内村完爾

登録日:2017/10/15 Sun 17:18:39
更新日:2024/03/24 Sun 12:15:19
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バカモノ!!


内村完爾とは、テレビドラマ『相棒』の登場人物である。

演:片桐竜次


人物


警視庁刑事部部長で階級は警視長。
プレシーズン1から登場しているレギュラーキャラだが、フルネームが設定されたのはS5から。ちなみに初登場時は誰に対しても敬語を使っていた。
眼鏡をかけた頑固そうな人物で、常に顰めっ面。官房長には「視聴者の同情を買うにはあなたは少々悪人面」だと言われている。
作中では参事官である中園照生とセットで登場する機会が多い。

警察上層部では最も特命係の存在を疎ましく思っていると言っても過言ではなく、特命係が捜査に加わり勝手な行動を取る度に彼らを呼びつけて「バカモン!」と烈火のごとく叱りつけたり*1、特命係の功績を一切認めないどころがその手柄を自分のものにしてしまう事もある。
それでも杉下右京の優れた推理力自体は影では認めているようであり、最近では特命係の有用な利用方法を見出している。

そこまで手柄に執着しているのはやはり出世願望があるからで、自身の出世のためならば手段を選ばないところがある。
自分にとって利があるかそうでないかで態度を翻すなんて事はよくある事で、警視庁内部で発生した不祥事は何としても揉み消そうと尽力する事もある。力の入れどころがおかしいのは言うまでもない。
暴力団との癒着も囁かれており、S16-最終話では実際に伝手を使いとある極妻と密会を果たしており、S19-1では前述の話で名前だけ出てたその人物とオンラインで会談している。
警務部部長をライバル視しており、S2-18では警務部長を失脚させようとして事実を捻じ曲げろと伊丹憲一に指示を出すが、流石にこの命令はその場で突き返され、伊丹に「勝手にやりゃあいいだろ!」と怒鳴られていた。
以上の事から周囲からの評判はお世辞にもよろしくなく、裏相棒では三浦信輔総監や副総監に嫌われてるから出世できないと陰口を言われていた。それでも刑事部長という要職に就いている気がしなくもないが…。
また劇場版2に登場した警視庁幹部人事刷新案が実現していれば、広島県警本部長*2になるところであった。
それでも一応ある程度の人望はあるようで、S12-10で犯人に狙撃され入院する事になった時には復帰後に部下が「退院を祝う会」を開いてくれていた。

過去に剣道に打ち込んでいた事があり、S5-7では剣道の達人同士の果たし合いで殺人が起こった*3と報告されて「まだこの国にも侍がいたんだな」と感動し、部長室で素振りの真似事をやっていた。
女優の島加代子の大ファンで、彼女の代表作の台詞はある程度網羅している。S5-19では島の事を熱く語っていたが、この時の内村は妙にかわいかったりする。
ウイスキーのレッドカウを好んでおり、批評家がそれをけなすと途端に不愉快になっていた。
S17-16で大学時代に山岳部に所属していたという過去が判明、その時からの友人が殺人事件に巻き込まれた時は自分から率先して容疑者役となった。
また家では毎年正月用のを自分でついているらしいあたり、プライベートではいいお父さん/お爺ちゃん又は親しい友人という顔もあるのかもしれない。
最近は虫歯の治療をしているらしく、甘いものを控えて青汁を飲むようにしているが、気分次第で甘いものを食べていたりする。

「きつーく叱っておきなさい」と子供に言うように指示を出したり、2ちゃんねる用語の意味が分からず棒読みにしたりなど、たまにかわいいところを見せる事がある。


性格


非常に怒りっぽく、作中で登場する際は常に苦虫を噛み潰したかのような表情をしている。
また前述のようによく部下の手柄を奪っては自分のものにしているが、仕事のミスは全て中園などの部下や所轄署に押し付けたがるという困った面もある。一言で言うと、人としての器がかなり小さい人物。
面倒ごとに関わる事も嫌っており、事件の会見は「寝違えたから首が痛い」などの理由をつけてほとんど中園に任せ*4、S6-15で爆弾魔との交渉役に伊丹を指名しつつ「そこまで言うなら任せてやる」とまるで伊丹が志願したかのようにすり替えて責任逃れをしていた。
当の本人はこれでうまくやっているつもりなのかも知れないが、この性格のせいで周囲からの評判が良くないのは前述のとおり。

しかしS19-10にて暴力団との乱戦に巻き込まれ、頭をバットで殴られ意識を失う。
そのまま病院に運ばれたが、手当の甲斐無く一度死亡が確認された。
だがあの内村がそう簡単に死ぬはずがなく、なんと息を吹き返す。
すると、頭を打ったせいなのか臨死体験でもして人生観が変わったのか、
今まで影で手を組んでいた暴力団相手にもはっきりと決別を表明する、邪険に扱っていた特命係にも協力を求めるなど急に正義に目覚めた
挙げ句今までの自分が出世第一の人間だったことも反省しており、それからも決別するような事を言いだした。
新生後は正義の為に動き悪を許さない男になったのだが、頑固な所は変わっておらず相変わらず中園を振り回している。なまじ言うことが正論になった為更に質が悪くなった部分もある。
そんな内村だが周りから良い目で見られておらず、捜一トリオには面倒くさがられており、S.19現在の副総監である衣笠からは「正気に戻りなさい」と狂気扱いされている。
正義の味方である警察のリーダー警視庁刑事部長が正義を実行することが「狂気」と言われるのだから右京さんが疎んじられるのもわからなくもない。
そして卑怯な事、姑息な事を嫌うようにもなったのだが、最悪の場合はそういった手段を取ることもあるなどかつての内村とは180度違う好漢と化した。
新しい口癖は「デュー・プロセス(法の適正な手続き)」
…なのだがやはり根は頑固な為、正義に目覚めたというのに卑怯な手段を使わざるを得ない時は憤慨し、まさかの部屋の(自分で用意した)額縁を投げ捨てていた

右京は「臨死体験をしたあとは性格がガラリと変わることもある」と分析していたが、少なくともそれで性格が変わったのは事実。巷ではまた頭を打ったら元に戻るのではないかと言われており、実際にそうなった。
放送開始20年目にして「超☆新生」した部長からは目が離せない状況になった。
まぁひょんなことで元に戻るだろうという視聴者の期待?を裏切り、S20でもほぼそのままであった。
とはいえあくまでデュー・プロセスを重視するようになっただけで特命係に加担したわけではなく、警察の正義や法に反すれば彼らに躊躇せず厳罰を与える。
でもやっぱり内村さんも人の子なのでデュー・プロセスさえ守っていれば私欲で人を動かすこともある。

Season22第8話までは上記までの性格だったが、更にSeason22第9話に、再び扶桑武蔵桜の事件絡みの際、中園からある報告*5を受けるが、その内容に驚いて頭痛を起こした所為で階段から転落してしまい、またしても生死の境を彷徨う羽目になる。
そして、その際に桑田の幻影から「自分らしく生きろ」と声をかけられ、無事に生還すると、かつての非常に短気で頑迷な刑事部長に戻っていた…のだが(視聴者から観ると、以前の変化と比べてかなり唐突)、衣笠からは完全には元に戻っていない節を疑われており、一連の経緯の詳細を知っているであろう中園は何を思ってかどこか嬉々とした様子で動き回っている。
同シリーズ最終話では、無断で捜査を行っていた特命係の2人をかつてのように呼びつけて説教をするのだが、右京を「赤ん坊以下」とこき下ろした後で右京に赤ちゃん言葉で話しかけて露骨に小馬鹿にするような言動を取ったり、締めに「言うことを聞かないとゲンコを喰らわすぞ」ととんでもないことを言ったりと、周囲の想像通り、完全に元通りになったわけではないらしいことが明らかになった。


能力


立場上事件現場に現れて捜査を行う事はないが、会議の際に大河内春樹の間違った推理を疑う事なく採用してしまった事もあるので、それほど推理力は高くないと思われる。
匂いだけで特命係が捜査に関わっているかどうかを見抜けるという特殊能力(?)を持っており、彼らの行動パターンを読んで鑑識課に右京あての電話を掛けた事もある。
現場に出ることは皆無というわけではなく必要とあれば出向き、またそれなりに場数は踏んでいるのか、暴力団相手に大立ち回りを演じる戦闘能力を発揮することもある。
しかし彼が一番すごいのは驚異的な回復力。
S12-10では狙撃されて重傷を負うものの、その回のラストでは無事に職場復帰。
S19-10でも後頭部をバットで殴られて一度死亡宣告されるも復活するなど、良くも悪くもしぶとさを発揮している。

反面、やはり年齢もあってかコンピューターやインターネット関係に疎く、その知識不足で恥をかくことも多かった。
だが超新生はそういった苦手分野にも果敢に挑戦。
S21最終話ではなんとTiktokにドはまりするというおちゃめな姿を見せた。
その楽しそうな姿には衣笠も「あっ、そ!!!」と悪態をつくしかなかった。


特命係との関係


特命係の事を「警視庁にとって無いに等しい存在」として認識し、常に特命係の行動に目を光らせている。
たまに特命係の廃止を上層部に訴えるも、毎回何かと理由をつけられて却下されている。最近では諦めつつあるのかそのような描写は少なくなった。
係長である右京の顔を見るだけでムカムカし、特命係が勝手な行動をすると、右京とその部下を自室に呼び出して怒鳴りつけるのがお約束となっている(当の特命係には全く効果がないが)。
特命係を説教する事にかなり力を入れており、彼らを呼び出して怒る前に発声練習をしていた事もある。
右京の進言は基本却下、捜査一課に発破をかけて特命係より先に事件を解決させようとするが毎回出し抜かれている。
他にも政治的にまずい事件に関しては中園を派遣して特命係を止めようするがやっぱり効果はない。むしろやる気にさせている
最初の頃は特命係を徹底的に嫌っていたが、シリーズが進むうちに彼らへの当たりが徐々に弱まっていき、S10では私用で彼らを動かす場面もあった。
だが能力を認めているからこそ危険視もしており、自分が関連しているヤクザの居場所についてきた時は「消えろ」とまで言い放っている。しかも2回も。


主な人間関係



特命係係長。
特命係と同じくらい彼の事も毛嫌いしている。
S5で右京が懲戒処分の危機に晒された時には大人気なくはしゃいでいた(それは後になかった事になるのでぬか喜びで終わってしまったが)。
彼の実力はある程度認めているようであり、S4-4では特命係のいないところで彼の提案を検討し指示を出していた。
令和最初の正月スペシャル「ブラックアウト」では右京と共に犯人の人質になってしまうが、隙を見て犯人をぶちのめす右京を「さすが杉下だ」と言った風に褒めていた。

右京の初代相棒。
彼が失態を犯した際に、一課から特命係に左遷させる。
特別警戒態勢を実施した時にわざわざ「特命係は除く」と庁内放送をした際、薫から「大人気ない」と言われていた。
S21で戻った際は内村が超新生した事を知らず「部長に言ったところでどうしようもない」という旨の発言をされるが、伊丹のススメで実際に対面すると割とすんなり行ったことから面食らっていた。

右京の2代目相棒。
特命係の配属というだけで、内村と初めて会った時にはろくに挨拶も出来ないまま追い返されていた。

右京の3代目相棒。
とんでもなく恐ろしい人の息子なので、彼が特命係に在籍している間はあまりきつく叱る事が出来なかった。

右京の4代目相棒。
元が法務省の役人だったことや、最初は警察官ですらなかったことからか右京共々叱る場面はそれほど多くない。
S17では薫の次に長く特命係に所属していることについて言及していた。

捜査一課の刑事3人組。通称「トリオ・ザ・捜一」。
特命係の次に内村に叱られる事が多い。

警察学校教官で元鑑識課員。
鑑識だった頃に特命係に容疑者の電話番号を渡した事で内村に怒鳴られ、「あらゆる未来が潰れたものと思え!」と言われた後で警察学校へと異動になった。

警視庁刑事部参事官。内村の相棒的存在。
大体内村の隣におり、肩もみやお茶汲みなどをして内村の機嫌をとっている。
内村と共に特命係を叱責する腰巾着ポジションの人物だが、特命係の特殊性は内村よりも十分に理解している。
内村のせいで貧乏くじを引かされる事が多いため、日頃から内村に対する鬱憤がかなり溜まっており、影で「あの男に考えなどあるわけない」と愚痴をこぼしたり、内村本人に逆ギレした事もある。
だが内村の事を本心では慕っているのか、自分の立場では解決できないことは相談したり、意識不明の重体になった時は真っ先に病院に走り、死亡宣告されたときには涙を流したり、逆に息を吹き返したときは笑みを浮かべたこともあった。
同時に内村の「裏の顔」に関しても知っており、その内村が「裏」を切り捨てると言った際には「よろしいのですか?」と確認するほどであった。
新生後の内村の180度違う意見には戸惑うばかり、そして結局頑固な目の上のたん瘤なのは変わりない為「あのまま死んでくれればよかった」とまで言い放ってしまった。
当の内村は一緒にクビになってやると自分だけ助かるマネはしなくなったのに

  • 衣笠藤治
S15から登場した警視庁副総監。
内村にとっては目上の存在ながら馬が合わないようだが、互いに器の小ささや権力に固執する等似通った側面があり、ある意味ではツーカーの存在…だった
しかし内村が超新生した後は、彼の権力よりも正義を優先するという「暴走」は衣笠にとっては目の上のたん瘤になりつつあり「正気に戻れ」「大人になれ」等と暗に狂気扱いしている。

  • 笹山隆文
S17-16に登場した大学時代の同期。
内村が人権派弁護士として有名な小柳という男の遺体の傍らにたたずむ姿を神奈川県警の警官に目撃され、現行犯で逮捕されてしまった*6が、内村は完全黙秘を貫いていた。
笹山は物語から12年前に娘を殺害されており、その事件の際も、内村は笹山ら遺族に対し便宜を図っていた。
内村が取り調べで黙秘していた理由は笹山の妻である由美を見かけたからであった*7

  • 桑田圓丈
広域指定暴力団「扶桑武蔵桜」組長。内村と癒着しており、警察に情報を渡す代わりに組の活動を目こぼししてもらう間柄だった(S19-1)。贋作絵画の販売を収入源の一つにしていたが、それに関わる事件で重傷を負って臨死体験したことで人格変貌した内村から、絶縁を宣告される(S19-10)。
若頭の鬼丸が青年実業家の弓生崇智に殺害される事件が発生し、報復しようと逸る虎鉄や虎太郎を制しつつ、暴対法で身動きの取れない現状から組の解散を決意する。しかし自ら鬼丸の仇を取ろうと通夜の席で弓生を射殺しようとするが、右京や伊丹らに阻止され逮捕される(S22-9)。



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最終更新:2024年03月24日 12:15

*1 尤も、特命係も特命係で違法スレスレの捜査を行ったりするので、場合によっては内村の言い分のほうが正しい事もある。

*2 ちなみに現実の広島県警本部長の階級は警視庁刑事部長と同様警視監。

*3 実際は違ったが。事件の真相は息子による犯行だった。

*4 仮に内村が会見に出たとしても、彼は小野田曰く「悪人面」であるため視聴者の同情を買えたかどうか疑わしいが。

*5 扶桑武蔵桜が解散することになった、というもの。

*6 サブタイトルは「容疑者 内村完爾」だったりする。

*7 実際には小柳を殺した犯人は由美とは別の人物だった。