アルキメデス(Fate)

登録日:2017/03/21 (火) 11:49:45
更新日:2024/01/27 Sat 09:11:26
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我が名はアルキメデス。SE.RA.PHに選ばれたシステム更新の従事者です。



ゲーム『Fate/EXTELLA』の登場人物で、キャスターサーヴァント
元々本作のキャラクターとして作られたものの、ソーシャルゲーム『Fate/Grand Order』に先行登場したアルテラと異なり、完全新規のサーヴァントである。

「ムーンセル」によって、聖杯戦争の舞台である電子虚構世界「SE.RA.PH」のメンテナンス技師として召喚されたセキュリティ管理者。
その役割の関係上、128騎によるトーナメントであったEXTRAの聖杯戦争には不参加であり、今作の3陣営におけるレガリア争奪戦においても何処にも所属しない無所属のサーヴァントとして扱われている。

ムーンセルによって召喚されたマスター不在のソロ・サーヴァント。
クラスは魔術師のサーヴァントであるキャスター。

聖杯戦争勝者に与えられるムーンセルの王権の証たる指輪「レガリア」を保有する主人公に接触し、共にムーンセル中枢に赴くも何者かの襲撃により、レガリアが三つに分裂。
彼は己の務めであるシステム更新に必要なレガリアの統一を目的とし、主人公とそのサーヴァントであるネロに事の重大さを説き、彼女が率いる陣営に協力していく。


真名は古代ギリシャの発明家にして人類史上最高峰の数学者アルキメデス
通称「シラクサのアルキメデス」
ねじの発明、円の面積の求め方、円周率の算出、梃の原理など多大な功績を挙げた人類史における屈指の大天才であると同時に投石器といった多くの兵器を生み出した開発者である。
中でも入浴中に浮力の物理法則に思い至った際に歓喜のあまりエウレーカ!!(分かったぞ)と絶叫しながら、全裸で街中に飛び出したという「アルキメデスの原理」のエピソードが有名である。

生前の最期は故郷がローマ軍に占拠された際だった。
地面に書き込んだ図形を踏みつけた兵士に激昂しながら「私の図形を踏むな!!」と掴みかかり、それを煩わしいと感じた兵士に切り殺されたという。


元々学者ということもあり、弁が立ち、理知的で穏やかな礼節に溢れた喋り方をする真面目な性格。理性と合理性を良しとし、己の主観を客観的な正しさで物事を進めるように務めようとする好青年。
一方で想定外の出来事が発生すると感情的になったり、茫然自失に陥るといった面を見せている。

生前からその名声を聞いているネロからは高く評価されており、彼女からは「学士殿」と呼ばれ、主人公もその人柄から教え子を見守る教師のような暖かさを感じており、陣営内ではクーフーリンと仲が良いという。

サーヴァントとはいえ彼自身は一介の学者に過ぎず魔術の心得もないが、クラス別スキルの『道具作成:A+』と保有スキルの『殺戮技巧(道具):A 』を活かし様々な機械類を用いて戦う。
歯車の形をした大型チャクラムを主武装として操り、生前の発明品を彷彿させる様々な兵器を召喚するなど多種多様な戦法を見せる。


プロフィール

身長:180cm 体重:70kg
属性:秩序・善
性別:男性
イメージカラー:ダークグレイ
特技:特になし
好きな物:天体研究、理路整然とした会話
嫌いな物:曖昧な結論、煩雑な過程
天敵:ネロ、エリザベート
設定担当:奈須きのこ
CV:興津和幸

◆ステータス
筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具
E D C C A B


◆スキル
○クラス別スキル
高速詠唱:A
魔術詠唱を早める技術。自身の修める魔術レベルは低いが、詠唱のスピードは一流の魔術師と同格である。

道具作成:A+
魔術により道具を作り上げる能力。彼の場合魔術ではなくその時代にある素材から、さまざまな道具を作り上げる。

○保有スキル
術理解明:EX
術式と呼ばれるおよそ全ての式を解明し、これを修復する技術。
戦闘では全く役に立たないが、魔術回路・魔術刻印までも修復する秘伝中の秘伝とされるスキル。

殺戮技巧(道具):A
生前の逸話からアルキメデスが持ってしまった不名誉なスキル。
どのような道具を作成しようとそれらには本来とは違う殺戮用途が付加されてしまう。
本来ならばアサシンやバーサーカーに該当する英霊がもつスキルであり使用する「対人」ダメージにプラス補正をかける。



宝具
集いし藁、月のように燃え尽きよ(カトプトロン カトプレゴン):B

完璧なる円、完璧なる光を見せよう。

清算の時だ!!『集いし藁、月のように燃え尽きよ(カトプトロン カトプレゴン)』!

……フフ……ハハハハハハ!


種別:対軍 レンジ:50 最大補足:一隻

アルキメデスの逸話の一つ。伝承曰くシラクサ海岸に停泊した敵の船へ太陽の熱を複数の鏡で反射する事で火災を起こしたという。
六角形の複数の鏡で太陽光を反射し、更に周囲の魔力を取り込む事で強力な熱線として照射して対象を焼き尽くす光学兵器である。

余談だが、現実でこの実験を行ってみたところ、起こせても精々が小火程度だったようで、船への火計には火矢などの別の方法を試みた方が効果的だったらしい。
Fateでは“まだ大気中にマナが多大に残っていた時代だから出来た芸当だ”と設定されている。



以下、ネタバレの為に注意!


















その正体はムーンセルを破滅へ導く『捕食遊星ヴェルバー』の手先
同時に今回の事件の黒幕的存在であり、レガリアの分裂も元を言えば彼が原因である。

前述の穏やかな振舞いは演技であり、その本性は己を含む不完全な人間という種そのものを嫌悪し、他人を利用する事に一切の躊躇いを持たず。
そして他人を理解する気が欠片もない非人間である。

元々はムーンセルの新王である主人公のサーヴァントに協力する事を良しとするムーンセル側の人物であり、彼らの補佐の為に先んじて星舟ヴェルバー02の解析を試みるもその最中にヴェルバーの浸食を浴びてしまう。

結果、人類に見切りをつけた彼はヴェルバー側の在り方に賛同を示し、表向きはムーンセルのシステム管理者と振舞いながらも、裏ではヴェルバー側の人物として暗躍していく。

これだけならば元々は味方側でありながらも洗脳されて敵側に回ってしまった被害者とも取れるが、その実態はまた別。

その本質は人間の行いを数式で解いて測ろうとする理屈屋の人間嫌い。
己の完全な計算と自負して算出した過程と結末を辿るべき正しい道筋として認識し、その正しい結末に至る事を良しとする合理主義者。
そして、その合理的な計算で導き出した結果を歪ませる人間の好悪や情熱といった曖昧な感情、奇跡といった不確定かつ非合理性に対して強い嫌悪感を抱いており、
総じて彼が人間という種に対して憎悪を抱く要素となっている。

彼が数学のみを愛し、その在りように誇りを抱いたのも唯一揺るぎない答えを示す「完成されたもの」だからである。

その人類に対する嫌悪と他者との競い合いに価値を見出さない在り方からアルキメデスは一度たりとも聖杯戦争には応じた事もなく、人に召喚されることはあり得ないという。

生前は己と他人の在り方の違いを察していたものの、相応の道徳観からか自制をして表に出す事はなく、
例え誰から理解されなくても公共の為に才を尽くしたとされる偉人であった。
だが、ヴェルバーの浸食によりタガが外れ、己の死後も未だに不特定な行動を行う不完全な存在である人類への嫌悪と憎悪が表出するようになる。
尤も彼の本質は上記の通り。例えヴェルバーによる浸食がなかったとしても最終的な彼の立ち位置はヴェルバー側になると言われている。

その真の目的は統合したレガリアの破壊。及びそれによってムーンセルを停止させ、ジャミングを排除する事で遊星本体をムーンセルに到来させる事
システム更新は建前で発した偽りの目的である。

焔詩編では主人公達を利用する為に近づき助力する傍らで目的遂行の為に暗躍し、かつて文明を破壊尽くした遊星の尖兵「白き巨人」セファールを復活させるも主人公達の想定外の奮闘によりセファールは敗北。
遊星にとって発信機に相当するセファールの消失は事実上の遊星到来不可能を意味をするが、彼は不快気ではあるものの何故か動じる事なく静かに結末を受け入れ、姿を晦ます。

「此処にはもう用はない」と呟きながら。


実は浸食による霊子向上によって可能とした並行世界への移動を行い、過去の時間軸に移ることで物語開始時からのスタートを繰り返していたのだ。
計画失敗の度に転移を発動させて、その度にネロ陣営か玉藻陣営の何方の陣営へ取り入り、その果てでいずれは至るのであろう己が目的の遂行を目論んでいる。

破棄した世界の数は不明だが、サブストーリーを含めれば少なくとも十を軽く超える回数の転移を行っている様子。
また主人公達が下手をして途中脱落したとしてもセファールの天敵たる星の聖剣を持つセイバーの手でセファールを滅ぼされ、計画を阻まれ続けたようである。

それでも彼の特権を把握出来ていない以上はアルキメデスの企みを阻む事は誰にも叶わず、彼がいずれ本懐を遂げることは必定であった。
しかし、破棄した世界の一つにおいて、アルキメデスの本性を知った主人公がアルテラの救済の為に別世界の自分に記録を授与してしまう。
結果、アルキメデスの企みは主人公達に完全に露呈してしまい、物語開始時における圧倒的なアドバンテージを失うこととなる。

尚も計画遂行を試みるも、ネロたちの奮闘の末に遊星の欠片「星舟」は破壊され、その直後に過去転移を行う為の必須条件である「人理定礎/霊子記録固定帯」が固定される刻限に至ったことで、過去転移も不可能となってしまい彼の目論見は完全に崩壊してしまう。

エピローグ。星舟の破壊跡地にて己の敗北を素直に認めるも未だにヴェルバー本体の到達は諦めておらず、真の高みへの到達を胸にして物語は幕を閉じた。


欠陥品である人類だが……結果は正しく受け入れよう。

……お前達の勝利だ。

……だが遊星本体(ヴェルバー)はいずれ―――

―――此処へと至ろう―――


そしてアルキメデスの視線の先には――。








数式で解いて測るなど絶対に不可能な存在がいた。



















とまあ、ここまでならよくある腹黒黒幕キャラなのだが、彼にはもう一つの顔がある。
それは今作屈指のネタ枠

彼の計画を悉く台無しにした張本人にして、共に遊星側のサーヴァントであるエリザベート
好き放題に事態を引っ掻き回してアルキメデスを終始イラつかせ続けた彼女だが、そもそも彼女を浸食して味方にしようと判断したのは他ならぬアルキメデス自身。
つまり、完全な自業自得であった。

彼女に目を付けたのは「御しやすいうえにそれなりの力を持ち、それなりの知性の持ち主」という使える駒であると考えたが故であり、
「竜の血を引いている為にサーヴァントとして強力な個体で、かつ貴族令嬢として教育を受けた、知性と力を兼ね備えた人物」である彼女は、確かに経歴と能力だけで判断すれば彼の求める条件に合う理想の人物であった。

だが、それが彼の運の尽き。
彼女と共謀してレガリア強奪を目論んでいたのだが、事あるごとに命令を無視して好き放題やるエリちゃんに、肝心な所で思惑を悉く邪魔されてしまう。

ネロ陣営に付いた「焔詩篇」では、玉藻から王権を取り戻すも乱入してきたエリちゃんに王権を奪われた上、王権は防衛機能により消滅。
玉藻陣営に付いた「蘭詞篇」では、前回の反省を活かしてエリちゃんに調整を施して王権の資格者にするも、彼女の思いつきで王権を呑み込まれまたも消滅。この暴挙にアルキメデスも遂にガチギレしてプレイヤーの腹筋を破壊した。

挙句の果てには「金詩篇」の最終決戦にて英雄王に壮絶な"横槍"をぶちかまされた後、苦労して施した巨神アルテラの拘束を、彼女から力を吸収しようとして寝起きドッキリを敢行したエリちゃんにより破壊される有様。
とっておきの策すらも彼女に台無しにされ、アルキメデスは憤怒の余り絶叫。


あ―――あの低級サーヴァントがぁああああああ!!!

理解、把握……いや、駄目だ! 私には理解出来ない。何故、何故そうなる!?

英霊達もセファールも予想外ではあっても理解の範疇。修正対象ではあった。

だのに、アレはなんだ! どういう計算で動いている!

計算がない! アレの行動をトレース出来る数式がない! ない……のか!?

そんな筈が……あるかぁああああああああ!!

卑しくも遊星に選ばれたサーヴァントだろうがぁ! この私と同質の力を得ておきながら、

こうも、私の計画を搔き乱すか! あの愚か者がぁああ!!


…要するに、例え侵食・洗脳されようと基本行動原理がノリとテンションだけに近いエリザベートと、
全てを理路整然と行わねば気が済まない完璧主義者のアルキメデスとでは、致命的すぎる程に相性が最悪だったのである。



アルキメデスのサブストーリーでは彼の真相…如何にしてヴェルバー側についたのか、そしてエリザベートを洗脳したかが明かされる。
エリザベートの洗脳に成功したところで悪役らしい不穏な空気を漂わせつつエンディングになるのだが、このサブストーリーが解禁されるのは「金詩篇」クリア後。

本編での悲惨な顛末をもれなく予め知るプレイヤーからは「ここで止めておけば…」「ご愁傷さまです学士殿」とシリアスな笑いと同情の声が沸き上がる事になった。




やってることは極悪人そのものだが、
  • エリちゃんに振り回される苦労人気質
  • 目的を達成する為に何度失敗しても諦めずひたむきに立ち向かう姿勢、
  • ワダアルコ氏による美形なキャラデザとそこから放たれる顔芸
  • 声を担当する興津和幸氏の熱演
などが合わさり新手のネタキャラ、萌えキャラとして人気を集めている。

本作のキャラクターを含め、歴代作品のサーヴァントが登場するソーシャルゲーム『Fate/Grand Order』への実装を望む声も大きい。
既に実装済みである彼の天敵エリちゃんズ4騎以上+メカエリチャン2体+大人になった彼女2騎と合わせてパーティを組ませたいとの声も…
やめてさしあげろ。

『EXTELLA』本編では遊星の先兵としての活動を抜きにすれば主人公には概ね好意的であり、
絆レベルが上がる際には「魔術師としては並ながらもマスターとしては見所がある」「分かりあうことはできないが信じるに値する人物である」等と称している。改心フラグ?




ちなみに『EXTELLA』発売前の時点で、

  • 悪役らしい悪役が紹介されていなかったこと
  • 「雑ですねぇ! 実に雑!!」「答えを出しますよ、あなた達のつまらない答えをね!!」などと味方側とは思えない様なセリフを叫びながら、公式のプレイ動画で暴れ回る姿
  • 近年裏切り者や黒幕が増えてきたキャスタークラスのサーヴァントであること。

などの理由から、「なんか胡散臭い」「コイツ本当に味方かよ」「絶対裏切るだろ」「黒幕だったりして」などと散々に言われていた。
実際その通りでしたけどね!




このような扱いを受けるアルキメデスだが、上述の通りあからさまな続編フラグが立てられており、彼自身も健在である。
今後の彼の活躍に期待しよう。(キレ芸人的な意味で。)


続編であるLINKにおいては、ムーンセルさんがハッスルしたのか浸食が解除されており*1、ついでに職も解除された
…が、エリザベートとの縁は解除されなかった。面白がってません?ムーンセルさん。
曰く「自分にとって有益なものは何一つ齎さず、そのくせ根拠もなく自分が嫌なことを的確に突いてくる、自分を不快にさせる天才」と言わしめる最悪の相性だというのに、向こうはマブダチ感覚で接してくるからもちろんストレスはマッハ。
ここでも人との交流を拒絶していたものの、ネロたちに救出されたエリちゃんに「出てこないと歌詞に名前を載せる」と脅され、渋々出てきて暗に死ねと罵倒している。もちろん、エリちゃんは気づく気配がない。



追記・修正は静かに冷静になりながらお願いします。

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最終更新:2024年01月27日 09:11

*1 アルキメデスが侵食されたのは直近の量子記録固定帯より前の出来事で、本編直後に量子記録固定帯を迎えているため、本来であれば以降の可能性は常に「アルキメデスはヴェルバーの尖兵」という前提から派生する。にも拘らず、ヴェルバー関連の事象だからか本来のルールに逆らって解除されている。