記憶処理(SCP Foundation)

登録日:2017/10/26 (木) 22:13:30
更新日:2024/04/05 Fri 19:27:03
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本記事では、シェアード・ワールドSCP Foundationで頻繁に登場する用語の1つである「記憶処理」について解説する。

前提

SCP Foundationはシェアード・ワールド、即ち基本設定を基盤とはするが、不特定多数の著者が各々に作品を投稿する場である。
従って、作品内に登場する用語の意味合いは、著者が異なる以上変化する場合も多い。
特にSCP Foundationにおいては、本当に基礎的な概念以外には、実は "公式設定" と呼べるようなものが存在しない事が往々にしてある。
記憶処理と言う単語もその例外ではない。

従って、これから行う解説も、多くの著者によって共有されている設定を前提として書くのであって、決してこれが絶対的に正しいとは限らない事に注意してほしい。

記憶処理とは

SCP Foundationにおける財団とは、異常であるか超自然的な物体や実体、現象の封じ込めを取り扱う秘密組織である。
財団はその存在そのものが一般には秘密であるし、封じ込めているオブジェクトの存在も同様に一般には秘匿されているか、偽の情報を流布している。
しかしながら、世界中に広く分布するオブジェクトが、そうも毎回一般の目に晒されない場所にあるとは限らない。
というか、オブジェクトの発見に一般人が絡んでいる事は往々にしてある。一般人が所持している一見普通に見える製品や、一般人も立入可能な場所が実は異常性を持っていたという具合である。

勿論、財団もこういったオブジェクトの回収の際に、最初からあからさまに怪しい行動はしない。例えば地元警察を装って証拠品として回収するとか、製品そっくりなオブジェクトなら業者を装って修理の為の交換と称し普通の製品に置き換えるなどである。状況に応じてもっともらしい理由を付ければ、元々の所有者が疑うリスクは低い 。
とはいえ毎回そうであるとは限らない。例えば目の前で明らかに異形の生物が暴れまわっていたら、忘れろとか秘密を守れと言われても無理な話である。回収のために機動部隊が展開して、さながら戦争のようになっても同様だ。
では口封じに殺すのだろうか?あるいは財団が勾留したりDクラスに割り当てるのだろうか?事例によってはそういう場合もある (特に盗難品だったりオブジェクトを犯罪に使っていた場合) 。
だが、さすがに知ったという理由だけで人権を侵すような事をするのは財団の倫理規定に反するし、大体ある日突然隣近所の人が消えたらそれはそれで怪しすぎる。

他にもっともらしい理由でごまかせず、かつ人権を侵す理由もない場合、それまでに起きた事を "無かった事にする" 方が確実でコストもかからない。
これに使われるのが「記憶処理」である。早い話、記憶を消すのである。
他作品で言えば『メン・イン・ブラック』に登場するニューラナイザーのようなものである。

非財団職員に対する記憶処理は以下の場面で使われる。
  • 異常性質に遭遇した一般人に対して。
  • オブジェクトの所持者なら、所持に関わる過去の記憶に対して。
  • 機動部隊の展開など、一般人に財団の活動が分かるような行動をせざるを得ない場合。
  • 財団のサイトやオブジェクトの所在地に入り込み、機密に当たる物事を知った一般人に対して。
  • インタビューや尋問を行った後解放する場合に、それを受けた記憶が残っていると不都合な場合。

そして財団職員 (Dクラスも含む) に対しては以下の用例がある。
  • Dクラスの月例終了 (いわゆる "解雇" ) 。
  • 機密保持の為、記憶処理が義務化されている場合。
  • ミーム汚染、認識災害などに対する治療法として (部分的、あるいは完全に無効な場合もある) 。
  • ルール違反した者に対して (適切なクリアランスが無いのに高度な機密情報に触れた等) 。
  • 残酷過ぎる場面に遭遇した等、トラウマになり得る記憶を消す為 (希望制で認めている場合もあるが、逆に個人的な事情では認められない場合もある) 。

特にDクラスの月例終了は、Dクラスの "解雇" の解釈にも関わる事である。
Dクラスは、機密保持の為に1ヶ月の "雇用" の後に "解雇" や "終了" されているというのが一般的に共有されている設定である。
まだSCP Foundationが発展していなかった頃は、これを文字通りの意味で処刑していたと解釈していたが、財団が大規模化する内に、Dクラスがいくらいても足りないという理由から、記憶を消す事で人命を使いまわしする方法へと解釈が変わって行ったのである。
勿論、解釈は解釈なので、今でも処刑と考える書き手もいるが、そこは自由であろう。
なお、記憶処理を記憶消去だけでなく、偽の記憶を植え込むと解釈する書き手もいる。

記憶処理剤

ところで、記憶処理を行うには、何らかの方法が必要なのは当然である。
現在では一般的に、記憶処理剤と呼ばれる薬剤の形態であると設定されるのが一般的である。
もっとも、これも書き手の設定次第であり、例えば光を当てて記憶処理が行える機械があるという設定等、様々な記憶処理の形態が登場している。

最も有名なのは「記憶処理取り扱いガイド」であろう。
しかし、体裁が整っている故誤解されやすいが、これはあくまでLurkD氏によるTaleであり公式設定ではない事に注意。
しかしながら、同時に多くの書き手に共有されている設定である事も事実である。

クラスA~C記憶処理

記憶処理には、その強度に応じてクラスAなどのアルファベットによる区分がある。
その中でも、多くの書き手に共通して使われるのはクラスAからクラスCまでの3段階である。
一般的に、クラスAは最も強度が低く、アルファベットが下ると強度が上がっていくと書かれている。また、強度が低い記憶処理剤は空気中へ散布可能であり広範囲に使えるが、強度が上がると経口摂取や注射のみになるなど、摂取方法に差がある。
なお、上述した記憶処理取り扱いガイドでは、クラスAのみ散布可能であり、クラスBは経口摂取と注射、クラスC以降は全て注射とされているが、クラスBやクラスCでも散布可能とする設定もある。
また、一部にはクラスA~Cの強度が逆であり、Aが最も強くCが最も弱いとする設定も存在するが、少数派である。

クラスD以降

クラスD以降は、登場する数が減るために、設定を一般的に論ずる事は難しい。
単に強弱による物とする設定はある一方で、例えば特定の情報災害に対するものなど、対処する記憶の種類によって使い分けられているとする設定も存在する。
記憶処理取り扱いガイドによれば、クラスD以降はクラスFまで存在する設定となっている。
記憶処理取り扱いガイドにおける設定は大雑把にまとめると以下の通りとなっている。
  • クラスA~C: 一般的な記憶処理。違いは消す事が可能な記憶の長さや接種方法。
  • クラスD: 異常性精神病及び/又はミーム侵襲への対抗措置として使われる。
  • クラスE: 記憶を完全抹消する。というのは嘘であり、本当は人為的に植物状態に置く薬剤。終了が望ましくないか不可能な場合に使用。
  • クラスF: 記憶を完全抹消した上で別の人格を植え付ける。人型SCPの収容に使えるかもしれないが、現在臨床試験中。

クラスG短期記憶消去

SCP-1400-Bになった財団職員に使われる記憶処理。
これで「軽減」なのだから恐ろしい。
再度注意するが、上のランク付けはあくまでLurkD氏によるTaleであり公式設定ではない。

Y-909


SCP-7891-KO-EX (記憶消失マッシュルーム)

韓国支部にあるオブジェクトであり、見かけはマッシュルームに似たキノコ。
EXが末尾に着く通り、何とオブジェクトクラスはExplained指定である。
SCP-7891-KO-EXの胞子を嗅ぐと記憶が消去されるが、財団の研究により、これは神経細胞の成長を逆転させる作用である事が分かった。
また、副作用を伴わず、逆成長した神経細胞もその後ちゃんと成長を開始する為に、財団はSCP-7891-KO-EXを、既存の後頭部強打による記憶消失の誘導より確実
と判断。
財団の科学部門による原理の解明でExplainedに指定、O5評議会の承認により記憶処理剤の生成が開始された。
つまり、SCP-7891-KO-EXはY-909とは異なる記憶処理剤の原料と言う事になる。

アンニュイ・プロトコル


アヘン/クロロホルム

かつて記憶処理に使われていた物質。SCP-3000に登場した。
どちらも鎮痛や鎮静作用があるが、前者は麻薬、後者は毒性が強いという特徴がある。
神経に影響を与える物質なのは確かなので記憶処理も理屈的には可能だが、財団が "暗黒時代" と形容するように、その副作用は大きかったと考えられる。


クラスP記憶処理

ネタです。
クラスPのPとは、つまり物理的にぶん殴るアレの事である。
後頭部に強い衝撃を与えれば確かに記憶が飛ぶ場合があるが、当たり前だが不確実な上に、最低でもケガ、最悪死ぬ場合もあり、どう頑張っても使い勝手のいい物ではない。
一部の報告書では本当にかつては使っていたかのような書き方をしているのがあるが (その例の1つは上記SCP-7891-KO-EX) 、いずれにせよ現在は使われていない。
しかし、所持者に自身を無敵だと思わせるなまくらな剣であるSCP-572(パッと見無敵のカタナ)では、心理的影響を取り除く方法として「被験者の後頭部への迅速な打撃」が挙げられている。
また、日本支部職員エージェント・ヤマトモはABクラスの記憶処理剤に耐性を持っているが、Pクラスで簡単に記憶を消せるため、とりあえず何かあったら殴っとくこちらの使用が推奨されている。
ヤマトモ「自分がSCiPに思えてきて夜も眠れない」→即座にPクラス記憶処理を実行。


幸せスープ

SCP-2419に登場する。死亡したDクラスから抽出した、精神を優しく親切にする要素。
投与されると新しく、快適な偽の記憶を作り上げる。

改訂版記憶処理薬ガイド

上記で引用した「記憶処理取り扱いガイド」とは別に、記憶処理についてまとめたガイドがある。
こちらの設定によるとクラスの違いは効果の大小ではなくどういう性質の作用かで分けられている模様。
どうやらこちらのTaleの設定では非異常性の薬品合成のみで作れるらしい。その結果……。

なお作品中でこの記憶処理薬が「問題のあるもの」として扱われている事もあってか「記憶処理取り扱いガイド」に比べると単独のtaleとしての趣きが強いが、
SCP-1682-JPなどのように、登場する記憶処理手段がこちらの設定であると明記された報告書も少数ながら存在はしている。


液嚢

ヒドノラ属の変種である自我を持った植物(SCP-3171)が実らせる木の実のような何か。
高度な知性とポエミーな感性を持ち、少々気難しい性格をした彼らからこの実を得られるようになるまでには、とあるハプニングと、 ものすごく回答に困るいきさつ があり……?
幸せスープやY-909なんかよりは遥かに安全かつ、採取の過程に命の危険も無いのは確かなのだが、確かなのだが……えっと……うん、 とりあえず詳しい内容は記事で。

その他

SCP-678 (トラウマを刈るもの) と指定されてる像は、触れた人の記憶から強いトラウマを示す物を奪い取る為、記憶処理の代替えとして利用が検討された事がある。
しかしながら、その副作用が強すぎる為、現在では真面目には検討されていない。
SCP-939(数多の声で)の吐き出す謎の気体 AMN-C227 は、クラスCの記憶処理薬と同じ性質を持っており、
試験的に代用されたことがあるが、AMN-C227の濃度が高い方へ既視感を覚える副作用があり、
投与された人物が野生のSCP-939の餌食となる 危険が発覚して即刻使用中止された。

記憶処理を題材にした物としてSCP-3000-EX (改造された医療用ベッド) がある。
その内容をここに書く事はしない。実際にご覧になった方が良いだろう。


機密保持の為、この記事の追記・修正の後にはクラスA記憶処理が施されます。



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最終更新:2024年04月05日 19:27