六三四の剣

登録日:2017/05/20 (土) 19:22:58
更新日:2022/03/14 Mon 10:40:35
所要時間:約 15 分で読めます






概要

六三四の剣は、週刊少年サンデーで掲載された漫画作品。
1981-1985年の間連載され、単行本は全24巻。

作者は『赤いペガサス』、『岳人列伝』、『龍-RON-』、ドラマ化された『JIN―仁―』などで知られる村上もとか。
作者は以前も剣道を題材にした『エーイ!剣道』をサンデーに連載していた。


剣道家の夫婦の下に生まれ、6月3日午後4時に生まれたことから「六三四」と名づけられた少年の成長物語。
小学校までの戦いを描く幼年編と、高校時代を描く高校編に分かれている。
舞台が岩手県であり、主人公たち主要人物が岩手の方言を用いるのが特徴的。

漫画的な誇張はあれど、作風はド派手な必殺技の飛び交う『キャプテン翼』ではなく、リアル風な『俺たちのフィールド』に近い。
迫力ある試合や個性豊かな登場人物の成長過程を丹念に描き、非常に高い人気を誇った。
競技に勝つためだけでなく、礼節を尊ぶことなど剣道で必要とされていることが綿密に描かれている。

剣道漫画の金字塔であり、読者層である少年たちに「剣道ブーム」なるものを生み出した立役者でもある。
現役プレイヤーがその世代~少し下であり、愛読者も非常に多い。
全日本選手権覇者がこの作品について語るインタビューが雑誌に掲載されるなど、未だに強い影響力を持っている。

なお、剣道作品を2作書いていながら、作者は 剣道未経験
「これだけしっかり書いておいて未経験とか嘘だろ!?」と驚くのは、剣道を経験した読者が一度は必ず通る道。

人気ゆえアニメやゲームも発表された。

アニメ版は1985年~1986年にかけて、テレビ東京系列で放送された。アニメーション制作はエイケン。

ファミコン版は当時は珍しく二人対戦が可能であったため、結構な人気があったとか。
負けると地団太を踏む修羅や栄一郎 という珍しいものが見られたり。
※実際の剣道では著しく礼を欠いた行為として失格になるのでやらないように!
(アニメ、ゲームを良く知る人は追記お願いします)


  • 登場人物

  • 夏木六三四
CV: 渕崎ゆり子、堀川りょう(青春編)、緑川光(PS2版)
本作の主人公。6月3日の午後4時に生まれたため、宮本武蔵にあやかって六三四と名づけられた。
全日本選手権優勝者同士の夫婦から生まれたサラブレッドであり、身体能力は非常に高い。
幼年期はやんちゃで負けず嫌いな腕白坊主だが、高校編ではそれなりに礼儀をわきまえている。
東北訛り全開であり、「ぺっこ(ちょっと)」「いてじゃあ(痛い)」は作中でもよく口にする。
作中様々な経験をしてプレイヤーとしても一人の人間としても大きく成長していく。
とにかく剣道一筋で、時間があれば走りこみや素振りを欠かさない。
時として道場破り同然の出稽古をする事もある。

何気に盛岡市→北上市(湯田町在住)→盛岡市と県内ながら所属道場および母校が変わっていたりする。

作風もあり特にこれといった必殺技のようなものはないが、小学6年から父と同じ上段をとりはじめる。
恵まれた肉体から放たれる一撃はまさに電光石火である。
ただしもっとも強いのはその精神力であり、どんな状況でも後ろに下がらないという精神力がその一撃を支えている。

最終回のエピローグでは教師を目指し勉強に励んでいた。

  • 十一(といち)
CV:木藤聡子
夏木家の飼い犬で柴犬。10月1日に飼われたのが名の由来。
交通事故で親が轢かれたため身寄りがないところを栄一郎が引き取った。
幼少期の六三四の良き遊び相手であり、幼稚園児のときはよく背に乗っていた。
小柄ながらも勇敢で、六三四が野犬に襲われたときも身を挺して彼を守った。その際に右目を負傷している。
高校編でも登場し、すっかり老犬になっていたが懐っこさは変わっていなかった。

  • 夏木栄一郎
CV:徳丸完
六三四の父。岩手県警に所属し「岩手の虎」と呼ばれる若き剣豪。
六三四が生まれたときは、全日本選手権の岩手県予選に優勝していた。
上段の構えを取り、その豪快な一撃で並み居る剣士たちをなぎ倒してゆく。
剣を握らないときは子煩悩でお酒の大好きなオヤジである。
余談だが、栄一郎の立ちション姿を覗いた六三四(当時6歳)は、 おらの竹刀の柄よりでけえ と感心していた。

史上初の全日本選手権二連覇に挑み、準決勝では東堂国彦と戦う。
強烈な突きを受け場外に転落するも復帰し勝利。しかしこの時負った傷が原因で、二連覇達成の直後に亡くなる。
それ以降は登場しないが、彼の影響は様々な人物に残されており、物語に深く関っていく。

作中でも語られるが、0.5秒足らずの打突が勝敗を分ける剣道において、連覇を達成するというのは非常に困難。
現実では全日本選手権を連覇したものは戦後2名のみで連載期間では存在せず、いかに栄一郎がすごいかを物語っている。
うち一人の宮崎正裕氏は全日本を 6度 制した怪物であり、個別項目があるためそちらも参照。


  • 夏木佳代
CV:吉田理保子
六三四の母。旧姓は朝倉。剣道四段で、「東北の鬼ユリ」という異名を持つ全日本女子選手権覇者。
家族を支えるよき母であり、時に厳しく時に優しく六三四を支えていく。
専業主婦であったが後に六三四のいる小学校の教員として彼を見守るようになる。
幼年編では栄一郎の選手権優勝を祈願して裸で水浴びをするなど、作中のサービスシーンを担ったりした。

高校編ではスランプに陥った六三四に「 一期一会 」という言葉を残し、彼の武者修行の後押しをした。
後に六三四の影響もあり現役復帰し、ブランクを感じさせない活躍を見せた。
38歳と年こそ重ねたが美人であり、武者先輩はその姿をみて本気で狙うことを考えたほど。「鬼百合」の異名も、おそらくは容姿も影響してつけられている(≒姿は百合のように美しいが剣道は鬼のように強い)と思われる。
後に教員の同僚であり、かねてからアプローチを受けていた八重樫先生と再婚する。

のどには大きな傷があり、昔剣道中に大怪我を負ったとのこと。
栄一郎との出会いは学生運動であり、栄一郎は機動隊所属だった。


  • 東堂修羅
CV:羽村京子、鳥海勝美[青春編]
六三四の親友であり、作中最強のライバル。奈良県柳生出身。
開始前に掲載された読切「修羅の剣」では主役。
穏やかな顔をした品行方正な少年だが、身体能力は非常に高く剣を握ると名の通りの激しい剣捌きを見せる。
小さいときから幼稚園にも行かず父に稽古をつけられており、一時は家族の不仲にも繋がっていた。作中修羅に恋していた女子を剣道のために突き離すこともあり、人間関係的には割と不遇。
6歳にして突きまで習得しており*1、六三四との初稽古では彼を吹き飛ばして完全勝利を収めた。
様々な場面で登場し、時にはライバルとして火花を散らし、時には親友として切磋琢磨するよき関係である。

高校編では1年にしてインターハイで優勝するなど怪物ぶりを発揮。
2年時も優勝して、3年では史上初の高校三連覇を掛けて試合に臨んだ。
勉学も優秀なようであり、最終回のエピローグでは医師を目指すことが語られた。

得意技は時期によって様々だが、最終的には面切り落とし面になった。
同時に出た相手の面を切り落として横にずらしそのまま面を打ち込む攻防一体の最高難度の技であり、稽古ですらめったにやれる技ではない。

戦後の高校剣道では連覇者は一人もいない。いかに修羅が素晴らしいかわかるだろう。
(高校は3年間と短いため団体はともかく個人戦は先輩が優先され出してもらえない可能性が高いのだが)
ただし大学を入れても二人しかいないので、いずれにせよすごいことには変わりない。
まあ他には連覇はならずとも1-4年全てで決勝に進出し2度優勝した人物もいる辺り、現実も侮れないようである。
また、インハイ覇者かつ医師になった人物も一人だけ存在する。


  • 東堂国彦
CV:穴子
修羅の父であり、栄一郎の先輩。
大学時代に全日本選手権で優勝する最年少記録を持つ怪物であるが、その後一切の公式試合には出ていなかった。
栄一郎とは正反対の冷静で正確な剣を使い、その突きは 竹刀で木製の壁に穴を開ける など超人的。
「極めれば竹刀でも人は切れる」という思想を持ち、剣を極めるため鬼となって生きるまさに現代に生きる剣豪である。
ただしそのために年端も行かない修羅に激しい稽古をつけるなど危ない面もあり、
高校編では修羅と 防具をつけずに本気で木刀で打ち合う など剣にかけては狂っているとも感じられる面がある。

栄一郎と再会したことを期に表舞台に復帰し、その圧倒的な実力で全日本選手権の準決勝まで勝ちあがり栄一郎と対戦。
その際に強烈な突きを食らわせたことで栄一郎は試合場から転落し、その怪我が元で試合後脳出血を起こし死亡してしまう。
六三四には非情な言葉をかけたが、彼自身は剣友を殺めてしまったことに涙を流していた。

修羅が高校進学したあたりから癌が判明し、最終回で死去する。

現実でもかつて全日本選手権では紅白の模様が入ったひな壇が対戦場として使われていた。
作中のように転落して事故につながると思われたかは不明だが、現在はそのひな壇は使われていない。
なお、つい最近(2014年)彼より若い大学3年生の全日本選手権覇者が誕生した。気になる人は調べるべし。


  • 東堂朝香
CV:有馬瑞香
修羅の母。作中では故人であり、修羅の前日談を描いた『修羅の剣』で登場する。
優しい母だが体が弱く感受性の強い部分があり、修羅に鬼のような稽古をつける国彦についていけず郷に帰ってしまう。
以来しばらく国彦は修羅への稽古をやめてしまい、修羅も家族のことを信じられなくなってしまう。
国彦と再会の約束をしていた日に崖から転落して死去。
朝香の弟は国彦を苦にして自殺したのではと彼を責めたが、実際はそうでなく、国彦は朝香を今でも愛していると答えた。
修羅も父と母は愛し合っていたということを知り、剣道を再開した。
本編では登場しないが、幼年編最後の大会前に修羅が母への思いを絶つように彼女との写真を焼いていた。



  • 轟嵐子
CV:伊倉一恵
六三四の剣友である少女。嵐の日に生まれたため嵐子と名づけられた。北上市出身。
負けず嫌いな性格。才能には恵まれているが、六三四と比べるとやや怠け癖がある。
初登場時は六三四が有力と思っていた人物を下して女子ながら決勝に上がり、彼を驚愕させた。
その時の乱闘が元で彼とは浅からぬ縁ができ、後に同じ道場で切磋琢磨することになる。
着替えやパンチラなど全編を通してサービスシーンを担ったりしていた。
小五時は団体戦メンバーとして、小六時はやはり団体戦メンバーとして全国に出場。
小六時は個人戦で六三四と対戦するも惜敗している。

高校編でも六三四と同じ高校に進学(盛岡の祖父の家に住んでいる)し、彼への恋愛感情を自覚するようになる。
彼女も高校二年の時にインターハイ8強、高校三年時にインターハイ予選で優勝するも、負傷が元で出場は断念。そのときから悪い友人とつるむようになる。
紆余曲折あって一度は自棄になるも、剣道に打ち込む六三四を見て自身を見つめなおす。

現実の大会でも、小学生では男女間で体格差があまりないため男女混合でチームを組むことは普通である。


  • 大石巌
CV:菅原淳一、玄田哲章[青春編]
六三四の剣の師匠。栄一郎の上司(署長)の息子であり教え子でもあり、彼を非常に尊敬している。
初登場時は体格の大きい悪ガキであり、剣道を習いながらも性格が良いとは言い難かった。*2
自身に挑みかかった六三四を圧倒するも、怒り狂った六三四の予想外の反撃に合い気絶。その時から彼と因縁を持つ。
幼年編ではガキ大将、高校編では教員、警察として全編通して様々な場面で登場する。
六三四に尊敬する栄一郎の姿を感じており、さながら栄一郎の代わりとして彼に剣を教えてゆく。
実力は非常に高く、後に全日本選手権では準優勝を収める。
六三四最後のインハイ直前には彼に捨て身の心を教え、彼の成長を見届けた。


  • 魚戸オサム
CV:江森浩子、菊池正美
六三四と同じ幼稚園に通う男子。はじめは悪ガキだったが、六三四に締められ以降は親分と彼を慕うようになる。
後に彼に影響され剣道を始める。しかし全編通して彼が試合をするシーンは描かれなかった。
実力は六三四や嵐子には劣るが、六三四の高校で主将を務めたことを考えると決して弱くはないはずだが・・・。
モデルはアシスタントの魚戸おさむ氏。


  • 小宮もなみ
CV:及川ひとみ
六三四の幼馴染。眉間のほくろが特徴的な美少女。
幼少期から六三四のことが好きであり、積極的なアプローチをかけていく。
しかし彼が剣道に打ち込むと共に、剣道をしない彼女の出番が少なくなっていく。
ヒロイン的ポジションを嵐子にとられるなど悲しき立場であった。
高校編でも随所で登場する。


  • 有働大吾
CV:西村智博
九州・熊本の剣道男児。幼年編で道場の全国大会で団体優勝を納めており、個人では六三四と一回戦で対決する。
小学生離れした体格で上段に構えており、その破壊力は抜群。六三四とは上段同士の対戦であり、観客を大いに沸かせた。
高校編で再登場するが、入院するほどの大怪我をしており六三四とは戦わなかった。
薙刀をやっている妹がいる(似てない)。


  • 日高剣介
CV:中原茂
九州の剣道男児。剛剣示現流の使い手であり、剣道王国として知られる九州でも屈指の実力者。
非常に激しい性格でそれに見合った非常に激しい剣道をする。
打ち込みで相手の竹刀を破壊する描写が何度もあるなどパワーはぴか一。
幼年編最後の大会にて個人戦で修羅に敗北するもそれを認めず、優勝した六三四に裏口で決闘を挑む。
彼の竹刀を折って勝利し、世界はまだまだ広いことを感じさせて幼年編は幕を閉じた。

高校編でも六三四の武者修行で再登場。さらに強くなった剛剣を披露した。
彼の見せた蜻蛉の構えは日本剣道型で言うと八相の構えが近い。時代劇でよく刀を顔の横に立てて構えるあれである。
蜻蛉の構えに限らず、彼の構えは競技剣道から離れたものが多い。


  • 武者潔和
CV:幹本雄之
六三四の高校剣道部の先輩で、彼と同じアパートの住人。
髪はぼさぼさでエロ本集めが趣味という一見だらしない人物だが実力は本物で、インハイではベスト8に輝く。
元は不良であり、その因縁が悪い影響を与えてしまうことになる。
六三四の母である佳代を見て「べっぴん」と下心丸出しで語っており、六三四は「それがなきゃ尊敬できるのに」と言ってしまった。

得意技は突きを放ちむせる相手に突きを連続して追い討ちをかける「マシンガン突き」。
食らった嵐子は壁際に追い詰められ 足が浮く ほど強烈。これでベスト8とか全国は化け物ぞろいかよ!!


  • 乾俊一
CV:堀内賢雄
高校編で初登場した剣士。中学で剣道を始めながら修羅をもって手ごわいと言わしめる実力を持つ。出身地は奈良なので関西弁を話す。
父は建設会社(というよりヤのつく自由業)社長だが母は妾、その母に殺されそうになった暗い過去を持る。
しかし勝利に貪欲すぎる面があり、相手の負傷も辞さない危険な技も平気で放つなど心技体の心が足りていない。チームメイトからですら疎まれているレベル。
六三四とは実力をお互いに認めつつもそりが合わず何度か衝突する。
さらに高校1年の大会で彼との対決中に左腕を折り選手生命に関る重傷を負ってしまう。
このことから乾は六三四を恨むようになり、六三四はスランプに陥ってしまうことになる。
その後は剣を捨てきれず、二刀流を納めて再び現役復帰する。
いやみな事を言うなどひねた性格ではあるが剣道への情熱は人一倍高い。
中学時代は奈良県、高校一年次は岩手県の北陵高校、高三時には東京都と変遷が激しい。
なお、当時も現在も公式戦で高校生の二刀流使用は禁止されている。


  • 風戸美奈
CV:富沢美知恵
長崎出身の女流剣士。端正な顔つきの美女であり、かつて栄一郎が所属した大学の剣道部員。
実力は高く、武者修行にきた六三四を女性でありながら一度は撃破した。
その後は彼を女子剣道部でこきつかい、彼と剣を交えるうちに六三四に惹かれていく。
後に全日本女子選手権に参加し、準決勝で佳代と対戦。互いに思いをこめた相面を制し、その後は見事に優勝を果たした。

登場期間は割りと短いが、サービスシーンは結構多かった。


  • 古沢兵衛
九州の離れ小島で孤独な生活をする老人。
有働が古沢のうわさを聞き稽古に行くも、病院に運ばれる重傷を負ってしまうことになった。
二刀流を扱い実力は六三四のはるか上であり、防具の上からでも跡が残る激しい打ちはまさに魔剣。
六三四も武者修行で訪ね稽古を行うもなすすべなく打ちのめされた。彼の無意識の突きを受け本気になるも、有働の妹が助けに入る。
彼女のおびえる姿を見て急にひどく狼狽した表情になり、六三四に帰るよう伝えた。
その後は乾に二刀流の師事を頼まれるが、一度は叩きのめした上で断る。
しかし剣が握れないと知ると目の前で自殺しようとした乾の覚悟に、自身と近いものを感じて激しい稽古をつけた。

太平洋戦争中に無抵抗の女子供を惨殺してしまった過去があり、自身の剣を封印し孤独な生活をしていたのはそのためである。


解説

  • 突き
中段の構えから相手の面についた突き垂をまっすぐ突く技。
原理こそ一歩前に出て腕を伸ばすだけという面よりも簡単な技だが、非常に狙いにくく奥深い技。
相手を倒すには腰を入れてすばやく出る必要がある上、狙う部位が非常に小さく少しでもずれたら外れてしまう。
相手が正中に構えている場合は全く決まらない技であり、しっかり攻めて自身が身体ごと正中を制する必要がある。
その分決めると会場が大いに沸き、チーム戦なら一気にこちら側に流れを寄せられるドラマチックな技でもある。

なお、突きは安全面や技術面の関係で公式戦では中学生以下は使用不可。
六三四と修羅の最初の対決のように、面にきた相手に突きで応じるのは「迎え突き」と呼ばれる危険な行為。
相手と自分の推進力が合わさり栄一郎の悲劇や佳代の古傷のようなことになる可能性があるため、試合での使用は控えよう。
また、面に来た相手にわざと下から突きを入れる通称「スコップ突き」なるものもあり、
かつては先輩が後輩をかわいがるのに良く使われたとか。(喉に直接当たってむせることが多いため恐怖をあおるのにうってつけだから)
もちろんこちらも大変危険なため稽古でも使用は控えよう。

  • 上段の構え
剣を頭上に掲げ、相手を威圧する構え。通称「火の構え」
すでに振り上げているため振り下ろすだけで打突が可能で、打点も高いため同時に打ち込んだ場合はほぼ間違いなく打ち勝てる。
片手かつ半身で撃ちこむため遠い間合いからでも打ち込める上、中段の構えと違い距離の指標がないため間合いをずらしやすい。
(中段同士なら竹刀の交差する位置で大体の間合いをつかめるが、竹刀が頭上にある上段相手ではそうはいかない)
ただし正中線をあけており腹部ががら空きであるため、胴や突きを受けるリスクが高い。
高い位置から打ち込むため胴や突きは予備動作が必要になり技の選択肢が狭く、テキトーに打突しても簡単に受けられてしまう。
さらには片手で竹刀を扱うため、勢いに負けて竹刀を手放さないよう豪胆な腕力を必要とする。
このことから相手の打突の瞬間を見極め恐れずに同時に飛び込む必要があり、不退転の精神力が要求される攻めの構えである。
気合さえあれば背丈は問わないが、威圧感や打点の都合で長身の人物が構えたほうが効果的ではある。

公式戦では高校生から使用可能。
昔は二刀流と並び「団体戦の引き分け狙い」のために上段を投入する事例が多かったため、一時期は禁止されていた。
中段とは違い胴の上部にある部分に突きを入れても有効(通称胸突き)である。


  • 二刀流
宮本武蔵で有名な、刀を片手に一つずつ持った構え。
払うと同時に打ち込む、打つと同時に守るといったことが可能な攻防一体の構えであり、上手な人物が扱えば変幻自在の攻めを見せる。
ただし上段同様片手で竹刀を扱う以上勢いに負けない腕力が必要であり、その努力は並大抵ではない。
さらにはどうしても片手である以上正中を取る力が弱いため、力や勢いで真ん中を割られ突きを食らう可能性もある。
長刀と短刀があり、どちらの手で持つかで名前が違う。乾は右手で短刀を持つ逆二刀である。
短刀側はよほど良い機会を捉えない限り旗は上がらないため、基本的に一本をとるのは長刀のみと考えていい。

公式戦では大学生から使用可能。上述どおり引き分け狙いが相次いだため一時期禁止されていた。
外国人は宮本武蔵に憧れ剣道を始める人が多いため、世界大会では二刀流の剣士がかなり多いとか。

  • ゲーム版について
1986年8月8日、ファミコン用ソフトとして「六三四の剣 ただいま修行中」のタイトルで発売。ジャンルはアクション。
開発・発売元はタイトー。

基本操作は十字キー左右で移動、上下で攻撃の段を切り替え、Aボタンで攻撃、Bボタンでジャンプ。所謂マリオ形式とは逆のため、そちらで慣れていると最初は混乱するかもしれない。

「武者修行編」というアクションステージ3つと大会ステージの計4ステージで構成されており、大会で優勝すると2周目に突入。それをクリアするとエンディングとなる。
アクションステージでは画面下を犬(十一)が走っており、追いつかれないようにゴールに辿り付くことが目的となる。
大会モードでは有働→乾→大石→日高→東堂の5連戦となり、全員に勝てば優勝と成る。

ところどころに開いている穴に落ちるか、敵にぶつかってライフが0になるか(初期状態のライフは50で、2回ぶつかると0になる。後述のアイテムで回復は可能)、犬が先にゴールすると1ミス。
ミスになる穴は最初のステージの時点でそこそこ多く、難易度は高め。
大会モードも2本先取すれば勝ちなのだが、上述の5連戦のどこかで負けると残機を減らされて1回戦からやり直しとなり、消費したアイテムはリセットされないという極悪仕様。コンティニューもないので普通にクリアするだけでも一筋縄ではいかない。

また、ステージの名目は剣道の修行のはずなのだが、その割には 炎みたいな怪物が迫ってきたり、空から無数の竹槍が降り注いだり、ミサイルのようなものが猛烈な勢いで飛んできたり と演出はかなり過激。地形の一つである 墓石 を切りつけたりと罰当たりなことも可能。*3

本作で入手できるアイテムは以下の通り。道中に置かれているほか、巻き藁などを切ることで出現する。場合によっては一見何もない空間に隠されていることもある。

  • 竹刀 上中下段に分かれており、50本とることで竹刀が ビームサーベル のようになり、その段の高速切りができるようになり、全ての段で50本とればボタンを押しっぱなしにするだけで全段連続攻撃が可能になり、非常に強力。大会モードではこれを消費することで必殺技を繰り出せる。
  • 鍵 無敵になって特定の位置まで高速移動できる。道中にアイテムがある場合は入手可能。
  • おにぎり 体力を10回復。
  • 絆創膏 体力を20回復。
  • 薬 体力を99にする。
  • カエル ジャンプ力が増す。
  • 靴 機動力が増す…が、制御が難しくなる場合も。
  • 面 一定時間無敵になれる。
  • ? 一定時間背景の裏に入り、攻撃を無効化できる。
  • G ゴールマーク。これを取るとステージクリアとなる。




追記・修正は剣道を始めてからお願いします。

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最終更新:2022年03月14日 10:40

*1 後述にもあるが、突き技は中学生以下の試合では使用を禁じられているため、普通6歳では稽古をしない。また、高校生以上でも強力な技であるためか、突きを「カッコ悪い」「卑怯」「失礼」とあえて敬遠し使わない人も多かったりする。

*2 反面、小学生相手に恐喝している中学生を成敗して小学生を助けるところもある。

*3 原作でも跳躍力強化のために墓石から墓石へ飛び移る練習をして石を倒しまくる罰当たりをかましている