甲鱗のワーム/Scaled Wurm(MtG)

登録日:2009/05/27 Wed 21:27:24
更新日:2024/04/14 Sun 21:46:12
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氷河期のあいだに繁栄を極めたこのワームは、キイェルドーのありとあらゆる人々にとって恐怖の的だった。

その巨体と凶暴な性格が呼び起こした悪夢は数知れない―甲鱗のワームはまさに、氷河期の災厄の象徴だった。

―「キイェルドー:氷の文明」



甲鱗のワーム/Scaled Wurm (7)(緑)
クリーチャー - ワーム(Wurm)
7/6

マジック:ザ・ギャザリング(通称MtG)における人気カード。
初出の『アイスエイジ』でパッケージ絵を飾った。

どれくらい人気があるのかといえば、MTGにしては珍しいAAが作られ、
2ちゃんのTCG板にもスレが立ち、更には個別Wikiまで作られるほど。

他のTCGで例えるならば遊戯王青眼の白龍、もしくはそれ以上の存在。

ファンからの愛称は『甲鱗様』。

まず目を引くのがパワー7。
MtGにおける各プレイヤーのライフは20である。
つまりこのカードで3回相手を直接攻撃をするだけで勝利することができるのだ。

よって甲鱗で攻撃すると、
防御側は自分のクリーチャー(場合によっては重要なクリーチャーかもしれない)を犠牲にしてブロックするか、
7点ものダメージを受けるかの選択を強いられることとなる。

だが、いくらパワーがあっても相打ちになってしまっては話にならない。
しかし甲鱗様はタフネス6。

これだけたっぷりあれば強化無しでも相手のクリーチャーを一方的に惨殺し、強烈なアドバンテージを得ることが可能。

更に『巨大化』を使えば、P10/T9となり、もう手がつけられない。
『樫の力』ならP14/T13。対戦相手の衝撃は計り知れないものがあろう。

甲鱗様はバニラ(能力無し)である。
能力無いの?と拍子抜けした人もいるかもしれない。しかし、能力があるから強いというものではない。

例えば『リバイアサン』というP10/T10に加えてトランプル(防御貫通)を持つ大型クリーチャーがいる。
だが、一回攻撃するごとに島が四つも減るので非常に燃費が悪い。

能力が無いということはシンプルであるということ。
シンプルなものほど強いのは言うまでもない。
青眼の白龍とか。

面倒な能力が無くて分かりやすいので初心者にも使いやすい。

また緑のシングル・シンボルである。
玄人向けの多色デッキでも緑マナ1色あれば使用可能というのが嬉しい所。

そしてレアリティはコモン(入手難易度最低)、
「コモンって雑魚カードじゃないの?」と思うかもしれないが、かの「稲妻」など、非常に強力なカードもコモンに存在する。
勿論本物の甲鱗様ではなくよく似たレプリカではあるが、手に入れやすいという利点もあり、さらにパウパーで使用可能となっている。

甲鱗様の類似品に『超大なベイロス』があるが、こちらはアンコモン。おまけにスターターでしか出てこない。

もしあなたがこれからMtGを始めようと思うなら、是非このカードを使ってみて欲しい。
きっと多くのことを学べるはずである。





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月姫は甲鱗のワームのパクリ
















さて、良いことづくめの様に書いたが実はそんなにすごいものではない。

MtG初心者がよく勘違いすることだが、単にパワーとタフネスが大きければ強い訳ではない(特に初期の遊戯王経験者にその傾向が強いと思われる)

むしろマナコストが重く、大きい以外の除去耐性が無いため、甲鱗のようなただ大きいだけのクリーチャーは弱い。
「破滅の刃」の一枚で壊れる

これを知らない初心者がカモにされ『極楽鳥』とトレードしてしまった話は有名、
というより最早都市伝説化している。

「君のその0/1の鳥と私の7/6の甲燐のワームを交換してあげよう。その鳥は1マナ払って出しても殴れず、マナを作るだけだ。
 甲燐のワームは7/6で殴りに行ける。レアリティが違う?レアにだって弱いカードはあるさ。預言する妖術使いのようにな。」

これは極楽鳥のP/Tが0/1で初心者が弱いカードだと勘違いするため。
だが実は1マナと軽く、好きな色のマナ1点も増やしてくれるうえ、巨大化辺りと組み合わせれば殴ることもできる緑では貴重な飛行ももつ良カードである。
なお、こういった価値を偽ったいわゆる「シャークトレード」は悪質な行為なので行ってはいけない。


人気があるのも、上記のネタ方面での割合が強い。
しかし、このカードを1枚差しの青BtBがレガシーの大会で準優勝したり、
オースやバベルなど、様々なデッキにおいて1枚差しした例があり、単なるネタキャラ止まりはしていない。


マナコストの重いクリーチャーだが解決方法はいくらでもある。

例えば第9版の『はびこり』によるマナ加速とは相性抜群である。(おまけに2枚ともコモンなので揃えやすい)

また、ウルザトロンや緑をタッチした場合、緑のシングルシンボルのメリットを活かすことができる。


そう、決して甲鱗のワームは使えないカードではない。全ては私たちの腕に、甲鱗をどれだけ上手に使ってあげるかにかかっているのだ。


クリーチャー破壊スペル?
慈愛でカヴァー


森渡り?
無礼千万な!


プロテクション(緑)?
貴様、それは甲鱗様への宣戦布告と判断する。


また、2014年6月6日発売の、多人数ドラフト用特殊セット「コンスピラシー」に見事再録なされた。以前コモンなので、リミテッドのフィニッシャーとして活躍できるだろう。
色拘束以外ほぼ上位互換の《ペラッカのワーム》なんてものが同じパックに収録されてたり、《極楽鳥》がコンスピラシーに収録されてないのを惜しむ声もある。

しかしコモンかつコンスピラシーという特殊なパックゆえにコンスピラシードラフトにおいては上述のペラッカのワームより優先的にドラフトする価値がある場合が多々ある。
それはコンスピラシーにしか入っていない計略カードである。これらの中にコモンで「事前に決めておいた呪文は」の後に「マナコストが1減る」や「速攻を得る」や「クリーチャーは+1/+1カウンターを追加で置かれた状態で出る」という特殊な効果を発揮するのがあるのである。
これらはコモンで多数出るクリーチャーも意外な強さを発揮するという狙いで入れられたと公式で言われており、多数甲鱗のワームをドラフトしてこれらもドラフトしておくと恐るべき強さで甲鱗様が降臨する場合が起こるのである。

アイスエイジ版のイラストやフレーバーテキストでないのを悲しむ人々も多かったが、法的な問題でできないので諦めよう。いずれにせよ、第9版から約9年ぶりの再録であり、皆甲鱗様の御姿を再び拝めて感涙しているのは確かである。


◆余談

『島魚ジャスコニアス』とは宿命のライバル。
なぜならジャスコニアスは6/8なので甲鱗との戦いでギリギリ勝ち残られてしまうからである。

◆関連カード

ここで逢ったが100年目。氷河期の因縁を晴らしてくれようぞ。
古鱗のワーム/Elderscale Wurm (4)(緑)(緑)(緑)
クリーチャー ― ワーム(Wurm)
トランプル

古鱗のワームが戦場に出たとき、あなたのライフの総量が7点未満である場合、あなたのライフの総量は7点になる。
あなたのライフが7点以上であるかぎり、あなたのライフの総量を7点未満に減少させるダメージは、
代わりにあなたのライフの総量が7点になるまで減少させる。
7/7
なる亜種も登場した。

そして、2021年の『イニストラード 真紅の契り』では……
棘茨のワーム/Bramble Wurm (6)(緑)
クリーチャー ― ワーム(Wurm)
到達 トランプル

棘茨のワームが戦場に出たとき、あなたは5点のライフを得る。
(2)(緑),あなたの墓地にある棘茨のワームを追放する:あなたは5点のライフを得る。
7/6
……これでアンコモンである。
確かに、甲鱗様よりもコストが(1)軽く、到達とトランプルという戦闘面で優秀なキーワードを2つ持ち、
しかも墓地に落ちても回復できる甲鱗様の完全上位互換に見える。
実際、構築ではこれでも重いもののリミテッドでは八面六臂の大活躍である。
だがしかし、こいつにはその偉大さを説明してくれるフレーバーテキストがない。
テキストが長いカードはもちろん最強に見えるので、棘茨は甲鱗様には及ばない。
その上アンコモンで甲鱗様ほどの出やすさ(=慈愛)はなく、初心者の皆さんにその力を容易く貸してはくれない。
最後に、こいつは能力を持ってしまったがゆえに《ムラガンダの刻印》や《忍耐強い教授、ラクサ》といったバニラサポートも受けられないのである。
ここまで読めば、甲鱗様がいかに新参者よりも偉大かは確定的に明らかだろう。

近年ではあるDCGでもステータスがそっくりの後輩が登場。
設定も氷河期に関わる等、何かと共通点が多い。


スレマゲドンのあいだに繁栄を極めたこの項目は、アニヲタWikiのありとあらゆるWiki篭りにとって追記・修正の的だった。

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最終更新:2024年04月14日 21:46