イオ・フレミング

登録日:2016/07/10 (日) 20:52:45
更新日:2024/04/21 Sun 17:10:11
所要時間:約 16 分で読めます





よお!
お前がスナイパー部隊のエースらしいが、音楽の趣味は平凡だな!ガッカリだぜ

運がいいだけの男は口が軽い

義足野郎だけに、遠くからこそこそ撃つのがお似合いだ

…っ! 俺の足を笑うのか!

お前らの射点位置は把握した。帰りは死角を選んでクルージングだ



今度会った時は逃さない!次は必ず仕留めてやる

俺はダリル・ローレンツ曹長、お前をいつも狙っているぞ!!


イオ・フレミング少尉だ。ジャズが聴こえたら、俺が来た合図だ




イオ・フレミングは『機動戦士ガンダム サンダーボルト』の登場人物。
地球連邦軍サイドの主人公を務める。




【概要】

『サンダーボルト』の連邦サイドの主人公であり、今作のガンダムパイロット。
ア・バオア・クーへの補給路である「サンダーボルト宙域」を奪還すべく、宙域を構成するコロニーの残骸、
元サイド4「ムーア」の生き残りで構成された「ムーア同胞団」のパイロットのひとりとして宙域奪還作戦に参加している。

【人物】

金髪のツンツン頭がトレードマーク。
性格はフランクで軽め。正規軍人のようなおカタさとは無縁で不真面目。
作戦中にコーネリアスとハレンチな話題で盛り上がるなど、髪型も相まってややヤンキーっぽい。
上官であるグラハムにも慇懃無礼な態度を崩さず、基本的に権威を振るうような人物に対しては反抗的である。

かつてのサイド4、ムーアの首長を父に持つ。
しかしその肩書きを気にする素振りは見せず、逆に「ムーア首長の息子」という立場からくるしがらみや偏見にうんざりしている。
ムーアに配備されたガンダムのパイロットになった際も、自身が「英雄的な」を望まれている状況を薄々理解しており、
そんな運命から逃れようと戦場、そして戦いに没頭する。
そのせいか、MSと戦場を愛する「戦争中毒」とでも言える状態になっており、MSと戦場を「好きだ」とさえ公言している。
他の連邦パイロットが敵の狙撃にビビり、泣き言を言うような死地の中にあってもジャズのビートに乗り、軽口を叩くなど一見するとふざけたような態度を崩さない。
しかし、親友であるコーネリアスはイオ不在の状況で「(イオは)戦争って狂気の中で正気を保とうと努力してる」という見解を示しており、
これが正しいとすれば、これらの軽い態度は死への恐怖や、戦場から逃れられない宿命からの逃避の側面もあるのかもしれない。
(アニメ版ではコーネリアスの見解が変わっている。詳細は後述)

同僚のモブパイロットが撃墜されようと気にも留めない様は冷血にも見えるが、
明言はしないが仲間意識はあるようで、ぶっきらぼうではあるが戦友を思う気持ちが見える場面もいくつかある。
1巻ではフーバーのビッグ・ガンを破壊する際「死んだ仲間への弔い」と呟いているし、
6巻では(もともとそういう作戦なのだが)バンドメンバーのビアンカを助けるためにアトラスガンダムでジオン水泳部相手に無双していた。
その余波でビアンカは雪だるまになったけどな!
連邦の学徒兵たちに対しても、ガンダムに夢中の彼らに何だかんだ文句を言いつつも写真を撮るのに付き合ったり、
出陣前には少年兵たちに「学徒兵はフルアーマーガンダム突入のための盾」という事実を冷酷に告げつつも、「生き残ったら乾杯だ」と彼らを同胞と認め、励ましの言葉を送っている。

一年戦争終結後も、戦没者の墓でクローディアを含む犠牲者を軽んじたランディの股間を握り込みながら、「俺の弟妹たちを哀れむ奴は半殺しだ」と、表情は笑っていたが怒りを滲ませていた。

そして、彼を語る上で欠かせないのは「ジャズ」
彼は海賊ラジオ局「サンダーボルト放送局(サンダーボルト ステーション)」で欠かさずジャズを聞いており、
その傾倒っぷりは戦闘時にも流してビートにノッているほど。
ミノフスキー粒子が濃く電波が届かない場所では録音したテープでジャズを聞くというこだわりぶりで、コーネリアスにも「20世紀人か!」とツッコまれていた。
反面、ダリルを思い出すからかポップスには苦手意識がある模様。

鼻炎気味で、コーネリアスにしょっちゅうポケットティッシュをねだっている。

【技量】

MS操縦の技量は高い。
1巻ではいきなりビッグ・ガンに撃墜されるというちょっと情けないデビューを飾った彼だが、
その撃墜シーンでも一人だけ狙撃されることをうっすら確信していたフシがあり、
この時点で他の何もわからないまま落とされていったモブ兵士とは一線を画するパイロットであることがさり気なくわかる。

FAガンダム受領以降は元々の技量とガンダムの性能が合わさって手のつけられない存在となり、リビングデッド師団を蹂躙。
ガンダムの性能もあったとはいえ単騎でスナイパー部隊を圧倒、敵の艦隊にも大打撃を与えている。
リビングデッド師団が彼とガンダムに対抗するには、過去の戦闘で両足、宇宙戦争で両腕を失い、義肢となったダリルの駆るサイコ・ザクの参戦を待つしかなかった。
宇宙での最終決戦においてもサイコ・ザクと互角に渡り合い、満身創痍になりながらもあと一歩の所まで追い詰めている。
というか、あの時サイコ・ザクにサンダーボルト宙域の「」が落ちなければ、確実にイオは勝っていた。

その腕前は地球に降り、アトラスガンダムに乗り換えてからも遺憾なく発揮されている。
試作兵器のアトラスを難なく乗りこなし、ぶっつけ本番の水中戦も「宇宙戦に比べりゃ8ビートみたいに楽勝」と豪語。
道連れにはされかけたもののグラブロにも完勝している。
アトラス修理中、南洋同盟との戦いではなんとアトラスよりも性能の劣るジム改で真横からドダイを蹴り飛ばして撃墜、
その後もビアンカのSFSを足場にしながら5機のドダイに肉薄して飛行能力だけを奪い(この時にもドダイの一機にハイキックを決めている)、
クローディアの搭乗しているドダイにタッチダウンを決めるなどエースと言うに相応しい腕前を遺憾なく発揮している。

戦場の環境を利用した巧みな戦術を駆使する知性派な面もあり、
1巻ではスナイパーの注意をひくために戦艦の残骸にミサイルランチャーを押し付けて簡易的なデコイに仕立て、
ダリルの旧ザクとの一騎打ちにおいても切り離したバックパックを囮にあと一歩の所まで追い詰めた。
アニメ版ではショーンの半壊したザクをにダリルの旧ザクに迫るという残忍な戦術も駆使していた。

また、ダリルも毒づいたように彼は「悪運」に恵まれている。
彼は今までにおいて何度も悪運に救われており、
  • 1巻冒頭の撃墜シーン、ビッグガンが上半身を撃ち抜いたため間一髪コアブロックで脱出できた
  • 1巻ラスト、ダリルのビッグガンによる狙撃が直撃コースだったところをサンダーボルト宙域の「雷」によって射線が曲げられ直撃を避ける
  • 4巻ではチベ級がア・バオア・クーに不時着した衝撃で独房のロックが壊れ、脱出してコーネリアスら捕虜と合流するチャンスを得る
など、要所で悪運に助けられている。

【乗機】

1巻で搭乗。数ページで上半身をビッグガンに撃ちぬかれ、お役御免に。

同胞団から搬入されたガンダム。
グラハムには「イオにはこれに乗って華々しく戦死してもらい、彼を『英雄』として讃え士気高揚に利用する」という思惑があったようだが、イオは本当に戦果を上げてしまう
イオの腕前もあってリビングデッド師団を単騎でほぼ壊滅に追い込む鬼神の如き活躍を見せたが、ダリルのサイコ・ザクと相打ちになり大破。
機体の残骸はジオン側に回収された。

地上戦に特化した新型ガンダム。ジオンの技術も導入された実験機。
自由に動くアームに繋がれたスラスター「サブレッグ」や、
電磁パルスで防御にも転用でき、一撃でMSを撃ち抜ける威力を有するレールガンなど他のMSにない実験的な兵装を多数搭載した高性能機。
舞台が地上に移ってからのイオの乗機となり大戦果を上げたが、現在はグラブロとの戦いで大きな損傷を受けたため修理を受けた。
後に長い修理期間を経て復帰するも、フルアーマーガンダムのような重武装が欲しいと強請るイオにはやや不満げのようだった。

アトラスが修理中だったため、イオが南洋同盟の攻撃に際し乗り込んだ機体。
ビアンカのSFSとの巧みなコンビネーションで、飛行能力のないジムで「空中戦」をやってのけた。


【人間関係】

  • ダリル・ローレンツ
ジオン側の主人公。公式で「殺し合う宿命」と言われる通り、
宇宙でのフーバーの死をきっかけに因縁ができ、以降熾烈な戦いを繰り広げた。
性格も、音楽の趣味も正反対の何をとってもそりの合わない因縁の敵。

  • クローディア・ペール
サイド4・ムーアが健在だった頃からの幼馴染。幼少期~少年時代はクローディア・イオ・コーネリアスの3人組で色々やんちゃをしていたようだ。
クローディアの台詞から「友人以上の関係に踏み込んだ」とも取れる描写があるが、詳細は不明。
一度は宇宙での死闘で死別したと思っていたイオだが、運命のいたずらか、2人は「敵と味方」という形で再会することになる…。

  • コーネリアス・カカ
サイド4・ムーアが健在だった頃からの幼馴染。
イオの数少ない気心を許す友人で、イオはよく彼にポケットティッシュをねだっている。
地球編でもメカニックとしてスパルタンに配属されており、戻ってきたイオにFAガンダムとともに喪われたポケットラジオをプレゼントした時には、
「愛してるぜ!」と言われながらイオに抱きつかれていた。アッー!

  • ビアンカ・カーライル
ペガサス級強襲揚陸艦「スパルタン」での同僚。
時折艦内でセッションを行うジャズ仲間で、音楽の趣味をきっかけに親交を深めた。
ライブではボーカルとピアノ担当。連邦軍入隊前は「少しは名の売れたミュージシャン」だったらしい。

  • リリー・シェリーナ
モニカの勤めていたNT研究所で人工的な強化に成功した双子の姉妹の姉。
のイースがコーネリアスがイオの暗殺を試みた際に身代わりとなって犠牲になった事件を機に、イオと兄妹の契りを結ぶことになる。
関係を結んだ後、イオと共にパーフェクト・ジオングのパイロットとなった。


【劇中での活躍】

【宇宙編】



【地球編】



【アニメ版】


俺の動きが予測できるなら撃ってみろ!
仲間を殺す覚悟があるならな!!


基本的にはコミック版と同一だが、コーネリアスの見解が「あいつは戦争の中でしか生きられない」といった風に変わっており、
それを示すように、1巻の「死んだ仲間への弔い」の台詞の削除など、より「戦場とMSが好きな中毒者」の側面が強調されている。
また、前述のように上記の台詞を吐きながらショーンの半壊したザクを盾にダリルの狙撃を封じ、最終的にはミサイルをザクの背中に押し付け、
ダリルへの飛び道具として使うなど狡猾さが目立つ改変も行われている。
スナイパー部隊や師団の戦艦を次々撃ち抜いていく姿はまさに「白い『悪魔』」そのもの。
「これが主人公のやることかよぉー!!」

また、劇中のBGMは全て「イオorダリルがラジオで聞いている音楽」という設定であり、
イオ主軸の戦闘シーンでは菊地成孔の手がけたノリノリのジャズが戦場に響く。
これはダリル側も同様で、ラブソング系のポップスが劇伴として使われている。


ゲームでの活躍】

  • ガンダムVSシリーズ
初出は『マキシブーストON』。フルアーマーガンダム及びアトラスガンダムのパイロットとして参戦。
アトラスガンダムの方はパイロット衣装が当初色違いだったが、後に修正されている。
好戦的な性格が色濃く反映されているために、台詞は強気なものが多め。

原作の要素はきちんと本作オリジナルのセリフに反映されており、ウッソ三日月といった子供のパイロットに対して反応がある他、
コーディネーターや強化人間、赤いザク(ダリル以外にこのゲームには3名の該当者がいる)やスナイパーといったものに対してはうんざりした様子を見せる。

また、ベルリ、アイーダ、三日月、サーシェス、『SEED』時代のアスランとは本作オリジナルの掛け合いがある。
音楽の趣味は意外にもベルリ・ゼナムと合うらしく、彼から格好良い音楽と褒められている。

EXVS2XBではFAガンダムの立ち絵と覚醒カットインが改められ、前者はドラムスティックを持った彼らしい立ち姿になっている。だが後者は非常に凶暴な顔つきをしたものになっており、多くのプレイヤーからあまりの異色さに驚かれていた。




アニヲタwikiには、やっぱフリー・ジャズだ!
編集は大好きだぜ。追記も修正も。ここは自由だ!



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最終更新:2024年04月21日 17:10

*1 本誌連載時の編集によるアオリ文。そのあまりの血も涙もない文体が評判を呼び、単行本発売時の宣伝にも再利用された。