メカゴジラ(VSシリーズ)

登録日:2010/01/15 Fri 02:32:44
更新日:2024/01/16 Tue 21:03:06
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「―世紀末覇王、誕生―」



平成VSゴジラシリーズ第五作『ゴジラVSメカゴジラ』に登場するゴジラ用戦闘マシン
昭和メカゴジラについてはメカゴジラ(昭和)を、3式機龍については3式機龍(メカゴジラ)を、メカゴジラシティについてはGODZILLA3部作(アニメ)を参照。

●目次

【概要】

他のと区別してGフォースメカゴジラ、三代目メカゴジラ、メカゴジラ(93,)、平成メカゴジラ等と表記される。
旧作とは違い、人類の味方側としての登場である。……が、実は見方によっては悪役でもある。

デザイン的には丸みを帯びた形状。
これに至るまではかなり難航したらしく、没デザインをベースに書かざるを得なかったポスターは完全にイラスト詐欺となっている。


先だって「現代技術の粋を集めて建造された」ガルーダが、先代機種スーパーX2と比べてあまりパワーアップしていなかったことから、
とうとう自前の技術力の限界を痛感した人類により、二年前に小笠原の海へと沈んだメカキングギドラを回収、
国連G対策センターによって23世紀の技術を徹底解析し、設計・建造された機体。
分類的には艦艇に当たる。
運用は国連G対策センター隷下の精鋭部隊「Gフォース」によって行われる。

未来技術の塊であるメカキングギドラをなぜ二年も放置していたのかは明らかでないが、
ゴジラvsキングギドラ」直後は近くにゴジラが眠っていて危険、
ゴジラvsモスラ」冒頭では小笠原海域に隕石が落ちて海流が大きく乱れ、ゴジラを見失ったことが語られており、回収が難しかったものと思われる。
あるいは、もっと早く回収していたが、解析に時間がかかり設計・開発がずれ込んだ可能性もある。

技術元のメカキングギドラを遥かに上回る戦闘能力を誇る。




【基本設計】

型式番号:UX-02-93
全高:120m
総重量:15万t
飛行速度:マッハ1
外装材:NT-1
動力:レーザー核融合炉
燃料:重水素ヘリウム3ペレット


ゴジラよりデカいばかりかむちゃくちゃ重く、その体格は他のメカゴジラと比べても群を抜く(対象となるゴジラが大きいからでもある)。
しかも羽もないのにマッハ1で飛ぶことができる。これはレーザー核融合炉の大出力がなせる業である。

ただしその飛行能力、実際のところは「目的地まで飛んで行く」というだけのもので、空中戦などはまったくできない。
それどころか機動性の低さが問題視されるほどで、実戦における機動力はせいぜいがホバリング程度
飛行能力なしでの機動性も、関節の駆動範囲の限界から常にゆっくりと歩かざるを得ないほど低い。
それ故敵の攻撃を回避することは無論のこと、ましてや格闘戦という芸当も不可能なため、最初から熱線の直撃を前提とした設計となっている。

それだけに防御力に関しては他シリーズのメカゴジラと比較しても群を抜いて高い
外装材にはスーパーX2で使用された超耐熱合金「TA32」をさらに上回る耐熱性を持つ超耐熱合金「NT-1」を使用しており、これに後述する人工ダイヤモンドコーティングを施すことで、非常に高い防御性能を実現している。
作中では何度も熱線を食らっているが、通常の青い熱線であればどれだけ食らってもまったくダメージにならなかった(少なくとも外装部は)。
その防御力を生かしつつ、ホバリングで浮き上がり一定の距離を保ちながら砲撃をするのが基本戦術。この戦術はスーパーXやスーパーX2から受け継がれたものである。



戦闘機型の一号機「ガルーダ」は高い機動力を獲得した反面、付加出来る火力が限界に達してしまい、
ゴジラに対しては決定力不足と判断され、一時は展示品扱いとなってしまっていた。
機動力はともかく、火力面ではいまよりも弱かったころのゴジラに真っ向勝負で敗れたスーパーX2と比べて劇的な向上がなかったのが原因か。

そのため、二号機であるメカゴジラは火力と耐久面に特化させるという真逆なコンセプトの元に造られている。
だが皮肉なことに、そのおかげで機動力不足の問題が発生した。

もっとも、大型化した一因としては下記のプラズマグレネイドのシステムと、その冷却機構の関係もある。
つまり熱線を吸収して跳ね返すというシステムはかなり大掛かりで、しかもその冷却装置(もちろん大型)まで積むと機体の大きさがガルーダサイズでは収まらなくなったのである。
(実際、このシステムをオミットしたMOGERAは上下二つに分割ができるようになった)
その上、人類がこれほどの大型で複雑なメカを作ったことは無かったこと、
なにより基本が「未来のテクノロジー」という常識的に考えて手に負えないシロモノだったことを考えると、手探りの環境下で巨大化したのも無理はないと言える。
技術蓄積の無さは劇中でもいかんなく災いし、戦闘中にオーバーヒートが何度も発生していた。


【武装】

メカゴジラらしく武器も全身に豊富に搭載されており、
  • ゴジラの熱線と同等の破壊力を持つ口部ビーム砲「メガバスター
  • 両目に搭載された「レーザーキャノン
  • 腕部から放ち、撃ち込んだ後に高圧電流を流し込む「ショックアンカー
それに肩から放つ麻痺弾「パラライズミサイル」と腰部から放つ麻酔弾「トランキライズミサイル」を主力武装とする。
首を旋回させて目標を常にセンサーで捉え続けており、これにより高い命中精度を誇っている。

最大のウリはゴジラの熱線を伝達して吸収する人工ダイヤモンドミラーコーティング
そしてその吸収したエネルギーを数倍に増幅して打ち出す腹部エネルギー砲「プラズマグレネイド」である。

…数倍の威力の割にはどう見てもスーパーX2のファイアミラーより威力が高い。
これはファイアミラーは熱線の「光」を1万倍にして収束しレーザーとして反射しているものだが、
プラズマグレネイドは熱線のエネルギーすべてを吸収・増幅して粒子ビームとして跳ね返しているため。
当時のゴジラ自体が、ビキニ環礁の水爆実験で誕生したものより強化されていることも関係しているのだろう。

初陣では一撃でゴジラを吹き飛ばし転倒させるほどの威力を発揮、これには麻生司令官も
「見たか、メカゴジラの力を! お前の熱線を幾倍にも増幅して、撃ち返す事が出来るんだ!」とご満悦であった。
ファイヤーラドンに至ってはほぼ零距離から直撃を食らって、瀕死に追いやられている。

もっとも、護衛艦を一撃で粉砕するエネルギーを一時とはいえ蓄え、しかも増幅するとなると内部に掛かる負担は当然大きい。
そのため軽々しく連射するとたちまちオーバーヒートを起こしてしまい、再度使用するまでに掛かる冷却時間も増加する。
その状態でさらに光学兵器を使うと最悪本体システムそのものがダウンするなど、切り札ながらもハイリスクを伴う。
また、ダイヤモンドコーティングが溶け出すなどして失われると使用不可能になる点も弱点と言える。


ちなみに、プラズマグレネイドのスイッチがONになったことを知らせるための咆哮機能がある。
ただそれ以外のシーンでもちょくちょく吠えているので、威嚇の意味も強いと見られる。


後に、ベビーゴジラの研究によってゴジラザウルスの腰部には第二の脳とも言える神経塊があることが判明。
第二の脳を破壊し、ゴジラを確実に絶命させるためショックアンカーを強化改良した「Gクラッシャー」を装備する。


【スーパーメカゴジラ】

鈴鹿山脈での敗北後、メカゴジラの修理が進められている中、ガルーダの開発スタッフ・青木一馬が、メカゴジラ開発を担当するアシモフ博士に駐車場でガルーダの再利用&メカゴジラ強化プランを(半ば脅迫に近い)直談判をしたことによって誕生した合体マシン。

背部に接続したガルーダの高推力によってメカゴジラの劣悪な機動性をカバーし、ガルーダの主兵装であるハイパワーメーサーキャノンによってメカゴジラ側の高火力をさらに増強するというもの。
非常にメリットが多い上メカゴジラ側の改造は接続用のもの以外ほとんどいらず、すぐにも決行できるという非常に現実的な計画だったため、アシモフ博士はこれを受け入れ、すぐに採用が決まった。

【活躍】

四日市市へのゴジラ出現を受け初出撃。鈴鹿山脈でゴジラに挑み、得意の高火力と防御力で優位に戦いを進める。
プラズマグレネイドの大火力でゴジラを地に伏せさせ、ショックアンカーで追撃を加えるものの、ゴジラの体内放射で電流を逆流させられ一気に形勢が逆転。
機関部が火災を起こして行動不能状態に追い込まれてしまい、立ち上がったゴジラの体当たりで逆に倒れこんでしまい敗北。何とかG対策センターまで帰還し、修復も兼ねて強化改造工事が行われた。

その後、ラドンがベビーゴジラを連れ去ったため再出撃。千葉・幕張新都心でラドンを血祭りに上げたあと、上陸したゴジラと対峙。
この時ガルーダはラドンに撃墜されていたうえに故障したのですぐには動けず、やむなく単独で戦うメカゴジラだったが、
ラドン戦でプラズマグレネイドを連射したため内部システムが過熱。そのうえメガバスターを長時間発射して本格的にオーバーヒートを起こし、一度は破壊されかける。
そのギリギリでガルーダが再起動。合体を完了し、スーパーメカゴジラとなり戦いを挑む。

高速ホバリングでゴジラの死角に回り込みながら、冷却完了したプラズマグレネイドを含む一斉射撃に加え、
Gクラッシャーによって半身不随になったゴジラへの容赦のない砲撃でゴジラを絶命寸前に追い込むのだが……

瀕死のラドンが最後の力を振り絞って羽ばたき、ゴジラに覆い被さって風化を始めたことによって、
ゴジラはラドンのエネルギーを吸収、破壊されたはずの第二の脳が一瞬で超回復を果たす。
さらに風化したラドンが撒き散らしたエネルギーの粉塵がメカゴジラの装甲をコーティングごと溶かし、システムのほぼすべてが故障。
そしてゴジラの熱線はラドンのエネルギーによって赤いハイパーウラニウム熱線へとパワーアップを果たし、
想像を絶する破壊力の熱線を立て続けに受け、メカゴジラは原型が残らないまでに破壊されてしまう。

「もう何をやっても無駄だ。奴を止める事は出来ん!!」

人間が支配する時代の地球に、間違ったかのように現れ彷徨うゴジラとラドンが、地球でただ一頭の同族と兄弟を守るために起こした奇跡なのかもしれない。
(漫画版ではラドンが周りの魚や小動物を吸収して、自己再生するシーンがあり、ここへの伏線になっている)

「…結局、最後に勝負を決めたのは命だったな」

「命?」

「命あるものと命ないものの差よ」



「奴にはなんとしてでも、守らなければならないものがあったんだ」



【漫画版】

コロコロコミック(坂井孝行版)

マニピュレーターモードというオリジナル機能を搭載、ジャンボーグAよろしく操縦者の動作をトレースしてゴジラと格闘戦を行った。
しかし、メカキングギドラから流用された一部のパーツにより、『ゴジラニ死ヲ』という文字をディスプレイに表示させて時折暴走してしまうヒドい設定。
Gクラッシャーによって下半身を殺された後、ベビーゴジラと会えた途端に戦意を失ったため、ゴジラに害意の無かったことに気付いたGフォースが保護しようとした瞬間に操縦不能になり暴走。
本来の目的であるゴジラ抹殺を図って容赦無い攻撃を加え殺害し、ベビーゴジラをも消そうとする。
青木はこれを『メカキングギドラの亡霊』と呼んだ。

この瞬間完全に善悪が入れ替わり、黒木特佐やGフォースのメカゴジラ乗組員までが
ゴジラとラドンを応援し、ベビーを守ろうとする事態となった。
最終的にはかつての昭和メカゴジラのように首を圧し折られて敗北、乗組員を脱出させ自爆によるゴジラ抹殺を図るも一切通用しなかった。
(この時ガルーダに取り残されていた青木と五条博士はすんでの所で脱出に成功している)

『ゴジラvsスペースゴジラ』の漫画版では修復が完了されており、強奪されたMOGERAを追撃したが、一方的に撃破されている。
その後は再度の修復も叶わなかった模様で、『ゴジラVSデストロイア』では登場人物が終盤の危機に際して「メカゴジラかモゲラさえあれば……」と嘆く場面が描かれた。

デラックスボンボン(川石てつや版)

プロトタイプとして昭和版メカゴジラも登場。
訓練用の相手としてゴジラに偽装されていた。
こちらでは訓練を経て自信を得た青木がエネルギーを食う戦法ばかり思いつくせいで何度もエネルギー切れに悩まされ、スーパーメカゴジラが完成するまでは脆さが目立ち、
暴走などはしないが、Gクラッシャーから蘇生したゴジラの方が暴走。
あと、Gクラッシャーで漸く勝機が見えたことで隊長の精神状態もベビーに手をあげたり勝ち目がなくなったのに徹底抗戦を主張したりとかなり暴走。
最終的に、返そうとしたベビーゴジラまで踏み潰しそうな勢いのゴジラを半壊状態で押しとどめ、
ゴジラが冷静さを取り戻したのを見届けて崩れ落ちた。



【余談】

企画当初はメカニコングがこの役割で登場する予定だった。
しかし、メカニコングの……というかキングコング関連の著作権がアメリカにあるのか日本にあるのかがややこしく、話がもつれるという理由で会社側が却下した。
川北紘一監督はたいへん嘆いていた。

  • 当初のデザイン案
脚本当初は多数のメカが合体するメカゴジラとしてデザインされていたが予算や特撮の都合で現在のデザインになった。ポスターのイラストはその名残りとなっている。
その案は翌年のMOGERAに生かされる。

2016年のイベントにて前述のポスター詐欺とされた没デザインのメカゴジラが生頼範義ポスター版メカゴジラとして参考展示され、翌2017年にはプレバン限定で発売された。
こちらもメカゴジラのデザインに難航した時の様に顔だけでも5回は作り直すほど製作が難航していたようで、努力の結果最初の展示から販売されたものと見比べると非常にかっこよく仕上がった。
商品にはデザイン変革と商品開発までの漫画が付属しており、デザインの変更は予算や操演の難しさ以外にも「年号が変わったのだから初代を意識しないで別のものがいい」という川北監督の意見や、ポスターも赤色で行くことで話が進んでいたが生頼氏が難色を示したため変更になったなどの裏話が描かれている。

  • 裏設定
設計者のアシモフ博士はアメリカ人で、一説には「メカゴジラ建造の技術をアメリカに流していた」らしい。
そしてそれに対抗するかのように、次のMOGERAはロシア人のマミーロフ博士が設計、日本の自衛隊もレーザー核融合炉およびダイヤモンドコーティングの技術を盗み取ってスーパーXⅢに……と言う裏設定があるそうな。

  • タイトル撮影
オープニングタイトル時は重厚な伊福部サウンドとあいまって非常にカッコいい。
川北監督もこのタイトルの撮影にはこだわったらしく、「本当に異常なまでに燃えて、タイトルバックからえらい時間をかけて撮った。伊福部先生に音楽も書いてもらってね」と回顧している。

  • 着ぐるみ
劇中では炎上したために分かりにくいが、最後に大爆発した時には全身焼けただれた上に左腕が吹き飛んで無くなっている。
しかし撮影スケジュールの関係でさらにこの後新品同然に直さなければいけなかったため、現場はかなり殺気立っていた(主に造型班が)。
余談だが、昭和メカゴジラ頭を3式機龍右腕を失ったことを考えると、このメカゴジラが頭と腕を失ったのは偶然にしては符合したものである。

着ぐるみ自体はかなり軽く、川北監督いわく下半身だけなら片手で持ち上げられたとのこと。実際、DVDの特典映像でもFRPを薄くして動きやすくしているメイキング映像が収録されており、スタッフが「軽くしたんだから」と演出プランを話している声も聞こえる。
ただしガルーダは軽くできず、メカゴジラ本体よりも重い。

  • プロ野球選手の愛称?
かつて横浜ベイスターズで「マシンガン打線」の6番打者として活躍したプロ野球選手の佐伯貴弘は、同じ1992年のドラフトで読売ジャイアンツ(巨人)に入団した松井秀喜の愛称「ゴジラ」に対抗し、「メカゴジラ」という愛称を自ら考え、ヘルメットのつば部分に「MECHA」と書き込むなどのアピールを行っていたが、ファンにはあまり浸透しなかったようで、ほどなくして取り下げている。
ベイスターズファンの漫画家・やくみつるは、書籍において「メカゴジラは映画でゴジラに勝ったことは一回もなかったのだから、この愛称は止めて正解」という旨のコメントを残している*1



青木、ゴジラだ!早く加筆・修正してくれ!青木ーっ!!

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最終更新:2024年01月16日 21:03

*1 この書籍はベイスターズがリーグ優勝した1998年に出版したもので、その後製作されたミレニアムシリーズでは痛み分け・相打ちに持ち込んでいる