ジュラシック・ワールド/炎の王国

登録日:2018/08/02 (木) 22:49:04
更新日:2023/02/23 Thu 14:36:51
所要時間:約 11 分で読めます




生命は、新たな道を見つける




概要


『ジュラシック・ワールド/炎の王国(Jurrasic World:The Fallen Kingdom)』とは、2018年に公開された米映画。
1993年に公開された『ジュラシック・パーク』のシリーズ第5弾にして、2015年の『ジュラシック・ワールド』のシリーズ第2弾である。
前作に引き続き、レジェンダリー・ピクチャーズ製作。

監督は『永遠のこどもたち』『インポッシブル』『怪物はささやく』のフアン・アントニオ・バヨナが抜擢され、前作の監督コリン・トレボロウは脚本に回った。
ホラー演出を得意とするバヨナ監督の個性がいかんなく発揮されており、恐竜に追い詰められる恐怖はシリーズで群を抜いた出来となっている。

前作のテーマパークを舞台とした娯楽大作とは打って変わり、火山で崩壊する島、人間に虐げられる恐竜、遺伝子を弄んだ結果として生み出す最悪の生物等、問題提起、暗い要素が全面的に押し出されている。
これらは、今作ラストで打ち出される新たな世界観、そして次回作第3作における問題点の布石となっている。

ファンの間で賛否両論を巻き起こした今作は、さらに進化した第3作目へと駒を進めて行くことが決定した。





物語


コスタリカ沖の孤島イスラ・ヌブラルにオープンした遺伝子操作によって現代に蘇った恐竜が生息する巨大テーマパーク「ジュラシック・ワールド」。
連日大勢の観光客で大盛況だった夢の王国は、一つの禁忌で呆気なく崩壊した。
遺伝子の合成の結果生まれた合成獣(キメラ)、インドミナス・レックスの暴走によってパークは崩壊。今や島は無人と化し、恐竜たちが我が物顔で跋扈する恐竜の王国となった。

しかし、それから3年後、イスラ・ヌブラルの活火山が活発化し、恐竜たちにも絶滅の危機が迫りつつあった。
パークの元経営者クレアは、先の事件で改心し、恐竜の保護活動に全力を注いでいた。
だが、米国議会の結論は事態の静観。失望するクレアの前に現れたのは、大富豪のロックウッドとその部下のミルズだった。
実はロックウッドはかつてジョン・ハモンドと共にジュラシック・パークを開発した仲で、ハモンドの遺志を受け継ぐためにもと、恐竜を保護するための島を用意したという。
渡りに船とばかりにロックウッドの提案を承諾するクレア。そしてミルズは、保護する恐竜の中でもラプトルの「ブルー」が特に必要だと言う。

そこで、クレアは元調教師のオーウェンに協力を要請。当初は嫌がったオーウェンも、ブルーの身を案じて作戦に参加することとなる。
大掛かりな捕獲部隊と共に島へとやって来たオーウェンたちは、手始めにブルーの保護を行おうとする。
だが部隊は強引にブルーを捕獲した挙句重傷を負わせてしまい、噴火し始めた島にオーウェンやクレアを置き去りにしてしまう。

命からがら助かったオーウェンたちは今回の作戦の真意を知り愕然とする。
実はミルズはロックウッドの提案通りに恐竜を保護するつもりなど毛頭なく、恐竜の養殖場を運営するための資金を得るべく、生きている恐竜を競売にかけるために生け捕りにしようとしていたのだ。
ミルズの野望を止めるために恐竜の輸送船に乗り込むオーウェン一同。

一方、ロックウッドの孫娘メイジーは、自宅の地下で怪しげな研究を行うミルズと、世にも恐ろしい恐竜を目撃してしまう…。

自然の理を弄んだ人類の愚業の果てに、彼らも思いもよらぬ結果が待ち受けていた。




登場人物


●オーウェン・グレイディ
演:クリス・プラット/吹き替え:玉木宏
元・ジュラシック・ワールドのラプトル調教師。
ラプトル四姉妹を赤ん坊の頃から手なずけ絆を深め合った敏腕調教師である。
前作で元カノ、クレアとヨリを戻したと思われていたが結局仲が拗れて破局。と思いきやまたも腐れ縁で作戦を共にすることとなる。
3年ぶりにラプトルの生き残りブルーと対面するが目の前で捕獲され傷つけられてしまい、彼女の命を救うために奔走する。


●クレア・ディアリング
演:ブライス・ダラス・ハワード/吹き替え:木村佳乃
元・ジュラシック・ワールドの経営者。
かつては金儲け主義の嫌味な女性だったが、前作の事件を経て恐竜の命を大切に考えるようになり、恐竜の保護活動家として尽力する。
前作でオーウェンとヨリを戻したと思われたが互いの意地の張り合いが原因で仲が拗れてしまっていた。だがやはり彼のことが忘れられない。
資金が集まらず困っていたところでロックウッドから提案を受けそれに飛びつくが、それらは全てミルズの罠で、今度は詐欺に遭ってしまった。
前作のハイヒールダッシュに加え、今回では恐竜ロデオを披露。


●フランクリン・ウェブ
演:ジャスティス・スミス/吹き替え:満島真之介
クレアの部下の一人。情報解析のエキスパート。
パソコンが手放せない根っからのインドア派で、島に行くことには反対していた。
島についてからは、恐竜に追いかけられ、溶岩から逃げ惑い、ブルーの治療にも付き合わされ、と立て続けに散々な目に遭う。
ジアに気があるが彼女からはそっけない態度を取られる。


●ジア・ロドリゲス
演:ダニエラ・ピネダ/吹き替え:石川由依
クレアの部下の一人。動物医学を専攻する獣医。
かなり肝が据わった女性で、恐竜を間近で見ることにもノリノリで参加。
ブルーが負傷した際は彼女の治療を条件に、捕獲部隊から軟禁を受ける。


●ベンジャミン・ロックウッド
演:ジェームズ・クロムウェル/吹き替え:中田譲治
病床に伏せている大富豪。
ジュラシック・パークの創設者ジョン・ハモンドとはパーク開発計画と共に携わっていた同志だったが、パークに対する互いの思想の違いから意見を違え、決別してしまっていた。
ハモンド亡き今、恐竜が絶滅に瀕した状況を見て、かつての罪滅ぼしのため、恐竜が生息できる新しい島を用意し、クレアの援助を申し出る。
孫娘に絶大な愛情を注ぎ、資金担当としてミルズを信頼しているが、そこには大きな落とし穴があった…。


●メイジー・ロックウッド
演:イザベラ・サーモン/吹き替え:住田萌乃
ロックウッド卿の孫娘。
おてんば真っ盛りの年頃で、よく屋敷を探検している。
両親を幼い頃に事故で亡くしており、二人の顔も知らなかったが、祖父に愛情たっぷりに大事に育てられてきた。
ある日偶然ミルズの計画と地下の研究施設を目撃してしまい、隠蔽のために彼から部屋に閉じ込められてしまう。
命からがら逃げだした先で、彼女は祖父が隠していた衝撃の真実を知る…。


●イーライ・ミルズ
演:レイフ・スポール/吹き替え:内田夕夜
ロックウッド財団の資金担当。
一見、主人に忠実な腹心だがその本性は金の亡者であり、金儲けのためなら手段を選ばない。
恐竜を利用した軍事養殖施設を運営するため、その資金調達として今生きている恐竜を裏社会の大富豪向けに競売にかける計画を秘密裏に進める。
さらには、更なる金儲けのために軍事兵器として最悪の怪物「インドラプトル」を創造してしまう。
なおその末路は…。


●アイリス
演:ジェラルディン・チャップリン/吹き替え:池田昌子
ロックウッド卿の秘書。
メイジーのお守役でもあり、彼女のお転婆加減に手を焼いている。


●ケン・ウィートリー
演:テッド・レヴィン/吹き替え:黒田崇矢
ミルズの私設部隊のリーダー。
一見飄々とした好々爺だが、本性は弱体化させた大型動物を甚振るのが趣味なゲスジジイ。
恐竜の牙を抜いて抵抗力を失わせるのが趣向の様子。
そんな感じでインドラプトルにも調子こいていたが、まあ結果は想像の通りである。


●エヴァーソル
演:トビー・ジョーンズ/吹き替え:高木渉
ミルズと事業提携を結ぶ裏社会の商人。
調子が悪い日ですら一日で400万ドルを売り上げられると豪語するほどの腕前を持ち、人脈も幅広い。
恐竜オークションを運営し、その利益を預かるべくミルズに発破をかけている。
インドラプトルの恐ろしさに圧倒され、客を見捨てててオークション会場から逃げようとしたが、結果はお察しください。


●ヘンリー・ウー
演:B・D・ウォン/吹き替え:近藤浩徳
かつてジュラシック・ワールドで働いていた遺伝子学の博士。
相変わらず新種の恐竜を生み出す美意識に溺れており、完全にマッドサイエンティストを地で行っている。
ミルズの援助を受けてインドラプトルを開発し、自身の最高傑作として自負しているが、金儲けの手段として売りに出そうとしているミルズを軽蔑している。(突っ込むべきところはそこじゃない)
より完璧な生命を作るべくラプトルの血液を欲していた。
試作品まで売ろうとしたミルズに見切りをつけ早々に研究資材をまとめて撤収を図るなど、数々のパニックを経験して来た故か引き際を見極めるのが妙に上手い。


●イアン・マルコム
演:ジェフ・ゴールドブラム/吹き替え:大塚芳忠
数学博士で、ジュラシック・パークのプレオープンで起きた事故の生存者の一人。
元々、カオス理論の観点から恐竜の現代の復活には反対していた。
イスラ・ヌブラルの今後の是非を巡った議会に立ち、「人類が犯した過ちとして、恐竜を運命に委ねさせるべき」と主張。
全ての結末を経て、議会にて新時代の到来を告げた。





登場恐竜

イスラ・ヌブラルでスピノサウルス、パキリノサウルス、コリトサウルスは絶滅。メトリアカントサウルスの運命については不明。


  • ヴェロキラプトル/ブルー
シリーズ皆勤賞、ラプトル四姉妹の長女でリーダー格のブルーに限れば2回目の登場で今作の主人公枠。
幼生時代から調教し続けるオーウェン曰く「勝ち気で生意気なわがままお姫様」。
3年ぶりにオーウェンと再会したも束の間、捕獲部隊に銃で撃たれて重傷を負い、彼女の血を狙うロックウッド邸でジアやオーウェンから懸命な治療を受ける。

ご存じ、「白亜の覇者」。イスラ・ヌブラルの王者。
皆勤賞で出番は少なめだが、カルノタウルスを不意打ちで瞬殺。ブルーに彼女の血を輸血するためにオーウェンとクレアがまさかのロデオドライブ芸を披露。
このシリーズの題名が「ジュラシック(ジュラ紀)」なのに、やっぱり美味しいところは持っていく。

シリーズ2回目の登場。
食欲のままに音もなく潜水艇を丸呑みにし、飛び去る獲物をも一口で食らいつく海の王者、というか完全な化け物個体
火山の噴火も海に生きるコイツにとっては何ら関係なく、最後のシーンは海洋恐怖症にとっては鳥肌もの。

  • ブラキオサウルス
3回目も島に到着した部隊を食事しながらお出迎えする雷竜。
火山の噴火で崩壊する島から逃げ出す際に、桟橋で立っていたのはかつて皆を出迎えたあの頃と同じ「彼女」だった…。

  • カルノタウルス
映画版は初登場。ディズニー映画『ダイナソー』でお馴染みの二本の角を持つ大型獣脚類最速の一種。
インドミナス・レックスの迷彩能力*1で原作『ロストワールド』*2やコミックス、ゲームでも暴れまわった。
シノケラトプスを打ち負かした直後、ダイナソー』への皮肉*3がごとく現れたT-レックスに瞬殺*4。終盤もロックウッド邸で再びT-レックスにど突かれる。ほとんど不意打ち食らった結果なので許して…。

  • シノケラトプス
初登場。頭部の巨大なひだと、顔に描かれた独創的な模様、鼻の上に大きな角を持つアジア最大の角竜*5
溶岩流が迫る中、麻酔を撃たれ動けないオーウェンの顔を舐めて目を覚まさせ、その後のカルノタウルスとの取っ組み合いでは大きく跳ね飛ばすなど善戦する。
ちなみに一部文献ではパキリノサウルスとなっていたが中国市場を意識して中国産の角竜に挿し替えられたのではという推測がある。

  • バリオニクス
T-レックスほどではないが、鋭い爪を持つ凶暴な大型獣脚類。
3作目のビリーの台詞に名前のみ登場し、4作目にもちょこっと登場したが、今作とは見た目が異なる。
制御室に残っていたクレアとフランクリンを溶岩の流れ込む中で襲おうとした際、溶岩が顔にぶっかかっても熱そうなだけで平気。宙吊りで移送される姿はかなりシュール。

  • アロサウルス
初登場の大型の肉食恐竜
噴石に激突したり、早速売られたりトラックに閉じ込められたりと不憫だが、後日談となる短編映画で遂にメインを勝ち取る。

  • アンキロサウルス
3回目の登場*6。骨の鎧で全身を武装した曲竜。
オークションで1番最初に落札された恐竜。
その際エヴァーソルから「生きた戦車」と評された。

皆勤賞。角を持つ大型の角竜。
新参者のシノケラトプスに差し置かれて目立たない。不憫。

4回目の登場。あっさり囚われの身となる獰猛な翼竜。
今作ではさほど脅威ではないが、ラストシーンは背筋が凍るかもしれない。

  • スディギモロク/スティギー
初登場。頭部に固い緻密骨のドームを持つ小型の堅頭竜。
いわゆる「石頭恐竜」の一種で、一説にはパキケファロサウルスの幼体。
つぶらな瞳に小柄な体格とその可愛らしい姿とは裏腹に、繰り出される頭突きは強烈。
終盤、オーウェンに唆されて壁や檻を頭突きでブチ破り、インドラプトルのオークション会場をコミカルにぶち壊した。


  • インドラプトル
初登場。ウー博士がモササウルスのラグーンから回収したインドミナス・レックスの骨に、ラプトルの遺伝子を加えて開発した新種恐竜。
実際のラプトルよりもはるかに巨体を持ち、ラプトル由来の高い知能で残忍かつ凶暴。時として死んだフリや回り道、さらには獲物を威嚇する「人間」に近い性質を持ち、笑うような素振りをみせることも。
特殊な銃と同期しており、それから出されるレーザーポイントと音に呼応して攻撃を仕掛けるなど、もはや生物というよりも兵器に近しい性質を持つ。
このレベルにありながらウー博士曰く「試作品」であり、将来的にはより強力なものを作り上げるつもりだったらしい。
また彼のセリフから、シリーズ唯一のオス*7であることが分かる。











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最終更新:2023年02月23日 14:36

*1 無論、実際のカルノタウルスにそのような能力はない

*2 二作目のティラノサウルス・バックやインドミナス・レックスのような暴れっぷりであった。

*3 アロサウルスだと炎上は避けられず、バリオニクスだとスピノサウルスと被る。他の獣脚類とティラノサウルスを戦わせるわけにもいかなかったのではないかという推測もある

*4 大型獣脚類最速候補であるカルノタウルスがティラノサウルスに不覚を取る条件など限られている。

*5 発見は2010年と、シリーズに登場した恐竜では最近である。

*6 初登場はⅢだが一瞬の登場でほぼカメオ出演である

*7 『ロストワールド/ジュラシック・パーク』に登場したティラノサウルス・バックもオスだが、明確なオスとして生み出されたのはインドラプトルが初