京急大師線

登録日:2018/05/23 (水曜日) 15:30:00
更新日:2023/05/03 Wed 17:02:41
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京急大師線とは、京急川崎駅から小島新田駅を結ぶ京浜急行電鉄の鉄道路線である。

川崎から多摩川沿いに東へ向かう路線で、京浜急行の支線では唯一本線と直通運転を行っていない*1
沿線に初詣などでもよく名前の出る川崎大師へのアクセスの他、浮島の工業地帯への通勤路線としての顔も持っている。
現在も、一部区間の地下化や工場跡地を利用したマンション建設など、都市再整備真っ只中である。


京急発祥の路線と歴史を変える出来事

なんとなく路線だけ見ると一見地味なようだが、実は京浜急行発祥の路線という歴史的には重要な路線である。
当初は川崎大師に参詣するための路線として1899年に当時の大師電気鉄道*2が川崎*3~大師間が開業したが、この時に日本で初めて国際標準軌の線路を採用している。
また、電車での運行も関東地方では初めてという。

加えて、この開通により、川崎大師は参詣客で毎年賑わうことになった……だけではなく、もっと大きな影響を与えた。
それまでの初詣は「地元の神社仏閣でするもの」だったところ、「各地の有名な社寺へ電車に乗って初詣をする」というものに転換された。そう、日本人の習慣さえ大きく変える源流ともなったのだ。
このことが全国各地の鉄道建設計画にも大きな影響を与えている。


鉄道路線としての歴史

標準軌の路線として1899年に開業した路線だが、1904年に大森停車場駅から川崎駅まで開通していた本線と共に1372mmの馬車軌間に改軌している。
これは当時、市街地で多く採用されていた馬車軌間路線への直通の計画のためだったらしい。

その後、標準軌を採用していた湘南電気鉄道の黄金町~浦賀間と本線を直通させるため、本線と共に再び標準軌へ改軌している。
なお、戦時中の1945年に現在の小島新田駅よりも先の桜本駅まで開業し、一旦は全通となった。
戦後の1949年には国鉄の貨物輸送を行うため、鈴木町~桜本間が1067mmとの三線軌条化されることとなった。
同時期ではないものの、一路線で3種類の線路規格が採用されるという異例の路線となった。

1952年当時、川崎市電と直通運転を行っていた塩浜~桜本間が架線電圧の昇圧対象外となったため、同区間は川崎市へ譲渡。
さらに1964年、国鉄が川崎貨物駅建設のために小島新田~塩浜間を休止し、1970年に正式廃止となって現在の路線となった。
なお、この際に残っていた三線軌条区間も通常の標準軌に戻されている。


運行形態

普通列車のみで、全ての列車が京急川崎~小島新田駅通しの運転となる。
年末年始は川崎大師参拝客輸送のため、終夜運転が行われている。
また、川崎競馬場でのレース開催時や川崎大師大開帳の日には増発される。
ホーム有効長の関係で、車両は4両編成のみの運転。


駅一覧

○京急川崎(KK20)
本線乗り換え。起点駅で、JR川崎駅とは5分程の距離。
大師線ホームは行き止まり式で、ホームを出ると小島新田方面の線路と本線への連絡線が分岐する。
2番線と3番線は線路共用で、2番線側が降車専用となっている。
本線ホームのパタパタ式発車標が撤去される以前から、大師線ホームにはパタパタ式発車標は無かった。
代わりに乗り場と発車時刻だけの単機能なLED発車標ならあった。
本線とは異なり、「レントラー舞曲」が接近メロディーとして使われている。

○港町(KK21)
川崎競馬場最寄り駅で、レース開催時は混雑する。
現在は閉鎖されているが、かつてはレコード会社・日本コロムビアの川崎工場があったため、開業時の駅名は「コロムビア前」だった。
また、美空ひばりの楽曲「港町十三番地」が接近メロディーとして使用されている。

○鈴木町(KK22)
開業時の駅名は「味の素前」で、京急川崎寄りに狭軌の引込線があった。
2000年以降は工場跡地を利用した複合商業施設の建設が相次いでいる。

○川崎大師(KK23)
開業当初の終点駅。
名前の通り川崎大師(平間寺)最寄り駅で、正月は初詣参拝客で大混雑する。
また、京急発祥の地の記念碑も設置されている。
2014年5月1日~2015年4月30日の間は川崎大師のゆかりのある作曲家が手掛けた美空ひばりの楽曲「柔」が接近メロディーとして使用されていた。

○東門前(KK24)
川崎大師駅より遠いが、こちらからも平間寺は利用可能。
初詣の混雑時はこちらの方が利用しやすいかも。

○大師橋(KK25)
かつては留置線があり、1980年頃までは臨時の折り返し列車が設定されたことがあった。
地下化に係る工事中で、2019年3月にホームが地下化、また、2020年3月に「産業道路」駅から改称された。

○小島新田(KK26)
終点駅。
周辺の工場への送迎バスが多いせいか、意外にも大師線の駅で一番利用客が多い駅。
塩浜駅休止後から長らく1面1線の駅となっていたが、2010年にホームを移設して1面2線となった*4


追記・修正は、川崎大師へ初詣に行ってからお願いします。


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最終更新:2023年05月03日 17:02

*1 京急川崎駅に連絡線があり、車両点検の回送時などに使用されている。

*2 開業後すぐに京浜電気鉄道へ改名。

*3 当時の六郷橋駅。現在の京急川崎~港町間にあった。

*4 塩浜駅休止前は2面2線の相対式ホームだった。