千里眼(遊戯王OCG)

登録日:2018/09/18 (月) 00:38:00
更新日:2024/04/14 Sun 23:06:43
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千里眼とはとは遊戯王OCGに存在する魔法カードである。分類は永続魔法。
2002年9月19日発売のパック黒魔導の覇者で登場。レアリティはノーマル。

【カードの効果】

永続魔法
1ターンに1度だけ自分のスタンバイフェイズ時に100ライフポイントを払う事で、
相手デッキの一番上のカードを確認して元に戻す事ができる。
相手はそのカードを確認できない。


【解説】

盤面には直接干渉しない情報アドバンテージを得るためのカード。
この手のカードは直接的に手札のアドバンテージに干渉しないためそれだけしかできないカードはあまり強くないとされている。
しかも情報を得る場所が相手のデッキトップのため使いどころが限定的。次相手が引くカードの情報を知れても対処できなければ意味がないからである。
ライフコストを逆手に取ってセルフライフ削りに使おうにも、1ターンに1度限りの上にコスト量も軽微のためそれもできない。
それでも使われたくないカードが見えたらそれに合わせてはたき落としを発動したり、相手にシャッフルの処理を強要するカードでデッキに沈めてしまうなどのコンボで使えなくもない。
しかしその使い方でも以下のカードが既に存在していた。

天変地異
永続魔法
このカードがフィールド上に存在する限り、
お互いのプレイヤーはデッキを裏返しにしてデュエルを進行する。

発動直後から相手のデッキトップを確認可能で、ドローやシャッフルで相手のデッキトップが変わっても常に相手のデッキトップを無条件で確認できる。
自分のスタンバイフェイズまで待たないといけない上に1度しかデッキトップを確認できない千里眼とは天地の差があるぐらいには使い勝手が良い。
千里眼の優位点としては自分のデッキトップを相手に晒さないという点があるが、逆に言えば自分のデッキトップを確認できるという事でありカード名を宣言してデッキトップがそのカードなら手札に加えることが出来るデーモンの宣告とコンボが可能。
せいぜい千里眼の優位点と言えば相手のデッキトップの情報を自分だけが知ることが出来るという程度でありそんなものをカード1枚使って自分のスタンバイフェイズまで待ってまでやる意味もなく、よくある性能が低く埋もれていく知名度が低いノーマルカードであった。



追記・修正はナイトメア・パラドールでCPUが使うこのカードに対して何の意味もないだろとツッコミを入れてからお願いします。































【10年越しにコンボが発見される】

殆どのデュエリストがこのカードの存在を忘れていた2013年の8月下旬頃、とあるスレにてコンボが発見されたことによりこのカードに注目が集まる事になる。
そのコンボは上記で説明した2枚の千里眼と天変地異を揃えるのみで成立する。既に10年以上前に存在していた2枚の組み合わせである。
千里眼の存在価値を否定していた天変地異こそが、千里眼のポテンシャルを最大限に引き出すカードだったのである。
まずこのコンボがどういうものか説明する前に、遊戯王の公開情報非公開情報を説明する必要がある。


【公開情報と非公開情報】

公開情報とはお互いにいつでも確認できる情報の事。
これは双方ののプレイヤーの「ライフポイント」「手札枚数」「表側で存在するカードのテキスト」「墓地のカード」「表側で除外されているカード」「表側でエクストラデッキに加えられているカード」などが該当する。
これらの公開情報から相手の状況を把握して戦術を立てるのはデュエルにおいて基本とも言える要素である。

非公開情報とは逆に普段は相手か双方のプレイヤーが確認できない情報の事。
前者に該当するのは相手の「手札の内容」「裏側で置かれているエクストラデッキの内容」「フィールド上にセットされたカード」「裏側で除外されたカード」などが該当し、後者は「デッキの中身のカード(自分のデッキの場合は並んでいる順番)」が該当する。
基本的にこの情報は確認することが不可能で無理矢理確認しようとしたなら最悪ジャッジキル(反則負け)になる可能性がある。

相手の非公開情報を見る方法は存在しない訳ではなく、一部のカードはこれを覗き見る効果を持っている。
これらの効果はピーピング効果と呼ばれる。
例えば「相手の手札を全て確認する」効果を持つダスト・シュートや強引な番兵、「相手のエクストラデッキを全て公開させる」効果を持つ浮幽さくら真竜皇リトスアジムDなどは相手の非公開情報を一時的に見ることができる。
本項目の千里眼もこれに該当する。
フィールドで効力を発揮する限り永続的に公開させるカードも存在するが、これは一時的なものに比べると種類は少ない。
「相手(又は自分も)手札を公開し続けなければならない」効果を持つマインド・オン・エア、正々堂々、セレモニーベルなどがこれに該当する。
上記で紹介した天変地異も対象はデッキトップだが数少ない永続的に相手の非公開情報を公開させる効果を持つカードである。

例外中の例外ではあるが逆に公開情報を一時的に非公開情報にしてしまうカードも存在する。

《クイズ》
通常魔法
発動中、相手は墓地のカードを確認する事ができない。
相手プレイヤーは「クイズ」発動プレイヤーの
墓地の一番下にあるモンスター名を当てる。
当てた場合、そのカードをゲームから除外する。
ハズレの場合、そのカードは持ち主のフィールド上に特殊召喚される。

知る人ぞ知る裁定が揺れまくったカードである。
このカードの1行目のテキスト「発動中、相手は墓地のカードを確認する事ができない。」によりクイズの発動から効果処理が終了するまで公開情報である墓地のカードが一番上のカード以外非公開情報となる。
D.D.クロウなどのカードで相手の墓地のカードに触るカードを発動する場合はそのカードの名前を宣言しなければならないという特殊な裁定が出ている。
このカードの特殊性故に例外中の例外ともいえる措置だろう。
一時期最初の一行目がカードの効果が処理されるまでに適用されず、相手は効果処理に入るまでに墓地を確認することによって必ず正解を出せるクイズでもなんでもない状況になってしまっている時もあったが。

これで公開情報と非公開情報の解説は以上である。
勘の良い方はここまで見て何をしようとしているのかがわかったかもしれない。


【気づきそうで誰もが気づかなかった極悪コンボ】

コンボの手順は簡単で天変地異を発動しその後千里眼を発動してスタンバイフェイズにライフポイントを100払い効果を適用する。これだけである。
どういうことかと言うとまず天変地異の効果によりデッキトップを公開情報とする。
その後千里眼の効果を発動し効果を適用する。注目してほしいのは千里眼のこの一文。
相手はそのカードを確認できない。
この一文は普段はデッキの一番上のカードは非公開情報なので「この効果で相手のデッキの一番上を見られるのは自分だけだよ」という意味以外は意味を成さないものだが、天変地異の適用下では意味合いが変わってしまう。
公開情報なのに非公開情報と同じ扱いになるというまるで意味がわからない状況が出来上がる。
非公開情報は原則的に見たら反則行為となるのでデッキを見ただけで反則負けになってしまう。
しかもフィールドのデッキを置く位置は決められているためデッキを見ることなくフィールドを見るという事は不可能に近い。
相手は次のドローフェイズまでまともなデュエルの進行が不可能になってしまいフィールドに干渉していないのにも関わらず凶悪なロックが成立する。

悪魔的な発想で発見されたルールの盲点を突いたこのコンボはあっという間に広がり【天変千里眼】というジャッジキルによるワンキルデッキが開発し猛威を奮う事になった。
ルールの盲点を突いたこのデッキはコンボが完成したら最後フィールドを見てジャッジキルされるか、フィールドを見ない場合はまともにプレイできずに相手に嬲り殺しにされるかの2択になってしまう。
幸いなことに両方とも永続魔法なので発動時にサイクロンなどで打ち消すことで対策が可能だったり、効果が適用される自分のスタンバイフェイズまで守りぬかないといけなかったり、両方ともサーチが困難な永続魔法だったため安定性は低く環境を制圧する程には至らなかった。
しかし2枚揃っただけで唐突にゲームが終わったも同然の状態にされてしまう極悪コンボデッキ【天変千里眼】は地雷デッキとして恐れられた。
そのため次の制限改訂では天変地異又は千里眼の禁止化は免れないだろうと予想された。

この様に無名で見向きもされない千里眼が一気に多くの決闘者に注目され忌み嫌われる存在となり、単体ではイマイチなカードもコンボで極悪化するという事を決闘者はまた痛感することとなった。



追記・修正は【天変千里眼】コンボでジャッジキルされた方にお願いします。































   *   *
 *   + うそです
  n ∧_∧ n
+ (ヨ(*´∀`)E)
  Y   Y  *


【実際どうだったのかと言うと】

実際このコンボが発見され注目されたのまでは事実ではあるが当然こんなもの通る訳がなく調整中を経て、

Q:確認するカードに関し「相手はそのカードを確認できない」とありますが、
《天変地異》適用中にこのカードの効果を発動した場合どのように処理しますか?
A:《天変地異》の効果が適用されているのであれば、
結果的にデッキの一番上のカードが相手にも見えている状態で効果処理を行います。
したがって、相手はデッキの一番上のカード見る、
また、二番目のカードも見える状態で処理を行う事になります。(13/08/30)

見事に裁定により恐怖のコントロールデッキ【天変千里眼】は消滅した。当たり前と言えば当たり前である。
大真面目に通ると思った決闘者は少なかったと思われるが、遊戯王OCGはトンデモ裁定が飛び出すことがよくあるため「割と屁理屈が通る遊戯王ならできそう」と思ってしまう所があり話題になったのだろう。
少しの間だけ調整中になったのも「実はできるのでは?」と思わせてしまう要因になったのだろう。
実際は出来なかったとはいえ無名だった千里眼が誕生から最も輝いていた時はこの瞬間だったのは間違いないかもしれない。


【余談】

天変地異は特殊な処理故に一部のデッキをめくって効果処理をする強欲で謙虚な壷などはめくる処理を省略して効果を処理する。
この時に場合によってはデッキの上から必要以上にカードが見えてしまう場合があるがこれはお互いに確認できる。
めくる処理は省略されるがめくった扱いにはなるため森羅などは効果を発動できる。

この手の「滅茶苦茶すぎるが実はできるのでは?」と思わせられる発想からできたジョークデッキには【爆導索デッキデス】が存在する。
詳細は爆導索の項目参照。

このカードはアニメには登場していない。
GXでエドがプロ活動で契約している会社が「千里眼グループ」という名前。
万丈目グループのライバルと言う設定だったので「万」に「千」を引っかけたものと思われるのでこのカードは関係ない可能性が高い。
ちなみにDragoon D-ENDはエドがこの会社と共同で開発したカードである。


追記・修正はこの騒動で千里眼を買った方にお願いします。

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最終更新:2024年04月14日 23:06