マン・オブ・スティール(映画)

登録日:2016/02/23 Tue 22:31:03
更新日:2024/03/29 Fri 22:16:59
所要時間:約 11 分で読めます







新スーパーマン、始動。


誰もが知るヒーローの、誰も知らない誕生の瞬間。







『マン・オブ・スティール』とは、13年に公開された米映画。
DCコミックス出身の、伝説的コミックヒーロー『スーパーマン』の三度目の実写映画化作品である。
監督は『300』、『ウォッチメン』のザック・スナイダー。製作は『ダークナイトトリロジー』のクリストファー・ノーラン。脚本は『バットマン ビギンズ』、『ダークナイト』のデヴィッド・S・ゴイヤー。

本作は、『ダークナイト』トリロジーの世界的成功を受け、クリストファー・ノーランが独自の路線でDCコミックスの人気ヒーローを再映画化した作品で、
リチャード・ドナー監督作品の『スーパーマン』シリーズとも、『スーパーマンII』から分岐したもう1つの続編であるブライアン・シンガー監督の『スーパーマン リターンズ』とも一切関係ないリブート作品として製作された。
スーパーマン:アースワン』を下敷きに製作のノーランや監督のスナイダーの作風を受け、全体的にスーパーマンらしからぬリアルかつダークな世界観が特色。
また、ザック・スナイダー特有のダイナミックな動きを伴う迫力の戦闘シーンが見物となっている。
『ダークナイト』とは毛色が違う作品なのだが、スーパーマン版ダークナイトのような宣伝が為されたために肩透かしを喰らってしまう人が続出し、評価としては賛否両論

そして、本作の成功を受けて、本作を起点とした、DCコミックスのキャラクターによる新たなる映画レーベル『DCフィルムズ・ユニバース/DC Extended Universe』が打ち出された。
平たく言えばDC版アベンジャーズ。(と言ってもそもそもヒーローチームは原作でDCの方が先に登場させているのでマーベルの方はむしろ後追いなのだが)複数のDC映画を同一世界観で映画化し、ゆくゆくは『ジャスティス・リーグ』としてクロスオーバーさせる一大プロジェクトである。
詳しくは項目の最後に。



【物語】

宇宙の果てにある、金属で覆われた惑星・クリプトン。
資源の枯渇によって星は滅亡の危機に瀕していた。
過激派のゾッド将軍は軍事拡大を主張し、クーデターを起こしたものの、星の幹部・ジョー=エルの反抗でそれは水泡に帰す。
ジョーは自然出産で産まれた我が子に、クリプトン再生の要となる「コデックス」を託し、銀河の彼方の星・地球へと送ったのである…。

…それから33年。
ジョーの息子は地球人の夫婦に育てられたが、生まれつき持った特異な能力に苦悩していた。
青年の名はクラーク・ケント。目の前で父を亡くした彼は、自分の持つ力を生かすためにも各地をさ迷い歩く。
そんな中、クラークはカナダで発見された謎のUFOの存在を知り、自分の持っていた「コマンドキー」で、そのUFOを強奪する。
そして彼は、ジョーの残留思念から、自分の出生と、「地球人の希望」として課せられた使命を教わるのだった。

…そして、地球の衛星軌道上に謎のUFOが出現。
その正体は、クーデターの罪で追放され、ジョーの息子の足跡を辿ってきたゾッド将軍だった。
ゾッドは、侵略されたくなければ、ジョーの息子を差し出せと地球に迫る。
やむなく自ら名乗り出るクラーク。だが、ゾッドが地球に危害を加えようとしていることは明らかだった。

果たしてクラークは、人類の希望=超人≪スーパーマン≫となりえるのか…。



【登場人物】

演:ヘンリー・カヴィル/吹き替え:星野貴紀
クリプトン人最後の末裔にして、地球人に育てられた男。
生まれつき持つ怪力、飛行能力、超感覚といった特異体質と、それによる周囲の偏見の目に苦しんでいた。
しかし、育ての両親が明かした自分の生まれと、感覚の慣れ方を覚えて落ち着きを取り戻し、心優しい青年へと成長する。
だが、その矢先に父が死に、ショックで家出して放浪の旅に出て、人助けを繰り返していた。
そんな中、自分の同胞と思しき宇宙船が発掘され、それを強奪し、自分の本当の父親の残留思念に出会い、クリプトンの現状を知り、エル家の戦士のスーツを託される。
ゾッドの地球侵略を止めるためにも、自ら名乗り出て穏便に済ませようとするが、彼らの目的が地球の植民地化であることを知り、
全力で彼らを倒し、人類の味方をすることを決意する。
幼い頃から地球の大気に囲まれて育ったため、クリプトン星の大気に慣れないものの、逆に地球では超人的能力を発揮できる。
彼のスーツに刻まれた「S」はエル家の紋章で「希望」の意。軍人を助けたことを機に、「スーパーマン」の愛称で呼ばれることになる。


  • ロイス・レイン
演:エイミー・アダムス/吹き替え:中村千絵
大都市メトロポリスの地元新聞「デイリープラネット」の記者で、ピュリッツァー賞も受賞している名ジャーナリスト。
カナダでのUFOの取材に行った先で、怪力を持ち目から光線を出す男に助けられ、彼の出生を明かそうと独断で追い続ける。
やがてその男=クラークと出会い、彼に個人的に興味を持つようになる。
ゾッド将軍の侵略の際に、クラークとの関係が政府にバレ、特別相談役としてクラークとのアドバイザーとなり、親密を深めることに。
その後の戦闘でも、スーパーマンの手助けをしたり、その都度ピンチになって助けられたりした。
クラーク=スーパーマンの関係を最初から知っているのが旧シリーズとの大きな違いである。


  • ゾッド将軍
演:マイケル・シャノン/吹き替え:広瀬彰勇
クリプトン星で最も強力な軍人。
星の未来を案じているのはジョーと同じだったが、彼の場合は他の星の文明を滅ぼしてでも移住を強行しようとしたため、ジョーとは対立していた。
そして、無視を決め込む元老院に対し軍事クーデターを発動。しかし、そのために必要なコデックスをジョーに奪われ、未知の星へと送られてしまった。
その後逮捕され、ファントム・ゾーンでの永久追放の刑に処されたが、クリプトン星の消滅に伴いファントム・ゾーンを抜け出し、
クリプトン文明を再興出来る星を探し続けていた。
そして、ジョーの息子が辿り着いた地球を発見し、彼を味方に引き入れ、地球の大気をクリプトン化して文明を再興させようとする。
だが、クリプトンを裏切り地球の味方をするカル/スーパーマンに怒りを募らせる…。
悲壮な動機とスーパーマンにボコボコにされる姿から、彼に感情移入した者も多い。



  • ファオラ=ウル
演:アンチュ・トラウェ/吹き替え:田中敦子
ゾッド将軍の副官。
美人だが、強力な戦闘力を持つ冷酷な武人。
異種族を庇うスーパーマンを見下している。


  • ジョナサン・ケント
演:ケヴィン・コスナー/吹き替え:津嘉山正種
クラークの育ての父親。正義感溢れる、熱い意思を持つ。
ある日空から落ちてきたポッドに乗っていた赤ん坊を実の息子の様に育て、
クラークが落ち込んだ時には彼の出生を明かし、使命を諭しながら希望を与えていた。
しかし、青年となったクラークと口論になった時竜巻に遭遇。
避難誘導で最後まで残り、飼い犬を助けに車に戻ってしまったことで犠牲になった。
このことが、クラークの中にトラウマを残してしまう。


  • マーサ・ケント
演:ダイアン・レイン/吹き替え:塩田朋子
クラークの育ての母親。優しく暖かい心の持ち主。
超感覚で生活に苦しむクラークに、「狭い世界」を想像させて周囲に慣れさせた。
息子の選ぶ道を尊重し、一人の人間として見守る。


  • ペリー・ホワイト
演:ローレンス・フィッシュバーン/吹き替え:石塚運昇
デイリープラネットの編集長で、ロイスの上司。
当初はロイスの「宇宙人の男」の話をまるで相手にしていなかったが、それが現実のものとなった。
ワールドエンジン発動時、メトロポリスの惨劇に居合わせ、編集員たちの避難誘導にあたる。


  • ネイサン・ハーディ大佐
演:クリストファー・メローニ/吹き替え:てらそままさき
宇宙船の発掘の指揮を執っていた軍人。
スーパーマンに対しても敵性異星人の疑いを持ち、街中での戦闘でも敵ごと攻撃しようとしたが、逆に彼に命を救われたことが契機となり考えを改める。


  • スワンウィック将軍
演:ハリー・J・レニックス/吹き替え:石住昭彦
空軍所属。世界で発生した異星人出没の事件に関わる。
異星人の宣戦布告&別の異星人の出頭といった事件にも慎重に対応し、人類の平和を第一に考える。


  • エミール・ハミルトン博士
演:リチャード・シフ/吹き替え:中博史
発掘された宇宙船の調査をしていた研究者。
ゾッドやスーパーマンといった異星人にも冷静に分析し、敵の戦法について対策を練る。


  • ピート・ロス
演:ジョゼフ・クランフォード
クラークの小学校時代の同級生。
かつてはクラークをいじめていたが、バス転落事故でクラークに助けられ、彼の親友になる。
現在はレストランの従業員。


  • ジョー=エル
演:ラッセル・クロウ/吹き替え:井上和彦
クリプトン星の権威ある科学者で、カル=エル / クラークの実の父。
滅びゆく星の将来を憂いて、住民の異星への移住を推奨してきたが、他の文明を滅ぼすことを良しとはしない穏健派。
そんな中、ゾッドのクーデター発生時に自然出産で産まれた息子・カルに、
残された人々の希望となり彼自身に己の進むべき道を選択させるためコデックスを移植。
知的生命の存在する地球へと送り、その報復としてゾッドに殺された。
その後、クラークが持っていたコマンドキーを通じて、残留思念としてクラークやロイスと会話し、彼らの手助けをする。


  • ララ・ロー=ヴァン
演:アイェレット・ゾラー/吹き替え:泉裕子
ジョーの妻で、クラーク(カル=エル)の実の母。
長年行ってこなかった胎内妊娠で、息子カルを出産。
夫の意思を尊重し、息子を地球へと送る。最期は崩壊するクリプトン星と運命を共にした。



【用語集】

  • クリプトン星
遠い銀河の果てにある星。
金属に覆われており、星のデバイスは流体金属製で出来ている。
旧作とは異なり、未知の生物も共存している。
鉱物資源が豊富だったが、晩年には資源を採掘し尽くし、星の崩壊が促進。
星間移住も検討されてきたようだが、手頃な星も発見できず、元老院も腐敗したため失敗に終わり、最終的には一人と追放された囚人達を除いて全滅した。*1

  • ジェネシス・チェンバー
通常、クリプトン人の産まれる人工子宮。
遺伝子情報を内蔵した石「コデックス」から得られた遺伝子情報により、生まれる子供には最初から適正職業が与えられ、それに沿った人生を送ることになる
ジョーはこの制度を拒否し、自分の息子は自然出産で産ませ、人生を選択させるようにした。

  • コデックス
ジェネシス・チェンバーの要となる遺伝子情報の詰まった石。
金色の模様が刻まれた上半分のみの黒い頭蓋骨を思わせる形状が特徴。
ジョーに奪われ、息子・カル=エルの細胞に融合させられた。

  • ワールド・エンジン
ゾッド将軍の宇宙船「ブラックゼロ」から分離した巨大兵器で、ブラックゼロとニ体一組で使用する。
惑星の両半球に二体をそれぞれ設置し、強力な重力波を両方から繰り返し放ち、惑星に塵埃を充満させ大気成分を化学的に変える「テラフォーミング」装置。*2
いわゆる巨大ミキサーである。





【DCフィルムズ・ユニバース/DC Extended Universe】

本作は兼ねてより計画されていたDCコミックスヒーローのアッセンブルチーム「ジャスティス・リーグ(以下JL)」の起点となった。
というのも、『バットマン』シリーズや他DCヒーローの細々とした映画化も手伝って、JL自体は企画自体はあったものの、幾度も頓挫しなかなか実現には至らなかった。
しかし、『ダークナイト』トリロジーの成功やMARVEL社の『アベンジャーズ』の大ヒットが後押しとなり、本作の製作と成功により、DCコミックスヒーローの映画ユニバース化が決定。
ちなみに日本の公式は『DCフィルムズ』だが、アメコミファンの間では『DC Extended Universe』と、名称が今もブレている。
次に製作が決定したのが、本作の直接の続編となる『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』。
バットマンはノーラン版とは無関係の再リブート設定である(尤も、ノーランも同作に製作総指揮として参加しているが)。
ワンダーウーマン、サイボーグらJLのヒーローやレックス・ルーサー、ドゥームズデイなどメインヴィランも登場し、実際はアッセンブル作品に近い。
更にハーレイ・クインやデッドショットなどの悪役・マイナーヒーローを集めたチームが主役の『スーサイド・スクワッド』、『バットマン vs スーパーマン』に登場するワンダーウーマンを主人公とした『ワンダーウーマン』、アッセンブル作品『ジャスティス・リーグ』が公開。
この他にも『アクアマン』『シャザム!』『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』『ブラック・アダム』『シャザム!神々の怒り』などが展開されている。
……が、スナイダーやノーランらメインクリエイターの降板や、サイボーグ/レイ・フィッシャーとのトラブルやフラッシュ/エズラ・ミラーの不祥事といった俳優陣の問題、『ジャスティス・リーグ』(劇場公開版)における制作上の紆余曲折のマイナスイメージ、安定しない作品評価から迷走を繰り返し、マーベル・シネマティック・ユニバースのようなクロスオーバーを念頭に置いた作風から次第に独立性の高い内容へとシフトしていくことになった。
なお、これらの作品の世界観は同一設定だが、『ジョーカー』『THE BATMAN -ザ・バットマン-』といった映画作品や現在放映している『アロー』、『フラッシュ』等のドラマは別世界設定である。
※ドラマ内ではクロスオーバーするが、映画とドラマ間は独立している。また、クロスオーバーするのは『アロー』『フラッシュ』『レジェンズ・オブ・トゥモロー』『スーパーガール』。『ゴッサム』は独立時空で、『スーパーガール』は世界線を越えて共闘している。



ゾッドとの戦いは、さらなる試練の序章にすぎない。





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最終更新:2024年03月29日 22:16

*1 ゾッド達のクーデターが鎮圧された後のシーンでは星の崩壊が目前に迫っている状況で淡々と裁判を行う等、元老院の腐敗ぶりが強調されている。

*2 ハミルトン博士の計算によれば、テラフォーミングが完了した場合は全人類が死滅するらしい。