海賊パッチーズ(Hearthstone)

登録日:2017/07/14 (金) 21:33:56
更新日:2024/04/06 Sat 04:42:43
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\ハハー!/
\ヨウ、キョウダイ/
\ナニモンダー!/
\トベポリー!/
\フーハハハ!オドロウゼ!/

ギィィ…ズドン!>

俺が指揮を執る!面舵いっぱーい!


海賊パッチーズとは、デジタルTCG「Hearthstone」のミニオンカードである。

概要

拡張パック第4弾「仁義なきガジェッツァン」に収録。レアリティは本ゲーム最高のレジェンド。
同ゲームは開発元を同じくするゲーム「Warcraftシリーズ」の世界観が元となっているが、このミニオンはそれらには登場しないオリジナルキャラクターである。

では、カードテキストを見てみよう。

コスト1 1/1 海賊
突撃, 自分が海賊を使用した後、自分のデッキからこのミニオンを召喚する。
※突撃:キーワード能力。場に出たターンに攻撃できる。他ゲームでいえば速攻、スピードアタッカー、疾走。

1マナ1/1突撃というのはBasicカードの一つ、石牙のイノシシと同じスペックである(ただし、あちらは海賊ではなく獣属性を持っている)。
これはそれに加えて海賊に反応したデッキからのコスト踏み倒し能力を持っている。種族を抜きにすればあちらの上位互換。
とはいえ向こうは最初から持っているカードでこちらは拡張パックのレジェンド。イノシシが構築にほとんど入らないことを考えると、むしろこのミニオンがレジェンドにしては小粒。
所詮は1/1。踏み倒したところで大した影響はないように見える…

が、実際は現スタンダード環境(2018年1月)における最強レジェンドの筆頭候補である。
主に早い段階で攻めていき勝負を決める「アグロ」と呼ばれるタイプのデッキはこのミニオンの実装によって大きく強化され、現在でもトップメタの一角を占めている。


何がそんなに強いのか


アドバンテージを失わずに展開できる

本来カードはカードアドバンテージとマナを消費して使用するものであり、例えば前述の石牙のイノシシは1マナと手札1枚を消費して1/1突撃のミニオンを出すわけである。
しかしこのカードは効果が発動するとマナも手札も消費しない。特に手札を失わないのは大きく、特性上手札補充カードを入れないアグロデッキの戦術にマッチしている。
誰が言ったか0マナ1/1突撃1ドロー。アドバンテージの塊である。
さらに言うなら、手札が枯渇しやすいアグロデッキにおいて1マナカードを中盤に引き当てるのは大きなテンポロスになりかねないが、このカードは効果が発動すれば勝手にデッキから出て行ってくれる。
つまり中盤に低マナカードを今引きしてしまう可能性をわずかながら減らしてくれるというデッキ圧縮にも貢献してくれるカードなのである。


デッキに入れればほぼ確実に力を発揮する

ハースストーンにおけるレジェンドは必ずしも最高レアリティを意味するわけではなく、同名レジェンドはデッキに1枚しか入れることが出来ない(それ以外の同名カードは2枚まで)。
そのため強いレジェンドでもデッキの底に埋まることはザラであり、デッキコンセプトを特定のレジェンドに依存するのはリスクが高い。
しかしパッチーズは海賊さえ召喚できれば確実に効果を発揮できる。そのため海賊が数枚入っているならデッキに入れてもほとんど腐ることはないのだ。


除去されてもほとんどディスアドバンテージにならない

このミニオンは突撃を持っており、出たターンにどこかに1ダメージを与えられる。たった1ダメージとはいえ、ノーコストであることを考えると強力。
そうしてターンが相手に回った時にはこのミニオンは単なる1/1バニラ。しかもそもそもノーコストで出たミニオンなので除去されても大した痛手にならないのである。


海賊である

ここまでつらつらと書いては来たが、それでもこいつが6,7ターン目とかにならないと出せないのならそこまで脅威にはならないのである。
そのくらいになると1/1が出たぐらいではどうにもならないくらい盤面が整っており、また全体除去とかも充実してるためついでに破壊されるのがオチ。
しかしこのミニオンの能力のトリガーとなっている海賊は中立に3種、ウォリアーとローグにそれぞれ1種の1マナミニオンを擁する種族である。
それらを初手マリガンでキープできれば、確実に1ターン目に1マナミニオンと一緒にこいつが顔を出すことになる。上手く対処されない限り、序盤の盤面は支配したも同然である。


相性のいいカード


といっても、海賊なら全てとシナジーすると言っても過言ではないので、ここは代表して前述した1マナ海賊たちとそれ以外の特筆して相性のいいカードのみに焦点を当てる。


南海の甲板員
コスト1 2/1 海賊
自分のヒーローが武器*1を装備している場合、突撃を得る。

クラシックパックに収録。レアリティはコモン。
ここまで特に触れてこなかったが海賊は本来武器カードとのシナジーをコンセプトとした種族であり、このミニオンも武器シナジーを持つ。
烈火の戦斧やン=ゾスの一等航海士(後述)など軽い武器を持つウォリアーや、ヒーローパワーで武器を装備できるローグと相性がいい。
また、軽い突撃持ちであることから、クエストローグのフィニッシャーとしても用いられた。


怪盗紳士
コスト1 1/1 海賊 ローグ専用
雄叫び*2:対戦相手のクラスのカードをランダムに1枚自分の手札に追加する。

拡張アドベンチャー第4弾「ワン・ナイト・イン・カラザン」に収録。
ランダムなので質にはブレがあるとはいえ手札が1枚増えるのは強力。またコストが軽いため、ローグでは重宝される。
出た当時は海賊を持つことの意味が薄かったが、パッチーズの登場によってローグで手軽にパッチーズを呼び出せるカードとしてさらに評価が上がった。


南海の船長
コスト3 3/3 海賊
味方の海賊に+1/+1を与える

クラシックパックに収録。エピックレアの海賊強化ミニオン。
3マナで3/3というサイズはやや物足りないが、味方に与えるバフも加味すればコスト以上の働きをしてくれる。
とりあえずこいつからパッチーズを呼び出すだけで、2/2のパッチーズが相手に突っ込んでいく。


ケレセス公爵
コスト2 2/2
雄叫び:自分のデッキにマナコスト②のカードが含まれていなければ、デッキ内のミニオン全てに+1/+1を与える

凍てつく玉座の騎士団に収録。レジェンドレアのミニオン。
厳しい条件付きながらも、効果が決まればその後の展開を強力にしてくれる。
デッキでまだ眠っているパッチーズを強化すれば0マナ2/2突撃の弾丸となり、
南海の船長から呼び出せば0マナ3/3突撃という犯罪的な強さのパッチーズを呼び出すことが出来る。
さらに、ケレセス自身を何らかの形で手札に戻し、再び雄叫びを起動すれば、それだけで相手が爆発してくれることも。


ン=ゾスの一等航海士
コスト1 1/1 海賊 ウォリアー専用
雄叫び:1/3の錆びたフックを装備する。

拡張パック第3弾「旧神のささやき」に収録。レアリティはコモン。
1/1/1と貧弱だが1/3の武器を装備できるのは強力。さらに装備した武器をアップグレード!やブラッドセイルの狂信者(どちらも武器の攻撃力と耐久度を1ずつ上げる効果を持つ)によって強化するとかなり強力な武器となる。

これ自体はパッチーズより前のカードではあるが、これとブラッドセイルの狂信者の追加によって海賊ウォリアーデッキはある程度の形になっていた。
それに加えてパッチーズ(とちんバカ)が追加されたことによって、海賊ウォリアーはトップメタの一角に躍り出ることになる。


ちんけなバッカニーア
コスト1 1/1 海賊
自分のヒーローが武器を装備している場合攻撃力+2を得る。

パッチーズと同じく「仁義なきガジェッツァン」に収録。レアリティはレア。こちらも武器シナジーを持っており、武器を装備している間は3/1となる。
しかし突撃を持つ甲板員に比べると速攻性が無く、そちらよりも攻撃力が1高くなるとはいえ優先度は低めである。

しかしこのミニオン、実は一度Nerf(下方修正)を食らっており、元々は体力が2であった。
体力1と2の差はこのゲームにおいてはかなり大きい。というのも、体力1ならメイジ、ローグ、ドルイドのヒーローパワー*3で討ち取れてしまうが、体力2だとそれらに耐えられるからである。
そのため、Nerf前は武器かちんバカを呪文等でどうにかしないと武器ダメージと3点とおまけに1点が飛んでくるという驚異的な性能であった。
その高い攻撃性能と処理の難しさから海賊デッキどころか武器を持つヒーローのデッキのほとんどにこれ2枚とパッチーズの3枚がこぞって入れられたほどであり「ちんバカパッチ」「海賊セット」などと呼ばれた。
現在(18年1月)では環境ではほとんど見ない。


艦載砲
コスト2 2/3
自分が海賊を召喚する度、ランダムな敵1体に2ダメージを与える。

拡張パック第1弾「ゴブリンvsノーム」に収録。レアリティはコモン。
このカードがスタンダード環境(そもそもスタンダードという概念が無かったころのカードだが)にいたころは海賊を固めてデッキを構築する意義が薄く、そのためこのカードはさして使われることなくスタン落ちした。
しかし、パッチーズが出てからワイルド環境(全てのカードが使用可能)にて猛威を振るうことになる。
なんせ前述したような1マナ海賊が出る度に2点火力までついてくるのである。さらに海賊が出て2点→パッチーズが出てさらに2点というえげつない動きも可能。
そのため、スタンダードでも猛威を振るう海賊ウォリアーは魑魅魍魎蠢くワイルド環境でさえトップメタの一角を占めたのである。


主に使われる(使われた)デッキ

海賊ウォリアー

パッチーズが使われたデッキの代表格。
とにかく武器とミニオンを総動員してひたすらヒーローを殴り倒す超アグロデッキ。
先述した海賊たちの他に超優秀武器の「烈火の戦斧」、コスパは高くないが1発で重いダメージを与えられる5マナ5/2武器「アルカナイト・リーパー」、
そのような武器を大幅に強化する「アップグレード!」と「ブラッドセイルの狂信者」、デメリットはあるものの5マナ6点突撃を持つ「リロイ・ジェンキンス」などがキーカードとして挙げられる。
ガン回りすれば5,6ターン目に勝負を決めることも珍しくなかった。

パッチーズの登場と同時に環境に姿を現し、スタンダードのローテーションでも大して影響を受けなかったが、
17年9月に中核カードである戦斧のnerfによって(他のウォリアーデッキ共々)環境から消滅した。

余談だが、仁義なきガジェッツァンのコンセプトは
ローグ・シャーマン・ドルイドの3クラスで構成され、1/1からスタートし召喚する度にスタッツが1/1ずつ上昇する翡翠のゴーレムを主軸とした「翡翠連」
メイジ・プリースト・ウォーロックの3クラスで構成され、ハイランダー構築で力を発揮するレジェンドやポーションを主軸とした「カバール」
パラディン・ハンター・ウォリアーの3クラスで構成され、手札のミニオンの能力を上げるカードを主軸とした「グライミー・グーンズ」
の3勢力の争いであった。
…しかし現実は、海賊デッキの流行とグライミー・グーンズが想定より活躍しなかったこともあって「ガジェッツァンの3勢力は翡翠連・カバール・海賊」とまで揶揄されてしまった。
事実、海賊ウォリアーによってトップメタに上っていたウォリアーはともかく、パラディンとハンターは環境から姿を消していた。


アグロシャーマン
あまりのシャーマン1強環境ぶりから「シャーマンストーン」とも揶揄されたガジェッツァン環境のトップメタデッキの一つ。
どちらかというと海賊要素は添え物で、まさに先述した「ちんバカパッチ」が搭載された(甲板員とかも入ってるけど)。
ウンゴロ環境になって、序盤のキーカードが落ちたため従来のアグロ構成は消滅したが、
横に並べるカードや「進化」系カードを取り入れてランダム性と爆発力を強化したトークンシャーマン等で残り続けていた。
無論、パッチーズは続投である。


アグロドルイド
ドルイドは武器を持たないクラスなはずなのだが…。
とにかくミニオンを横に並べ、各種バフ呪文で一気に押し切るのが得意な超アグロデッキである。
海賊要素はパッチーズとそれを呼び出すためタネの海賊数枚であり、シャーマンと同じく海賊は添え物程度。
そのためパッチーズが安定して召喚できるわけではないが、それでも効果を発揮すれば強力。


クエストローグ
ウンゴロの新要素「クエスト」の一つである「地底の大洞窟」を主軸としたデッキ。
このクエストを満たす条件は「同名ミニオンを4回召喚する」であり、ローグが得意なバウンスやコピーなどによって達成する。
その報酬「クリスタルコア」の効果は「この対戦中、自分のミニオンは全て5/5になる」。
一見するとデッキに1枚しか入れられないパッチーズの意義は薄いと思われるが…実はこの達成後の効果が曲者。
達成後、突撃持ち(5/5)で攻撃し、その後それをバウンスしてからもう一度召喚すると、なんとまた5/5で攻撃できるのである。
これを利用すれば1ターンでとんでもないダメージを稼ぐことが可能。これを用いるために軽い突撃持ちを多く搭載する必要があるのである。
なので石牙のイノシシ、南海の甲板員、ブルーギル・ウォリアー(2マナ2/1突撃)などとともに搭載され、グルグル回して使われた。
しかし、地底の大洞窟が「同名ミニオンを"5回"召喚する」にNerfされたことで大幅に弱体化した。


テンポローグ
クエストこそ失ったものの、ローグとパッチーズの相性が良いため、引き続きローグデッキに採用され続けている。
こちらはコンボ成分を含みつつも着実に盤面を取っていくデッキなので、単純にパッチーズのコストパフォーマンスの良さが際立っている。
また、前述のケレセス公爵が採用されているため、2/2や3/3の、あるいはそれ以上のパッチーズがかっ飛んでくることもしばしば。
クラスカードとして怪盗紳士を持つローグであるため、南海の船長もあわせてバフが腐りにくいのも利点である。


余談

この「デッキからの特殊召喚」は拡張アドベンチャー第2弾「ブラックロック・マウンテン」の時から温めていたコンセプトであり、最初は突撃を持たない代わりにエピック(2枚搭載可能)であり、ドラゴンに反応するデザインだったがお蔵入りになったようである。
その後「グランド・トーナメント」で海賊かマーロックをトリガーとして実装しようとしたが既存カードとの相性を鑑みてお蔵入り、その後の「旧神のささやき」でもお蔵入りしたようだ。
ちなみに先述の「ン=ゾスの一等航海士」はもともとこのコンセプトを搭載したミニオンになる予定だったんだとか。



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最終更新:2024年04月06日 04:42

*1 ヒーローが装備することができる装備

*2 手札から普通に出した場合に発動する効果

*3 それぞれのクラスに割り当てられた固有の能力。1ターンに1度、2マナを支払うことで手札消費無しで発動できる。例えばメイジなら「任意のキャラに1ダメージを与える」