ステイン(僕のヒーローアカデミア)

登録日:2017/10/02 Mon 03:00:00
更新日:2024/04/06 Sat 19:27:36
所要時間:約 9 分で読めます






全ては 正しき社会のために






ステインとは僕のヒーローアカデミアに登場するヴィランである。

CV:井上剛

概要

ある独特の思想を基に各地でヒーローを襲ってきた凶悪犯罪者。
「ヒーロー殺し」の異名を持ち、これまでにステインに再起不能にされたヒーローは23人、殺害されたヒーローは17人に上るという。

またステインが出現した町では犯罪発生率が低下しているというデータがあり、 作中ではある評論家が「彼の存在がヒーローたちの意識向上につながっている」と見解を述べたこともあったという。
だがまず現役の連続殺人犯なので当然のように世間からバッシングを受けた。



人物

彼の思想の根幹を為しているのは言うなれば「ヒーローとは斯くあるべし」という彼が持つヒーローという存在への勝手な期待から生じた主張である。
ステインは「ヒーロー」を個性を活かして治安維持・人命救助に当たる『職業』ではなく、『選ばれし者だけが名乗ることを許された称号』と考えており、例えば

○ヒーローは見返りを求めて活動してはならない 
○ヒーローは己のためではなく常に誰かを救うために力を振るわなければならない
○ヒーローには充分以上*1の単体戦闘能力がなくてはならない

といった彼が求める条件を満たしていないにも拘わらずヒーローを名乗る存在を「贋物」と蔑み、断じて認めていない。

前提として、ヒロアカの作中では真に人々を守り救うことのみを目的とせず、むしろ救うことで得られる収益や名声を目的としてプロヒーローとして活動する人間は少なくないのだ。
中にはヒーロー同士で手柄争いをしたり、評価に繋がらない案件は無視したり、マスコミとの連携体制が整うまでは活動を開始しないヒーローも居たりする。
正義感溢れるヒーローであっても余計に被害を拡大せない為にも、「相性のいい個性を持つ他のヒーローが来るまで、ヴィランが暴れていようが静観する(せざるを得ない)」という事態も間々ある。
事務所を経営して従業員を雇う仕事である以上は、安全かつ確実にこなすことも求められるが故の判断であり、社会でヒーローが活動し続ける上でそれら全てが欲得づくの悪という訳ではないが彼にとってそんな事情は知った事ではない

本編でステインがヒーローとして認めているのは『平和の象徴』オールマイトただ一人だけであり、その他のヒーローは例えNo.2ヒーローエンデヴァーであろうとどんなに高潔なヒーローであろうと全員まとめて贋物判定である。
彼の犯罪行為の目的はそんな贋作どもが蔓延る世界を正しい形に変えることであり、つまり「俺に殺されたくなかったらあるべきヒーローの姿を取り戻せ」といったところだろうか。
もっと言えば「オールマイト以外がヒーローと名乗ることは許さない」という主張に帰結するため例え将来的に条件を満たせるようなヒーローだろうと身勝手な否定に至ってしまう。

その特異な性質上他のヴィランとは協調せず、むしろ粛清対象として見ているが、逆に彼基準でヒーローの資質がある存在に対しては尊重の態度を取り喜びを隠さない。




個性:『凝血』

対象の血液を摂取することで、相手の身体の自由を奪ってしまう個性。
血液型によって効果時間が変化し、O<A<AB<Bの順で奪える時間は大きくなる。最大に効果を発揮するB型に対しては8分もの拘束が可能。
効果の強さは対象の血液型のみに依存しており、摂取した量がどれだけ多くなろうと持続時間は変わらないが、逆に言えばほんのわずかな量を舐めただけで十全の効果を発揮できるという事でもある。
個性だけならそう強力なものでもないが、ステインの有する超身体能力・判断力・意志力・経験値の複合により恐るべき脅威として具現している。

なお血を採取するまでは無個性の人間と変わらないので、彼の基本能力はあくまで鍛え上げた人間が辿りつける範疇でしかない。
また、経歴もあって、彼の扱う武器はヒーロー用の特注品やヴィランが使う裏社会で流通している代物ではなく、あくまで市販品を研ぎ上げただけの普通の刃物である。
それでもフルカウル5%を習得した当時の出久では近接戦においてまるで相手にならないほど。

相性差が非常に大きい個性であり、かすり傷でも付けられるなら格上相手でも動きを封じて封殺できる反面、通常の刃物が通用しない相手には原則手も足も出ない。
血それ自体を武器とするブラドキングにとっては天敵そのものの能力である一方、切島鋭児郎や鉄哲徹鐡との相性は最悪だろう。
そう言った意味では、相手の防御を打ち破って血を手に入れるだけの打撃力を持ったバディがいれば能力の凶悪さが跳ね上がっていたかもしれないが、結局本人の心情もありそのような相方は存在しなかった。
ただ全くないという訳ではなく、『ヴィジランテ』では彼を利用しようと接触した蜂須賀九印が渡した「標的の血液」によって一気に複数を止めて奇襲していた。



◆活躍

雄英体育祭が執り行われていた同時期には東京都保須市を拠点に活動していたが、ある時敵連合と接触し死柄木からある依頼を持ちかけられるも一蹴、殺しにかかろうとするが死柄木に何か感じ入るものがあり協力体制を結んだ。
ただその依頼を引き受ける前に保須市での粛清活動が不十分であるとして自分の仕事を続行にかかる(死柄木はそれに並行して脳無を使い同市で暴れさせる)。脳無による混乱の最中、ステインは再起不能にしたプロヒーロー、インゲニウムの弟である飯田天哉、彼の身を案じて駆け付けた緑谷出久轟焦凍と交戦することになる。

紆余曲折の末、拘束されるも、突如出久を攫いに現れた翼の脳無を刺し殺し、そのまま満身創痍の身体でその場にいたヒーローたちに立ち向かおうとする。




贋物ォ…!!

正さねば…誰かが血に染まらねば…ヒーローを取り戻さねば……!!

来い…来てみろ贋物ども…


俺を殺していいのは、本物の英雄(オールマイト)だけだ…!!!



その叫びはエンデヴァーグラントリノすら竦ませるほどの凄まじいプレッシャーを放っていたが、そのまま気絶し回収される。

現在本人は特殊刑務所タルタロスへ収監されているが、その強烈なキャラクターはヒーロー社会に大きな影響を及ぼし、敵連合に彼の意志を継ぐという名目で幾人かの新規メンバーが参入を希望している。
当初はステイン被れの参入希望者に子供のような癇癪を起していた死柄木だったが、それも呑み込んでステインの理想を利用する形で連合のメンバーを増やし、ステインの望まぬ社会を築くことで意趣返しも狙っている。



◆その過去

長らく不明であったステインの過去も事件の後調査により明るみに出ることになる。
本名「赤黒(あかぐろ)血染(ちぞめ)」。
オールマイトの影響からヒーローを志す。
私立のヒーロー科高校に入学するが、求めていたヒーロー像がそこになかったことを理由に1年夏に中退。
その後は街頭演説に精を出すも実を結ばず断念し、暴力による改革へとシフトしていった。

なお大層な理想を口にしてはいても彼も彼のフォロワーたちも「ヒーローをあるべき姿に、社会をあるべき形に」といった主張を実現するため建設的な活動に出る者はおらず、全員ヴィランとして反社会活動に取り組んでいる。
結局のところステインの主張は焦凍が言うように極めて独善的な「人殺しの理屈」でしかない。
極端に振り切ってしまったものの『ヒーローなら個人的な私怨でなく人命救助を優先しろ』といった求めるヒーロー像そのものは真っ当なものなのだが、理想を実現するための手段が大いに間違っているため、それに憧れ後に続く者も同様の害悪になってしまうのは自明と言えるだろう。



◆ヴィジランテ

外伝作品の『ヴィジランテ』にも登場。
当時(おそらく本編から7年くらい前)は非合法ヒーロー「スタンダール」を名乗り正義のヒーロー気取りでヴィラン狩りに励んでいた。
行き過ぎた思想は当時から健在で、ヴィランも(たとえ善性からの行動であろうと)それを助ける者も、容赦なく殺すというスタンスだった。
またその行動は色々と目を引き、当時舞台となる街で暗躍していた(そして実はAFOに洗脳・利用されていた)女子高生ヴィラン蜂須賀九印が血液の提供等で彼と接触を図っていた。
戦闘スタイルはステインの時ほど実戦向けを追求された物では無く、侍や忍者を意識したようなどこか型にはまった物になっている。

だが非合法ヒーロー「ナックルダスター」との戦闘をきっかけに自分の間違いを自覚し「所詮は俺自身もヒーロー気取りの贋物でしかなかった…→社会に蠢く贋物どもを俺の手で殺し尽くさねば…!といった感じで、ヴィラン殺しのスタンダールはヒーロー殺しのステインへと変貌を遂げた。だから間違ってるのは殺人って手段そのものだって…
つまり活動開始時にはまだ蔑視で済んでいただろう彼の言う所の「贋物」への感情が殺意を伴った使命感に変貌したのは、自覚的な同族嫌悪が要因の一つと言える。
またステインの顔に鼻がないのは、スタンダールの「仮面」を捨てた時に顔面の皮膚全てを自ら剃り落としたため。

余談だがスタンダールとは小説『赤と黒』の作者であるスタンダールから取られていると思われる。スタンダールは「スタンダール症候群(芸術品を長時間見上げることで首の血流が阻害され、一時的な眩暈・失神を起こす)」の名に用いられた人物で、『本名:赤黒』『血で動きを止める能力』にマッチしたネーミングである。



◆すまっしゅ

全体的にゆるく4コマな『すまっしゅ』にも出演。
本編通り、ヒーロー殺しとして活動しているが作風から彼もゆるめに描かれている。
引きこもりになって煽りやっていたり、生活資金を稼ぐために変装してコンビニでバイトしたりと本編では見れない彼の私生活が見れる。
また、ヒーローの最期の台詞にこだわりを持ち台詞が気に入らないと何度もリテイクさせている。
さらにオールマイト大好きがめっちゃでており、飯田天哉に「オールマイトの授業はどうか?」と聞いたり、オールマイトの授業を駆けつけた緑谷を巻き込んでわざわざ再現したりとかなりはっちゃけている。
だが、再現中に自分もこんな授業を受けたかった、緑谷の様な奴等と共に学びたかった…と涙ながらに心の中で語っており、もし、もっと早く緑谷たちの様な人たちと出会っていれば彼は道を踏み外さなかったかもしれない、と思わずにはいられない。
その後、逮捕されたのだが…ヴィランのことはヴィランから聞くという授業でまさかの再登場。
一番、安全な人をと要望したところ彼が選ばれたらしい。
実際、大好きなオールマイトが近くにいるためか終始、大人しい(「エンデヴァーがここにいたらどうする?」という質問には「粛清」とか物騒なとこを見せているが)が感激のあまり涙を流し褒められると照れたりとなんかめんどくさかった。
「信念」はある人物なので授業のためにヴィランらしく振舞おうと悪ぶってみたりもするが…下手だった。

その後、色々と質問されるがお金を拾ったら警察に届けると答え、麗日の実家の会社の建て直しの為にヒーローを目指していることに関しては正論に答えており、お金をもらうこと自体も強く否定せず金をもらう為にヒーローをするのではなくヒーローをして結果的にお礼としてお金をもらうならいいと大切なのは筋道と寧ろヒーロー思考を熱弁。
オールマイトから「なんで悪いことするの?」とピュアな疑問がでる程であった。
まじでこの人、行動が間違っていなければ…とつくづく思わずにはいられない。
その後、個人的な質問を生徒たちから受けながら最後にオールマイトの晩御飯を聞いて満足して刑務所へと帰った。
ちなみにオールマイト好き過ぎてオールマイトのことを細かく知っていたため、オールマイトに若干、怖がられていた。



◆人間関係

ステインが認める数少ない「いずれヒーロー足り得る者」の1人。実力は不十分ながら己を省みず他人を助ける姿勢と、無策ではなく考えて戦える潜在性を高評価している。

緑谷より後に駆けつけて、状況を分析しながら、自分に出来る最善策を採った上で参戦した轟に対して、ステインは「お前も良い」と緑谷同様に認めていた。

  • インゲニウム
本名飯田天晴。
飯田天哉の兄であり、65人もの相棒を雇いチームプレイを得意とする有名なヒーロー。
単体戦闘能力がそう高くない以外は非の打ちどころのない人物だったが、ステインの闇討ちにより再起不能の憂き目に遭う。

  • ナックルダスター
スタンダール時代に彼がリスペクトしていた非合法ヒーロー。悪党を殴るとスカッとするおっさん。
勝手に同志だと思っていたが、ナックルダスターからは「お前はイカレた辻斬りだ」と言い切られた。彼との戦闘でステインは鼻っ柱をへし折られる(物理的な意味で)。
その直後に、掠り傷を与えて動きを止めることに成功したが、自分の過ちを指摘し盲を開いてくれた恩人として、それ以上の危害を加えずに辞去した。



◆脱獄、そして…

死柄木率いる超常解放戦線とヒーロー及び公安警察との全面戦争において、死柄木を乗っ取ったAFOによるタルタロスへの襲撃事件が発生。
タルタロスは破壊されAFOの本体が脱獄する一方で、他に収監されていた囚人たちもこの機に次々と脱獄。
その脱獄した囚人の群れには、ステインも含まれていた。

ヒーロー社会の崩壊により、荒れ果てた街で武器である刀を再び手に入れたステイン。
果たして彼の行く末とは…?


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最終更新:2024年04月06日 19:27

*1 最低でも自分の闇討ちに対応できる程度