ザイゴーグ

登録日:2016/06/10 Fri 21:01:29
更新日:2024/05/03 Fri 09:02:58
所要時間:約 10 分で読めます






「地獄」が...目覚めてしまった...




画像出典:劇場版 ウルトラマンX きたぞ!われらのウルトラマンより
©円谷プロ、「ウルトラマンX」製作委員会・テレビ東京


ザイゴーグは、ウルトラシリーズに登場する怪獣の一体。


この項目では、ザイゴーグが生み出す閻魔分身獣についても紹介する。


【登場作品】



【データ】

別名:閻魔獣
身長:66m
体重:7万t


【概要】

かつて地球が地獄のような灼熱の世界だった頃に猛威を振るっていた怪獣。漢字で書くと「罪業苦」となる。
ウルトラ戦士の力で現在の秋田県にある「婆羅慈(ばらじ)遺跡」に封じ込められていたが、
その封印に使われていた不思議な青い石「碧石」が持ち去られてしまった事で現代に復活。
現世を地獄に変えるべく大暴れを始める。

の毒々しい色に包まれた二足歩行の体は、鋭く赤い二本の角、体にまで続く無数の目、
針山地獄のごとく無数に生えた棘を持つ背中、ノコギリのような尻尾や頑丈な脚、
そして地獄の鬼の棍棒のような形をした右腕と、「地獄」を体現したような姿となっている。

2種類の金切り声を挙げたのち、「ガハハハハハ…」と閻魔大王の高笑いにも聞こえる声を出す独特の鳴き声を発する。


【戦闘能力】

ボース=アインシュタイン凝縮によって「通常の攻撃は歯が立たない」と明言されたあらゆる攻撃を寄せ付けない頑丈な体と、棘棍棒型の右腕「ゴーグレグジス」や槍のような長い尻尾の一撃は持ち前の怪力と合わせ強烈無比。
遠距離に対しても
  • 口から放つ血のような破壊光線「ブラディフラッディング」
  • 胸から放つ火炎弾「ヘルズレリーブ」
など一切隙を見せない。
ブラディフラッディングには腐食効果がある他、地面に向けて吐く事で周りを血の池地獄のような空間に変え、そこに潜り込むことで地底を移動する事が出来る。
なお破壊光線の名称は『ウルトラマンジード』のおまけコーナー「ウルトラカプセルナビ」等で初めて紹介された。

そして、ザイゴーグの恐ろしい武器に背中に生やした無数のがある。
体から追尾ミサイルのように射出して相手を蹴散らす事も出来るが、実はこの棘にはザイゴーグの分身怪獣「閻魔分身獣」へと変貌する力が秘められている。
当然彼らの力も強大な他、秒速30キロマッハ88地球の公転速度と言う途轍もない速さで射出する事で世界のあらゆる場所に閻魔分身獣を極短時間で誕生させることも可能。
劇中では7発しか使用しておらず多用はできないようだが、放置しておけば、文字通り地球が「怪獣地獄」に変貌してしまうのだ。

さらに、不気味な胸の中には奥の手も秘められているようで……。


あのグリーザを倒す切り札となったエクスラッガーも通用せず、始まりの巨人・ウルトラマンをも苦戦させる、
文字通り地獄のような存在である。



【活躍】

劇場版 ウルトラマンX きたぞ!われらのウルトラマン

上記の通り秋田県の婆羅慈遺跡に封じ込められていたが、
自分のwebTVの視聴率稼ぎを目論むトレジャーハンターのカルロス黒崎が、Xioの面々が止めるのも聞かず碧石を持ち去ってしまった事で復活。

Xioの大空大地隊員とウルトラマンエックスがユナイトし、パワーアップ形態のエクシードXとなって立ち向かうも、ザイゴーグは必殺技・エクスラッガーを一蹴。
地獄から蘇った強敵に、大地の思いは一切通じなかったのだ。

そしてザイゴーグはエックスを圧倒した挙句、口からの破壊光線で敗北に追い込んだ。
幸い両者とも一命はとりとめたものの、変身アイテム・エクスデバイザーが腐食してしまい、大地とエックスがユナイトできない事態になってしまう。

その後、自らを封印した碧石を破壊するべく、カルロス黒崎がいるカルロスタワー、そしてタワーがそびえたつ首都に向けてザイゴーグは侵攻を開始。

Xioは「黄泉三号」作戦を発令しザイゴーグを迎え撃ったものの、サイバーエレキングの力で作られたシールドも、サイバーキングジョーサイバーレッドキングの力による攻撃も、さらにサイバーゴモラのサイバー超振動波までもザイゴーグには全く通用しなかった。
それどころか、ザイゴーグは背中の棘を射出し、ゴーグファイヤーゴルザゴーグアントラーと2体の閻魔分身獣を生み出してしまう。
そしてXioを蹴散らしたザイゴーグは、ついにカルロスタワーに直接攻撃をかけた。

だが、危機の中でも懸命に助け合う人々の思いの力で、ザイゴーグを封印したと言われる光の巨人・ウルトラマンティガが登場。
加えてあの碧石が光り輝き、始まりの巨人・ウルトラマンも光臨。
そしてエクスデバイザーの腐食も解かれ、大地とエックスも再びユナイトを果たし、三大ウルトラマンがここに集結した。

Xioの面々による援護攻撃も加えた大乱戦の中、ザイゴーグはエックスと再び対決。
互角以上の戦いを見せるが、奮闘するエックスの前に追い詰められ、そしてエックスの放つ光線・ザナディウム光線を受け、大爆発を起こした……



……かに見えた。

だが、なんとザイゴーグには通用していなかった。
それどころか、胸を花のように開いて中から奥の手の触手を繰り出し、2体の閻魔分身獣を打ち破ったウルトラマンとウルトラマンティガのエネルギーを吸い取り始めたのである。
さらにエックスに対しても、秒速30キロと言う凄まじい速さで飛ばした棘で大ダメージを与えたうえ、
その棘を世界各地の都市にまき散らして新たな閻魔分身獣・ツルギデマーガに変貌させてしまう。


しかし、絶体絶命の状況でも諦めない人々の思いが奇跡を呼び、エックスにウルトラマンとティガの力が宿った究極のアーマー「ベータスパークアーマー」が装着されたことで、ついに形勢は逆転。
ベータスパークソードで触手や右腕の棍棒が切り落とされてもなお火炎弾で抵抗するザイゴーグだがエックスには全く通用せず、強烈な破壊光線も防がれてしまった。

そして、必殺技・ベータスパークアローを食らったザイゴーグは、怯えたような声をあげながら爆発四散。
各地に現れたツルギデマーガも人々の思いに応えて召喚されたウルトラ戦士たちと各国のXioの共闘によって倒され、ようやく「地獄」は終わりを告げたのだった。


◆ウルトラマンジード



いでよ、ザイゴーグゥゥゥゥゥ!!

画像出典:ウルトラマンジード(2017年7月8日~12月23日) 第18話「夢を継ぐ者」より
@円谷プロ、「ウルトラマンジード」製作委員会


第18話「夢を継ぐ者」にて、劇場版ボスでありながらもまさかまさかの再登場
後述のことを考えれば、ある意味ベリアル繋がりともいえるかもしれない。

一時的に記憶を失い、ダダに追われる身になったベリアルの僕・ストルム星人=伏井出ケイが記憶を取り戻したのに合わせて、怪獣カプセルから召喚する形で出現。
あのウルトラマンゼロ ビヨンドを持久戦へ持ち込み勝利した、ダダが操る「レギオノイド・ダダカスタム」を圧倒した挙句粉砕し、劇場作品の大ボスの格を見せつけた。
そしてケイ自身が変身したサンダーキラーとタッグを組み、ウルトラマンジードに変身した朝倉リクを相手に戦うも、
ジードはあの伝説の超人・ウルトラマンキングの力を持つロイヤルメガマスターに変身。

さしものザイゴーグもジジーの力の前にはドーにもならず、
ジャックカプセルの力を使った「ランススパーク」の前に体を貫かれ爆発四散した。
そしてサンダーキラーもタロウカプセルの力で放たれた「ストリウムフラッシャー」に敗れ去ったのだった。

なお、今回出現したザイゴーグは劇場版で印象的だった「ガハハハハ…」と言う笑い声をあげておらず、
代わりに動揺したり怯えたりした時に用いていた「ゥワンゥワン……」のような鳴き声を出している。


ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA

後述の事情もあって直接は登場しないが、第13話「狙われた隊長~マルゥル探偵の事件簿~」にてデータが登場し、アキトの研究室のパソコンのモニターに写真が映っている。さらに侵入していたイグニスがそのデータから怪獣キーを勝手に作り出した。

そして第16話にてトリガーダークに変身中のイグニスが使用し、ザイゴーグの力を擬似的に再現させた能力・「インパクト」を発動させた。
ウルトラマントリガーのパワータイプに相当するパワー特化の力で、全身から赤い光の棘を発生させてトリガーとメツオーガを攻撃した。

更に第17話ではトリガーが手放したサークルアームズ・マルチソードを強奪してザイゴーグキーを装填し、「インパクトソードフィニッシュ」を使用。
先にホロボロスキーによって発動したホロボロスの力を擬似的に再現させた能力・「ライトニング」による強化も併せてカルミラを攻撃した。


【ザイゴーグのモチーフについて】

上記の説明の通り、外見のモチーフは「針山地獄」「血の池地獄」「64の目を持つ鬼」など様々な地獄や鬼となっているが、
それに加えて古今東西様々な怪獣・宇宙人の要素が加えられている。


また外見を決める際のイメージソースとしてアークベリアルが用いられている。
さらに、円谷関連の書籍では触れられていないが、背中の棘はバラン
体の赤い部分はデストロイアと東宝怪獣の要素もモチーフとなっている。

そして、全体イメージとして田口監督はスペースゴジラを挙げている*2

ある意味ザイゴーグは古今東西の怪獣の要素が合わさった合体怪獣のような存在なのかもしれない。

なお、全体のコンセプトは「地獄最強の鬼」


【閻魔分身獣】

ザイゴーグの背中の棘から生み出される、分身のような役割を果たす怪獣。
劇中では3種類7体が誕生しているが、背中の棘は数え切れないほど存在しているため、
下手すれば途轍もない規模の怪獣軍団を生み出してしまう可能性がある。

●閻魔分身獣 ゴーグファイヤーゴルザ

身長:62m
体重:7万t
別の宇宙でゴモラやウルトラマンギンガと戦った事がある超古代怪獣ファイヤーゴルザに似た閻魔分身獣。
本物のファイヤーゴルザとは異なり、体の色は青みを帯びている。
額から放つ超音波光線や怪力に加えて、体を丸めて敵に体当たりする能力を新たに得ているのが特徴。

ウルトラ戦士との戦いの中でウルトラマンと激闘を繰り広げ前述の新能力で追い詰めるが、
かつてウルトラマンを退けた強豪怪獣であるゴモラゼットンのサイバーカードを使ったXioの援護攻撃に妨害されてしまう。

その隙に体勢を立て直したウルトラマンと再度戦うも次第に劣勢に追い込まれ、
放った光線も八つ裂き光輪(ウルトラスラッシュ)をバリヤーに防がれ、直後に投げつけられたそれを打ち払うも、一瞬の隙を突かれてスペシウム光線を叩き込まれ、ドロドロに溶けて消滅した。マン兄さんマジ器用。


なお、本物のファイヤーゴルザは元々『ウルトラマンX』の第1話に登場する予定だったのだが、
新規怪獣を出したいという監督の意向でデマーガに出番を譲ってしまった経緯がある。


●閻魔分身獣 ゴーグアントラー

身長:40m
体重:2万t
別の宇宙でウルトラマンやウルトラマンマックス、ゴモラなどと激闘を繰り広げた磁力怪獣アントラーに似た閻魔分身獣。
本物のアントラーとは異なり、赤みを帯びた姿となっている。

強靭な顎や頑丈な体の他、背中に昆虫のような羽を生やし空中を自在に飛び回る新能力を得ている。最早アリジゴクではない

ウルトラマンティガやXioの空中戦力を相手にドッグファイトを繰り広げ、スカイタイプになったティガのランバルト光弾を素早い動きで避けるも、リミッターを解除したサイバーバードンの力「バードン・フェニックス・アタック」の一撃を受けた事で羽を失い地上に墜落。
それでも大顎でティガに襲い掛かるが、パワータイプに変身したティガのアッパーカットによって逆に顎の一部をへし折られ、最後はマルチタイプに戻ったティガのゼぺリオン光線の前に敗北。
粉々に砕け散って消滅した。


●閻魔分身獣 ツルギデマーガ(ゴーグツルギデマーガ)

身長:55m
体重:5万9千t
 ウルトラマンエックスを一度敗北に追い込んだ熔鉄怪獣ツルギデマーガと全く同じ姿形をした閻魔分身獣。
 そのためか上記の2体と異なり名称も同じだが、Xioのオペレーター2人は「デマーガに酷似した怪獣」と表現している。

ザイゴーグが世界中に棘を放った事で、中国・上海、スイス・ジュネーブ、アメリカ・ダラス、アルゼンチン・ブエノスアイレス、エジプト・カイロと世界各地の大都市に合計5体も出現。
各国のXioの攻撃準備も間に合わない状況になってしまうが、人々の思いの力によってサイバーカードを介してウルトラマンゼロウルトラマンマックスウルトラマンギンガウルトラマンビクトリーウルトラマンネクサスの5大ウルトラ戦士が召喚された事で、彼らを相手に戦う事となった。

カラータイマーが赤くなる戦士がいるほどに善戦したようだが、ベータスパークアーマーを装着したエックスの力でウルトラ戦士のエネルギーが回復。
最後はそれぞれの必殺光線を浴び、全個体が消滅した。

バトルスピリッツ』で発売されたウルトラシリーズとのコラボデッキにも名を連ねているが、
「熔鉄怪獣」ではなくこの「閻魔分身獣」名義で登場している。

なお、田口監督の裏設定によると、ツルギデマーガの基となった熔鉄怪獣デマーガはザイゴーグ同様「地獄」由来の怪獣らしい。
もしかしたら両種には浅はかならぬ関係があるのかもしれない。

くじガシャポン「ウルトラマン アバレンボウル」では、名称を「ゴーグツルギデマーガ」としている。


※ゴーグドラコ、ゴーグシルバゴン

彗星怪獣ドラコ剛力怪獣シルバゴンに似ているらしい閻魔分身獣。
ゴーグアントラー、ゴーグファイヤーゴルザと並んで登場する予定だったが、登場怪獣が多すぎるという事で没になってしまった。
なお企画段階でティガと空中戦を展開するのはゴーグドラコの予定で、その際の「飛ぶ」という特徴は上記のようにゴーグアントラーへ受け継がれている。


【ソフビについて】

映画上映に合わせてソフビも勿論登場。
『X』本編放送時に発売されていたツルギデマーガのソフビも含め、全ての怪獣が通常のソフビより一回り大きい「ウルトラ怪獣DX」名義で発売されている。

ザイゴーグは塗装が明るすぎる欠点はあるものの、背中の棘や大きな体など迫力満点の造形に仕上がっている。
ゴーグファイヤーゴルザとゴーグアントラーは、現在のソフビの前に発売されていた「ウルトラ怪獣シリーズ」の金型をそのまま使用。
特にゴーグファイヤーゴルザの金型の基となった「ゴルザ(強化)」は一部のデパートのみでしか発売されておらず、期間限定ながらも初の全国販売が実現した。…とはいえ、金型流用の都合上、背中の部分が実際のスーツとは異なる。

後に2019年にはザイゴーグが500サイズで発売された。


バトルスピリッツにおいて】

前述のようにバンダイのTCGバトルスピリッツにて、映画公開一週間後に発売された「コラボブースター ウルトラ怪獣超決戦」に閻魔分身獣全員を引き連れ参戦。
パック全体の傾向としてBPが低く劇中のような殴り合いの強さこそ今ひとつなものの、赤紫(古代怪獣の赤、閻魔の紫)という色の特徴である「手札・トラッシュ全てを使いデッキを高速回転させる」というギミックをフルに活かして閻魔分身獣を次々に呼び出し、盤面をまさに怪獣地獄に染め上げられる。
名前に「怪獣」がないためウルトラマンベリアルなどが持つ怪獣サポートこそ受けられないが、赤や紫、古竜といった既存カードとはかなり相性が良い。
特に「ドラグノ祈祷師(リバイバル版)」でザイゴーグを何度も拾い上げ、祈祷師はファイヤーゴルザで回収するコンボが強烈。

全体的に不甲斐無い怪獣・星人が多かったウルトラ怪獣超決戦の中では、キングジョーと並んで完成度が高いカードとなっている。


【その他余談】

着ぐるみは『ウルトラマンジード』まで使用された後、『劇場版 ウルトラマンR/B セレクト!絆のクリスタル』に登場したスネークダークネスに改造された。




このままでは……地球が追記・修正地獄に……!!

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ウルトラマンX
  • 地獄
  • 大ボス
  • 強豪
  • ウルトラ怪獣
  • 共存不可能
  • 創造主
  • 怪獣軍団
  • 閻魔分身獣
  • エンマーゴ←とは関係ない
  • 劇場版
  • バトルスピリッツ
  • ガハハハハ…
  • 婆羅慈遺跡
  • 秋田県
  • 地獄からの使者
  • 針山地獄
  • 血の池地獄
  • きたぞ!われらのウルトラマン
  • ファイヤーゴルザ
  • アントラー
  • ツルギデマーガ
  • ザイゴーグ
  • 合体怪獣←モチーフ的な意味で
  • ウルトラマンジード
  • 劇場版ウルトラ怪獣
  • ウルトラマン撃破成功
  • 怪獣カプセル
  • 閻魔
  • Xオリジナル怪獣
  • 怪獣
  • トリガーダーク

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年05月03日 09:02

*1 実際にザイゴーグの触手はスフランのものを改造して使用している。

*2 閻魔分身獣を生み出す、エネルギーを吸収するなどの特殊能力もあるにはあるが、基本的には近づけば棍棒、離れれば光線のシンプルかつ隙のない攻撃と、強固な皮膚による防御力を持つ、基本ステータスがただ高いだけでひたすら強いというタイプの怪獣。「殴り合いと光線が強ければ怪獣はそれでOK」というイメージから、との事。