どうして私が美術科に!?

登録日:2018/04/28 Sat 01:37:32
更新日:2022/02/28 Mon 00:49:39
所要時間:約 8 分で読めます





間違えて美術科に入ってしまったなんて あほすぎて言えない・・・!



『どうして私が美術科に!?』はまんがタイムきららMAXで連載していた4コマ漫画作品。
作者は相崎うたう。全3巻で完結済み。公式略称は「どうびじゅ」。


◆概要

2016年に連載開始された4コマ漫画作品。

願書提出ミスによって間違って美術科に入学してしまった主人公・酒井桃音が、
愉快なクラスメイトとともに毎回居残りで課題をこなしながら友情を深めていくドタバタコメディ。
高校入学で間違えてしまった桃音が、仲間との出会いや関わりの中で自らの選択を受け入れ肯定できるようになっていく様を描く。

まんがタイムきらら系の日常系漫画であるが、「高校の美術科」であり課題が多いため、
主人公たちはまったりした日常を送ることはなく常に課題を抱えている
そのため物語の主な舞台は家や教室ではなくほぼ毎日居残りで使う美術室(通称:美術X室)である。
課題をやるという名目で美術X室に集まり、遊んでいるのか課題をやっているのかわからない青春を過ごしていく。

登場人物同士の関係性が深く描かれており、相手のことを想うが故にすれ違い、美術作品と同じくなかなか思い通りには伝わらないもどかしさが魅力的。
さらに芸術には常につきまとう、作品を評価されたり他人と比べられたりすることにもスポットが当たっている。

一方で主人公・桃音が美術初心者である事もあり、作中に美術関連の用語や概念はあまり登場せず、美術初心者でも読みやすい。

舞台である"藤納戸"は八王子市がモデル。美術科と普通科を持つ高校も市内に実在する。


作者について

女性。2018年3月まで高校生であったことが判明した。
しかもこのとき同時に「漫画家デビューしてちょうど3年」という発言もしている。
デビュー作は同じくまんがタイムきららMAXにゲスト掲載された「つぼみアレンジメント」であり、第1話は2015年3月に掲載。
つまりこのときまだ中学生である。
高校入学前から漫画家デビューし、高校在学中に連載を勝ち取ったことを讃え、「リアルこみっくがーるずまんが家」と呼ばれるようになった。

相崎も美術科の高校出身で、高校の友人や経験、部活の体験入部先で聞いた話が本作の構想のモデルとなっている。

◆あらすじ

願書の提出ミスにより、間違って美術科に入学してしまった酒井桃音。
当然のごとく居残り三昧な毎日ですが、仲間がいればそれでも楽しい!
力を合わせて目指せ進級&卒業!
きららの次世代を代表する、女の子の尊さがいっぱい詰まった著者の初コミックスです。


◆用語

・美術科
絵画・陶芸・彫刻・塑造などの美術を学ぶ学科。1学年8クラスのうち7組と8組が美術科。なぜかおとなしくて変な奴が集まる。
普通科より課題が多く、部活や遊びにはあまり時間が取れない。

・美術X室
主人公たちがいつも無断で居残りに使っている部屋。あまり手入れが入っていない。
本来の名前は「美術F室」だが、普段使用しない部屋のためFの字の上から×が付けられているためX室に見える。
桃音たち5人組は夏休み前の合同制作に際し、ここから「Xanadu」というチーム名を自らつけた。


◆登場人物

◎酒井 桃音(さかい・ももね)
本作の主人公。1年7組。
受験勉強で徹夜した後に願書を書いたために誤って美術科に出願してしまったうえ、
入試で絵を書かされても間違いに気付かず、結果意図せずに美術科に入学することになった。
美術に関しては素人であり、技術も知識も一般人である。
そのため美術の課題は毎回美術X室で居残りしている。
絵を描くとメルヘンっぽくなってしまう癖がある。
一方でそんな技術でも筆記だけで美術科に合格する程度には国数英ができ、純粋な勉強の成績は良い。
得意教科は古典。

実家はさくらんぼ農家らしい。
少なくとも美術科に通い続けることを認める程度には大らかな家庭のようだ。

性格は明るくポジティブで、間違えて美術科に入ったことから立ち直った後は3年間で少しずつ美術の楽しさを知っていく決心をする。
素直で優しく友達想いでかなりの天然だが意志は固く、美術科に入ったという間違った選択を受け入れ自らの意志で美術科でやっていく覚悟を決める。
進路に悩む度に、黄奈子を始め仲間と出会えたという結果から自分の選択を肯定する事ができる。

最初に入学ミスのことを話した黄奈子には何かと懐いており、想いを寄せている。
黄奈子にだけは自然と家に上がり込んだり抱きついたりしている。
また黄奈子のことに限らず何かと嫉妬深い一面も。

周りに合わせて明るくボケようとして滑ることが多い。またかなりのビビリである。

髪は桃色で制服のシャツも桃色。髪を耳の位置で結んでツインテールにしている。
いつも花形の髪飾りを3つつけており、制服の時は学校指定のベレー帽をかぶっている。
冬服の時は黒タイツも着用。


◎竹内 黄奈子(たけうち・きなこ)
1年7組で桃音の居残り仲間。
クールでジト目。いつも眠そうにしている。
美術科には入りたくて入ったわけではなく絵に対してあまりやる気がない。
普段はクールだが桃音をいじって遊んだり鼻をつまんだりする時は笑顔になる。
いわゆるいつメンの「Xanadu」は黄奈子の命名で、「桃源郷」の意。

両親は美術品の個人輸入商で家をよく留守にしており、寂しく思っている。
両親は美術が好きで、黄奈子に美術科に入って欲しくて土下座までしており、入学祝いに黄奈子専用のアトリエルームを作った。
なおアトリエは桃音の部屋より広い。
しかし美術科に入っても両親は相変わらず黄奈子より美術が好きな様子であったため、本人は美術があまり好きではない。

よく1人で遊んでいたためゲーセンのゲームが好き。
寂しがりの癖に人づきあいは苦手なのでクラス内では大体机に突っ伏している(そんな調子なのに意外と周囲からは嫌われていない)。

家はそこそこのお金持ちでフクロウを飼っている。

桃音と出会ったことで美術に対する考えが変わりつつあり、そうさせてくれた桃音に想いを寄せている。
というか事あるごとに桃音の彼氏面をしている。愛が重い。
美術のことは相変わらず好きではないものの、いつか美術が好きになれるまで、美術科に居る理由は「桃音がいるから」。

髪は黄土色で制服のシャツは黄色。髪を後頭部で結んでツインテールにしている。
胸は控えめ。

+ 以下ネタバレ
実は母親は大層な娘ラブなのだが、幼い頃仕事の現場に連れて行った時(両親と一緒にいられるから)嬉しそうにしていたのを「親より美術が好きで、美術品を見られるから」と勘違いしつづけていた。
美術科を熱心に勧め、進学後も留守がちだったのはこの為。



◎河鍋 蒼(かわなべ・あおい)
1年8組で桃音の居残り仲間。
活発な性格でパワフルな豪快全力暴走ガール。運動が得意で面白いことと食べることが好き。
色々と頭が良くない発言が目立つボケ役でありいつも紫苑に突っ込まれているが、
何も考えていないわけではなく空気は読んでおり無茶な行動はしない。
一見頭の良くない発言や行動も、周囲を気遣い場を盛り上げるためであったりなかったり。

母親は画家のK.Suzunoで、今は桃音たちの高校で働いている。
蒼が小さい頃から母親は絵ばかり描いていたという。なお父親はサラリーマン。
両親が共働きのため黄奈子と同じく1人でよくゲームをしていた。

勉強の方は壊滅的だが、美術の能力は高く作業スピードは速くてクオリティも高い。
通知表の成績も美術だけは5で、メンバー中最も高い。
しかしいつも途中でふざけるため結局居残りしている。紫苑曰く「残念なピカソ」。
美術科に来たのも、美術の成績だけやたらいいのも「紫苑がいるから」である。

紫苑とは小学生から友達で幼馴染。
髪は青色で制服のシャツも青色。


◎浦上 紫苑(うらがみ・しおん)
1年8組で桃音の居残り仲間。
蒼のツッコミ担当。京都出身で関西弁を話す。
メンバーの中では最も美術に対する情熱が熱く、絵のことになると喋りが止まらなくなる。
画塾にも通っており、母親は美術の先生。キュビズムが好きで作品に影響を受けている。

一見するとまともなツッコミ役だが、常識人ポジではない。特に美術が絡むと1人であらぬ方向に暴走する。
5人の中ではかなりやる気が高く技術が劣っている様子もないが、どうも無駄な箇所に力を入れてしまい結果遅れるタイプらしい。

美術に関して翠玉のことを心から尊敬している。
一方で蒼に対しては普段のおどけ具合も相まって嫉妬心や劣等感を抱いている。

蒼とは小学校からの幼馴染だが、中学時代は京都に帰っており学校も別。
蒼の母親であるK.Suzunoに(そうとは知らずに)憧れており、彼女が教員を務めるこの高校に入学した。

髪は黒色で制服のシャツは紫色。
胸はふくよか。


◎菱川 翠玉(ひしかわ・すいぎょく)
1年7組で桃音の居残り仲間。黄奈子の中学の先輩だが、留年したため同級生になった。
美術X室のダルマによく入っており、住み着いている。自称「美術X室の妖精、すいにゃん」。
桃音たちには「すいにゃん先輩」と呼ばれている。
やる夫よろしく語尾に『お』をつけて喋る。ウザかわいい。

漫画家を目指しており画力も高いが、課題で勝手に擬人化しては先生に叱られている。
漫画家を目指している事は親には秘密。

蒼と同じくらいのボケ役で、ムードメーカーかつトラブルメーカー。
よく蒼に肩車されており、2人揃うと非常にうるさくなる。
かと思えば急に冷静になって真顔でツッコミに回る事も。

一方で年上らしくしっかりしているところもあり、周囲の期待に応えたいという想いも強い。
また自分の子どもっぽい振る舞いや性格も自覚しており自己嫌悪に陥ることもある。
「美術X室の妖精、すいにゃん」としての自分を前面に出しながら、その裏にはいつも自分の頑張りや想いを隠している。

黄奈子とは中学時代からの先輩後輩の関係にあり、よく2人で屋上で美術部の活動をサボっていた。
しかし黄奈子には自分の進路先を教えずに卒業しており、黄奈子の入学後に出会えたのは全くの偶然。

実は学園の理事長の娘で、家は学校の隣。
しかし漫画の作業をするときは学校に泊まり込むこともある。

髪は金色でシャツは白色。学校では猫耳と尻尾がある黄緑色のフードをかぶっている。
ちなみにこの姿のことを本人は「すいにゃん」と呼んでいる模様。靴下は白と黒のハイソックス。
身長が140cmと学校で一番低く髪は腰のあたりまである幼児体型。
中学時代は髪をポニーテールにしていた。


◎鈴木 朱花(すずき・しゅか)
1年1組(普通科)の生徒で、桃音の中学時代にいつも一緒に帰っていた友人。
美人で背が高く、勉強も運動もできたが桃音を1人にしないために部活には入らなかった。
その魅力と女たらしっぷりで中学時代から数々の同級生を口説き陥落させてきた。
ただし桃音は天然で鈍感であったために、普通に友人として感謝されている。

高校では普通科に在籍し、美術部に所属している。絵もかなり上手い。
女たらしは高校でも健在であり、蒼曰く「普通科でブイブイいわせてる」。

+ 以下ネタバレ
実はもともと美術科に入りたかったが、成績優秀ゆえに親から普通科への進学を期待されて普通科に進学した。
この意味で桃音や黄奈子とは逆の境遇にいると言える。

不本意でも美術科に所属する桃音への羨望から、桃音を普通科と美術部に勧誘し転科を考えさせた。
しかし桃音の1年間の想いに触れ、さらに黄奈子から美術科への逆勧誘を受ける。

結果、2年生からは朱花も美術科生となり、5人と共に居残り三昧の日々を過ごすこととなった。



◎岡本 玄恵(おかもと・くろえ)
1年7組(美術科)の担任。担当教科は美術。髪は黒く真面目な性格。
常にジャージを着用し男っぽい口調で話す活発な先生だが、非常に怖がりであり、
宿直の時は夜の校内の見回りを恐れできる限り生徒と一緒に見回ろうとする。
生徒を恐れている節があり、特に他のクラスの生徒には強く言えないところがある。
しかし生徒からは「くろえちゃん」と呼ばれ親しまれている。

生徒が怖いのに先生になった理由は、美術と教えることが好きだから。
普段は微妙に頼りないが、時に今や未来に悩む生徒を導く助言をすることも。


◎高村 白雪(たかむら・しらゆき)
1年8組(美術科)の担任。担当教科は国語だが美術も教える。
白く長い髪に大きなリボンを着けドレスのような服を着てお嬢様口調で話す先生。
言動には茶目っ気があり、ふわふわした性格。玄恵と特に仲がいい。


◆余談

  • くろば・Uとの関係
同じくまんがタイムきらMAXのステラのまほう作者のくろば・Uは本作を絶賛しており、度々Twitter、Youtubeなどで言及している。作風も似ている。
2017年のコミケで本作の同人誌を制作・頒布した。過去には作者の相崎うたうによるステラのまほうのアフレコレポートがまんがタイムきらMAXに掲載されたこともある。

本作の最終話掲載時にはTwitterとPixivにファンアートを投稿し、そして最終巻発売を記念して相崎うたうとくろば・Uの対談記事もネットに掲載された。


  • Webサイン会
2018年5月に行われたWebサイン会では、サイン本として単行本第1巻を50冊事前に販売したが、30秒で売り切れたという。

  • 表彰
次に来るマンガ大賞2018コミックス部門にノミネートされた。
また百合漫画大賞2019において21位に輝いた。


間違いの正解を決めることができるのは その道を選んだ自分ただ一人だけですよ




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最終更新:2022年02月28日 00:49