サザエさんじゃんけん

登録日:2017/3/23 (木) 15:04:00
更新日:2024/04/05 Fri 19:11:26
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サザエさんじゃんけんとは、アニメ「サザエさん」の放送終了間際に開催される、主人公フグ田サザエとのじゃんけん大会である。




概要


休日の終わりを告げる国民的アニメにおける次回予告後のバンクとして、1991年10月20日から開始された(それまでのバンクは真似した子供が死亡したという都市伝説(事実ではない)を生んだあの「んがぐっぐ」)。

時にほのぼの、時にカオスな3本立ての本編を見た後で開催されるこのじゃんけんには謎の中毒性があり、サザエさんガチ勢からライト層まで多くの視聴者が参加して一喜一憂する。

サザエの手の出し方は、「来週(もしくは次回)もまた見てくださいねー!!」と番組のアピールをしながらグー・チョキ・パーの絵の描かれたフリップを両手で持って背後に隠し(この時のポーズはよく見るとなかなかセクシー)、

「じゃん・けん・ぽん!!」

の掛け声を発しながらそのうちの一本を示すというもの。


「自分の手で出せよ」というツッコミが入ることもあるが、これはおそらくモーションで出す手を読まれることを避けるためだと考えられる。

なおじゃんけんが放送される場合、出す手は必ずグー・チョキ・パーのいずれかであり、アクシデントで出しそこなったり「グチョパー」のような変則的な手を出すことは一切ない。



研究


サザエさんじゃんけんについては、91年の開始時から現在に至るまでの全ての手を記録し、年や月ごとの傾向をまとめたサイトが2つ(「サザエさんジャンケン学」と「サザエさんじゃんけん研究所」)存在し、この分野における基本資料となっている。
以下、統計的な記述はこの2サイトを参照させていただいていることを断っておく。
なお、現時点での最新のデータが知りたい場合はこれらのサイトにアクセスすることで知ることができる。
またこれらのサイトの運営者らはランダムに出した場合である3分の1を大きく超える勝率を誇っており、研究によって勝率を上げられることは明白である。


これまでのところ、年・月によって微妙な変動はあれど、グー・チョキ・パーの出された通算回数はほぼ等しい。
3回以上続けて同じ手が出たことはこれまで13回。
ただし何故か1999年から2006年の間に集中しており、この間はほぼ年に1回は3連続同一手が発生していたのだが、2008年以降は2020年まで発生していなかった。
しかし2020年に12年ぶりとなる3回連続同一手が発生したどころか、そのまま同一手を出し続けそれまでの連続記録である4回を塗り替えてしまった(現在5回。手はパー)。


このように基本的に出す手は均等に分布していると思われるのだが、一方で考察者・参加者に注目されている存在が


初週チョキの謎


である。


実は、その年初めての放送のジャンケンでは、チョキを出す確率が明らかに高いのである。

1992年から2022年に至るまで31回中29回がチョキ*1、それも1995年から2021年までに至っては28年連続チョキと、明らかに偏っている。
ちなみに25年連続で偶然同じ手が出る確率は2兆5418億6582万8329分の1である。

また1月ほどではないが、その他の月の初週でもチョキが出やすい傾向はあり、特に4月・7月・10月の初週はいずれも28年間で21回がチョキとなっている。


この偏りについては諸説あるが、新年や新年度を迎えて晴れがましい気分になっている人は、心理的にパーを出しやすいことが容易に想像できることを思えば、極めて理にかなった戦法と言えるだろう。


また、例年放送されているFNS27時間テレビの中でサザエさんが放送される場合も、チョキが出ることが圧倒的に多い(29年間で20回)。
これも、スタジオでじゃんけんに参加するタレントは同様の理由でパーを出しやすいことを見越してのことだと思われる。

なかなか勝利できないサザエさんじゃんけん初心者はまずこれらの週を狙ってみることをお勧めしたい。



……まあ実際にはランダムでどの手を放送するかを決めているだけらしいので、これらもいわゆる少数の法則の錯覚(サンプル数が少ないと偏った結果が出やすい)であろうとは思われるが。


なお、エンディングテーマの最後で家から出てくる雲の形で手が予想できるという説もあるが、こちらは都市伝説である可能性が高いとされている。


また、『空想科学読本』で知られる柳田理科雄氏も、サザエさんじゃんけんについて独自の調査を行っている。
ジャンケン開始の1991年から2018年時点まで27年間じゃんけんを続け、
平均視聴率20%、1世帯に1人がじゃんけんに参加したと仮定した場合、サザエさんは延べ146億人と勝負してきた事になり、
彼女の通算成績は、48億7千万勝、48億7千万敗、48億7千万引き分けとのこと。



挑戦者たち



こうしてアニメのエンディングにおけるじゃんけん界において不動の地位を誇っていたフグ田サザエであるが、2012年から数々の刺客に襲われることになった。
これを日曜ジャンケン戦争などと呼ぶ。



vs黄瀬やよい/キュアピース


サザエさんと同じく、日曜日の代表的なアニメとなったプリキュアシリーズ。
その9作目となる「スマイルプリキュア!」において、名前からしてじゃんけんに並々ならぬ闘志を燃やしていると思しき戦士が登場する。
そして第3話において変身バンクが初登場し、名前通りに手で「ピース」のポーズをとる。
ところが翌週、バンク内で出した手は「パー」。
それ以降も毎回じゃんけんの手のどれかをランダムに出し続けていった(所謂ピカリンジャンケン)。

サザエさんとおなじ日曜日に放送するアニメにおいてこの所業は、明らかなフグ田サザエへの挑戦状である。
ここに後々まで伝説として語り継がれる戦いの幕が上がった。


とはいえ、この時点でサザエはじゃんけん歴21年。
さらに弟を敵番組内にスパイとして送り込んだ(中の人的な意味で)上に、そもそも10時間以上の後出しということもあって、下馬評は圧倒的にサザエ優位であった。


ところが、上述のように4話にして自分の名前でフェイントをかけてグーを誘いパーで倒すという戦法を使ったキュアピースに、おっちょこちょいに定評のあるサザエは見事にグーを出してしまい敗北(この時点で開戦後2連敗)。
これで調子が狂ったのか、ようやく初勝利を収めたのは4戦目。
以降もほとんどキュアピースに先攻を許すという、誰も予想だにしていなかった展開となった。

それでも大きく突き放されることはなく、つかず離れずの位置をキープして、なんとかベテランの貫禄を見せつける。

しかしキュアピース側は33回戦以降はスパイの排除に成功、さらにその次の対戦では禁じ手とも言えるあの技、グチョッパーを繰り出した。

これは協議の結果無効試合となったが、優勢にもかかわらずこのような搦め手まで使用してくるという辺りに、彼女の勝利にかける並々ならぬ覚悟がうかがえよう。


そしてそれ以降はほとんどの週で変身バンク自体を出さず、試合を成立させないという力業を使い、試合が成立した週でも引き分けに持ち込む。
これが決定打となり、まさかのキュアピースの総合勝利となった。

上述の初週チョキの法則と同じく、キュアピースにも「キュアピースのメイン回はほぼチョキ」という法則はあったのだが、それを見抜けなかったのもサザエの敗因であろう。



サザエの結果:9勝10敗16分



しかし、上述のようにグチョッパーの使用や試合自体を成立させず逃げ回った上での勝利ということに納得がいかないサザエさん勢も多かった。
仮にキュアピースが原因となった無効試合をサザエの不戦勝としていれば勝敗が逆転していたのだから、不満が出るのも当然ではある。
そこで遺恨を晴らすため、再試合を求める声が相次いだ。


そしてその機会が訪れた。
2015年7月より、BS11において土曜夕方のスマイルプリキュア!の再放送が始まったのだ。
サザエ勢にとっては待ちに待ったリベンジのチャンスである。

そしてその結果、サザエは見事勝利を収め、雪辱を果たした


サザエの結果:15勝11敗8分


なお、再戦前にもプリキュアの特番およびゲスト出演により2回エキシビジョンマッチが行われており、こちらは一回戦はキュアピースの勝利、二回戦はあいこに終わった。
二回戦においてはサザエさんの本編では「大きな子どもたち」というタイトルでじゃんけんがテーマの回を放送するという熱の入れようであり、スパイを止めたカツオ
「大人はジャンケンなんかしないんだよ」という爆弾発言をしたこともあって大きな話題となった。


なお、二度に渡る大戦と二回のエキシビジョンマッチを総計した総合結果はサザエの24勝22敗25分であり、最終的にはキュアピースに勝利している。




vs獣電戦隊キョウリュウジャー


2013年10月から、キュアピースの後を襲った挑戦者。
一対一では勝ち目がないと踏んだのか、キョウリュウジャーの面々が週ごとに順にジャンケンを行った。まあ一対多は戦隊シリーズの基本ではある。
これにはサザエもキレたのか、8回戦では一度引き分けに終わった後、巨大化する怪人よろしく実写版に変身して再戦を挑むという変則パターンを見せた(キョウリュウジャー側が応じなかったため、再戦は無効となった)。


サザエの結果:4勝4敗6分

戦隊ヒーロー全員を相手取って引き分けに持ち込み、キュアピースへの敗戦で堕ちた名声を持ちこたえさせた。



vs烈車戦隊トッキュウジャー



2014年に現われた、ニチアサからの3組目の刺客。だいたい戦法はキョウリュウジャーと同じ。
一年以上続く対戦に疲弊していた視聴者に配慮してか、試合回数自体が7回と短期決戦になった。



サザエの結果:1勝3敗3分


なんと、勝率的にはじゃんけん対戦史上屈指の惨敗である。勝率では後述のミルフィーユ戦をも下回る歴史的大敗であった。短期決戦スタイルが仇となったか。
ただし内容的には最終回で唯一となる初の白星を挙げ、有終の美を飾った。


vs香風智乃・条河麻耶・奈津恵


キュアピースとの再戦の最中だった2015年10月に、突如「ご注文はうさぎですか?」からやってきた3人の挑戦者。
見た目年齢がワカメと変わらないような少女たちに真っ向勝負を挑まれる事態に、キュアピースへの敗北によるじゃんけん界におけるサザエの地位低下が危ぶまれた。

未知なる挑戦者の登場に困惑するサザエ勢であったが、良く考えればどちらも日常もの4コマ漫画を原作とするアニメであり、しかも片や海産物、片や飲料品をモチーフにした珍名揃いという共通点のある作品である。
いわば新旧同一テーマ作品対決とも言えよう。
さらに深夜アニメでありながら土曜朝に進出してくるあたり、もはやじゃんけん勝負を狙いに来たとしか思えず、その心意気や良しというべきであろう。

ごちうさ側のみローテーションバトルという形式だったため一人で相手をするサザエは不利かと思われたが、キュアピースと違いエンディングテーマ後という同じ土俵で戦えることもあってか、試合は圧倒的にサザエ優勢で進行。
ラストの2戦はごちうさ側が手を出さなかったため試合不成立となり、結果はサザエの勝ち越し。年の功、海産物と飲料品の差を見せつける結果となった。


サザエの結果:5勝2敗3分


なお、3人個別の結果は以下の通り


vs香風智乃 2勝2敗0分
vs条河麻耶 1勝0敗2分
vs奈津恵 2勝0敗1分


個人戦では引き分けに持ち込んだ智乃は大健闘と言うべきだろう。



そして2016年7月、深夜アニメでありながら遂にニチアサに進出し、サザエに再戦を申し込んだ
だが、無慈悲なじゃんけんは放たれる。
サザエは開幕6連続でチマメ隊に勝利させないなど、やはり圧倒的な力の差を見せつけた。


サザエの結果:5勝2敗3分


なお、3人個別の結果は以下の通り



vs香風智乃 3勝0敗1分
vs条河麻耶 2勝0敗1分
vs奈津恵 1勝0敗2分


前回とは打って変わって惨敗に終わってしまった智乃。再挑戦を期待したい。




vsりっぷ


2016年5月、リルリルフェアリルからやってきた、ごちうさ(一回目)に続く土曜日からの刺客。
公式がツイッターでサザエに宣戦布告するという、これまでの挑戦者とは段違いの意気込みを見せた。
さらに妖精界からの挑戦者も初である。

サザエの性格上、公式宣戦布告に発奮したのは想像に難くなく、開幕から7週連続で勝利もしくは引き分けという、確率を無視した別次元の強さを見せた(じゃんけんで7回連続で負けない確率は128/2187)。
8週目にしてようやくりっぷ側が初勝利。
以降も食い下がり続け、最終的にはりっぷ側は4勝5敗7分という戦績を収めた。
序盤の連敗を考えると、なかなかの健闘っぷりと言えるだろう。



サザエの結果:5勝4敗7分



多くの挑戦者を血祭りに上げ、辛酸を舐めさせられたキュアピースに対しても最終的に勝利するなど、やはりベテランの貫禄を見せるサザエであった。


……だが、そんな彼女にも大きな挫折の過去が存在したことをご存じだろうか。


vsワンダ





vsミルフィーユ・桜葉


2002年、すでにジャンケン歴12年を数え、どこか奢りも見え始めていたサザエの前に立ちふさがった桃色の壁。
3期目に突入したギャラクシーエンジェル内で、突如サザエにじゃんけん対決を挑む。
その結果は……


サザエ:3勝6敗5分


後のサザエの姿からは予想もできない、偶然確率すらも大きく下回る大惨敗を喫してしまったのであった。

内容的にも、最高で3連勝をものにしたミルフィーユに対してサザエは一度の連勝もなしと、力量の差は明らかであった。


この屈辱があったからこそ、その後のサザエがあったと言えるだろう。
実際、この5年後に発生したvs恐竜キング戦においては、14勝19敗26分と、敗北には終わったもののミルフィーユ戦を大きく上回る勝率を上げ、後の無双に繋がっていくのである。

よってこのミルフィーユ戦は、サザエにおける彭城の戦いもしくは三方ヶ原の戦いに相当するものであったと言うべきであろう。



vsドラえもん




追記・修正はサザエさんにじゃんけんで年間勝ち越してからお願いします。



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最終更新:2024年04月05日 19:11

*1 他の2回はパー。年初めにグーが出たことは一度も無い