フェニックス

登録日:2017/05/14 Sun 21:37:42
更新日:2023/11/27 Mon 11:51:59
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フェニックス(phoenix)*1とは、寿命が近づくとその身をで焼き尽くしてを迎え、その灰の中から新たな生命をもって再生すると伝えられる伝説上の霊鳥である。

その伝承から不死鳥火の鳥ともよばれ、多くの国や文化で太陽や生命などの象徴として扱われている。



【伝承の中のフェニックス】

「フェニックス」という存在を最初に記述したのは、古代ギリシアの歴史家ヘロドトスであると言われている。
その後も数多くの著述がなされて時代とともに内容が少しずつ変化していったが、
「猛禽類のような外見」「赤を基調とした美しい姿」「死から再生する不死性」についてはおおむね共通している。


○外見について

フェニックスの外見については「美しい猛禽」とされるのが一般的である。
ヘロドトスはその著作『歴史』(ヒストリア)(BC443)において、フェニックスの外見について「絵でしか見たことがないが」と前置きしながら
「羽毛は金色と赤、その姿かたち・大きさは鷲にもっともよく似ている」と説明している。
その後紀元1世紀ころ、ローマの博物学者プリニウスは著作『博物誌』の中で、ヘロドトスが書いた特徴に加えて
「頸のまわりに金色の冠毛がある」「尾は青く、何本か薔薇色の羽毛が突出している」「喉にはふさが、頭には羽毛で出来たとさかがある」
といった具合に細部の描写を行っている。
また同時代のタキトゥスは外見について「その嘴の形と両翼の色合いは、ほかすべての鳥どれにも似ていない」と説明している。

さらに時代が下るとその美しさの描写はますます際立つようになっていった。
3~4世紀の詩人ラクタンティウスは「白く大きい嘴」「緑の宝石をちりばめたよう」と描写し
2~4世紀ごろキリスト教徒たちの手で著述されたという「フィシオロゴス」では全身に宝石やアクセサリーを身につけているとまで書かれている。
またロシアの民話では、「自らを発する金色の羽毛をもつ」「その眼は東洋の水晶のよう」と描写されている。


○性質について

フェニックスについての記述は古来より数多くなされているが、もっとも重要なのはその象徴たる「不死性」であろう。
また吉時・またはその前兆をしめす際に現れるという瑞鳥(ずいちょう)としての側面も持っている。
他にも食物や生態など独特のものが多いと、多くの著述により説明されている。

不死性

フェニックスの最大の特徴。
現代においては「炎でその身を焼き、その灰からよみがえる」とされるのが一般的だがこれについては時代ごとで多くの変遷がなされてきた。

ヘロドトスはそれについて「父鳥が寿命を迎えると、幼鳥が没薬*2でその遺骸を包みこむ」
「父鳥が亡くなると、生息地であるアラビアからエジプトのヘリオポリスに運びそこで弔う」*3
と記録している。
この描写を見る限り、この時点でのフェニックスは不死というよりむしろ単為生殖に近い。

しかしその後、紀元1世紀ほどになると「父鳥の死骸から虫が湧き、それに羽毛が生えて飛び立ち新たなフェニックスとなる」という記述が見られるようになる。*4
これらによると、フェニックスは寿命が近づくと木の枝や没薬でみずからの棺をつくり、香を焚きしめてそこに横たわり死を迎える。
そしてその死骸から生まれた新たなフェニックスが、父の死骸をヘリオポリスまで運んでいくとされた。

これがタキトゥス『年代記』(紀元1世紀)になると、フェニックスは「太陽神に仕える霊鳥」であり
「ヘリオポリスまで飛来した幼鳥が、太陽の神殿で父の遺骸を焼く」と記録される。
そして同時代のポンポニウス『地誌』において、
「フェニックスは死期が近づくと香料と薪を積み上げてその上に横たわり、みずから火を放ちわが身を焼きつくす」
「そして炎によって分解された液状の部分が凝固してあらたなフェニックスとなり、自らの遺骨をエジプトに運び埋葬する」
と記述され、ここに「炎でわが身を焼き再生する」フェニックス像が確定したのである。

またその不死性はフェニックスの肉体全体に宿っており、その肉や遺灰にはを不死にする力があるとも言われた。
ただこれらを使って実際不死になったという人間の記録は残っていないが・・・
一応ローマ皇帝ヘリオガバリスが不死鳥を捕らえて食べたとされるが、これはフウチョウではないかと言われている。

瑞鳥としてのフェニックス

美しい姿を持ち死の運命から解放され高く天を舞うフェニックスは、古来より広く祝うべき出来事の前兆…
「瑞兆」として扱われ、偉大な皇帝の誕生や功績などを祝うために現れるとされてきた。

タキトゥスの「年代記」では、セソストリス王(紀元前20世紀)、アマシス王(紀元前6世紀)、
プトレマイオス王(紀元前3世紀)らの治世にフェニックスが現れたという。
またティベリウス帝治下のもと、パウルス・ファビウスとルキウス・ウッテリアスが執政官となった西暦34年にも現れたと記録されている。
またプリニウスやソリヌスによると、ローマ帝国建国800年(西暦47年)にも現れたとされる。

ギリシア・ローマに出現したフェニックスはその美しさで人だけでなく鳥までも魅了し
多くの鳥をその後に引きつれて飛んでいったと言われる。

生態など

フェニックスが何を食べているかは諸説あり、原典たる「博物誌」には「ものを食べているところは目撃されていない」とある。
だが後代ではいくつかフェニックスの食物についての言及がなされ、
古代ローマの詩人オウィディウスは、フェニックスは普通の果実や草は決して食べず、乳香*5やミョウガの汁のみを口にすると記している。
また、同じく古代ローマの詩人クラウディアヌスは「太陽の熱を食べ、テティス*6の風を飲み、清らかな水蒸気から滋養を得ている」と記している。
またロシアの伝承ではフェニックスの好物はトウモロコシと黄金のリンゴだとされ、フェニックスを捕らえるときにはこの2つを用意すると良いと伝えられている。

寿命についてもさまざまな説があり一般的には500年だとされるが、プリニウスやソリヌスは540年だとしている。
またタキトゥスは「1シリウス周期」*7つまり1461年だとし、さらにマリニウスは「1プラトン年」*8、12994年だと記録している。



【中~近世のフェニックス】

フェニックスの伝承は主に古代のギリシア・ローマで形作られたものであるが、「炎から再生する不死の鳥」「生命と太陽の象徴」としてのフェニックスは
後代の国・文化でも広く受け入れられていき、現代に至るまで受け継がれていくことになるのである。


○象徴としてのフェニックス

「フェニックス」が誕生としたギリシア・ローマでは、早くから絵画や装飾、書籍など多くの分野でフェニックスが取り上げられるようになった。
不死であるフェニックスはそのまま不滅・長命の象徴として広く受け入れられていったのだ。
特にローマ帝国は、みずからは死しても次の代に命をつなぐさまを継承されていく帝位になぞらえ、帝国の繁栄の象徴としてフェニックスを用いたのである。
ローマ時代の人々は不死鳥を時に皇帝とともにコインに刻み、時に宮殿や邸宅の壁・床・天井を飾るモザイク画として描き出し、人々や家・国の不朽不滅を願った。

またキリスト教にとってもフェニックスは、キリストが成し遂げた最大の奇跡「死よりの復活」を象徴するものとなった。
また「みずからを焼き次代へ命をつなぐ」ところから、これもキリストの象徴とされる「博愛」「自己犠牲の象徴ともされたのである。
このキリスト教に受け入れられたという点が大きく、フェニックスは神聖なイメージをまといながら全世界へと広まっていくことになった。

後代でも大英帝国のいしずえを築いたエリザベス女王1世と関連付けられたり*9錬金術における「赤色」「賢者の石」「完全なる変成」の象徴ともされた。


悪魔としてのフェニックス

キリスト教と深く結びついた不死鳥だが、中世ではなぜか悪魔とされる記述も残っている。
しかも有象無象の書物ではなく他ならぬ中世を代表する魔術書(グリモワール)「ソロモンの鎖骨」ゲーティアにおいてである。
この書の中でフェニックスは、ソロモン王に使役される魔王ソロモン72柱」のひとりとして紹介されている。

ゲーティアにおけるフェニックスはその名の通り大きな炎の鳥の姿をしている。
「不死公」「魔の伯爵」と呼ばれ、地獄の20の軍団を指揮する。序列は37位。
やさしく歌うような口調に魅了された人間は、みずからフェニックスの口に飛びこんでしまうという。
ただし人間の姿を取ると、その声はたとえようもないほど聞き苦しい音と化すらしい。

ただ科学・詩作・文学に造詣が深く、それらの知識を人間に与えることが出来る。
また太陽の光をその大きな翼でさえぎり地上を守ったり、朝すべての雄鶏を目覚めさせたりなどまるで天使のような役割も担っているとされている。

以上のように定義された魔王フェニックスは、後代でも魔術師アレイスター・クロウリーによって「フェネクス」(Phenex)*10として紹介された。
ただしこれらはフェニックスがキリスト教に反する存在になったということを意味はしなかったようで、
これら以降もフェニックスのイメージは聖なるものとして定着している。



【現代のフェニックス】

紀元前に誕生したフェニックスは現代に至るまで変わることなく、「火の鳥」「不死鳥」のイメージで定着している。
それは欧州・キリスト教文化に限ったことでなく、「霊鳥」としてはおそらく世界中でもっともポピュラーな存在であるフェニックスは
世界中の国・団体・文化において、地名・人名・品名などありとあらゆる分野で取り入れられている。

天空と太陽、美と力、光と炎、生命と再生、神聖なるもの・そして奇跡といった人類の文化と繁栄に必要不可欠な要素ばかりを持つフェニックスは、
長い歴史の中で人種・文化・時代を超えた人類全体にとっての善の象徴にまで登りつめたと言っても過言ではないだろう。

○生命と再生の象徴

フェニックスの名は、生命と再生のイメージから繁栄を願って、地域・団体の名称とされたりシンボルマークに採用されたりすることが多い。
代表的なところではギリシアの国獣(イルカとフェニックス)、フェニックス諸島(キリバス)、アメリカの地名(アリゾナ州など)など。
また日本にもフェニックス通りと呼ばれている道路が複数存在する。*11
あと人名としても当然のように存在する。リヴァー・フェニックスが有名。

また再生のイメージから、戦禍や災害など過酷な歴史をたどってきた自治体が、そこからの復興を期してフェニックスをシンボルとすることもある。
前述した厳しい開拓史をくぐりぬけたアメリカの都市や、日本でも空襲や震災などに見舞われた都市がフェニックスをとりあげている。(後述)

○太陽と炎の象徴

その身を焼く炎、また起源である太陽から、それらを連想させる熱や炎、そして力強さ・・・
具体的にはミサイルやロケットなどの兵器・乗り物などの名称とされることもある。
有名なところではF-14トムキャットに搭載されたフェニックスミサイル。
他には戦艦・潜水艦、原子炉、宇宙船など。



【解説】

○起源について

フェニックスの起源は、エジプトの霊鳥べンヌとされるのが一般的である。
ベンヌは太陽神ラーの心臓から飛び出した魂の象徴であり、ヘリオポリスにあるラーの神殿において
日没とともに炎に飛びこんで死に日の出とともにふたたびその炎から生まれるとされた。
すなわち毎日登り沈む太陽の象徴であり、時の流れを象徴する霊鳥でもあったのである。

これらベンヌの性質は、現在に伝わるフェニックスのそれとほとんど同一である。
しかしベンヌはアオサギであるとされており、水鳥であって猛禽ではない。
ではフェニックス=猛禽類という要素はどこからきたのだろうか。
それは、フェニックスの棲み処といわれるアラビアにそのルーツがあるという説がある。

アラビアに隣接するペルシアでは「拝火教」と呼ばれるゾロアスター教が信仰されていたが
その教典『アヴェスター』に、鳥類のとしてシムルグ*12が登場する。
猛禽の王であるシムルグは植物の王の樹上にとまっており、あらゆる病害をいやす果実を食べることで長命を得たとされる。
人を乗せて飛べるほどの力と、あらゆる分野の知識・あらゆる国の言語を扱える知能をあわせ持ち
その尾でひとなでするだけでどんなに深い傷でも跡形もなく言えてしまったと言われる。

ペルシアはその後アラビアに興ったイスラム帝国に併合されてしまうが、このシムルグのイメージは逆にアラビアへ伝わり、
フェニックスの原型の一つとなったのではないかと言われている。
またフェニックスの名はゾロアスター教を信仰していたフェニキア国、もしくはその国を守っていたという霊鳥フェニキアクスに由来するという説もある。


○「鳥」と「不死」の関連性

フェニックスに限らず、「不死鳥」「火の鳥」「太陽の鳥」のイメージは世界中に類型がある。
フェニックスの起源となったと言われるエジプトのベンヌやペルシアのシムルグをはじめ、
北欧のヴィゾフニル、中国の鳳凰やインドのガルーダなど、炎や不死にまつわる鳥は数多い。
彼らの共通点と言えばその多くが猛禽類をモチーフとしていることだろう。

上昇気流に乗って天高く舞い、目にもとまらぬ速さで地上へ舞い降り獲物を捕らえる猛禽の姿はそのまま太陽・天空の象徴とされた。
また季節の変わり目に古い羽を落として新しい羽を生やし、同じく不死性を象徴するとされる蛇をその毒にもひるまず喰らう彼らは
若返り・再生を象徴するものともされたのである。*13

また日本においては「フェニックス」は「鳳凰」と訳されることが多い。
フェニックスは猛禽で鳳凰は孔雀や錦鶏といった陸鳥とされることが多いが、
鳥類の王・吉兆を示す瑞鳥・不老長寿といった共通点が多い。
これは誤訳というよりは訳語を対応させた結果で、giraffeを麒麟と訳したようなものである。


○創作におけるフェニックス

フェニックスは元来、複数の要素が習合されて誕生した霊鳥の一種に過ぎなかった。
しかし現在その存在は「伝説上の生物」の枠をはるかに超越して、世界のありとあらゆる国・文化における「不死と太陽の象徴」そのものと化している。
この普遍的な存在感に唯一肩を並べうるのはドラゴンくらいのものだろう。

これは創作でも例外ではなく、神や悪魔・天使といった霊的存在を除けば「モンスター」としての存在感でドラゴンと並べるのはフェニックスしかいない。
その存在はドラゴンのそれと同じくファンタジー作品にとどまることがなく、ありとあらゆるジャンルの作品でその名を見ることが出来る。
ただそのドラゴンと比べると単純な登場数では大きく水をあけられているが、これは主にその存在感の質の差によるものである。

ドラゴンはにも等しい存在とされる一方で、邪悪だったり小物だったり、中には少し大きくて火を吐けるトカゲ程度の扱いもけして少なくはない。
しかしフェニックスは、ほとんどの場合きわめて高次・高位かつ神聖・善性の存在とされる。
そのためどんな作品であってもザコとして扱われることがほぼなく、通常のモンスターとは一線を画した存在として描写されることが大半。
こちらが邪悪な存在でも無い限り敵に回ることはまずなく、戦闘する場合でも試練を与える存在として立ちふさがってくるという状況が多い。
時には生物の枠さえも超越し精霊・神といった霊的存在として扱われ、物語の主幹を成すキーパーソンとして採用されることも少なくない。
仮に邪悪な存在であっても自然の猛威そのもののような強大な存在であることが多く、その存在感の大きさは別格である。

もちろん現実世界と同様再生・不滅・太陽といった善の象徴として、団体・地域・人物名にもよく使われている。
また力の象徴としての兵器名と同じニュアンスで、武器・技の名称として用いられることも多い。
さらにそれをもう一歩進めて、炎や熱・太陽・生命などのエネルギーを示すエフェクトを「炎の鳥」で表現することもある。
いずれの場合においてもきわめて高度・莫大なエネルギーの表現に用いられるのがほとんど。

さらに特筆すべき点として、「不死鳥」は厳密に言うと「死なない鳥」ではないという点が挙げられる。
不死鳥は死ぬ鳥であり、死んでから新たな命を得て復活を遂げる鳥である。
不死鳥の「不死」とはゾンビ幽霊(ゴースト)吸血鬼(ヴァンパイア)といった不死者(アンデッド)らとはまるで意味合いが違う。
不死者(アンデッド)の「不死」とは神に背いてかりそめの命を得る行為だが、不死鳥のそれは死を受け入れながら、その上でそれを乗り越えていく行為。
自然の摂理に逆らういびつなものではなく、生きとし生けるものたちが次の世代につないでいく命のいとなみの象徴なのだ。

そのためフェニックスは人類にとってのもののみでなく、この宇宙にあまねく存在するであろう
すべての生命にとっての「絶対善」の象徴としてとらえられる
こともある。
手塚治虫氏の大作「火の鳥」では、まさしくそういう存在としての不死鳥が描かれている。
火の鳥は時間・空間・次元の壁を越え、あらゆる生命たちにときに恵みを与えときに罰を下し
自身と同じように死と再生を繰り返す彼らによりそいながら、無限の大宇宙で織りなされるドラマを見つめ続けるのである。






ただどんなものにも例外は存在するのだが(後述)



○登場作品など

前述のとおりフェニックスはそれこそありとあらゆるジャンルで、ありとあらゆる存在への名称として用いられている。
炎と熱、高エネルギーの象徴として用いられる「炎の鳥」のエフェクトあたりまで含めると網羅不能となってしまうのは火を見るよりも明らかである。
なのでここでは「フェニックス」「火の鳥」「不死鳥」と明記されている存在、もしくはそれらをモチーフにした、名を使ったものについてのみ取り上げるものとする。
それでも膨大な数になることは避けられないが……

古代

  • 『歴史』(ヘロドトス):前述の通り。フェニックスについて最初に記述された書。
  • 『博物誌』(プリニウス):前述の通り。外見について詳しく描写される。
  • 『年代記』(タキトゥス):前述の通り。「太陽神の使者」であると明記。
  • 『地誌』(ポンポニウス・メラ):前述のとおり。「炎と再生」について最初に言及。

中世

  • キリスト教:前述の通り。キリストの復活、博愛、自己犠牲の象徴。
  • レメゲトン第1巻『ゲーティア』(作者不詳):前述の通り。魔王としてのフェニックスが登場。アレイスター・クロウリ―による新版では「フェネクス」と呼ばれている。
  • エリザベス1世:前述の通り。不死鳥と称えられた英国の女王。

動物・植物

  • フウチョウ(鳥類):風鳥。極楽鳥とも。中世ではフェニックスはこの鳥の事と思われていた。
  • フェニックス(鳥類):ニワトリの品種名。観賞用で、長く美しい尾羽が特長。
  • フェニックス(植物):ナツメヤシ科の植物の総称。観葉植物・街路樹として有名。宮崎県の県木でもある。
  • アメリカミズアブ(昆虫):便所バエとも。アメリカでは幼虫を「フェニックスワーム」と呼び、爬虫類などの生餌として販売している。

国・地名・自治体ほか

  • ギリシア:第一共和制時代に、フェニックスを国章として採用。また現在でもイルカと並んでフェニックスが国獣に指定されている。
  • キリバス:太平洋、赤道直下の島国。国旗にフェニックスがデザインされており、自然保護区として世界遺産に指定されているフェニックス諸島を有する。
  • フェニックス(アメリカ):アリゾナ、メリーランド、オレゴン、ニューヨーク、イリノイなど多数の州に存在する地名。
  • フェニックス通り(日本:フェニックス(ナツメヤシ科の総称)を街路樹とするところから。複数個所存在。
  • 新潟県長岡市(日本):相次ぐ戦火からの復興を期して、市章をはじめ市内の多くのモチーフにフェニックスを使用。
  • 福井県福井市(日本):空襲や災害からの復興の歴史を踏まえ、市のシンボルとして使用。市民憲章の名は「不死鳥の願い」。
  • 兵庫県(日本):阪神・淡路大震災からの復興計画の愛称を「ひょうごフェニックス計画」と制定。手塚治虫氏の「火の鳥」をシンボルマークに採用している。

機械・兵器

  • フェニックス(アメリカ空・海軍):F-14に搭載された長距離空対空ミサイル。爆撃機への抑止力として力を発揮した。
  • フェニックス(アメリカ海軍):原潜・軽巡洋艦にこの名称が使用される。
  • フェニックス(イギリス海軍):駆逐艦・潜水艦などに命名。
  • フェニックス(NASA):火星探査機の名称。火星に着地し水分を発見した。
  • フェニックス(フランス):もんじゅなどと同じ高速増殖炉の名称。後継のスーパーフェニックスと共に故障が相次ぎ、停止される。

ゲーム

  • フェニックス(タイトー):インベーダーシリーズのような固定画面型シューティングゲーム。アメリカのアリゾナ州・フェニックスに存在したメーカーで開発された。
  • ファイナルファンタジーシリーズスクウェア・エニックス:初作より戦闘不能からの復活アイテムとして「フェニックスの」が登場。Ⅱではザコ敵として出現。Vからは召喚獣として登場、ストーリーやイベントに絡む重要な役割を担う。
  • バハムートラグーン(スクウェア):味方側のドラゴンである「サラマンダー」種を聖属性のまま最高段階まで進化させると「フェニックス」に到達。ターンごとにHPを全快させる能力がある。
  • ポール・フェニックス鉄拳シリーズ:ビシッと建てた金髪と赤い道着がトレードマーク。初作から登場するシリーズ皆勤賞で、『鉄拳』の顔であるキャラクターの一人。柔道をベースとした総合格闘技を用いて戦う。
  • 女神転生シリーズ:初出は女神転生Ⅱ(この時点では聖獣)で、真・女神転生以降は霊鳥として度々参戦。火炎・蘇生・破魔攻撃などを操り、合体要員としても優秀。Lvは高かったり低かったりで安定しない。
  •  藤原  妹紅(ふじわらの もこう)東方Project:元は普通の人間だったが、蓬莱の薬を口にし不老不死となった少女。永い時を生きる中で身に付けた炎の妖術を駆使して戦う。『不滅「フェニックスの尾」』『パゼストバイフェニックス』『フェニックス再誕』ほか、不死鳥をモチーフとした攻撃を得意とする。東方永夜抄EXボスとして初登場し、後発の作品にもボス・自機として多数参加。
  • 不死鳥ラーミア(ドラゴンクエストⅢ:主人公パーティを乗せ山よりも高く飛ぶ伝説の鳥。世界に散らばる6つのオーブを集め、レイアムランドのほこらの祭壇に捧げると復活する。
  • デュエル・マスターズ(タカラトミー)種族として「フェニックス」が存在。長らく進化V(ボルテックス)進化GV(ギャラクシーボルテックス)を要求する大型進化クリーチャーばかりだったが、十王篇から非進化のフェニックスも登場している。背景ストーリー的には、『暗黒王デス・フェニックス』『超神星ブラックホール・サナトス』のような災厄たる存在から、『龍炎鳳エターナル・フェニックス』『超神星ビッグバン・アナスタシス』といった救世主たる存在、果てには宇宙そのものである『究極銀河ユニバース』と、様々なバリエーションがある。
  • Magic the Gathering単色を代表する種族の一つ。ドラゴンよりサイズは小さいが、条件を満たすと墓地から直接戦場へ戻る能力と速攻を持つカードが多く、アグロの欠点である手札切れを補ってくれる。
    また《弧光のフェニックス/Arclight Phoenix》のように戦場に出さなくとも墓地から復活できるタイプは、手札やデッキから直接墓地へ送って一斉に復活というコンボデッキ的な性質も帯びている。
  • フェニックス(カルドセプト):フェニックスなのに主な役割は 鉄砲玉、特攻要員、様子見 というあまりに悲惨な存在。詳しくは項目参照。
  • スペリオン/マッハスペリオン(勇者聖戦バーンガーン):『希望』を司る一匹狼の聖勇者。自信家であるがゆえグランダーク軍に立ち向かうが重鎮であるセルツ・バッハに敗れ絶望の戦士・ギルディオン/ダークギルディオンに変貌。しかし、朋友である『勇気』の聖勇者バーン/バーンガーンとの戦いで元に戻り、以後は心強い仲間となる。必殺技はマッハショットをゼロ距離で連射するバーニングスパルタンとバーンガーンとの合体技・プラズマストライク。

漫画・アニメ・小説

  • 火の鳥手塚治虫:前述の通り。氏のライフワークにして未完の大作。
  • 科学忍者隊ガッチャマン(タツノコプロ:大型攻撃機「ゴッドフェニックス」が登場。隊員5人の乗機が変形合体した機体。必殺技は機体を炎で包み敵に体当たりする「化学忍法・火の鳥」。
  • キン肉マン(ゆでたまご):キン肉星王異争奪編において「キン肉マン スーパー・フェニックス」が登場。知性の神の加護を受けており、優秀かつ冷酷な頭脳と圧倒的なパワー・テクニックを併せ持つ同編内最強の敵にして最凶の卑劣漢
  • 怪物王女(光永康則):怪物たちの国を治める「王族」として光り輝く巨大な不死鳥が登場し、世界規模の怪異を解決したりしている。「幼生体」にあたる人間型の王族(メインの「姫」等)もその血で他者を半不死の「血の戦士」に変化させられる。無限大とも称される不死性と力(浄化の炎)を擁するが、「桁違いなだけで有限だろう」と作中の切れ者達全員が推測しており、そうなると王族を争わせている目的も……。
  • ハリー・ポッターシリーズ(J・K・ローリング):第5作のタイトルが「ハリーポッターと不死鳥の騎士団」。アルバス・ダンブルドアヴォルデモート卿勢力に対抗するため結成した「不死鳥の騎士団」が登場。また、ダンブルドアのペット・フォークスは不死鳥であり、ハリー・ポッターとヴォルデモート卿が使用するには同じフォークスの尾羽根が使われている。
  • フェニックスの一輝(聖闘士星矢鳳凰星座(フェニックス)の青銅聖闘士。瞬の実兄であり、星矢らの異母兄でもある。青銅聖闘士の中でも頭一つ抜けた実力を持ち、上位の白銀聖闘士さえ一蹴してしまった。鳳凰星座の聖衣は粉々にされても再生する能力で、不死鳥の炎を放つ「鳳翼天翔」や敵の精神を破壊する「鳳凰幻魔拳」が必殺技。
  • 大魔王バーンドラゴンクエスト ダイの大冒険:数ある魔王の中でも最上位に君臨する存在で、「魔界の神」と呼ばれている。メラゾーマの強化版「カイザーフェニックス」、あらゆる攻撃をはじき返す掌打「フェニックスウィング」を使いこなす。
  • マルコONE PIECE:「不死鳥」の異名を持つ、白ひげ海賊団一番隊隊長。動物系(ゾオン)幻獣種の悪魔の実「トリトリの実モデル“不死鳥”」の能力者で、フェニックスに変身し『再生の炎』で傷を癒やすことができる。
  • 機動戦士ガンダムUC:作中において最強の機種である、フルサイコフレームMSの一機としてユニコーンガンダム3号機"フェネクス"が登場。その動向は原作小説かアニメ(を元にしている)かで異なる。
  • ジーン・グレイX-MEN:X-MEN最初のメンバーでメインヒロイン。宇宙空間で事故に遭い生死の境を彷徨った際、宇宙生命体フェニックス・フォースに憑依され、その力を得て生還する。
  • ラーの翼神竜OCG化に際した超絶弱体化で有名な遊戯王に登場する最強の神のカード。通常形態の他に、球体(スフィア)・不死鳥(フェニックス)の二つの形態を持っている。「何故竜なのに不死鳥?」「ラー関係なくね?」と多くの読者が思ったであろう疑問だが、上述の霊鳥ベンヌがラーのモチーフだと考えると納得の形態ではある。

特撮


ネタ

  • おねプ!(ネプチューン):テレビ朝日で放映された深夜番組。「ネプ投げ」コーナーでは女性を大開脚させる最終奥義「フェニックス投げ」が炸裂した。
  • こんなところにフェニックス(波田陽区:YouTuberに転身した波田陽区のネタ。金色の鳥のコスチュームをまとった波田があちこちに出没するというもの。ダダ滑り具合に定評がある。

その他

  • 小林幸子:2006年の紅白歌合戦で「火の鳥」をイメージした衣装*14を着用。その後も2014年に金色のフェニックスを意識した衣装を着たり、PSO2のゲーム内ライブでフェニックスに乗って観客席上を飛び回ったりしている。


追記・修正はその身を炎で灼きつくしてからお願いします。

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最終更新:2023年11月27日 11:51

*1 英:フィーニクス 希:phoenix フィニクス 古希:φοῖνιξ ポイニクス語源は『赤』もしくは『紫』を意味する単語と言われている。いずれもフェニックスの羽毛の色に由来する。

*2 没薬 ミルラ(myrrh) 「苦味」を意味する、熱帯産のカンラン科の低木からとれる樹脂。古くから殺菌・防腐に使用された。ミイラ製造の防腐剤としても使われており、そのまま「ミイラ」の語源となったと言われる。

*3 幼鳥は父鳥の寿命が近づくと、重い没薬を作りそれをはるか遠くのヘリオポリスまで運ぶ練習を行うとも記述されている。

*4 聖クレメンスの書簡、オウィディウス「変身物語」、プリニウス「博物誌」など

*5 乳香 フランキンセンス(frankincense) 「真の香り」を意味する、没薬と同じく熱帯産のカンラン科の低木からとれる樹脂。その名前は固まった樹脂の色から取られ、香の他には精油が香水やアロマテラピーなどに用いられる。

*6 テティス Thetis ギリシア神話に登場する海の女神であり、アキレウスの

*7 恒星シリウスが日の出の直前に昇る日とエジプトで新年の始まる日とが同じになるまでの期間

*8 太陽と、そして水・金・火・木・土星が周回し同じ位置に戻るまでの期間

*9 フェニックス・ポートレートと呼ばれる、不死鳥のペンダントをつけた肖像画が残っている。また彼女が刻印されたメダルでは「Sola phoeix omnis mundi」、「世界唯一の不死鳥」とたたえられた。

*10 この呼び名は魔王としてのフェニックスを霊鳥としてのフェニックスと区別される際にも用いられる。

*11 ナツメヤシの別名がフェニックスなので、それを街路樹にしていることからの命名も多い。

*12 シムルグ simurgh スィームルグ、シマーグ、セーンムルヴ(senmurw)とも。ゾロアスター教の猛禽の王。詳細は個別項目参照。

*13 そのためか、蛇と鷲が不死性をめぐって争う話はいくつかの神話に見ることが出来る。インドのガルーダとナーガ、バビロニアのシャマシュ神のもとで争った蛇と鷲などが有名。

*14 幅12メートル、重さ1トン、使用した生地約400メートル