百夜優一郎

登録日:2016/02/12 Fri 15:22:08
更新日:2024/04/09 Tue 08:22:20
所要時間:約 19 分で読めます





「うるせぇよ吸血鬼 死ぬのはてめぇらだ」


漫画『終わりのセラフ』の登場人物。本作品の主人公。



百夜優一郎(ひゃくやゆういちろう)


旧姓:天音
身分・階級/所属:日本帝鬼軍 特別二等兵/渋谷警備兵→月鬼ノ組・柊シノア隊
年齢:16歳
誕生日:10月16日(天秤座)
身長:170cm
体重:59kg
血液型:A型
鬼呪装備:阿朱羅丸
CV:入野自由(VOMIC版は朴ロ美






人物

世界が正体不明のウイルスによって滅びた後、京都地下にある吸血鬼の都市サングィネムに「家畜」として飼われていた少年。
本名は天音優一郎。しかし両親に捨てられた後、百夜孤児院にやってきたことで「百夜優一郎」となった。
名前は優一郎なのだが、本編ではほとんど愛称の「優」で(敵味方問わず)呼ばれており、ちゃんと名前で呼ばれるシーンがほぼ存在しない。
名前の由来は「誰にも、どんな時にも一番『優』しい子供になるように――」という両親の願いから。


生まれた時はまだ普通の家庭だった――らしいのだが、7歳の頃に突如両親が豹変。優一郎を「悪魔の子」だとして虐待を繰り返すようになり、本気で優一郎を殺害しようとした。
結局両親は無理心中の果てに焼身自殺、優一郎は心に深い傷を負ったまま百夜孤児院にやってくることになる。
……が、その日(奇しくもクリスマスの日である)に世界はウイルスによって滅亡。
世界中の大人達が死んでいく中、同じ孤児院の子供達と共に吸血鬼によってサングィネムへと連れて来られた。

当初は周囲に馴染めず一匹狼を気取っていた(自身を「百夜」と名乗ることにも抵抗していた)が、同じく親から捨てられた百夜ミカエラや茜、孤児院の子供達と過ごす中で、彼らを新しい「家族」と考えていくようになる。
それゆえに「家畜」として、その一生を吸血鬼たちに捧げなければならない子供達を救おうと「いつか吸血鬼達を倒して自由になる」という言葉を常日頃から口にしていた。


世界崩壊から4年後(12歳)のある日、ミカエラが吸血鬼の貴族フェリド・バートリーの屋敷から盗み出してきたサングィネムの地図を元に、家族と共に脱出計画を実行。
しかしこれはフェリドの「遊び」であり、地図こそ本物であったが、優一郎を除いた家族は全滅。
ミカエラ達の犠牲によって脱出に成功した優一郎は、そこで《日本帝鬼軍》に所属する一瀬グレンに保護され、吸血鬼への復讐を誓うようになった。



性格

基本的に短気で粗暴。
思ったことがすぐに口に出る性格で、デリカシーというものは基本的にない。

しかし本質的にはまっすぐな性格をしており、正義感は強い。名前に込められた通り『優』しい部分も多く、口こそ悪いが本当に困っている人間は決して見捨てない。
また両親に捨てられた事、二度も家族を失ったことで「愛情」というものに強く飢えており、同時に失うことを強く恐れている。
その為に序盤では、決して友人や仲間、恋人といった近しい存在を作ることはなかった。
また親に捨てられ、家族を犠牲にしてまで生き残っていることで「自分自身には生きている価値はない」と考えてしまう部分がある。そのために「死」というものをあまり恐れていない。


一方で年頃の少年らしい部分も多く、物資の不足からあまり見かけなくなった車の運転などに目を輝かせる時もある。
また頭はぶっちゃけバカで、学校のテストでは「伝説の点数」と言われる0点を獲得した(なんと解答はすべてひらがなで書いていた)。
ただ意外にも適応力自体は高く、ラテン語文化を基本とするサングィネムで生活していた為にラテン語の読み書きができる。


好きな食べ物はカレー。また孤児院の子供たちが食べたがっていた為にショートケーキが好き。
ちなみにカレーは育ての親であるグレンの好物でもある。


あと童貞。まあ別にこの年頃で童貞は珍しくもないが、ことあるごとに周囲に童貞とからかわれるのはその子供っぽさゆえだろうか。
特に親しい異性を作らないのは前述した「愛」を遠ざける部分もあるが、根本的に恋愛や異性というものに興味がないようである。
ゲーム『運命の始まり』ではチームメイトであるシノアと三葉のシャワーシーンに乱入する一幕があったが、平然としていた。



後に死んだと思っていたミカエラが生きていた事が判明して以降は、生来の素直な性格を取り戻していく。
一匹狼的な部分もなりを潜め、チームプレイや仲間を頼るといった行動も徐々に取るようになっていった。
一方で「家族」や「仲間」への執着心は一層強くなり、自身を顧みない言動も増えている。





戦闘能力

グレンに拾われてから4年間は「吸血鬼への復讐」をモチベーションとして鍛錬を積み重ね、帝鬼軍第一都市である渋谷の警備兵として活躍していた。
一般装備で《ヨハネの四騎士》と呼ばれる怪物をたやすく倒すなど戦闘能力そのものは圧倒的だが、「協調性がなく命令も聞かない問題児」として有名であり、謹慎を食らうことも多い。
序盤で第二渋谷高校に通っていたのも謹慎処分の一環であり、同時に協調性を学ぶための場だった(効果は薄かったが)。
主に愛用するのは日本刀。これは師事したグレンが使用するのが日本刀だったからであり、流派としては一瀬流の剣術を使う。


身体能力が圧倒的な反面、精神的には「復讐」という暗い感情を糧に戦っている部分を「弱い」とグレンに指摘されており、心の闇を好む《鬼》との契約が必要な鬼呪装備を使うには時期尚早と判断されている。
グレンに師事を始めた頃にはとにかく武器を欲しがり、「剣の腕と強力な武器さえあれば吸血鬼とも戦える」と考えていた。
その度に「守るものがなければお前はもう強くなれない」とグレンから苦言を呈されており、本編序盤では一般呪術装備を使用している。


しかし根本的な部分では芯が非常に強いこと、また「愛」への過剰なまでの憧憬もあり、精神的には決して弱くはない。
その為、作中での様々な出来事の後でも精神的に折れるということはなかった。

また、後述する理由のせいか、呪術に対しての耐久力が心身ともに尋常ではなく高い。



鬼呪装備



「やるぞ阿朱羅丸 力を貸せ」


阿朱羅丸

シリーズ:黒鬼
性別:
タイプ:憑依化
CV:山村響


優一郎の契約した鬼呪装備に宿る《鬼》。
鬼呪装備の中でも最高位の《黒鬼》と呼ばれる質の悪い鬼であり、強力な力を有する。
鬼呪装備は手にするだけでも人間を超越する力を授けるが、その中でも突破力に長けた武装。元々の優一郎の戦闘能力もあり、二級武装の吸血鬼程度なら複数を相手にしても圧倒できる。
また所有者を修復する力も大きく、心臓さえ動けば内臓破裂などの重傷を負っていても持ち主を修復できる。

性別こそ男であり一人称も「僕」だが、衣装や長い黒髪、仕草などは完全に少女のそれ。そもそも性別が男というのもファンブックで初めて明かされた設定であり、アニメから入った視聴者などは(声優も女性なので)完全に僕っ娘だと思っていた。
ていうか多分はいてない

鬼は肉体を失ったかつての吸血鬼であり、血を吸えなくなった代わりに所有者の欲望を好んで食らう。また肉体を手に入れることも目的のひとつで、事あるごとに所有者を乗っ取ろうと画策する。
阿修羅丸は優一郎の「全部を守るだけの力が欲しい」という欲望を気に入って力を貸しているが、同時に心が弱くなれば彼を乗っ取ろうともしている。

とはいえ割と優一郎には協力的であり、説教のような助言を与えることも多い。
曰く優一郎は、「まず愛と欲に対して素直なところが好き。家族を守るためなら善悪がまるでないところも」らしい。
また優一郎のその様を見て、「完全に壊れている」とも語っている。そこが好きらしいが。
一方で優一郎の中にある《終わりのセラフ》の力は嫌悪しており、「天使どもは鬼よりタチが悪い」と語っている。


タイプは所有者の肉体に同化して力を強化する『憑依化』と呼ばれる鬼呪装備だが、憑依化習得の際に『阿朱羅観音』という本来なら『具現化』に類する能力も見せている(本来憑依化は体内の鬼呪濃度を高める能力、具現化は周囲に鬼呪を投影する能力なので同時使用はできない)。
優一郎の「開け!! 阿朱羅観音!!」という言葉と同時に周囲に鬼呪で構成された刀を出現させ、オールレンジ攻撃を行えるという能力。

……中々にオサレで少年漫画らしい能力なのだが、この能力を使用する時は大体相手が遥かに格上だったりすることが多く、実はあまり役に立ったことがない。
本来近接戦闘に特化した憑依化タイプが中距離戦闘も行えるという点ではかなり強力な能力なのだが……

後に『阿朱羅観音・三刀』という技も登場した(違いは不明)が、相手が桁違いの実力を持つ第十三位始祖クローリー・ユースフォードであった為に結果はお察し。


ちなみによく名前を「阿修羅丸」と書かれるが、阿「」羅丸が正しい(そのせいで一発変換ができない)。




+ 小説版『破滅』のネタバレにつき注意
吸血鬼時代の本名はアシェラ・ツェペシ。名前から分かる通り、第三位始祖クルル・ツェペシの「家族」である。
クルルの地位や始祖の位階は「吸血鬼になった時期」であることから、相当高位の吸血鬼であったと思われるが……そんな彼が何故鬼に変貌してしまったのか、何故クルルと生き別れたのかは不明。
吸血鬼の女王でありながらクルルが《終わりのセラフ》を求めるのもそれが理由らしい。

ちなみにこの名前もややっこしく、アシ「ュ」ラでなくてアシ「」ラ。分かりにくいです鏡先生!




関連人物

  • 百夜ミカエラ
同じ孤児院で育った幼馴染。当初こそ反目していたが、サングィネムでの生活を経て無二の家族となる。
その絆は実の家族より強く、自分を犠牲にして優一郎を逃がした。
優一郎とは違って冷静で知的なタイプ。しかし自罰的な部分は共通しており、吸血鬼として生存した後も家族のことを悔やんでいる。
優一郎を人間の手から取り戻すために吸血鬼の女王クルルと共謀していたが……

  • 一瀬グレン
地下都市を脱出した優一郎を保護した人物。日本帝鬼軍の中佐であり、吸血鬼殲滅部隊《月鬼ノ組》指揮官。
優一郎にとっては育ての親であり剣の師であり命の恩人。お互い粗暴なために普段はいがみ合っているが、その絆はミカエラに劣らず強い。
生きる目的を見失った優一郎に「復讐だけが目的でもいいから生きろ」と語り、今日まで生かしてきた人物でもある。

  • 柊シノア/早乙女与一/君月士方/三宮三葉
月鬼ノ組・シノア隊のメンバー。
最初は「仲間なんていらねぇ」と突っ張っていた優一郎だったが、数々の死線を経て優一郎にとっては「新しい家族」といえる仲になった。
何かと危なっかしい優一郎が気にかかるメンバーでもあり、その様はぶっちゃけ全員優一郎の嫁(あるいは夫)状態である。
特にシノアと三葉は優一郎を異性として気にかけるシーンがあるが、本人達がまったく無自覚なために恋愛にはなりそうもない。

  • 鳴海真琴
月鬼ノ組・鳴海真琴隊の隊長。
当初は生意気な新人である優一郎との折り合いは悪かったが、共同戦線を経て信頼関係を築いた。
名古屋決戦後には優一郎の仲間の一員となっている。

吸血鬼の第七位始祖。退廃的で背徳的な行為を好む変人であり、「希望を与えられた人間が絶望する顔が見たい」という理由のためだけに優一郎たちを罠に嵌め、家族を惨殺した。
……もっとも本人は「遊び」と語る行為も実際は策謀を巡らせており、優一郎が都市を脱出できたのも、ミカエラが瀕死の状態から吸血鬼になった事もすべて彼の計画通りである。
後々の事を考えると、優一郎の脱出する時間と場所をグレンに教えていたのもフェリドの可能性が高い。
優一郎にとっては家族の仇だが、対面したのは一度だけ。

吸血鬼の第十三位始祖。フェリドの派閥に属する強力な吸血鬼で、フェリドにとっては腹心とも友人とも言える人物。
自らの生に対して退屈しており、強敵との戦いを好む一面がある。
優一郎とは三度に渡って戦うが、いずれも圧倒的な力で優一郎を追い詰めた。優一郎曰く「すげー強かったやつ」。



《終わりのセラフ》

世界を滅ぼすとされ、古から禁忌とされてきた呪術。
日本では『百夜教』という宗教団体が研究を進めており、優一郎は実験体の一人だった。

優一郎の両親は実は百夜教の協力者(信者ではない)であり、多額の金を貰って優一郎を実験に捧げていた。
実験と同時に優一郎は記憶操作を受けていたため、自分が人体実験のモルモットにされていた事は覚えていない。
また記憶操作の後遺症なのか、実は本編中では優一郎は自分の旧姓を覚えていなかったり、幼少時の記憶が曖昧な部分が多い。
どうやら両親が急に優一郎を殺そうとしたのもそれが関係しているらしいが、その点に関しては不明な部分が多い。小説版においてシノアの姉、柊真昼には「急に世界平和に目覚めたのだろうか」と皮肉られていた。

この実験を受けていたせいか、優一郎は呪術に対して強力な耐性を持っている。
そもそも鬼呪装備――特に黒鬼装備は所有者の心身に対する負荷が大きく、後天的な人体改造を受けなければ使用することはできない。これは本編中に登場するグレンや柊暮人、柊深夜も同様である。

グレンは世界崩壊時の過程で《終わりのセラフ》の実験対象者リストを所持しており、優一郎を保護したのもその力を持っていたことが理由である。
ただし、現段階でグレンがその力を何に使おうとしているかは明らかにされていない。
優一郎の鬼たる阿朱羅丸もそれについては感づいており、「人間によって何かしら改造されている」と優一郎に警告していた。

作中では新宿攻防戦、仲間達が絶体絶命の危機に陥った際に初登場。
まず優一郎の精神世界において《天使》がラッパを吹くと、同時に優一郎の背中に黒い翼が出現(この時は片翼だった)。
圧倒的な力で周囲をなぎ払い、後にその実力が明らかになるフェリドやクローリーにも「気味の悪いバケモノ」「ちょっとまずいか」と言わしめた。

しかし何故か「罪人は皆殺し」と語り、吸血鬼ではなく人間にその刃を向ける。
この時はすんでの所でシノアによって優一郎の意識が戻り暴走は終了。結局力こそ圧倒的だったものの、《終わりのセラフ》そのものの正体は不明なままだった。


いわゆる「呪い」に類するものらしく、クローリー戦にて鬼呪促進剤を三錠飲んだ優一郎は内臓が全て破裂するという「死」を経験するものの、この《セラフ》の力によって無理矢理に生かされることになった。




+ 名古屋決戦編ネタバレにつき注意
「終わりだ 全て…… 醜い人間どもは皆 塩の柱となれ」


その明確な能力が明らかにされたのは名古屋決戦における最終局面。
君月の妹・未来が《第五ラッパ》によって呼び出した滅びの悪魔『アバドン』、そしてグレンの裏切りによって窮地に立たされた優一郎が自分の意思で発動させる形となった。

能力は《第二ラッパ》を吹くことで現れた『塩の王』。
これによって能力の元ネタは新約聖書における黙示録(啓示)に登場する『黙示録のラッパ吹き』である事が明らかになった。

「また、第二のみ使いがラッパを吹いた。すると、火で燃える大きな山のようなものが海に投げ込まれた。すると、海の三分の一が血になった。そして、海にいる、魂を持つ被造物の三分の一が死に、船の三分の一が難破した」

この記述だけを見ると別に「塩」という部分はない……が、「海を血にする」=「赤潮」、転じて塩分濃度が極端に高い「死海」と考えて『塩の王』にしたのだろうか。原作者たるかがみんのみぞ知るところである。
尚、聖書で「塩の柱」というとロトの妻の方が有名。


その能力は実にシンプルで、『塩』を操る能力。だがほとんど防御不能レベルに強力な力であり、物質を塩の柱に変えたり、何もないところから塩の塊を出現させて攻撃を防ぐといった使い方を見せた。
同じく《終わりのセラフ》によって呼び出された悪魔アバドンですら圧倒し、塩で作り出した剣(アニメでは槍)によって一撃で倒すなど、その力は底が知れない。
ただしこれは単純に『塩の王』が強いのか、それとも素体となった優一郎と未来の差かは不明である。
これによって《終わりのセラフ》には複数の能力がある事が明らかにされ、八年前に人類の大半を滅ぼした『黙示録のウイルス』はそういった能力によってもたらされた事が明らかになった。



劇中での活躍

●第二渋谷高校編
ミカエラ達の犠牲によって地上世界へ逃げ出した優一郎は、その後グレンの保護の下日本帝鬼軍に入隊。
渋谷警備兵として戦っていたが、命令違反を犯した事で謹慎処分となり、第二渋谷高校に通うことに。

謹慎終了の条件はグレンから提示された「友達を作ること」。
紆余曲折を経て早乙女与一という友人を作ったことで謹慎を解除され、同時に吸血鬼殲滅部隊の研修を受けることになる。

柊シノア・君月士方といった個性的な面々に振り回されながらも《鬼呪装備》の契約に成功。
三宮三葉という仲間を加え、実戦に出ることになった。


●新宿攻防戦
新宿攻防戦にて、圧倒的な実力を持つ第十三位始祖クローリー・ユースフォードと初交戦。吸血鬼の貴族との圧倒的な差を思い知らされる結果となる。
同日、新宿五丁目の戦闘においてミカエラと再開。彼が吸血鬼となって生きていることを知る。

この際、ミカエラに「全部捨てて僕と逃げよう」とプロポーズされいきなり抱きかかえられ、戦場を離脱。
しかし窮地に陥った仲間の姿に《終わりのセラフ》の力を暴走させ、吸血鬼を圧倒。暴走そのものはシノアによって止められたが、意識を失い戦線離脱。

後日病院にて意識を取り戻し、「ミカエラを吸血鬼から救い出す」という新しい人生の目標を立てた。


●名古屋決戦編
柊暮人により自分が百夜教によって人体実験の材料にされていたこと、グレンがそれを知って自分を欲しがったことを知る。
が、本人は「欲しがってもらえるなら利用されてもいい」とあくまで前向きであった。
同時に、シノア隊全員の行動指針として「家族を大事に」という指針を決める。

作戦開始時、海老名での集結に遅れた(実際はシノアと三葉の悪ふざけで遅れた)際、仲間をかばってグレンの叱責を受ける。
この際、「罰」としてチームワークを測る模擬戦をグレン隊と繰り広げた。
結果こそ惨敗となったが、改めてチームワークの重要性を知り、続く第十五位始祖テラ子安ルカル・ウェスカー戦においては共同戦線を張った鳴海真琴隊と共に無傷で貴族を撃破するという戦果を上げた。


しかしクローリー戦においてグレンが窮地に陥った為、グレンの命令を無視してクローリーを強襲。
シノア隊の総力を以て挑むものの強敵クローリーとの壁は厚く、傷ひとつ負わせられず撤退という敗北を喫する。
皆がグレンの犠牲の上に任務を継続する意思を見せる中、家族であるグレンを見捨てられない優一郎は鬼呪促進薬を三錠服用。内臓破裂によって即死するものの《セラフ》の力と阿朱羅丸の力によって修復し、再びクローリーに挑む。

「本当に人間か」とクローリーが驚愕するほどの力を発揮するが、クローリー側も実力を発揮したことで徐々に追い込まれ、力を求めた優一郎は「鬼」になる一歩手前まで暴走。
遅れてきた君月の能力によって強制的に回収された事で、完全に鬼に乗っ取られるという事態は回避した。


集結地点である名古屋空港の手前で強襲してきたミカエラによって奪取され、郊外でミカエラと再会。
しかし多くの傷を負ったこと、一度も人の血を口にしていない事で瀕死の状態にあったミカエラを救うため、自らの血を吸わせた。
これによってミカエラは完全な吸血鬼へと変貌してしまったが、「生きていられるならそれでいいじゃん」とかつてグレンにも言われた言葉をかけ、ミカエラと和解。
続く空港での帝鬼軍本隊による実験……という名の《月鬼ノ組》虐殺ではミカエラと共闘し、シノア達を救った。


だが裏切ったグレンによって負傷、未来の《終わりのセラフ》によって現れた第五ラッパの悪魔アバドンにより家族が窮地に陥ったことで、自らの内にある禁断の力を使うことを決意。
「人間性を完全に失う」という阿朱羅丸の忠告も無視し、第二ラッパ『塩の王』として覚醒。圧倒的な力で悪魔アバドンを屠る。

その後、人類を塩の柱によって再び滅亡させようとした――が、阿朱羅丸の力で『完全な鬼』になったことで《セラフ》の力を制御。
シノア隊とそれに加勢したミカエラ、鳴海真琴によって回収され、共に帝鬼軍を離脱した。


原作ではその三ヶ月後が描かれており、完全な鬼として暴走しているが故に家族であるシノア達から拘束されている状態にある。
またアニメでは一足早く四ヶ月後を描いており、その時点では鬼の状態から脱していた。
しかし何らかの後遺症が残っているらしく、自ら海に入り、雨など降っていないにもかかわらず「雨が降ってきた」という謎の言葉を発している。





主な台詞

「誰に言ってんだ 俺は吸血鬼に復讐するためだけに生きてんだぞ だったらこの程度のバケモノ……殺せなくってどうすんだよ!!」

「4年ぶりか… やっと会えたな… 吸血鬼」

「いいから俺に力を寄越せ!! 俺には…俺には…全部を守るだけの力がいるんだよ!!!」

「人間は醜い? 家族を人質に取られたら平気で同族を売るクズだって?」
「そうだよ家族のためなら人間はなんでもする 平気で嘘をつくし 鬼にでも悪魔にでもなる それを醜いってんなら…」
「その人間の醜さに怯えながら死ね 吸血鬼」

「俺はもう絶対に仲間見捨てたり裏切ったりしないから」

「どうせお前が助けてくれなきゃ俺は死んでいた おまえには恩を感じてる」
「だから俺が気になるのは 俺はおまえの役に立つのか? ってことだけだ」

「俺にはミカを……家族を救うための力が今すぐ必要なんだ」

「鬼だろうが悪魔だろうが知らねぇよ 俺はおまえが必要だ阿朱羅丸 だから仲間になってくれ」

「助けてママーっててめぇが言え!!」

「家族に裏切られたからって…裏切り返すものなのか? 俺は 違うと思ってる」
「グレンが裏切ろうが… ミカ… あいつが吸血鬼になっていようが…」
「家族は ずっと家族だよ」

「あきらめてんじゃねぇ!!」
「おまえが…おまえが俺に無理矢理生きろって言ったんだろうが!! ならガキの俺にちゃんと見本を見せろよっ!!!」

「かもな でもそのひどい奴を…お前が家族にしたんだ」

「おまえが何になっても 俺たちは家族だ」

「誰にも必要とされないと思っても 無理矢理馬鹿みたいに生きてさ…でもそうやって待ってたら」
「おまえにまた会えたよ」
「…だからミカ 俺と一緒に生きようぜ」
「吸血鬼になってもいいじゃん 辛いなら俺がなんとかしておまえを人間に戻してやるから」
「だからもう二度と死のうとしたりしないでくれ 頼むよ」



余談

  • 「自身の中に特別な力を持っている」「その力のせいで誰かに狙われ利用される」「愛情に飢えている」「本性は寂しがりや」……といった鏡作品の主人公に見られる特徴により、異常にヒロイン力が高い
    そのせいで本ヒロインであるはずのシノアやサブヒロインの三葉ですら「ヒロイン力が低い」と言われたりする。男なのに男にお姫様抱っこされたという実績もそれを後押しする原因になっているのだろう……
    かがみんの友人である『バカとテストと召喚獣』の作者、井上堅二も「ああ、優はヒロインなんだな! って」と対談で話しているほど。


  • デュラララ!!』の作者である成田良悟曰く、最初は野暮ったかった感じの優一郎がどんどん変化していくのが魅力との事。実際鬼呪装備入手時、ミカとの再会時などで格段に優一郎は変化している。

  • アニメで優一郎を演じた入野自由は、1話で8歳の優一郎を演じたのが相当キツかったらしい。『破滅』のあとがきでの対談では、「12歳未満だとちょっと……」と語っている。

  • 『塩の王』や名古屋決戦四ヵ月後の姿が描かれたのはアニメ版の方が先。これはアニメ化が決定した時点で鏡が原作を11巻分までアニメスタッフに渡していたために実現した。
    大筋が同じでも漫画と細かい差異があるのはそのせい(漫画は掲載までに原作を手直しするため)である。






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最終更新:2024年04月09日 08:22