きあいだま

登録日:2018/03/24 Sat 02:58:00
更新日:2024/02/18 Sun 01:11:43
所要時間:約 7 分で読めます




きあいを たかめて こんしんの ちからを ほうしゅつする。
あいての とくぼうを さげることが ある。


きあいだま」とは、ポケットモンスターに登場する技の一つである。


■データ


タイプ:かくとう
分類:特殊(非接触)
威力 :120
命中率:70
PP:5
範囲:単体
追加効果:10%の確率で相手の特防を一段階下げる
備考:特性『ぼうだん』のポケモンには無効化される


■概要


ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』にて初登場したと同時に、技システムの物理特殊の細分化によって生まれた初の特殊かくとう技。
項目冒頭にある技説明の通り、その名前や説明に違わず威力は120と非常に高く、特殊技のほとんどが威力ダウンされた第六世代でも威力据え置き。

しかもあくタイプはがねタイプに抜群なのはとても大きく、
これまでこれらのタイプに悩まされてきたエスパータイプゴーストタイプのポケモンにとってはまさしく救いの手となった。
また、特殊攻撃に滅法強いバンギラスナットレイへの数少ない有効手段になることから、現在では特殊アタッカー全体にとって、サブウェポンとして需要が高い技となっている。

しかし、ポケモンはそんな強力な技がそんなホイホイと使えるほど甘いゲームではない。
上記の強力なメリットの代償なのか、命中率は70と低めで不安定。
例えば「きあいだま」を二連続で撃つとなると、二回とも当たる確率は約五割ほどしかない*1ので、連発するにはかなり勇気がいる。
地味にPPも5(ポイントマックス込みでも8)と少なめで、相手がその気になってPP枯らしを仕掛けてくるとかなりキツい。

こんな不安定さから付いた別称が「 ワロス玉
ポケモンプレイヤーが技の命中率を話題にするとき、同じく命中不安定なことから「ワロスエッジ」とか言われる「ストーンエッジ」や元を辿るとさらに先に登場した同性能のタイプ違い技であり「ワロス」の由来である「クロスチョップ」、命中30という色んな意味で心臓に悪い一撃必殺技と大体一緒にネタにされる。

特にきあいだまは「こうかくレンズ」を持たせても命中率77とそのワロスエッジ、ワロスチョップ以下。
「フォーカスレンズ」でやっと「だいもんじ」より1劣る84。

ポケモンは1ターンを無駄にすると相手に莫大なアドバンテージを与えてしまうゲームであり、
このようなハイリスクハイリターンの塊のような技は基本的に忌避される傾向にあるが、何故そんな「きあいだま」が使われるのかというと、 全く替えが利かないから

「きあいだま」以外の特殊かくとう技を挙げると、
  • 威力40の特殊先制技だが使用者がほぼいない「しんくうは」
  • 威力80かつ必中。安定性の高さを誇るが使用者が極僅かな「はどうだん」
  • かくとうタイプ版「サイコショック」のケルディオ専用技「しんぴのつるぎ」
  • 威力60しかない「めざめるパワー」(第五世代までは威力31~70の変動制だったが、第六世代で60に統一された)

…これだけ。*2
特殊いわ技物理でんき技よりはマシだが層があまりに薄いので、大抵のポケモンが特殊かくとう技を使うとなると「きあいだま」しか選択肢がないのである。
当然だがこんなものは使わずに済むなら誰も使いたくないので、「きあいだまを採用する有意義な理由が見当たらない」ようなポケモンの場合は採用されることはない。
そしてそんなポケモンの方が稀であり、「はどうだん」も威力90の時代ならまだしも80では力不足すぎるので威力を重視するなら入れざるを得ない。
つまり3割の確率で勝算をふいにするクソ技にもかかわらず、それでも採用せざるを得ない

こんな事情により、今日のポケモン対戦はどこかしらで「きあいだま」が飛び交い、虚しく外れるそして発狂する光景が見られる。
多くのトレーナーにとってこの技は「できる限り採用したくない」技でありながら、同時に「頼らざるを得ない」というものでもある。

ただ裏を返すと、代替の利かない技に採用リスクを背負わせるというバランス調整はかなりうまいものである。この技が初登場した第四世代はポケモン対戦の理論が大きく大躍進した時期。
当時これまでハピナスで止められた特殊ポケモンたちが一転攻勢に出られるようになったり、ミラーコートで返して奇襲しようとしたらはずれて逆に手の内がバレてしまったり、こだわりメガネを持たせて撃つという狂気じみたプランが案外強かったりと、ポケモン対戦に面白さを添えてくれた技と言っても過言ではない。

また1割の確率で相手の特防を下げるという追加効果を持つが、「きあいだま」自体の命中率が低く、当たったとしても大抵一撃で相手を沈めるので発動する機会はほぼない。
恐らく全ての技の中で最も空気な追加効果だろう。
しかし『ちからずく』の恩恵を受けられるので存在意義は十分あるといえる。

サン・ムーン』では新システムのZワザが登場。
一度しか使えないが、「きあいだま」をZワザ化すれば、威力が190に上昇、 必ず当たるようになる という凄まじい強化を受け、命中率の不安定さはかなり改善された。
かくとうタイプが重くのしかかりそうなパーティと対戦する時は何処からかぶっ飛んでくる可能性を危惧したほうがいいかもしれない。

ソード・シールド』ではダイマックスシステムによりとくこう依存の「ダイナックル」にすることが可能。
これにより最大3ターンの間命中難を解消…できるものの、威力は120→95に下がり、追加効果もこの技を使う特殊アタッカーには全く恩恵がない「こうげき一段階上昇」と命中率以外なんとも微妙な性能なので、単純な強化とは言えなくなってしまった。
このダイマックス時の使い勝手の悪さに加え、対戦環境の流行り*3もあって剣盾での「きあいだま」は採用率が全体的に落ち込んでしまっている。

因みに「きあいだま」の技ムービーはDPから現在まで一貫して「頭上に巨大なエネルギー弾を作り、相手に向かって低速で飛ばす」というものである。
同じような技の「はどうだん」と比べると明らかにスピードが遅い…そりゃ当たらんわな。


■主な使い手


前肢を用いるかくとうタイプの技には珍しく、器用な手を持たずとも両腕を掲げられるポケモンなら殆どが習得する事が可能。
進化前やバンバドロなどの一部の四足のポケモンや何故かドラミドロも覚えるが、前肢が完全に翼のポケモンは覚えられない。
前述の通りサブウェポン需要が高いが、メインウェポンとして使用する格闘ポケモンはとても少ない。
特攻が攻撃を上回っている格闘ポケモン自体が極僅かなうえ、物理かくとう技は高威力高命中の強技が豊富なのが最大の理由。

古参のエスパータイプ。
ダイパの頃に物理技になった三色パンチとお別れした際に、代わるサブウェポンとして「きあいだま」が「シャドーボール」共々採用されていた。
命中は不安だが、エスパー技と相性がよく技自体の威力も他の攻撃技に比べて高い。

攻撃技に恵まれない種族が多い特殊型のこおりタイプとしては異質な存在。
特殊耐久の高さが有名だが特攻も最低限はあり、これと「れいとうビーム」「10まんボルト」の組み合わせで攻撃範囲も広い。

キングギドラのような3頭竜。
ある意味ではサザンドラのサブウェポンの代名詞のような存在で、第五世代では「だいもんじ」と一致技とこれで全ポケモンに威力200以上の攻撃が可能な非常に広い攻撃範囲を誇った。
現在はフェアリーの登場で「だいもんじ」との同時搭載は少なくなり、どちらか一方を覚えさせてもう片方を「とんぼがえり」などの枠にすることも多いが、結局どちらを覚えているかは当たるまでわからず、更には物理かくとう技の「ばかぢから」も覚えるので、そちらと合わせて迂闊な特殊受けとしてカビゴンやバンギラスを出させない抑止力になっている。

みんな大好き雷神おっさん。
バンギラスやナットレイを呼びやすく、主力のでんき技と相性がいいので採用されやすい。
第七世代以降では『いたずらごころ』弱体化によりアタッカーでの採用例が急増したので尚のことである。
安定性重視で『カクトウZ』を持つことも多い。

「はどうだん」を差し置いて特殊積みアタッカー型でよく採用される。はどうポケモンなのに…
特攻140から放たれる、特性『てきおうりょく』により強化された驚異の威力 240 の火力は魅力的。
命中安定の「インファイト」を気軽に撃てる物理型と比べるとやはり安定しないが、『いかく』ややけどの影響を受けないのであちらより受けを崩しやすいという独自の利点がある。

弱いワケがない鎧竜。
USUMで「インファイト」を習得するまで、物理かくとう技があまりに貧弱だったことから特殊型が主流だった。
現在でも専用Zワザを使った後の瞬間火力を重視して採用されることがある。

美脚のゴキブリ。
両刀型が主流だが、強力な積み技「ちょうのまい」があるので「きあいだま」を主力に据えた特殊型も強力。

ポケモンGOでのきあいだま


本作ではスペシャルアタックとして登場する。
威力は、ジム・レイドバトルでは140、トレーナーバトルだと150と申し分ない。
更に命中率の概念が存在しないので、外す心配もなく存分にブチ当ててやることができる。
ただし本編での取り回しづらさはある程度反映しているのか、1ゲージ技なので使用可能となるまでに時間がかかり、
またジム・レイドバトルでは発動から着弾までが遅く、硬直時間も長いというデメリットがある。

かくとうタイプでこれを覚えるポケモンは意外と少なく、むしろ他のタイプのポケモンが覚えることが多い。
かくとうポケモンだと、大抵は他の使いやすい技に軍配が上がりやすいが、
そうでない場合は基本的にこれが唯一のかくとう技となるため、サブウェポンとして重宝するだろう。


■アニメでのきあいだま


飛び道具技で見映えがいいからか、「シャドーボール」や「はかいこうせん」のように様々なポケモンに使用されている。
しかし使用ポケモンはゴーリキーリングマなど特攻が低く、物理かくとう技が豊富なポケモンばかりである。
まぁ遠距離攻撃が出来るという意味では理に適った技の選択ではあるが。
技の放ち方は両手を合わせて作り出したエネルギー弾を相手に発射するというものである。


■余談


登場以来、わざマシン52の中身は長らく「きあいだま」だったが、剣盾で「とびはねる」になった。「きあいだま」はわざレコード64に移動。

わざマシン(レコード)では多くのポケモンが覚えられるこの技だが、その反面レベルアップで習得するポケモンは異様に少ない……
どころか、なんとイベルタルのみ(XY~USUMではLv72、剣盾ではLv75)となっている。

またXYでは高威力の特殊技の威力が軒並み低下したが、「きあいだま」は数少ない威力据え置きの特殊技となった。
命中率の低さと、「かみなり」や「ふぶき」のように天候で必中化できないことが理由か。
ただ、どちらかというと威力低下と引き換えに命中率を上げて安定性を上げてほしいという声も多い。


追記・修正は、きあいだまを三連続で当てた人のみお願いします。

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最終更新:2024年02月18日 01:11

*1 70%×70%=49%

*2 「いのちがけ」も特殊格闘技の分類だが、自分の残りHP分のダメージを与える代わりにひんしする自爆技の一種なのでここでは取り上げない。

*3 前世代から引き続きかくとうタイプの通りが悪く、サブウェポンの需要においてほのおタイプに劣りがち。格闘弱点のメジャーなポケモンもカビゴン、ラッキー、ポリゴン2、バンギラス等ことごとく特殊耐久が非常に高い。