ギレン・ザビ

登録日:2009/08/01 Sat 16:56:22
更新日:2024/05/03 Fri 21:01:05
所要時間:約 8 分で読めます





ジーク・ジオン!!




◆概要

ギレン・ザビとは、『機動戦士ガンダム』のジオン公国側の登場人物。35歳。(ORIGINでは45歳)
(CV:銀河万丈)

ジオン公国を支配するザビ家の長男にしてIQ240の頭脳で公国の全権を掌握する総帥。
絶大なカリスマで国民や軍部から圧倒的な支持を得ており、親衛隊長のエギーユ・デラーズ大佐(当時)を始め、多くの将校、士官から崇拝されていた。
しかしシャア・アズナブルやフレデリック・ブラウンなど冷ややかな目で見る者も多かった。

総帥という立場から主に政治に関わり直接軍を率いることは少ないが、
一年戦争緒戦の電撃戦・地球侵攻作戦・コロニー落としなどは彼の指示によるものだとされており*1
ア・バオア・クーでは攻防の計画を練っているほか自ら陣頭指揮も行っている。


家族構成や私生活はよくわかっていない。妻は居るが子供はおらず*2、また秘書とは愛人関係にある。
THE ORIGINではオーバーオールを着て庭の植木の剪定をしていたり、浴衣を着て詰将棋をする描写があった。趣味なのだろうか。


◆人物

大まかな主義主張としては極まった選民思想
表向きはジオン・ズム・ダイクンの思想を利用(拡大解釈)することで、地球連邦の腐敗を主張しつつスペースノイドによる世界を作ろうと主張している。

しかし、裏の関心事に「人口問題」があり、「このまま無秩序に人口が増え続けると人類は環境や資源を食い潰して破滅する*3、それを防ぐためには戦争のような大量破壊によって人減らしをし、自身のようなエリートによる管理社会を築くことが必須」と考えており、
彼にとって選民思想や独立戦争はそのための方便に過ぎなかった…という見方もある。
「せっかく減った人口です。これ以上増やさずに優良な人種だけを残します。人類の永遠の存続のために、地球圏を汚さぬためにです」
とは本人の発言。
後述の最終決戦前の演説でも「人類は我ら選ばれた優良種たるジオン国々民に管理運営されて、初めて永久に生き延びることが出来る!」と堂々と述べていた。

様々な媒体を見るからに、彼の裏の思想についてはジオンの将兵も気付いていない者が多かったと思われるが、後年にもマイッツァー・ロナの貴族主義のように似たような思想に行き着く者や支持者が多かった。
ニュータイプにはそれほど関心を示さず、これも政治的な方便として利用していた傾向が強い。
ただしテレビ版では面会したシャリア・ブルに思考を読まれた際も全くうろたえておらず、逆に釘を刺して彼を窘めるなど、頭ごなしに否定していただけでは難しい対応をしているため、通俗的な意味でのニュータイプとジオン・ダイクンが提唱していたニュータイプ、どちらの意味もしっかり理解していた事がうかがえる。


また急進的な政治方針を父デギンから「ヒトラーの尻尾」と揶揄されたことで有名だが、ヒトラーとは異なりイエスマンを嫌っているらしく、
小説版において連邦艦隊の動向に対する自身の読みを称賛する参謀本部の幹部たちに対し「嫌な連中だ」と腹の底で毒づいていた。
『ギレンの野望』*4や『ギレン暗殺計画』においても自分を非難する者や自身の謀略を看破した者をあえて排斥せず手元に置いている描写があり、
ステレオタイプの独裁者イメージとはやや異なる一面も持っている。


◆来歴

ガンダムシリーズ、特に一年戦争を描く作品は数多いが、ジオン公国の総指導者であるギレン・ザビは、基本的にはジオン本国サイド3の 悪の居城 ズムシティ公王庁に常駐して政治的な活動をしており、本編に出てくることは少ない。

U.C.0079で35歳ということから恐らくU.C.0044頃の生まれ。

U.C.0052にジオン・ズム・ダイクンがサイド3に移住し、革命運動を開始。0058には彼を元首とする「ジオン共和国」が生まれる。
若きギレンも父デギンと共に活躍したらしい。小説版では当時のジオンの思想に感激し、それを支援するデギンのことも心の底から尊敬したという。
ただ、ジオンがサイド3にきた時点でギレンは8歳、共和国設立時点でも14歳という子供なので、彼が革命に参加したのはジオン共和国時代以後と思われる。
『THE ORIGIN』ではさすがに無理があると判断されてか、年齢設定を10歳アップした上でランバ・ラルやサスロらとともに革命に参加、自ら銃をとっている。

しかし、やがてジオン・ダイクンの本質がアジテーターであり本当に時代を担える政治家ではないと幻滅。父とともに見限った。
U.C.0068、父デギンがジオン・ダイクンを暗殺して国家元首となるが、彼もライバルを倒して燃え尽きてしまい隠退。
その後は彼ギレン・ザビ(当時24歳)がジオン公国の全権を掌握し、事実上の最高指導者として君臨する。

ただ、父デギンは国家元首の肩書きと最低限の権力は保持したままで、ギレンも彼の意向を完全に無視はできなかった。
また公国議会も抵抗勢力ではあったが、遅くとも大戦後期までには「傀儡」と言えるほど掌握した。

U.C.0071、「サイド3国民こそ選ばれた優良種である」とする、選民思想むき出しの著書『優性人類生存説』を発表。
アースノイドのみならずほとんどのスペースノイドからも非難を浴びるが、劣等感と自尊心をくすぐられたサイド3国民からは熱狂的支持を受ける。
ギレンの雄弁さも相まって彼の国内の権威は絶頂に達した。


U.C.0079、ついに地球連邦との戦争「一年戦争」に踏み切る。
「ブリティッシュ作戦」「ルウム戦役」「地球侵攻作戦」など開戦当初の作戦を自ら立案して実行に移させた(ただし現場の指揮はドズル、キシリア、ガルマといった弟妹たちや軍幹部に任せている)。
これらの作戦により、地球連邦軍に大打撃を与えるとともにスペースノイドを含む55億人以上の人類を虐殺。コロニー落としによって地球環境にも大きな打撃を与える。
しかしその後は地球環境の想像以上の複雑さや連邦軍の決死の抵抗、一連の作戦による味方側の損害の大きさなどもあって攻めあぐねる。
以後、前線での指揮は弟妹たちに任せ、自分は軍の再建のため本国で政治的な活動に専念するようになる。
「総帥はこの戦争を一ヶ月で終わらせてみせると仰っていました」「それを言うな、シャリア・ブル」

テレビ版本編では、ガルマ・ザビ戦死後の会議で初登場。
父デギンの「家族で密やかに葬送してやりたい」という発言に一度は瞑目したが、結局はその反対を押し切り、国民の戦意高揚のための派手な国葬とした。
(これに関してはキシリアは賛成、ドズルは意見はなし)
この国葬は地球連邦側を含む全世界に送信された。なお主人公アムロ・レイがジオン公国とギレンの存在を知ったのはこの場面ぐらいである。

その後はしばらく登場しなかったが、戦況が宇宙に移動するようになると再び政治向けの場面で登場。
開発したビグ・ザムの宇宙要塞ソロモンへの配備、サイド3のコロニー「マハル」を転用したソーラレイの開発、ア・バオア・クーの兵士の訓練、シャリア・ブルのヘリウム採掘船団員からニュータイプ部隊への抜擢、キシリアにソロモンへの援軍派遣の確認などを行う。
しかし一方でドズルから「ビグ・ザム一機よりも、ア・バオア・クーの戦力を振り向けろ」「偉そうにふんぞり返る前に勝つための手立てを打て!」と批判されたり*5、デギンからソーラレイの開発に反対・妨害を受けたりと、足並みがそろわず苦労するところも見られた。
彼自身、シャリア・ブルをキシリアの元に送ったのは牽制のためだったらしい。

ソロモン陥落後は、父デギンとのただでさえ良くなかった関係が急激に悪化。
ドズル戦死の報を受けてギレンが激怒したのに、同じ場にいたデギンは平然としたままだったために憤慨したり、本土を兵器に改造させるという策に面と向かって「軍人として無能」と罵倒されたり、ダルシア・バハロ首相と組んでギレンを無視しての和平工作を画策されたりと露骨に対立する。
果ては、戦後のプランを訪ねるデギンに「人口維持のため全人類を支配する」とその真意を披露するが、その思想を「ヒットラーの尻尾」と旧世代の人物に比定されて顔色を変える*6

デギンはとうとうダルシア首相の和平工作の成就を待ちきれず、自らの愛艦「グレートデギン」に乗り込んで連邦軍総大将レビルと直接面会しての和平交渉に乗り出したが、ギレンはこれを「時すでに遅いのだがな……」「タイミング擦れの和平工作」と見限った*7
そして「『グレートデギン』のいる座標が連邦軍の司令部」と見て、その識別信号に向けてソーラレイを発射。
「グレートデギン」に乗るデギンもろとも、ソーラレイで連邦軍司令部と多数の艦艇・兵力を消し去った。

しかしこの際、「グレートデギンの識別信号に向けて発射した」ことをグワジンに乗り込むキシリア・ザビにも傍受されてしまう。

その後、連邦軍は戦力を再編の上、ア・バオア・クー攻略作戦を開始。
ギレンは司令部から指揮を執り、MS隊を温存してドロス級空母と軍艦、ガトル突撃艇、ミサイルを中心とした迎撃を開始。またキシリアが率いるグラナダからの増援艦隊も合流した。
それらにより、正面のNフィールドから攻め込んだ連邦軍第二・第三大隊を圧倒、一度は「圧倒的じゃないか、我が軍は…」と悦に入る余裕もあった。
当初はNフィールドを主戦場と見て、Sフィールドの艦艇の半分とキシリアの援軍もそちらに差し向けていたため、手薄になっていたSフィールドに連邦軍の別働隊に攻め込まれる一幕もあったが、その漸減したSフィールドの戦力でも持ちこたえられると判断した。

しかしその直後、いつの間にか背後に立っていたキシリアに銃口を向けられる
少し前に司令室に入った彼女に「グレートデギンの配備先」を訪ねられた際、遠回しながらも父デギンをソーラレイによって敵もろとも殺害していたことを認めてしまった。
ギレンはそれでも「冗談は止せ……」と薄い笑いを浮かべていたが、彼女は容赦なく引き金を引いた
元々の野心に加えて、敬愛する父を殺されて激怒したキシリアは、先の問答でギレンへの殺意を固めていたのだ。

ギレンの死後はキシリアが陣頭指揮を執るが、総司令の殺害によるジオン軍への悪影響は大きく*8、Sフィールドにいたブライト・ノアとミライですらジオン軍の防御力の低下を如実に感じ取っている。
元々連邦側もソーラレイの被害によって(要塞攻略としては)戦力が不足気味だったため、この暗殺による指揮系統の混乱がジオン側の最も致命的な敗因だという見方が強い。

結果的に、この事件がジオン公国の敗北とザビ家消滅の最大の要因となった。


◆人間関係

家族仲はあまり良いものとは言えず、ガルマが戦死したのを受けると「ひそやかに冥福を祈ってやりたい」というデギンの意向を無視して全地球規模の国葬演説を行い、プロパガンダに利用している。
妹のキシリアとは政治的にも対立しており、最終的には殺意を向けられるに至っている。

また弟ドズルがソロモン防衛戦に臨む際にはビグ・ザムを受け渡したものの「戦いは数だよ兄貴!」と毒づかれ(ドズルの希望は大量のリック・ドムであったとされる)、さらには戦局が不利に傾いた際には、ア・バオア・クーからの増援を渋るという非情な判断をした。
これの真意は不明で、冷徹だが合理的判断に過ぎないという説*9もあれば単に謀殺したかったという説もある。
劇場版ではソロモン戦前の通信会議直後に「ソーラ・レイは他にも転用できる、無駄にはなるまい」と一人言を漏らしているため、投入が間に合いさえすればソーラ・レイをソロモン戦に使用する腹積もりだった可能性もあり、一概に見捨てたとは言えない。*10
ア・バオア・クー駐留部隊の派遣も、その内実が訓練中の新兵が多数を占めており、その訓練中だったと思われる。ギレン自身は「振り向けるよ、出撃準備させている」と答えており、その「出撃準備」が訓練中のことだったのだろう。
(もちろんベテラン兵士も少ないながらいたのだが、各種外伝作品の様子を見るとそれらベテラン兵も新兵の訓練を期待されていたようだ。そう思うと、ア・バオア・クーからベテラン兵だけを抜いてソロモンに向けることも無理だったのだろう。なにせ訓練ができなくなってしまう*11

一番明確に不仲だったのは父デギンで、特にガルマ国葬のあたりから明確に相容れない関係が描写されていっている。
後には全く悪びれることなくソーラ・レイで連邦諸共殺害するのも、彼をとことん疎ましく思っていたが故という印象が強い。
しかしこの父デギンをレビル将軍や多数の艦隊もろともソーラ・レイで殺害したことは、ア・バオア・クー戦の戦況をジオン側に大きく傾かせたが、元々不仲だったキシリアの敵愾心を最大まで高めるきっかけにもなり、ア・バオア・クー戦中にキシリアの手で背後からの銃撃により暗殺された。

反面、作中では実際にギレンから弟妹達に危害を加えた場面はほとんどなく、特にドズルに対してはギレンも意外と気に入っていた様子も描かれている。
ソロモン陥落・ドズル戦死の報告を受けた際には歯を食いしばりながら顔面を震わせ、それを聞いても冷淡な態度をとった父デギンに対して睨み付けるという、兄弟の情とも取れる反応を見せている。
「ギレンの野望 ジオン独立戦争記」では豪語するドズルに対して険しかったまなじりを緩めて微笑みを浮かべるという描写があり、小説版でもルウム戦役でドズルがザクに乗って飛び出したという報告を受けて苦笑した逸話がある。
ガルマに対しても、劇中では、彼との交流自体はあまり書かれていないが、「ギレン総帥は皆が思っているような恐ろしい人ではない」と言ってることから、ギレン自身もガルマのことは少なくとも嫌っていなかった事がうかがえる。
父デギン殺害に関してもあくまで自身の戦略を積極的に妨害されたがゆえの巻き込み行為であり*12、あくまで肉親的な情が希薄というだけだと思われる。

…と言うよりは射殺時にキシリアに言われていた様に何だかんだで感情的で甘かったと言うのが実情である。
そもそも身内を嫌っていたなら、デギンには強引に隠居を勧めていたであろうし、シャア*13*14マ・クベ*15の連帯責任としてドズルやキシリアの権力をはく奪や処刑したりする事だって出来た筈だし、そもそもガルマはともかくドズルやキシリアに独自の軍事力など持たせなかった*16なのだ。
結局の所、総帥としての責務と板挟みになり、肉親相手には不器用ながらも情を持って接して非情になり切れなかったというのが実情なのかもしれない。
(一方製作サイドは「ギレンは徹底的な悪人」と認識している模様)
とはいえキシリアが銃を向けた際には「なんの真似だ?」と余裕綽々で答えている事から、彼本人は妹に疎まれている事は自覚していたようだ。
尤も最終決戦の最中、自分が死ねばジオンは総崩れとなるタイミングで殺される程だとはさすがの彼も思ってはいなかったようだが。逆に言えばギレンを殺せるタイミングはここしかなかったとも言える。

富野由悠季氏の小説版1stや『密会』によれば、ザビ家によって排除されたジオン・ズム・ダイクンの名を国家が冠している事に不満を抱いており、
連邦打倒後にはいずれ「ギレン公国」に改称する考えを持っていたとされる。
尤も、キシリアからはジオンの名を排せば人民統一の実現はありえないと内心毒づかれていたが。

敵の総帥ではあるが内輪揉めであっけなく散ったため、自身を仇と狙うシャアや主人公のアムロとはこれといって接触することはなかった。


◆演説家としてのギレン・ザビ

機動戦士ガンダム本作や、その関連したメディアなどで多くの名演説を残しているギレン。
ガルマ国葬の「国民よ、立てよ国民よ!」や、ア・バオア・クーにおける「あえて言おう、カスであると!」などはその最たるものである。
その知名度や人気からパロディされることも多い。

オリジン10巻

『今ここに諸君等有望なる新入生を迎えて、大いなる期待を禁じえない。
時代は現在、新たな局面へと向かいつつある!いかなる局面へか!?人類史の偉大な発展への局面である!!
宇宙に進出することによって、我々は無限の可能性を手にした。誰の可能性か!?人類全体のか!?
否!!
我等スペースノイドにのみ許された可能性であるっ!!
スペースノイドの新しい能力こそが停滞した人類史を打破するのである!
移民一世以来の困難な時代を経て、かつて棄民とさえ呼ばれていたスペースコロニーの住民達は選ばれた民となった!期せずして、人類史の最前列に立ったのだ!!
諸君は更にその前衛である!!エリートを自負することに躊躇するな諸君!諸君はエリートだ!選ばれた民の中から更に厳しく選抜されてここにいる諸君等こそ、コロニー社会の守護者であると共に新人類のリーダーである!
奮起せよ!
未来の将星をめざして邁進せよ!
我と我が戦線に加われ!!』


・ガルマ国葬

『我々は地球を追われ宇宙移民にさせられた。
そして一握りのエリートが宇宙にまで膨れ上がった地球連邦を支配して五十余年。
宇宙に住む我々が自由を要求して何度連邦に踏みにじられたことか。
ジオン公国の掲げる人類一人ひとりの自由の為の戦いを神が見捨てる訳は無い!
私の弟。貴公等の愛してくれたガルマ・ザビは死んだ。なぜだ!

(シャア『坊やだからさ』)

地球連邦は聖なる唯一の地球を汚して生き残ろうとしている。
我々はその愚かさを地球連邦のエリート共に教えねばならんのだ。
ガルマは、諸君らの甘い考えを目覚めさせる為に、死んだ。
戦いはこれからである、我々の軍備はますます復興しつつある。地球連邦もこのままではあるまい。
諸君の父も兄も、連邦の無思慮な抵抗の前に死んでいったのだ。
この悲しみも怒りも忘れてはならない!それをガルマは死を以って我々に示してくれた!
我々は今、この怒りを結集し連邦軍に叩きつけて初めて真の勝利を得ることが出来る!この勝利こそ全ての戦死者への最大の慰めとなる!
国民よ立て!悲しみを怒りに変えて!
立てよ、国民よ!
ジオンは諸君等の力を欲しているのだ!
ジーク・ジオン!


・最終決戦

『我が忠勇なるジオン軍兵士達よ、今や地球連邦軍艦隊の半数が我がソーラ・レイによって宇宙に消えた。この輝きこそ我等ジオンの正義の証しである。決定的打撃を受けた地球連邦軍に如何ほどの戦力が残っていようとも、それは既に形骸である。
敢えて言おう、カスであると!
それら軟弱の集団が、このア・バオア・クーを抜くことは出来ないと私は断言する。
人類は我等選ばれた優良種たるジオン国々民に管理運営されて、初めて永久に生き延びることが出来る。これ以上戦い続けては、人類そのものの存亡に関わるのだ。地球連邦の無能なる者どもに思い知らせ、明日の未来の為に、我がジオン国々民は立たねばならんのである!』


・番外『トニーたけざきのガンダム漫画

『記録によれば自動販売機というものは前々世紀において数学者ヘロンによって発明された聖水を売る機械が始まりであるとされている・・・・・・だが!!
それらが発展し何を生み出したというのか!?街中の販売機は未成年者の喫煙や飲酒を容易に可能せしめし・・・・・・人手を介さぬ売買は人身を乖離させ団結と友愛を阻む事この上なし!!そして金銭=物品という考えを植え付け物質文明に浸りきりの愚鈍な大衆を増やしたに過ぎないのである!
あえていおう!自販機などいらぬと!
そもそもが高度な機械技術であったものが大衆に浸透し拡散し・・・やがては店主の楽して儲けよう主義を支えるに至ったものである!!それこそが科学への冒涜であり軟弱たる連邦の根幹を成しているのではないか!?
即刻!撤去せよ!!』




◆関連メディア

〇機動戦士ガンダムシリーズ(含劇場版)


〇機動戦士ガンダム・漫画「ギレン暗殺計画

〇機動戦士ガンダム・漫画「光芒のア・バオア・クー」

第二話の語り手アントニオ・レツィアの回想録で遺体のみ登場。
キシリアによる殺害後の行方を仄めかす内容で、アントニオにより現場から移送された後、正体不明の人物によって遺体安置所より運び出されたと述べていた。
また、本作は『ジョニー・ライデンの帰還』の外伝という位置づけで、その作品に登場するFSSという地球連邦政府直属の組織が製作したドキュメンタリー式映像という形式をとっている。
戦時中の記録の編纂を行う事が主要業務であり、たとえ敵対していたジオン公国であっても再評価の対象になるのは珍しい事ではない。だが唯一の例外としてギレン・ザビの再評価だけはタブー視されている事が明記され、いかに影響力の大きい人物であるかを物語っている。

〇機動戦士ガンダム・「ギレンの野望」シリーズ

彼の名前を冠した『ギレンの野望』シリーズというガンダムのシミュレーションゲームがあり、
そこではMS、MAに搭乗させられる他、シナリオを進めることで、
  • ジオンvsエゥーゴ
  • ジオンvsティターンズ
  • ジオンvsアクシズ
  • ギレン・ジオンvsキシリア・ジオン
  • ギレン・ジオンvsガルマ・ジオン
といった、原作ではなかった戦いを起こすことも可能である。

このシリーズではMSの戦闘だけでは無く組織全体を統括する立場上内政や作戦の決断等も行う事となるので、
  • 少ない予算で生産や研究、作品によっては自国民や占領地域の慰撫等のやりくりを強いられる
  • 自分の著書の続刊を出したら旧ジオン派に反発されて対処に苦労する
  • 弟妹達の軍事行動による中立拠点からの抗議と板挟みになる
  • 各派閥の顔色をうかがいながら適宜決断を強いられる
  • 自身に敵意を持つ部下や弟妹から反発され反乱軍を結成される
等の展開が待ち構えており、 何でもかんでも自分の思い通りにしようとする独裁者 と言うよりは 好き勝手やらかす周囲を何とか取り持ちながら強大な地球連邦軍と立ち向かう苦労人 と言う、これまでのギレンとは違った一面を見せている。

一方外伝である「蒼き星の覇者」では主人公の地位はマ・クベとガルマ取られた上にイベント等でも殆ど関わらず
挙句の果てにはキシリアに「父殺しの罪で」一方的に暗殺され第一部で退場……とタイトル詐欺とも言える冷遇ぶりである。
*17

〇SDガンダムGジェネレーションDS

今作の序盤は一年戦争終盤をジオン視点で再現したシナリオ。
原作とは若干違ってキシリア本人の銃撃ではなく戦艦の射撃によって歴史から退場する…
+ はずだった(ネタバレ)
彼は黒歴史の到来を防ぐべく遥か未来からやって来たムーンレイスから自らの辿る運命を知り、ア・バオア・クーで戦死したように見せかけて生き残っていたのであった。
なんと今作は生き残っていた彼がラスボス…正確には黒幕なのである。
彼自身が戦艦やMAで戦うわけではないが、「世界を統治すべき者の手を血に汚させる訳には行かない」と、後述のマシンチャイルド達が操るセンチュリオ軍団が実際のラスボスである。

そうして歴史の裏に潜んだ彼は黒歴史を解析して得られたデータを基に、
肉体をDG細胞製ナノマシンで強化され、NT・コーディネイターSEED等の要素をフィードバックした人造生命体「マシンチャイルド」を作り出すのみならず、∀ガンダムやターンXのデータを基に「量産型ターンタイプ」とも呼べるMSセンチュリオを開発、
世界を優良人種の物とすべくマシンチャイルドとセンチュリオの軍団を率いて、その目的の障害となるエゥーゴへ戦いを挑むのであった。

生み出したマシンチャイルド達には「父」と呼ばれて慕われており、彼も「それでエゥーゴを打倒出来るならば」と父と呼ぶことを許可している。
但し小説版1stの展開をなぞるライバルルートでは原作通りに一年戦争で死亡してしまう。
この時既にマシンチャイルドは完成していたのか、マシンチャイルド達は失った父のために本編とまた違った運命を辿ることになる。

スーパーロボット大戦シリーズ

スパロボでは最初期の作品においてこそガンダム系ラスボスとして出てくる場合が多かったものの、
α』以降の作品ではファーストガンダム(一年戦争)自体が扱われる機会が少ないためか、意外な程出番が少ない。
一年戦争が再現されている『GC(XO)』や『OE』でも、前者ではキシリアに代わりハマーンの手で暗殺され、後者では戦闘ユニットにならず、とやはり影が薄い。
とはいえ、OEでは一概に扱いが悪いとはいえず、なんと最後まで生存して連邦と和平を結ぶことになる。
デギンを手にかけることはなく、キシリア(OEではホワイトベース隊の味方)とも和解、ガルマも生存しており、ある意味では原作よりもはるかに恵まれているだろう。ただしドズルは原作通り死ぬ。

機動戦士ガンダム Extreme vs.

プレイヤーナビとして登場。
8/1~8/10に先行リリースをかけてラクスと勢力戦を行った。
当初こそラクス有利(26:74)で圧倒的じゃないか(;ω;)などと言われていたが、その後にミスなのかと思える程の高オッズ(2.7倍)に、徐々に追い上げ、最終的に勢力戦を制した。
若干汚い勝利に見えるがむしろギレンらしい勝ち方である。
実際に使用してみると、わが闘争を愛読するような台詞や、クリスマスには「これは敗北を意味するのか!否、始まりなのだ!」と謎の専用ボイスがある。
それ以外の台詞も高圧的なものが多いため、上司が後ろにいるような雰囲気でプレイする気持ちになる。


◆SD外伝では

『SDガンダム外伝』ではザビ家がザビロニア帝国の幹部として総登場する「円卓の騎士編」において影も形も登場せず、この世界ではギレンは存在しないのかと思われていた。

しかし、円卓の騎士の親世代を描いた前日譚『新約SDガンダム外伝 騎士王物語』では総統の尾という聞き覚えのあるネーミングの敵組織が登場し、シロッコやグレミーなどがその幹部として現れた。
そして最終話「栄光の騎士王」において、総統の尾の最後の親玉として総帥ギレンが登場。
過去に初代円卓の騎士団に敗れ散って行った「総統の尾」たち(タイタニア/シロッコインフェルノマンサ/グレミー、ドゴス・ギア/ジャミトフプロヴィデンスG/クルーゼ)を骸骨の龍「デスドレイグ」に変えて操る。
倒された後は自らもデスドレイグ「屍竜王ソーラレイ」へと変貌を遂げ、更に本拠地フォッシルパレスと融合し、どう見てもズムシティ公王庁総統竜ジャークヴァイスとなった。

こうして、(原作設定では)親子二代でラスボスを務めることとなった。
なおSD外伝世界において総帥ギレンと帝王グレートデギンの血縁関係は不明だが、総統の尾は宇宙人であることが仄めかされているので、恐らく血縁は無いだろう。
なぜか額から青く輝く炎を吹き上がらせていたのはご愛敬(笑)。

◆余談

  • 当初の構想
主人公アムロと一切顔を合わせることなく内輪揉めの果てに退場するという、この時代のロボットアニメとしてはきわめて珍しいラスボスであった。
打ち切りがなされなかった場合の構想が書かれている「トミノメモ」によると、最終回でアムロと直接対峙の後射殺される予定だったという。

  • モデル
モデルはアドルフ・ヒトラーで、監督の富野氏は銀河万丈氏に「ヒトラーの様に喋ってほしい」と指示したらしい。

さらに余談だが監督の富野由悠季はガンダムキャラの中で自分に一番似ているのはギレン・ザビだと言っている。
因みにジオン公国軍のモチーフは当初旧日本帝国軍だったがギレンの演技が余りにも堂に入っていたため徐々にナチスになっていったとされる。

  • 身長
ギレンの身長は190cmで、現実世界では非常に高いと言える体格である。
しかし、兄弟のドズルは220cm以上あるとされ、0083ガトーも195cmあり、
同作に登場するシーマも女性でありながらガトーとほぼ同じ高さがあった事から、
ガンダムキャラクターの中では中の上か上の下くらいの体格になってしまっている。




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最終更新:2024年05月03日 21:01

*1 特にルウム戦役に関しては、ギレンの計略が勝因の一つだったと『THE ORIGIN』において描写された。

*2 グレミー・トトがその落胤ではないかという噂はある。

*3 そもそも宇宙移民計画自体が『増えすぎた人口を宇宙へ追いやる事によって、地球の環境を再生させる』為に行われた事である。

*4 「優勢人類生存説の続刊を出す」と、旧ジオン派からの反発を招くと言うイベントが発生する。 このイベントを逆説的にとらえた場合、自身に反発する者であっても拒絶せずに国民としての権限を与えていた事が解る。

*5 特に後者はカチンときたらしく、彼にしては珍しく机を叩いて反論している。

*6 TV晩では薄ら笑いが一瞬消えるぐらいだったが、劇場版ではBGMの調子が突如変わり、舌打ちまで聞こえる。ORIGINでは激怒のあまり手が震える。

*7 「タイミング擦れの和平工作」という発言から、ギレン本人は別のタイミングで和平交渉を行うつもりはあった模様。

*8 この時点で戦いの敗北を悟り、デラーズ艦隊と便乗した部隊の様に戦線離脱した者までいる。

*9 ナレーターはソロモン敗北について「ジオン公国にとって予想だにしない敗北であった」としており、ギレンの恣意は無かったことを示唆している。

*10 なおドズルは「ドムの十機でも送れというんだ!」と毒づいているが、ソロモンの陥落と自身の死を招いたのは当のドズル自身である。「身内の仇討ち」という私情でランバ・ラル隊を単独で送り支援もしないまま全滅させ、私怨やキシリアへの当てつけでコンスコン艦隊をホワイトベース隊に差し向けて十機以上のリック・ドムをすり潰し、連邦軍ソロモン襲撃を受ければ副官からの援軍要請の進言を「国中の笑いものになる」と一蹴した。

*11 ジオン軍のトップエースとされるブレニフ・オグスなる人物は、この時期本国に戻され、MS教導師団で兵士の訓練をしていたという。もっともこの人物、「ずっと宇宙の前線にいた」「大戦末期には前線不参加」なのに「MS193機、艦船8隻を撃破」という怪しい設定の持ち主(※連邦宇宙軍の本格活動はソロモン戦以降=大戦末期であり、大戦末期に参戦していない人物がMS193機撃墜はまず不可能)であるが。

*12 ギレン自身も「やむを得んだろう」と発言しており、本来は不本意であったのは事実である。和平交渉に赴かない小説版ではデギンは最後まで生存している。まあそっちの小説版だと、逆にデギンの陰謀でギレンが殺されてしまうのだが……

*13 ガルマ謀殺はシャア自身の介入の結果だが、そもそもホワイトベースへの追撃をシャアに命じたのはドズル自身。その上『元々宇宙軍だったのに補給の怠りの結果取り逃がして地上軍への軍事介入&ホワイトベース隊の抵抗で地上勢力の弱体化&身内の死を促してしまった』等、落ち度を指摘されてもおかしくない状況。

*14 ガルマ国葬はプロパガンダなのは事実だが、ドズルへの矛先をそらす為の計らいの意味もあったのではないか?と思われる。

*15 最終的には『南極条約違反&ランバ・ラルを私的な理由で見捨てて部隊を全滅させる、黒い三連星を同じく犬死させる&ジオンにとって生命線であるオデッサ防衛の失敗&多くの戦闘中の部隊を見捨てて逃亡』…と、最早上層部としては擁護不可能なレベルの数多い失態を曝け出している。

*16 ジオンはただでさえ国力が乏しい上に、『30倍以上の国力を持つ』連邦とサシで戦争している。そんな状況で戦力を分散させることなど、愚行の極みである。よしんば各個撃破されずとも、いつか物資が枯渇しゲリラ戦に持ち込むしかなくなるのは明白。

*17 なおこのゲームでは補給体制が万全になったジオンは快進撃を続けたので連邦政府は内輪もめを起こし、レビル派を一掃して新設された連邦の強硬派を殲滅して地球圏の統一を果たしたと言う設定になっている。ザビ家一家は皆健在で、何もかもがうまくいった状況で(お互いの中は険悪と言う描写こそあるのだが)ギレンがデギンを抹殺する理由はないのでジオンを牛耳ろうとするキシリアの謀略である可能性が高い。ちなみに主人公であるマ・クベとガルマは地上の維持に携わっているのでこの件に関しては蚊帳の外である。