バーチャルボーイ

登録日:2010/01/27 (水) 00:07:34
更新日:2023/07/13 Thu 14:50:04
所要時間:約 4 分で読めます





TVゲームでは表現できない立体感を生み出した!



1995年7月21日に発売された任天堂のゲーム機。
価格:15,000円。
発売したソフト:19(海外は22)

左と右で独立した映像をつくり、奥行きのある立体視を再現している。元々はリアリティあるゲームソフトを作る為に、このような構造になったのだろう。
外観は健康診断等に使う器械に見える。据え置き機にしてはテレビに繋ぐ必要がなく、携帯機にしては大掛かりなこのゲームを外でプレイしてたら明らかに不審者扱いされるだろう。
コントローラはグリップ型で、ボタンは十字ボタンと●ボタン2個を左右対称に配置。
モニタをのぞき込む構造上複数人プレイは無理だが、対戦・多人数プレイ用の通信ポートは存在した。
しかし結局、対応ソフトも通信ケーブルも発売されなかった(そのため海外版では通信ポートはなくなっている)。

画面は赤一色。
色数は単色・赤色LEDによる赤~黒の4階調と少ないが、画面の明るさを32段階で調整できる。画面の解像度は384×224。
赤一色の映像は決して見栄えが良いとは言えず、中にはレッドアラームやワリオランド アワゾンの秘宝などの良作も存在したのだが、
SFCやGB等の同時期機種でもだせる出来なのに何故バーチャルボーイにだしたのか疑問に思える作品が多かった。
即撤退によりバーチャルボーイの機能を生かしたソフトも少なく、DOOMやゴールデンアイ007*1のようなFPSや女神転生のようなRPGも発売されなかった。
赤一色画面、ソフトのラインナップの問題さえ解決したら今からでも人気がでるかもしれない。

機体も、机の上に置いて固定プレイしないと画面が見辛い為、乾電池が使えるとはいえ携帯するには絶対に向かない。
だが、中にはガムテープで顔とバーチャルボーイ本体をくっつけてプレイする強者も存在する。
頭にマウントするには大きすぎる躯体、交差法を用いた立体画像は予想以上に小ぶり、姿勢が制限されるため長時間プレイが辛い、等々、
ストレスばかり募る出来だった。
しかし発売したらこんなにも先見性のあるゲーム機になるとは……。

ハリウッド映画監督でもあったスティーヴン・スピルバーグは「すごいマシンだけども、カラーだったらもっと良い」と評価している。
また岩田聡からは「ゲームの映像がどんどんリッチになっていったあの時代においては、ちょっと分が悪かったですね」と言われている。

そのほか、宮本茂からは「商品自体が間違っているというよりも、商品の位置づけが間違ってたんじゃないか」と語られている。
曰く、「ぼくの中での位置づけは、あの機械は『おもしろいおもちゃ』」「ゲームのプラットフォームとして考えると失敗*2」とのこと。


発案者は横井軍平。
のちに任天堂を退社しワンダースワンを発案したが、その発売前に不慮の事故で帰らぬ人となった。
ちなみに彼の退社とバーチャルボーイの商業的失敗は特に関係はない。
また商業的失敗と言っても枯れた技術の水平思考の元造られたバーチャルボーイは低コストでの制作に成功しており、
国内外合わせて100万弱程度の販売台数だったが黒字だったため、任天堂の業績にはほとんど問題はなかった様子。

なお、不評の原因のひとつでもある『赤』い画面、
PTAや週刊誌を始めとして「目に悪影響与える」と批判を浴びたが、
実はむしろ目には非常に良いとされている(画面に奥行きがあるため目の焦点を頻繁に移動させる必要があるため、鍛えられる)。
15年以上を経て発売された後述のゲーム機にも同じような反響傾向がみられた。



任天堂は今まで僕たちにザッパーやスーパースコープ、ファミコンロボ、最近のゲームでいうとニンテンドーDSWiiなど様々な先見性溢れるゲームを見せてくれた。
きっとこれからも、僕たちを驚かすようなゲームを発表してくれるだろう。
バーチャルボーイもその一つで、任天堂のゲーム機を振り返る上で欠かせない。
バーチャルボーイも色々な意味ですごいゲーム機なのでプレイ出来る機会があったのなら是非一度は遊んで欲しい。



しかし やつらは あきらめなかった!

ニンテンドーDSの後続機である、裸眼で3Dゲームが出来る「ニンテンドー3DS」が、バーチャルボーイから継続して開発されていた*3
けっして歴史なんかじゃなかったぜ!

3DSも発売直後こそは震災の影響もあって苦戦したものの、強力なソフトラインナップを揃えてCSゲーム市場が低迷気味の中大きく普及に成功させる。
バーチャルボーイの立体視普及の願いは、長い時を経て達成された訳だ。やったぜ。

ちなみに赤カラーである『フレアレッド』も発売。益々バーチャルボーイらしさが際立つ。

なお、バーチャルボーイは今も任天堂公式サイトでちゃんと紹介されている
決して黒歴史ではない。

余談だが、3DSの存在からバーチャルボーイのVC化実現を望む声は多く、任天堂の株主総会でも要求した株主がいた。
これに対する社長の回答から、バーチャルボーイのVC化の可能性は高いといわれたが現時点で実現していない。
……もしかして、やっぱり売れないと思われているのか……。

その後、3DSは長く売れ続けていたものの、目玉機能の3Dは切られる事が多く、(特にコアユーザー)
後期には3D機能等を撤廃したのニンテンドー2DSも登場し、3Dはあまり受け入れられなかった。

平成後期には同じようなゴーグルのVR(ヴァーチャル・リアリティー)も登場し、バーチャルボーイの名が出る事もあった。
SONYもPSVRを発売し、ゲーム業界にはバーチャルボーイの様なゴーグルが多々見られるようになった。
だが、任天堂はVR業界に参入する様子は無く、SONYとは違う道を行くのだろうか。




…と、思っていたら!?



Nintendo Switchは歴代任天堂ゲーム機の集大成。
やや遅れて「Nintendo Labo」と称してSwitch本体をVRゴーグルにするとして任天堂がVRに参入。バーチャルボーイの血筋もここで継ぐ形となった。
更にそのちょっと後に発売した「ルイージマンション3」ではオヤ・マー博士との通信手段に「バーチャルブー」略して「VB」が登場。*4博士は「発売したら大ヒット間違いなし」と盛大な自虐ネタを飛ばしていた。それの画面を覗き込んでるという設定のメニュー画面も赤一色というこだわりっぷりである。




追記・修正は目の前にマリオの着ぐるみが立ってからお願いします。

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最終更新:2023年07月13日 14:50

*1 一応同タイトルの作品は開発予定だったのが、64版にも原作にもあまりにもかけ離れた内容だったらしく結局お蔵入りとなった

*2 ゲーム機としての方向性で売り出すにはバーチャルボーイは異色で、どちらかと言えばラブテスターやウルトラスコープのような任天堂玩具の路線であるため、まずはおもちゃから始まり、そこからゲームのハードとして自然に広がっていけば一番うれしい形だったとのこと。

*3 ちなみにこの3Dチャレンジは岩田社長曰く、ゲームボーイアドバンスSPの頃からサンプルがあったという。またゲームキューブにも3D対応の回路が組み込まれている。

*4 「ブー」はテレサの英名「boo」から取っていると思われる