芭月涼

登録日:2016/03/01 (火曜日) 00:00:00
更新日:2023/12/15 Fri 19:08:01
所要時間:約5分で読めます





「基本に通ぜし者、精髄に至る。……いくぜ!」



CV/モーションアクター:松風雅也(ゲーム版及びアニメ版)
1968年11月29日生まれ 18歳
射手座 O型 176cm 65kg 


【概要】

セガが開発したドリームキャスト用のゲーム「シェンムー」シリーズの主人公にしてプレイヤーの分身となるキャラクター。
神奈川県は横須賀、山の瀬の芭月武館で生まれ育つ。幼い頃から芭月流柔術を習い、心身ともに鍛えられているが、道場の跡を継ぐ気はあまりない。
18歳の誕生日に父・巌を殺害され人生が一変する。横須賀中央高校に通っていたが父の死後登校しておらず、
心配した同級生に進路を尋ねられると「空手部のある大学がいい」などと返している。
父を殺した武術の達人・藍帝を追い、真相を突き止めんとする復讐の旅が「シェンムー」シリーズのストーリーの骨子となる。
「シェンムー3」のキックスターターで実施された人気投票では1位を獲得した。

【戦闘スタイル】

芭月流柔術*1をメインに、八極拳、燕青拳、太極拳、果ては無骨な喧嘩殺法すらジャンルを問わず習得していく。
シェンムーの原型がバーチャRPGだったせいか、その戦闘スタイルには結城晶との共通点が見て取れる。
松風雅也氏のインタビュー動画によると、八極拳の独特の構えと一般的なファイティングポーズから「芭月涼構え」を考案したようだ。
(設定としては「知らず知らずのうちに八極拳を習得している」とのこと)

天才的な潜在能力を持っており、達人の技を見る、受けるだけで習得が可能であり、挙げ句の果てには「技書」をひと目見ただけで技を習得してしまう程の才能を持つ*2

その腕は若いながら習熟しており、一章の横須賀編ではほぼ無双の状態であり、苦戦する場面すら無い程。しかし、武術の達人が集う香港へと上陸した二章であるシェンムーⅡではボコボコに打ちのめされたり、達人には手も足も出なくなる等、同作品人間を辞めた極道達とは違ってまだ人間の範疇である。3ではぶっ飛んだ強さになる可能性はあるが。
というかあの船旅の短期間に中国語がペラペラになってる彼の語学力こそがチートとも言えるのだが。

【外見】

白いTシャツに虎がプリントされた茶色い革ジャンを羽織り、ジーンズにスニーカーといういでたちで、ゲーム中では(時には就寝中でさえ)基本的にこの服装で過ごしている。
スポーツマンらしいツンツン頭で幼少の頃から「イガグリ涼坊」と呼ばれていた。
頬につけている絆創膏は、本編開始以前に出場した武道大会の決勝戦で負傷したときのものである。
体つきはがっしりしており、見る人が見れば武術を習っていることは一目瞭然。腕利きのタトゥー職人に「彫らせてほしい」と惚れこまれているとかいないとか。
良くも悪くも人物造形がリアルなシェンムーの世界でも男前の部類であり、密かにモテているらしい。

【家族構成】

3歳のころ母親が病死。父・巌から本格的に武道を習い始めたのは七歳の頃。厳格な父に対し反発もあったが、父として武術の師として尊敬していた。それだけに殺された傷跡はかなり深い物があった(後述)。
母を亡くしたころから住み込みで働いている稲さんや、住み込みの門下生である福原(福さん)とは家族のような関係を築いている。
稲さんや福さんは涼を「涼さん」と呼ぶため、ファンからも「涼さん」と呼ばれることがある。

【性格】

基本的に真面目だが、『友』を助ける為ならば法を犯す事もある*3。物事を武術になぞらえて考える癖がある。
また、『目の前で藍帝に父親を殺された』という事実に対する傷跡は深く、復讐の為ならば危ない橋を渡る事も厭わず、犯罪スレスレの違法行為にすら手を染める事もあった。

(例:立ち入り禁止の倉庫で不法侵入する、事情があったとはいえ『友』である貴章を襲う等*4)

その姿勢を窘められる事も多々あったものの、それ程までに彼にとっては『父親を奪われた』という事実は大きかったのである。事実、旅によって彼も成長し、多くの師匠や『友』と出会ったものの、最後まで窘められ続けようとも決してその考えを曲げる事は無かった。彼もまた悲しき復讐鬼の一人なのだ。
…果たして藍帝と『立ち会った』時彼はどうするのか……それはまだ誰にも分からない。

シェンムーには重要な情報が記録される「メモ」というシステムがあり、何から何まで書き込む『メモ魔』である。…というか、人が誘拐されて時間が無い状況ですらメモを取るほど。
そのせいなのか、それとも書道を嗜んだ父の影響なのかは不明だが、字はかなり綺麗。
礼儀作法はきちんと教え込まれているが、無礼な相手にはそれ相応の態度(つまりケンカ)で接する。
(原因の大半は相手方にあるにせよ)ボコった相手を締め上げて情報を聞き出すシーンが多く、一部からは「尋問のプロ」と恐れられている。
正義感が強く、頑固で負けず嫌い。どちらかと言うと理論的に考えたり、理屈をつけたりするのは苦手で、行動する方が早い。
その性格と若さゆえの無鉄砲さが災いして「マヌケなスクールボーイ」呼ばわりされトラブルに巻き込まれることも少なくない。
『シェンムーⅡ』では老師に復讐心から来る焦りを見抜かれ、「今の貴方に備わっているのは武徳の『功』と『胆』だけ」などと言い当てられてしまうが、
武術家から武徳――即ち、『功』『胆』『戒』『義』の4つの武術家としての心構えを学び、その後もさまざまな人生経験を積むことで成長していく。
昔はニンジンが嫌いだったが、父の言葉をきっかけに苦手を克服したようだ。

【人間関係】

ドブ板の住人には顔なじみも多く評判も上々。近所の子供にも懐かれている。
不良やチンピラに絡まれても地元では負けなしで「スカ高の芭月」などの異名をとる。
女性に接するのはやや苦手で、幼馴染の少女・原崎の好意に気づきつつもぶっきらぼうに接してしまう。
同級生、子猫、トマトマートの店員、貿易会社のお嬢様、占い師、ピカチュウ声のロリ、謎の中国人美少女などギャルゲーも真っ青の個性的な女性陣に行く先々でモテまくるが、子供のころに初恋を友達に冷やかされて喧嘩をしてしまったことから、本人は未だに色恋沙汰が苦手なようだ。 
涼と「愛すべき友」との出会いもシナリオの醍醐味であり、横須賀の華僑・陳貴章やギャングの頭・レンとの共闘を名シーンに挙げるファンも少なくない。

一見するとストイックで硬派なイメージを持たれる涼だが、復讐を忘れ女性キャラを一日中付け回したり、ゲームセンターに入り浸って1コインクリアを目指したり、耳からコーラを一気飲みしたり、稲さんからもらったお小遣いをガチャガチャにつぎ込んだり(ガチャガチャに興じるときの表情は心なしか緩んでいる)などジャンル名「FREE」を体現したプレイスタイルも可能である。なお春まで遊び呆けていると藍帝直々に殺害される模様。

【主な技】


【手技】
  • 虎菱
虎菱は鼻と口にあるツボ、いわゆる「人中」を狙う技である。所謂ジャブだが、全てのコンボの起点になる技。

  • 水月突き
前進すると共に中段突きを放ち、さらに踏み込んで逆の手で突く。芭月流柔術の基礎の技であり、福さんはこの技を3年間やらされ続けた。
熟練度を上げると、踏み込んでさらに肘打ちを食らわせるようになる。この技を基本に通じるまで最強にしても残念ながら最強技にはならない。

  • 重ね当て
相手に密着させた掌をもう一方の掌で激しく叩く事で威力を浸透させる荒業。かつて父である芭月巌と手合わせしていた古武術の達人、山岸成夫から教えて貰った。

  • 鎧通
芭月巌が中国から持ち帰った技。足腰の回転で生じた力を叩き込む。道場の隠し部屋の中に技書として眠っていたのを発掘して習得した。

  • 小檎打
太極拳の技の一つで、足腰の捻で発せられた力を掌に伝えて打ち込む。太極拳の達人、陶健民より教わった。

  • 冲捶
八極拳の基本技で最重要の技。腰の回転を利用して突きを放つ。文武廟の道士、劉漢輝と互いに技を見せ合った際に教えて貰った。

  • 喧嘩アッパー
後ろに大きく下がって身を縮め、前進するとともに全力でアッパーを放つ豪快な技。労湾碼頭で働く港湾作業員、洪徳林から習った喧嘩の妙技。
……もはや技というにもおこがましい代物だが、こんなモノまで習ってしまう辺り涼さんの武術マニアぷりが分かる。ちなみに一応新聞に取り上げられる程度の奥義ではあるらしい。

  • 外門頂肘
八極六大開の一つ。相手の攻撃を捌き、体勢を崩して側面から頂肘*5を打つ大技。復讐の手がかりを追うべく、九龍城へと死に急ぐ涼に、窘めると共に、「死なないように」と老師である紅秀瑛より伝授された奥義。実質二章の最強技であり、最後のボス、斗牛に対しての決め技でもある為、プレイヤーの印象も強い技でもある。


【足技】
  • 旋風
体を沈め、軸足を中心に急旋回し、もう一方の足で相手の足を払う技。
飛騨の高山にある、中国と交流があったという道場から発見された技書にかかれていた技。
この技を鍛えておけば、とある一章の屈指の強敵を簡単に打ち倒せてしまう。

  • 燕旋降脚
燕青拳の足技の一つ。身を引く事で相手を誘い込み、払うように蹴る技。『友』である陳貴章から習った技。

  • 竜巻キック
空中で回し蹴りを出したあと、遠心力を活かし、もう一回転して蹴りを放つ荒業。竜巻キックと書いて、トルネードキック。ベストフレンドであるトムから習得した。流派は不明だが、世界各国をヒッチハイクで巡っていた頃、『中南米を旅してた頃に知り合った友人から怪しげな格闘術を習った』との事であり、恐らくはカポエラの蹴りだと思われる。

  • 燕旋擺柳
カウンター技。燕青拳の技で、攻撃を受け流すと同時に、相手の足を蹴って倒す、高度な技。香港へと渡航しようとする涼に「手助けになるように」と陳貴章の父である陳躍文から授けられた燕青拳の奥義。
一章最強の技だが、いかんせんカウンター技なので使い難い印象を受ける。


【投げ・掴み技】
  • 裏芭月
相手の側面から接近し、相手を半回転させながら投げ落とす技。やっと柔術らしい技である。

  • 巴投げ
柔術でも古典的な技。自分が後方に倒れながら、相手を後ろに投げる技。わりとポピュラーな技だかそこは芭月流すかさず打撃の追い打ちが入る。

  • 虎身崩し
一瞬、身体を低くして力を溜め、瞬発力を持って相手に強烈な頭突きをする技。由緒ある寺に伝わっていた古伝の技、らしい。

  • 朧無双
相手の腕関節に数ヶ所同時にダメージを与える、複雑な高等技。とある柔術家が技書こそ残したものの、あまりの難易度に誰も習得が出来なかったといういわくつきの技だが、天才的な才能を持つ涼さんの手にかかればこの通り。

  • 影身&影刀
相手の攻撃をかわし、背後に回り込む技。影刀はそこから無防備となった首筋に手刀を打ち込む。『芭月流』を知る謎のホームレス、水木省三がかつて『師匠』に習ったという謎の技。

  • 残月
相手の攻撃をかわすと同時に死角から急接近し、体当たりする技。こちらも恐らく師匠から水木省三が習った技だと思われる技だが、依然流派は不明。

  • 斜行
相手の後方に足を進めるのと同時に豹手で顎を打ち倒す太極拳の技。小檎打を陶健民に教えた老年の武術家、李桂香より教わった。
自分の技を受けて覚えろだの、いきなり実戦で使ってみろだのかなりの無茶ぶりをされるが、それに応えてしまう涼さんも涼さんだと思う。

  • 摔法
本来の意味自体は『投げ技』という意味。色々な方向に好きなように投げ分ける高度な技術。光武館の道場主、玄周善が友人である李桂香を地上げ屋から助けてくれたお礼として芭月涼に授けられた技。

  • 連手砲
連続で素早く直突きや裏拳を上段、中段に放つ高度な連続技。中国の河北省に伝わる翻子拳の技。香港の魔窟、九龍城砦にある『虎視武術』に技書として売られていた。集団戦の主力になる強力な技。

  • 閻王三点手
八極拳八大招式の一つ。目や喉を素早く3回突く技で、恐ろしい殺傷力を持つ絶技。魔槍ではない
九龍城での戦いを生き延びて無事帰還した涼が、老師である紅秀瑛より伝授された新たな技。文武廟の奥に巻物として保管されていた物を頂いた。(恐らくかなり貴重な代物。)
恐ろしい破壊力を持つ2章最強の技だが、残念ながら2章でこの技を使う場面は無い*6

……そしてリアルタイムで14年もの歳月が経過した頃、ようやくシェンムー3が発売。これで日の目をようやく見る……!!
…かと思いきや、そもそも3では過去作のシステムが一新され投げ技というジャンルそのものが廃止されるというまさかの憂き目に合い、その結果存在そのものが無かった事にされるというとんでもないオチが待っていたのだった……いくらなんでも酷すぎる


【その他】
  • 聴頚
目だけでなく、全身の気配を使って相手の気配を感じる高度な技術。九龍城にある百子楼503号室に住む、かつて『芭月巌と共に技を交換しあった』という胡弓弾きの武術家より伝授された技。
『心の目』を開き、視覚に頼る事なく気配で相手を探り攻撃する為、暗闇などの視界不良内でも平常通り戦える。…ただしゲーム的にはフレーバーテキストのようなもので、習得しても何の意味も無かったりする。
こんな超能力じみた技まで習得してしまうのだから3でどのような技を習得してもおかしくはない。


【外部作品への出演・クロスオーバー】

■『ソニック&オールスターレーシング』(日本未発売)

バイクとフォークリフトでまさかの参戦。
バイクはとあるイベントで友人から借りたもので、免許を取得したような描写は特にないが難なく乗りこなしている。法律的には難があるというレベルではないが。
(父親があの人なので当然と言えば当然かも知れない)

フォークリフトは旅費稼ぎのバイトで誰もがお世話になる存在で、
「涼=フォークリフト」と刷り込まれているシェンムーファンは、
あるとき鈴木裕氏が自身のツイッターにフォークリフトの画像を投稿しただけで色めき立ったそうだ。


「親父、見ててくれ!」

ソロユニットとして参戦。時系列的には一章直後たが、他の参戦キャラ同様異様に強い。香港は修羅の国か何かか?
香港に渡る直前にシャドルーに奪われた鳳凰鏡を取り戻すため、春麗&シャオユウ組とほぼ同時に参戦する。
『シェンムー』シリーズ出典の敵キャラやステージが登場しないため濃すぎる面子の中では影が薄くなりがちだが、
往年のアーケードゲームに興味を示したり、鋭い突っ込みで唯一無二の存在感を醸し出しているため涼さんファンはご安心願いたい。
PXZ2の設定では現代の時代の人物として設定されており、同世代のはずの桐生ちゃん真島の兄さんとは年齢に開きが出ている。
リュウケン組、晶&影丸組、一八組と組ませると同じ格闘家でもそれぞれ違った趣の掛け合いが楽しめる。
エックスゼロ組との掛け合いでは「気弾技を覚えたい」と相談を持ちかけることも。まぁ、確かにエックスは波動拳を撃ってはいるが…。
偶然なのか必然なのか、父によく似た遊びの道を極めた男とも面識があるようだが、残念ながら中の人ネタは無し。

ソロアタックでは虎身崩し、重ね当て、水月突きなど次々と技を繰り出し、締めは「裏芭月」で敵を横方向に吹っ飛ばす。時期が時期なので外門頂肘や閻王三点手等の技は残念ながら無し。
クロスヒットのタイミングが掴みにくく敬遠されがちだが、ブロック無効やバックアタックダメージ↑などのスキルを上手く使うことで高ダメージを狙うことができる。
残念ながらフォークリフトで蹴散らす事は出来ない。
「愛すべき友を持て」や「原崎のお守り」といったスキル名にホロリと来るファンも多いのではないだろうか。
終盤のとあるマップではYAKUZA組と共にベガに挑むことになるので、
事前にトレモでコンボ練習、シロ!



涼「『追記・修正』…、ちょっとやってみるか」
  [>[追記] [修正]
     [やめる] 


この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • シェンムー
  • ゲーム
  • セガ
  • SEGA
  • ドリキャス
  • セガの本気
  • ドリームキャスト
  • PXZ2
  • 主人公
  • 松風雅也
  • 神奈川県
  • 横須賀市
  • 涼さん
  • 一級フラグ建築士
  • 見稽古
  • 見稽古←ではない
  • 原石
  • 復讐者
  • 一級フラグ建築士←一級フラグクラッシャー

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年12月15日 19:08

*1 とはいえ柔術というのは名ばかりで、殆ど打撃技がメインなのだが。きっと恐らく我々が知る柔術と芭月流柔術は大きく違う流派なのだろう。実際彼と手合わせをした武術家が柔術と聞いて首を傾げるシーンがある。

*2 PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEWWORLDではその事を仄めかした際には、リュウやケンから驚かれている。

*3 劇中では幼馴染である原崎望が誘拐されたとはいえ、無免許でバイクに乗っている

*4 とはいえ本気で倒そうとした訳では無く、復讐の手がかりを得る為にわざとやられるようにと貴章に耳元で言っていたが

*5 肘打ちの事

*6 本編で使うことはできないが、シェンムーコレクションのバトルモード限定で使用することは可能。