バス(自動車)

登録日:2018/05/02 (水) 16:09:02
更新日:2022/01/21 Fri 19:25:33
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お待たせいたしました。このバスは、アニヲタWiki前行でございます。

バスとは一度に大量の人を輸送するための自動車のことで、基本的に箱型の車体で多数の座席と広い立ち席スペースを持っている。
路線バスは乗客の流動が激しいので運転席以外の座席にシートベルトがない。高速道路を経由する高速バスや貸切観光バスにはシートベルトが付いている。
ナンバープレートの分類番号は「2」で、現行は200ナンバー、古い車両だと22ナンバー、動態保存クラスの車両だと2ナンバーになる。
ただし、いったん陸運登録の取消後に再登録を行なった場合、22ナンバーだった車両でも200ナンバーになる。
主に中古車として他の事業者に引き取られて行く車両や、同じ会社でも陸運局の管轄が違う営業所へ転属する車両がこの運命を辿る。
22ナンバーの車両は姿を消しつつあり、既に首都圏を中心とした大都市圏ではほぼ絶滅している。

乗車定員30人以上が大型バス、乗車定員11人以上29人以下がマイクロバスに分類され、乗用車サイズのハイエースでもコミューターモデルはマイクロバスの仲間である。

用途

  • 路線バス
決められたルートを、決められた時間に、決められた本数運行する。俗に一般道ばかり走るのを路線バスと呼ぶが、高速バスも路線バスの仲間で、観光地を決まったコースで巡る定期観光バスも路線バスの仲間。
中には普通の路線バスが高速道路を走る例もある。
車体には「乗合」・「一般」・「乗合(限定)」と書かれる。(書いてないことも多い)
一般道でよく見慣れているとは思うが運行中の路線バスはれっきとした 公共交通機関 なので
道交法上いくつか特例があるし路線バスへの妨害等は警察も厳しい目で見るので絶対やめよう。
まあ回送中の路線バスなら妨害しても大丈夫というわけではないけどな。

  • 高速バス
路線バスのうち高速道路を経由して離れた都市同士を結ぶ。決められたルートを、決められた時間に、決められた本数だけ運行するので路線バスの仲間。空港連絡バスも高速道路を経由する場合は高速バスの仲間。車体には「乗合」・「一般」と書かれ、ダッシュボードや運転席側の窓下などに「路線バス」と書かれたボードやステッカーを掲出する事がある。
ちなみに「路線バス」ボードやステッカーはETCが普及する以前、料金所の係員が大型料金を適用する高速バスと特大料金を適用する貸切バスをすぐ識別できるよう掲出していたものの名残らしい。

  • 空港連絡バス
リムジンバスとも言う。都市と空港を乗り換え無しで結ぶ。大体は高速道路を経由するので高速バスの仲間。飛行機との接続の関係上、空港行は特に定時運行に対してかなりシビア。

  • 観光バス
利用者の要望でコースを決め、その都度運行するもの。修学旅行や遠足、慰安旅行などが主な用途。ツアーバスと呼ばれるのはこれ。車体には「貸切」と書かれる。
団体の人数に合わせて複数台のバスを手配し、目的地までぞろぞろと連なって走る梯団走行がよく見られる。

  • 送迎バス
学校・病院・会社・ホテルなどが車を用意し、生徒・教職員・患者・社員・利用者などを主要駅と目的地の間で送迎する。
バス会社から運転手・車両を借りる場合と自前で車両と運転手を用意する場合がある。どちらの場合も利用者からは運賃を取らない。バス会社から運転手と車両を借りる場合は送迎バスの運行を依頼した会社・団体がバス会社へ運賃を支払う。
特に自前で車両と運転手を用意する場合、利用者から運行経費を収受するだけでも白バス行為として取り締まりの対象になる。
スクールバスも無料で利用できる場合は送迎バスの仲間。(運賃を支払うタイプのスクールバスは路線バスにあたる)
車体には「貸切」・「特定」と書かれる。

  • 自家用車
学校法人の所有する部活動バスなどが代表的。遠征の際、数十人の部員をまとめて輸送できるのが強み。
個人所有も可能であり、バスファンの誰もが一度は憧れる。バス会社で廃車になった旧車を購入するか、中古バス業者で売られているバスを買うことがもっぱら。

タイプ

  • 路線用
俗に言う路線バスというのがこれ。2つのドアを持ち、片方を入口、もう片方を出口として運用するか、片方は締切扱いにして1つのドアで乗り降りを行う。乗客の流動が頻繁に発生するので通路が広く取られ、乗車時間もそこまで長くないので座席の作りは簡素になっている。
かつてはツーステップバスが主流で、ドア付近にステップが2段あるのが当たり前だったが、近年は床面高さが低くなりステップが1段だけのワンステップバスやそもそもステップがないノンステップバスが主力。
路線バス用の新車は原則として全てワンステップバスかノンステップバスにすることが義務付けられているが、自家用車として導入する路線バスタイプの車両と険しい山道を走る路線用に関してはツーステップバスでも問題ない。

  • 高速路線用
高速道路を経由する高速バス用の車両。見た目こそ観光バスにそっくりだが、ある程度長い時間乗車することを考えてリクライニングが深く倒れるようになっていたり、4列シートでも座席の幅を広げたり、夜行用では3列シートにしたり、個室風になるカーテンを設置したりしている。そして夜行・昼行問わずトイレが設置されていることが多い。*1
車内で運賃を収受する場合もあるので、乗車券の発券機能を備えた運賃箱や乗車停留所を証明する整理券発行機を設置している場合がある。
空港連絡用は床下のトランクの容量が大きく取られているのと、座席が質素になっているのが高速用との違い。

  • 観光貸切用
遠足・修学旅行・慰安旅行などで使用する。見た目こそ高速路線用にそっくりだが、高速バスほど一度に長い時間乗っているわけではない(途中で買い物、観光地見学などで降りることが多い)ため、座席が高速バスに比べてやや質素。リクライニングの角度が浅めで座席幅も狭く、トイレもない場合が多い。その代わりエンターテイメント関係が充実しており、DVD・Blue-rayの上映機能やカラオケ、ビンゴ機能などのエンターテイメント設備を装備していることが多い。最後部の座席3列程度を内側向きにできるサロンタイプの車両や、車椅子用リフトを備えた車両もある。古い車両だと照明がシャンデリア風になっていたり、後部に雀卓が設置されていたりする。
なお旅行会社から最も指名されるのは4列シート・補助席付で55~60人乗りの大人数が乗車できるタイプで、多くのバス会社はこのタイプを最も取り揃えている。

  • 送迎貸切用
学校・病院・会社・ホテルなどの利用者を送り迎えするための車両。法律上は観光バスと同じ貸切車だが、車内設備が路線バスとほとんど同じ。運賃を乗客から取らないので運賃箱は装備していない。

  • 幼稚園バス
幼稚園への園児の通園に用いられる車両。非常口が必ず付いている。車種としてはマイクロバスが多い。

  • 劇用車
バラエティ番組、映画、ドラマ、CMの撮影などに使われる。ガキ使の笑ってはいけないシリーズで出演者が最初に乗るバスも劇用車。破壊を伴わない場合はバス会社に頼むことも出来るが、破壊を伴う場合はだいたい劇用車を使用する。西部警察の下津井電鉄の観光バスは例外。

  • 人員輸送車
警察官・自衛官・消防官を運ぶ車両。警察用人員輸送車はよく街中に止まっていたりする。

  • 霊柩車
遺体と遺族を葬儀場から火葬場、墓地へと運ぶ。マイクロバス改造車だと後ろから棺を入れ、観光バス改造車だと床下のトランクを棺桶のスペースとしている。法律上は「遺体を運搬するための貨物車」扱いである。

  • 教習車
自動車学校、運転免許試験場で使われる車両とバス会社で使われる車両の2種類。大型二種取得用の教習車は教官用の補助ブレーキやスピードメーターなどが取り付けられ、人は乗せないけど客席も備わっている。
バス会社用の教習車は新人運転手の路線教習や安全運転教習、エコドライブ教習などに用いられる。

  • その他の用途
アドトラックのように車体全体に広告を設置し走りながら宣伝を担う移動広告車、競走馬などの馬を運ぶ馬運車、移動検診車、キャンピングカーもバスが使われる事がある。

座席

  • 固定シート
リクライニングしない座席。進行方向に対して前向きに座る。背もたれが低く、幅も狭い。近距離を走る路線バスや送迎バス、下級グレードのマイクロバスに多い。

  • ハイバックシート
固定シート同様リクライニングはしないが、背もたれが高く取られている。深夜急行バスや送迎バスに多い。

  • リクライニングシート
リクライニングする座席。観光バスや高速バスに多いが、ごく一部路線バスにも存在する。

  • ロングシート
電車の座席のように進行方向に対して垂直に座る座席。収容力は大きい。

  • ボックスシート
4人向かい合わせに座る座席。古いノンステップバスに多い。後ろ向きの席は高確率で酔う。

動力

大型バスの動力は基本的に軽油で動くディーゼルエンジンである。ディーゼルエンジンは低回転で高トルクを生み出せるため、大型車の標準である。更に税金の関係で燃料費もガソリンより安い。税金関係をクリアできれば天ぷら油や菜種油も使用できる。
最近は環境への負荷と燃料費の低減効果を狙ってディーゼルエンジンと電気で動くハイブリッド車も導入されている。

少数派ではあるものの、圧縮天然ガス(CNG)を燃料とする車両やバッテリーに蓄えた電気で動く電気バス、水素電池から発生する電力で動く燃料電池バスもある。この中でもCNG車は車両価格の高さ、ボンベを一定年数経ったら交換しないといけないこと、パワーが出ないこと、営業所内に充填設備を作るか、営業所最寄りのガスステーションまでガスを入れに行かないといけない不便さのために民間バス事業者での導入例は少なく、導入したバス事業者でもボンベが寿命を迎える前に退役していくようになったため、数がどんどん減っている。

変わった例としてはガスタービンエンジンで発電機を稼働させる「タービンエレクトリック方式」もある。日本だと「丸の内シャトル」なんかがこのタイプの車を採用している。
雑食性のガスタービンエンジンを使用するためディーゼル車に比べて燃料の選択肢が広くなるのがポイント(天ぷらの廃油を燃料の一部に使っている)。

マイクロバスはディーゼルエンジンとガソリンエンジンが用意されているが、ディーゼルエンジンのほうが多数派。

エンジンの位置は大型車は基本的にリアエンジンで、リアタイヤを駆動するリアドライブを組み合わせる。
いわゆるRRというやつである。あのポルシェ911とおんなじだぞー!すごいぞーかっこいいぞー

マイクロバスはトラックから発展していったため、キャブオーバーが多い。
かつての主流だったボンネットバスはFR。

製造

現在日本国内で大型バスを製造している会社は以下の2社のみとなっている。
  • 三菱ふそうバス製造
  • ジェイ・バス
三菱ふそうバス製造は名前から分かる通り三菱ふそうトラック・バスのバス製造会社で、富山県にある工場でマイクロバスから路線バス・観光バスまでを製造している。
ジェイ・バスは日野自動車といすゞ自動車が合弁で設立したバス製造会社で、栃木県の工場では主に路線バスを、石川県の工場では主に観光バスを製造している。これらの工場は元を正すと日野、いすゞのバス製造工場だった。
マイクロバスはトヨタと日産も、燃料電池バスはトヨタが製造しているので、バスの製造会社は事実上4社存在することとなるが、ディーゼルの大型バスを作れるのは前記2社のみなので、需要が集中すると納車まで1年近くかかることもあるという。
かつてはUDトラックス(日デ)もバスを製造していたが、2010年に撤退している。また車体専門のメーカーとして富士重工業(SUBARU)・西日本車体工業などがあったが、現在は撤退・会社解散となっており存在しない。

車体専門メーカー

三菱ふそう、日野、いすゞ、日デはいわゆるシャーシメーカーであり、日デ以外は自前の車体メーカーを持っている。しかしバス会社が「純正じゃ物足りない!」と思った時に、車体専門メーカーへ車体の製造を依頼することがある。この車体専門メーカーのことを「コーチビルダー」と呼び国内勢だと先述の富士重工業と西日本車体工業が特に有名。

車体を全シャーシメーカーで統一することで、ヘッド・テールライト、フォグランプ、ウィンカー、車幅灯、窓ガラス、バンパーなど修理部品を共用できたり、純正じゃ出来ない無茶もコーチビルダーでなら叶えてもらえたりした。
例えば
  • 最後列のリクライニング角が浅いのはちょっとね…→車体後部を出っ張らせてリクライニング角を深くしました
  • 乗り降りしやすいマイクロバスを!→ボトルトラックのシャーシを使ってマイクロバスを作りました
  • もっと小さいマイクロバスを!→パジェロをバスに改造しました
  • 運行路線に高さ制限の厳しい所があるんだけど…→全高を少しだけ低くした特注車を製造しました

現在、国内にはシャーシメーカーの系列外に存在するコーチビルダーというのは無いに等しい。それっぽいことをやっている会社もあると言えばあるのだが、あくまで完成品を改造して別物に仕立て上げる方が主軸となっており、本来のコーチビルダーではない。

反面、海外に目を向けるとコーチビルダーは結構残っている。都営バスに導入されたフルフラットノンステップバスや新潟で走っている連節バスのボディを製造したボルグレン、日本仕様の2階建てバスを製造したバンホール、ヨンケーレなどがある。ある程度系列化は進んでいるものの、独立を保っている所も多い。


傾向

バスを導入する事業者は基本的に1つのメーカーで揃える傾向が強い。これは整備に必要な予備部品の共通化による保守コストの低減と運転手が取り扱いやすくするため。飛行機は機種ごとに免許が違うが、バスは法律上大型二種免許さえあればどれを運転しても良い。しかしハンドルの取り回しとかスイッチの位置*2が違うことが多いので、ひとつのメーカーに統一されている方が運転手もあまり困らないし、何より整備にかかる費用も安くなる。
1つのメーカーに揃える場合
  • 近くに販社・整備工場がある
  • 自社のグループ内に販社がある
  • 近くに大きな自動車工場がある場合、その工場を持っている自動車会社に近いメーカーを選ぶ

などの理由で導入するメーカーを選定する。3番目の理由は神奈川中央交通や名鉄バスで見られるもので、神奈中の場合は三菱ふそうメインの事業者ではあるものの、エリア内の藤沢にいすゞ自動車の工場があるため藤沢をエリアに持つ営業所はいすゞ車が優先的に投入されている。名鉄バスの場合、神奈中同様三菱ふそうメインながら豊田市へ乗り入れる高速バスや豊田市内の路線を中心にトヨタ自動車グループの日野自動車製の車両が優先して投入されている。

民間バス事業者の中には4メーカーすべての新車を導入する所もある他、老朽化した生え抜きの車両の置き換えに中古車を購入したら結果として4メーカー揃ってしまったというのもある。

一方公営バスは新車を導入する時に入札を行い、一番安い落札価格を提示した販社系列の車両を入れる。導入する車両に対して細かな注文をつける所もあれば、環境基準など最低限の条件を満たしてさえ居ればそれでOKというのもある。
かつては整備の都合から営業所ごとに車種が統一されていた。

主な装備品

  • 整理券発行機
運賃が乗車距離・区間に応じて変化する路線に使われる車両には大抵ついている。番号の書かれた整理券を乗車する時に取り、降りる時には整理券と乗車区間に応じた運賃を運賃箱へ入れる。
昔はインクを使ったスタンプ式の印刷だったが、最近は感熱紙を用いるものが主流となりつつある。感熱紙の場合は整理券にバーコードを印字し、運賃箱へ投入するとバーコードを読み取り、支払う金額を自動で表示するケースも多い。
ICカードが使える路線では乗車時に整理券を取る代わりにICカードをタッチする。
バーコード付き整理券やICカードの場合、番号と一緒に停留所の識別コードも埋め込み、乗客の傾向(始発の駅前~終点の駅前を乗り通す客は意外と少ない、沿線に商業施設ができたらその最寄り停留所~住宅地で降りる客が増えた、一番混むのは日中は○○病院前だが朝夕は終点の駅前、など)の統計を取っている事も。

  • 運賃表示器/停留所表示器
整理券の番号に対応する運賃と、次に停まる停留所を表示する電光掲示板。均一運賃の場合は停留所表示のみに簡略化したタイプを用いる事も。
注意喚起、子供運賃や乗継運賃といった割引制度の説明、文字広告などを入れる場合もある。
以前はLED式が主流だったが近年は液晶式が増え、停留所の多言語表示や観光路線での写真付き表示、注意喚起へのイラスト追加、文字広告が画像広告にパワーアップする等の複雑な表示も可能になっている。

  • 運賃箱
運賃を投入する箱。両替してちょうどの金額を入れるタイプと、投入額に対して自動でお釣りが出るタイプの2種類があるが、基本的に前者が主流。もし両替式の路線で運賃よりも多い金額を入れてしまった時は運転手から過払い証書を貰い、最寄りの営業所や窓口で払い戻しを受けよう。大概は両替機と一体化している。
ICカードで支払う場合は乗車時と降車時に1回ずつタッチするか、乗車時か降車時のどちらか1回だけタッチする
ちなみに金庫の中身は車庫に帰って入金機にセットするまで取り出すことが出来ない。

  • 自動放送装置
次に止まる停留所、車内での諸注意、行き先などを放送する装置。かつては8トラックテープが使われていたが現在はICメモリーカードが主流。
アナウンサーや声優に原稿を読ませ、録音したものを編集してつなぎ合わせるか、読み上げソフトを使って音声を作る。後者の場合、どこかで聞き覚えのある声を耳にすることになる。

  • 降車ボタン
降りるバス停が近づいた時に押す。誰もが一度は押したくなる魔性のボタン。ちなみにヤッターマンのボヤッキーは降車ボタンを誰よりも早く押せるというしょうもなさすぎる特技を持っている。

  • ETC
高速バスや観光バスなんかには大抵ついてる。高速バスは料金区分が大型車、観光バスは料金区分が一番高い特大車となる。このため、貸切登録となっている車両を高速バスの増車に使う場合はETCを使わないことが多い。そのまた逆も然り。*3

  • 非常口
乗車定員30人以上の車両と幼稚園バスには設置が義務化されている。大抵は車両後部の運転席側に付いているが、ごく一部運転席側の車体中央部に設置されていることもある。非常口を開けるとけたたましくベルが鳴る。

  • 運行記録計
通称タコグラフ。エンジンの回転数・速度などを記録する。会社によってはタコグラフの記録を乗務員への教育指導に用いることもある。
現在はデジタル式が主流だが、速度計の後ろなどにチャート紙をセットするアナログ式もまだまだ多い。

  • アクセルインターロック
ドアが開いている時に誤ってアクセルを踏み込んでもバスが動き出さないようペダルをロックする装置。最近はこれに加えてドアが開いている間はクラッチを操作することやギアを入れることも出来ないようになっている。

  • トイレ
長距離を運行する高速・夜行バスには大体装備されている。一般的に4列シート車だと出入口側の最後部、3列シート車だと車両中央部の床下に設置されている。広さは電話ボックスよりも狭いが、たまに車両後部の幅をフルに使ったパウダールーム仕様というのもある。
排出されたモノはタンクへと貯蔵され、営業所の処理設備で抜き取る。抜き取りはホースを差し込んでバルブを開けるものと処理設備の上にバスを止めて排出口を開け、重力で落下させるものの2種類がある。
当然のことだが、営業所に処理設備がないとバスにトイレが設置されていても使用できない。

  • コンプレッサー
圧縮空気を作り出す。これが壊れてしまったり、消費量に対して供給量が少なくなったりするとバスはブレーキをかけたり緩めたりすることや、ドアの開閉、ギアチェンジが出来なくなる。空気圧は運転席のメーターで常に見えるようになっており、空気圧が低下すると停車するよう警告が発せられる。圧縮空気の消費量を激増させるブレーキペダルのバタ踏みはバスに限らず、エアブレーキを使う車両全部でNG。

  • フィンガーシフト
MT車用のシフトレバー。操作方法は普通のMTと一緒だが、変速をテコの原理を利用した人力ではなく、圧縮空気で行う。そのため変速時にはエアの音がする。

  • エアコン
今作られているバスは100%エアコン付き。走行用エンジンのパワーを一部拝借する直結式と、エアコン駆動用のエンジンを搭載するサブエンジン式の2種類がある。直結式は床下のスペースを広く取れるというメリットがあり、現在製造されているバスは全て直結式となっている。ちなみに乗用車のエアコンも直結式である。

  • 暖房
エアコンなんて無かった頃の車両から大体付いている。エンジンの冷却水が持つ熱を暖房に利用している。

  • プレヒーター
主に寒冷地域向けの車両に搭載されている。灯油や軽油を燃やしてエンジンの冷却水を温め、暖房用の温風を早く出せるようにする。北海道や東北などの寒冷地では寒すぎるために冷却水が冷めやすく、温風が出なくなってしまうため、プレヒーターが欠かせないらしい。

  • 無線機
営業所と運転手が通話する時に使う。近年はIP無線機が主流。迂回運行の指示は無線を通じてやり取りする。

  • GPS
タクシーパトカー同様、走行中のバスの位置を会社や営業所が把握するのに使われる。バスの位置情報を乗客向けに開放している場合は「バスロケーションシステム」と呼ばれる。

安全装備・運転支援システム

大型二種免許という取得難易度の高い免許を持ったプロが運転しているが、結局は同じ人間である以上事故を注意力だけでゼロにすることは難しい。
そこで高速バスや貸切バスを中心に以下の安全装備が取り付けられているほか、運転時の疲労軽減につながる支援システムが装着されている。
  • 車間距離警報装置
車両正面に設置されたレーダーなどで前方車両との距離を測定し、一定の距離に近づいたら警報を発して運転手に減速を促す装置。古いバスでも後付けしやすい。

  • 衝突被害軽減ブレーキ
前方車両と距離が接近しすぎた場合に自動でブレーキをかける。

  • 車線逸脱警報
車線をはみ出しそうになった時に警報を発して運転手に正規の車線へ戻るよう促す装置。

  • ドライバーモニター
運転手の顔をカメラで撮影して解析し、居眠りや脇見の兆候が見られたら警報を発する装置。

  • ドライバー異常時対応システム
運転手が突然気を失った場合などに乗客が専用のスイッチを操作することでクラクションとハザードランプが自動で作動して周囲の車両に注意を促し、車両を自動停止させる装置。2019年から路線バスにも標準装備されるようになった。

  • アダプティブクルーズコントロール・レーンキープアシスト
乗用車にも装備されることのある運転支援設備。車間距離を一定に保って速度も維持するため、燃費向上にも役立つ。

トランスミッション

バス用のトランスミッションは以下の3種類がある
  • マニュアルトランスミッション
  • トルクコンバータ式オートマチックトランスミッション
  • 機械式オートマチックトランスミッション
マニュアルトランスミッション(MT)は言わずもがな。クラッチペダルとシフトレバーを操作し、車速に応じてギアを上下させる。発進ギアは2速が基本で、1速は満員状態で上り坂で停車した状態から動き出す時に使用する。
昔のバスは100%これで、床板から長く伸びたシフトレバーを操りながら運転していた。このタイプはギアが入ったかどうかが直に分かるが、運転席からトランスミッションまでが遠く、ある程度力を入れないと変速できない事も珍しくなかった。ノンアシストタイプだと5才児の体力なら全身の力を使わないと変速できない
今はフィンガーシフトと言って、変速指示を電気信号で伝え、ギアは圧縮空気で変速させるのが主流。エアが抜けてエンジンが動かせなくなってしまうのでギア入れ駐車は御法度。
トルクコンバータ式オートマチックトランスミッションは乗用車にも搭載されているトランスミッションで、車速に応じて自動で変速していく。無段変速のCVTは無く、1速2速とギア段数が存在するステップATが主流。燃費はMTに比べて悪いが、運転手ごとの燃費のばらつきは小さい。昔はシフトショックが酷く、運転手からの評判も悪かったが、電子制御の技術進歩でシフトショックはかなり小さくなっている。
機械式オートマチックトランスミッションはマニュアルトランスミッションをベースにAT化したもので、クラッチ操作を自動化したついでに変速も自動化したもの。トルクコンバータ式と違って運転手が好きなギアを選んで走ることが出来る。いわゆるDCTはこの機械式に分類される。

機械式はメーカーごとに違う名前がついている。
  • 三菱ふそう:MMAT→INOMAT→SHIFT PILOT
  • 日野:EEドライブ→Pro Shift
  • いすゞ:NAVi5→セミオートマチックトランスミッション
  • 日デ:E-MATIC

ボディ構造

バスのボディは現在はスケルトンが主流である。スケルトンと言っても車体がスケスケという意味ではなく、ジャングルジムのように柱や梁が強度を負担し、外板は強度を負担しない構造のこと。
大規模な生産設備を必要とせず、強度も十分で軽いというメリットはあるが、ロボットによる組み立てが難しい。

かつてはモノコック構造が主流だった。こちらは現代の乗用車でも主流の構造で、鶏の卵のように全体で力を負担する。
強度は十分なのだが、デザイン的な問題などを理由にスケルトン構造に取って代わられた。

変わり種にバケルトンというものもある。これはモノコック構造の車両の外見だけをスケルトンっぽく仕上げた車両のこと。フェイスリフトってやつである。

車両のサイズ

バスは法律上は大型バスとマイクロバスに分けられるが、大型バスは更に細かく分類がされる。
  • 特大車
全長が12mオーバー、幅が2.5mをオーバーする車両。当然事業者が購入してもそのまま走らせることは出来ない(車検を通らない)ので、事前に走行試験や綿密な調査を行い、安全に走らせられることを証明してからようやく走らせることが出来る。
連節バスが誰でも気軽に乗れる車両として各地で運行されている他、空港でターミナルビルと飛行機の間を走るランプバスの中にも幅を思いっきり拡大した特大車がある。ランプバスの場合は公道を走らないので運行に際しての許可は特に必要なく、車検を受ける義務もない。

  • 大型車
全長10m~12m、幅2.5mまでの車両。どのメーカーもメイン車種として力を入れており、輸送力を必要とする路線用、高速バス用、観光貸切、送迎用などに広く用いられる。観光貸切用の中には幅を大型並に維持したまま長さを9mに縮めたものがある。

  • 中型車
全長8~9m、幅2.3m、定員30人以上の車両。運転免許制度における中型車ではなく、あくまでも大型バスの中の一分類。狭い道路を走る路線や乗客数があまり多くない路線、中規模団体の貸切用などに使われる。

  • 小型車
全長7m、幅2m、定員30人以上の車両。中型車でも通過が難しいぐらい狭い道路や乗客数が非常に少ない路線、小規模団体の貸切用などに使われる。

ここまでは現在も各メーカーのラインナップに含まれているものである。以下はメーカーラインナップから消えてしまったもの。

  • 大型短尺車・9m大型車・デブナロ(路線向け)
大型車のところで触れた幅2.5m、全長9mクラスの車両。エンジンは中型車用の物を搭載する事が多い。
道幅はある程度広いけどお客があまり多くない路線、大型にするほどの需要はないけど中型じゃちょっと足りない路線なんかでよく使われた。
ちなみに大型短尺車と呼ぶと、車長が短い仕様の大型車(1つの車種に3種類程度のバリエーションがあり、10m仕様:短尺、11m仕様:中尺/標準尺など、12m仕様:長尺と呼び分ける事がある)と紛らわしい事もあるので、9m大型車と呼ぶのがオススメ。もっとも、そんな会話をするのはバスマニアぐらいだろうが。

  • 中型長尺車・中型ロング
中型車の全長を大型並に延長した車両。元々会社名に鉄道が含まれているのに鉄道事業がおまけ扱いの西日本鉄道が北九州エリアの路面電車を廃止した後、電車代替バス用に大量に新車が必要になった時、安価にワンステップバスを導入しようとメーカーに打診した結果生まれた。これが安くバリアフリー対応車を導入できると全国レベルで大ヒットした。

  • 2階建て車
いわゆるダブルデッカー。高速バスに於いて3列シートにしてもある程度定員を確保できる、逆に4列ギチギチ詰め込み仕様にして運賃を安くしつつも乗客一人あたりの収益率をアップさせるなどの目的で広く導入された。

  • トレーラーバス
貨物トレーラーのように牽引車(トラクタ)が客車を引っ張る構造の車両。運転席と客室が完全に分離され、エンジンも客室から離れていることから静粛性に優れるものの、車掌の乗務が必要な上、客室で異常事態が起きても運転手がすぐに気付けないというデメリットがある。
実は西東京バスが今も運行している。

寿命・耐用年数

一般的に都市部では10年程度、地方では20年程度は平気で使用されている。これだけ差が出るのは都市部の路線では安定して収益が出るのと、都市部ではディーゼルエンジンの排気ガスに対する規制が厳しいから。古い車両を規制に適合するよう手を加えながら維持するよりも新車に取っ替えたほうが安いのである。
一方地方では路線バスは赤字なことが多く、新車への置き換えがなかなか進まない事から車両の寿命は伸びる傾向にある。時には都市部の事業者で廃車になった程度のいい車両を購入してきて古い車両の置き換えに使う。特に東京都や横浜市、神奈川中央交通など10年程度で車両を廃車にする事業者の中古車は全国でよく見かける。細かな形態差から前の事業者を特定するのが得意なバスファンもいる。
  • シートモケットにイチョウやみんくるの柄が入っている→元都営バス
  • シートモケットに横浜ベイブリッジや帆船日本丸の柄が入っている→元横浜市営バス
  • 正面に「後払い」や「前払い」と書かれた小さな窓があるか、窓を埋めた跡がある→元神奈川中央交通

一方高速路線車については寿命が一般路線用に比べて短く、特にフラッグシップとなる高級シート装備車は5年程度で代替わりすることもある。置き換えられた旧車は貸切車として余生を送るか、多客期の増発便、距離の短い路線に使われる。中には他の事業者に売却されることも。
ただし、現状代替えが難しい2階建て車については10年以上現役なものも多い。

総じて、丁寧に扱えば30年ぐらいは持つ。特に古いモノコック車は外板が強度を負担していることもあってか頑丈であり、40年以上使われている例もある。

路線バスの乗り方

複雑に思われているかもしれない路線バスの乗り方だが、実はここまで単純化出来る。
  • 中乗り・前降り・運賃後払い方式
  • 前乗り・中降り・運賃前払い方式
  • 前乗り・前降り・運賃後払い方式
  • 前乗り・前降り・運賃前払い方式
運賃後払い方式は運賃が乗車距離に応じて変化する路線で多く採用され、運賃前払い方式は運賃がどこまで乗っても定額の路線で多く採用されている。
無論例外もあるので一概には言えない。特に神奈中とか神奈中とか。

バス運転手

バス運転手を職業とする人はほぼ全員がどこかしらの会社に所属している。個人タクシーのような個人バス事業者は皆無に等しい。
持っている免許は大型二種免許であり、ほぼ全員マニュアル車の運転が可能。
勤務シフトは
  • 朝出勤し、何度か休憩を挟んで夕方もしくは夜まで乗務する通し
  • 朝出勤し、ラッシュ時間帯だけ乗務して夕方まで休憩。夕方から夜のラッシュにまた乗務して退勤する中休み
  • 朝出勤して昼で乗務が終わる早番
  • 昼出勤して夜に乗務が終わる遅番
  • 昼過ぎから夕方頃に出勤し、最終便まで乗務。そのまま営業所や車庫の宿舎で仮眠を取り、翌朝の始発便からラッシュにかけて乗務して退勤する泊まり
が主として存在する。
高速バスは上記のようなシフトとは限らず、貸切バスの場合は依頼主によって色々。
勤務時間は総じて長めであり、残業も多い。休日は不規則で、表向きは月7~8日程度はあるが、休日出勤などで潰れてしまうことも多い。有給も人材に余裕がないと取りづらい。
ひどい会社だと国の規制の上限値いっぱいである13日連続でハンドルを握り、1日休んでまた13日連続でハンドルを握るというところも。

朝出勤すると運転手はまず着替えてその日の行路を確認する。行路を確認して乗る車両を確認したら、その車両を点検する。ウィンカー・ハザード・ヘッド・テール・バックランプ・車内灯など灯火類がきちんと点灯するか、エアはきちんと貯まっているか、ドアの開閉など点検項目は非常に多い。特にエア関係は点検を疎かにすると暴走事故を起こす可能性があるので抜かり無く行う。

点検が終わったらアルコールチェックを行い、運行管理者の点呼を受ける。バス停の移動や道路工事などの説明を受け、後は決められた行路の通りにバスを走らせる。
行路を全て消化したら車庫に戻り、車両清掃と運賃の入金処理を行う。洗車は自動洗車機を供えている会社がほとんどなので、そこまで苦労はしない。
これで勤務が終わればお疲れ様。

なお運転する車両は勤務が終わるまでずっと同じなこともあれば、勤務中に車両を乗り換えることもある。

さて、待遇面での話をしよう。
バス運転手の給料だが、
ぶっちゃけそこまで良くない
都会の会社だと平均30万円ぐらいになることもあるが、地方の会社だと手当込みで25万円ぐらい。
労働内容の割に賃金が低く、どのバス会社も人材不足に喘いでいる。大手のバス会社でも例外ではなく車体広告に「バス運転手募集!」と貼られているのも珍しくない。
2010年代終わり頃から運転手不足のため赤字のローカル路線の廃止、減便というシャレにならない事態が起き始めており、社会問題になりつつある。

亜種

  • ガイドウェイバス
渋滞の激しい区間はガイドウェイを設置した専用道路を走り、郊外では一般道を走る。法律上はガイドウェイ区間がトロリーバス(路面電車)と同じ扱いとなるため、運転手は自動車の大型二種免許と鉄軌道のトロリーバスの免許両方を持っている必要がある。名古屋のゆとりーとラインがこのガイドウェイバス。

  • デュアル・モード・ビークル
JR北海道が開発を進めていた線路と道路両方を走れるバス。ローカル線維持の切り札として考えられたものの、JR北海道の経営状態悪化などを理由に開発中止となった。現在は徳島県の阿佐海岸鉄道が導入に向けて動いている。
なお線路と道路両方を走れる自動車自体は保線用として既に実用化されている。

  • トロリーバス
正確には路面電車と同じ軌道法によって縛りを受けるため、路面電車の仲間。運行区間に架線を設置し、架線から電気を取り込んで走るバス。架線さえ敷いておけばどこでも走れるため、路面電車よりも整備が早く進められる。旧社会主義国家では今でも移動手段として現役の他、環境負荷低減を目的にトロリーバスを復活させる西側諸国も多い。

主なバスの車名

  • エアロスター
製造:三菱ふそうバス製造
販売:三菱ふそうトラック・バス
動力:ディーゼル
大型路線バス。ノンステップ車でも車高が高く取られており、窮屈さを感じさせない。その代わり、側面の窓配置がちぐはぐだが。
現在販売されている大型バスで唯一ワンステップ車の設定が残っている。現行モデルのヘッドライトは小型トラックキャンターの部品と同じだとか。
一時エンジンを発電専用に用い、走行にはモーターを使うシリーズ式ハイブリッド車を売っていたが、あまりヒットしなかった。
初期モデルは車体の製造工場の違いで2種類のボディスタイルが存在した。

  • エアロミディ
製造:三菱ふそうバス製造
販売:三菱ふそうトラック・バス
動力:ディーゼル
中型路線バス。こちらはノンステップ車だと相応に車高が低い。1993年から販売終了となる2017年まで24年間、一度も顔のデザインが変わらなかった奇跡の車種。初期から中期の頃は観光向けとかマイクロ並のサイズとか色々あった。
末期のモデルはエンジン関係は中型トラックのファイターとほぼ共通だった。

  • エアロエース・エアロクィーン
製造:三菱ふそうバス製造
販売:三菱ふそうトラック・バス
動力:ディーゼル
大型観光バス。エアロエースはハイデッカー、エアロクィーンはスーパーハイデッカー。2007年にエアロバスの後を継いで登場。卵のような先頭形状が特徴。最新モデルはドアの横に「FUSO AERO」のプレートがキラリと光る。(外している事業者もある)

  • エアロキング
製造:三菱ふそうバス製造
販売:三菱ふそうトラック・バス
動力:ディーゼル
2階建てバス。高速バスなんかでよく見かける。2005年に一旦販売終了するも熱烈なラブコールを受けて2008年に復活。2010年に再度販売終了を迎えた。最近だと屋根のないオープントップバスやレストランバスに改造された車両が出てきた。ちなみにエアロキングがオープントップバスの種車に選ばれることが多いのは、運転席が濡れないように手を加える手間が少ないからだとか。

  • ローザ
製造;三菱ふそうバス製造
販売:三菱ふそうトラック・バス
動力:ディーゼル
マイクロバス。ドアが運転席に限りなく近く、乗客数が極端に少ない路線バスにもよく使われるためか、路線バス仕様が正式モデルに含まれている。
バスとして世界で初めてデュアルクラッチトランスミッション(DCT)を搭載。4WD車の設定もあるので、オフロード用に1台いかがだろうか?減員・軽量化改造をすれば準中型免許で運転できるかも。

  • ブルーリボン・ブルーリボンハイブリッド・エルガ・エルガハイブリッド
製造:ジェイ・バス
販売:日野自動車(ブルーリボン・ブルーリボンハイブリッド)/いすゞ自動車(エルガ・エルガハイブリッド)
動力:ディーゼル・ハイブリッド
大型バス。日野のバスだが、中身はいすゞのエルガ。搭載しているエンジンはいすゞのエンジン。
一方エルガは初期モデルは路線バスでありながらV8エンジンを搭載しており、路線バスらしからぬ重厚な音を響かせる。現行モデルは4気筒エンジンである。
ブルーリボンはハイブリッド車も古くから設定が続けられている。モーターがエンジンをアシストするパラレル式ハイブリッドを採用し、古くから一定の人気がある。現行ハイブリッドモデルは車体こそエルガにそっくりだが、搭載しているエンジンは日野のエンジン。
エルガハイブリッドは初代モデルこそいすゞの独自モデルだったが、2代目はブルーリボンハイブリッドの名前違い。初代モデルは最後列席の非常口側車内にバッテリーを搭載していた。

  • ブルーリボン(初代)
製造:日野車体工業
販売:日野自動車
動力:ディーゼル・CNG・ハイブリッド
大型バス。角ばったいかにもなボディスタイルが特徴。実はこのブルーリボンが登場するはるか前にもブルーリボンを名乗っていた車種がある。
ハイブリッド車も登場しており、一定の人気を得た。ちなみにハイブリッド車は「ブルーリボンHIMR」という名前で売られていた。
CNG車は1台だけが製造され、都営バスに納車された。

  • ブルーリボンシティ
製造:日野車体工業→ジェイ・バス
販売:日野自動車
動力:ディーゼル・CNG・ハイブリッド
初代ブルーリボンからモデルチェンジした日野の大型路線バスの二世代目。フロントマスクは柔らかな顔つきを与える曲線を多用したデザインだが、それ以外は初代ブルーリボンの面影が強く残る。
ディーゼル・CNGは一代限りで製造中止となったが、ハイブリッドは二代目ブルーリボンが登場するまで製造が続いた。

  • キュービック
製造:アイ・ケイ・コーチ
動力:ディーゼル・CNG
大型バスCJM/CQM系からモデルチェンジしたいすゞの大型路線バス。大きな1枚のフロントガラスと出入口側に設置された三角形の固定窓がかもし出すヨーロピアンスタイルが特徴。
東武鉄道などはこの大型ガラスが破損した時の手間を嫌ってか2枚分割のガラスを使用したフロントマスクの車両を好んで入れていた。このキュービックの後を次いで誕生したのがエルガ。エンジンは一部を除いてV8。

  • ジャーニーK
製造:アイ・ケイ・コーチ
動力:ディーゼル・CNG
現在のジャーニーはマイクロバス専用モデルだが、かつては中型バスもジャーニーという名前だった。区別のために末尾にKが付く。
キュービックそっくりだが、フロントガラスが2枚分割仕様になっているのが特徴。
ジャーニーKの後継がエルガミオで、エルガの登場よりも早い。

  • レインボー・エルガミオ
製造:ジェイ・バス
販売:日野自動車(レインボー)/いすゞ自動車(エルガミオ)
動力:ディーゼル
中型バス。以前存在したレインボーのHR型には「モヤシ」というあだ名がある。現行モデルはいすゞのエルガミオと何から何まで同じで違うのはハンドルのロゴぐらい。これはブルーリボンも一緒。
見た目は少し小さなエルガ・ブルーリボンといった感じ。警察の大型人員輸送車としてもおなじみ。

  • ポンチョ
製造:ジェイ・バス
販売:日野自動車
動力:ディーゼル
小型ノンステップバス。車体長の割にホイールベースが長いので小回りがききづらいという噂。現行モデルは2代目で、ヘッドライトはダイハツの軽自動車ムーヴの流用。
初代モデルは日仏ハーフで、バスではとても珍しいFF。

  • セレガ・ガーラ
製造:ジェイ・バス
販売:日野自動車(セレガ)/いすゞ自動車(ガーラ)
動力:ディーゼル
大型観光バス。現在売られている大型バスで数少ないMT車の設定が残っている車種。スーパーハイデッカー車でもトランク容量を確保するために屋根上エアコンにこだわった結果、全高が3.75mと平屋車の割に異様に高い。某社がホテルの車寄せに屋根をぶつけたという逸話も。
セレガのみハイブリッドバスがラインナップされていた。

  • メルファ・ガーラミオ
製造:ジェイ・バス
販売:日野自動車(メルファ)/いすゞ自動車(ガーラミオ)
動力:ディーゼル
中型バス。送迎を主目的としているためツーステップ。たまーに路線バスとして使っているところもある。

  • スペースランナーRA・UA系
製造・販売:日産ディーゼル(UDトラックス)
動力:ディーゼル・CNG(UAのみ)
大型バス。日産ディーゼルは自社で車体を作れなかったので車体は資本関係のない西日本車体工業か富士重工業に作ってもらっていた。UA系はスペースランナーRAの先代モデル。

  • スペースランナーRM
製造・販売:日産ディーゼル(UDトラックス)
動力:ディーゼル
中型バス。大型のRA・UA同様車体は外部メーカー任せ。

  • スペースランナーJP
製造・販売:日産ディーゼル(UDトラックス)
動力:ディーゼル
中型ロング。RMのシャーシをぶった切って間にスペーサーを入れて再溶接し、車体長だけ大型並みにして生まれたバス。当初はJM系改と呼ばれていた。

  • RN系
製造・販売:日産ディーゼル
動力:ディーゼル
小型バス。RMをマイクロバスと同じレベルの7mまで縮めたような車両で、京王電鉄と日産の共同開発車。

  • スペースアロー・スペースウィング
製造・販売:日産ディーゼル
動力:ディーゼル
大型観光・高速バス。末期のモデルはトルコンATオンリーだった。

  • ユーロツアー
製造:日産ディーゼル・フィリピン
販売:日産ディーゼル
動力:ディーゼル
大型観光・高速バス。日産ディーゼルのフィリピン現地法人の工場で製造されたバスの逆輸入車。FRPやアルミなどをボディの素材に取り入れたことや、フィリピンの賃金が安価なのも手伝って国産車よりも安くなった。

  • スペースドリーム
製造・販売:日産ディーゼル+富士重工業orヨンケーレ
動力:ディーゼル
2階建てバス。富士重工製のボディを載せるGA66型とヨンケーレ製のボディを載せるRG620型・RG550型の3種類があった。
GA66型はわずか11台のみの販売となり、そのままフェードアウト。
一方RG620型は夜行バスへの2階建て車導入が増えたことで再登場したもの。日本で製造したシャーシをベルギーのヨンケーレの工場へ送り、ヨンケーレ社で車体を載せた後にまた日本へ持ってきていた。いわゆる逆輸入車というやつである。横浜市が定期観光バス用に導入し、その一部が大江戸温泉物語の送迎バスに転じた。RG550型はRG620のマイナーチェンジ車で、RG620、550共にそこそこの台数が売れた。

  • アステローペ
製造:ボルボ+富士重工業
動力:ディーゼル
セミダブルデッカーバス。富士重工が企画し、ボルボからシャーシを輸入して製造した。このバスの特徴はエンジンがリアに設置されておらず、前輪と後輪の間にエンジンが設置されている。いわゆるミッドシップ構造というやつ。
排気量の小さなターボエンジンとトルコンATという組み合わせは高速バスを運行する事業者にとっては燃費を大幅にアップする組み合わせであり、多数が導入された。
フロントにはボルボ車のシンボルである斜線の入ったグリルが設置されている。

  • リエッセ
製造:ジェイ・バス
販売:日野自動車
動力:ディーゼル
マイクロバスでありながら、キャブオーバーではなく大型バスと同じRRを採用している。
車体が小さく、小回りも効くので狭い道を通る路線バスやコミュニティバス、小口団体向けの貸切バスとして一定の人気を博した。

  • コースター・リエッセII
製造:岐阜車体工業
販売:トヨタ自動車(コースター)/日野自動車(リエッセII)
動力:ディーゼル
トヨタ系のレンタカー屋では取り扱ってることが多いマイクロバス。トヨタが開発していることもあってとにかく頑丈。ロケバスに使われたり、キャンピングカーのベースに選ばれたりしている。

  • シビリアン・ジャーニー
製造:日産車体
販売:日産自動車(シビリアン)・いすゞ自動車(ジャーニー)
動力:ガソリン
マイクロバス。乗用車ベースのハイエースを除けば唯一のガソリンエンジンのバス。

  • SORA
製造:トヨタ自動車
販売:トヨタ
動力:燃料電池
大型バス。量産型としては初めての燃料電池バス。水素燃料で発電し、走行には発電した電気を使って回るモーターを使用する。
お値段が1台1億円(大体通勤電車1両分と同じ)とバスの中では非常に高価なため、販売はリース形式となる。

  • TDX24・アストロメガ/InterCity DD
製造:バンホール・スカニア
販売:スカニアジャパン
動力:ディーゼル
2階建てバス。ヨーロッパで売られているTDX25アストロメガを日本の法規制に適合するよう少しだけ小さくした特注車。
元々ははとバス向けに製造されたものだが、2階建てを欲しがっていた他の事業者(特に高速バス事業者)でも導入件数が少しずつ増えており、高速バス仕様はInterCityDDと呼ばれる。
当初4列シートのみだったが、2019年に部分3列シート車、翌年には2階全部が3列シート仕様の車が誕生。

  • シターロG
製造:エボバス
販売:メルセデス・ベンツ/三菱ふそうトラック・バス
動力;ディーゼル
フロントにベンツのエンブレムがキラリと光る連節バス。幅はヨーロッパ仕様のまま、非常口がなくて脱出用ハンマーが設置されているという異色種。日本の気候に合わせるため、日本仕様車はアフリカ向けの車両に搭載されるエアコンを装備している。
これを日頃利用している人は「運転手付きのベンツに乗ってる」と言ってもウソにはならない。

  • ユニバース
製造:ヒュンダイ自動車
販売:ヒュンダイモータージャパン
動力:ディーゼル
韓国製の観光・高速バス。国産車に比べて安価なのと、正式な型式認定を取っているのもあって一時導入台数が激増した。ただ国産の同クラス車がフロントサスペンションに独立懸架式を採用しているのに対し、路線バスに採用されることの多い車軸懸架式を採用しているためか乗り心地の面で難がある。

  • オノエンスター
製造:揚州亜星モーター
販売:オノエンジニアリング
動力:ディーゼル
中国製の観光バス。国産バスに設定がない全長8m車。エンジンはカミンズ製。

道路

自動車なので当然、自動車用の道路を走る。
しかし、家の近くから駅や仕事場まで人々を輸送するという性質上、住宅地でもある程度大きな車体が走ることになる。
事業者によってはバス2台すれ違うのが厳しい道を走らせることもある。

また、バスが通る道路はバスを前提として整備されており、バスの停留所を置く場所はバスベイと呼ばれる切り欠きを用意してある場所が多い。
この他狭い交差点では停止線の位置を交差点の中心から離れたところに置き、停止線で待機する車両と曲がってくるバスの距離を離すようにしているものがある。

バスの個人所有

バスも突き詰めれば営利目的の会社が売っている商品である以上個人での購入、所有は可能といえば可能である。実際ネット検索をすると、バスを個人で所有し自家用車として使用している人は相当数ヒットする。

まず乗車定員が29人以下のマイクロバスについては乗用車と大差ない方法で購入・登録して自家用車として使用できる。レンタカーにマイクロバスが多いのは、所有・登録が簡単だからだ。
しかし乗車定員30人以上の大型バスについては個人所有へのハードルが非常に高くなる。ちゃんとナンバープレートを取って公道を自由に走らせようとすると、まず運転する人間は大型免許を取得しなければならなくなる。運賃を取らないので保有免許は一種免許でいい。バス運転手を仕事にしている人であれば仕事で使う免許がそのまま使用できる。
ただし一種免許しか持たず、事業登録もしないでお金を乗せた友人から受け取ったら白バス行為として取り締まられます。

続いて必要になるのが整備管理者の選任。バスの整備や車庫の管理などの専門知識を持った整備士を一人選んで任命しなければならない。なお任命する整備士は誰でもいいわけではなく、バスを置いておく車庫から10km以内の人でなければならない。何かあった時にすぐ飛んできてもらわないといけない以上、妥当といえば妥当。ただし乗車定員をつり革や手すりを外すなどして29人以下に抑えれば、バス1台だけの所有なら整備管理者の選任は必要ない。
そして車庫証明も取らなければいけない。田舎であれば自宅の庭を車庫として使用できるが、都会だとバスを置いておける駐車場を自宅から2km以内で探さなければいけない。
公道を走らせるのであれば勿論車検を受けさせる必要もある。バスの車検は毎年受ける必要があり、更に3ヶ月毎に定期点検を受けさせなければならない。
更に更に中古で買ったバスは「別の色で再塗装を行うこと」という条件がつく場合が殆ど。一色に塗り直すだけでも数十万円単位の出費は覚悟したほうが良い。

当然のことだが、倉庫目的・保存目的でバスを購入した場合は以上のような手続きはいらない。ただし再塗装は必要なことがある。

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最終更新:2022年01月21日 19:25

*1 ウィラーグループのように長距離路線用でもトイレ無しというのもあったりするが。

*2 特に排気ブレーキの取扱

*3 高速バスの増車メインで使う事を前提としている場合、貸切車でも大型区分でセットアップすることがある。