新機動戦記ガンダムW BLIND TARGET

登録日:2016/09/04 Sun 00:52:58
更新日:2023/07/06 Thu 16:17:35
所要時間:約 8 分で読めます




新機動戦記ガンダムW BLIND TARGET』とは、「林原めぐみのTokyo Boogie Night」内で放送されたラジオドラマ。


新機動戦記ガンダムW』の外伝ストーリーのひとつである。脚本は面出明美が担当。
のちにCD化され、更にあさぎ桜によるコミックが発売された。
本作は媒体やストーリーの都合上、基本的にヒイロ達はガンダムに乗らない。

ヒイロ達はガンダムに乗らない

大事な事なので2回言いました。
時系列としては『新機動戦記ガンダムW BATTLEFIELD OF PACIFIST』と同じくTV版とEWとの間の話になっている。

本作の主題歌である「MIND EDUCATION(歌:Misty Eyes)」の歌詞が作中の世界観を見事に物語っている。
また、CDには5人の ガンダムパイロットのキャラソンが収録されている。



【あらすじ】


爆音が宇宙を震撼させたその日、平和はとぎれた――。
謎の武装集団に襲われたリリーナは失踪……
地球とコロニーの命運を決めるコロニー会場は爆破され、人々は全員死亡。
死亡リストにはGパイロットの1人、カトル・ラバーバ・ウィナーの名が……
謎の使者がヒイロ達に迫る時、再び残忍な狂想曲が始まる!

A.C.196年、未来と過去が衝突する時、ガンダムは何を見るのか――。
ガンダムW、最後の決断が迫る!



【登場人物】

【Gチーム】

お馴染み主人公。
冒頭ではウイングゼロをどこかの場所に隠していた。
ガンダムを求めて接触してきた一団が現れたことから、仲間達に危機を伝え、窮地に立たされたリリーナを颯爽と救い出した。
隠れ家の無人コロニーでホワイトファング残党のモビルスーツ部隊に追い詰めれた場面ではコロニーを自爆させるという荒業でうまく切り抜ける等、相変わらずやる事が派手である。
終盤では全てを仕組んだ黒幕を暴き、事件に終止符を打った。

「ウイングゼロ…これからの時代にお前は必要ない。誰にも邪魔されず、ゆっくりと眠れ」


ヒイロからの通信でコロニー会場へと駆けつけた際に爆破事件に遭遇する。
今回は貧乏クジは特に引いておらず、敵のシャトルの通信システムをハッキングして黒幕の正体を調べたり、五飛と共に月面工場を爆破して不法な武器製造を暴いたりと割と活躍している。

「武器は人の命を奪うものだが、それを作ってる奴には金を生む。兵器商人って奴は、いつの時代も生き残っちまうんだよ」


戦後はサーカスで平穏な生活を送っていたが、かつての戦友ラルフ・カートからガンダムの引渡しを要求されたことから今回の事件に関わることとなった。
誰よりも優秀な兵士と評されたが、本人は「これからは兵士などいない」と反論した。
その後デュオの協力で尾行を撒き、他のガンダムチームと合流。ホワイトファング残党の追撃をかわしラルフを拘束した。
その後全ての真実を白日のもとにさらし、自らは唯一の帰るべき場所であるサーカス一座に戻っていった
今回は上記の事情も相まって本作の主役と言ってもいいほど出番が多い。

「失った過去は取り戻せないが、これからの未来は作っていける。ラルフ、お前にはまだ守るものがあるだろう? そのために戦ってきたはずだ」


コロニー会議に出席する予定だったが、車のトラブルで会場には遅れて到着。皮肉にもそのアクシデントが彼を爆発から救うことになる。
その後はヒイロ達に匿われる形で死亡したふりをして行動。会場を爆破した実行犯と対峙した際には自分がコロニーの人々から裏切り者として見られている現状と実行犯に対する怒りで悩んでいたが、五飛の励ましもあり、これからの平和な世界のため強く生きる決意をした。
その後、デュオにガンダムの回収と破棄を提案。そして、EWへと繋がることになる。

「憎しみを持つ事より、人を許す事の方が何倍も勇気がいることだ」


今は亡きトレーズへの敗北感を引きずっており、ナタクを前に本音を吐露する。
自分とガンダムを狙ってきたホワイトファングの残党を返り討ちにしたのを機にヒイロ達と合流する。
爆破事件で信念を見失いかけていたカトルを叱咤していたが、それは自分に対して言い聞かせているようにもとれており、内心思い詰めていた。
事件に終止符を打った後は、バートン財団の使者らしき人物の誘いで再び戦場に立つ事を決意する。

「ナタク…今一度俺に力を貸してくれ。俺は答えを見つけなければならない」

【協力者】

秘書官のクリスとともに精力的に働いていたが、爆破事件のあったコロニーへ向かう途中で謎の集団に襲撃される。からくもヒイロによって救い出され、敵が自分だけではなくガンダムチームも狙っていることを知る。
襲撃者の銃口を向けられてもひるまないほど気丈な態度は相変わらずであり、そのカリスマと理想への強い熱意で自分を裏切っていたクリスを許すと共に改心させている。
その後、今回の事件でコロニー側に責任を追及して再び争いの火種を起こそうとしたセンチュリー・ディスカバー社社長の不正を阻止した。

「悲しみを知っているからこそ、人の心は優しくなれるのですもの」


トロワと共にサーカスで過ごしており、ラルフが尋ねてきた際にはトロワが再び離れ離れになる事を察して彼を引き留めようとしていた。

「また何か始まるのね…!? ダメよ! あなたはもうこのサーカスの子なんだから、どこにも行っちゃダメ!」

【ホワイトファング残党】

リリーナの秘書を務める女性。
その正体はホワイトファング残党の一員で、ガンダムの所在地を探るべく、スパイとしてリリーナと行動を共にしていた。
10年ほど前に住んでいたコロニーを連合軍に制圧されて両親を失い、移り住んだ別のコロニーで連合軍の監視に怯えながら日々を過ごす等、不幸な人生を送っていた。

その後、コロニー襲撃で自分を救ってくれたラルフと共にホワイトファング残党のコロニー独立運動に参加していた。
しかしリリーナの平和への思いに触れて改心し、地球とコロニーがわかりあうために努力することを誓った。
トチ狂ってモビルスーツ乗りになったりはしない。

「あの悲しみと怒りをぶつける先は地球しかなかった…!」


  • ラルフ・カート(CV:安井邦彦)
ホワイトファング残党。コロニーの理想を達成するべく、ガンダムを求めてヒイロ達に接触した。
かつてはトロワの戦友であったらしく、彼を「完璧な兵士」と評価した。
CDのブックレットやコミックで彼の外見が公開されており、ヒイロがそのまま大人に成長したような風貌をしている。

クリスとは幼馴染で彼女と同じく地球への憎しみから、ガンダムパイロットを付けねらっていたが、ヒイロ達から真実を告げられホワイトファングを脱退。戦いのない世の中に、少しずつ慣れていくよう考えを改めた。
なお、トロワに別れを告げる際にバートン財団の暗躍を示唆するような忠告を言い残していた。
余談だが、『Endless Waltz』にてトロワがマリーメイア軍に潜入した際には彼の名前を借りていた事になっている。

「お前は平和を口にするが、それは地球側の都合のいい平和ではないのか?」


  • ソグラン(CV:辻親八)
ホワイトファング残党を束ねる司令官。
先の大戦にもホワイトファングに参加していたが、リーブラ墜落の際に行方不明になっていた。
統率に長けており、演説で同志の心を掌握して士気を高め、企業と結託して組織力を高める等、当初は大物感が漂っていた。
「コロニーの独立と平和」という崇高な志を掲げ、残党を束ねてガンダムを手に入れようとする。

しかし、その真の目的はガンダムという高性能兵器を利用して自ら支配者となって世界を手に入れることであり、元兵器開発企業であるセンチュリー・ディスカバー社に「ガンダムの量産化による莫大な利益」をチラつかせて資金を受け取っていた。
最後はそれらの本音をヒイロ達の罠でホワイトファングの基地全体に放送されて一気に求心力を失ってしまい、そのまま物語からフェードアウトした。
その後の末路は不明であるが、支持者も支援者も失った彼に明るい未来など無いのは言うまでも無いだろう。
それどころか「馬鹿な理想主義者ども」呼ばわりした未だ武装している基地内のホワイトファングをそっくり敵に回した恐れも…

「1つ計画が狂うと全てがうまくいかなくなるものだな」


  • センチュリー・ディスカバー社社長(CV:不明)
ホワイトファング残党に資金とモビルスーツを提供しているスポンサー。
元はロームフェラの傘下でモビルスーツの製造開発をしていた武器商人であり、現在でも月面の工場内で秘密裏に兵器を開発している。
デュオ曰く「死の商人」
利害の一致でホワイトファング残党のソグランと手を組み、ガンダムを手に入れて強いモビルスーツを作ろうと目論んでいた。*1
もっとも、あくまで利害の一致でしかなく、当のソグランからは「人の不幸を金に換えるしか能のない小物」「薄汚い武器商人」と陰口を叩かれていた。

ソグラン達がガンダムの奪取を遂行している傍らで地球とコロニーを再び争わせるように仕向けていたが、行方をくらましていたリリーナとカトルが目の前に現れた事により、一気に追い詰められてしまい、トドメと言わんばかりに所有していた月面工場の秘密を暴かれてその場で逮捕された。

「ガンダムは手に入り次第、例の工場に運んでくれ。すぐにデータを解析して生産体制に入りたい」

【バートン財団】

直接登場はしないものの、本作の終盤で2人の存在が示唆されており、コミック版では2人の姿が描かれていた。



【余談】

本作に近い時期の話である『ティエルの衝動』では、ソグランやセンチュリー・ディスカバー社社長が目論んだような「ガンダムの量産化」が実現している。
ただし、その作品は非公式である可能性があるため、本当に実現したかは不明である。
ちなみに後のEWに登場したサーペントは実質的に量産型ガンダムヘビーアームズとも呼べるモビルスーツであり、数を活かした戦法でガンダムを追い詰めていた。





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最終更新:2023年07月06日 16:17

*1 デュオからは「ガンダムの偽物を作られちゃたまんない」と呆れられていた。