ケーブル(X-MEN)

登録日:2016/04/16 Sat 08:00:46
更新日:2024/01/05 Fri 17:01:39
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ケーブル


「ケーブル(Cable)」Marvel社のコミックス作品『X-MEN』の登場キャラクターの一人。
シリーズを代表する中心キャラクターの一人である。
若手ミュータントチーム、X-FORCEの指導者として知られる。
90年代初めに人気アーティストのロブ・ライフェルドにより創造された。
出自に関しても以前から張られてきた伏線に繋げられる等、当初から重要な働きをするキャラクターとして設定されていたと考えられる。
実際に編集部の思惑通りケーブルは人気キャラクターに成長。
90年代の絶頂期の『X-MEN』人気の中で、ウルヴァリンらと共に個人タイトルを獲得するまでの支持を受けた。

魔神アポカリプスの求めた12人の強力なミュータントの1人。



【プロフィール】

本名:ネイサン・サマーズ(ネイサン・クリストファー・チャールズ・サマーズ)
39世紀の未来で地球の支配者となった魔神アポカリプスへの抵抗軍であるクラン・アスカニを率いてニュー・カナーン王朝(アポカリプスを王とするエクスターナルズによる国家)と戦っていたが破れ、歴史改編の為に現代にやって来た歴戦の勇士。
その半身は、生まれてから間もなくX-MEN本隊から離れていたファーストファイブ(サイクロップスら初代X-MEN)により結成された新チームX-FACTORと月で対決した魔神アポカリプスの捕虜となった際に移植されたテクノオーガニックウィルスに侵されており、その影響を抑える為にも部分的にサイバネ化されている。
X-MENのリーダーであるサイクロップスことスコット・サマーズと最初の妻マデリーン=ジーン・グレイのクローンとの間に生まれた息子であるが、登場してから暫くは出自が伏せられていた事もありネイサン・ディスプリング=アスカニ・サンを名乗っていた。



【大まかな歴史】

ケーブル登場前後の『X-MEN』は、
反ミュータント主義者により負わされた重傷の治療の為に銀河の彼方のシャイア帝国へと去っていたプロフェッサーXより直接の依頼を受けた和解中であった磁界王マグニートーがチームの指揮を執っていた。

しかし、X-MEN本隊も行方不明になっていた上に世界中で激化していた反ミュータント主義者による暴動に巻き込まれた結果、マグニートーの静止を聞かずに飛び出したニューミュータンツ(X-MEN2軍)の1人サイファーが命を落とす事件が起きてしまう。
……この事に心を傷めたマグニートーは、ミュータントの未来を救う「聖戦」に戻ることを宣言し、生徒達の下から去ってしまうのだった。

大切な仲間を失ったばかりか、信頼を寄せていた師にも見捨てられた少年達はX-MENの保護も受けられない中でアウトローとなる道を強いられてしまうが、このタイミングで彼らの前に現れ、教官として導いたのが謎の傭兵ケーブルだったのである。
タイムトラベラーであるという、自らの出自を隠したまま少年達の指導を開始したケーブルの下で急速に鍛え上げられた彼等は、自分達のチーム名をX-FORCEと改め、X-MENの予備リーグであることを自主的に卒業。
後に復活したX-MENや初代X-FACTOR(=活動再開したファーストファイブ)と共闘した時にも、自分達の矜持を崩すことはなかった。

……この後、プロフェッサーXが帰還した後にX-MENとX-FACTORが合流する形で再編された新生X-MENとも尚も距離を置いて活動していたケーブルとX-FORCEだったが、突如として彼らの存在そのものを揺るがす大事件が発生する。
この「エクスキューショナーズ・ソング(処刑人の唄)」と名付けられた、チームの支柱であるサイクロップスとジーン・グレイの誘拐とプロフェッサーXの暗殺未遂から始まった一大クロスオーバーは、Xチーム同士の激突やアポカリプスの復活といった敵対勢力の混乱の末に、事件の首謀者であるストライフとケーブルが相討ちとなる事で決着した。

自らの“邪悪な鏡像”と共に時空の彼方へと姿を消していたケーブルだったが、再び現代へと帰還。
ここで、遂に自らの出自と目的を弟子達に明かしたケーブルだったが、
その直後にX-FORCEのリーダーであるサム達が復活したマグニートーに拉致される事件が発生する。
マグニートーの居城アバロンに乗り込んだケーブルはマグニートーとの戦いに破れて重傷を負うも、マグニートーの陣営に加わる事を拒否したサム達とケーブルの絆は更に強固なものになるのであった。

……こうした中、ケーブル自身にも重大なターニングポイントが起きる。
ミュータント絶滅主義者キャメロン・ホッジらの意識を取り込んだ、凡る生命体の吸収と同化を目論む邪悪な機械生命体ファランクスがXマンション(X-MENの本拠地)を占拠し、X-MENと入れ替わる事件が発生。*1
X-MEN本隊が虜囚となる中で、襲撃を免れていたX-MENの別動隊やサポートメンバーや色々あって捕虜になってた連中が事態の解決に挑んだ。
……ケーブルは新婚旅行中で不在だったサイクとジーンと共に事態の解決に当たったのだが、これを機に記憶の混乱から抜け出した彼等は“自分達が親子”であることを思い出す

即ち、ケーブルこそが嘗ての初代X-FACTORとアポカリプスとの戦いの果てに、テクノオーガニックウィルスの治療の為に未来へと送られたサイクの息子ネイサンであり、更には新婚旅行中のサイクとジーンが体験した未来への意識の転移により、サイクとジーン自身が親として育てていたネイサンの成長した姿であり、未来からアポカリプスに支配される世界を改編する為にやって来たタイムトラベラーでもあったという事実を知ることになるのだった(年齢差が逆転していたのもこの為)。

……これらの情報と伏線は明言を避けつつも数年間に渡り小出しにされていたことだったので読者には暗黙の了解であったが、こうして出自が明らかになったケーブルは以前は距離を置いていたX-MEN本隊との関係を深めて中心メンバーとして活躍するようになり、主に父サイクロップスに従い、激化するミュータントを守る戦いを支えている。


近年の展開では妄想が暴走したバカ姉弟(スカーレットウィッチ&クイックシルバー)が引き起こした大規模な現実改編(「M-DAY」「ハウス・オブ・M」)により多くのミュータントが力を失い、解決後もミュータントの出生率が低下する事態が発生。
サイクの指揮の下で、混乱の中で初めて生まれた新たなミュータントの子供=メシアを守る戦いをX-MENが制すると共にケーブルが養父となった。

未来世界での戦いの果てに、現X-FACTORを逃がすべく犠牲になったと思われていたが復活。
自らを苦しめていたウィルスも克服したとされているが……?



【能力】

怪人物Mr.シニスターが求め続けたサイクロップスとジーン・グレイ(マデリーン)の遺伝子を受け継いだ子供であり、シニスターの予測通りにミュータントとしての潜在能力は史上最強のレベルにある内の一人。
本来は母親と同じく、極めて強力なテレパシーとテレキネシスの使い手である筈なのだが、前述の様に誕生直後に植え付けられたテクノオーガニックウィルスの影響を抑える為に能力の大半を無意識に回している為に、普段は数々の実戦で得てきたサバイバル技術と重火器類を用いている(格闘ゲームではそれだけでも矢鱈と強かったが)。

出自が明らかになるまでは未来の技術を利用したボディスライド(テレポート)が目立つ位で、純粋なミュータントパワーと云うと簡単なテレキネシス程度しか見せた事が無かった為に、読者からも「弱い」と勘違いされていた。

しかし、前述の様に記憶の混乱を脱した後には本来の強力なサイオクニスクパワー(精神能力)を発揮する様にもなり、使い方こそ粗削りなものの、プロフェッサーXやジーンと比較してすら、基礎的なパワーが桁外れな域にあると思えるような描写すらある。
何しろ、単純なパワーならばMARVELヒーローの中でも「最強」を謳われる1人であるシルバーサーファーとも互角に渡り合えるのだから凄まじい。(他にも、オンスロートに操られたハルクの猛攻を弱体化した状態で凌いだりもしている。)

常に光り続ける左目も特徴だが、いざというときにはここから光線(オプテイック・ブラスト?)を放つ事も可能。

ただし、本来のパワーを使いすぎるとウィルスの抑制が弱まり半身が歪に巨大化してしまう等、ハンディを背負っているのが弱点と言える。


【関連人物】


■プロフェッサー

嘗てのケーブルが拠点としていた巨大宇宙船グレイマルキンのメインコンピューター。
現代の人間に出自を明かしていない頃のケーブルにとっては、唯一の相棒と呼べる存在だった。
後に無人となったグレイマルキンはマグニートーに奪取されてアバロンに魔改造されてしまったのだが、前述のサム達を助けるべく潜入した際にケーブル自身の身体にダウンロードされる形で救われている。
因みに、後年の設定の補足にてグレイマルキンとは未来世界で改造された後の姿であり、元々は初代X-FACTORがアポカリプスより奪取して使っていたシップ=元々は天空族セレスティアルズの宇宙船であった事が判明した。
……なんか物凄い経歴のメカニックである。


サイクロップス

ジーン・グレイ

X-MENの支柱的存在。
現代ではケーブルの子供と云ってもいい年齢だが、前述の様に父母。
ジーンは直接にネイサンを産んではいないものの、ネイサンの母親であるマデリーンの本体であり、また、色々とあってマデリーンの記憶も吸収している為に母親としての自覚がある。
更に、前述の通りに未来世界への意識の転移によってスリムとレッドを名乗って実際に親子として生活してきた記憶と絆も持っているため、面倒臭い性格のジーンもネイサン=ケーブルのことは実の息子だと認識している。
ケーブルのコードネームも、現代へと帰る前にサイクの残した「未来を繋ぐ者たれ(ケーブル)」との言葉からネイサン自身が名乗り始めたものであった。


■キャノンボール

本名:サム(サミュエル)・ガスリー。
自らの肉体を炎の様なフォースフィールドに包み空を飛ぶ人間弾丸。
初代X-FACTORのリーダーで、ケーブルにとっては一番弟子とも呼べる存在。
ケーブルが現代にやって来たのは、未来世界で重要な働きをする彼を導く為でもあった。
実は、アポカリプスと同じく不老不死のミュータントであるエクスターナルズの資質に目覚めており、39世紀にはアポカリプスの軍勢に加わっていると考えられている。
ケーブルがサムに特に目をかけていた(注視していた)のも、そのためだと考えられる。


■ドミノ

ピエロみたいなメイクをした傭兵美女で、ケーブルの現代に於ける恋人でもあった。
運を自分に引き寄せるという、変わったパワーを持つ。
パートナーとして、共にX-FORCEの指導に当たっていた。
AOA世界での悪女ぶりは未だに語り種になっている程。
ケーブルとは戦場で知り合っており、この傭兵仲間には日本でもすっかりと有名になったデップーさんも居る。


■メシア

本名:ホープ・サマーズ
「M-DAY」以降、初めて生まれた新世代ミュータントにして、ミュータントの未来を救う救世主となると目されている少女。
近くにいるミュータントのパワーを無制限に高めて模倣してしまえると云う反則的な能力を持つ他、フェニックスパワーの宿主の資格をも持つ。
養父であるケーブルにより、未来でバリバリの武闘派ヒロインに育つと共にサマーズ姓を引き継いで帰還。
養父ケーブルとの絆は深いが、祖父となったサイクとはサイクが色々とやらかしている時期なので微妙な関係。


■X-MAN

本名:ネイト・グレイ
AOA世界からやって来たサイクロップスとジーンの息子で、平行世界の自分とも呼べる存在。
正史世界への転移直後に争い、ケーブルが勝利すると共に命の恩人となり、何だかんだで理解しあう仲に。


■タイラー(ジェネシス)

ケーブルの息子。
……なのだが、アポカリプスの虜となり洗脳されて後継者に仕立て上げられた。
現代にやって来てアポカリプスを復活させようとしたり、ダークライダーズを率いて二代目アポカリプスを名乗ってウルヴァリンを改造しようとしたりと悪事を働いた末にウルヴァリンに殺害されている。


■アスカニ

月面での初代X-FACTORとアポカリプスの戦いの最中に現れた未来からやって来た女戦士。
ウイルスを植え付けられたネイサンを預り、39世紀に連れ帰った。
未来でアポカリプスの軍勢に立ち向かうクラン・アスカニの一員。


■ストライフ

未来世界で臓器移植用に作られていたネイサンのスペアボディがアポカリプスに奪取されて1人の人間として育てられた存在。
しかし、人間性の欠片もないアポカリプスの下で育てられた事で、自らの運命を呪う復讐鬼となり反逆した。
未来世界でニュー・カナーン王朝、クラン・アスカニとの三つ巴の争いを繰り広げるが破れ、矢張り歴史改編を狙って現代にやって来た。
MLF(ミュータント解放戦線)を率いる。
当然の様に仮面の下はケーブルそっくりであり、それを利用してプロフェッサーXの狙撃を行った。
クローンとは云え、ケーブル由来の強力なパワーをウイルスの影響なしに使える強力なミュータントである。


アポカリプス

数千年前のエジプトで誕生した、史上最強格にして不死のミュータント。
39世紀までには「適者生存」の世界を実現し、不死のミュータント(エクスターナルズ)達の支配するニュー・カナーン王朝を率いて圧政を敷いている。
現代ではケーブルらの存在を知らなかった筈だが、後に事実を知ってからは現代でも仇敵として認めて喜んでいる。


デッドプール

愛称デップー。報酬次第で敵にも味方にもなるおしゃべり傭兵。
ケーブルとは紆余曲折あって勝手に相棒になり、二人を主役にした「ザ・ケーブル&デッドプール」シリーズが4年も続いた。
なお、デップーに関してケーブルは「最低の相棒で最低の友人で本当に大嫌い」と嫌悪感を示している。



【ゲーム『MARVEL VS. CAPCOM 2 NEW AGE OF HEROES』】

プレイアブルキャラクターとして登場。
本作ではテクノウィルスに侵されており、勝利ポーズでも苦しんでいる。
かなり対戦バランスの悪いゲームなのだが、その中でもケーブルはセンチネルストーム・マグニートーに並んでの最強格。
ぶっちゃけキャラ単体性能であればそこまで強くは無い。他の強キャラにも不利が付くレベルで、特に最上位他3人と違い「空を飛べない」のがかなりの痛手。
だが、9割のキャラに有利を付けるセンチネルに大幅有利であることが彼を最上位ランクへと押し上げているといっても過言ではない。
とにかく超必殺技「ハイパーバイパー」の性能が優秀。特に空中版では発生が早く硬直もほとんどなしというぶっ壊れ仕様。おまけに低空ハイパーバイパーから低空ハイパーバイパーにつながるため、一度喰らったらゲージが無くなるまで喰らい続ける。逃げながらスキを見てこれを打ちこむのがケーブルの強さ。
アシスト技も対空アシストが割込みに優秀なためこちらも強い。
欠点はゲージ依存の高さと近距離戦の貧弱さだがそれらを差し置いても最上位ランクに入れる程長所がヤバい、それがケーブルなのである。


【映像媒体において】

テレビ東京でも放送されたカートゥーン版「X-MEN」でもゲストキャラとして登場。
吹き替えは玄田哲章が務めた。

実写映画「デッドプール2」にも登場。
MCUで最大のヴィラン・サノスを演じたジョシュ・ブローリンが寡黙なキャラを熱演。
吹き替えは大塚明夫が務めている。



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最終更新:2024年01月05日 17:01

*1 ※SFではお馴染みの自己進化と擬態、同化能力を持つ全体意識を共有した生命体