食玩ブーム

登録日:2016/12/18 (日曜日) 15:43:30
更新日:2023/05/26 Fri 02:57:19
所要時間:約 14 分で読めます




食玩とは、食品玩具の略称。つまりスーパーやコンビニなどで発売されているお菓子付き玩具の事。
この食玩が、2000年代初期から中頃にかけて社会現象と言えるほどのブームになった事がある。それが食玩ブームである。


【歴史】

そもそも食玩とは読んで字のごとく玩具、つまりメインターゲットは子供(および大きなお友達)である。
よってブーム以前の商品は、その造形ももいかにも玩具然とした物が多かった。

そんな時、奴は彗星のように現れた

1999年9月の事である。 フルタ製菓から新たな食玩シリーズ、『チョコエッグ』の日本の動物シリーズ第一弾が発売されたのだ。
それまでの食玩とは一線を画す造形クオリティ、食玩=キャラクター物という常識を覆した「動物」というチョイス、
コレクション性を高めるシークレットの存在といった要素が相まって大ヒット商品となった。
そのヒットはそれまでフィギュアに関心を持たなかった一般曹をも巻き込んだブームとなり、
各社から多種多様なハイクオリティな食玩が発売されるに至った。

また当時全国的にもコンビニが都市部のみならず地方にも続々進出していたことから、コンビニ各社が大量に仕入れ店頭に並べられる環境も整いつつあったことも
この食玩ブームが巻き起こった重要な要素の一つだったとされている。


【用語】

かつてない食玩ブームの到来により、様々な新語が生まれた。
その代表的な物を紹介する。

・サーチ

棚に陳列されている商品の中の、どれに自分が欲しい物が入っているか調査する事。
食玩の多くは、中に何が入っているか分からないブラインド式で販売されている。
振った時の音、持った時の重さ、触った時の箱の膨らみ、初期位置(配列)などが判断材料となる。
特に重さは重要で電子はかりで計測し、掲示板や愛好家同士でお目当てアイテムの重量の情報交換が盛んだった。
また商品の中でひとつだけ賞味期限がズレているものがある場合、シークレットである可能性が高い。
一方、過度に商品をいじくり回したせいで外装や中身を壊してしまう恐れや
サーチしない人との格差が生まれるとして否定的な意見も多かった。
場合によっては犯罪行為になる恐れもあり*1、横から見てもあまり気持ちのいい行為ではないため、
専門ショップを始めとする多くの店舗でサーチ禁止になり、商品の配列を変える、テープで外装を開けられないようにするといった対策もされるようになった。
メーカー側も重りを入れる、中身が動かないようにする等の対策を講じている。

・アソート

BOXパッケージやカートンに封入される種類の内訳や配置の事。
特に1BOXに1個しか入っていない種類は「レアアソート」「ワンパーアソート」と呼ばれ、争奪戦の対象になることがある。
商品によってBOXパッケージ開封時の箱の初期位置が特定アイテムに固定されていることがあるため争奪戦になることもしばしば。
それを知っている店などでは特定のものだけ抜かれ売れ残るのを防ぐために入れ替えることもあった。

・ダブリ

既に自分が持っている商品を引き当ててしまう事。
意を決して大量購入した結果、全てダブリだった時の絶望感は半端じゃない。

・トレード

自分がダブった商品と、相手がダブった商品で、お互い持っていない商品を交換する事。
ブーム当時は、ネットの掲示板で自分の情報を公開してトレードするのが流行した。
ただし、トレードでシークレットを入手できる可能性はほぼ皆無と言っていい。

・大人買い

財力に物を言わせてまとめ買いする事。箱単位での購入も当たり前。
コンプリートしたい時やシークレットをサーチするのが面倒な時に行われる。
もっとも、サーチよりも遥かにマシな行為であり、サーチ済みの商品を買いたくないがために大人買いする人もいた。

・コンプリート

ラインナップされている商品を全て揃える事。
自分の欲しい物だけ買おうと思ったら、中々引き当てられず、気づいたらコンプリートしている事も珍しくない。

・シークレット

ラインナップに写真が掲載されておらず、引き当てるまで何が出るか分からない商品の事。
混入率は箱を買えば必ず入ってることもあればカートン1など極めて低いこともあり、数千円から一万円近い値段で取引される事も。
他のラインナップとは趣の異なる一風変わったネタが選ばれることが多いが、時には通常ラインナップに入れても人気なものをシークレットにする鬼畜なこともあったりする。

・バージョン違い/色違い

通常ラインナップとは一部異なる商品の事。
箱に明記されているものもあればシークレットになっているものもあったり、時にはシークレットよりも封入率が低く人気だったりシークレットのバージョン違いがあるなど幅広い。
酷いものではトレフィグで1/600のバージョン違いというものまで存在した。
塗装コスト削減策としてクリアバージョンを入れるというのもよくあった。封入率が低いレアアイテムであっても、所詮は未塗装であることから大抵は人気が低い。


【主な食玩】

ブーム当時は動物、特撮、アニメ、乗り物、実在の人物など、様々なジャンルの食玩が登場した。
ここではそのシリーズの一部を紹介する。

注:この項目は記事製作者の趣味により、特撮に偏っています。
  ほかのジャンルに詳しい方は、遠慮なく追記・修正をお願いします。
  特に記事製作者はミリタリー系、女性向け、ぷちサンプル系に疎いので、編集してくださると助かります。
  また、ブーム当時に発売された菓子が付属しないトレーディングフィギュアは記載しません。あしからず。

・チョコエッグ/チョコQ

食玩ブームの火付け役となったシリーズ。発売元はフルタ製菓。卵型チョコの中にフィギュアの入りのカプセルが入っている。
上記の日本の動物シリーズの他、ペット、戦闘機、機関車、ディズニーキャラなどが登場。
チョコQは後述のようになった関係上海洋堂が独自に立ち上げた別ブランド、それゆえフルタではなくタカラから発売された。

・ワンダーカプセル/キャラエッグ

チョコエッグ同様の卵型チョコの食玩。発売元はバンダイ。
キャラエッグは派生シリーズで、卵型カプセルの中にコイン型チョコ、またはラムネが入っている。
デジモン、ウルトラマン、戦隊シリーズ、仮面ライダーなどが発売された。

・チョコラザウルス

恐竜をはじめとする古代生物をフィギュア化したシリーズで、三角柱型の独特なパッケージが特徴。発売元はUHA味覚糖。
海洋堂の十八番である恐竜なだけあり、そのクオリティは折り紙付き。
ただし、一弾ごとのラインナップが多く、コンプリートが困難なのが難点。
第三弾のシークレットであるティラノサウルス(旧復元)は、ネタのチョイスやクオリティの高さから人気が高いが、
これだけでも色違いで3種類もあるため、コンプリートを更に困難にさせ、コレクターを苦しめた。
現在は原型がエフトイズ発売の「恐竜マスター」やカプセルトイに流用されている。

・妖怪シリーズ

鳥山石燕の妖怪画などを元に様々な妖怪たちを立体化したシリーズ。発売元はフルタ製菓。
これまた造形に定評のある海洋堂制作であり、竹谷隆之氏が中心となって制作。
ちなみに竹谷氏はチョコエッグのコレクターだったので、海洋堂から原型製作を依頼されたといういきさつがある。
第1弾の「百鬼夜行妖怪コレクション」はヴィネット形式のフィギュアで、妖怪+情景ベースという情報量の多い組み合わせは妖怪マニア泣かせの一品。
第2弾では「妖怪根付」シリーズが発売。前作よりもサイズ&価格ダウン、妖怪フィギュアのみ形式になった。
また食玩ではないが、竹谷氏製作の海洋堂妖怪シリーズでは、百鬼夜行絵巻の妖怪フィギュア+妖怪トランプがセットになった「陰陽妖怪絵札」シリーズが発売されている。
妖怪「空亡」の元ネタはこのトランプからと言われている。

・名鑑シリーズ

特撮作品のワンシーンを再現したジオラマの食玩。ウルトラマン、仮面ライダー、ゴジラに大別される。発売元はバンダイ。
まさに劇中をそのまま切り抜いたかのようなリアルさがウリで、特にゴジラ全集は
怪獣ガレージキットでその名を知られる酒井ゆうじ氏が原型を担当した事で大きな反響を呼んだ。
これがコンビニで普通に買えたんだから恐ろしい時代である。
名鑑シリーズの中心であったウルトラシリーズは、まず立体化されないような怪獣、宇宙人が続々登場し、
さらにシークレットにはウルトラQのキャラという素晴らしい内容。
次にどんなマニアックな奴が来るのかと心待ちにしていたファンは多かったが、残念ながらウルトラマンAのシリーズにて終了してしまった。
余談だがウルトラ怪獣名鑑は、記事製作者が知る限り、昔ながらのプチプチの小さいラムネが付属した最後の食玩である。
2019年には当時のスタッフが再結集し復活を果たした。

宇宙大作戦チョコベーダー

世界各地で実査に目撃された宇宙人やUFOを、マンガ風にディフォルメした食玩。発売元はトミー。
幅広く商品展開していたシリーズであり、アニメ化されたり、ゲームも3作出た。
特にゲームボーイアドバンス用のRPGは神ゲー。詳細は個別ページを参照。

・特撮大百科シリーズ

マニアックな特撮作品を数多くラインナップした食玩。発売元はイワクラ。
大映、日活、松竹の作品群をひとまとめにしたシリーズと、東宝怪獣シリーズの2つに大別される。
1個500円と食玩としては高価なだけあり、造形・ボリューム・塗装のどれも申し分なし。
ただし、初期シリーズには無彩色のクリア版という、あからさまな水増し要員のハズレアイテムが混入していた。
途中からモノクロ色彩版に変更されたが、やはり水増し感は否めない。
本シリーズには付属する紐を使ってツリーなどにぶら下げるという、誰得なディスプレイを推奨していた。
この飾り方をしていた人はどれだけいるのだろうか?ちなみに記事製作者はゴロザウルスを天井の電気の紐からぶら下げていました。
2005年には東映特撮のシリーズも予定されていたが、諸事情により発売中止になってしまった。
東映チャンネルとのタイアップ企画までやってたのに・・・
なおイワクラはその後キャストに特撮大百科に関係する一切の権利を譲りweb完全受注生産による特撮大百科シリーズを継続している。

・FFクリーチャーズ

ご存知RPG人気シリーズの召喚獣やボスなどモンスターをピックアップして立体化したシリーズ、FFはキャラ以外の立体化は多くなかったため
このシリーズで数多くのモンスターが立体化された。
なかでも第2弾のバハムートはそのサイズに反し塗装の細かさから通常ラインナップながらシリーズでも屈指の人気を誇った。
だがこちらもメタル調に2色だけで塗装されたものや、特撮大百科のようにクリスタルいう名のクリアといった商品が色違いとして封入されたためバハムートの価格も高騰した。
第5弾で終了しブリスターフィギュアシリーズに移行、更にトレフィグとして復活を果たしたがこちらも第5弾で終了している。
なおシークレットは食玩ではようじんぼうやリュック以外はそこまで人気商品は選ばれなかったが、トレフィグでは魔導アーマーエクスデス
オメガ*2といった人気モンスターはシークレットだったためこれらは高値で取引されている。

・タイムスリップグリコ

食玩の元祖ともいえるグリコが、海洋堂とタッグを組んだシリーズ。もちろん発売元は江崎グリコ。
古き良き昭和の暮らしや、懐かしのTVのワンシーンをフィギュア、およびヴィネットで再現している。
鉄人28号のアクションフィギュアは、食玩サイズとは思えぬ可動で好評を博した。
ウルトラマンのヴィネットは後の「シン・ウルトラマン」に参加した樋口真嗣や竹谷隆之が参加している。
他の食玩に比べて「食」の占める割合が大きく、しかも満腹になりやすいキャラメルであったため、コレクターを苦しめた。

・ワールドタンクミュージアム

海洋堂がタカラと提携して発売していた1/144規格の戦車物シリーズ。通称WTM。
造形師に海洋堂でメカ造形において屈指の実力を誇る谷明を起用し低価格ながらハイクオリティな造形が好評を博し
後述の1/144シリーズなどミリタリー物の1/144スケール食玩の先駆けとなった。
だがシリーズ後期には前期で人気だった車両を連発したことで人気が低迷、更に後述のブームが終焉をきっかけに10弾は発売中止となりタカラのWTMは休止となってしまった。
現在はエフトイズと提携してスローペースではあるものの『ワールドタンクミュージアムキット』が発売されており造形師は引き続き谷明が担当をしている。

同時期に城模型などで定評のある童友社から『マイクロアーマー』という戦車をメインに据えたシリーズも展開していたがこちらは菓子が付いていなかったため
食玩ではないことから量販店には並ばなかったが、コンビニではWTMと並んで取り扱っている店舗も少なくなかった。

・1/144 ワークショップシリーズ

発売開始は2004年と食玩ブームの中では遅く参戦したエフトイズから発売されたシリーズ。
発売から15年以上経った現在でもシリーズを提供し続けている数少ない食玩である。
当初は立体化の少なかった航空機を提供し競合相手との差別化を図っていたが競合相手が撤退した後は日本軍機では零戦21型など
有名どころを提供しつつも五式戦前期型など他スケールでも立体化に恵まれない航空機を提供し続けており人気を博している。
だが食玩ブームの頃から続いてるシリーズだけあって年々単価は上昇を続けており初期の頃ではほぼ完成品だった
商品も今日では塗装済み・半完成品にして単価上昇を抑えるなど企業努力を行っている。

同じ144スケールのハイスペックシリーズというガムが付かないため食玩扱いにならずイオンなどの量販店には流通せず模型店などを主に流通させたシリーズもある。
ホビコレ限定で特定キットと特典デカールを付属することも多く中にはロイ・フォッカー機の元となったVF-84『ジョリーロジャー』F-14
導入できなかったF-22を自衛隊機に再現できる特典など人気なものが選ばれることがありその場合の競争率は高い。

このシリーズに対抗してか童友社から1/144スケールの『現用機コレクション』として自衛隊・米軍機を中心に展開していた。
第23弾に封入された用紙に24弾発売とラインナップまで告知されていたが何らかの事情により発売中止になりその後音沙汰なくなっている。

世界の艦船

タカラが展開していた艦船と銘打って入るものの潜水艦を中心に展開していたシリーズ。
艦船キットで定評のあるピットロードが原型を監修したため多くは1/700で立体化。
実在艦のみならず当時OVAでサブマリン707RがリリースされていたためOVA版の707や青の6号などの創作物の艦船もラインナップされた。
更に派生シリーズとして同じように1/700をメインにした『世界の翼』や1/144でWW2のドイツ軍機に絞った『世界の傑作機』などが展開されたほか
ブーム当時にリメイク版の日本沈没や亡国のイージス、男たちの大和など邦画に登場した車両や艦船、航空機なども立体化している。

派生シリーズ中でも『連斬模型』は1/700で戦艦大和を7つに縦切りにしたフィギュアであったが値段に対しその完成度の高さか好評を博し
男たちの大和が映画化された際には初版で天一号大和・武蔵・シークレットで竣工時の大和だったのを捷一号・天一号・シークレットでA-150*3の3種がラインナップされた。
この連斬シリーズはその後もこんごう型護衛艦の架空艦「いそかぜ」や矢矧などの艦船も同スケールで登場している。
これを真似てタルガから鋼密度模型が発売されタイガー戦車やUボートが立体化され好評だったが、後述の理由からかこの2種しか出なかった。

・ぷちサンプルシリーズ

リーメントから発売されている食品サンプルなどを食玩にしたシリーズ。
単体で飾って楽しむ他、アクションフィギュアや美少女プラモデルと組み合わせられるものが多い。
緻密な塗装やクリアパーツを使用した再現度の高さから人気を博し、コレクターが存在している。
長期シリーズだけあって絶版品も多く、とんでもないプレミアが付いていることもしばしば。
現在はトレーディングフィギュアに形態を変えて販売されている。
基本的に均一アソートであり、未開封の箱を買えば全種ダブりなく揃うようになっている。


【主な販売企業】

当時の中国は人件費などの生産コストは安く済んだため、多くの企業がブームに乗り中国に工場を置き様々な商品を展開した。
ブーム終焉で大半の会社が市場から撤退したが現在でも食玩を提供する会社も存在する。
食玩ブーム時の動きのみならず、現在の動向も記述する。

◆フルタ製菓

食玩ブームの火付け役となったチョコエッグシリーズを発売した会社で、フィギュア製作を海洋堂に委託したことで
低価格ながらハイクオリティな食玩が話題になりこれを機に食玩ブームが始まった。
だがわずか2年後の2002年、海洋堂とのパイプ役であったフルタ製菓の元常務が、部下と共に退社し後述のエフトイズを
興したのをきっかけにフルタと海洋堂をつなぐパイプがなくなってしまい、また退社理由が事実上内輪揉めであったこと
更にこれ以前からフルタに不信感を募らせていた海洋堂の方から手を切ってしまい、ブームの火付け役であった海洋堂チョコエッグシリーズは終焉してしまった。
だがあくまで海洋堂との提携が解消されただけでチョコエッグシリーズ自体は存続し20年たった現在でも様々な版権キャラのチョコエッグを販売している。
なおFFクリーチャーズはスクエニが販売ルートを持っていなかったためフルタが販売を行っていた。

◆海洋堂

それまではガレージキットで一部のオタクにしか知名度を誇っていなかったが、前述のように火付け役となったチョコエッグシリーズの
造形を担当したことで一般世間にも認知されるほどの会社となった。
その後前述のようにフルタとの提携は解消されたが、チョコエッグシリーズで知名度は格段に向上しており、一時期は海洋堂ブランドというだけで
人気商品になるなどその後の食玩ブームを牽引した。

現在では培った技術を生かしてチョコエッグでも人気だった動物で有名水族館・動物園の代表的な生き物をピックアップしたガチャ、
各都道府県で代表的なものを立体化した限定ガチャなどのご当地限定ガチャでその手腕を振るっており人気を博している。
がその海洋堂も近年は経営が芳しくなく、また2020年にはコロナによって貴重な収入源でもあったワンダーフェスティバル*4が開催できなかった影響か、
三井系の投資会社と資本提携を結んだことから今後が注目されている。


◆エフトイズ

前述の元フルタ製菓の常務が部下と共に興した会社で食玩ブームから10年以上たった現在でも食玩を提供している数少ない企業。
最初は前述の1/144シリーズなど航空機のミリタリー物をメインに展開していたが、のちに艦船や戦車など幅を広げていき、今日でも乗り物メインに幅広く提供している。
現在は塗装済みのプラキットになっているが、水転写デカールが入っているなどかなり本格的なものになっており、パーツの小ささなどからスケールモデルよりも組み立て難度が高いものも存在する。
日本海軍艦艇シリーズ展開中に艦船創作物の人気に火が付いたことから艦隊これくしょん蒼き鋼のアルペジオハイスクールフリートなどの商品が出ている。
初期アソートが分かりやすいことで有名で、配列を入れ替えないスーパーなどでは人気商品やシークレットだけ抜かれることもしばしば。
シンカリオンにも力を入れており食玩でありながら完全変形、リンク合体可能、子供向けを考慮し中身が選択可能など好評。
長期にわたって展開しているシリーズもあるが、それゆえシリーズ終了したか…と思ったら数年後にでるというパターンも少なくなくユーザーをやきもきさせることも。


◆カバヤ

トランスフォーマーガムや勇者伝説ブレイブガムなどが有名で、ブーム以前からキャラ物を中心にいろいろと出していた老舗。また、オリジナルとしてほねほねザウルスやボークスと手を組んだデュエルナイツシリーズなどが有名「だった」。

しかし、2010年代後半を境に食玩事業を縮小、ほねほねザウルスなどのロングセラー商品を展開するのみとなってしまっている。


◆バンダイ

玩具では言わずと知れた大企業で食玩ブーム以前から強力な自社ブランドである仮面ライダーやガンダムなどの商品展開をしていたが
食玩ブームではそれ以外の分野にも手を出すなどしており幅広い食玩を提供していた。
大企業の生産能力を活用して生産コストを抑えることで、ハイクオリティながら単価が安い良質な食玩シリーズを
提供していたため現在でも高値で取引されている食玩が多く存在するのも特徴である。
現在もドラゴンボールやガンダムなどを中心に展開し好評なシリーズを多く抱えているが、近年では食玩なのにプレミアムバンダイ専売というのも時折見受けられ
ユーザーが納得するものもあれば批判されるものもあるため賛否両論である。
なお食玩という点はちゃんと守られており専売でもガムが付属し、サイズが大きいものではガムが3個付くということもある。


◆タカラトミー

現在でも主力の一つであるポケモンなどを出しつつ*5、海洋堂と提携しチョコQを展開、前述のように艦船などの大人向けなものも展開、邦画とのタイアップで作中に登場する
車両などのメカを商品化するなど非常に精力的に活動をしていた。
また、トランスフォーマーの簡易変形フィギュアを出したことも。
食玩ブーム期にトミーと合併しタカラトミーとなったことで旧トミーとつながりのあったハセガワが原型監修したミッドナイトイーグルの食玩に
ラインナップされていたF-15は好評で、同じ金型を用いて子会社であるトミーテックで『技MIX』という塗装済み組立プラモデルシリーズを展開していた。


◆コナミ

ゲーム会社であるこの会社もかつて食玩ブーム期にはサンダーバードなどイギリスの特撮人形劇物やエイリアン・宇宙空母ギャラクティカ・マイティジャック
などSF作品のメカを中心に提供しておりゴジラなどを展開するバンダイに対抗して大映・徳間のガメラや大魔神などを展開したり
自衛隊関係の車両を出すなど幅広く手掛けていたが、食玩ブーム終焉には潔く見切りをつけて市場から手を引いている。
一方そのノウハウを元に武装神姫を展開していたもののこちらもある日唐突に休止となってしまったがコトブキヤのプラモデルで再開している。


【ブームの終焉、そして…】

このように多種多様な商品が発売され、バラエティやニュース番組でも取り上げられるようになった食玩。
だが、そのブームも2006~2007年頃に終焉を迎えることになる。
原因は単純に時間の経過もあるが、中国における人件費の高騰が大きいと思われる。
これによって同じ値段でクオリティを保つことが困難になり、サイズ縮小や塗装の省略、そして値上げを余儀なくされた。
これは何も食玩に限った話ではなく、フィギュア全般に言える。

これ以降の中国生産のフィギュアは各社とも値上がりを続けており、1/8のスケールフィギュアなどはかつては1万円でおつりがくることが多かったが、2021年では1万円どころか2万円を超えてしまうことも珍しくなく市場から撤退・倒産した会社も少なくない。
それゆえONE PIECEなどの人気作品であっても完全受注生産として生産数を絞って展開していることも当たり前になっている。

また、この間は中国でコピー品や横流しも横行し、正規の玩具発売解禁より早く、裏専門店で玩具が並ぶということもあったようである。
特にこの時期のバンダイのガシャポンやソフビはその傾向が顕著である。
こうして食玩は手軽に買える存在ではなくなり、そのブームに静かに幕を下ろした。
まさに諸行無常である。

しかし、この数年間は決して無駄だったわけではない。
この時期に培われた造形技術は、現在も受け継がれ、今日の様々なカプセルトイやハイクオリティなフィギュアの数々に活かされているのだから。
事実カプセルトイは近年訪日観光客には余った小銭の消費、数百円で手に入るそのクオリティの高さから人気が高い。
あまりの需要増に空港に大量のガチャガチャ台が増設、電子マネーに対応したガチャ台が登場するなどこのブームで培われた技術は今日でも十分に生かされている。

さらに2021年現在ではこれまでの食玩ブームとは少し趣が異なる方向で食玩の人気が高まっている。
主にバンダイを中心に、DXトイの廉価版といわれていたタイプの食玩がめきめきと技術力を高めており(主にコレとかコレとか。)、DXトイに負けず劣らずという人気を博している状態である。
人件費高騰などによる影響は強くなっているが、技術力のレベルも年ごとに上がっているのである。

そして何より数が減ったもののバンダイ・タカラトミーのような大手のみならずエフトイズのような今でも食玩を提供し続ける企業は存続しており、今後も食玩が残り続けることを願うばかりである。


追記・修正はおまけ・・・ではなく、お菓子を捨てない方にお願いします。


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最終更新:2023年05月26日 02:57

*1 商品を破損した場合、器物損壊罪になる恐れもある。

*2 13-2で登場したリメイク版だが以降このデザインでVのオメガとして多数のゲームに出演している

*3 創作で紀伊などと呼ばれることがある超大和型戦艦で砲などが新規造形になっている

*4 世界最大のガレージキットイベントでフィギュア特化のコミケのようなもの、かつては東京ビックサイトで開催していたが2008年に起きたエスカレーター事故で関係が拗れ以後は幕張メッセでの開催となった、近年は中国でも開催していた

*5 ポケモンはバンダイからも商品展開している。「ポケモンキッズ」など。