ポディマハッタヤさん

登録日:2010/04/02(金) 19:41:21
更新日:2024/02/07 Wed 20:34:24
所要時間:約 3 分で読めます





ポディマハッタヤさんとは、福音館書店の「たくさんのふしぎ」シリーズの一つ『一本の鉛筆の向こうに』(1985年刊、作・谷川俊太郎、写真・坂井信彦、イラスト・堀内誠一)に登場するスリランカ人の男性。
小学4年生の国語の教科書(光村図書)に収録*1されていることもあり、日本一有名なスリランカ人……かもしれない。
教科書はともかく、原典はちゃんと売っていたり図書館にあったりするので、もう一度読み返してみても良いだろう。

教科書を開くと掲載されている、ポディマハッタヤさんが上半身裸で発掘作業する姿……それはまさに毎年全国の小学生の腹筋を崩壊させていることだろう。
今でも学校で(あるいは小学校を卒業してン十年の人々の間でも)話題になるときがある模様で、鉛筆の原料の木材を運搬するトラック運転手トニー・ゴンザレスさんと、ビール好きの木こり*2ダン・ランドレスさんに並ぶ有名人と言える。


名前について

名字が不明で、ポディマ・ハッタヤなのかポディ・マハッタヤなのか日々議論になっている。
シンハラ語で書くとだとපොඩි මහත්තයා。
ポディが「小さい、年下の」、マハッタヤが「おじさん、Mr.」くらいの原義だそうだが、通称的なニックネームなのか本名なのかは謎である。
ともあれ、教科書の写真の説明でポディマハッタヤさんと書かれているからなのか、ファンからは『さん』付けで呼ばれている。
って上の語義通りならこれ重言なのでは……?
その記憶に残る名前は小学生の間で絶大な人気を誇り、地域によってはあだ名に使われた事もあるらしい。


人物と家族

職業は鉱夫。ボガラ鉱山で鉛筆の黒い部分の原料の発掘に従事している。つまり、小学生の武器の一つである鉛筆はこの人無しでは作れないのだ。
もし君の回りで悪ふざけで鉛筆を折る躾のなっていない糞ガキがいたら、一発「スリランカに行ってポディマハッタヤさんに謝ってこい!」と叱り飛ばしてしまおう。

主食は豆たくさんのカレー。毎日食べているらしいので、大好きなのだろう。
7人家族で、息子の一人はサマンタくんという名前らしい。「いつか父親の仕事が継ぎたい」と言っている親思いのお子さんである。


余談

スリランカの日本語学校に息子と共にゲストでやって来たこともある。

都市伝説で2003年に落盤事故で亡くなったというデマが流れたらしいが、アンサイクロペディアでは生存していると書かれている。結果的に後述の通りデマだった。

2011年の『ケトル』誌にポディマハッタヤさんのインタビューが掲載され、無事に生存確認。
当時、多くの小学生から手紙が送られてきて驚いたこと、鉱夫を引退し、レンガ工場で働いていることなどが語られた。
mixiでも生存が確認されていたらしく、家族と一緒に元気に暮らしているとの事であった。

2018年には世界一周中の日本人が、友人から「スリランカ通るならポディマハッタヤさんに会ってこいよ」というフリを受け実行。言語の壁があろうと暖かく対応してくれる、そして自慢の家族の話をたくさんしてくれる笑顔のおじいさんだったそうだ。
なお息子のサマンタくんは結局跡を継がなかったらしい。
ちなみにポディマハッタヤは本名でフルで下の名前であることが判明。苗字はラテン語表記でWAだそうな。
ポディマハッタヤさんをポディマハッタヤさんと呼ぶことに間違いなどなかったのだ。

死去

しかし2021年9月3日、新型コロナウイルス感染症によってこの世を去った事が明らかとなった。お子さんが管理するFacebookアカウントには日本人からも追悼メッセージが寄せられた。
またトップ画像は「いっぽんの鉛筆のむこうに」の表紙と扉絵で、氏とご家族にとっても日本との交流には深い想い入れがあったことがうかがえる。


追記・修正は、一本の鉛筆の向こうに思いを馳せてお願いします。

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最終更新:2024年02月07日 20:34

*1 教科書は各校が選ぶため、光村図書出版の教科書は採用されていない場合があるし、されていても年によっては収録されていないこともある。

*2 ちなみに現在は差別用語扱いになるので「木を切り出す人」と呼んだ方が良いとのこと。