ヘクトール(Fate)

登録日:2016/06/03 (金) 12:47:03
更新日:2024/04/09 Tue 12:59:45
所要時間:約 17 分で読めます





やれやれ――だけど、オジサンはねぇ……
守るのだけは、嫌になるほど得意なんだよなぁ!




Fate/Grand Order』に登場するサーヴァント
クラスはランサー。レア度は☆3。


●目次

【概要】

自分ことを「オジサン」と称する、髭を生やした飄々とした男性。
初出はFate/Apocryphaにおけるアキレウスの回想にて。
「オジサン」を一人称とする「髭を生やしてトボけ気味のおっさん」としてイラストこそないものの語られており、
ある程度のキャラ造形はこの時点で固まっていたようだ。


イラスト:BLACK
CV:安井邦彦

【データ・ステータス】

身長:180cm
体重:84kg
出典:トロイア戦争、イリアス
地域:ギリシャ
属性:秩序・中庸
性別:男性
全てにおいて秀でている、優秀な将軍。


◆ステータス
筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具
B B A B B B


【スキル】

○クラス別スキル
  • 対魔力:B
三節以下の詠唱による魔術を無効化。
大魔術・儀礼呪法など大掛かりな魔術を以ってしても傷付けるのは難しい。

  • 騎乗:B
Bランクで魔獣・聖獣ランク以外の乗り物を乗りこなす。
「乗り物」という概念に対して発揮されるスキルであるため、生物・非生物を問わない。

◯保有スキル
  • 軍略:C+
多人数を動員した戦場における戦術的直感能力。
自らの対軍宝具行使や、逆に相手の対軍宝具への対処に有利な補正がつく。
ヘクトールは特に守戦において、高い戦闘力ボーナスを発揮する。
ゲーム中では味方全体の宝具の威力をアップする(1ターン)。

  • 友誼の証明:C
敵対サーヴァントが精神汚染スキルを保有していない場合、相手の戦意をある程度抑制し、話し合いに持ち込むことが出来る。
聖杯戦争においては、一時的な同盟を組む時に有利な判定を得る。
ゲーム中では敵単体に中確率でスタン効果(1ターン)及び中確率でチャージ減少効果。

  • 仕切り直し:B
戦闘から離脱する能力。また、不利になった戦闘を初期状態へと戻す。
ゲーム中では自身の弱体状態解除+HP回復効果。


宝具

不毀の極剣(ドゥリンダナ・スパーダ)

ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1人

ドゥリンダナ、とは「デュランダル」のイタリア語読み。
即ち、ヘクトールはローランが所有する宝具「不毀の極聖」の元々の所有者である。
柄にあった聖遺物は存在しないため、大ダメージを与えるだけの単純な宝具にとどまっているのだが…

不毀の極槍(ドゥリンダナ・ピルム)

ランク:A 種別:対軍宝具


やれやれ、気張るとするか……

標的確認、方位角固定――吹き飛びなぁ!

毀れず(こわれず)屈せず(おれず)歪まず(まがらず)、我が槍は全てを射抜く! 蹴散らせぇ!

不毀の極槍(ドゥリンダナ)』!!


ヘクトールが使用していたという投げ槍(ピルム)は、あらゆるものを貫くと言われていた。
それは、彼が時として柄を伸ばして槍として投擲していたからに他ならない。
剣と槍を同時に使用することは出来ないが、ランサーとして召喚されてもセイバーとして召喚されても、彼は常に剣と槍2つの宝具を所有している。
また、厳密に言うとどちらも真名は「ドゥリンダナ」であり、後半は省略しても、宝具として起動可能。
ゲーム中での性能は、敵全体に強力な防御無視攻撃+防御力ダウン(3ターン。オーバーチャージで効果アップ)である。

FGOでは長らく汎用モーションであったために単なる槍として使用していたが、2019年12月に戦闘モーションが変更され、一部の攻撃において柄を縮めて剣として使用するようになった。

余談だがCBCイベント2023年では、何故かグラフィックが微調整。しかも、どこが微調整されたかは非常に気付きづらく、見ただけでは分からない程

【真名:ヘクトール】

「兜輝くヘクトール」と謳われたトロイア最強の戦士にして最大の英雄。
トロイアの王子でもあり、老いた父王プリアモスの代わりにトロイア防衛の総大将として軍の指揮をとった。
因みに政治家としての側面も持っている。

圧倒的な兵力差を物ともせず、時に軍勢を指揮し、時に自分自身が打って出てアカイアの戦士を討ち取るなど、
ありとあらゆる方法で防衛戦を計り、神々の予想すら大きく裏切り一時はアカイア勢を敗走寸前まで追い詰めている。

アキレウスと竹馬の友であった勇将パトロクロスすらも打ち取るが、
しかしアカイア最強の戦士であるアキレウスがこれに激怒し戦線復帰。彼の圧倒的な武勇によって戦況は押し返されることになる。

それでもヘクトールは挑発を繰り返し、逃げては戦い、戦っては逃げを繰り返して持ち堪えたが、
槍の力で不死性を失ったアキレウスから一騎打ちを持ちかけられてしまう。
最強のアキレウスを打ち取れるかもしれないという欲求が生まれ一騎打ちを承諾。
しかし不死性を失ってなお最強であったアキレウスに敗れ、戦死する。

彼の死後も親友を失ったアキレウスの怒りは収まらず、彼の死体を戦車の後ろに繋げ何日も引きずり回した。
結局父王であるプリアモスが、泣きながら自らアキレウスの元に訪れ「息子の遺体を返して欲しい」と言うまで怒りは収まらず、
最後は我に返ったアキレウスの手でプリアモス王に返され、葬儀が行われた。彼の葬儀を以って、叙事詩「イーリアス」は終わりを迎える。

因みにこのアキレウスの所業に激怒したアポロンの手により、ヘクトールの弟王子パリスの放った弓がアキレス腱に当たり、
その結果アキレウスは死亡することになる。自らの手で打ち取ることは出来なかったが、間接的な死の要因になったのである。

ヘクトールが戦死したことで戦況は完全にアカイア勢の有利となり、
最後は有名な「トロイアの木馬」の計にまんまとかかりトロイアは陥落することになる。
もしも彼が生きていればこんな策略に引っかかりはせず、戦争はトロイア側の勝利に終わっていたかもしれない。
英霊となった後のヘクトール曰く「こんな策に引っかかってんじゃねえよ!パリスも死ぬ気で止めろ!」とのこと。

優れた戦士であるが同時に家族思いの人物でもあり、戦争に負けた後の自分の妻子の処遇を心配したり、
トロイア戦争の元凶とも言える弟のパリスの事も叱りはすれど見捨てはしなかった。もっとも戦後は誰も彼も悲惨な最期を迎えることになるのだが…。
パリスの妻で、その経歴からトロイアでは白眼視されていたヘレネにも優しく接し、周囲の悪口や冷たい視線を柔らかく宥めていたそうで、
後のヘクトールの葬式の席にて、ヘレネからはそのことに対する感謝の言葉を送られたという。


中世ヨーロッパにて彼は騎士道を体現した偉大な人物として讃えられ、
イスカンダルカエサルダビデシャルルマーニュそしてアーサー王らと共に九偉人の一人として扱われている。

James M. Redfieldは著書にて彼の事を「国に殉じた男、かけがえのない日常生活を守るため死んでいった英雄」と述べている。


【人物】

性格は上述した通り、「飄々としたオジサン」である。
物事に対して終始気楽なノリで接しており、ともすればいい加減な人物であると取られても仕方ないが、実際は何時も本気である。

ただ政治家でもあった彼はその本気を表に出すことを極力避けているだけで、気楽でのらりくらりとマスターにも接するが命令には忠実に従うタイプである。
イアソンのような人間の屑相手にも、召喚された義理を最期まで果たす当たり流石の騎士道を体現した九偉人の1人と言うべきか。

戦いに関しては結構リアリスト。
「名剣名槍の類も戦場ではポッキンポッキン折れるし、投擲したら無くなる」という理由から色んな武器を使えたらいいという考えの持ち主。

なので武器にそれほど愛着はなく、
自身の宝具の名前すらまともに覚えておらず、「石一つあれば英雄だろうが人一人殺してみせる」とも言っている。

戦い方も兎に角相手の隙を突くようにしているようで、軽い調子を見せて相手を油断させ、そこを一気に叩くという戦法をとっているようだ。

エミヤ曰く「口ぶりで軽く見せているものの、その槍は鋭く重い。油断した時がこちらの終わりだ」
「あの話術もあっての防衛戦の上手さなのだろう。大英雄アキレウスが敬遠する理由が分かったよ」とのこと。

アキレウスについては「二度と戦いたくない」とのこと。
尤もそれはあちら側も同様の感想を抱いているらしい…のだが、
アキレウスは教師として海賊たちに『集団でひとりをフルボッコ戦法』、通称『無精髭の槍兵を見たら次はこうするッ!』を教えており、
やはり複雑な間柄のようだ。


【ゲームでの活躍】

メインシナリオ

第1部3章「封鎖終局四海 オケアノス」

黒幕側のサーヴァントとして幾度も対峙することになる。
最初は黒髭の客将として「アン女王の復讐号」に搭乗して主人公達の前に立ち塞がる。


実は黒髭ではなくイアソンのサーヴァントで、黒髭が持つ聖杯を奪おうと画策していた。
しかし彼曰く「馬鹿の振りをした天才」である黒髭は中々隙を見せず、結局主人公らに黒髭が敗北した所でようやく隙を見つけ彼を裏切り、聖杯を奪取する。

その後はエウリュアレを狙うが、持ち前の生命力で生き延びていた黒髭らの妨害を受け逃亡。アルゴノーツに合流する。

ヘラクレスの圧倒的な力の前に主人公らは立て直すため逃走するが、その際アステリオスを殺害する。

そして何とかヘラクレスを倒し、最終決戦を挑んできた主人公らの前に再び立ち塞がる。

オジサンも防衛戦にはちょっとばかり自信があってね。
なんで―――総力戦でかかってきな、ガキ。年季の違いを教えてやるよ。

そして本気を出し、遂に最後の死闘を演じることになる。

敗北後は一瞬の隙をつき、エウリュアレを「契約の箱」に捧げようとするが、
アステリオスを殺した彼をエウリュアレが注意を払わないはずがなく、返り討ちとなる。

……けっ。やっぱり慣れない悪役はするもんじゃねぇな。
世界の終わりくらい、弾けようと思ったんだがね。やっぱ頭がダメだとどーしよーもねぇなあ。

そして最期は、トップに恵まれなかった事を愚痴りながらも、トロイア最大の英雄は笑顔で消滅したのであった。


敵としては二度戦う事になるが、第三章に於いてはトップクラスの難敵。
「友誼の証明」で何度もスタンを喰らい、為す術なく宝具であっという間に全滅…と言う例も珍しくない。
そして中途半端にダメージを与えると「仕切り直し」で回復される。
スキル発動の時の「そらよっと♪」が軽くトラウマになった人もいたとか。
場合によってはプライドをかなぐり捨てて令呪を使い、セイバーやバーサーカーの単体宝具で一気に落としてしまおう。
三章時点では手持ちが充実している人はまだ多くないはずなので、入手が比較的容易で単体宝具持ちのカエサル、呂布を育てておくといいだろう。


第2部5章「神代巨神海洋アトランティス」

イアソンの計略により、終盤でアキレウスの消滅が呼び水となり召喚された。
「宿敵アキレウスに頭を下げて頼まれては断るわけにはいかない(意訳)」として、神霊アルテミスの砲撃から身を挺して主人公を庇い、消滅。
またその際、自分の死後にデュランダルを所持することとなったマンドリカルドを「後輩」と呼び、デュランダルを持つことに引け目を感じていた彼の背中を押した。
出番そのものは非常に短期間なのだが、汎人類史の勝利に貢献したのは間違いない活躍だった。


◇幕間の物語

  • ヘクトール 幕間の物語『トロージャン・ガーディアン』
第1部三章で敵対した記憶をぼんやりとだが持っているようで、マシュの見立てでは負い目を感じているのでは、とのこと。
そりゃあアレだけ手こずらされちゃあねぇ…
トレーニングとして主人公とマシュを誘ったのも、
自分がサーヴァントとしてキチンと戦うことを証明したかったのではないか、とのことである。
どこまでも義理堅い人物である。


  • ビリー・ザ・キッドの幕間の物語『荒野の七騎』
1000人のケルト兵から村を守り切る無理ゲーに挑むべく召喚される。守りの戦のプロとしてレオニダス1世と競演し、その暑苦しさに辟易としながらもともに戦った。


  • ブラダマンテ 幕間の物語『拝啓、ご先祖様!』
ヘクトールの子孫である ブラダマンテに尊敬され懐かれる。



イベント

  • 「ダ・ヴィンチと七人の贋作英霊」
贋作英霊として登場。
クラスはライダークラスとなっている。
騎乗スキル持ちであるのに加え、神話での愛馬クサントス、ポダグロス、アイトーン、気高いランボスの逸話などから、
本来の彼もライダークラスの適正は高いので、妥当な変更と言えるだろう。
黒幕から与えられた役割は頭を撫でたりする甘やかし担当で、「海外から帰国したちょっとフランクな血が繋がっているようないないような、フリーダムなオジサン」
いろいろ盛り込み過ぎなのは気にするな!!

黒幕のことを駄々っ子であると認めつつ、そういう所が愛おしいと言う。
そして我が儘を言って信頼を試すという、どうしようもなく不安だからこそ行う黒幕の行動を、
「可愛いだろう?」と言うなど、家族思い、身内思いだった生前の彼を思わせる発言をする。


【コミカライズ『Fate/Grand Order -turas realta-』】

原作ゲーム同様に第三特異点オケアノス編にて登場。作画担当は後のオデュッセウス実装の宝具を見て、「ヘクトールの回想に、自分の想像でトロイの木馬勝手に描かなくて助かった」とTwitterで述べている。
宝具の投げ槍の際はゲーム通り肘からジェットが出るのでシュール

ゲーム以上に悪辣かつ容赦なくカルデアの藤丸&黄金の鹿号を攻め立てるも、最終決戦でオリオン(熊)とエウリュアレの連携に敗北。
ちなみに本作ではメディアに召喚されたことになっている。
メディアのために終始悪役に徹しているためか目が完全に死んでいるのが特徴。

そして続く第五特異点ではカルデアに召喚されたサーヴァントとしてまさかの参入を果たす。目もキラッキラになっている。
オルレアン→オケアノスでゲームどおりに清姫がカルデアにやってくる展開があったため、読者がダビデの参入を想定する中、まさかの抜擢となった(メタ的にもダビデはある人物に近しすぎる)。
カルデアに召喚された当初は藤丸やカルデアに忠誠を誓う気はサラサラなく、なんならその都度藤丸には敵意を見せていた*1くらいだが、イ・プルーリバス・ウナムで藤丸の覚悟に接してからは藤丸を己がマスターと認めた。




【ゲーム中での性能】

同レアランサーの中では最大のHPを持つが、ATKは下から2番目というタイプのサーヴァント。
カード構成はクイックが2枚、アーツが1枚、バスターが2枚で宝具もバスターである。

スキルは支援関係のものであり、「軍略」で味方や自分の宝具発動時に威力を底上げしたり、
「友誼の証明」で相手をスタン、またはチャージを減らし行動を阻害することが出来る。
自分が弱体化したりHPが減ったら「仕切り直し」で回復を図ることも。
2019年12月に「軍略(C+)」が「トロイアの守護者(A)」へと強化され、
宝具威力アップが3ターン持続するようになり、2回のダメージカット効果が付与された。

ランサーだが「騎乗」スキルを保有しているためクイック性能は高め。宝具は全体攻撃+防御低下効果で使い勝手はかなり良い。
宝具強化クエストをこなすとかなり高い倍率で威力が上昇するので、宝具LVを上げやすい星3ということもありかなり威力を出せる。

弱点は上述の通りATKの低さ。そのため素の状態では思うように火力を伸ばし難い事。
加えてスタンやチャージチャージ減少による時間稼ぎやダメージカットによる居直りには優れている反面、無敵・回避・ガッツはないため、
宝具など致命傷レベルの攻撃は撃たれるのを先送りにはできても撃たれた場合は凌ぐ方法が無い、
さながらトロイアの存続には大きく貢献したがアキレウスとの一騎打ちという絶体絶命な局面に持ち込まれた時には為す術がなかった生前を再現したかのような性能となっている。

一応、宝具強化スキルもあるため、ATKの不足はバスター効果を上げる礼装を装備すれば宝具の強化もできかなりのダメージを出せるようになり補える。
「騎乗」持ちのクイックを活かすためにクイック性能を上げる礼装を装備させ、星を量産するタイプにするのもあり。
また敵だった時に連発されひたすら厄介だった「友誼の証明」を活かすために、弱体化成功率アップの礼装をつけることも考えられる。

能力やスキル構成的に華のあるサーヴァントとはお世辞にも言い難いが、防衛戦を得意とする史実の通り、宝具の防御力低下によるパーティーの火力の補強、スキルによるスタンとチャージ減少を絡めた遅延によりサポーターとしてはかなり優秀な性能を持つため、是非とも育ててみてはどうだろうか。





やれやれ――だけど、オジサンはねぇ……
追記・修正するのだけは、嫌になるほど得意なんだよなぁ!

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最終更新:2024年04月09日 12:59

*1 これはオケアノスの記憶を引き継いでいた為