北越急行ほくほく線

登録日:2016/08/11 (木) 17:51:14
更新日:2023/08/24 Thu 19:44:41
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北越急行ほくほく線(ほくえつきゅうこうほくほくせん)は、新潟県の六日町駅から犀潟駅を結ぶ北越急行の鉄道路線である。


【概要】

同線の建設計画は大正時代までに遡り、同線が通るエリアは日本有数の豪雪地帯であり、道路が整備されて以降も毎年冬に陸の孤島状態になるのが当たり前となっており、定時運行可能な交通機関として鉄道の建設が熱望されていた。

ルート選定など紆余曲折を経て1968年に建設が開始されたが、1980年の国鉄再建法成立に伴い工事が中断。その後、建設は新潟県などが出資する第三セクター方式の株式会社である北越急行が担当することになり、1997年に全線開業を果たした。

工事が大幅に遅れたのは建設母体の変更のほか、鍋立山トンネルの存在があり、建設にまつわるエピソードはその筋の人々の間では有名。
また、1989年には当時未着工であった北陸新幹線に代わるスーパー特急ルートとして軌道の高規格化が実施され、当初は非電化路線だったものが直流電化となり、一線スルーや高規格レールなど、日本トップクラスの線路設備にアップグレードされた。
このため最高運行速度は160km/hと、狭軌の在来線では日本最速を誇る。

これに伴い開業と同時に上越線の越後湯沢駅北陸本線の金沢駅を結ぶ特急「はくたか」が登場、北陸新幹線開業までは上越新幹線と合わせて首都圏と北陸間の移動手段としてもおなじみだった。
また、北越急行自体もは地方の第三セクターとしては優秀な経営成績を収めていた。

「はくたか」廃止後も、後述の超快速「スノーラビット」の新設や、佐川急便と提携して列車を利用した宅配便を始めるなどの工夫を行っている。

豪雪地帯であるため路線の2/3以上をトンネルが占めており、地上区間の雪対策も抜かりない。


【運行形態】

殆どの列車が六日町駅から上越線越後湯沢方面、犀潟駅から信越本線・えちごトキめき鉄道妙高はねうまラインに直通運転をしている。

現在は全列車が普通列車で、JR直通列車は上越線の大沢駅・石打駅は全列車通過、上越国際スキー場前駅はスキーシーズンを中心とした一部季節のみ停車、塩沢駅と信越本線黒井駅は一部列車のみ停車となっている。
本数は概ね1時間に1本程度で、一部列車は大池いこいの森駅を通過する。

また、休日は一部の列車でシアタートレインの「ゆめぞら」が運行され、トンネル内で映像を見ることができる。

また、団体臨時列車として超低速「スノータートル」という列車を運行している。
これは童話「ウサギとカメ」になぞらえたもので、スノーラビットと対を成す。
通常であれば1時間程度で走る六日町〜犀潟間を、なんと4時間もかけて走行するという北越急行らしからぬイベント列車となっている。
ただ低速で走らせるだけではなく、トンネル内で照明を消したり信号場で車両のドアを開けて風圧を感じる*1など、様々な企画も用意されている。

過去の列車

特急「はくたか」廃止後は上り2本・下り1本の快速が運行されており、六日町駅~十日町駅間は停車しないものの、十日町駅~犀潟駅間は多くの駅に停車する。

また、2015年春からは超快速「スノーラビット」が設定されていた。
上り1本・下り2本の運行であり、最速達列車は途中で十日町駅のみ停車する。
これにより、越後湯沢駅~直江津駅間を1時間以内で移動することも可能。
表定速度は100km/hを超え、普通列車としては群を抜いて速い列車である。

この列車の運行を始めた背景として、直江津地区の乗客を北陸新幹線でなく、ほくほく線・上越新幹線ルートに誘導するためと言われているらしい。
ちなみに東京から直江津までスノーラビットを使った場合と、北陸新幹線を使った場合どちらが早く直江津につくかというと、数分の差ではあるがなんとスノーラビットの方が早かった。のだが、残念ながら2023年3月改正で廃止されてしまった。

【車両】

  • HK100形
普通・快速列車で使用。イベント対応車両含め合計12両保有している。
トイレがついていないので、乗る前に忘れずにトイレを済ませておくように…。
当時最高速度160km/hで運転していた特急のダイヤから逃げ切るために、最高速度110km/h、起動加速度3.0km/h/sという地方の鉄道会社の普通列車用としては考えられないレベルの高性能車両となっている。
また、豪雪地帯を走行するため車体についても防寒・防雪対策を実施しているため車両価格はかなりの高額だとか。

  • 681・683系
かつて特急「はくたか」用で使用されていた車両。
基本設計はJR西日本車と同じだが、ほくほく線走行用に気密構造の強化などが行われた。
また、カラーリングも赤系の独自のものが採用されていた。
北陸新幹線開業後はJR西日本に譲渡され、同社の「しらさぎ」で使用されている。

この他、臨時列車やイベント列車としてJR東日本やえちごトキめき鉄道の車両が走ることがある。
なお、線内に長大トンネルが複数あるにもかかわらず、気動車であるえちごトキめき鉄道リゾート列車「雪月花」も入線できるらしい。
会社設立当初の予定では電車ではなく、気動車を走らせることを想定していたために出来たことなのかもしれない。

【駅一覧】


○六日町…起点駅。JR上越線乗り換え。
上越線とは越後湯沢駅までの直通も多く、改札は共用。出札業務はJRに委託している。
超快速「スノーラビット」の一部が停車する。

○魚沼丘陵…築堤上にある駅。列車内からは高架に見えるかも。途中駅で唯一、南魚沼市にある。

○美佐島…北越急行で唯一、トンネル内に設置されている駅。
列車通過時のトンネル内の風圧が凄まじく、列車到着時以外はホームを封鎖。
ホームへは鉄扉で仕切られており、ホームにいると遠隔監視で退出を促される。
2016年には当駅付近で人身事故が発生するという珍事が起きている。

○しんざ…トンネルの出口に位置する。駅名がひらがななのは、JR武蔵野線の新座(にいざ)駅との混同を避ける為とか…。

○十日町…JR飯山線乗り換え。地上の飯山線を高架で跨ぐ構造。
十日町市の代表駅。北越急行の駅員がいる唯一の駅であり、線内で唯一超快速「スノーラビット」が全列車停車する駅。

○まつだい…旧松代町の中心駅。同じ市内であるが、十日町駅とは13.3kmも離れている。
駅名がひらがななのは、かつて存在した長野電鉄の松代駅との混同を避ける為とか…。
超快速「スノーラビット」も一部停車。

○ほくほく大島…トンネルに挟まれているが高架駅。路線名と旧村名(現地域自治区名)を冠した駅。

○虫川大杉…近隣にある天然記念物「虫川の大杉」が駅名の由来。超快速「スノーラビット」も一部停車。犀潟方面行のホームだけ長くなっている。

○うらがわら…旧村名(現地域自治区名)を冠する駅だが、利用状況は隣の虫川大杉駅にやや押されている感が…。
佐川急便の宅配便計画では拠点駅の1つとなっている。

○大池いこいの森…駅周辺には田畑などの自然が広がり、人家はほとんど見えない。しかし閑散ぶりに似合わず駅舎は大きめ。
普通列車も一部通過する。

○くびき…この駅も田んぼなどが広がっているが、人家もある為、大池いこいの森駅ほど秘境感はないかも。
駅名は旧村名(現地域自治区名)より。

○犀潟…終点駅。JR信越本線乗り換え。
尤も、ほとんどの列車が直江津駅までの直通で改札は共用。出札業務はJRに委託している。

【信号場一覧】
○赤倉信号場…美佐島-魚沼丘陵間の赤倉トンネル内にある信号場。9両編成のはくたかが止まれるだけの長さがある。現在は使用されていない。
○薬師峠信号場…十日町-まつだい間の薬師峠トンネル内にある信号場。9両編成のはくたか(ry。やはり使用されていない。
○儀明信号場…まつだい-ほくほく大島間の鍋立山ントンネル内にある信号場。現在も使用されている唯一の信号場。


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最終更新:2023年08月24日 19:44

*1 風を通すため正面、後部、通過線と反対側の客用扉を開ける。転落防止のため、当然のことながら安全柵は用意される。