狩魔豪

登録日:2011/10/16(日) 17:07:59
更新日:2024/04/14 Sun 14:53:59
所要時間:約 10 分で読むがいい




決定的な証拠。決定的な証人。
‥‥他に何か、必要なものは?


狩魔豪(かるまごう)とは、『逆転裁判シリーズ』に登場する検事。65歳。

声:杉森雅和(音楽担当、1本編)/武虎(特別法廷2010)/?(CR逆転裁判)/大塚明夫(アニメ版)/小村哲生(パチスロ版)
演:石橋凌(実写映画版)


40年間無敗を誇ってきた検事局の生ける伝説。
御剣の師匠であり、の父親。彼らの狂ったファッションセンスの原点はこの方。歩くときは杖をついている。

実際ファッションへのこだわりは強いようで、『逆転検事』では、「検事バッジは身に付けずにしまっておくもの」という持論を語る。
理由は「無闇に見せずしまっておくのがオシャレ」「バッジなどなくとも検事としての威厳は自然と身につく」「服に穴を開けるなどもってのほか」とのこと。
彼が他の検事達に提言した結果浸透したらしく、事実これまでのシリーズの検事キャラでバッジを身に付けているのは一柳のみである。

おそらく、メタ的には最後の理由がメイン。バッジをつける場所がない服を着させる為にこんな持論を持たせたのだろう。
ちなみに現実の検察官はバッジこそが身分証明の手段になるので携帯・呈示義務はあるが、着用義務は一応無い。


逆転裁判』の第4話(最終話)「逆転、そしてサヨナラ」の担当検事として成歩堂の前に立ちはだかる。

「狩魔はカンペキをもってヨシとする」の体言者であり、被告人を全て有罪にして完璧に勝利することを信念とし、そのスタンスは弟子たちにも引き継がれている。
長年、検事・オブ・ザ・イヤーを受賞してきてもいることからも優秀さがうかがえるが、その裏では証拠隠滅や証言操作等、御剣以上に悪質な不正に手を染めている。御剣曰く「私の20倍タチが悪い」
その評価は決して誇張ではなく、尋問においても悉くこちらの揺さぶりを邪魔してきては裁判長を差し置いてペナルティや法廷侮辱罪を科してきたりと、弁護側に有利に傾く情報を徹底的に塞ごうとして来る。
このため、第4話は『1』の中でも屈指の難度を誇る。


場数が違うためか威厳も余裕もたっぷりで、渋みのある「異議あり!」や指パッチンは有名。
彼が動揺するシーンは最終日の最後の方でしか拝めない。
実はブレイクシーンの一部が裁判2日目で一瞬だけ見られるのは内緒。

ちなみにチッチッチッのモーションは若御剣、鋭い睨み付けと眉間のヒビといった特徴は現在の御剣、腕組みした時に袖を握りしめる癖は冥に引き継がれている。

上記のように(躊躇なく不正を働く以外は)厳格な人物であるはずなのだが、意外とお茶目だったり、どこか間の抜けた面も見せている。
  • 自分で「本日の法廷は、これより3分以内で終わるだろう!」と予告して、成歩堂に「くだらぬ質問をせずに協力したまえ!」と(理不尽な)要請をする。
    • タイムリミットが迫ると裁判長に判決を急かし、成歩堂による尋問で3分の超過が確実となると、激しく狼狽する。
  • 証拠隠滅のためにオウムの調教をやってのける。
  • 自分のキャッシュカードの暗証番号を法廷で堂々とバラす。*1
  • 実は愛妻家で、妻について皆の前で「料理のウデは一流コックにも勝っておる!」と断言する。
    • 『1』の第4話の時点で7歳になる孫がいるらしく、冥以外にも息子か娘がいることが読み取れる。
  • 事件の指示書」を手書きで送りつける。筆跡鑑定とか考えなかったのだろうか*2

デザインはボツになったオッサン御剣を吸血鬼っぽくアレンジしたもの。


御剣が主役となる『逆転検事シリーズ』でも『1』と『2』に登場。



これより先は、重大なネタバレがある。心して読むことだな、弁護士。
























実は15年前の「DL6号事件」の真犯人。つまり弁護士だった怜侍の父・御剣信殺した張本人である。


完璧主義者の狩魔は、40年間は無敗にして経歴も完璧を保ち続けていた。
しかし『検事2』の「IS-7号事件」での法廷で、被告人の弁護士だった信に不当な証拠を指摘されてしまい、
今まで完璧だった経歴に「処分」という汚点を刻まれたのだ。


ショックのあまり自失していた狩魔がようやく気を取り直した時、裁判所は地震の影響で停電になっていた。
壁伝いでエレベーターの前に来た途端、エレベーター内で御剣怜侍が灰根高太郎に向かって投げ暴発させた拳銃に肩を撃ち抜かれる。

突然の焼け付く肩の痛みの中、裁判所の電気が回復しエレベーターが開いた。
その時狩魔の目の前に広がっていたのは、酸欠で気を失っていた憎むべき弁護士と、床に転がっている銃。

まるで運命の導きだと思いながら、狩魔は床の銃を拾い、信の心臓に向かって撃ったのだった。


そしてDL6号事件の時効が切れる直前に、自分の肩を撃った復讐として怜侍を犯人に仕立て上げようとしていた。
なぜ怜侍を引き取ったのかは明かされていないが、復讐説が有力か。
いずれにせよ、御剣の人生を狂わせ、彼を15年にわたって悩ませ続けたのは確かである。

しかし、最終的には御剣の弁護を担当した成歩堂によって真相を暴かれ、決定的な証拠まで抑えられてしまい、時効ギリギリで殺人罪で逮捕された。

実はこの時点で彼にはまだギリギリで無罪になる道が存在していた。
それは、上記の通り時効目前であることを利用して、手段を問わず徹底的に御剣の判決を阻んで翌日を迎えること。
これは自分がDL6号事件に絡んでいると疑われる要素が露見しつつあった最終日冒頭からできたことだが、そのような手段はとらなかった。
裁判中にしても、証拠品として体内に残留しているであろう弾丸の摘出を要求されており、手術を何らかの手段で引き伸ばしたりもできた。
そもそも本気で時効待ちをする気があるなら、時効直前に殺害教唆なんてしないし、するならするで28日が審理初日になるようなスケジューリングにするなどの手段はあった。
時効の件を差し引いても、その後に控えているのが自分への有罪判決であるにもかかわらず、至極落ち着いた様子で無罪が確定したであろう御剣の判決を速やかに進めるように促している。
また、後述するように復讐を企てた様子もない。
おそらくであるが、経歴に傷がついただけで取り乱し殺意を抱いた彼が落ち着いていたのは、それが自身の「完璧な敗北」であったからだと思われる。
思い出してほしい。彼の座右の銘は「完璧を以って良しとする」である。つまり、勝利することではなく、一切の遺憾なく決着することといえる。
御剣信が彼に殺意を抱かせ殺人まで駆り立ててしまったのは「不正の公表というケチをつけられた上での勝利」という半端な決着を付けてしまったためということになる。
わざわざ時効目前にこのような計画を実行したのも、棘を抱えたままばれずに時効という形を「半端な勝利」とし、DL6号事件関係者を全員自らの手で制圧するという「完璧な勝利」を目指したからであるなら理由として成立する。
娘も娘で勝とうと思えばその場で勝てた裁判を自分のプライドで続行して潰し、ナルホドに逆転敗北を喫しているし

その堂々とした振る舞いと徹底した悪役っぷり、それでいて敗北した際の醜い抵抗をしない潔さから、
逆転裁判シリーズ中、最もラスボスらしいラスボスとして名高い。



逆転裁判2』の時点で収監され最早法廷に立てる状況でなく、『逆転裁判3』で死亡したことが仄めかされているが、双葉社(編著はレッカ社)の攻略本『逆転裁判3 真相解明マニュアル』のみ「狩魔豪の死刑執行」と書かれている。
実際攻略本の記述に照らせば、御剣信殺害だけならば少々厳しすぎる気もするが、彼の場合は生倉弁護士の殺人教唆もやっているのでこれも有罪になった場合は、実質2人殺している事になる彼が死刑判決になるのも仕方がないだろう*3
また2年足らずで執行されたのも敢えて控訴などせずさっさと執行するよう言ったのか、あまりに拘置所での態度が悪すぎたのか、はたまた検事だった性質上(実は疎んでいたという後付け設定的なものだが)検事総長だった一柳万歳がとっとと処分する意図もあったのか(3のある人物はパクられてから死刑執行まで割りと期間があった)。

御剣は狩魔に対して、父親を殺し自分の人生を狂わせた仇として憎む気持ちと、検事としての在り方を教えてくれた恩師として尊敬する気持ちを持ち合わせており、
非常に複雑な心情を抱いているようである。

また、彼が起こしたDL6号事件は、御剣や「殺人犯の娘」という烙印を押された冥だけでなく、綾里家や成歩堂やゴドーの運命をも大きく狂わせた。
彼が逮捕され事件が解決した後も、事件の影響は『3』までの物語に暗い影を落としている。



ちなみに、映画にももちろんラスボスとして登場している。が、色々とキャラが変わっている。
まず恰幅めっちゃいい。吸血鬼と言うより成金のオッサン。

クリーンなイメージで売っているらしく、強引な手段で有罪判決をもぎ取る御剣に師として釘を刺したり、
御剣の裁判初日マスコミの前で成歩堂と笑って握手したりしてした。

最終的には、映写機の故障か演出なのか分かりにくいブレイクモーションを披露する。
言っていることはブーメランな上に全くもって潔くないし何かと無様な醜態を晒し、法廷を後にした。
ただし改悪とみるかは貴方の心の器次第。

アニメ版では大方ゲーム通りの設定になっている。
しかし、前述の指示書が機械の文字になっていたり(尺の都合もあるだろうが、つまり書類作成程度ならパソコンを使えることになる)、
御剣信の命を奪った弾丸と拳銃を自分の執務室に持っていったり(そして自分の執務室を荒らされることも想定していた)と、より「完璧」な存在に昇華している。しかし最後は御剣の案内で執務室まで弾丸を取りに行った真宵に証拠として突き付けられ敗れた。
最後まで堂々とした姿勢を崩さなかったゲームと違い、憔悴しながら全ての真実を自白した後、「あなたを撃ち抜いたのは銃弾ではなく、真実です!」という言葉で成歩堂にトドメをさされて崩れ落ちた所で係官達に取り押さえられ逮捕されるという結末になった。ゲームに比べ、こちらの方では「やっつけた感」のある演出に変わっている。

アニメオリジナルエピソードでは、引き取った御剣を施設に送ることを考えていたが、御剣が論破するシーンを見て自身の手元に置くことにした。その際、自身の罪について思うところがあったようである。ゲームの通りなら一切矛盾はないがアニメで憔悴してるんじゃぁねぇ…




ついでに、TGSの『特別法廷』では2010年版にのみ出演。
前述の経緯もあり、ある種亡霊のようなものだったが、最終的にブレイクモーションさながらに絶叫しつつ除霊された。

あと2008年の『オーケストラコンサート』の声無し部分にもちょっとだけ出ている。
トイレが近いらしい。やっぱり寄る年波には勝てない様子。





ワガハイの好きな言葉に「追記・修正」というものがある…

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最終更新:2024年04月14日 14:53

*1 日本語版では4649、欧米版では自分がナンバー1と思っているので0001。

*2 アニメ版ではワープロで作成していた。

*3 実際の日本の刑法における殺人教唆は刑法60条の共謀共同正犯と同61条の教唆で正犯とされ殺人と同じ量刑である