レクイエム・フォー・ドリーム(映画)

登録日:2017/06/19 Mon 02:16:43
更新日:2024/02/03 Sat 07:38:05
所要時間:約 9 分で読めます


タグ一覧
2000年 4人 PERFECT_BLUE R15+ ある意味ホラー ある意味死ぬよりひどい おいやめろ だけどみんな救われねぇ どうあがいても絶望 どうしてこうなった なんだよこの展開… アシッド・ムービー アメリカ エレン・バースティン コミケ サスペンス ザナドゥー ジェニファー・コネリー ジャレッド・レト ダメ、ゼッタイ ダメな大人の万国博覧会 ダーレン・アロノフスキー トラウマ トリップ トリップ映画 ドラッグ ドラッグムービー ネタバレ項目 バッドエンド バッドトリップ パーフェクトブルー ヒューバート・セルビー・ジュニア フィクションでは済まない問題 ヘロイン マーロン・ウェイアンズ ヤク中 リア充 リア充鑑賞推奨映画 レクイエム・フォー・ドリーム 依存症 傑作or問題作 分不相応 名作 地獄絵図 堕落 報われない 夏→秋→冬 夢へのレクイエム 夢への鎮魂歌 夢破れたり 天国と地獄 妄想 後味の悪いオチ 救いがない 早送り 映画 死んだ方がマシ 汚い大人の見本市 洋画 薬物 衝撃のラスト 親不孝 負の連鎖 超問題作 闇金ウシジマくん 鬱展開 鬱展開の嵐 鬱映画 麻薬




救けて!わたしが壊れてく。

ハイ・スピードの恐怖と興奮にあなたは耐えられるか?



『レクイエム・フォー・ドリーム』(原題:Requiem for a Dream)とは、2000年に公開されたアメリカ合衆国の映画。日本での配給はザナドゥー。

孤独と背中合わせに生きるごく普通の男女4人がドラッグで破滅へと向かっていく姿を描いた社会派サスペンスである。
原作はヒューバート・セルビー・ジュニアの『夢へのレクイエム』で、監督は斬新な低予算SF映画『π』で世界を驚かせ、
後に『レスラー』『ブラック・スワン』などでアカデミー賞を受賞し、名実ともに記録を出したダーレン・アロノフスキー。
後に『マザー!』の大失敗で名声が爆散したが……

なお、アロノフスキー監督はアニメ映画『PERFECT BLUE』のファンであり、その映画のシーンを本作で引用するためにリメイク権を約6万ドルで買ったとの事。



【あらすじ ~春~】

コニー・アイランドの寂れた海岸。
古いアパートに住む孤独な未亡人サラは、ある日、大好きなテレビのクイズ番組から出演依頼の電話を受け、ダイエットを決意する。
一方その一人息子ハリーと恋人マリオンのもとに、友人のタイロンが麻薬密売の話を持ちかける。
一時はそれぞれに人生がうまく回り始めたかに思えたのだが……



【登場人物】

4人の男女

  • ハリー・ゴールドファーブ(演:ジャレッド・レト / 吹替:佐久田修
主人公。
高校卒業後も定職に就かず、母親が大事にしている古びたテレビを繰り返し質に入れてはその金をヤクに費やすジャンキーのイケメン。
本編開始早々自堕落な生活を送っていたが、やがてマリオンと2人で小さな店を開くための開業資金を手に入れるため、タイロンと共にヤクの商売を始めた。
あっという間に大儲けで商売がうまくいき、中盤ではその金で母親に新品のテレビをプレゼントして親孝行をしていた。

ヤクの取引をしながら自らもヤクに溺れ続け、金が手に入ったあかつきの夢の実現という幻想に酔いしれていたが、
商売が繁盛した矢先にタイロンがマフィアの抗争に巻き込まれて警察に捕まり、彼の保釈金を払うために稼いだ金のほとんどを使い果たしてしまう。
更にはヤクの入手ルートを絶たれた上にイタリア系マフィアによって相場が一気に跳ね上がってしまう。
その後、苦労して新たに見つけた取引現場でヤクを仕入れようとしたが、他の客が暴れたせいで失敗に終わってしまった。
最後の手段としてタイロンと共にヤクを求めてフロリダへと向かう事に……



  • タイロン・ラヴ(演:マーロン・ウェイアンズ / 吹替:乃村健次)
ハリーの友人である黒人青年。
彼もまたヤクをキメており、ハリーと共に混ぜ物のヤクで商売を始める。
儲けた金で一生分の麻薬を手に入れて、あとはあくせくせずに遊んで暮らす生活を夢見ている。
幼少時代の回想場面で母親が登場しているが、現在は既に亡くなっている。

上記にある通り、中盤で警察に捕まって金もヤクも尽きて一気にどん底に落ちてしまう。
その一方ではハリーと比べると常識人な一面もあり、確実性が無いにもかかわらず、
「ヤクを早く手に入れたい」という焦りで売人の元締めがいるフロリダへ向かおうと決意したハリーに苦言を呈していた。
とはいえ、他にアテも選択肢も無かったため、結局ハリーの提案に賛成してドライブに出かける羽目に……


  • マリオン・シルヴァー(演:ジェニファー・コネリー / 吹替:湯屋敦子)
ハリーの恋人。
ファッション・デザイナー志望で洋服店を開くことを夢見ている。
実家は裕福で両親からの仕送りでアパートに住んでいるが、親子関係はあまり良好ではなかったようで、両親の愛に飢えて自分に自信が持てずにいる。
実は両親にカウンセリングに通っていると嘘をついており、その口止め料としてカウンセラーからは頻繁に食事に誘われているが、
当のマリオンはそのカウンセラーを内心毛嫌いしている模様。

コカインをキメる日々を送りながらも、ハリーとはラブラブな関係で将来の夢について語り合う等、当初は順調なリア充ぶりであったが、
ハリーとタイロンが商売に行き詰った途端に幸せだった生活があっという間に転落。
両親からの仕送りがストップし、ヤクも底をついたことでハリーとの関係がギクシャクし始め、更には商売用のヤクを買う資金を無心してきた彼からは遠回しにカウンセラーと関係を持つよう説得される。
自身もヤクが必要だったため、仕方なくハリーの提案に従ったが、2人の間には大きな壁が出来てしまう……


  • サラ・ゴールドファーブ(演:エレン・バースティン / 吹替:久保田民絵)
ハリーの母親。
夫に先立たれ、ブルックリンの古いアパートで1人暮らしをしており、部屋に篭り一日中テレビを見ながら食ってばかりの生活を送っている。
息子のハリーに何度もテレビを質屋に持ち出され、その度に質屋に出向いて買い戻す行動を繰り返しており、
質屋の主人からは警察に相談するよう苦言を呈されているが、息子に嫌われる事を恐れて強気に出られずにいる。

そんなある日、視聴者参加番組の参加者に選ばれたという連絡が入り、待ちに待った夢が遂に叶ったと狂喜してはテレビに出るのに若かりし頃に買った真っ赤なワンピースを着ようと決意。
白髪混じりだった髪を赤く染め、お気に入りの赤いドレスを着て番組に出演することを夢みていたのだが、すっかり太ってしまってドレスを着ることができなくなっていた。
自己流でダイエットに挑戦したものの、成功する兆しはなく成果が表れないことに焦りを感じてしまう。
悩んだ末に同じ団地の知り合いから聞いたダイエット・ピルを医師に処方してもらう道を選択するのだが、その薬は覚醒剤の一種であった……


関係者

  • エイダ(演:ルイーズ・ラサー)
サラの女友達の1人。
娘が使っているダイエット・ピルをサラに勧めていた。
自身はダイエット・ピルを使った事が無く、その薬が覚醒剤である事は知らなかった模様。


  • アーノルド(演:ショーン・ガレット)
カウンセラーの男。
口止め料として何度かマリオンを食事に誘っている。
以前からマリオンの体を求めていた節があり、中盤で彼女から金を無心された際には交換条件としてセックスを要求した。


  • アリス(演:アリヤ・キャンベル)
タイロンのカノジョである黒人女性。
全裸姿のみの登場でいつのまにかフェードアウト。


  • ビッグ・ティム(演:キース・デヴィッド)
タイロンの知り合いであるセレブ風の黒人男性。
街では数少ないヤクのディーラーであるが、金ではなく女とのセックスでヤクの取引を行う好色家であり、ヤクを探し求めていたハリーとタイロンは当然匙を投げていた。


※以下、終盤のネタバレ

+ ネタバレにつき格納。視聴済みの方以外の閲覧は自己責任で






















【4人の結末、夢への鎮魂歌 ~冬~】

  • ハリー・ゴールドファーブ
最後の望みをかけてフロリダへと向かおうとしたが、注射でヤクを打ち続けたせいで注射痕を中心に左腕が感染症で黒く変色して壊死し始めていた。
その様子を見かねたタイロンに病院へ連れられるも、運悪く医者の通報で駆けつけた警察にタイロン共々逮捕されてしまう。
その過程で留置所の公衆電話でマリオンに連絡し、自身の不甲斐なさに対する謝罪の言葉と同時に「必ず帰る」と泣きながら告げたが、時既に遅くお互い後戻りができないところにまで追い詰められていた。
留置所に入れられた後も壊死が悪化し続けて激痛に苛まれ、刑務所へと移送された頃には立っているのがやっとなほど意識が朦朧とした状態であり、その様子を目の当たりにした職員達によって手術室へと運ばれて一命を取り留めたものの、その代償として壊死した左腕を切断されてしまった。
ラストシーンで病棟のベッドで目覚めた後は二度とマリオンに会えない現実を悟り、看護師に見守られながら泣き崩れていた。


  • タイロン・ラヴ
フロリダに向かう途中でハリーと2人仲良く逮捕された。
しかも仮釈放中の逮捕だったため、そのまま刑務所へ投獄され、黒人への差別意識が強い看守の罵声を浴びながら*1嘔吐するほどの(心身両面への)重労働と禁断症状に苦しむ日々を送る事となる。
強制労働を終えて疲れ果てるシーンでは、亡き母の思い出に浸りながらベッドで眠りについていた。


  • マリオン・シルヴァー
ハリーと同じように日頃からキメ続けたためにヤク中が進行し、中盤でヤクが手に入らなくなってからは日常生活に支障をきたす程の禁断症状に襲われるようになる等、すっかりヤクの依存症となってしまった。
更にはヤクの元手を工面するための売春を強いられたとはいえ、ヤクの仕入れに失敗して命からがら帰宅したハリーに対しては彼の心配よりもヤクの有無を優先してヒステリックで辛辣な罵声をぶつける等、2人の関係は崩壊の一途を辿ってしまう事になった。
当のハリーも彼女の物言いに反発し、口論の末にビッグ・ティムの電話番号をリア充だった頃の2人の写真の裏に書き残して去り際に「すぐにでもヤクが欲しいなら体を売って自分で手に入れろ(意訳)」と逆ギレしていた。
1人残された後は禁断症状に耐えかねてビッグ・ティムとセックスする羽目になり、彼から報酬のヤクを渡された際には次のヤクをチラつかされる形で近々開催するショーに出るよう勧誘されてしまう。
ちなみに事が済んだ後は『PERFECT BLUE』とほぼ同じ演出で風呂に潜って絶叫していた。

終盤でハリーと今生の別れとなる電話で会話した後、例のショーに参加しに再びビッグ・ティムのところへと訪れた。
そこで待っていたのは金持ちが開催するアングラなセックスショーであり、見世物として会場に出演させられたマリオンは大勢の観客の前で屈辱的なプレイを強要されてしまう。
その後、ショーを終えて身も心もボロボロの状態で帰宅したシーンでは、満足げな表情を浮かべてヤクを抱きしめながらソファーに横たわって眠りについていた。

自分の店を持つという輝かしい未来がドラッグとセックスまみれの悪夢へと変貌してしまい、売春で得られるドラッグ無しでは生きられない体になった彼女にはそこから抜け出す術など無かった。
……更に悲惨なのはそれらの生き地獄がこれからも続くという救いのない末路であろう。


  • サラ・ゴールドファーブ
ダイエット・ピルの服用で体重が数週間で10キロも痩せ、体力が漲り気持ちも明るくなる。しかし、それと同時にヤク中の症状が出始めてしまう。
中盤でアパートを訪れたハリーはサラの異変に気づき、すぐにピルの服用をやめさせようと説得するも、自身もヤクに手を出している状況もあって強く言えなかった。
その後、ピルの効果が弱くなっていると感じて服用量を徐々に増やしていた。当然症状は加速度的に悪化し、冷蔵庫が暴れる等の幻覚に襲われてしまう。

ちなみに出演依頼は誰かのイタズラだったのだが、その事に気づかないままテレビ局からの連絡を待ち続け、幻覚症状で半狂乱になって飛び出して街を彷徨った末にテレビ局へと辿り着いた。
この時点で完全に挙動不審な状態で髪の色が抜け落ちて見る影もなくやつれており、その姿を見かねたテレビ局の通報で消防局に保護され、そのまま精神病院へと強制入院させられる羽目に。
そこで待っていたのは数々の投薬や強制飲食(経鼻栄養)などの人体実験まがいの治療であり、正常な判断力もないまま苦痛を与えられ続け、その挙句に電気ショック療法で廃人となってしまった。
治療を終えた頃には白髪の老人のような風貌になり果てており、見舞いに訪れた友人達は変わり果てたサラの姿に絶句して泣き崩れていた。
自分の居場所を求め続けた末に死ぬよりも悲惨な状態で生き続ける事になってしまったサラは病院のベッドで眠りについた。

そして場面はサラが普段観ていた番組のスタジオへ変わる。
司会者と観客からの喝采が上がるステージで赤いドレスを着た理想のサラが登場。
正装した古美門研介っぽい横分けのハリーも登場し、チャンピオンに選ばれたサラが仕事も順調で婚約者もいて…そして両腕がある理想の息子を抱きしめて喜びの涙を流す。

そして、4人全員に春は訪れる事もなく終幕する……



【余談】

未公開シーンでは、ハリーとタイロンとマリオンの3人がヤクをやめようと話し合っている様子が描かれている。
無論本編ではそのような行動を取らないものの、仮に前述のシーンが本編にもあれば、それだけでもハリー達の未来は多少なりとも明るくなれたのかもしれない。


サラ役を演じたエレン・バースティンは、本作でアカデミー主演女優賞にノミネート+インディペンデント・スピリット賞主演女優賞受賞。
現在ではアクターズ・スタジオ代表になっているが、「本作でのドラッグで崩壊した人物像まで演じた演技を指標にしている」とのこと。

追記・修正は、4人全員同じ姿勢で眠ってからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ダーレン・アロノフスキー
  • ヒューバート・セルビー・ジュニア
  • ジャレッド・レト
  • マーロン・ウェイアンズ
  • ジェニファー・コネリー
  • エレン・バースティン
  • バッドエンド
  • 救いがない
  • 4人
  • 映画
  • 洋画
  • おいやめろ
  • 薬物
  • ドラッグ
  • 2000年
  • どうあがいても絶望
  • 夢への鎮魂歌
  • 後味の悪いオチ
  • ダメ、ゼッタイ
  • 麻薬
  • ヘロイン
  • サスペンス
  • 衝撃のラスト
  • 妄想
  • 鬱展開
  • 鬱映画
  • 報われない
  • だけどみんな救われねぇ
  • トラウマ
  • どうしてこうなった
  • 早送り
  • 夏→秋→冬
  • ヤク中
  • 親不孝
  • ザナドゥー
  • レクイエム・フォー・ドリーム
  • 名作
  • 依存症
  • リア充
  • PERFECT_BLUE
  • パーフェクトブルー
  • 闇金ウシジマくん
  • 分不相応
  • ネタバレ項目
  • コミケ
  • なんだよこの展開…
  • 天国と地獄
  • R15+
  • 負の連鎖
  • アメリカ
  • 夢へのレクイエム
  • 夢破れたり
  • ダメな大人の万国博覧会
  • フィクションでは済まない問題
  • ある意味死ぬよりひどい
  • ある意味ホラー
  • 死んだ方がマシ
  • 傑作or問題作
  • 超問題作
  • 鬱展開の嵐
  • リア充鑑賞推奨映画
  • アシッド・ムービー
  • バッドトリップ
  • ドラッグムービー
  • 汚い大人の見本市
  • 地獄絵図
  • 堕落
  • トリップ映画
  • トリップ

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年02月03日 07:38

*1 翻訳では自粛されているが、台詞は完全に放送禁止用語を使っていた。