茂手への想いから、大好きな漫画を描く手も思うように進まないジャイ子。
だが、他人の口から茂手が好きだとバラされたことで、描きかけていた漫画も投げ出してしまう。
「漫画もお兄ちゃんも大嫌い!」
「兄ちゃんの事は嫌いになっても構わない、でも漫画を嫌いになるな!」
風に煽られて街に散った原稿は、のび太達が回収した。
しかし、ページが3枚足りない……
「よし、全部ある! みんな、ありがとう!」
ジャイアンはそう笑顔で伝えて、みんなを家に帰した。
その後、一人で残りの原稿を探すのだった。
折悪く、空からは雪が降り始める……
一方、のび太とドラえもんは帰ってきたパパから、ジャイアンがまだ雪の中走り回っている事を知る。
そこでドラえもんは、一度ジャイアンに渡した「探し物はなんですカ」をジャイアンの近くにそっと置くのだった。
「ドラえもん、のび太、恩に着るぜ!」
「もっと簡単な道具があったんじゃない?」
「ダメ、それじゃ受け取らないよ!」
兄としてのプライドを知るドラえもんが頷く。
「探し物これカ!? これカ!?」
けたたましく鳴るアラーム音に、原稿の1つが近くにある事を知る。
だが、その原稿は屋根の上にあった。
必死になりながら屋根を駆け上るジャイアン。
「頑張れジャイアン!!」
そのころジャイ子は家で、茂手の連絡先を破り、自分の気持ちに決別をしていた。
その後、母からジャイアンが戻っていないことを聞かされる。
茂手に夢中で気づかなかった、ジャイアンが撮ってきてくれた写真。
兄のやさしさに気づいたジャイ子は、家を飛び出した。
一方ジャイアンは、残りの原稿を見つける事ができず、空腹で雪の中うずくまり…
「そういや前にもあったなぁ…。寒くて、腹の減った夜が…」
まだ小さかった頃のある出来事を思い出していた。それは…
『お前の兄貴が悪いんだぞっ!』
かつていじめっ子にスケッチブックやクレヨンを台無しにされて泣くジャイ子の為に、いじめっ子を追い払った。
だがその後、のび太からクレヨンを奪い取ってきたものの、それが母にバレてしまい、罰として雪が降る寒い中、一人物置の中へ閉じ込められた時、そんな自分の為にジャイ子が
おにぎりを持ってきてくれた時の事だった。
そんな記憶を思い出していたその時、ジャイ子が駆けつけ、ジャイアンに抱き着いた。
「どうして来たんだ!?」
「ごめんお兄ちゃん、あたしが悪かった!みんな、みんなあたしの為にしてくれた事なのに!」
それでもまだ原稿を探そうとするジャイアンだったが、ジャイ子の足もボロボロになっているのに気づく。
彼女もまた、兄の為に自分を顧みず、駆けだしてきてくれたのだ。
そんなジャイ子の姿に、ジャイアンもようやく家に帰る決心をするのだった。
翌日、茂手に呼び出されたジャイ子は、きちんと同人誌を諦める事を伝える。
だが、ジャイアンが見つけられなかった残りの原稿を、茂手から手渡された。
ドラえもん達が探して茂手に渡してくれたのだ。
「バラバラの2ページだけど、僕は面白いと思ったよ」
そして、いつか必ず一緒に同人誌を出そうと、改めて約束をするのだった。
エンディングでは、その後の様子が描かれている。
2人の同人誌が無事完成し、空き地で開いた即売会で見事に完売したこと。
そして2015年2月、「大好きなお兄ちゃん」と書かれたジャイアンの写真を、指輪をはめた薬指が撫でるのだった。