京急空港線

登録日:2018/05/14 (月曜日) 23:28:00
更新日:2024/03/11 Mon 20:54:01
所要時間:約 7 分で読めます




京急空港線とは、京急蒲田駅から羽田空港第1・第2ターミナル駅を結ぶ京浜急行電鉄の鉄道路線である。



概要

京急本線の京急蒲田駅から分岐する支線で、羽田空港へのアクセス路線として重要な役割を持っている。

かつては3両編成の電車が線内を往復するだけというローカル線であったが、空港ターミナル直下へ本格的に乗り入れることが決まって以降、大規模な輸送改善と変貌を遂げることとなった。

現在のダイヤは本線から直通する列車がほとんどを占めており、空港線内のみ運転の列車は朝夕時間帯の数本しかない。
都心へのアクセスとしては、東京モノレール羽田空港線と競合している。

下り列車は全て羽田空港第1・第2ターミナル駅まで運行されるが、駅名が長すぎるので全て羽田空港行きで案内されている。


列車種別

  • エアポート快特
その名の通り、羽田空港へのアクセス専用種別で無料種別では最速の種別。
列車での表示は、エアポート部分が飛行機✈︎のマークになっている。
品川~羽田空港第3ターミナルは無停車で運転される。
日中時間帯は京成線内「アクセス特急」として運転されており、羽田空港~成田空港間での運転となるが、平日夜間帯には京成本線経由もある。
平日ダイヤの芝山千代田行終電が羽田始発だった時代は、京急線内をこの種別で走っていたこともある。

この種別が設定された際、京急蒲田駅を通過することに対して高架工事の費用を一部負担した大田区との一悶着があった。
そのためか、設定当初は1時間当たり3往復運転されていたが、2年後には40分間隔(1.5往復/h)に減らすことで一応の問題は解決した模様*1

  • 快特
優等列車の最主力種別で、終日にわたって運転されている。
停車駅はエアポート快特に京急蒲田を加えただけで、所要時間差はほとんどない。
ほとんどの列車が品川方面へ直通し、更にそのほとんどが都営地下鉄浅草線や京成線に直通する。
早朝・深夜にわずかながら横浜方面へ直通する列車もある。
日中は1時間当たり1~2本の運転。

  • 特急
かつては日中にも多く運転されていたが、エアポート急行が出来た2010年からは朝の羽田空港行きと深夜の横浜方面行きと三崎口始発羽田空港行きがわずかに残るのみとなっていた。
…と思ったら2022年秋の改正でエアポート急行が減便され、糀谷~天空橋(快特通過駅)の乗車機会が減ることへの穴埋めか日中の北総線直通の快特が特急になり、品川方面に限り日中毎時3本見られるようになった。
空港線内は各駅に停車する。

  • 急行
2010年から2023年まではエアポート急行を名乗っていた。
8両または6両編成での運転で、都営車もこの運用に入る。
特急同様、空港線内は各駅停車。日中に運転されない普通車の代替を担う。

  • 普通
各駅停車。放送でも「各駅停車」とは言わずに「普通」と案内する。
空港線内では朝夕ラッシュ時しか運転されない。
線内のみの運転の他、品川方面・横浜方面双方への直通列車もある。
車両は線内のみ運転の車両は8両編成、本線直通列車は6両編成または4両編成での運転となる。

臨時ダイヤ

かつて京急蒲田駅が地上駅だった時代、本線と並行する第一京浜に空港線の踏切があった。
通常期でも交通の妨げになっていたのだが、最大の問題は箱根駅伝であった。
1月2日の往路では比較的短い時間で全選手が通過するため、大きな問題にはならなかった。
しかし、1月3日の復路では通過する選手の時間が長くなってしまう(最大で約30分)ため、運行にも競技にも影響が出てしまう…*2
そのため、線内折り返し列車を多くして一部直通列車を京急川崎行きに変更したりして、踏切の閉まる時間を最小限にする臨時ダイヤが組まれていた。
2010年5月に京急蒲田駅本線上り線の高架化が完成した後、2011年と2012年は同時間帯に踏切を使用しない臨時ダイヤに変更。
2012年10月21日に同駅が完全高架化し、競技にも影響が出なくなったために臨時ダイヤも廃止された。

駅一覧

●…停車
|…通過

※特急、急行は線内各駅に停車するため省略。

駅番号 駅名

✈︎

京急本線(品川・横浜方面)
KK11 京急蒲田
KK12 糀谷
KK13 大鳥居
KK14 穴守稲荷
KK15 天空橋
KK16 羽田空港第3ターミナル
KK17 羽田空港第1・第2ターミナル

駅詳細

  • 京急蒲田(KK11)
本線乗り換え。起点駅。JRや東急の蒲田駅とは離れている。
高架工事完了により、2層式の要塞のような駅となった。
品川方面・横浜方面双方へ直通可能となっている関係で、当駅~糀谷間は単線並列でどちらの線路も上下線走行可能になっている。
なお、横浜方面直通列車は当駅でスイッチバックを行う。
この駅の接近メロディーには、ラッツ&スターの「夢で逢えたら」が使用されているが、これはメンバーの鈴木雅之・桑野信義が大田区出身のため。

  • 糀谷(KK12)
京急蒲田駅高架に合わせて、こちらも高架化されている。
現在は京急蒲田寄りに両渡り分岐器が設置されているが、工事中は一時的に大鳥居寄りに設置されていた。
その時期は1番線・2番線双方から羽田空港行きが発着していた*3

  • 大鳥居(KK13)
地上時代は駅近くの環八通りと産業道路を跨ぐ交差点に踏切があり、交通の障害となっていたため1997年から地下化されている。
セガの本社のかつての最寄り駅で、ゲームとのコラボも行われていたことも。
また、リラックマとのコラボでは「大キイロイ鳥居駅」となっていた。
とはいえ、まさか音ゲーとコラボするなんて誰が予想できたことか…。
今でもワタミ本社やつばさ総合高校の最寄なので、利用者は途中駅で一番多い。

  • 穴守稲荷(KK14)
空港線が「穴森線」という名前で開業した当初の終点駅*4。駅名の通り穴守稲荷神社の最寄り駅である他、2013年9月からは「ヤマトグループ 羽田クロノゲート前」という副駅名が付けられている。
この「羽田クロノゲート」とは同月に竣工したヤマト運輸の物流施設のこと。年中無休で操業する国内最大級の物流施設であり、羽田空港や首都高速道路出入口の至近という立地を生かして日本国内は無論海外との物流ネットワークの一翼を担う巨大ターミナルである。

  • 天空橋(KK15)
東京モノレール羽田空港線乗り換え。
ここから終点まで地下区間となる。
かつては「羽田駅」であったが、空港ターミナル移転後に開業した羽田空港駅(現国内線ターミナル駅)開業後、誤解を防ぐためにモノレールの駅と共に現駅名に改称された。
なお、開業当初の地上にあった駅は「羽田空港駅」を名乗っていたものの、空港とは程遠い不便な駅であった…。

  • 羽田空港第3ターミナル(KK16)
東京モノレール羽田空港線乗り換え。
京急全体で最も新しい駅であり、開業当初から2ドア・3ドア車対応のホームドアが設置されている*5
接近メロディーは公募によって決まったFoorinの「パプリカ」。
その前はダンス&ボーカルグループ「三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE」の「RAINBOW」(上り)と「R.Y.U.S.E.I.」(下り)だった。
また、2020年10月21日~同11月20日の間は「ハッピー・バースデー・トゥー・ユー」のアレンジ「ハッピーバースデー」、2015年10月21日~2020年10月20日の間はメンバーのFukase・Nakajinが大田区出身で、かつては拠点として活動していたなど大田区にゆかりのあるバンドSEKAI NO OWARIの「Dragon Night」、2015年10月21日よりも前はSMAPの「世界に一つだけの花」だった。
2020年3月14日の第2旅客ターミナルへの国際線発着開始に伴い国際線ターミナルが第3旅客ターミナルに改称するのに合わせて、当駅も駅名を変えることになった。

  • 羽田空港第1・第2ターミナル(KK17)
東京モノレール羽田空港線乗り換え。終点駅。
西側出口が第1旅客ターミナル、東側出口が第2旅客ターミナルに繋がっており、モノレールも各ターミナルで乗換駅(羽田空港第1ターミナル、羽田空港第2ターミナル)が異なる。
駅到着前に航空会社の発着ターミナル案内があるので、利用時にはよく聞いておくこと。
出口を間違えた場合、各ターミナルを結ぶ無料バスもあるので活用しよう。
品川駅と同じく、くるりの「赤い電車」が接近メロディーとして採用されている。
2020年3月13日までは羽田空港国内線ターミナル駅と名乗っていた。
関東の駅百選に認定。


追記・修正は空港から空へ旅立つ方がお願いします。


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最終更新:2024年03月11日 20:54

*1 減った分は京急蒲田に停車する快特の本数を増やすことで対応した。

*2 タイミング次第で選手は踏切が開くまで待機することになってしまい、待機した分のロスタイムへの時間調整が行われていた。待機中は踏切付近で動いてはいるものの、その後の走りに影響が出ることもあったとか。

*3 1番線は本線下り基準で品川方面発→羽田空港行きと羽田空港発→京急川崎方面行き、2番線は本線上り基準で羽田空港発→品川方面行きと京急川崎方面発→羽田空港行きという形で運転されていた。

*4 当初の名称は「穴森駅」。移転なども含め「羽田駅」や「稲荷橋駅」を名乗っていたこともあった。

*5 なお、2ドアの2100形が入線する際は真ん中のホームドアが開かないようになっている。