(`・ω・´)「もし異論がなければ、これにSCP--を割り当てよう」

(´・ω・`)「そこは昨日埋まってしまった」

(´・ω・`)「えっ」

(´・ω・`)「まあ別の番号でもつけとけ。SCP-2719とかどうかな?」

(´・ω・`)「そこも埋まったが」

(´・ω・`)「呼び名が決まらないな」

(´・ω・`)「しょうがない、適当に渾名でもつけようぜ」

(´・ω・`)「なら『Di Molte Voci(伊:数多の声から)』ってどうかな」




登録日: 2017/02/27 Mon 00:07:06
更新日:2024/04/06 Sat 10:51:00
所要時間:約 7 分で読めます




ああ、私は財団職員の一人だ。すまないね財団アニヲタ支部の職員の諸君。

Di Molte VociはSCP Foundationに収容されているオブジェクト(SCiP)である。
…多分ここで多くの人は「ん?あれSCiPって番号で呼ばれるんじゃなかったっけ?」って思ったと思う。

このオブジェクトは、Di Molte Vociと呼ばれている。何故か?上の寸劇の通りである。
こいつに何かしら、公式な呼び名を与えようとしても、何かしらのイベントによってそれが変更されてしまう。
これはDi Molte Vociの呼び名だけではなく、他のことにも適用されるのさ。

例えば、このオブジェクトにはオブジェクトクラスも、特別収容プロトコルも存在しない
もっと言えば、このオブジェクトは「報告書」自体が存在していない。報告書を書いても、それが後述の理由で「影響を受けてしまう」からなんだ。

ここにこのオブジェクトを収容するまでの間にあった研究者たちのやり取りの記録がある。
まあ公式なものではないんだが、そもそも「公式なもの」がないんだ。

概要

このオブジェクトは、カーニバルガラスで作られた道化師のマスク、だ。
金属光沢のある虹色に光るガラスだと思ってくれ。それで道化師のマスクができている。

このオブジェクトは、自分について言及した文章に影響を及ぼす。
といっても書いたらどこかへ連れて行かれるとか、執拗にかつて図書館であったと言及を強いられるということはまあない。
単純に、「文章の内容をランダムに他のそれと入れ替える」とか、「文章に書いてある記号が揃えられる」とか、まあそういうものだ。
でだ、このオブジェクトが影響するのは、「権威付け」された文章である、もっと言うなら「合意に基づいた」文章がアウトのようだ。
しかも参照閾値は4。どういうことかって?まず権威付けされた文章を書くだろ?それについて言及した文章を書く。これが参照閾値1だ。
それを更に参照する。参照する。そしてまた参照すると参照閾値4だ。つまりここまでの文章は影響を受けるわけだ。
310m程度近くにマスクがないなら少し弱まるようだが。

これを収容しないといけないわけだが、当然ながら「特別収容プロトコル」を制定することはできない。
決めても変えられてしまうからだ。
だから代わりに、「網膜スキャンを使って仮面をパスワードを必要としない金庫にしまう」ことにした。
そして影響を受けた文書も適切に隔離し、サイト全体にクラス-3G記憶処理を施すことにした。
どうもスクラントン博士*1曰く今回のDi Molte Vociのようなミーム複合体に対して
試すテストケースとして考えているようだな。

発見経緯

このオブジェクトは休暇中のエージェント・コジョがたまたまアンティークショップで発見したものだという。
他のアンティークとは名ばかりのガラクタには値札があったが、その仮面は物々交換を望んでいた。
エージェント・コジョはそのアンティークショップの老婦人に払う代わりにランチをおごってそれを手に入れたわけだ。

ただし、エージェント・コジョはあくまで珍しい風変わりな宮廷道化師だなとしか考えていなかった。
彼はインスタグラムに写真をあげていたのだが、そのマスクについてのいくつかの感想を彼の母に伝えようとしたとき、
異常性を見つけた。

彼はいくつかをピックアップする代わりにインスタグラムの全てのコメントを読んでしまったのだ。

その時はエージェント・コジョは疲れのせいにして、そのまま電話を切った。
その後、エージェント・コジョは職場にもマスクを持ち込んだが、そこでもやっぱりおかしいことが起きたので、
エージェント・コジョはこれを財団が収容すべきだと考えた。

後に調査をしたところ、店は閉まっていたが、エージェント・コジョに預けた老婦人、グレタ・ランザはどうも仮面の性質を知っていたようだった。
それによれば、どうやらどこかの学校で仮面を見せびらかしていたら、そこのデータベースが影響を受けたようである。
そこでグレタ・ランザはエージェント・コジョにある種預けてほっとできたのかもしれない。
グレタ・ランザは最近は近所の人も動向を知らないという。

まあ、つまりエージェント・コジョはある意味で、この仮面の取り扱いを『間違った』わけだ。
本当ならばその異常性がわかった時点で、財団に持ち込むべきではなかったんだろう。
まあ、財団エージェントとしては、異常物品を財団で収容させよう、というのは当然のことだから別に彼を責めるつもりはないがね。
実際、財団はなんとかこれを金庫に入れているわけだし、下手に外にあるよりはマシだろうさ。



余談

「SCP-2864」のナンバーのアドレスにDi Molte Vociが登録されているが、
別にこれは財団世界でもSCP-2864にされてるわけではなく、
「ジョークオブジェクトではない以上ナンバーを当てはめる必要がある」ためナンバーを一つ潰して登録しているのだろう。
実際、原文では上の『もし異論がなければ、これにSCP--を割り当てよう』の部分は、
適当な本部サイト上に登録されたSCPのナンバーが(-ARC、-D、-EX含むが情報災害系オブジェクトと-J、001提言は除く)ランダムに表示される。
この記事では再現のため、アニヲタWikiの接続者数をナンバーに置き換えて表示している。

形式がTaleそのものだが、れっきとしたオブジェクト記事である。
簡単に言えば、「正式な報告書を残すと書き換えられてしまう(情報災害)ので、研究者たちのやり取りを残してあるマスク」ということである。
上の文章も、そのやり取りの記録を見ながら喋っているとでも解釈してくれ。


CC BY-SA 3.0に基づく表示
Di Molte Voci
by Communism will win
http://www.scp-wiki.net/scp-2864
http://ja.scp-wiki.net/scp-2864

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最終更新:2024年04月06日 10:51

*1 スクラントン現実錨のスクラントンだな