火山湖の大怪獣

登録日:2016/08/04(木) 20:25:10
更新日:2022/09/25 Sun 22:41:45
所要時間:約 5 分で読めます





原題は『THE CRATER LAKE MONSTER』。1977年3月に公開されたアメリカ製作の特撮映画でカラー・ワイド84分。
隕石落下の熱で復活した古代生物・プレシオサウルスがアメリカオレゴン州の片田舎の村を襲撃し、パニックに陥れる。



【作品解説】

1975年に公開されて世界的に大ヒットし『ジョーズ』の流れをくむモンスターパニック作品で、手間のかかるストップモーションを用いて作成されているが、予算の都合上、田舎の村を中心にした非常に小ぢんまりとした作品となっている。
前半部は怪物も出てはいるが、基本的にはボートの貸し出しを営む二人の男性の掛け合い漫才や、強盗を追う保安官を中心に話が展開されるせいで肝心の怪物がメインになるのは後半部であるため、盛り上がりに欠ける感は否めない。
おまけに低予算がたたったのか、真昼間から「こんな沢山の星は見たことないわ」なんて言いつつ女性がうっとり空を見上げたり、真昼間なのにライト点けっぱなしの車から男性が懐中電灯を光らせて降りてきたりといった突っ込みどころ満載のシーンが続出している。
ただ、ストップモーション部分の特撮を担当したのは『おかしなおかしな石器人』や『SFレーザーブラスト』などを手掛けたデビッド・アレン、『ロードオブザリング』のランディ・クック、『恐竜時代』や『ジャックと悪魔の国』のジム・ダンフォースなどのそうそうたるメンバーであるため、そこに関しては一見の価値あり。

なお、本作は日本未公開であるが、テレビでの放映はされており、その時のタイトルは 『魔の火山湖・甦った巨大生物の恐怖』 であった。その後2002年に初ソフト化された際に、
2000年に日本公開されてヒットした巨大ワニのパニック映画『U.M.Aレイクプラシッド』に便乗した''『U.M.A 2002~レイク・モンスター』''というタイトルで売り出された。
それだけならまだよかったのだが、 1977年の製作でありながらパッケージには2000年製作と記し、あたかも続編であるかのような販売方法であった。 言うまでもないがこのやり方は非常に悪質な商品詐欺である。
騙されてレンタルしたり購入してしまった方は一定数いたようで、当時ネットなどの各メディアでは怒りの声が発せられていた。時は流れ2013年に別メーカーからDVD発売された時に漸く『火山湖の大怪獣』というタイトルとなり、パッケージにも正しい情報が記載された。
本項目は2013年に発売されたDVDのタイトルを採用している。




【スタッフ】

監督:ウィリアム・R・ストロンバーグ
脚本:ウィリアム・R・ストロンバーグ、リチャード・カーデラ
特撮:デビッド・アレン、ランディ・クック、ジム・ダンフォース
撮影:ポール・ジェントリー
ミニチュア:トム・シャーマン




【あらすじ】

※以下ネタバレ注意
ある日、アメリカの片田舎で発見された先住民の洞窟に恐竜らしき壁画が描かれているのを調査に来ていた大学教授のカルキンズ博士と助手が発見する。時を同じくして火山湖に小型隕石が落下。
落下自体は大したことは無かったが、それから半年後、魚が全く採れなくなったり、釣りに来ていた男が生首だけで発見されたり、牛が行方不明になったりという事件が何度も起こった。
事態を重んじた保安官のスティーブはカルキンズ博士に調査を依頼し、その結果、遺体からは既知の生物には全く見られない歯形があることが判明する。
その後、強盗を追っていた際にスティーブは自らの目で騒動の元凶であるプレシオサウルスを目撃し、住民の安全からその抹殺を考えるようになるが…



【主な登場人物】

◆スティーブ・ハンソン

演:リチャード・カーデラ
本作の主人公の保安官。脚本を手掛けたリチャード・カーデラ氏が演じている。プレシオサウルスが起こした事件を中心になって調査し、
最後はプレシオサウルスの生け捕り作戦が失敗した際に、自ら近くにあったブルドーザーに乗り込み止めを刺した。


◆リチャード・カルキンズ博士

演:ボブ・ハイマン
大学教授。火山湖の近くにあった洞窟で恐竜らしき生物が書かれた壁画を助手とともに発見した。
スティーブの死体鑑定の依頼に率先して協力したが、プレシオサウルス抹殺には科学的見地から反対した。


◆アーニー・チャボット

演:グレン・ロバーツ
ミッチとともに湖畔でボート貸し出し業を営んでいるひげ面の男性。
プレシオサウルスを生け捕りにして一攫千金をもくろんだが帰らぬ人に。
彼が死んでしまったせいでラストシーンは妙な後味の悪さが残ることになってしまった。


◆ミッチ・コワルスキー

演:マーク・シーゲル
アーニーとともにボート貸し出し業を営んでいる若ハゲの男性。
ひょうきんな性格であったが、アーニーがプレシオサウルスに殺されてしまい…。


◆ポーラ・コンウェイ

演:スーザン・ルイス
カルキンズ博士と洞窟を調査し、例の壁画を発見した。


◆プレシオサウルス

湖に隕石が落下した際に湖底で化石化していたか冬眠状態になって眠っていた卵が隕石の熱で孵化して生まれた古代生物。
実際は首長竜だが、作品中では恐竜と呼ばれる。湖の魚を喰い尽したせいで時々地上に現れては人々や家畜を襲っていた。
後に生け捕り計画が考案されるも結局失敗し、最期はスティーブが乗ったブルドーザーの体当たりを二回喰らって死亡した。
(余談ながら多々良島ふたたびなどで有名な、SF作家で特撮マニアである山本弘氏は、著作内で『オレゴンネッシー』と呼称している)



【余談】

  • 国内からは本作に出るプレシオサウルスのフィギュアは発売されていない。
    海外ではガレージキットがある。

  • 1980年代に出版されていた児童書には「クラッター湖の怪物」と表記されているものもあった。なぜ『CRATER』をこう読んだのかは不明。

  • 山本弘氏の小説、『MM9』シリーズの世界でも本作と同様の事件があったことが語られている。


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最終更新:2022年09月25日 22:41