クロスゲート(スパロボ)

登録日:2018/09/24(月) 18:37:36
更新日:2021/10/22 Fri 22:54:07
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地獄門、開く―――



クロスゲートとは、スーパーロボット大戦シリーズに登場する用語の一つ。
現象・装置としての二つの存在を指す言葉であるが、基本的に双方は不可分の関係であるため、まとめて記述する。



◆概要

初出はスーパーヒーロー作戦であり、その後は続編のαシリーズ、および時系列的にはさらに続編にあたるOGシリーズで、重要な立ち位置を占めている。
これが何かというと、現象としては「異なる時間・異なる空間へつながる次元門」、装置としては「その次元門を発生させる、またはその次元門に接続する空間転移装置」である。

簡単に言うとこれを使えば、別の世界や別の時間に飛ぶことが可能なのだ。
ただし、過去への跳躍は簡単ではなく、タイムパラドックスの可能性から因果律が大きく乱れるため、実質的には不可能。
スーパーヒーロー作戦においては、事件の黒幕たるユーゼス・ゴッツォとそのコピーたるイングラム・プリスケンが深く関わっている。
この辺りの詳細はユーゼスの記事に詳しいが、ユーゼスはこのパラドックスを回避しつつ己の運命を変えるため、因果律を計算してその影響を抑制する限定因果律操作装置「クロスゲート・パラダイム・システム」をあまねく世界で開発している。

では未来へ飛ぶ場合はどうなのかというと、これも簡単ではない。
未来の可能性は無限に存在するため、当然そこへ通じるクロスゲートも無限に存在する。選択を間違うとパラレルワールドに飛んでしまう可能性もある。
イングラムは自身の脳に埋め込まれたCPSの端末により、未来へのゲートを検出することに成功している。



装置としてのクロスゲートは、αシリーズ以外では誰が、いつ、何のために作ったのかわかっていない。
その機能は主に以下の通り。

  • 起こせる現象は上述のゲートと同様。ただしこちらは機械的システム
  • 強い意志の力に反応する。そのため、意志を強く伝導する念動力者に反応しやすい
  • 時間も空間も世界の壁も無視し、あらゆる座標に繋がっては行き来を可能とする

簡潔にまとめると「何でもありのワープゲート」であり、それゆえに登場した作品ではほぼ必ずトラブルメーカーとなっている。


◆各作品にて

スーパーヒーロー作戦

この作品が単語としての初出。
ユーゼスがクロスゲート・パラダイム・システム完成のため、過去へつながるクロスゲートを検出しようと悪戦苦闘していたシーンでさらりと触れられる。

スーパーロボット大戦α

この作品からはストーリーにも関わってくるが、まだ裏設定レベル。
ゼ・バルマリィ帝国では母星の近くにあるクロスゲート(これについては第3次αで判明)を研究したことで、その成果から地球をしのぐレベルの超空間航法を確立していた。
帝国監察軍旗艦「ヘルモーズ」にもこれを応用した「クロスゲート・ドライブ」が搭載されており、これは後にこの世界のユーゼスを通してエンジェル・ハイロゥにも流用された。

ユーゼスの乗るジュデッカには、イングラムの脳内に残されていた端末のデータを基にしたクロスゲート・パラダイム・システムが組み込まれているが、スパヒロのものよりも完成度は高まっており、クロスゲートを任意に検出・実体化させて攻防に使用するという離れ業を見せていた。
また最終決戦のハードルートでは、空間の特異点を利用してジュデッカそのものをクロスゲートに変換、ロンド・ベル隊を閉鎖空間に引きずり込んでいる。

なお、劇中ではイングラムも独自にCPSを復元し、アストラナガンに組み込んでいたことがほのめかされている。


第3次スーパーロボット大戦α

本格的に登場。
物語の冒頭で木星近くに突如として出現、「α」終盤で轟沈したはずのヱクセリヲンを時間と空間を超えて転送するシーンから始まる。

第4話ではこのゲートを調査する艦隊が組織されたが、バルマー本星から転移してきた第一艦隊とハザル・ゴッツォ率いるゴラー・ゴレムの強襲を受けて壊滅、それ以後は帝国監察軍の艦隊が陣取って拠点としていた。
その後は物語の随所で勝手に起動し、αナンバーズを銀河のあちこちに飛ばしては戦いに巻き込み、中盤では「オラトリオ・タングラム」の世界とつながってバーチャロイド達を転送するなど、トラブルメーカーとしての側面が目立った。

しかし、物語が進むにつれて研究も進み、最終的には上述した装置としての特性がこの作品で明かされた。
ただ、この作品でのクロスゲートは「伝説巨神イデオン」のキーパーソンである第一始祖民族=無限力の支配下にあり、その意志に従い他者のワープ機能に干渉してしまうという問題点がある。
これは、最後の審判たるアポカリュプシスの一貫として、全銀河の人類へ与えられた試練であり、フォールドの限界距離を引き延ばしたり、転移中のバッフ・クランをαナンバーズの目の前に呼び出したりしている。
そのため、このゲートを制御するには、サイコドライバークラスの念動力者、つまりは無限力の意志に打ち勝てる念の持ち主が必要となる。

αナンバーズと協力者たちは、最終的にこの機能を利用して銀河の中心にあるゼ・バルマリィ本星へ攻め込み、同時に宇宙怪獣を殲滅する作戦を立案。
その鍵として機能したのが、SRXの完成形であるSRXアルタード“バンプレイオス”とリュウセイ・ダテであり、T-LINKシステムを介してクロスゲートを起動し、任意の座標に跳躍するXNディメンション“次元斬”を実装。

これを利用して侵略者たちへの猛反撃に出たが、クロスゲートが強い念に反応するという特性上、地球に向かった部隊がイルイ・ガンエデンの念に引かれてその近くに飛ばされる事態も起きた。
終盤では最強のサイコドライバーたるナシムの力を借りたイルイによってゲートが制御され、銀河中心殴り込み艦隊が次々と転送されている。


αシリーズにおけるクロスゲートの正体は、地球側のものは第一始祖民族の作り出したオーパーツ、バルマー側のものは地球とバルマーを結ぶ近道として、ナシム・ガンエデンとゲベル・ガンエデンが用意したものである。
二体の人造神が地球を旅立ち、ゲベルがバルマーの守護神となった後、地球へ帰還することを決めたナシムのためにゲベルがバルマー近くにゲートを開いたのだが、ナシムはあえてそれを使わず銀河を横断、道中で地球の思い出を語りながら地球へと帰って行った。
だがその後も、もしもの時はすぐに地球とバルマーを行き来できるよう、ゲートだけはそのまま残されていた。
序盤で地球側のゲートがいきなり起動したのは、第2次αの決戦にて実質的な管理者であるナシムが破壊されたことに加え、無限力による審判が始まったためである。


銀河大戦終戦後は、バルマー側のゲートはブラックホール爆弾に呑まれて消滅、地球側のゲートは動力でもあった無限力の干渉がなくなったことで機能を停止している。
だが、それまでの研究で別次元へのゲートを作る技術が完成しており、バーチャロイド達はこれを使って帰還。
また、バンプレイオスが完全に完成すれば、それ自体がクロスゲートと同様の機能を持つことになると語られている。


無限のフロンティアシリーズ

この世界「エンドレス・フロンティア」でのクロスゲートは、遥か古にこの次元に漂着したアインストレジセイアが発見したものである。神楽天原では「交鬼門」と呼ばれていた。
当時は閉鎖されており、アインスト空間に帰ろうとしたレジセイアはゲートに干渉して片っ端からクロスゲートを開いたが、次元的に近しい別の世界同士が繋がるだけで、アインスト空間には接続できなかった。
なお、ムゲフロのアインストはクロスゲートから力を得ている設定である。


その後長い時が経過し、それぞれの世界が独自の文化を育みつつも、クロスゲートを通じて交流を持つようになった。
「無限のフロンティア」の物語はこれを背景に始まる。
この世界では起動するのに面倒な条件はなく、前に立って念じるだけで転移できるが、接続先は決まっており変更できない。
また、ゲートによっては閉鎖することも可能で、エルフェテイルにあったフォルミッドヘイムへのゲートは当初閉じられており、神楽天原に繋がるゲートは10年戦争時には閉じられていた(霊樹「不死桜」の力を用いた封印である)。

また、時折機能不全を起こして開かなくなることもあるなど、αシリーズに比べてややポンコツ気味。

レジセイアの影響を諸に受けているため、ムゲフロ最終戦でヴァールシャイン・リヒカイトが倒されたと同時に各世界が融合、フォルミッドヘイムに残されていた3つを除き全て消滅した。

続編「EXCEED」ではその残されていたゲートがアグラッドヘイムにより奪取され、バレリアネア塔頂上部の一つを除いてシュテルベン・シュロスごと消滅している。
さらに「PROJECT X ZONE」ではエンドレス・フロンティアと物質界の秋葉原が突然開いたクロスゲートで接続され、ハーケンと神夜が転送されている。

ちなみにこの世界には「シュラーフェン・セレスト」という次元間移民船のなれの果てが存在するが、この船の中の転移装置がほぼ同等の機能を持っており、不定期に異世界と繋がっては異邦人を招きよせる。しかも、世界そのものに異邦人を返すまいとする指向性らしきものがあり、EXCEEDでは転移装置で異邦人組を送り返そうとするたびに別のトラブルに見舞われて失敗、というパターンの連続であった。


OGシリーズ

この世界観に準拠したリメイク版の魔装機神シリーズ最終作にて、ラングラン王宮の地下にクロスゲートが封印されていたことが判明。
巨人族「カドゥム・ハーカーム」はここから現れたことが示唆された。旧シリーズではどうだったかは知らん。

本流シリーズには第2次OGにて登場。
かつてルイーナが現れた際、それを押し返して封印した「ファブラ・フォレース」の正体が、「D」では単なるゲートだったのがこちらではクロスゲートとされている。
アダマトロンの完成を目論むユーゼスによって奪取され、ナシム・ガンエデンとAI1を媒体として吸収されたが、撃破と共に解放され、地球近海に鎮座していた。

ルイーナが出現したためか、はたまたそれゆえにルイーナが出現したのかは不明だが、地球側のクロスゲートは負の念が渦巻く境界空間に繋がっており、ラ・ギアスからマサキ達が転移してきた際もここを通ったらしい。
「ムーン・デュエラーズ」で起きた「クロスゲート・バースト」で接続先の空間から負念が集合体「ラマリス」としてバラまかれ、各地に被害をもたらした。
さらにはゲートを巡るダークブレイン軍団やガディソード、フューリーとの抗争の原因ともなったが、最終的には真の力を覚醒させたグランティード・ドラコデウスにより一刀両断され、完全に破壊された。

接続先に負の念が渦巻いていることは第2次OGの時点で念動力者を中心に言及されており、またリョウトやクスハなど「α」出身のキャラクター達は、クロスゲートの存在をαシリーズでの戦いの記憶=前世の記憶「虚憶」のイメージとしてデジャブを感じていた。
さらにユーゼス曰く「真のクロスゲート」という存在があり、それは在り方を往々にして変え、自ら動くこともあるという。

OG世界においてクロスゲートを通過するには、たとえば虚憶の欠片、一大劫を経ての再有生、並行世界間や次元の壁の超越経験、といった特定の要素や因子が必要だと思されている。
その反面、同じ宇宙の同じ時間軸の中での空間転移であれば、起動さえ出来れば全く問題なく行うことが出来る。
また次元間的に「近い」世界同士のクロスゲートは比較的つながりやすく、また相互に影響を及ぼすこともある。これはエンドレス・フロンティアが好例。


この世界観では地球側の転移機能こそ遅れているものの、敵対勢力はほぼ自前の転移機能を有しているため、クロスゲートは転移するためのゲートというよりエネルギー源として注目されている。
フューリーの母星やガディソードの星にも存在しており、それぞれ現地の言葉で「ル=クク・ヴォーデュ」「ゼモン」と呼ばれていたが、OGの地球標準語に訳すと「地獄の門」である。
負念渦巻く空間に繋がっていることや、どこのゲートからも過去にルイーナが出現したことを踏まえても、全勢力が総じて「ロクなものではない」と認識している模様。



◆関係する人物・兵器など


このワードが出るとだいたい並んで語られる超重要人物たち。

  • 念動力
正確には人の意志の力。クロスゲートを開けるには相当なレベルが必要。

  • 無限力
αシリーズにおける統御者。

  • T-LINKシステム
イングラムが作り上げた念動力感知増幅システム。
真の目的は、これにより増幅した念の力でクロスゲートを制御する「鍵」とすること。

  • SRX/バンプレイオス
「鍵」を守るために作られた天下無敵/銀河無双のスーパーロボット。
バンプレイオスは試作であるSRXのデータを踏まえて建造された完成機で、システムが完全完成すればそれ自体がクロスゲートと同様の能力を備える。

精霊の力を失った後はクロスゲートから負念を集めて動力に変換するイミテイション・リチュオル・コンバーターで機動している。
ポゼッションできない事を除けば以前と同等の性能を発揮できているのだが、活動時間が短くなってしまった上に
本来の魔装機神のコンセプトと真逆の動力源となっているため、定期的に浄化しないとマサキとサイバスターまで汚染されるという大問題を抱えてしまった。
おまけにMDのラストでクロスゲートまで消滅してしまってチャージできなくなった。

  • エンドレス・フロンティア
多数のクロスゲートで接続された並行世界群。
現在は一つの世界として融合している。

  • 創造主
OGシリーズにおけるクロスゲートを作り上げた存在。シリーズのラスボスと目される。

  • カドゥム・ハーカーム達
クロスゲートから現れた巨人たち。いずれ来る試練に備えた精強の種子を作り上げるべく「教化」を施したが、これが曲がりなりにも成功したのはフューレイムと呼ばれる個体のみ。XN-Lに至っては論理破綻を起こして暴走した。

  • アインストシリーズ
エンドレス・フロンティアに存在するアインストはクロスゲートから力を得ていた。

  • 十二の鍵
ダークブレインやXN-Lが言及した謎のワード。
「十二」というワードからスフィアの事ではないかとファンからは目されている
共通項の一つにクロスゲートを御しうる素質が言及されている。


◆余談

寺田プロデューサー曰く、クロスゲートはαシリーズの構想に当たり、必要から生まれたアイデアだという。
αシリーズは三部作構成であり、第一作で「地球の危機の始まり」、第二作で「地球の危機の解決」、第三作で「宇宙に旅立って全てに決着」という流れを想定されていたのだが、
これらを順次制作発表する中で時間が流れれば、第三作で新しく参戦する作品によっては、地球圏の危機が再燃する可能性がある。
そこで寺田氏は、「理屈はどうでもいいから、とにかくいろんなところが繋がって、争いが起きる仕掛け」をαの時点で考案しており、それがスパヒロから流用されたクロスゲートの設定を肉付けしたものである。
第3次αにおいてメガロード船団など、αの時点で外宇宙に旅立ってしまったメンバーを合流させるための理由づけとしてもクロスゲートは最適だったらしい。

ただそれ以前の理由として、マクロスシリーズなど、明らかに時間軸が同期しないメンバーが一堂に会する荒唐無稽なストーリーを成立させるため、「こういうものがあるんだから仕方ないじゃないか!」と言う、一種のデウス・エクス・マキナとして考案したらしい。
曰く、「スパロボは元々こじつけの塊でもあるから、世界観にあまり細かい理屈をつけるのもなんですし」とのこと。



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最終更新:2021年10月22日 22:54