に楽しむデュエリストの檻である。
原作のNACのように「死んでしまうかもしれない」と可能性を示すのではなく、本作の黒城のように『負けたら死ぬ』と断言した上で説得すれば、
実際にD・Mを断念した可能性も無くはなかったりする。
え?「牛次郎を殺せ」って言われて「言われなくてもそのつもりだ」って言った? 単行本で修正されたから…

第一話のポイ捨て以降、D・Mに対しては心底興味を失ったらしく、
どれだけ勧められても「物騒なカード」などと極めて正論を断じて決して手を伸ばそうとしないが、
Youtuber活動の一環として、主要人物の髪型がだいたい凄まじい事に定評のある某カードゲームに手を出しかけたことがある。
そっちのカードゲームも大概人が死にまくってる上、生粋のMtGプレイヤーとしてその方向性に疑問を抱かないのだろうか

使用デッキは作中序盤を思わせるようなアグロ。
表向きは特定のコンセプトを徹底したデッキに見せかけて、しれっと対戦相手へのメタカードを忍ばせる辺りも、MtG時代の彼を彷彿とさせるものがある。


凶悪な名前に反して作中屈指の常識人疑惑のある勝舞の永遠のライバルの一人。
原作では勝舞がD・Mカードを手にする直前に、白凰の卑劣な策略で腹部を爆破されて大怪我を負っていたが、
本作では何事もなかったかのように普通に出てきたので多分爆破されていない。*3

自分が必死に続けてきたMtGからD・Mにあっさり乗り換えようとする勝舞に危機感を抱き、口八丁でMtGを続けさせようと必死に努力する影のならぬ黒の苦労人。
D・Mには心底興味がないらしく、一枚も持っていないどころか何度も名前を間違え、その都度勝舞に訂正されても全く覚えずに一度も正しく呼ばなかった。
お前スペインで何やってたの?

使用デッキは大まかに言ってしまえば原作同様に黒単であるが、
《のたうつウンパス/Thrashing Wumpus》連発中に《ショック/Shock》をブチ込まれて負けるというテンプレみたいな敗北を喫した事がトラウマになったのか、
初期のプレイスタイルであるスーサイドブラックは封印し、黒単ゾンビに切り替えた模様。


  • 角古れくた
原作のリアクション要員。
デュエル時の数々の超常現象、デュエリストの常識外れの言動に怯えるカードショップ店員・山田に
「カードゲームマンガではフツウのことだよ。」と妙に達観したセリフを言い放つなど、
カードゲーム漫画界における達観した視点を持つ。こいつがこのカードゲーム漫画の主人公でよくね?

そのため、諸々の超常現象を目の当たりにしてもビクともしないが、
デュエルが黒城のワンサイドゲームになり、勝舞が追い詰められた時には流石に驚いていた。
まああのクリーチャーの布陣で追い詰められているのには驚くよね…

原作ではMtG時代は勝舞と戦うことは無かったが、本作では何故か大人気Youtuberとしての地位を確立し、調子に乗って勝舞からの挑戦を受けることに。
勝舞相手に終盤までペースを握り続けた辺り、原作より相当な手練に描かれている。


神殿編のラスボスであり、後の勝舞の大親友。
原作通りにD・Mに乗り換えるも、誰もD・Mに手を出す気配が無いことに絶望し、最終的には勝舞からの「お前と戦いたい」というセリフに感化されてMtGに戻ってきた。

原作では勝舞とのデュエマでの一戦を経て、外道キャラから元のきれいな白凰に戻っていたが、
本作では特にそういうプロセスを踏んでいないにもかかわらずきれいな白凰になっており、
MtG初心者向け動画を作成するYoutuberとしても活躍し、解説が丁寧かつ分かりやすいと評判の好人物となっている。

が、ミミの顔面を平気で踏みつける辺り、たぶん腹の底はどことなく汚いままである。


ご存知原作のヒロインである巨乳小学生。
意中の相手である白凰様がD・Mに乗り換えたので、MtGを辞めて猛勉強の末にD・Mをマスターするも、結局白凰が勝舞の説得でD・Mを辞めてしまったので、逆ギレして勝舞に戦いを挑むことに。

ブリっ子を装ったりかわいい(?)クリーチャーを召喚して油断を誘う往年の戦法を披露するも、既に本性を知っている勝舞相手には通用せず、中盤からは例の本性を剥き出しにして戦うことに。
「勝舞が除去カードを撃ち、自陣のクリーチャー以外を全滅させて勝負を決める」というラストは、原作でのミミ戦を現代風にリメイクしたとも取れる。


ご存知、MtG時代は冷静に考えれば半分くらい勝舞達が悪かった作中きっての小悪党。
怪しげなセミナーで「MtGの必勝法」である『牛次郎メソッド』なるものを売りつけ、
マルチ商法の親玉となって大儲けしていた。

しかし、マルチ会員となって巨額の負債を抱えた勝舞と黒城に殴り込まれ、流れで勝舞とデュエル。
相変わらずのパーミ戦法で優位に立つが、結局原作同様に打ち消されない火力呪文をブチ込まれて敗北した。

ちなみに彼の提唱する『牛次郎メソッド』はその全てが反則であるが、
実際に様々なTCGで行われた実例のあるものばかりであり、元ネタを知っていると余計に笑える仕様となっている。
中には、海外で某TCGで話題になり、日本でも話題となった『窃盗ジャッジキル』という非常にコアなネタも取り入られている辺り、作者(あるいは監修)のアンテナの高さがうかがえる。


ご存じ、原作シリーズでも勝舞のライバルかつ宿敵として激闘を繰り広げた男。
当初は原作通りにD・Mで世界征服に向けて動いていたが、勝舞にMtGしかプレイしていないことを伝えられると「マジンガー・ギャルソン」と勘違いしながらもMtGに移行。
しかし、D・Mの才能はあったザキラはMtGの才能の方は絶望的になかったことでカードゲームショップのオタクに連敗しまくり、苦々しくも勝舞の元でMtGの修行に励んで才能を開花した。
ちなみにガルドのメンバーもMtGの才能は絶望的になく、後にザキラがカードゲームショップのオタクを新規メンバーとした「新生ガルド」を結成したことでクビにされかけた。
MtGの才能を開花させた後もガルドの維持費に苦労してUber Eatsを始めたりもしている。


  • 切札勝利
ご存じ、主人公の父親であると同時に伝説のデュエリスト。登場した回が最終回だったため、実質本作におけるラスボスである。
海外のD・Mをサプライズプレセントに自宅に帰宅するが、勝舞がD・Mを始めていない事実に困惑。
黒城には「無職の親父」「ロクデナシ」と呼ばれており、妻の舞の発言から生活費を振り込んでいないことが判明した。しかし、勝利は無職こそがコロコロ漫画における父親の正しい姿と信じている。

生活費を振り込んでいないことなどから息子の好感度が低下している事実を受け、父親としての威厳を取り戻すために勝舞とMtGでバトル。
何だかんだで成長していた勝舞とのバトルに敗北するも、父親としての好感度は復活する。だが、黒城の誘導によって結局D・Mの道に息子を導くことには失敗したのだった。


  • 松本しげのぶ大先生さっき死んだやつ
ご存知、原作『デュエル・マスターズ』の作者であり、
コロコロ屈指の人気・知名度を誇る偉大な元ギャグ漫画家。
だが本作ではD・Mでのデュエルに敗れ、セリフの一つも無いまま死亡してしまう。
その後、黒城の召喚した《歩く死骸/Walking Corpse》としてゾンビ状態で召喚された際には
名前ですら呼ばれずにさっき死んだやつなどと失礼極まりない呼び方をされ、
更に二体のゾンビ・トークンとしても召喚されて合計三体に増殖させられた上*4に、
挙句の果てには《サルカンの封印破り/Sarkhan's Unsealing》で三体まとめて焼き払われるなど、
丁重に扱われたアニメビクトリーVとは異なり非常に扱いが悪い。
恐らくデュエマに寝取られたMTGプレイヤーの恨むを晴らす当て馬として身を張ったのだと思われる...。そう考えると聖人みたいな扱いとも言える...南無。

  • 山田
本作唯一の名前ありのオリジナルキャラ。
原作で勝舞が通っていたカードショップ「ころんころん」の新人バイト。
勝舞と黒城がデュエルを始めるのを目の当たりにし、フレンドリーに審判を申し出るも無視された挙げ句様々な超常現象にひたすら怯える羽目になる可哀想な一般人。
モブキャラとして定着するかと思われたが、そんなことはなかった。


  • NAC
マジック黎明期に活躍した世界的有名プレイヤーであり、原作の中盤頃までテクニカル・アドバイザーを務めた中村聡氏をモデルとしたデュエマで惨敗してMtGを辞めようとしたよくわからないキャラ。
原作通りに勝舞にD・Mの危険性を忠告した後は全く出番が無いが、彼の一言が黒城の突破口を作ることとなった。



追記・修正はハンバーガーショップでバイトして貯めたお金でコツコツ集めたMtGの
資産価値が大暴落しそうになってからお願いします。

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最終更新:2024年03月15日 09:53

*1 本当に唐突な路線変更であり、読者はもとより作者も当時の編集部からの命令に困惑したとのこと。たまーに敵ではなくむしろ兄弟ゲームにあたるデュエマを古参のMTGプレイヤーが心底嫌う理由はだいたいこれ。

*2 一応勝舞編のクライマックスで極めて小さくではあるが、MtG時代の彼の相棒であるスリヴァーが再登場したことはあった。 しかし開始時の不評を覆し始め、MtG漫画として立派に定着していた矢先に方向性が大きく変わったのは紛れもない事実である

*3 原作ではこの出来事によって勝舞の白凰への怒りが頂点に達していたため、爆破が行われなかった世界だと仮定すると、白凰への怒りが中途半端だったのでD・Mに手を出すには至らなかったと解釈することもできる

*4 歩く死骸は単なるバニラ