Gダライアス

登録日:2016/06/05 (日) 09:35:45
更新日:2024/03/31 Sun 00:55:15
所要時間:約 20 分で読めます








君は生命(いのち)誕生(はじまり)を見る…





『Gダライアス』はタイトーが開発した横スクロールシューティングゲーム(横STG)。
1997年6月にアーケードゲームとしてリリースされた。通称はGダラ
アーケード用ダライアスとしては第4作目に当たり、そして13年もの間、長らく「最後の完全新作ダライアス」として語り継がれていた(一応汎用筐体用としては現状でも最後)。


ダライアス外伝』と同じく1画面の汎用筐体用として製作されたが、今作ではグラフィックが全編3Dポリゴンで描かれている。
伝統的に重視している格段にグレードアップしており、特にポリゴンならではの造形を生かした画面の中を泳ぎ回る大型戦艦はインパクト抜群。
ただし、当時のローポリでは「やっぱりカクカクなのどうにかならんの?」「刺々しくけばけばしい」という批判もあり、ビジュアル面では3D演出が自然かつ高品質で行われていた前年の『レイストーム』程、高い評価を受けているわけではない。

本作だけにしかない要素も多い。
敵の雑魚を「キャプチャー」して、自機のオプションに使用できるキャプチャーシステム
メタルブラック』から受け継がれたビーム解放システム
全ステージで発生する、途中での進行ルートを決定する分岐選択システム
様々な新要素が投入されたその様子は、はっきり言ってシリーズでは少し浮いた出来になっている。
だが、決して破綻はしておらず、これまでのシリーズで培ってきた演出効果との相乗効果で「独自の魅力」と「シリーズの総決算」を両立している。
異端にして集大成』と呼ぶにふさわしいタイトルかもしれない。

1997年のゲーメスト大賞では総合5位ベストシューティング賞2位(ちなみに1位は『怒首領蜂』)、そしてベストVGM賞では2位に圧倒的な差をつけ史上最高ポイントで第1位に輝いている。
当時、完全に格ゲーにおいてけぼりにされていたSTGだが、そんな状況で音楽賞トップに立ったのだから恐ろしい。
同じく97年刊行の「ゲーメスト ザ・ベストゲーム2」では、それまでの全アーケードゲーム中第11位に入選している(この辺りは所謂「新作効果」も大きかったかもしれないが)。

だが、本作を最後に純粋なタイトー製のアーケードSTGは長く途絶えることになる。理由は格ゲーや音ゲー人気、そしてタイトー特有のバブリーな大型筐体志向。
この頃になると一般筐体を使うビデオゲームはオペレータ(ゲーセン経営者側)から軽視されており、とりわけ回転率が悪いSTGは(よほどの人気作を除いて)露骨に敬遠され、ゲーセンからの撤去が加速していたのだ。
タイトーも以前からデラックスな専用筐体が好みだったのは『ダライアス』『ナイトストライカー』や『電車でGO!』が物語っている。

というわけで、『Gダラ』はそうしたオペレータの要望に応え、推奨1クレジット料金を200円に設定してリリースされた。
当然プレイヤーは不満たらたらで、オペレータ側は自前の値下げを余儀なくされ、ボス戦で粘って稼げる作りのせいで回転率も結局変わらなかったので更にイライラ。
つまり、悲しいことに当時は200円の価値があるとはプレイヤーに思ってもらえなかったわけだが……
更にそうした声に応える形で、『GダライアスVer.2』をリリース。
推奨1クレジット100円、連射機能標準搭載、3面で終わる初心者モード追加、ボス戦では決着までのタイムボーナス追加、と割といいことづくめの説明と裏腹に、
プレイ難度は「金半分でいいからプレイ時間も半分な」と言わんばかりに凶悪化。
プレイヤーからは完全にそっぽを向かれてしまい、早々にゲーセンからも撤去されていった。うーんこの自滅民族。

前作の倍近い数のスタッフクレジットを見てもわかるように、かなりの費用とマンパワーが突っ込まれていた『Gダラ』のこの体たらく。
タイトーは本格的にビデオゲームから遠ざかり始めるが、当の『Gダラ』製作スタッフは上層部の決定に納得しなかった。
かつてジョン・フォードが階段を駆け下り、最終平和兵器を強奪して飛び立ったように、彼らの一部は後にタイトーを退社、独立。
G.revolution――「G.rev(グレフ)」を立ち上げ、プロジェクト・ガンフロンティアから続くタイトーSTGの遺伝子を受け継いでいくのである。

そしてG.revとはまた別の所。タイトーでも失伝したと思われていた本道のDNAが12年の時を経て発掘され、突如炸裂(バースト)するのだが……。
またそれは別の項目で。



ストーリーと登場人物

銀の鳥に導かれ、1つの惑星で起こっていた戦乱を終結させた男がいた。彼の名はアムネリア。
人々は王として即位した彼の名を星の名に据える。そして、代々不思議な力を有したアムネリア王家の元、惑星は繁栄を極めていった。
絶頂期となったのはアムネリア歴547年。時のブレザ王は自らの次元知覚能力を使い、異次元から無尽蔵のエネルギーを得る新技術を発明。自らの名を冠した衛星ブレザへの植民事業を活発化させたのである。

だが、強すぎる力はまた争いを産む。やがてアムネリア本星と衛星ブレザの間では、新たな衛星マーサの所有権争いが勃発した。
戦乱の中で生みだされた、全てを無にする悪魔の力「All Nothing(A.N.)」を用いた戦いの果てに、衛星ブレザは塵と化し、宇宙から消滅する。
時にアムネリア歴609年。自らの愚かさを思い知ったアムネリア人達はA.N.を封印し、平和への道を探り始めた。

アムネリア歴623年。戦乱が完全に終結したこの年、若干14歳でありながら、自らの未来予知能力を使って復興のシンボルとなっていた王家最後の1人、少年王アムネリア25世が王位につく。
だが、彼が就任式で語った言葉は全アムネリア人への警告だった。
備えよ! “奴ら”がやって来る!」 新たに設立(または再建)された宇宙王立軍は徐々に軍備を整えていく。しかし――

アムネリア歴626年。衛星マーサ付近の初戦において、圧倒的戦力の敵軍偵察部隊」の前に、宇宙軍は僅か3時間で壊滅。
“死を司る者”「THIIMA(シーマ)」と名付けられた未知の機械生命体。アムネリア人の間では、彼らは「宇宙の監視者」で、異次元にまで手を出した科学文明を滅ぼそうとする存在ではないかと推測される。そしてその推測は間違っていなかった。THIIMAはA.N.の存在を全宇宙の脅威と捉えていたのだ。
必死の抗戦と調査によって突きつけられる『惑星アムネリアの全文明を結集しても、THIIMAへの抵抗はほぼ不可能』という事実。アムネリア25世は遂にA.N.の封印解除を決意し、ここに回収されたTHIIMAの一部とA.N.を融合させた禁断の戦闘機が誕生することになったのである。

建国の伝説に倣い「シルバーホーク」と命名された2機の戦闘機は、パイロットのサムラック・ライダとルティア・フィーンと共に巡洋艦・エンゼルガードに搭載され、THIIMAが覆い尽くす惑星アムネリアの空へ飛び立っていく。
遠ざかるエンゼルガードを見つめるアムネリア25世は、サムラックとルティアに語りかけるように呟くのであった。

「君らは生命(いのち)誕生(はじまり)を見るだろう……」



惑星ダライアスもベルサーも影も形もないが、これは本作が初代よりも遥か昔、ダライアス史における「エピソード1*1」となるため。
全ての起点(遠因)として定められたのが『G』の物語なのである。
『G』は「Genesis」の略で間違いないだろう。この頃は語られてなかったけど、『バーストAC』で機体名が「Gシルバーホーク」じゃなくて「ジェネシスシルバーホーク」になってるのでほぼ確定。


◆サムラック・ライダ(17)
シルバーホークの原型機・ARCF-06Aのテストパイロットから実戦パイロットに就任した少年。
温厚な性格と自分の意見を通す真っ直ぐさを兼ね備えている。
◆ルティア・フィーン(15)
アムネリア王が自ら選出してきた天才少女パイロット。
戦争で家族を失い、人前ではほとんど喜怒哀楽を見せない。王家の血縁者ではないかと言われているが?

今作の主役コンビは漫画チックなスタイルで描かれている。年齢を見てもわかる通り、この時点で完全に典型的日本のサブカル風になっていたのだ。
Ti2を見た時に「ダラも萌えに走ったか」とか今更ほざいた忘れんぼ共はビーム焼きの刑な


◆THIIMA(シーマ)
端的に言ってしまえば「宇宙平和の守護者」・「神のごとき審判者」ともいわれるザ・人外ズ。
非人間型知性体でハチのような社会集団知性を備え、個体知性は存在しない。
コマンダー(ボス戦艦)、キャプテン(中ボス)、ソルジャー(一般ザコ)というようにクラスわけが行われている。
機械技術が非常に発達しており、戦闘用の個体はマシンと搭乗者の区別がつかないキメラと化している。
鋼鉄のごとき装甲を持ちつつもしなやかな機動性を併せ持つ「有機体」という矛盾の塊な超存在。

前述の特性故か大半のコマンダーは、パーツを破壊されてもすぐに再生してしまう。

本作の後はしばらく歴史から消えるが(後付け設定なので当然ではあるが)、『バースト』のとあるエンディングで再び姿を見せる。
そして『ダライアスバーストCS』において……。


ゲームシステム

一撃死・残機制のオーソドックスなルール。8方向レバーと2つのボタンで自機・シルバーホークを操作する。
Aボタンで メインショット & ボム を発射、Bボタンでキャプチャーボールを発射する。
ZONE(ステージ)は全5面構成と、これまでに比べて大きく減少。しかしステージ道中では、カウントダウン終了時に画面の上半分か下半分のどちらに自機が存在するかで、ZONE内で進行ルートが分岐する。敵出現パターンやボスの攻撃パターンまで変わるため、実質的には1つのZONEで2通りのステージを遊ぶことができる。
クリアごとに次のZONEを2択で選ぶ樹状ステージはこれまでと変わりない。

アイテムを取得してメインショット、ボム、敵弾を防ぐバリア(アーム)をそれぞれ強化していく点、
取得スコアによる残機加算(スコアエクステンド)の代わりに、特定ポイントにショットを打ち込むと出現する1UPが隠されている点、
同じく取得すると画面内の敵・敵弾を全滅させられる隠しアイテム・金アイテムが設置されている点もこれまでと同様。

メインショットは赤アイテムを取ることにパワーアップし、6つ取得するごとに次の段階へレベルアップする。
大まかにはミサイル→敵を貫通するレーザー→敵・地形を貫通するウェーブ。今回は純粋にパワーアップするほど強くなる。
ボムは緑アイテムを取るごとにパワーアップ。3つ取得するごとに投下位置が拡大する。
アームは青アイテム取得で付与され、敵の攻撃や接触でのダメージを肩代わりしてくれる。5つ取得するごとにレベルアップし、アイテム取得時の耐久値回復量が増加したり、地形接触でのダメージを耐えられるようになる。
なお、アームには『外伝』と同じく各レベルで最大耐久力が設定されており、それを超えて回復することはできない。耐久値最大の状態で取ると5000点のスコアアイテムに変換される。
『Ver.2』では何を思ったのか、初期のノーマルアーム(緑)では敵本体との接触に対する耐性がなくなった。 アームを付けていても敵に体当たりされるとそのまま即死してしまうのだ。
そのため、高速ですっ飛んでくる隕石やソリドミサイルに突っ込まれてアームを装備したまま爆散する銀鷹が後を絶たなかった。
ちなみに各アイテムは非貫通の敵弾を防ぐ効果が『初代』以来に復活したほか、取得時には僅かに無敵時間が発生する。
攻撃の激しいポイントでは無理に取りにいかない方が安全な事もあるので上手く使い分けよう。

今作ではZONEごとの難易度にあまり差はなく、明確な初心者向けコースは存在しない。
とはいえ、進行パターンを決めやすいZONEは存在するため、ルート選択も活用すれば個人ごとの「易しいコース」を決めることはできる。三面から難易度が急上昇するのが辛いところではあるが……オメーのことだよマツカサウオ
ボスの行動ルーチンもかなり厳密になっているため、パターンさえ覚えれば突破しやすい作りになっている。覚えゲー化が進行し、過度なアドリブ要素が薄まったところは人によって好みがわかれるが、キャプチャーシステムを使えばある程度の無茶もきくので、ガチガチのパターンゲーというわけではない。
ただし、ミス後のリカバリーについては別。何をするにも「ザコをキャプチャーする」のワンプロセスが必要な分、ゾーン道中はともかくザコが出現するタイミングが決まっているボス戦でやられてしまうと、その後が面倒な事になるので注意。

取得時に50、100、200、400、800、1600、3200、6400、12800、25600、51200点のいずれかがランダムで加算される銀アイテムは今作でももちろん健在。
これまでにも幾多のスコアラーを発狂させた害悪だが、本作では 自機が銀玉に接触する方向で得点のグレードが決まる という恐ろしい仕様が存在する。
特に 後ろから接触する場合は最低の50点から最大の51200点までになるバクチ仕様。 故にケツからブチ当たるプレイヤー続出(そして50点になり悲鳴を上げるまでがお約束)。
多くのスコアラーが血涙を流す羽目になったのは言うまでもない。

キャプチャーシステム

ザコ敵の中には、金色の「ソリドマイド」製装甲で作られたものがいる。こいつらは少しだけ耐久力が高く、キャプチャーボールを弾く特性がある。
では、非ソリドマイドのザコ敵にキャプチャーボールを当てるとどうなるか? なんと全ての敵を自機の追加武装として引き連れることが出来るのだ!
ソリドマイド装甲が一部だけについている中ボスさえも、ソリドマイド装甲にダメージを与えて破壊した後ならキャプチャーできる。

コントロールされた敵は、敵ごとに応じて定められた行動パターンによって動く。弾を撃つ者、前方への壁となる者。自機の後方に固定される者、回りを旋回する者、自機の動きに応じて射撃軸を移動させる者、自機の移動ルートを追従する者。中ボスは格ゲーチックな隠しコマンドを入力することで強力な攻撃を発射する。
彼らには当たり判定とある程度の耐久力が設定されており(耐久力には差がある)、非貫通の敵弾を止める盾になったり、敵にめり込ませて強引にダメージを与える接触武器として用いることもできる。
そしてこのキャプチャーしたザコの攻撃(弾や体当たり)で敵を撃破すると獲得ポイントが2倍になるという、スコアラーにとっては悩ましいシステムが実装されている。どんな敵をキャプチャーすれば効率が良いのか、如何にキャプチャーしたザコの攻撃を当てに行くか、パターン構築の腕の見せ所である。

キャプチャーしたザコの利用法はこれだけに留まらない。
もう一回Bボタンを押すとキャプチャーボムが発動。キャプチャーしたザコを瞬時に起爆、無敵時間と弾消し効果のある広範囲の爆風攻撃を発生させる。これで敵をやっつけると獲得スコアは3倍。
起爆した敵の種類によって爆風の範囲、爆発(無敵)時間がある程度変動する。基本的に大型な敵であるほどキャプチャーボムも強力に。
キャプチャーボムやαビームで消せない攻撃やソリドナイト装甲の敵がいる場面ではαビームよりこちらの方が安全な場合も。
適当な雑魚をキャプチャー→中ボス登場と共にキャプチャーボム発動→無敵時間中に重なって撃ち込み・ソリドマイド剥がす→キャプチャーって動きは定番のパターン。
『Ver.2』では無敵時間が削除された ため、上記の定番パターンが使えなくなってしまった。
爆風の中にいる間はキャプチャーボムで消せる攻撃に対しては実質無敵なため、使いどころを誤らなければ相変わらず強力ではあるが。

Aボタンを押し続けるとαビームが充填開始、完了後にボタンを離すと青いごんぶとビームが正面方向に一定時間照射される。詳細は後述。

デフォルトで3発保持しているキャプチャーボールは、紫アイテムを取得することで補充できる(最大6発)。
満タン状態で取得すると5000点アイテムに変換されるが、それ以外のボーナススコア要素は一切ない。
出現頻度はかなり高いため、道中ではガンガン敵をキャプチャーしていける。しかし前作のブラックホールボンバーの様にごり押しには使えないので、とにかく何でもいいので敵をキャプチャーしておくと安全。

αビームとβビーム

αビームの充填完了までの時間は通常ザコと中ボスで異なる(中ボスは少し長い)。
ちなみに充填途中でAボタンを離すとキャンセルされてしまう。この性質と、キャプチャーザコが吸収されて小さくなっていく(攻撃の当たり判定が無くなる)ことを逆利用し、熾烈なボス弾幕から中ボスを守り温存する小技も存在する。
更に更に、充填を開始すると中ボスの特殊攻撃後のウェイトもリセットされる。普通なら再発射まで時間のかかる特殊攻撃を、充填キャンセルと合わせて早撃ちすることができるのだ。

αビームの発射時間はキャプチャー先ごとに異なるが、Aボタン連打で少し延長できる。
αビームはほとんどの敵弾を打ち消すことができ、更に自機後方を除いて不可視の当たり判定が発生しているので、事実上貫通弾以外には無敵。
キャプチャー絡みのシステムと同じく、αビームで敵を倒すと獲得スコアは4倍、中ボスを使用すれば6倍にもなる。

ビームを放ってくるのはボスも同様。ボスの行動パターンには「βビーム」という赤いごんぶとビームが組み込まれている。
このβビームにαビームを当てると(タイミングを合わせる必要はない)ビームが干渉し、連打合戦となる。
連打に打ち勝てばαビームの発射時間がリセットされると同時に、敵のビームを取り込んだ「αビームカウンター」にパワーアップする。
このカウンターは最大4回まで連続する。その分連打も厳しくなるが、獲得スコアも最大12倍まで増加していくのだ。
ちなみに連打負けすると逆にαビームがβビームに吸収されてしまう。2Pプレーでは打ち返されたαビームもカウンター数に計算されるため、βビーム発射数の関係で本来ならトリプルカウンターが限界のボスに、片方のダブルカウンターをわざと吸収させ、トリプルβビームを相方のαビームでフォーフォールドカウンターする荒技が存在する。

キャプチャー、そしてαビーム周りのシステムは『メタルブラック』を強く意識している。
あちらではビジュアルのみの魅せシステムに過ぎなかったが、『Gダラ』では上手いこと改善されてゲームの軸になっている
ほぼ全画面の太さでぶっ放されるフォーフォールドカウンターの凄まじい光景は必見。

本作のボスはαビームで倒すことを前提に耐久力が組まれており、通常ショットでは倒すのにかなり時間がかかる。
大抵のボスはβビーム発射前にキャプチャーできるザコを放出するため、基本的にはそれを使って勝負を決めることになる。
このため「ボスがβビームを撃ってくるまでの一分前後近く、ほとんど何もしていないのと同じじゃないか」という批判がある。
2P側でゲームを始めると 「単機なのにボスの耐久値が2人同時プレイ時のものが適用される」 バグがあるため、クリア狙いなら必ず1P側で始めよう(逆に極まったスコアラーはボスを生かさず殺さずαビームで炙りたいので2P側を選ぶ)。


そしてスコアラーは残機潰しによるキャプチャーボール補充でスコアアタックを狙うため、次のβビーム発射までのルーチンと相まってプレイが長期化する。
スコアラーのクリア時間は面数が減っているのに『外伝』よりも長い。連打に熱中しぎて爪を割り、コンパネを血まみれにしたスコアラーもいるらしい……。
また、お察しの通り、連射装置が組み込まれた筐体ならビーム干渉は楽勝になる。だから外部システムに依存するバランスは何とかならんかったのか……
相当な連打力が無いと後半のカウンターはまず無理なので、ピアノ打ちなんかが出来なければ非連付き筐体でのプレーはやめておいた方がいい。
しかも全体を通して処理落ちが多いので、最低でも15連と30連が無いと弾が発射されずに死んだり、ビーム干渉で連射ボタンを押しっぱなしにしてるのにこちらが負けた判定となり、太くなったβビームがすっ飛んできたなんて事もある。オペレータ泣かせである。
なぜこうなるかというとビーム干渉の勝敗判定に「各ビームで要求された速度以上の連射ができているか」に加えて「その連射が維持できているか」も条件付けされているため。
処理落ちによって連射装置が正常に機能しなくなると、後者の条件が満たせなくなってしまい、結果こちらが負けという不可解な事が起こるカラクリである。

いずれにせよ、キャプチャーとビームを駆使する、大味にして豪快なバランスが本作の肝と言える。
キャプチャーをケチらないことと、ボス戦では積極的にカウンターを取りに行くことさえ覚えれば、初心者でも馴染みやすいだろう。



評価

今度も滅茶苦茶、動きまくるぜ!

端的に言うと「ポリゴンとテクスチャはかなり荒いが、大胆なカメラワークでそれを補っている」。
背景の地形のテクスチャは正直言ってかなり固い。第1ステージの人工物丸出しの草原や崖で目が痛くなったプレイヤーも多いのではなかろうか。
(そういうソリッド感が逆にいい、という意見もないことはないが)

だが、カメラワークはよく考えられ、プレイヤーを飽きさせない。特に第2ステージの2つのZONEのアングルはかなり凝っている。
道中演出も抜かりなく、場面場面に応じて移り変わる風景は一種の観光ショー気分になれる。とりわけZONE οは伝説と化している。

そしてボスキャラクターはまさしく「機械生命体」と言わんばかりに、画面を縦横無尽に泳ぎ回る。
360°回転を繰り返すデュアルホーン、ヒレで顔を隠すトライポッドサーディン、画面外への突撃を繰り返すアブソリュートディフェンダー、爆雷を放った後の動きが冗談抜きでリアルなG.T.……。
もうこれは画面を見てもらわないとわからないのだが、シューターのみならず「ゲーマーならば一見の価値あり」と言ってしまってもいいだろう。
画面固定型のゲームでこれに匹敵するキャラモーションを実現した作品は、この当時にはほとんどないと言われている。


驚異的サウンド

『外伝』のサウンドはまだ序の口であった。OGRこと小倉久佳の作曲センスは今作で超新星爆発をおこしている。

ZONE αではスタートジングルが流れた後、『外伝』の「SELF」同様いきなりスタート直後でBGM消失。
やっぱりバグではなく、中盤の分岐点まで進めば「G-ZERO」がちゃんと流れ出す。
…流れ出す。
……が、今までの3作と全く違うインダストリアルなサウンドに誰しも口をぽかーんさせるはず。

今回のメロディーは「機械生命体」や「誕生」をモチーフに、電子楽器にしか出せない音・効果音・ジングル、そしてサンプリング音を組み合わせている。
無機質極まりない音の集合体(個々の音を聞くと到底「音楽」は想像できない)が迫力ある壮大な旋律を奏でている作りが不思議。
ゲームミュージックどころか、単体の音楽としてもかなり癖がある前衛的なもののため、初見では面食らう人間が続出する。
作曲者のOGR氏によるとタイトー社内でも賛否両論であったらしい。

だが、ゲームを遊びながら聴き込み、旋律についての自己解釈が進んでくるとその良さがわかる「スルメ曲」と言えるだろう。
ファンの組織票ではありえない(当時はようやくWindows98が広がり始めたところである)ゲーメスト大賞の事実上のダブルスコアが、その人気とクオリティの高さを証明している。

とりわけ評価が高いのは最終面の道中曲「KIMERA Ⅱ」と、ZONEλ以外のラスボス戦曲「A d a m」。
生物を掛け合わせたキメラに対し、生物と機械が融合した新たなキメラ・THIIMAを意識した「KIMERA Ⅱ」は、電子音とストリングスに波の音や吐息などの様々なサンプリング音を混ぜて作られた、生命とは何かを問う(ているはずの)壮大な楽曲。『R-TYPE ⊿』の「生命」と並ぶ2大「命のテーマ」として知られる。
「A d a m」はオーケストラ・ヒットが激しく連続した後、繊細なピアノの旋律と女性コーラスに繋がっていく、本作随一の激しさの中に流麗さを混ぜ込んだ名曲。ラスボス戦(オトシゴ除く)として非常に印象深い曲ではあるが、ゲーセンでは普段無音にされてしまうオープニングデモにも使用されている。最初の方と最後の方で同じ曲を使うお馴染みの演出である。

『外伝』の評価が「これはSTGの音楽なのか?」だったら、『G』は「これは音楽なのか?」となるかもしれなかった。
「単体の音楽」としては『ダライアス』として見ても異質なものだが、「ゲーム自体との親和性」という観点ではしっかり『ダライアス』している。
生命の威厳、生命への敬意、そして生命の哀愁が感じられそうな、どこか不安になる楽曲群である。

かねてよりそうした傾向もあったものの、後に独立するOGR氏のテクノ路線は本作で確立したと言っても良いかもしれない。

ステージ演出――ダライアス エピソード0

西川兄貴:「「G」は、ジェネシスの「G」、そして、ジェノサイドの「G」……」

惑星アムネリアを発進し、衛星マーサと宇宙区間を経て惑星マバハーへ。シーマの最終防衛線があると予想される、とある惑星の衛星カズムンで最終決戦が行われる。
全15ステージにはサブタイトルが割り振られており、その言葉に沿った背景演出が行われる。ちなみにサブタイトルは全て「G」から始まる言葉で統一されている。
これも実際にプレイするか、アーケード版の動画でも見て確認してもらうしかないのだが、『外伝』以上にバックストーリーを感じさせる展開は中々のモノである。最終ZONEの画面転換が唐突とか、最終ZONEのうち2つがかなり使いまわされてるとか、ラスボスの出現演出が単純でひねりが無いとか、納期の都合を薄々感じさせる惜しいところもあるが……。

『外伝』でシューター達をうならせた「音楽と合わせたステージ演出」は、流石に処理落ちの影響が大きい本作で実装するのは無謀と判断されたか、ほとんど見られない。それでもごく一部のZONEでは精一杯の工夫が凝らされている。
特にシリーズ伝統のグレートシング(G.T.)と対決する最終面・ZONE ο「GRAVE OF CULTURE」は「ダライアス演出最大の衝撃」と評されている。
何故ZONE λではラスボス戦で「A d a m」を使わなかったのだろう? おかげでオトシゴはまた影が薄くなってしまった。

本作のエンディングは全てが「誕生・発見」に関わるシリアスなもので占められている。
物語は何時から惑星ダライアスを舞台とするようになったのか、ベルサー軍は何故生まれたのか、…といった、シリーズ誕生の秘話が各ルートに散りばめられている。
ダライアス史として正史となるのはZONE ν「GENESIS」だが、ZONE οも設定上限りなく正史に近い。あの強敵グレートシング達は「実はレプリカでしかなかった」という事実は漁師達を驚愕させた。
「不死鳥のように」を思わせるZONE ξの結末や、初代のラスボス曲「BOSS 7」のアレンジとなるエンディング曲「未来完了 from7」など、初代『ダライアス』へのセルフオマージュも色濃い。
また、ZONE νでは「銀河系のビジョンから異空間へ転移する」「最初から最後まで自機を見ていたボス」「戦闘用THIIMAを生み出すラスボス」など、『メタルブラック』を強く意識した演出も盛り込まれている。


ちなみに『初代』は本作からおよそ2000年後の物語となる(アムネリア歴2402年=ダライアス歴元年。『初代』はダライアス歴201年)。
ダライアス歴元年の時点で、惑星アムネリアはダライアスの伝説上の存在と化しており、以降は現実の地球にとっての本シリーズがそうであったように人々の記憶からも忘れ去られていくことになる。
そして『初代』から更に1700年後、『ダライアスバースト』において再び惑星アムネリアはプレイヤーの前に姿を現す・・・。



移植

移植に恵まれないダライアスシリーズだが、『Gダラ』もやはりPS4、Switchの『GダライアスHD』登場までの長い間完全移植は存在せず、最も仕様が近いPS版ですら癖のある内容であった。
また『Ver.2』の移植はPS版でも没になり、『GダライアスHD』のアップデートまで存在しなかった。

◆プレイステーション版
グラフィック・システム面をほぼ完全再現。代償としてフレームレートが落ち、処理落ちも多い。
更にBGMがルート分岐やボス戦突入前に不自然に途切れるため、音楽とステージの同期がまるでできていない。
また、リアルタイムポリゴンからムービー取り込みに変更されたOP、EDムービーの画質が最悪。
一方、ボスだけと戦える「ボスモード」と、新規OPムービーが1つ追加されている。単体ではよくわからないエンディングを補完する字幕モードや連射機能も搭載されているのは嬉しいところ。
ゲームアーカイブスでも配信されている。アーカイブスや薄型PS2、PS3で遊べば処理落ちはマシになるが、音楽の途切れはどうしようもない。


◆Windows版
アーケード版ではなくPS版を基準に移植されている。オリジナル参照じゃないナンデ……。
解像度が少し上がったが、それ以外は大差なし。

◆PS2版:タイトーメモリーズ下巻 エターナルヒッツ
やっぱりPS版基準だが、処理落ちとBGMの途切れが改善された。
しかしゲームバランス上必要な処理落ちまでもがかからなくなった為、一部の攻撃が回避困難になってしまっている。あれ、Ver.2の移植って存在しないんじゃ…?
BGMもたまにずれる。

◆PS4、Switch、Steam版:GダライアスHD(ダライアス コズミックリベレーション)
PS2版から16年ぶりの移植だが、今回はこれまでのPS版準拠ではない完全新規のフルエミュレーション移植。
移植担当は『ダライアス コズミックコレクション』も担当したM2。
一番の売りはテクスチャを高解像度化したHDバージョンの追加。特にゲーム内のシルバーホークはモデルごとハイポリゴン化されており、変化が分かりやすい。オリジナルの解像度のバージョンももちろん収録。
それに加えてキャプチャーしたザコや中ボスの図鑑モードや、タイトーの大型プロジェクター筐体に本作を接続する事で一部場面でシートが振動する機能の再現というマニアックな追加要素も。
移植度方面ではこれまでの移植版がカバーできなかった処理落ちのもほぼ忠実に再現された他、リアルタイム描写のOP&EDデモ、一部表記やボスの攻撃パターン等の再現が不完全だった部分も補完。
M2ショットトリガーズ恒例のガジェット、連射機能*2、クイックセーブ/ロード*3、オンラインランキング、リプレイ等も完備されておりアーケード版稼働から24年目にして決定版といえる内容となっている。
更に 2021年秋に行われる予定の大型アップデートで『Ver.2』の追加収録が決定。23年越しの初移植が実現した。
…はずだったが、今冬発売予定のSteam版に合わせる形でちゃっかりアプデも延期され、今冬ギリギリの2022年3月31日に実施された。前述のSteam版も同日発売。
この大型アプデでは事前に告知されてた『Ver.2(オリジナル版/HD版)』だけでなく、『for Consumer』としてまさかのプレイステーション版も追加。こちらはPS1本体で稼働させた時のスローリーなゲームスピードやルート分岐やボス前で途切れるBGMもきっちり再現されている変態っぷりを発揮。こんな所再現されて喜ぶ人がいるかは別。
またガジェット追加やトレーニングモード、処理落ち軽減モード、秋葉原HEYで遊んでる気分になれる*4環境音設定等も実装され、無料アプデとしては出血大サービスな内容となっている。
更にSteam版では独自要素としてサブウーファーの対応や 「もし本作が2画面で製作されていたら?」というifを実現させた 『Gダライアス エキシビジョン』を搭載。流石に本編丸々って訳ではなくフォッスル系2体とG.T.戦のみのおまけ的な内容ではあるが、ワイドスクリーンで映し出される巨大ボスは必見。


今から聴くには

『クロニクルセイバーズ』でも大人気の『Gダラ』曲。ダライアスバーストシリーズで『Gダラ』の存在を知り、興味が湧いた人も多いだろう。
ここでは比較的手に入りやすい音源をピックアップした。

●97年版オリジナル・サウンドスコア/iTunes版
現在でも通用する楽曲本来の音質を保持したCD用音源。隠しトラックとしてボス戦警告音も入っている。
OGRのコンセプトに基づいて曲順シャッフルや一部編曲されている。特に「B・T・DUTCH」と「KIMERA Ⅱ」は事実上の完全版と化し、ゲーム中では聞けない前奏・間奏が挿入され、曲自体が2倍の長さになっている。
難点はゲームオーバージングルが入っていないこと。

人気の盤なので希少化しており、CDは今もかなりの高額で中古取引されている。
それを考慮してかZUNTATAはオンライン配信を積極的に推進しており、iTunes Storeで配信されたことで入手難易度そのものは落ち着いた。
気になるアルバムがあれば探してみると良いだろう。

●タイトー レトロゲームミュージックコレクション5 シューティングクラスタ アゲイン
基盤から直録りしたゲームバージョンで、警告音とゲームオーバージングルも収録。
OST盤と比べると、あちらが全体的にボリュームを調整され、低音部の強化が行われていることがよくわかる。
「CAPTAIN NEO」の原曲である『メタルソルジャーアイザック』や、ムラクモシルバーホークの元ネタ『スクランブルフォーメーション』も収録されている。







You will see the creation of new lives.


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最終更新:2024年03月31日 00:55

*1 初代を基準にしてエピソード0か、タイムラインに合わせてエピソード1かは人によって解釈が分かれる所ではあるが、ここでは公式設定資料集の「エピソード1」表記に準拠する。

*2 今回は従来のシンクロ連射だけでなく、処理落ちの影響を受けない現フレーム内の最速連射も用意されている。

*3 こちらもゾーン/エリア選択、ボス戦前といった重要な場面では専用のスロットにオートセーブされるように改良されている。

*4 これだけの為にわざわざHEY店内で録音するほどの気合の入りっぷり。ただし流れるゲーム音は流石にタイトー製のゲームのみ。