鉄腕アトム

登録日:2017/04/07 Fri 09:39:56
更新日:2024/04/03 Wed 16:52:40
所要時間:約 24 分で読めます





空をこえて ラララ 星のかなた
ゆくぞ アトム ジェットのかぎり


いつも君のそばにいるよ だからもう一人じゃない
君が道に迷うときは 僕が先を歩くよ


みんなで(このまま) このまま(みんなで)
送りだそうぜ科学の子




『鉄腕アトム』とは、手塚治虫による漫画作品であり、それを原作とした日本最初の連続テレビアニメである。
「科学の子」であると同時に、クール・ジャパンと評される日本のサブカルチャーの第1歩とも言える伝説の作品なのだ。




概要

時は1951年、光文社の漫画雑誌「少年」から物語は始まる。
鉄人28号、サスケ、忍者ハットリくんなどと言った、今なお伝説と呼ばれる作品を生んだこの雑誌に、あるSF漫画が掲載された。

タイトルは『アトム大使』

元々手塚は『アトム大』なる原子力を平和利用した未来世界を描いたSF物語を書くつもりだったそうだが、
「壮大すぎる」という理由で変更になったこのマンガ。
舞台は遥か彼方の21世紀、人類そっくりの宇宙人が難民として押し寄せるという今読むと冷や汗が出そうな物語に
子供たちは胸躍らせ、ページをめくっていった。
そんな『アトム大使』の中で最も人気だったのは、以前から手塚作品の人気者*1として活躍していた主人公のケン一君では無かった。


科学省長官・天馬博士が息子の代わりとして作りだしたロボット「アトム」である。


アトムは第4話まで登場しない脇役だったのだが、人知を超えた力と優しい心を持ち、
愛と友情のために生みの親である天馬博士にも反旗を翻す姿は子供たちの胸を打ち、やがてドンドン出番も多くなっていった。
『アトム大使』最後のコマは、宇宙人と地球人の混乱を鎮めたアトムを称え、お茶の水博士がこう語るシーンで終わっている。


「人間が正しいことをしているか 間違っているのかは… 機械が一番よく知ってるんだよ キミ!」


かくして、機械仕掛けの木偶人形は物語の主人公へと伸し上がり、続編『鉄腕アトム』の掲載が始まったのである。
(余談だが最初は『鉄アトム』にする予定だったらしい。もしこっちだと28号の方はどうなっていたのだろう?)





前置きが長くなったが、『鉄腕アトム』は「少年」に1952年から1968年まで、足掛け16年に渡り掲載された漫画である。
掲載誌を転々とした『火の鳥』を除けば、手塚作品の中では最長の掲載期間を誇る。
56年から掲載された横山光輝の『鉄人28号』と並び「少年」の二大看板であり、この二作によってロボット工学を目指した理系の人々は数知れないとか。
なにせホンダがASIMOを作った時にも上層部から「あーキミ、鉄腕アトム作ってくんない?」と言われたのが始まりだったというのだから舌を巻くほかない。
(実際はこの2作や『エイトマン』の人気が凄すぎたせいで、70年代に『マジンガーZ』が出るまでロボット物はウケないというジンクスまで有ったらしい)

1963年からは国産初の連続テレビアニメとしてフジテレビ系列で放送され、足掛け3年もの長寿アニメとなった。
平均視聴率は常時30%を超え、最高視聴率は40.7%をマーク。
まあ、今見てみれば色々思う所のあるクオリティではあるが、それでも日本のTVアニメのすべての始まりであることには変わりなく、
原作に先駆ける形で展開された最終回(脚本は手塚本人)では「なんでアトムを殺すんだ」と全国からひっきりなしに電話が届いたという。

しかし、この頃になるとベビーブーム世代の高年齢化を背景に劇画ブームの到来*2やホラー漫画などのブームが始まったこともあり、次第に少年向けでSF一直線な『アトム』は人気が低迷していくことになる。
また、手塚自身も概ねやりたかったエピソードは書ききりヒロイック化していくアトムに対してはかなり思う所があった。
手塚も悩み編集部とさんざん口論になった結果、非常に暗い「青騎士三部作」に突入することとなり、
アトムは人間に反乱する青騎士によって完全破壊されるという衝撃の展開を迎えることとなった。
…が、ここまでテコ入れを加えても『アトム』の人気には上昇は起こらず、天馬博士の手によって復活したアトムは
「火星から帰ってきた男の巻」で掲載誌廃刊に伴いひっそりと幕を下ろすこととなった。(もっともこの時には『アトム今昔物語』が連載中だったが)


その後の68年~72年までの手塚治虫作品は、70年安保の影響もあってかどれもこれも凄まじく暗い内容である。

悪女という言葉をこれでもかと表現した『地球を呑む』。
いくらでも姿を変える女悪魔を描いた『IL』。
犬のような顔になる奇病に苦しむ現代のキリストの物語を、『白い巨塔』にも似た大学病院の腐敗と絡め描いた『きりひと讃歌』。
他者の才能を完璧に模倣し、破滅させてしまう悪女を描いた『人間昆虫記』。
顔の下の血管丸出しの半透明人間の復讐劇『アラバスター』。
鳥が人間を虐殺し新たな霊長類となるも、人と似た様な道を歩んでしまう風刺スプラッタSF『鳥人大系』。
愛を呪った罰として、誰かを愛しても、結ばれる前に自分か相手が死んでしまう運命を永遠に背負う悲劇『アポロの歌』。
衰退する田舎の名家の閉塞感や血の悲劇、戦後の暗部が交錯する『奇子
知り合いのよしみから引き受けたが、原作とは別方向で物悲しい余韻を残すコミカライズ版『サンダーマスク』。
そしてかの名作『火の鳥』(ヤマト編、宇宙編、復活編)。

海のトリトン』のように暗くない作品が全くないわけでも無いが、これとて完全に明るいとも言い難い。
全体的な退廃色は隠しようが無く、また同時期に「虫プロ商事」の倒産によって一億以上の借金を抱え自宅を手放すほどの負債を負う羽目になったことも相まって
週刊連載複数抱えてる時点で漫画家としてはオカシイけど手塚には終わりが来たのだとさえ人々は口にしていた。
この時期に一世一代の大勝負を乗り切った「目覚めた人」ブッダ('72~'83)と「神の腕を持つ医者」ブラック・ジャック('73~'83)は、
まさしく手塚にとって救世主だったと言えるかもしれない。
あ、あと写楽くん('74~'78)もね!

かくして火の壺に身を投じるフェニックスの如く甦った手塚治虫は、新規連載を書きまくる傍らリバイバルブームに乗じ過去作のリメイクにも携わることに。
こうして1980年、再び手塚自身の監修の元、カラーアニメ版『鉄腕アトム』が放送開始された。
こちらでは原作の悪役・アトラスをライバル・アンチヒーローポジションに据え、新たなるファンも呼び込んだ大傑作と相成った。が、当時の視聴率は裏番組の『Dr.スランプ アラレちゃん』に惨敗していた……。
77年にジェッターマルスっていうアトムそのまんまのアニメが放送されたって?聞こえんなあ!
ちなみにこの時手塚は『小学二年生』にアニメ第2作のコミカライズとして『新・鉄腕アトム』を連載している。これが手塚自身による最後のアトム作品となった。


手塚がこの世を去ったのは、昭和の時代が終焉を迎えてから1月後であった。
新たなる時代、平成の世は、たちまち「遥か彼方」だった21世紀を迎える。

2003年、アトムが生まれる予定だったその年に、アニメ第3作『ASTOROBOY 鉄腕アトム』が放映された。
2004年には浦沢直樹による「地上最大のロボット」のリメイク漫画『PLUTO』が描かれ、
大震災を経た2015年には前日譚である『アトム ザ・ビギニング』の連載が開始。


アトムの魂は、永遠に輝き続けるのだ。



あらすじ

21世紀を迎えた日本は、エアカーが宙を舞い宇宙ロケットが飛び交う先端科学国家へと変貌を遂げていた。
そんなある日の事、不幸な事故が起こる。

東京の片隅で児童用運転車を練習していた少年・天馬トビオが、交通事故で命を落としたのだ…。

幼い一人息子の急逝に正気を失った科学省長官・天馬午太郎博士は、国家予算をつぎ込んだ一大プロジェクトを開始する。
若くして死んだトビオを模したアンドロイドを作り出し、息子の代わりに育てようとしたのだ。
そのアンドロイドは程なくして完成し、天馬博士に息子として迎え入れられた。

ところが天馬博士は、ロボットは成長しないという事実を忘れていたのだ。
何年たっても同じ姿のアンドロイドが「トビオとは似て非なる者」であることに気付いてしまった天馬博士は掌を返したかの如くアンドロイドを迫害し、
遂にロボットサーカス団に売り飛ばしてしまった。

やがて天馬博士は失踪を遂げ、後を継いだお茶の水博士は、国家予算まで継ぎ込まれた世界最高のロボットが遊び道具にされているのを見て愕然とし、
サーカス団と交渉してアンドロイドを引き取った。

そのアンドロイドの名は、「アトム」。

原子力で動く10万馬力の科学の子は、人の世の平和と自由のために数奇な運命を辿ることとなる…。



世界観

本作は21世紀初頭の東京が舞台となっており、ロボットは人間同様の扱いを受けている。
心を推しはかる機能にとことん向いていない彼らは人間と共に学校に通い、きちんと学習しなければならない…らしい。
(尤も単純作業しかできないロボットも大量にいるようで、アトムのようなアンドロイド型からは「古臭い」「数十年前のロボットと同じ」と言われている)

町はエアカーが跳び回り、壁にはペラペラのTVが貼られ、天を突くような超高層ビルの谷間には弾丸道路が網目のように張られ…とまあ
実に「当時の人が思い描いていた21世紀」みたいな世界観であるが、住民たちは皆昭和の時代のような服装をしている。
これは手塚自身が述べているが、「あまりに近未来じみた描写にすると読者が感情移入しづらいから」という理由であり、
  • 子供たちが路上でメンコして遊ぶ
  • 家にはちゃぶ台
  • コンピューターは穴開きカード式
  • 無線通信機がトランシーバーしかない
  • 固定電話がどう見てもダイヤル式
  • 録音機器が磁気テープ
  • 土木工事用に原子弾を使用
  • 郵便屋さん大繁盛
  • ソ連がまだある
など、今思えば微笑ましい演出も多々見受けられる。
そもそもアトム動かしてるの真空管だし…。

一方で手塚治虫の優れた風刺精神が現れた作風でもあり
「すべてオートメーション化することによる弊害」(マッド・マシーン)
「機械によって仕事を奪われた人々」(悪魔の風船)
「自らのコミュニティと異なる者への蔑視」(アトラス)
「過剰な宇宙開発によるスペースデブリの散乱」(黄色い馬)
「相手を追い落とすための自作自演」(フランケンシュタイン)
「マスコミによる煽動と群集心理」(天馬族の砦)
など、今にも通じる視点での社会への警鐘がヒシヒシと感じられる作品でもある。
『鉄腕アトム』は決して科学賛美の物語ではなく、科学により振り回される人間たちを機械の視点から観た壮大な風刺物語とも言えるのだ。

ロボット法

増え続けるロボットを統制するために作られた法律。
一部アイザック・アシモフが制定した「ロボット三原則」に酷似しているが、その指摘は連載時にもされていたらしく、
手塚は「うるせーなこっちが先だ!」と『アトムの生い立ち』で釈明している。


●ロボットは人間に尽くすために生まれてきたものである。
●ロボットは人を傷つけたり殺したりしてはいけない。(←正当防衛の場合は除く)
●ロボットは作った人間を父と呼ばなくてはならない。(←もちろん女性であれば「母」である)
●ロボットは何でも作れるがお金だけは作ってはいけない。
●ロボットは海外へ無断で出かけてはならない。(←しょっちゅうアトムが破っている。電源を切ればオーナーの「所有物」扱いになるので海外渡航可)
●男のロボット女のロボットは互いに入れ替わってはいけない。(←アトムが破ったことがある)
●無断で自分の顔を変えたり別のロボットになったりしてはいけない。(←「デッドクロス総統」でアトムが破った)
●大人に作られたロボットが子供になったりしてはいけない。
●人間が分解したロボットを別のロボットが組み立ててはならない。(←破ったロボットは数知れず)
●ロボットは人間の家や道具を壊してはいけない。(←考えてみれば当たり前だが、毎話破られる)

作中でも不備や杓子定規的視点が多いと指摘されており、田鷲警部によれば「改正されるさ」とのこと。



登場人物(?)

アトムを始めとしたこれらのキャラの多くは、スターシステムで他の手塚作品に客演している。
以下、白黒版は(旧)、カラー版は(新)、アストロボーイは(AB)と称す。

御茶の水一家

(CV:清水マリ(旧・新)/津村まこと(AB))
該当項目参照。
手塚は『アトム大使』終了後、アトムは「人間になりたいピノキオ」であることに気が付き、『鉄腕アトム』ではそうしたコンプレックスも描かれることになる。
例えば「アルプスの決闘」では人間の繊細な心を欲しがっているし、初期のエピソード「電光人間」では自分が涙を流せないことを悔やんでいた。
(単行本ではカットされたが「ミイラ伯爵(現在は「コウモリ伯爵」)」の回で落涙機能が付いたらしい)
原作の「海蛇島」やAB版の「恋するロボット」では人間の女性に心惹かれ、
カラー版最終回の「アトムの初恋」ではロボットの少女と悲恋を迎えることになり、
どのエピソードでも読者の涙を誘った。
ちなみにパンツと靴は体のパーツそのものであり脱げないらしい…が、初期は普通の靴を履いていた。
なお、『アトム大使』初連載時には飛行能力が無かった(『漫画少年』での再掲載に伴い飛行シーンが追加された)。

よく10万馬力か100万馬力かで混乱されやすい。
主題歌で10万馬力と歌っているので10万が正解……と思いきや、実は100万も正解。
連載開始時は10万馬力なのだが、途中で100万馬力にパワーアップするのである。

  • お茶の水博士
(CV:勝田久)
科学省長官。途轍もなく鼻のデカいハゲて太った天才科学者。
『アトム大使』連載版第1話から登場していたキャラで、後の博士/発明家キャラのテンプレを作った張本人である。
若くして妻を亡くしており、息子もいるらしい(「タイムマシン」の回で未来から顔がそっくりな子孫がやって来る)。
『火の鳥』シリーズに登場する猿田一族とは親戚らしく、連載版の「火の鳥太陽編」では猿田家の分家であることが明かされていた。
省庁の長官(なんで大臣じゃないんだろう?)であり裕福な暮らしをしているがそれをハナにかけることはなく、
謙虚で心優しい人物であり、アトムにとっては父親のような存在(本人も自負している)。

『アトム ザ・ビギニング』では天馬博士と旧友だったことが明かされ、物語の中心人物として活躍する。本名はお茶の水博志
お爺さんは「ハゲてて太って鼻が大きかった」らしい。

  • ウラン
(CV:水垣洋子・武藤礼子・芳川和子(旧)、菅谷政子(新)、丸山美紀(AB))
アトムの妹としてお茶の水博士が作った少女型ロボット。
連載時には全壊したコバルトを修繕したついでに作られた、というゾンザイな扱いであり、単行本ではこのエピソードはカットされ、
手塚治虫が「ウランっていつ出てきたっけ」と思い出そうとするなどとネタにされていた。
性格は極めてお転婆でおしゃま、手塚作品の妹キャラそのものなガキンチョ。ロボッティングというロボット格闘技が大好き。
パワーは10万馬力で(←いらんだろこれは)、ロボッティングではモンゴル代表のジン・ギス・カン・ナベを撃破している。
「地上最大のロボット」の回ではアトムに変装してプルートゥを倒そうとしたことがきっかけで、戦闘マシンにすぎなかった冥王の心に暖かな火を燈した。
AB版では動物の声を聴くことができるという機能が追加された。

  • エタノール
(CV:藤岡琢也ほか(旧)、桑原たけし(新))
両親を欲しがっていたアトムにお茶の水博士が進級祝いと称して作ってあげたパパ。父親なのに後で作られた。太めでデカ鼻。
突貫工事で作られたため機能はアトムより劣り、親なのに小学校に通い、親なのにアトムより下級生というカオスな設定だった。
その後どうにかして卒業したようで、家では何をしているのかは不明。ニートってわけではないと思うが。
当初こそ自分の名前すら書けず手塚が考えてなかっただけとか言ってはいけない子供にまでバカにされていたが、
次第に父親として成長していき、アトムの無謀な行動を叱責したり、冗談を真に受けてヘトヘトになったアトムにこっそりエネルギーを与えてあげたり、お茶の水博士からのテープはがきに関して考察したりと頼れる父親としての一面が強調されることになる。
なお、アトムの両親はAB版には登場しない。

  • リン
(CV: 太田淑子?、不明(旧)、日比野美佐子(新))
アトムのママ。パパと同じく後追いで作られた。若い美女型ロボットだが、マスクはお茶の水博士の亡き妻に似ているパーツを選んだらしい。『アトム今昔物語』ではアトムを第二の息子として受け入れてくれた天馬博士の妻、天馬星江の顔をしている。
基本的に優しくて慈愛に満ちたお母さんだが怒る時は怒る。
原作、アニメ第1作、アニメ第2作(カラー)で全て髪型が異なる。(原作では黒髪の下にまとめたお団子、1作目は茶髪の上にまとめたお団子、2作目は茶髪のセンター分け)

  • コバルト
(CV:清水マリ(旧))
アトムが謎の失踪を遂げた際にお茶の水博士が突貫工事で作ったアトム2号機。つまりアトムの弟。
アトムに比べるとややスリムで細面、髪型も微妙に異なる。
身体能力はアトムと同様だが、天馬博士ほど精巧に作れなかったため手先は不器用。
体内にはアトムと反対のコイルが巻かれたレーダーが内蔵されているため、無線通信が可能。
連載版では「ミドロが沼」で壮絶な自爆を遂げ作り直されることになっていたが、あまりに可哀そうだということで単行本では死なずに済んでいる。
…という設定変更そのものがアトムのコミックスに漫画で描かれ、コバルトが自分の墓があることに嘆いていた。
なお、アニメ第1作ではアトムのプロトタイプ(つまりアトムの兄)で兄という原作とは逆の設定にされた。

  • チータン
アトムの弟の赤ちゃん型ロボ。原作の番外編とアニメ第1作のみ登場。
声が非常にうるさく、一度鳴くと建物すら破壊しかねない。しかもパワーは1万馬力。なぜ作ったお茶の水。


小学校

  • 伴俊作/ヒゲオヤジ
(CV:矢島正明・和田文雄(旧)、熊倉一雄(新)、富田耕生(AB))
アトムの担任教師。元私立探偵(伴俊作名義でヒゲオヤジが登場するときは大体いつもこの設定だが)。
ハゲているがなんと42歳(!!)。チャキチャキの江戸っ子で曲がったことが大嫌い。
人種やロボットを差別する偏狭な輩を許さない熱血漢で、生徒たちを時には厳しく、時には優しく見守る。
柔道、空手の有段者でボクシングも得意なバケモノじみた身体能力を持ち、「ブラックルックス」では悪党をバスを貫通するほどの速度でブン投げていた。
こいつ本当はロボットなんじゃなかろうか。
AB版では私立探偵という設定で固められ、アトムの担任は姪の庭野ミドリ先生(美人)が着任している。

『アトム ザ・ビギニング』でも登場。時の流れがいかに残酷かまざまざと表した。

  • 大目玉男(おおめ たまお)
(CV:松岡洋子(新)、くまいもとこ(AB))
通称タマちゃん。その名の通りでっかい眼鏡が特徴的な、作者の分身とも呼べる存在。
学校の成績は体育と美術以外微妙であるが、明朗快活でアトムに対してもわけ隔て無く接している。
母ちゃんが美人。

  • 敷島健一
(CV:滝沢久美子(新)、佐藤ゆうこ(AB))
手塚治虫がプロデビューする前から散々登場していた「ケン一君」その人。
『アトム大使』では主人公的な立ち位置だったが、『鉄腕』になってからは優等生キャラのためドンドン出番が減っていった。
公正で成績抜群なクラス委員長で、ガキ大将の四武垣とはよくケンカしている。
AB版では海外展開を見越して黒人っぽいキャラデザになっている。

  • 四武垣
(CV:たてかべ和也(新)、千葉進歩(AB))
所謂ガキ大将ででっぷりと太ったふてぶてしい外見の悪ガキ。大の勉強嫌いで、大人と渡り合えるほど喧嘩が強い。
実家はかなり裕福であり、家は美術館と見紛うほどのサイズの豪邸で、使用人もたくさんいる。
腕白な上に態度も横柄で、初期はアトムの事を見下していたのだが、「フランケンシュタイン」事件で家が悪いロボットに襲撃されたのを
アトムに救ってもらってからは次第に態度を改めていく。
「ロボットランド」では悪人に向かい「おいおいっじいさん オレは髭のあるやつが大嫌いなんでい」と本音を漏らしヒゲオヤジから怒鳴られている。
新アニメでは出っ歯に、AB版では白人風に変更されている。


警察

  • 警視総監
日本警察の総監。厳粛で公平無私だが、やや頭の固い所もある。

  • 田鷲警部
(CV:兼本新吾、千葉耕市(旧)、永井一郎(新)、銀河万丈(AB))
とんがった鼻にタワシ髭を生やした長身の警部。常にコートを着用している。
ロボットを信用しきれておらず、頑なな判断を取ることも多いが、内心では人間のために戦うアトムに敬意を払っている。

  • 中村警部
(CV:坂本新兵(旧)、屋良有作(新))
小太りで、制服を着用した警部。田鷲警部とは対照的に温情主義でアトム一家の事を深く信頼している。
焼き芋が大好きで食いしん坊。


科学者

  • 天馬午太郎
(CV:横森久(旧)、大木民夫(新)、大和田伸也*3*4(AB))
アトムを作り出した張本人。
群馬出身、家は代々馬鈴薯栽培を営む。
ひのえうまの生まれで海馬の研究においては右に出る者はおらず、科学省長官選抜にはダークホースとして出馬、
選任後もいつか馬脚を現すと野次馬から馬鹿げた下馬評を集めていたらしい。
『アトム今昔物語』においてはハーフという設定で、髪は黒く染めているだけだった(単行本では削除、ビギニングでもこの設定は無し)。妻は『アトム今昔物語』にのみ登場する天馬星江だが劇中でアトムをサーカスに売った事をきっかけで関係が悪化し、その後妻は亡くなった。
息子を失ったショックでアトムを作り出すも、自分の息子とは似て非なる者であることを知ってしまいサーカスに売り飛ばした。
『アトム大使』では細胞縮小薬を作り出し、宇宙人を虫のように小さくして人口問題を解決しようとする暴挙に出たため
アトムから反旗を翻され、自ら縮小液を浴びてしまい小人になってしまった…。
と思われていたが『鉄腕』では生きていた設定である。(雑誌版では小人化の件が「あの時追い詰められ、気が狂って服を脱ぎ捨てて逃げた、だから服だけ見つかって小人化したと勘違いされた」というフォローが入っているが単行本では全カット、そもそも大使とは繋がってないと思われる)またアトムに対する所業を反省したようで、時々覆面の謎の人としてアトムの危機を何度か救っている。
「地上最大のロボット」ではアトムを10万馬力から100万馬力にグレードアップさせた。「青騎士」〜「ミーバ」編ではアトム修復に協力したがその際わざと電子頭脳に人間を敵視する思想を植え付け、青騎士のようなロボット独立のリーダーに仕立て上げようとしたがアフリカでの事件のアレコレでいつの間にかお馴染みのアトムに戻ってしまった為、今度はミーバの超能力を使い再び息子のトビオに戻そうとするがこれも失敗、ヤケになりアトムの両親に銃口を向けてアトムを奪おうとするが両親の覚悟に折れ、その場を去った(これが原作最後の登場である)。なお雑誌版のみ、お茶の水博士との軽口でぬかみそ一気喰いを約束してしまいわざわざ目の前で食べて去っていった。

トビオを失ってからは極めて利己的で選民主義じみた主張をするマッドサイエンティストとして描かれており、
特にAB版では「ロボットによる国を作る」という誇大妄想に囚われ、アトムをその王として擁立するために様々なロボットを作り出した挙句、なぜかラスボスになってしまった。
『AB』の最終回は、再び天馬博士を「お父さん」と受け入れたアトムに負けを認めた天馬博士が獄内で「人間とロボットの協調のための新法」が完成したニュースを聞き、
安らかな笑みを浮かべるシーンで終わっている。コミカライズでは大まかな流れは同じだが最後に行方をくらまし、アトラス(ダイチ)の修復用設計図を匿名で科学省に送った事が語られていた。

『アトム・ザ・ビギニング』ではお茶の水博士共々若い頃の姿で登場。
大学院2年生だが飛び級を重ねているため、2浪2留したお茶の水より9歳下でヒロインの茂登子さんと同い年。
おっちょこちょいなお茶の水博士と対照的に、ハンサムで天才肌だがどこかヌケている孤高の科学者として描かれる。
家は父親の代で大型機械を使うほどの豪農だったようだが、5年前の「大災害」で両親を失った。

  • フーラー博士
(CV:不明)
ケチで有名な小男。初登場は「マッド・マシーン」で、金目当てに東京中のあらゆる機械を狂わせた。
マッド・マシーンをアトムといっしょに光線銃で撃って自滅してしまい(連載版ではもっとシリアスな展開だったりする)投獄されたのだが、
罪を償って出てきて、脚を失ったアトムに小型のラジコン「ミニアトム」をプレゼントした。
『新鉄腕アトム』では第1話の敵として登場した他、最終回ではメカユニコを作ってアトムと戦わせ、やっぱり自滅した。
AB版では同じキャラが「ミニミニ博士」という名前で登場する。
ブラック・ジャックでピノコの姉をBJの診療所に連れてきた可仁先生は同じ役。


悪党

  • ハムエッグ
(CV:永井一郎(新)、長島雄一(AB))
手塚作品おなじみの悪役。
アトムが所属していたサーカスの団長。ロボットを見世物としか思っていない冷血漢。
余談だが『アトム大使』に登場するサーカス団長はハムエッグとは正反対の善人である。

『アトム ザ・ビギニング』では親戚と思しき「ベーコンエッグ」なる人物がロボット競技大会の司会として登場した。

  • スカンク草井
(CV:家弓家正(旧)、加藤精三(新)、矢尾一樹(AB))
「アトムは完全じゃないぜ! 悪い事が出来ねえからな!!」
「電光人間」でデビューした手塚作品きっての極悪人。強盗、脅迫、密輸などあらゆる悪に手を染めた犯罪シンジゲートのボス。
悪徳議員と結託して犯罪をもみ消す代わりに資金を横流ししており、一度はアトムに捕まるも鼻薬で保釈される。
善悪の区別がつかない透明ロボット「電光」を使い強盗を行うも、アトムにより(アニメ第2作ではヒゲオヤジにより)塗料が塗られ透明ではなくなると
掌を返し爆弾を握らせて科学省を起爆させようとしたゲス中のゲス
最終的にアトムにより捕えられ、お茶の水博士の新発明で取引していた悪徳議員とのコネクションを全て暴かれてしまった。
…が「悪魔の風船」でまた脱獄した。
新アニメでは当初はギス博士とつるんでいたがギスがアトラスに追放されると脱走し、一人で悪行を重ねた。
AB版でもだいたい原作と同じ役回りで登場。

『アトム ザ・ビギニング』においては若い頃の姿で登場した。
スカンクはコードネームらしく、月子(お茶の水の恩師の娘)からは「執念深く性格がねじ曲がった最低の男」と評されている。

  • 金三角
(CV:不明(旧)、峰恵研→滝口順平(新))
「十字架島」「人工太陽球」「人面岩」に登場(アニメ第2期では「クラーケンの怪物」でも登場)。たらこ唇に口髭、常にサングラスを着用したデブ。
中華系のギャングのボスで、世界中のお宝を狙い暗躍している。
モデルは手塚の小学校時代の旧友。


ライバルメカ

  • アトラス
(CV:光枝明彦(旧)、北条美智留→森功至(新)、檜山修之(AB))
☆原作及び白黒版
少数民族出身のテロリスト・ラム博士によって作られた戦闘ロボ。ロケットに手足と首を付けたような外見。
頭には無数のパイプが接続されており、四方八方に雷を放ち相手を焼き尽くす。
自分の意志で悪事を行う「オメガ因子」が組み込まれており、多数民族に対し様々なテロ活動を行う。
富士山爆破、アトムの変装をしての銀行強盗などに携わるも、次第にオメガ因子が増長し始め、
遂に生みの親であるラム博士を「俺に命令すんじゃねーよ」と暴行を加え死に追いやってしまった*5
最終的にアトムにブン投げられて壁の電磁ネットに叩き付けられ全壊。

☆アニメ第2作
ワルブルギス博士とスカンクにより盗み出されたアトムの設計図で作られたロボット。エジプト美術を思わせる赤銅の肌と金色の髪を持っている。
当初こそ札束とレシートの区別さえつかないほどの非常識であったが、ギスのメイドロボ・リビアンにバブみ愛を感じ、
ギスがリビアンを破壊したことに怒り、彼を追い落とし自らを大人のボディに改造した。
成長してからは知能も武力も格段に上昇し、エネルギーを吸収する剣「ゼロブレード」でアトムを幾度となく苦しめた。
いわばハカイダーシャドームーンなどと同じく「絶対善たるヒーローに相対するもの」として描かれており、
リビアンと共に迎えた今際はアトムの心を深く打つこととなった。

☆アニメ第3期
早逝した徳川財閥の跡取り息子・徳川ダイチをモデルに天馬博士が作り上げたスーパーロボット。
頭部は原作のデザインと瓜二つだが、体は赤い装甲で覆われ、第2作のようなモリモリボディになっている。
このアトラスのみオメガ因子が全く組み込まれておらず、ダイチの記憶・人格を元に悪事を働くことができる。
即ちスカンクの言っていた「完全なロボット」として完成してしまっている。
「トビオの記憶・人格を持たないが代替品として作られたアトム」と「ダイチの記憶・人格を完全に受け継いたアトラス」と対になっている。

(CV:兼本新吾(旧)、森川公也(新)、大塚明夫(AB))
☆原作~アニメ第2作
「地上最大のロボット」に登場する大型ロボット。牛のような長い角を持つ。
裕福なサルタン(王様)によって作り出され、世界7大ロボットを破壊するために暗躍する。
詳細は該当項目参照。

☆アニメ第3期
天馬博士が分身として作りだしたアンドロイド「シャドー博士」が作り出したスーパーロボット。
アトムを「成長」させるために戦い、自分のステータスアップのために各国の優れたロボットを襲撃した。
全身が緑色に変わり、より無骨なデザインに書き換えられている。また、全身から無数にミサイルを放つこともできる。
アトムと戦う内に「友情」の心が芽生え、意味も無く戦い続ける宿命に決別するも、
シャドーの作り出した2号機「ダークプルートゥ」からアトムを護るため火口に落ちていった。
しかし生存しており、青騎士のロボタニア建国に協力している。

  • 青騎士ブルー・ボン
(CV:金内吉男(旧)、田中秀幸(AB))
本作最大の節目となる「青騎士」編の大ボス。
妹ロボットが人間に些末に扱われゴミのように破壊されたことに怒りを覚え、人間を倒すために機械国家「ロボタニア」建国を宣言した。
一度はアトムを完全破壊に追い込んでいる。

『PLUTO』に登場するブラウ1589は青騎士がモデル。



単行本

手塚は単行本時の加筆修正が多い事で知られるが、アトムの場合『公式単行本』のバージョンが2種類存在する。

  • サンコミックス版
1975年に朝日ソノラマから発売された単行本。各話冒頭に作者解説が追加され、新たに描き下ろしの「アトム大使」・「アトム今昔物語」とはやや違う誕生編『アトム誕生』を1巻に収録。秋田書店の『SUNDAY COMICS』版・光文社文庫版にほぼこれと同じ編成が受け継がれている。収録順は発表順から大きくシャッフルされている。6〜8巻に『アトム今昔物語』が収録された全21巻&別巻。現在は秋田書店の『SUNDAY COMICS』版のみ漫画全集版と同じ内容の別巻2を追加した全23巻で流通・増刷している。

  • 手塚治虫漫画全集版
講談社から発売された手塚の全集シリーズの一つとして刊行されたもの。サンコミックス版での作者解説は削除され、『アトム大使』・『気体人間の巻』の構成も一部変更。この編成は後に講談社文庫版でも採用されている。
初めて発表順に収録された『少年』の本編18巻プラス下記の『アトム今昔物語』3巻、及び『アトム誕生』ら各種短編と小学2年生版アトム、ブラック・ジャック第58話『おまえが犯人だ!!』を収録した『鉄腕アトム別巻』2巻の計23巻と、全集の中では一番巻数が多い(次点はブラック・ジャックの22巻)。
しかし先生の存命中発刊されたにもかかわらず、全集用のあとがきが書き下ろされなかった数少ない作品でもある。*6

  • 手塚治虫文庫全集版
漫画全集の内容にサンコミックス版の解説漫画を追加したもの。今からフルコンプを目指すなら、このバージョン+『SUNDAY COMICS』版の『アトム大使』・『気体人間の巻』が収録された15巻を買うのがベターか。

  • オリジナル版
手塚治虫作品は基本単行本化において大きく描き直しを行いアトムも例外ではなかったが、当時の『少年』をアトム関連のみ雑誌の紙色、広告、アオリ、別冊付録まで再現した『鉄腕アトム 復刻大全集』が全6ユニット&その他の雑誌に掲載されたアトムをまとめたユニット7がジェネオン、復刊ドットコムにて発売。
その後、全6ユニットの『少年』連載分をb6版に編集し直した「鉄腕アトム オリジナル版」が全16巻で刊行された。

関連作品

  • 世界を滅ぼす男
1954年『冒険王』での別冊読み切り作品。戦時中に生まれた奇妙な友情、そして悲劇をテーマとしている。
この主人公・良一はスターシステムとしてアトムが坊主刈りで担当しており悲喜こもごもを存分に表現している。
そしてもう一人の主人公・ルノーはリンことアトム母が担当していたりする*7

  • わが名は百科
1964年に『漫画讀本』に掲載された読切。もし会社員を人間からロボットに切り替えていったら……という青年漫画。
オチにアトムの髪形をした幼児が沢山出てくる。
別巻1巻に収録。


派生作品

手塚治虫作品

  • ひょうたんなまず危機一発*8
1965年に『サンデー毎日』に掲載された、『ビッグX』とのコラボ読切。
後に『アトムハートの秘密』でこのエピソードのパロディと思われるステージが登場する。

  • アトム今昔物語
『少年』廃刊直後の1967年から69年までサンケイ新聞(現:産経新聞)で掲載された、タイムスリップしてしまったアトムを中心にアトム世界の過去から現代を振り返るエピソード。
掲載時はアニメ1作目の最終回の直接の続きとして描かれたせいかはたまた別の理由があるのか、本編と結構矛盾が多い。が、本編と繋がっていたら中々の鬱エピソードなので独立作品として考えた方が良いのかもしれない。

  • アトムの最後
1970年に別冊少年マガジンに掲載された読切。
前述の暗黒時代に描かれた「50年後の鉄腕アトム」であるが、作者本人すら黒歴史認定するほど暗く陰鬱な話になっている。
天気の悪い日は読まないように。

  • 小学一年生版
1972~73年まで『小学一年生』に掲載された。全編コミカルテイスト。
宇宙人に改造されたアトムが地球に戻って来る話で、『還る』同様にプロテクターとマントが付いている。
このデザインはポシャった実写版第2作のデザインの流用であり、『還る』ヒロインのスピカも別の役で登場する。
アトムは自分が生まれた原因がトビオの事故死だと知っているため、「今でも交通事故が憎い」と子供たちに語る表情はなかなか物悲しいものがある。単行本未収録。

  • アトム還る
1972~73年まで『小学四年生』に掲載された漫画。
TVアニメ最終回の後で宇宙人に拾われ改造されたアトムが地球へと戻るまでの物語。単行本には前半パートしか収録されていない。
前半最終回、最後の1コマですべて持って行かれた。

  • アトム二世
1975年に『文芸春秋デラックス』に掲載された読切。
TVアニメ最終回の後に行われた事件を描いた低俗ギャグマンガ。イヨーオ性戯の味方ーァ!

  • 新鉄腕アトム
『小学二年生』に掲載(『一年生』『三年生』は別の作家でアトムが連載された)。先述した通りアニメ第2期のコミカライズで、キャラデザはそちらに準ずる。
ロボット処理車、フランケンシュタイン、アトラス、ガデムなどが登場するが、アニメ本編と役回りは異なり、
小学校のキャラはヒゲオヤジ先生以外登場しない。
なおアニメ34話「小象プーラ」のエピソードのみそのままコミカライズされているが、
これは白黒版第54話のリメイクで、手塚が脚本を手掛けたエピソードなので思い入れがあったのだろう。

  • アトムキャット
1986年~87年まで『ニコニココミック』で連載されたアトムのセルフパロディ漫画。こちらも掲載誌廃刊により未完。


ゲームソフト

  • ファミコン版
1994年発売。バカゲー。

  • ASTRO BOY 鉄腕アトム-アトムハートの秘密-
GBA専用アクションゲーム。過去の手塚作品すべてが入り乱れた快作。
『ひょうたんなまず危機一発』のパロディやアニメ第2期の後日談など手塚ファンなら笑いも涙もなくしてプレイ不可避な作品。
ラスボスが写楽(三つ目解放完全悪モード)に乗っ取られた魔神ガロンという凄い設定。

  • ASTRO BOY 鉄腕アトム(PS2)
PS2専用ゲーム。3Dアクションゲーム。


その他

  • 実写版
触れとうない。
小ネタだけ触れておくと、リアル息子が下條アトム(本名)な女優田上嘉子がサブで出演していたそうな。

浦沢直樹原作の漫画。
「地上最大のロボット」をテーマに、原作では秒殺されたゲジヒト刑事の視点から物語をリ・イマジネーションした作品。

  • ATOM
2009年に日米合作で作られた3DCGアニメ映画。シナリオは『AB』同様原作から大きく異なる。

  • アトム・ザ・ビギニング
コンセプトワークス・ゆうきまさみ、漫画・カサハラテツロー。
殆ど手塚テイストのない画風で描かれる『アトム』夜明け前の物語。
祝! アニメ化決定!!

  • GO!GO!アトム
2019年10月からテレビ東京で放送されている子供向けアニメ。
キャラのデザインや設定が大幅に変更されており、『アトムキャット』似の猫ロボ「アトニャン」が登場している。
























さいごに

アトムが遺した足跡はあまりに多く、この記事では到底その全てを伝えることはできない。

アトム、すなわち原子の名は、彼が原子力で動くことから付けられた。
元々アトムは核分裂で動いている設定だったが、いつの間にか核融合炉搭載型に変わっていたのは有名な話である。


しかし手塚治虫が原子力をただ一直線に、全てを絶賛していたのかは疑問符がつく。
『ブラック・ジャック』ではBJの旧友が原発建設反対運動に参加し、政府軍に撃ち殺される姿を描き、
『火の鳥 未来編』においては人類は愚かな核戦争で死滅し、
『ブレイブファイヤーSO9』に至っては、原発PRアニメにも拘らず原発をとことんまでに風刺していたほどであった。


そして、あの日、あの事件は起きた。


科学の火として燈されていた原子力炉はその日を境にピタリと止まり、かつて人々の来たるべき未来の象徴であったそれは、ある者にとっては憎むべきものに、あるものにとっては無くすべきものに、ある者にとっては危険そのものを表す存在へと変わった。そして同時に、その名を冠した
『アトム』の名すら皮肉となってしまった。
原子力が与えたのは結局、束の間の平穏と幻想、その何万年もあとまで続く地獄でしかなかったのだから。


このまま『鉄腕アトム』という物語は、過去の遺物として遠い未来に忘れ去られてしまうのか?







答えは否。
アトムの歴史は、ここから新たなスタートを切り、そして始まる。


手塚治虫の弟子・石ノ森章太郎が描いたもう一人のピノキオ、『人造人間キカイダー』、『仮面ライダー』。
負けず嫌いの手塚さえ認めた藤子・F・不二雄究極のこども漫画、『ドラえもん』。
ロボットアニメは売れないというジンクスを根底から叩き潰した『マジンガーZ』。
手塚に「負けた! これには勝てない」とまで言わしめた鳥山明の『Dr.スランプ』、『ドラゴンボール』、『ドラゴンクエストシリーズ』。
弟子である富野由悠季の渾身の一作、『機動戦士ガンダム』。
作られしもの同士の潰し合いというアトムに相通ずるテーマを持つ『ロックマン』。
手塚自身も絶賛した高い技術と創作性を持つ庵野秀明の少年の揺れる心と父への葛藤を描く『新世紀エヴァンゲリオン』。
子を亡くしたマッドサイエンティスト作り出されたピノキオをヒロインに据えた冒険譚『魔法少女リリカルなのは
令和の新たなる時代を駆け抜けた、人とロボットの笑顔の為に戦い抜いたヒーロー『仮面ライダーゼロワン
世界中に夢を届け、ボカロP問わず数多の偉大なアーティストを育て、今も最先端の音楽のエンタメを伝え続ける電子の歌姫、『初音ミク』。
作家として、アニメーターとして、何より「一人の絵描き」としてライバルと捉えた宮崎駿、彼の盟友たちが生み出した『スタジオジブリ』。
ナックの手によってアトムの夢を引き継いだ10分間の名作『スーパータロム』及びその後継作『チャージマン研!』。


彼らはみんな、アトムの子供だ。

ロボット漫画、ひいてはSF漫画の金字塔としてアトムは生まれ、そして手塚の手によって、そして数多のクリエイターたちによって何度も作り直され、その度に新しいアトムの形を示し続けた。
舞台とされていた2003年には及ばずとも、それから18年が経った今では、手塚の思い描いた未来に近づいているのではなかろうか。
人を思い、人を助け、人と生きるAI、そしてロボットへ。
日本が世界に名だたるロボット先進国となりえたのも、すべてはアトムや、その子供たちが作った大いなる夢と、たゆまぬ夢への進歩のおかげなのだ。




もしかすると人類の未来は、『鉄腕アトム』で描かれた通り、闇を抱えた物になるかもしれない。
そうはならないのかもしれない。想定外の結末を辿るのかもしれない。しかし、まだそれは、誰にも分からない。しかし、どんな未来や結果が待っていたとしても、未来を創り出すためにも、絶対に歩みを止めてはいけないのである。
そのことを、暗雲と暗闇が続く今この世界へと強く願い、2003年放送の『ASTOROBOY 鉄腕アトム』のオープニングテーマ「True Blue」の一節を引用し、筆を置かせて頂く。











いつか また 君が笑顔を 失くしそうになったら

いつでもどこでも呼んでよ






永遠だよ 僕らは



















追記・修正は10万馬力の方にお願いします。

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最終更新:2024年04月03日 16:52

*1 ケン一は40年代の手塚作品の主役はほぼ総なめであり、50年代にも『ケン1探偵長』で主役を張り『ジャングル大帝』でもヒゲオヤジと共にほぼ準主役として登場する。

*2 皮肉にも手塚が「W3事件」で少年マガジンから連載を引き上げたのが劇画ブームの切っ掛けの一つだったりする

*3 大和田は「アトムを理想の息子」と言い、少年時代から鉄腕アトムのグッズを集めてそれを自宅リビングに飾るという程の鉄腕アトムの大ファンである

*4 「笑っていいとも!」でアトムのピンバッチを付けて出て、それに気づいたタモリとアトムの話で盛り上がった放送を偶然見ていた手塚プロダクションの関係者のオファーによって天馬博士を演じることになった

*5 余談だが、ピノキオの原作小説でもコオロギ(アニメ映画版のジミニークリケット)はほぼ同様の理由でピノキオに殺されている。アトラスのモデルは「原作のピノキオ」なのかもしれない。

*6 他はバンパイアと未来人カオスのみ。ただし前者は漫画自体の完結編を後日描き下ろす予定と語られており、後者はあとがきに代えた漫画が別途発表されるなど相応の理由がある。

*7 『メトロポリス』のミッチィなど少年役での登場は度々あった。

*8 誤記ではない。