コーネリウス・ファッジ

登録日:2018/04/20 Fri 18:25:53
更新日:2024/04/19 Fri 11:49:28
所要時間:約 4 分で読めます




ハリー・ポッターシリーズに登場する魔法使い。

演:ロバート・ハーディ
声:篠原大作

本名は「コーネリウス・オズワルド・ファッジ(Cornelius Oswald Fudge)」。

魔法省のトップである魔法大臣を務める。

外見は、背が低くて恰幅が良く、頭髪はくしゃくしゃで白髪である。
緑色がお気に入りなのか、ライムグリーンの山高帽をいつも被っている。

当初から権力に執着し、自身の政治生命を何よりも優先している傾向はあったが、ハリー・ポッターを気にかけて保護する、
ハリーとシリウスの縁を知った上で気遣う(当時シリウスはハリーの両親を裏切ったと認識されていたため)など、善人としての面は見られた。
しかし、ヴォルデモート卿復活を巡ってアルバス・ダンブルドアと訣別した後は、
ヴォルデモートへの恐怖心やダンブルドアへの劣等感などからますます権力に執着するようになり、ハリーとダンブルドアに対してはかなり暴挙に出るようになった。

またダンブルドア曰く、純血を重んじる純血主義者でもあるらしい。
魔法省への多額の献金を行うスポンサー的な存在であるルシウス・マルフォイには頭が上がらない一面も。
ただ、ルシウス・マルフォイと常に意見が一致していたわけではなく、二巻ではむしろ反対意見を持っていた。

魔法省の腐敗や無力さを象徴する人物と言えるかもしれない。

かつては魔法惨事部の次官であり、ヴォルデモートが失踪した翌日のマグル大量虐殺の現場に居合わせたこともある。
1990年にミリセント・バグノールドの後を継いで魔法大臣となった。
少年時代はホグワーツで学んだらしい。出身寮などは一切不明。

魔法使いの能力を見せる場面はほとんどないが、六巻の過去編ではティーカップをスナネズミに変えたり、ウィスキー入りのワイングラスを出現させたりといった、変身術を得意とするらしい描写がある。またこの際は無言呪文であった模様。


各巻での行動


1巻『賢者の石』

ハリーとルビウス・ハグリッドの会話に、名前だけチラッと出てくる。
推されていたダンブルドアが固辞したため魔法大臣に就任。
この時点では就任から間もないのか、ハグリッド曰く「ダンブルドアにしつこくお伺いをたててる」らしい。


2巻『秘密の部屋』

初登場。
ホグワーツの学生らが次々と石化している事件を受けて、魔法省も手を打っているというポーズを見せるため、ホグワーツ魔法魔術学校を訪問。
不利な前科を持つハグリッドをアズカバンに連行することを決定した。
ただこの決定にはファッジも確信や納得が持てていなかったようで「有罪認定したわけではなく、念のためであって、真犯人が分かれば十分な謝罪の上で即刻開放する」と念押ししたりしている。
彼の意志というよりも理事会や保護者などに強い圧力を掛けられた結果らしい。
三巻の様子を見てもハグリッドは特に彼には遺恨を抱いていない様子である。
さらに突如現れたルシウス・マルフォイ(ホグワーツ理事)によるダンブルドアの停職には反対していたが、相手が正規の手続きを踏んでいたこともあって押し切られる。


3巻『アズカバンの囚人』

シリウス・ブラックのアズカバン脱獄を受け、とあるトラブルでダーズリー家を飛び出したハリーを保護し、「漏れ鍋」に泊まらせることに決めた。
またシリウスの再逮捕のため、彼が目標にしているホグワーツやホグズミードなどに吸魂鬼を大量配備、検問を強化した。

実はシリウスが脱獄する数週間前には、別の用事でアズカバンを訪問しており、ここで彼と牢越しに体面している。この際は、他の囚人たちが精神耗弱状態に陥っているのに対して、シリウスだけがまるでまともな精神状態をしていたことに驚いたと語っている。
この際に実は彼の頼みで呼んでいた古新聞を差し入れており、これがシリウスの脱獄に繋がる遠因となった。

バックビークの処刑の際にもホグワーツを訪れ、シリウスを捕まえたセブルス・スネイプに対してマーリン勲章勲一等の授与を進言した。
が、ハリーたちによってバックビークとシリウスは逃がされてしまい、あまりの事態に「私は物笑いのタネになる」と自嘲している。
また、吸魂鬼がシリウス逮捕時に勢い余ってハリーにまで「キス」しようとしたことには憤慨しており、ダンブルドアの願い通り彼らをすぐホグワーツから撤収させた。

かつてヴォルデモート敗北直後、シリウスがピーター・ペティグリューとマグル数名を爆破した際、シリウス逮捕の現場指揮を執っていたことを明かしている。
実はシリウスがハリーの父ジェームズ・ポッターらの親友で、後見人でもあることを知っており、そんなシリウスがジェームズらを裏切りハリーを孤児にした張本人だと知れば、ハリーはどれほど傷付くだろうかと嘆いている

この時点で、ファッジはシリウスが無実であり、真の裏切り者が別にいたということには気付いていなかったが、同時期にシリウスの無実を知っていたのは本人と真犯人、そしてダンブルドアのみ。
しかも、そのダンブルドアですらシリウスが犯人でないことは薄々勘づいていただけであり、代わりに誰がハリーの両親を裏切ったのかまではわからなかったため、ファッジにここまでを求めるのは酷だろう。

…と、ここ(3巻)までは、やや優柔不断ながらも人情味のある、そこそこの人物として描かれていた。


4巻『炎のゴブレット』

序盤では、クィディッチ・ワールドカップのイギリス魔法界代表として登場。
ブルガリア魔法大臣と交渉したが、英語を話せないと思っていたブルガリア魔法大臣が実は語学に堪能で、ファッジが身振り手振りを交えながらなんとか意思疎通を図ろうとしていたのを心中でからかっていただけだと知って、さすがに憤慨している。

中盤には、国際魔法協力部部長バーテミウス・クラウチ・シニアの失踪に伴いホグワーツに来校。その際にはボーバトン魔法アカデミー校長で、半巨人のオリンペ・マクシームに対して疑念を持っていた模様。
三大魔法学校対抗試合の第三の課題の際にも来校したが、ヴォルデモートの復活を見届けたというハリーの言葉は保身や恐怖から彼の復活を認めようとせず、
ハリーの言葉を信じて対策を講じるべきとするダンブルドアと諍いを起こした挙句、最終的にダンブルドアと訣別した
実のところ魔法省の戦力はすっかり落ちており、ヴォルデモートへの対策も実行するべき戦力がなく、そんな困難な現実に直面するぐらいなら「ヴォルデモート復活などない」と信じたほうが楽だった、というのが本当のところだろう。

実は3巻では「例のあの人が生きていても孤立無援ならそれはそれでいいが、もし忠実な家来が彼の下に戻ったなら……どれほど早く復活することか、考えるだけでもぞっとする」と発言しており、本来は「ヴォルデモートの復活はありうる」と理解はしていた
しかし頭ではわかっていても、いざ直面した際には思ったほど冷静に対処できず、パニックよりも目先の安心を追求してしまったのだろう。
小心者ゆえの精神のコントロールとしては見事だったが、行きつく先は事なかれ主義であった。

なお、終盤にはバーテミウス・クラウチ・ジュニアの身柄確保に学校を訪れるが、死喰い人への怯えからか吸魂鬼を同伴してきた。
その吸魂鬼は前年に続く脱獄で頭にきていたらしく、部屋に入るやいなや「キス」を実行してクラウチJr.を廃人にしてしまった。
……まあクラウチJr.の高すぎるスキルを考えれば、二度とヴォルデモートを補佐できないほど破滅させたのは「痛撃を与えた」といえるかも知れない。


5巻『不死鳥の騎士団』

ハリーの未成年魔法使用に対しての尋問で尋問官となる。
ダンブルドアを出席させたくないからか、直前に使用する法廷を変え、勝手に開始時間を早めるなどかなりの暴挙に出ており、
権力を濫用してでもハリーを退学処分にしたかったようだが、ダンブルドアの弁護や、他の裁判官の裁定もあってハリーは退学処分を免れることとなった。

それでもあきらめず、ダンブルドアの監視やハリーいじめのためにドローレス・アンブリッジを送り込む、「日刊予言者新聞」を利用して両名を貶めるデマをまき散らすなど暗躍を続行
この頃には「ダンブルドアはヴォルデモート復活を公言して社会不安を煽り、自ら魔法大臣となって権力を奪うつもりだ」という、あらぬ被害妄想に取り憑かれていた。
またルシウス・マルフォイとも連絡を取り合い、何かしらの画策をしていた模様。
ルシウス・マルフォイは言うまでもなく死喰い人の幹部だが、ファッジは「ヴォルデモートは復活などしていないのだから、彼は現在、絶対に死喰い人ではない!」と信じて協力を仰いだと見られる。この辺も彼が「名誉死喰い人」と読者から評される一因だろう。
ダンブルドア軍団の会合が密告された際もホグワーツに来校し、またしてもハリーを退学処分にしようとしたが、ダンブルドアがダンブルドア軍団の創設者の身代わりをしたおかげでまたしてもハリーは退学処分を免れた。
終盤の魔法省神秘部の戦いでヴォルデモートを目撃し、最終的にファッジもあの人の復活を受け入れざるを得なくなった。
しかし彼がダンブルドアとの内紛に明け暮れていたこの一年間に、ヴォルデモートと死喰い人は巨人や狼男、そして吸魂鬼などを味方に付け、第一次魔法戦争や戦後に逮捕された死喰い人も回収して、勢力を再建させてしまった。


6巻『謎のプリンス』

冒頭で英国のマグルの首相のもとに出現し、ヴォルデモートが復活したことを告げた(以前はシリウスの脱獄時、クィディッチ・ワールドカップでマグルが攻撃された時、アズカバンからの死喰い人の集団脱獄時にマグルの首相の元に出現していたらしい)。
この時点で、彼が2週間にわたる魔法界の要求により、魔法大臣を辞任したことが明かされており、魔法大臣の後任にルーファス・スクリムジョールが着任したことが告げられた。
また、シリウス・ブラックが冤罪であったことなどもこの時点で知るようになっていた。
これ以降はマグルの首相との連絡役になっている。

巻末ではダンブルドアの葬儀に出席。
これを最後に彼の出番はなく、最終的な消息は不明。




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最終更新:2024年04月19日 11:49