NHK大河ドラマ

登録日:2016/04/15 Fri 03:14:25
更新日:2024/04/13 Sat 00:29:52
所要時間:約 75 分で読めます





NHK大河ドラマとは、NHKにて一年間に渡り放映される大型時代劇である。
日曜の夜に45分×50話前後という大枠を取って放映される珍しい大型ドラマ枠である。


+ 目次


概要

連続テレビ小説に遅れること2年、1963年から現在まで50年以上に渡って制作・放映されている。

当初は大型時代劇と呼ばれていたが、二作目以降新聞で「大河ドラマ」の異名が付き一般的に呼ばれるようになった。
NHKも1977年辺りから公式に大河ドラマの名称を使用している。

地上波は日曜20時からNHK総合にて放送されているが、BSでは日曜18時、2019年からはBS4Kでも日曜朝9時からそれぞれ先行放送されている。
また、本放送を見逃しても、翌週の土曜13時からも先週回の再放送を行っている他、
動画配信サービス「NHKプラス」「NHKオンデマンド」でも放送終了後から最新話が配信されている。
また、BSやAbema、CSで時々過去の大河ドラマが再放送されることもある。

長く続いているだけあり視聴率やクオリティに対するハードルは高め。
現在他局のドラマの場合、視聴率は二桁取ることさえ至難だが、大河ドラマの場合10%前半であってもメディアからは「視聴率低迷」と評されることもある。
一方で高評価を得た場合は、キャストやスタッフにとっても大きな実績になりうるチャンスでもある。
キャストの演技は勿論のこと、脚本や劇伴(特にテーマ曲)なども注目され、他作品で実績のある錚々たるキャスト・スタッフが揃うことも多い。
また、舞台となった地域や登場人物ゆかりの地が賑わうこともある。

大河ドラマはあくまでも「史実を基にしたドラマ」なので、架空の人物が物語に絡んできたり、
歴史上無名の人物が物語の主要人物になったりと、史実に必ずしも忠実ではない演出も多い。
というかむしろその脚色と演出こそが「大河ドラマをどう面白くするか」と言う重要な鍵となる。
一方史実に忠実な部分はしばしば「すでにネタバレされてる」等と逆にネタにされることも。

こうして日本における「時代劇」のイメージを定着させ、民放のテレビ時代劇が壊滅状態となった現在では地上波でレギュラー放送される時代劇として貴重な存在となっている。

舞台

舞台となる時代は、概ね戦国・安土桃山時代か幕末が多く、時折源平争乱や忠臣蔵が混ざると言った塩梅。
変わり種で1980年代中頃に放送され、第二次大戦期を描いた「山河燃ゆ」などもある。

舞台となる地域はテーマ、地域、時代、主人公プロフィールなどが偏らないよう日本各地になるため、
各自治体で大河ドラマの誘致活動が行われており、地域によっては「〇〇(歴史上の人物)の大河ドラマ化を願う会」といった誘致団体を設けている例も少なくない。

1年間放送されるため経済効果は莫大なものがあり、舞台となった地域では放送期間中に様々なイベントや大河ドラマに因んだ臨時の展覧会が行われるほか、
近接する交通機関でのラッピング電車・バスの運行や、NHKにおいてもスピンオフのようなドキュメンタリーの放送、場合によっては民放でも特集されることがある。
但しこれらの経済効果もドラマの視聴率やクオリティに左右されるのだが。


出演者

主演俳優は他作品で実績を積んだ人物が起用されることが多く、2000年代後半以降はホリプロ所属俳優が起用される例が多い。
脇役には黎明期から現在まで声優のキャスティングも比較的多数行われている。
ちなみに主演最多は西田敏行の4作品。

俳優にとっては長いスパンで演技を見てもらえるので飛躍のチャンスであり、脚色と俳優の演技がマッチすれば大いに株を上げることになる。
しかし、一年近くスケジュールを拘束されるため、大河で悪評を被るとしばらく他の仕事がなくなる上に評判だけが加速度的に悪くなるという諸刃の剣でもある。

ナレーションを含めた最多出演者は江守徹の19作、西田敏行の15作、石坂浩二の12作と続く。
西田敏行は先述の通り主演が4作もあるため、「ミスター大河ドラマ」とも称される。
西田敏行、西田敏行に滅ぼされる」という年表コピペを見たことある人も多いのでは。


その他

予算は他のテレビドラマと比しても潤沢な方ではあるが、大抵は序盤にド派手なロケ撮影を敢行し、終盤は屋外のシーンもスタジオ撮影で済ませる傾向が強い。
このため合戦シーンが終盤に来る場合、だいぶ妥協したクオリティになるか、過去作品からの使い回しと合わせて簡単な内容になることが多い。
エキストラを多数集めて軍装や鎧を着せるのは至難の業だから仕方ないね。

NHK公式サイトの歴代作品一覧表ではNHKのマスコット「どーもくん」が各作品ごとに主人公のコスプレをしており*1
『源義経』版は牛若丸・『義経』版は武将義経と主役被りがある場合は違うコスをしたり、『春の波濤』等女性主役では女装したり、
『花燃ゆ』だけ和服版と洋装版の2種類いたり、『真田丸』では忍者連れだったり、『新選組!』では拳を口に入れようとしたりと以外に芸が細かい。

なお、2009年から2011年までの3年を掛けて大河ドラマ枠で放送された坂の上の雲に関しては当該項目を参照。


作品リスト

昔は収録用のテープが2インチと呼ばれる貴重品で、再放送に関する著作権制度も確立されていなかったため使いまわすのが常識であり、全話が完全に残されているのは1978年の「黄金の日日」以降となる。
それ以前の作品はNHKに1話程度しか残っておらず、全話の再視聴は絶望的となっている。
一方出演俳優やどこかの旧家や施設が録画していたテープが発見されることもあり、それに望みをかけよう。
また、NHKの番組公開ライブラリーでは現存回や総集編が公開されているが、
2019年現在『山河燃ゆ』・『八代将軍吉宗』・『元禄繚乱』・『八重の桜』の総集編公開はされていない(他は『軍師官兵衛』まで公開済み)。

1963~1969年



1970~1979年



1980~1989年



1990~1999年



2000~2009年



2010~2019年



2020~2029年



最後に。本シリーズは「史実を基にした」ドラマではあるが、当然その史実が後世に書き換えられているものだってある。
そのため、史実を基にしたドラマかつフィクションと思った方が断然いい*31
もちろん程度はあるだろうが、別段その時代の研究者等でもないのにムキになって細かなところまで粗探ししても、
「ドラマの内容にそこまで本気にならなくとも」と苦笑されるのが大半であり、楽しく見るのが一番である。
多少の差異なら笑って流すくらいの心持ちで楽しみ、
もしも個人的に許せない差異があったとしても、だからといって楽しんで見ている人を不快にさせるような振る舞いは避けるべきであろう。


追記・修正は、大河ドラマはフィクションだと割り切れる方がお願いします。

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最終更新:2024年04月13日 00:29

*1 一人じゃ足りないときは「うさじい」と「たーちゃん」が加わる。

*2 一部なら「琉球の風」の第一話のみ横書き

*3 他のオリキャラ主人公大河は主人公周辺と実在人物・歴史的事件が絡み合って進み、2019年の『いだてん ~東京オリムピック噺(ばなし)~』は大正・昭和時代が舞台だが実在人物を主人公としている。

*4 ここから小林綾子も本作に出演

*5 さすがに「ゴールデンタイムであんまりそれやっても」と思ったらしい

*6 野武士と戦う為に侍を雇う、戸口で不意打ちして侍を選別、豪雨の中の決戦で次々と倒れていく仲間たちなど。原作小説でも野武士と武蔵が小競り合いをするシーンはあるがこんな展開ではないし、時代劇ましてや大河ドラマでこれをやるとパロディですらなくなってしまう

*7 ただし、史実で維新志士の面々が剣術修行や藩命などで江戸に来た時期と合致はしており、住居や道場の位置などから、天然理心流師範で度々江戸の各剣術道場に顔出ししていた近藤が顔合わせしていてもおかしくはない…という想像を膨らませることは出来るっちゃあ出来る。

*8 年間を通してなら『山河燃ゆ』以来22年ぶり

*9 そもそも戦国時代に軍師らしい軍師という概念があったかもわからない

*10 2010年代序盤から中盤は日テレの、2010年代後半はテレ朝(制作は大阪の系列の朝日放送テレビ)の番組が躍進したのも大きい

*11 大泉洋は同時期「水曜どうでしょう」で高知まで行かされたり龍馬コスをしたりとちゃっかり便乗させられていたり、自身でも楽屋での福山の言動のモノマネをちゃっかり自分の定番ネタにしていたりするのだが

*12 歴史考証の小和田哲男は、「分かりやすい演出にしたいというスタッフからの要望があり、『少しなら』ということで折り合いをつけたが、完成版では想像以上に炎上しており、今年一番のショックだった」「学者仲間からも散々苦情を言われた」と述べている

*13 例えば上述したように近江・大坂・江戸を簡単に行き来するなど、当時の交通事情等を考えればまず有り得ない。

*14 八重の桜の初回と真田丸の第二話、青天を衝けの初回

*15 しかも本人は結局本編には1回も登場しなかった

*16 その一方で桶狭間の戦いの影響が井伊家に与えた影響を上手く描けていないという意見もあるが

*17 主要人物の戦死・暗殺、御家乗っ取り、戦で焼け野原になるetc

*18 『いだてん』でも中断があったが、こちらは統一地方選や参院選による開票速報や日本が進出したラグビーワールドカップの準々決勝を放送する事情があり、それ以外の特番は放送されていない。因みに以前開票速報が大河ドラマが放送される当日の夜に行われる時は、編成状況によって大河ドラマを一時間早く放送する措置が取られることがあった

*19 尤も、描き方次第では韓国を不必要に刺激する国際上デリケートな問題ゆえ、仕方ないと言えば仕方ないのだが

*20 時系列的には『春の波濤』終盤から始まり、『山河燃ゆ』の時代を経て『いのち』後半あたりで終わる(『いのち』最終回時点で本作の主人公2人は既に他界)ストーリーとなる。

*21 以前から「顔が似ている」と噂されていた吉田鋼太郎との2ショットが実現したことも話題を後押しした

*22 しかもいわゆるお使い展開の多さに、視聴者からは往年のファミコンRPGとかけて「十兵衛クエスト」と呼ばれた

*23 写真が残っている徳川慶喜も草彅剛とかなり似ており、セットで取りざたされることも。

*24 同様の現象は『花燃ゆ』と『あさが来た』でも発生しているが、『あさが来た』の方が幕末から始まる変則的な作りであったのと逆に、こちらは『青天』が昭和に至るまでを描いたことで発生した

*25 ちなみに、同じNHK系列の歴史番組である『英雄たちの選択』でも松重氏はナレーションを担当しているため、同番組の『どうする家康』関連の回では一瞬石川数正として話そうとしたり、城郭考古学者として有名な千田嘉博先生と数正所縁の城にロケに行ったりしていた。

*26 門をくぐってから城までに目測で1kmぐらいの広場がある

*27 最終回にて、三代将軍徳川家光の乳母である「福(春日局)」役として登場している。

*28 一応、将軍としての誇りと意地を見せる場面もあり、終盤には穏やかな姿も見せているが

*29 タイトルにある「光る君」も、『源氏物語』の主人公・光源氏と、そのモデルの一人とされる道長を指しているとのこと。

*30 ただし、ちやは…というより紫式部の母は史実では「紫式部が幼い頃に亡くなった」ことしか分かっておらず、道兼に殺されたというのも創作である。また、忯子の死についても歴史書『大鏡』には兼家が策謀を走らせたとあるが、実際に呪っていたのかは不明。

*31 『いだてん』では「事実を元にしたフィクションである」ということが明記されている。