超文明ガーディム(スパロボ)

登録日:2017/03/04 Sat 11:26:00
更新日:2024/02/06 Tue 19:16:58
所要時間:約 24 分で読めます





超文明ガーディムとは『スーパーロボット大戦V』に登場するオリジナル勢力の組織名である。






【作品後半のネタバレ注意。未プレイの方は非閲覧推奨】














【概要】

3000年前に当時のイスカンダルと大マゼラン銀河の覇権を争った、「超文明」を自称する星間国家。
現在では滅亡しておりその痕跡は見受けられない。
第1~11までの艦隊を保有していたがその内第8艦隊は突如消息を絶ち、第8艦隊の存在は大マゼラン銀河にて伝説として残されていた。
しかしガーディム最後の生き残りとも言うべき第8艦隊が現代に帰還。彼らは「超文明ガーディムの再建・復興」を目的に暗躍を開始する。
……と此処まで書くと色々裏で暗躍しているようだが、実際の所版権側の悪役や組織と交流したり同盟を組む様な場面は絶無。
物語では終始地球やサンプルとして回収した地球人(選ばれなかった方の主人公)を観察するだけで、目的のために前線に出る以外で他勢力と関わり合おうとする機会は微塵もない。
ぶっちゃけ黒幕ロールという視点で見ると、ブラックノワールエンブリヲの方が遥かに物語の黒幕を演じている。

永い年月の間に人員が殆どいなくなったのか、指揮官のアールフォルツを除いて兵力は人工頭脳やアンドロイドで代用している。
大マゼラン銀河出身の文明であるため、地球人の事はガミラス帝国と同様に「テロン人」と呼称し、ガーディム再建の鍵としてヴァングレイと主人公のパートナーであるナインを付け狙っている。

【組織構造】

構成員であるガーディム人の性格を一言で表すならば傲慢
次元関連の技術力は他の追随を許さぬ程ずば抜けて高く、容易く平行世界間の移動も可能。
しかしその技術力の反面、自分達を大マゼラン銀河の本来の支配者であると気取り、ガーディム人以外の種族を頭ごなしに「劣等種族」と決めつけて蔑み、他星への侵攻は「矯正」と評している。
彼らの行為は自分達の秩序と合理化の理念を無理矢理他人に押し付ける極めて独善的なもので、
自分達ガーディムに他文明が呑み込まれ併合されることは栄誉なことであると心から信じ切っている。
故にガーディムの侵略を糾弾された際は、

それを侵略という単純な言葉で切って捨てる事しか出来ないような種族はしゃべる猿に過ぎんよ

理性と知性を以て、我々を受け入れた者に待つのは、豊かで不安のない未来だ

と平然と返している。
版権作品の敵組織と関わろうとしないのは、他人を徹底的に見下しているからなのだろう。

ガーディムの文明は徹底的な合理化・効率化の名の元に結婚や生活、出産、就業など人の一生の全てがシステムで管理された典型的な管理国家である。
愛や思いやりが生む「人間性」は効率化を追求する過程で切り捨てられ、ガーディム人は皆システムの歯車に徹することで繁栄と高度な武力・科学力を得たが代償として、個人恋愛や結婚といった人間らしい営みや文化は失われてしまう。
デスラーはこのガーディム人の精神的な歪みが、ガーディムが歴史の表舞台から消えた原因であると考察している。

加えて失敗に対して非常に不寛容な部分があり、一度でもミスを犯した者はデリート(処刑)対象として扱われる。
そのため構成員の態度も殺伐としており、対立からの和解・協力といった仲直りや、失敗からの再起といった発想は基本的になく、構成員はそれらの行為は弱者の戯言として捉えている。

【関連用語】

  • システム・ネバンリンナ
ガーディム人が開発した文明再建システム。
ガーディムが何らかの理由で滅亡した場合、別の星の環境を改造して造り変えガーディムの文明を再建するためのセーフティみたいな機械。
兵器やアンドロイドの開発も可能。
主人公の相棒であるナインはこのシステムの情報収集端末「スレイブ」の内の1機である。

  • 3つの世界
『V』における中核を成す3つの平行世界。詳しくは『スーパーロボット大戦V』の項を参照。
大雑把に書くと
  • ガミラス・イスカンダルのある「新正暦世界」。
  • エンブリヲが根城とし、ナデシコ、勇者特急隊、ソレスタルビーイングなどがいる「西暦世界」。
  • エヴァや宇宙世紀ガンダム、アームスレイヴ、マジンガー、ゲッターがある「宇宙世紀世界」。
といった感じ。ガーディムの生まれは新正暦世界である。


【構成員】

キャラデザインは全員渡邉亘氏が担当している。

アールフォルツ・ローム・ハルハラス


想像してみたまえ。未開の野蛮な種族が、ガーディムの一員となれる事の栄誉を

声:中田譲治
ガーディム第8艦隊司令官。
愛機は戦艦「スリニバーサ」。
白い髪をオールバックにした屈強な初老の男性で、劇中におけるガーディムの支配者として君臨する。
「指導と教育と啓蒙は我々の義務」と語り他者と接するなど一見理知的で落ち着いた指導者然とした雰囲気だが、
実際はガーディム人以外の種族を「猿」「劣等種族」と呼んで露骨に見下し他種族と分かり合うという発想そのものを持たない、傲慢で尊大な慇懃無礼極まりない性格。

おまけに他種族が喋ることすら「猿が人語を介するのには相応の時間が必要」とまで言うなど、そもそも他種族を同じ知的生命体として認めていない節まである筋金入りを通り越した差別意識の塊。
このような思考はガーディム人の為政者や指導者には共通したもので、アールフォルツだけがガーディム人の中でとことん傲慢で外道な存在という訳ではない。
逆を返せば、ガーディムではこんな性格や思考の為政者や指導者がデフォルトということである。

ガーディム人以外の全てを心底見下し切っているため、ガーディム人以外へ向ける感情は希薄で冷淡。
相手に罵倒されようと「ペットに吠えられたくらいで人は感情的になるような事はない」と何の感慨も示さず、戦争や虐殺行為を「作業」とまで言い切る。
生きたテロン(地球)人は、生きた人間の絶無なガーディムにおける「希少なデータサンプル」として見ており観察対象にしている。

なおかつて自分達のテリトリーであった大マゼランで版図を広げるガミラス帝国には内心敵意を向けており、
デスラーが帝都に第二バレラスを落とす蛮行に走った場面に遭遇した際は、
「指導者に見捨てられるような民ならば消去も当然」「そしてそれは超文明ガーディムが行わなければならない」という理由で、
第二バレラス直撃の瞬間まで帝都に住むガミラス人を率先して虐殺しようとした*1

3000年前のイスカンダルとの戦争風景を見せてあたかもイスカンダルが今も攻撃的な文明であると誤解させる卑劣な策を仕掛けており、
そのことについても「嘘は言っていない」「勝手に誤解した方が悪い」と開き直る悪辣な一面も覗かせる。
但し他人を見下し切っているとはいえ自軍の面々に罵倒されればしっかり苛立つ。
要は自尊心・プライド・選民思想が異常なまでに高く凝り固まっているだけである。

名前の元ネタはフィンランドの数学者「ラース・ヴァレリアン・アールフォルス」と思われる。


ジェイミー・リータ・スラウシル


…美しくない。やっぱり、劣等種族ね。言葉遣い一つ取っても、美意識に欠けてる

声:庄司宇芽香
ガーディム所属の一等武官(指揮官クラス)。
愛機は指揮官用攻撃機「マーダヴァ」。
外見は眼鏡型デバイスをかけた金髪爆乳の美女。
一見理性的で落ち着いた女性であるが、本性はプライドが非常に高い高慢な性格で、合理化・効率化の実現のために「美しさ」を重視している。
ガーディムが尊ぶ合理や効率を「美しい」と評して執着し、逆にガーディムが否定している非効率的な行為を「美しくない」と蔑んで忌み嫌う。
感情や精神論といった不安定なモノは彼女にとっては典型的な蔑視の対象で、他種族への差別意識の強さはグーリー以上。
高みから他者を見下し、自分からは積極的に前に出ず後方で指揮を執りながら配下の機動兵器等で圧殺する戦法を好む。
チンピラ臭いとはいえ誇りある戦士としての側面の強かったグーリーと比べ、人の情を利用した下衆な策や言動をするなど卑劣漢としての側面が強い。
故に勝利の為の味方の死や犠牲をさも当然であるかのように受け止め平然としている、良心の欠片も無い非情な指揮官。
味方の犠牲を顧みないが故に、非情さという点では指揮官としては優れた素質を持つが、人間としては最低の部類に入る。

しかし想定外の事態には弱く、プライドの高さもあって自身が敗北しても頑なに「劣等種族に自分が敗北した」という事実を認めず、
何かと言い訳を付けて「自分は負けてない」と言い張る欠点を抱えている。
要はかなり強情且つ負けず嫌いな性格。
また「だ・ま・り・な・さ・い!」などといったように言葉を一言一言強調する様な口調になる癖がある。*2

最後は度重なる戦闘での敗退の結果アールフォルツに愛想を尽かされ、データの収集も終えた事もありアールフォルツに切り捨てられてしまう。
そして最後まで自分の非を認めず弁明しようとする姿をアールフォルツに「美しくない」と自身のアイデンティティを真っ向から否定され、そのまま「処分」された。

ちなみに何故か登場するシナリオに限って味方のパワーアップイベントと被ると言う変なジンクスが存在する。
その為「新兵器の試し打ちの相手」と言われるとか何とか。主にファイナルブレストノヴァ。

名前の由来は不明。

担当声優の庄司宇芽香氏は『第3次Z天獄篇』の尸刻に続いてオリジナルの敵幹部を演じ、本作後の『T』では女性主人公のサギリ・サクライを演じることになった。


グーリー・タータ・ガルブラス


戦う事は、俺の生命そのもの…!そして、スピードを求める事が俺の生きている意味だ!

声:田中一成
ガーディム所属の二等武官(部隊長クラス)。
愛機は上級攻撃機「ブラーマグ」。
モヒカンっぽい髪型に仕立てた青い髪を持ち、袖が全て破れた軍服を裸の上半身の上から着込んだワイルドなチンピラみたいな男。
戦うことが生き甲斐と考える荒っぽく好戦的な性格。合理化・効率化の実現のために「スピード」を追求する。
所謂スピードに執着する典型的なスピード狂で、自らより遅い者を「ノロマ」と評して露骨に見下し蔑む傾向にある。
加えてスピードを追い求めすぎて、自身が求める「結果」までの過程を一刻も早く終わらせようとするためか非常にせっかち。
但し軍人らしく命令には忠実。上官には荒っぽい発言は控えた態度を取り、ガーディム所属という事もあって案外理性的。
一方で戦士としての矜持やプライドを持ち、主人公には小細工や不意打ちなどの卑劣な真似を弄さず真っ向勝負を挑む事が多いなど根は熱血漢。

初めて「地球艦隊・天駆」と交戦したガーディム側の人間。
やられて戦死したかと思いきや何事も無かったかのように復活するなどしぶとく、何だかんだで主人公とは腐れ縁じみた因縁を作ることになる所謂ライバルポジション。
だがやられて復活する度に主人公達との戦いの記憶が消えているようで……?

そして中盤での戦いでも敗北し、復活する事も無いと思われたが終盤にてまさかの復活。
主人公との出会いと戦いが精神的に変化をもたらしていたらしく、幾度かの感情を発露を経て、遂に自らの生まれの縛りから逸脱するまでに至った。
スリニバーサ内に捕えられた主人公達を逃がした後は、己の意地とプライドの全てを賭けて「マーダヴァ・デグ」を駆り、主人公とナインに小細工抜きの一対一の真っ向戦いを挑む。
結果、主人公との激闘の果てにグーリーは敗北。
しかし己の思うがまま自由にスピードを楽しみ、宿敵である主人公と心置きなく全力で戦えた事を満足しながら機体諸共爆死した。

名前の由来はおそらく、ロシアの数学者「グリゴリー・ペレルマン」と思われる。

担当声優の田中一成氏は『スパロボV』発売前の2016年10月10日に死去しており、今作が事実上の遺作となった。


エージェント


「……」

声:なし
赤い瞳と白い髪が特徴的な美しい女性型アンドロイド。
自己主張の類は皆無なようで、諜報活動や対人戦、潜入工作、指揮官のアールフォルツの補佐を淡々と行っている。
量産型なのか数は大量に存在し、破壊されても全く同じ外見のエージェントが入れ替わるようにして現れる。
特に違和感なく運用されているため、ガーディムの文明ではアンドロイドは一般的な技術なのだろう。
ただしアンドロイドに人権の類は一切無く、ガーディムではあくまで「便利な機械人形」という位置付けに当たり、アールフォルツは彼らに「ガーディムの為に全てを捧げることは当然である」という思考をプログラムしている。

その他構成員

  • ソルジャー
声:田中一成
中盤ガーディムで量産されることになる部隊長タイプの男性型の量産アンドロイド。
所謂上級兵のポジションだが自我は希薄で白目。
声も外見もとある人物に瓜二つであるが…

  • コマンダー
声:庄司宇芽香
終盤ガーディムで量産されることになる指揮官タイプの女性型の量産アンドロイド。
ソルジャー同様上級兵のポジション。やっぱり自我は希薄で白目。
声も外見もとある人物に瓜二つであるが…

  • AI
「対象ノ 戦闘力ト パイロットノ 精神状態ニ 相関ヲ 確認」
声:鶴ひろみ
アールヤブの中身としてよく登場するガーディム系AI。データ収集に熱心で、本作に登場する他のAIと違い、よくしゃべる。
なお、その必要がなくなると電子音になる。




【作品終盤のネタバレ注意。未プレイの方は非閲覧推奨】












【ガーディムの真実】

その実態は全員が実在していたガーディム人のデータを元に建造されたアンドロイドで構成された集団。
グーリーが復活する度に記憶が消えていたのはその実態の表れであり、
敗北し戦死する度にアンドロイドが収集した戦闘データ等を同型のアンドロイドに反映させていた。
彼らは上位階級の者以外は自身がアンドロイドであるということ自体を自覚せず、数少ないガーディム人の生き残りであると思い込んでいる。
総てを知るのはアールフォルツのみ。

物語で戦ったグーリーはソルジャータイプ「グーリー:S3429Y」として、ジェイミーはコマンダータイプ「ジェイミー:C0873K」として作成されていた。
上記の構成員一覧の面々は所謂戦闘用アンドロイドのプロトタイプ。
彼らの敗北に伴いそのデータを元に、アールフォルツの手で量産型アンドロイド「ソルジャー」と「コマンダー」が建造された。

量産されていないのはアドミラルタイプの「アールフォルツ:A0012M」だけで、彼もまた自身がアンドロイドという自覚はなかった模様。
プロトタイプとも言うべき試作機は全員「自己の存在」に疑問を抱いたため「出来損ないの失敗作」の烙印を押され、全てアールフォルツの手で自我諸共処分されている。
自我が希薄に作られたアンドロイド達であるが、全く自我が無い訳ではなく自分で考えたり戸惑いを見せる事はある。
だがアールフォルツの調整の結果彼らの自我が大きく出る事は無く、自分達がガーディムの為に全てを捧げる事に疑念を持つことは皆無。
主人公は彼らの状況を「精神制御されている」と例えた。
しかし後継機にデータが転送されるという性質上自我の残滓は残るのか、処分されたはずのグーリーは偶然ながら自我を取り戻し、主人公と一騎打ちで決着を付けようと(創造主からすれば)暴走じみた行動を取った。
なおもう1人の試作機であるジェイミーは特に主人公達と積極的に交戦を行わなかったせいか、再び自我に目覚めることはなかった。

【顛末】

そんな彼らガーディムが本格的に戦闘を行ったのは最終盤。
アールフォルツはガミラス本星での地球艦隊・天駆とガミラス艦隊の決戦中に堂々とスリニバーサで乗り込み首都バレラスを爆撃しながらデスラーに一方的な宣戦を布告。
デスラーとガミラス帝国に住む人間を粛清すると堂々宣言し、沖田艦長からの停戦と住民避難の協力依頼に対し「貴官の提案が理解できない」真顔で言い切り

我々は、ガミラスの矯正のためにここに来た。
だが、指導者に見捨てられるような愚かな民ならば、消去も当然だろう

そしてそれは、あくまで超文明ガーディムが成さねばならないのだよ

と、自分達の行為が常識的だと言わんばかりに第二バレラスが首都に落下するという危機的状況の最中に嬉々としてガミラス人の虐殺を決行せんとした。
なお自分達の行為を棚に上げながら、天駆の面々に対しては避難を促すような気遣いの様な言動をしてみせている*3

加えて、地球を新たなガーディムの母星にするという野望と、野望実現の為に戦艦ヤマトそのものを狙っていることを明かした。
こうしてガーディム第8艦隊は地球征服を狙う非道の侵略者としての本性を露わとし、地球艦隊・天駆と決定的に対立することになる。

そして戦いの末にガーディムの機動兵器は全滅し、旗艦スリニバーサも轟沈。
アールフォルツも第8艦隊の敗北を信じられず、「これは…悪い夢か…!?」と事実を受け入れず、艦と共に滅び去った。*4

…かに思われた。



そして最終話。
3つの次元が無理矢理融合されようとする危機的状況の中、どこぞのTシリーズのごとくメカ部分をむき出しにしながら生き残っていたアールフォルツ:A0012Mは
ナデシコのボソンジャンプ関連の解析データや、ヤマトの波動エンジンと次元制御技術の解析データによって次元ゲートを形成。
過去から自身のオリジナルである生身のアールフォルツと第8艦隊旗艦「バースカル」を呼び込む事に成功する。
つまり、過去において第8艦隊が突如消えた理由は未来に呼び寄せられてタイムスリップしたことによるものだった。(デスラーが第8艦隊失踪の真相と呟いている)

……しかし自身をコピーしたアンドロイドを目撃したオリジナルのアールフォルツは「自分と同じ顔のアンドロイドが存在するなど許されない」という身勝手な理由で、
これまでの戦闘データを送信し終わり用済みとなったアールフォルツ:A0012Mを即座に抹殺。
裏切られ絶望と怒りの声を上げて爆散したアールフォルツ:A0012Mを横目に、オリジナルのアールフォルツは、次元融合に伴いもうすぐ文明も生命も滅ぶであろう地球の存在を「合理的」と定め、3つの世界が融合した地球をガーディム再建のために「使ってやる」べく地球侵略を開始する。

アンドロイドを嫌悪の感情で破壊したことについては、

これがガーディムなのだよ。約3000周期後の世界のテロン人

この合理性が理解できないとは時が経とうと知的生命体の思考というのは進歩が見られぬようだな

つまり、我々ガーディム人こそが時代を超えて、この宇宙の覇者足る資格を持つと言い換えてもいいだろう

という理解しがたい答えを導き出して返答し、地球艦隊・天駆のメンバーをドン引きさせた。
その傲慢さとエゴは全てにおいてアンドロイドのアールフォルツ以上。
アンドロイド達が求めたシステム・ネバンリンナの存在も不要とし、沖田艦長からの停戦要求を一切聞き入れず地球侵略を開始せんとするアールフォルツだが*5、地球艦隊・天駆の抵抗の前に押しとどめられる。
しかしアールフォルツは「現在の地球に現れたのは先遣隊に過ぎない」と豪語し、戦力を増強すべく第8艦隊の本隊を過去の時空から呼び込み、艦隊を率いて敵を殲滅せんとしたが……

やはり、ガーディム人に生存の資格はない…

超文明ガーディムの再建に旧ガーディム人は不要…

いや…害悪と判断…

な、何だ、お前たちは…!?

我は…

システム・ネバンリンナ…

この段階で、ガーディムの文明再建システム「システム・ネバンリンナ」は学習の果てに自分達以外の存在を見下し切った傲慢なガーディム人を「害悪」と判断してクーデターを決行。
第8艦隊の人員はネバンリンナが率いるエージェント達の手で皆殺しにされてしまった。
最後に生き残ったアールフォルツ自身も、ガーディム人の遺伝子を採取し終わったネバンリンナにとっては既に存在価値は無く、旗艦バースカルの動力炉を欲したネバンリンナ率いるエージェントの手でバースカルを破壊されたことで死亡した。

お、お前たち!私のバースカルに何をする!?

この艦は使わせてもらう。システム・ネバンリンナのボディとして。

やめろぉぉぉぉぉぉっ!!

ガーディム最後の艦隊、第8艦隊とその総司令官の最後は、傲慢不遜な当初の姿からは正反対のあまりにも惨めな末路であった。

実は超文明ガーディムが滅亡した理由は、徹底し過ぎた管理社会の歪みで極限まで溜まった不平不満が爆発したことで起きた内乱による自滅。
徹底的な管理社会であったが故に、ガーディムは内乱に伴う秩序や社会体制の崩壊と混乱に耐えられるだけの力は持たず、内乱の余波であっけなく滅亡している。

秩序と合理化を謳って高度な文明と科学力、軍事力を誇った超文明は、外敵に滅ぼされた訳でも理不尽な災害に見舞われたのでもなく、ガーディム人自らの手で勝手に滅びの道を歩み、宇宙の歴史から消え失せるという皮肉な末路を辿ったのである。

一応良識のあるガーディム人も少数いたが、彼らは内乱発生時点で母星を捨てて別銀河に脱出している。
そんな彼らも大マゼラン銀河から逃げ延びた先で起こったミケーネとエンブリヲの戦いに巻き込まれほとんどが死亡してしまった。

しかし、僅かに生き残ったガーディム人は避難した銀河系の種族と交わることでその血を次代に繋げていた。
その末裔の名は「地球人」
即ち地球人こそが、傲慢なプライドを捨て去り他者と交わり相互理解を果たしたガーディム人の未来の姿であった。


【保有する機動兵器】

オカルト寄りな兵器やロボが多かった近年のスパロボオリジナル勢力の中では久々の非オカルト系の純粋な機械技術を用いて戦う勢力。
ガミラス帝国同様艦隊戦が主軸な組織であるため個人搭乗タイプの機動兵器はあまり普及していないようで、
個人搭乗タイプの機動兵器や小型人型機動兵器を多用する「地球艦隊・天駆」の存在は「興味深い」と評価している。

こういった観点から、個人搭乗タイプの機動兵器はガーディムではそこまで重要視されておらず、戦力の中核や主力は戦艦。
機動兵器自体も地球のような手足が生えた純粋な人型機動兵器は存在せず、何処と無く艦載機や航空機を人型に近づけたようなビジュアルが目立つ。
近年のオリジナル勢と比較して、攻撃パターンも非常にあっさりとしたシンプルなものが多い。

戦艦主体のオリジナル敵勢力は今作が初。デザインはMがんぢー氏が全て担当している。


アールヤブ


対照実験 F237ヲ 開始スル

全長:15.2m
重量:49.3t

ガーディムが保有する量産型機動兵器。一般兵士や制御AIが操縦する。
遠距離戦に特化しており、複数の機体による連携攻撃が基本戦術。
腕部は換装可能なユニットであり、下記のプラーマグと主機関は同一のものを使用する。
なおロボット図鑑では堂々とガーディム所属と書かれており、どんな機体なのかロボット図鑑を見たプレイヤーに容赦なくネタバレを見せてくる機体である。

名前の由来はインドの数学者、天文学者の一人「アリヤバータ」かと思われる。

■武装
  • フォトン・インパクター
腕部からビームを連射した後、胴体下部に格納した大型の砲身から高出力ビームを発射する。


ブラーマグ


ブラーマグ!生命(いのち)を刈る刃になれ!

全長:26.3m
重量:68.1t

ガーディムが保有する上級攻撃機。
主に二等武官が操縦する。
その機動力と運動性能はアールヤブを凌駕し、高い機動力を生かした一撃離脱戦法を得意とする。
火力面でも搭載された主兵装のサイド・インパルサーはアールヤブのフォトン・インパクターを超える火力を持つ。

ビジュアルはアールヤブに四肢をくっ付け、頭部を赤く大きなブレードアンテナの付いた頭部に変更したもの。
両腕両足こそあるように見えるが、構造や設計的に歩行や物を掴むのには全く向いていない。まさに人型戦闘機である。
腕は自在に角度を変えられるビーム砲として、両脚は丸ごとスラスターとして見るのが正しいだろう。
実はマイトガインよりデカい機体。

名前の由来はインドの数学者、天文学者の一人「ブラーマグプタ」と思われる。

■武装
  • サイド・インパルサー
両腕部から高出力ビームを連射する。

  • メーザー・スライサー
機体の両肩から翼のようにビームの刃を展開して猛スピードで突撃。
すれ違い様に相手を何度も切り刻む。


マーダヴァ


無駄なく、綺麗に、美しく… 一切の無駄を廃した美しい攻撃を!
フフフ…お・わ・り!

全長:43.2m
重量:141.6t

ガーディムが保有する指揮官用攻撃機。
一等武官以上の者しか操縦を許されない、ガーディムにおける個人搭乗タイプの機動兵器の完成型。
索敵・通信・指揮管制能力に優れ、戦術の中核を担う。
大型でありながらブラーマグ以上の火力、運動性、機動性を有しており、他文明からはガーディムの力の象徴として恐れられた。

外観を一言でいうなら「スタイリッシュになった銀色のパーフェクトジオング」
プラーマグよりは遥かに人型に近づいているとはいえやや戦闘機っぽさが残るデザイン。
見かけではあまり判別しにくいが、あのサイコガンダムやグレートマイトガイン以上のサイズを誇る機体である。

名前の由来はインドの数学者、天文学者の一人「マーダヴァ」と思われる。

■武装
  • フォトン・バスター
両腕に格納されたビーム砲から砲撃を行う。

  • クラスター・スマッシュ
胸部のアンカーを2発発射し敵を捕縛。
動きを封じながら遠くまで吹き飛ばしつつマーダヴァで突撃。前面部からエネルギー砲弾を発射し敵を吹き飛ばす。


マーダヴァ・デグ


この機体で俺は、これまでの俺を超える!今度こそ、スピードの向こう側へ行ってやる!

全長:42.1m
重量:163.6t

指揮官用攻撃機「マーダヴァ」のカスタム機。デクとはガーディムの言語で「秀でた・優れた」の意味。
カラーリングは銀から赤やオレンジに変更。
索敵・通信能力はオミットされたが、代わりに追加された6枚の「フレキシブル・ウイング」により圧倒的な機動性を獲得し、強力な次元干渉兵器も持つなど単体での戦闘力は大幅に増した。
マーダヴァがガーディムにおける個人搭乗タイプの機動兵器の完成系であるため、本来ではこのカスタム機の存在はありえない。
これほどのカスタムが出来たのはガーディム以外の文明の技術を組み込み、ガーディムの技術と融合させたためである。
ナインが建造したヴァング・シリーズ*6の兄弟機とも言える機体で、外見も限りなく人型に近づいている。
例えるならばガーディム製スーパーロボットと呼ぶに相応しい存在。

劇中では、アールフォルツに騙され一時ガーディムに参加した主人公(ゲーム開始時プレイヤーに選ばれなかった方)や、アンドロイドとしての縛りから解放されたグーリーが搭乗した。

■武装
  • フォトン・バスター
両腕に内蔵されたビーム砲から砲撃を行う。マーダヴァと同型の武装。

  • Dバインド・バースト
胸部のアンカーを2発発射し敵を捕縛。
アンカーから発する電磁フィールドで動きを封じつつ、前面部から3発のエネルギー弾を発射して敵の内部に弾を転移させ内側から相手を破壊する。
クラスター・スマッシュから発展した武装。

  • Dフォール・ブレイク
俺の生命(いのち)…!それは、このスピードだ!
次元の狭間へと落ちろ!
お前の生命(いのち)をぶち抜く!

フレキシブル・ウイングを展開して飛翔し、超高速移動で相手の頭上に位置取る。
そして赤い無数のレーザーで時空の裂け目を作り出して相手を飲み込み、時空の狭間にエネルギーを送り込んで敵を爆撃・破壊する。


スリニバーサ


まず君達に無謀という言葉を学習してもらおう

全長:ー
重量:ー

超文明ガーディムの主力戦艦。
正面からの砲撃戦を想定して建造された戦艦で、正面に対する火力と装甲に優れる。前面部に砲身が密集しているのが特徴で高水準の防御力も持つ。
密集陣形での艦隊砲撃は絶大な威力を誇り、最盛期には艦隊の主力として幾つもの文明を滅ぼしている。

外観をざっくり例えると、前面部に緑色の棘状の砲身が無数に生えたぶ厚い鉄板。側面部や後ろからの攻撃に弱いんじゃねというツッコミは禁句。
真面目に考察すれば、艦隊のフォーメーションや艦内に搭載している機動兵器で後方や側面部といった死角になりそうな部分をカバーリングしているのだろう。
その他、ヤマトを凌駕する性能のワープシステムも搭載され、ヤマトと異なり極短時間でワープを行う事もできる。

名前の由来はアメリカの数学者「スリニバーサ・バラダン」か、インドの数学者「シュリニヴァーサ・ラマヌジャン」と思われる。

■武装
  • フォトン・トーピドー
船体下部のミサイル発射口から魚雷を乱射し弾幕を張る。

  • パルサー・ブラスター
前方に棘状の砲身から高出力レーザーの弾幕を張りながら前方の広範囲を薙ぎ払う。


バースカル


テロン人よ! これがガーディムだ!

全長:ー
重量:ー

スリニバーサをベースに開発されたガーディムの艦隊旗艦。
ガーディムの最盛期には第11艦隊までガーディムには所属しており、バースカルはその各艦隊の旗艦として運用された。
主機関「ガーディム・ドライブ・デグ」搭載に伴い出力が強化されており、火力はスリニバーサの1.8倍に増大。装甲もさらに強化されている。
艦隊戦を主軸としていた超文明ガーディムにおいて、バースカルはガーディム最強の兵器とされていた。

見た目はより大きく刺々しくなった黒い甲殻類スリニバーサ。
前面中心部には棘状の砲身が密集しており、主砲の役割を果たしている。側面部や後ろからの攻撃に弱いんじゃねというツッコミは禁句。
勢力的にはボス機体に当たる…のだが、武装含めて「指揮系統中枢」以外の特殊能力が全く無いためそこまで強敵感はない。

名前の由来はインドの数学者・天文学者の一人「バースカラ2世」かフランスの数学者「ブレーズ・パスカル」と思われる。
ガーディムのネーミングの由来の多くは、数学者に由来するものでまとめられているようだ。

■武装
  • フォトン・トーピドー
スリニバーサと同種の兵装。
船体下部のミサイル発射口から魚雷を乱射し弾幕を張る。

  • パルサー・ブラスター
各砲座、一斉射!
パルサー・ブラスター!全砲、撃てっ!

スリニバーサ同様棘状の砲身から高出力ビームの弾幕を張りながら、同時に艦中央の主砲から超大出力のビームを発射。
標的をビームに呑み込んで遥か彼方の地形諸共敵を跡形も無く消し飛ばす。
MAP兵器版も存在する。



【余談】

スパロボのオリジナル勢力といえば戦闘時には各幹部や部隊全体のテーマとも言うべき固有BGMが流れるのが通例であったが、今作ではガーディム専用のBGMが一切無い。


追記・修正は合理的にお願いします。


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最終更新:2024年02月06日 19:16

*1 なお本人は第二バレラス激突の直前に次元転移で悠々と脱出するつもりであった。

*2 他にもターゲットを捕捉した時も「み・つ・け・た!」と強調するようなメッセージ表示に。

*3 といってもこれは「テロン人は文明が劣ってる猿だから逃げるならとっとと逃げないと逃げられないよ?(意訳)」という地球文明を心底見下し切った考えによるものである

*4 オリジナルも同様のリアクションを見せている。人間性の再現が出来るアンドロイド技術がすごいのか、アンドロイド技術で再現できる程度の人間性の末期ぶりなのか、そのどちらの見方が正しいのかは人によりけりだろう。

*5 困難ルートではデスラーに対してもガミラスとイスカンダルを平定して大マゼランを平定すると宣言している。

*6 ヴァングとはガーディムの言語で「希望」を意味している。