フェイ・イェン(電脳戦機バーチャロン)

登録日:2016/02/11 Thu 20:25:20
更新日:2023/05/17 Wed 21:35:21
所要時間:約 15分で読めます




電脳戦機バーチャロン」に登場する機体で、最初の女性キャラ枠。
デザインはカトキハジメ氏であり、機体自体の提案も彼によるものらしい。曰く「ビギナ・ギナはヒロインが乗る機体としていいのだろうか」という疑問が昇華されたものだという。

スタッフの愛と萌えと執念がつまりに詰まった機体であり、タイトルごとにその時代の最先端を走る萌え要素が織り込まれているのが特徴で、
OMGセーラー戦士オラタンの「ジュニアアイドル」→フォースの「アンミラ」と、その軌跡を辿るだけで歴史の流れをなぞることが出来るほど。

世界観設定的にはやはり他のVR同様三世代に分かれるが、いささか経緯が特殊。


SRV-14-A フェイ・イェン

-[ 開発経緯 ]-

OMG(オペレーション・ムーン・ゲートの略。初代バーチャロンの舞台)を遡ること10年ほど前、0プラントのプラジナー博士は真の意味でのバーチャロイド(以下VR)である『ファイユーヴ』またの名を『フェイ・イェン』を作り出した。
ファイユーヴに関しては非常に説明が長くなるので、ファイユーヴ/オリジナル・フェイ・イェン(電脳戦機バーチャロン)の項を参照してほしい。

ともあれDN社は自社のプラントで誕生したフェイ・イェンをその手から取りこぼすことになったのだが、その後の調査で、0プラントのデータバンクの中にフェイ・イェンの構造データが一部残されていることが判明する。
このデータを可能な限りサルベージして作り出された複製VRが「フェイ・イェン(レプリカ)」である。

その後このVRがたどった経緯については非常に謎が多く、あいまいな部分が多い。
まずこの機体は技術実証機に近い機体であるため、本来は量産はおろか、実用を想定してすらいないはずである。
しかし「その機動性能が高かったため」という不可解な理由で制式採用が決定し、これまた本来想定されたVR戦の戦術モデルには存在しない「Special Reconnaissance Virtuaroid:特別偵察バーチャロイド」という不可解な分類コードが与えられてかなりの数が量産されている。

当時のVR運用はまだ戦術レベルでの手探り状態であり、この時点で「限定戦争における女性型VRのメリット」が理解されていたとも思えないのだが…

-[ 機体構造 ]-

通常戦闘用ではないオリジナルVRの複製品ということもあって、戦闘性能にはかなりいびつな点がみられる。特にオリジナルの嫋やかな女性型フォルムをそのままコピーしたためか、装甲防御力の低さがかなり顕著。

兵装面に関しては、オリジナルが一切火器の類を持たず、唯一の対敵装備「エモーショナル・アタック」機構もコピーできなかったため、すべてがレプリカ独自の武装となっている。
主兵装となるのは胸部に搭載されたBL-c04型弾芯内包型指向性ビームランチャー。SRV-14に搭載するための改修で末尾にTypeFがついているが、基本的にはTRV-06バイパー系の胸部主砲と同一のものである。
しかしオリジナル由来の解析しきれなかった「何か」の影響で、放たれるビーム弾は勝手にハートマークになってしまう。大丈夫なのかこの武器。
副兵装としては、まず右腕にSG-4000型ビームランチャーを内蔵している。小型なため破壊力は低いが、速射性は高く命中精度も良好。
左手にはKoffy社製MPAS-14型多目的ビームランチャーを装備。高速ビーム弾を射出する小型軽量の手持ち兵装で、接近戦時にはそのまま実体剣としても機能する。

オリジナルの特徴である「ハイパーモード」機能も疑似的なものだが実現している。ただしオリジナルのような「広域メロメロ化」効果は持たず、単に諸性能が大きく向上するだけとなっている。
またこの機能は能動的に使うことができず、ダメージを受けてVRの自律意思が危機感を覚えることでしか発動できない。

-[ 活躍 ]-

第一世代VRとしては最後発の機体であり、OMGのわずか2年前に完成したばかり。そのため配備数も多くはなく、必然的に活動記録も多くはない。
実際の戦場においても、偵察任務においてはTRV(Tactical Reconnaissance Virtuaroid:戦術偵察バーチャロイド)のバイパーIIが充分にその任を果たしていたため、SRV-14の需要もそれほど大きいものではなかった。
バリエーションモデルや改良タイプもほとんど存在せず、OMG時点においてすら最新モデルは初期型のA型である。

-[ ゲーム内性能 ]-

バイパー同様高速軽量タイプだが、空中主体のバイパーに対してどちらかと言えば地上重視。
しかし地上でのダッシュ速度は確かに速いのだが、攻撃性能が少し…いやかなり悪く、イマイチその長所を活かせない。
火力と奪ダウン力が貧弱、装甲が薄く被弾が響く、ダッシュやD攻撃の硬直キャンセルが利きにくいという3点セットのせいで、OMGのメインである中距離以下での射撃戦に非常にもろいのである。
遠距離での打ち合いになると硬直の不利が軽減されてかなり強くなるのだが、その状況に持ち込んで維持するのもなかなか難しい。

体力ゲージが5割を切るとハイパー化し、火力と弾判定、機動性が大きく強化される(バリア機能は忘れよう)。この状態でも射撃戦の根本的な辛さは変わりないが、目に見えて攻撃の脅威度があがるので敵側への心理的効果は大きい。
ガチで使う場合ハイパー化は必須要素といっていいので、何とかして適切なゲージでハイパー化したいフェイ・イェン側と、削りたいがハイパー化はさせたくない敵側の熱い心理戦が繰り広げられることになる。

PS2版では、Unofficialこと「ファイユーヴ」本人が操作キャラに昇格。おまけキャラということもあって、RWは同じビームガンのままだが、LWのボウガンはさすがに廃止され、CWとは性質の違うハートビームになっている。フェイ・イェンにあったハイパー化はない…というか最初からハイパー化状態の攻撃となっている。


RVR-14 フェイ・イェン・ザ・ナイト

-[ 開発経緯 ]-

OMGの後、VRを生み出したDN社は倒産。DN社を支えた9つのプラントはそれぞれが独立した企業国家となった。
その中でいち早く頭角を現したのが、もっとも強大だった旧第8プラント、FR-08(フレッシュ・リフォー)である。FR-08は旧DN社の系列機構の再統一を行い、その盟主として君臨した。
しかしFR-08の経営姿勢は極めて傲慢、高圧的なもので、その露骨なナショナリズム経済は配下組織の不安を呼び、また反発を育む土壌ともなった。

そんな流れの中、FR-08の支配体制を良しとしないプラントを密かに連携させ、強力なアライアンスを構築しようと試みる集団が現れる。
彼らの行動は反FR-08派の団結を促し、ついには旧第4プラントTSCドランメンが中核となって、FR-08が保有するDNAに対抗し得る強力な部隊を密かに設立した。これが後に全人類圏に勇名を轟かせることになる『RNA』である。
RNAはその戦力の根幹として、実戦的な宇宙戦闘艦ではなく戦闘VRを選んだ。FR-08と反FR-08派では力の差が大人と子供ほどもあり、正面切って殴り合ったところで勝利は望むべくもない。
しかし殴り合いではなく、ゲームでの勝負に持ち込むことができればどうか?

RNAはFR-08とDNAの事情を熟知しており、彼らがこの「ゲーム」に乗ってくれることについて確信を持っていた。となればあとはゲームに勝つべく万全の準備を整えるだけだが、それは当然秘密裏に進められなければならない。
故にRNAは小規模であることを強いられており、少数である以上精鋭でなければならず、そのために個々のVRの性能的優位性の追求が最優先課題となった。

当時のRNAの軍備増強は極めて強力な情報統制のもとに進められており、判然としない部分も多いが、RVR-14に関しては以下の要素は確実視されている。
  • 第一世代VRであるSRV-14-Aを技術解析し、それを元に開発されている。
  • その入手先は、旧第1プラント、DU-01(ダンシング・アンダー)から流出した70基のSRV-14-A用Vコンバータに由来する。
  • この機体の開発過程で第二世代VRの基礎技術が確立され、その技術は以降、RNA陣営の各プラントで共有された基礎フォーマットとなった。
  • TRVの概念を発展・先鋭化させた、戦闘情報処理VRとして設計されている。

-[ 機体構造 ]-

基本的な構造はSRV-14のそれを踏襲しているが、技術革新によって機体性能はほとんど別次元に達している。
特に効率化されたVコンバータの出力向上がめざましく、その余剰出力を用いて「Vアーマー」と称される防御フィールドを形成している。これによって第一世代機の装備火器の大半を無効化できる防御力を手に入れた。
さらにVコンバータの出力は機体の実存強度に直結するため、運動性能の上昇も顕著である。第一世代機ではなしえなかった超高速走行中の急激な方向転換(バーティカルターン)すら可能となっている。
Vアーマーからもたらされる圧倒的な防御性能と、高い実存強度による桁違いの高機動性能こそがこの機体の特徴であり、それは同時にこの機体から始まった「第二世代VR」全体の特徴でもある。

兵装に関しては基本的にSRV-14のスタイルを継承しており、胸部にハート型光弾を発射するビームイレディエイター、右前腕部に多目的ビームガンを搭載する。
手持ち式のビームランチャー兼実体剣は基準装備から外されているが、オプション装備である実体剣『愚者の慈愛』がほとんど固定装備として用いられている。
右腕に搭載されているブレスレット状の装備は、火器ではなく制御ユニットの一部である。
『賢者の妄愛』と名付けられたこのVコンバータ制御端末により、SRV-14では自律反応の一部でしかなかった「ハイパーモード」を、RVR-14では任意に発動できるようになっている(ただし相応のリスクはある)。

さらにRVR-14の斬新なところはその性能だけではなく、その想定戦術教義にもある。RNAの登場までは地球圏唯一のVR装備業者であった割に、DNAはそのVR戦術に関しては未成熟そのものだった。
DNAが固執していた「MBVSAVの二種編成」自体、機械化歩兵や戦車をMBVに、砲兵をSAVに置き換えただけであり、旧兵器との単純な差し替え用法に過ぎない。
対してRNAは最初からVR装備を前提とした軍事組織であり、またFR-08打倒のためには限定戦争の視聴者層の支持が必要不可欠であったため、その運用に関しても非常に実戦的、かつVR戦のダイナミズムに満ちた魅力を発揮できるように努めていた。

RVR-14はRNAが標準化したVR戦隊において、「バック・コア」というポジションを務める。これは主に攻撃型スコードロンで用いられ、突破を担う前衛である「フロントライン」と、打撃・掃討を担う後衛「バック・フォース」の間に位置する。
バックコアの役割は、主に遊撃・偵察を担う両翼「ウィング」から送られる情報を管理、分配することであり、平たく言えば指揮管制機に相当する。
RVR-14はその任務を前提に開発された機体であり、高度な情報処理機能、優越した機動性、場合によっては自らが直接戦闘に参加して打撃力を担いうる火力と、任務に必要な性能をすべて持ち合わせている。

またある意味で最も重要なのは、性能以上にそのキャラクター性だろう。SRV-14が女性型なのはコピー元を忠実に再現した結果にすぎないが、RVR-14の場合は明らかに女性らしさを意識的に目的化している。
頭部は髪飾りにも見える巨大なハートマーク型の突出部を設けることで頭身を下げて幼く見せ、元々細かった四肢はさらに細く滑らかな曲線となり、対照的にアクセント点である肩部装甲、足首構造などは大型化させて四肢の細さと美しさを強調している。
胸部にも巨大なハート型のレリーフが設けられているという有様で、まさしく「アイドル少女」を地で行くデコりっぷり。

-[ 活躍 ]-

RNAが開発した最初のVRだが、世間に知られるようになったのは後発の第二世代アファームド系よりも遅れた。
MBVであるアファームド系に対して、部隊の通信/管制を担当するRVR-14は配備数自体が少なかったし、そもそもRNAはこの機体を最初の内は秘匿したがっていた。

RNAがRVR-14を極秘指定していた理由は公言されていないが、おそらくは機体構造からその技術の由来がわかる→原型機の入手ルートが判明する→経路からRNAのバック特定…という流れになるのを避けたかったというのもあるだろう。
またそれ以上に、その疑似的なアイドル性を「希少価値」として重視していたため、なかなか人前に出さずレア度を高めたという線も考えられる。
現にRVR-14の視聴者からの人気はとてつもなく高く、中には企業国家レベルですらその人気に押される形でRNA陣営への加担を決めたというケースすらあったという。

このイメージ戦略はかなり徹底しており、RNAの現場レベルでもそれは考慮されていた。いや、現場要員自身、その魅力にやられてしまったというべきかもしれない。
愛称の『フェイ・イェン・ザ・ナイト』にしろ、本来は9番目の試作機を元に開発されたという意味で『フェイ・イェン・ザ・ナイン』と呼ばれていたところを、「そんな数字つけて呼ぶのは俺らのフェイちゃんに似合ってない!」と現場がつけた愛称がそのまま正式名称に転じたものである(実体剣と甲冑じみた肩装甲からの連想か)。

無論RVR-14の長所にはその魅力だけではなく、RNAの戦術教義に対応した高い戦闘性能も含まれる。
何しろRVR-14を中核に編成された標準的攻撃型スコードロンは、同数の第二世代VRで構成されたDNAの部隊をわずか20秒で壊滅させることすらあったというのだから、戦術レベルでもその有効性の高さは特筆ものだった。

また希少なRVR-14の存在は、配備された部隊の兵員の「我々は作戦において重要な役割を務めるのだ」という自覚に繋がり、また「俺らのフェイちゃんが見てる!」というオタサーの姫のような士気高揚効果も高かった。
一方でRVR-14は高価で数が少なかったため、配備が間に合わないところではアファームド系(主にC型系列)が使用されていた。C型はRVR-14のような専用機体という訳ではなく十全な機能を持ってなかったものの、運動会のフォークダンスで男と組まされた時のように士気が低下した可能性は否定できないがチーフコマンダーのようなRVR-14と同等まで情報処理能力を強化した機体もあったほか、アファームド系列らしい安価で高い信頼性が現場でも歓迎されていた。

ちなみにRNAの看板機体でありながら、直系の第三世代モデルが今のところ作られていない。おそらくはVR全体の第二世代→第三世代の移行期に、タイミング悪く他社製の第三世代フェイ・イェンが限定戦争にデビューしてしまったためだと思われる。

-[ ゲーム内性能 ]-

キャンセル周りが改善され、LWがボウガンからテムジンのようなソードに変わったが、使用感覚はほとんど変わっていない。
よって中距離射撃戦でリードをとり、あとは対応しつつ逃げという戦術がそのまま受け継がれている。押し引きが高速化したこともあって近接戦闘もかなり強くなっているが、相変わらず装甲が薄いのでかなりリスキーな立ち回りになる。
特にゲーム自体が高速化したVer5.56では、単純な振りの速さが強みになるため、バトラーを追い抜いて近接最強ユニットとされる。

ハイパー化のバンプアップ効果はさらに上がっているが、オラタン自体1、2発の被弾で逃げ回る削り合い重視バランスとなっているので、発動の機会は多くない。
特に上級者同士の戦いになるとこれが顕著で、「敵が50%以下で、かつフェイの方がHP有利で、しかも時間が迫っている」という状況にならないかぎりまず発動させてもらえない。
自分でハイパー化するコマンドも追加されたが、体力ゲージが3割まで減ってしまうので使いどころはかなり限られる。

基本「あとは火力(と奪ダウン力)さえあれば文句なし」な機体なのだが、その火力がバージョンアップで乱高下しており、それに伴って地位が上下に激しく動いた歴史がある。
Ver5.45のDC版では中堅程度だが、コケカッターとまで呼ばれるLTLWが強いアケ最終および箱◎の5.66では3強(ライデングリ坊・スペ)のすぐ下に位置する強機体
ただし壁を超える攻撃が皆無なため、スペースドックが来たらかなり泣ける。



TF-14A フェイ・イェン with Vivid Heart

-[ 開発経緯 ]-

火星圏における新たな限定戦争市場である『火星戦線』が成立したころ、FR-08を放逐された元総帥リリン・プラジナーは、トランスAFG社を設立して自らの力の強化を図っていた。
トランスAFGはその高い基礎技術力を活かして様々な分野に手を出して成功していたが、しかし資金力と影響力だけを伸ばしていても、リリンの真の目的を達成することはできない。
目的のためには確固たる軍事力が必要であり、またある事情からその軍事力は「定位リバース・コンバートによる長距離瞬間移動が可能なVR」である必要があった。

そもそもVRは、Vクリスタル質を塗布したディスクにコンバータが一定の負荷を与えることで、書き込まれたデータを物質として実体化させる現象を利用して作られている。
これをリバース・コンバートと呼ぶが、その発展的技術が定位リバース・コンバートである。これはパイロットやVコンバータを含めたVRをデータに戻し、電脳虚数空間(CIS)を経由して、任意の地点で再び実体化させる技術で、後に第三世代VRには標準搭載されるようになるものだった。
が、これをリリンが自社のVRに採用するのは困難だった。この技術は旧第6プラントSM-06(サッチェル・マウス)によって開発されたのだが、SM-06の首領であるマシュー大佐はリリンにかねてより強い敵意を向けていたのである

よってトランスAFGはSM-06のそれとは別系統の定位リバース・コンバートを独力で開発する必要に迫られた。だが同社技術スタッフの中核をなすのが、旧第5プラントDD-05(デッドリー・ダッドリー)の倒産時に流出した技術者達であったのが幸いした。
かつてDD-05が作り出したHBV-502は史上初めて長距離定位リバース・コンバートを使用したVR(といっても当時のそれは非常に不完全なものだったが)であり、それに携わった彼らは技術上の要点をすでに把握していたので、開発は順調に進んだ。

とはいえ、リリンには時間がなかった。一刻も早い定位リバース・コンバート搭載機の実用化を望んだ彼女は、ついにプラジナー博士の娘である彼女だけに許された奥の手を使う。
同じくプラジナー博士に作られた、いわばリリンにとって姉妹ともいえるオリジナルフェイ・イェンことファイユーヴを説得し、そのCIS往還構造を参考にさせてもらったのである。

ファイユーヴの構造を参考にしたため、TF-14/stのコードを与えられた定位リバース・コンバート機構の試作機は、当然従来のフェイ・イェンに近いフォルムのVRとなった。
しかしこの時点ではまだ一般販売を想定されたものではなく、あくまで定位リバース・コンバート実用化のための試験機にすぎなかった。

しかし実地試験が繰り返される頃になると、以前から敵対的だったSM-06の妨害行動はさらに露骨になり、試験中のTF-14/stがVR部隊に襲撃される事件すら起きるようになった。
この為試験機には急遽武装が施されて戦闘用となり、各地でSM-06部隊との武力衝突が頻発するようになっていく。
そしてそんな戦闘の一部が映像として撮影され、電波に乗るようになると、にわかにTF-14/stの人気が爆発する
TF-14はフェイ・イェン由来の可憐で華奢なフォルムを持つビジュアル機体だったし、またSM-06側の主力VRは100人中99人が「悪役」と看做すビジュアルの『悪七郎兵衛景清』タイプだったのも幸いした。

この流れを敏感に捉えたリリンは、TF-14/st限定戦争用としての調整を施し、(ファイユーヴの抗議を却下して)市販化することを決定したのだった。

-[ 機体構造 ]-

ファイユーヴを直接参考にして開発されたため、技術的に言えば第一世代→第二世代とちがって、それら前世代機からの直接的な連続性はない。
とはいえ、戦闘VRとしての改良が施されるにあたっては、戦闘経験の豊富な蓄積があるSRV-14-A、RVR-14をデータを参考にしたのはまず間違いないだろう。
武装も主兵装となる胸部のハート形光弾を発射するビームランチャー、右腕のビームガンという配置であり、明らかに前世代機からの継承と言える。
さらに基本モデルとなったA型では、副兵装として実体剣兵装「愚者の慈愛」を搭載するなど、RVR-14からの影響が顕著である。

そしてある意味で最も特徴的なのは、そのあからさまなほどに狙いまくった外観である。
フリル度が下がったスカート部やローファー風になった足などに顕著だが、
「テレビの中の人気美少女アイドル」路線を狙っていたRVR-14と異なり、
「かわいくて皆の人気者だけど、雲の上じゃなくて手の届きそうなところにいそうな普通の女の子」的なアンナミラーズ風ウェイトレス系の方向性を志向している。
細くなめらかな四肢はRVR-14と共通するものの、アクセントとして目を引く形に配されていた甲冑風の肩部、脛部の装甲ユニットは小型化され、戦闘兵器ということを感じさせない朗らか嫋やかなイメージを与えている。

さらに徹底しているのは、開発者・視聴者・運用者の妄執が結実したチェスト・シェル(胸部パーツ)「ソーラクス」であろう。
そう、TF-14はフェイ・イェン系の歴史において、少女の胸のふくらみの再現を初めて実現した恐るべきVRなのである。ソーラクスはモジュール化され、状況や搭乗パイロットによって最適なサイズに適宜交換できるようになっている。

用意されたサイズは紆余曲折を経て、最終的に次の5段階に落ち着いた。
  • Model B65「メゾピアノ」 ファイユーヴの「自己申告」を元に作られた標準サイズ。普乳
  • Model D65「フォルテ」 打撃艦隊『フォース』の人気女性パイロット折鶴蘭大尉の再現サイズ。巨乳
  • Model G65「フォルテッシモ」 フォースの男性スタッフが「大きさを妥協して」採用した傑作。もっとも人気が高いとされる。爆乳
  • Model AA60「ピアニッシモ」 「超高精度3D生体スキャナー」と畏怖されるスタッフがファイユーヴ本人を実際に目測して作られたサイズ。友愛といたわりのきもち
  • Model G70「ビッグ・バンX」 折鶴蘭大尉の再現サイズとして最初にスタッフが提案したサイズ。さすがに本人に「ここまでは大きくない」と却下された。超爆乳

そして忘れてはいけないのは、下半身、というか腰部の構造である。
人間のように重心から斜め方向に関節がのびた構造はフェイ・イェン系の特徴であり、関節の分岐点、すなわち股間も人間らしい逆三角形の形状となっている。
TF-14ではこの股関節部分に「ヒップアタック時の衝撃から構造を保護するため」という理由で一体成型の保護装甲を施している。確かにもっともな理由ではあるが、装甲の色が純白なのはいかなる理由によるものだろうか。
まあ直截的に言うなら、TF-14はおっぱいの上にパンチラも完備しているということである。
ちなみにこの保護装甲は本来もう少し厚い二重装甲だったのだが、「ブルマって野暮ったいからイヤ」とファイユーヴが勝手に仕様を変更して現在の形になっている。

TF-14は最終的に空前のセールスを記録することになるが、これらのフェティッシュ的な機能の売り上げへの貢献は図りしれないほどであったという。

-[ 活躍 ]-

ライバル機種がいない絶妙なタイミングで、しかも先行した世間の話題に乗る形という最高のデビューを飾ったためか、その売り上げは新興ブランドのVRとは思えないほどの巨大なものとなった。

さらにこの機体は、木星圏で『攻性結晶構造体アジム』を駆逐するために編成された打撃艦隊『フォース』において、重要な役割を果たしてもいた。
政治的事情による孤立から非常にストレスが蓄積する任務をこなしていたフォース隊員にとって、士気を保つためには女の子に萌えたり萌えるあまりに兵器に私的な改造を施したりといった「遊び心」の発露は極めて重要だった。
旧世紀の戦争において、戦闘機に奔放なノーズアートを施したり、本国から送られた慰問団の女優に歓呼の声をあげたりしていた兵士たちを思い浮べてもらいたい。彼らの姿はある種滑稽ではあるが、その裏にある悲哀は物悲しい。

とはいえ、「VRのおっぱいのサイズを巡り、艦隊を出奔して地球圏に帰還してひと騒動起こす」隊員などが出てくるあたり、いささか罪深すぎる魅力を持ったVRと言えるかもしれない。


-[ ゲーム内性能 ]-

VHは最もオラタンフェイに近いタイプで、系列機に比べてLWの高い相殺力と削り力が魅力となる。機体の特性はあまり変わらないのだが、2on2になったことでガン逃げ戦法が通じにくくなったため、積極的に戦況に絡んでいく必要が出てきた。
この手の「火力が低くガン逃げが主体」だった軽~中量機はフォースで全体的に地位を落としているが、フェイ系はバランスがよい武装を持ち、回転率が悪いとはいえ援護に向いた高誘導ターボショットも持つためまだマシな方。
とはいえ薄い装甲という欠点は変わっておらず、それでいて積極的に攻めていかなければならないので一瞬の油断でダメ負けしてしまう。繊細な女の子を傷つけないようにがんばるべし。

ハイパー化のバンプアップ効果はシリーズ最低というほどに下がったが、その代わりダメージを喰らいやすいゲームバランスと、任意に体力を相方と分け合えるレスキューダッシュのおかげで、能動的にハイパー化を使っていけるという点ではシリーズ最高である。
相方や展開次第ではあるが、試合時間の半分以上をハイパー化状態で戦うことも可能なほど。
2on2を旨とするフォースにおけるフェイ系列の主戦機として申し分ない性能を持ち、上級者は最終的に本機に戻ってくることも珍しく無い。
特筆すべきはテムジン747Aにもプレッシャーをかけられる近接攻撃の速さと機動力。
特にVターンは優秀の一言。
「削って逃げる」を地で行く歴代フェイの特性を色濃く受け継ぐ機体中~上級者向け機体。


-[ 系列機 ]-

TF-14B フェイ・イェン with Blue Heart

TF-14の系列機は基本的に「話題のあの人の装備を再現!」という形で開発されているため、それぞれの機体には特定のモデル(となるVRに登場していた)女性パイロットが存在する。

TF-14Bの場合は、ムーンゲート内における戦闘でSM-06の首領であるマシュー大佐が駆る景清と戦って生還したトランスAFG社所属の少女パイロット、レミ・ファンソーラ中尉(16)の乗機に因む。
中尉は戦闘のさなかに本来装備していたボウガンタイプの主兵装を失い、現地でSM-06側が開発したと思われる大型実体剣を発見して武器としたため、BHもそれを改良・量産した大型実体剣「強者の妄信」を主兵装としている。

また中尉はマシュー大佐との戦闘の最中、VR頭部のツインテールの片方を引きちぎられていたため、それに因んでBHのツインテールもショートモデル(ただし両方)となっている。
●ゲーム内性能
重近接型フェイ。装甲値が上がり、LWや近接などの威力が向上しているが、それ以上に機動性の低下が痛い。
特にただでさえよくなかったジャンキャン性能がさらに悪化してエラいことになっているので、他のフェイと同じ感覚で扱うと痛い目を見る。
剣が重すぎるのか、敵の方向に振り向くまでにかなりの時間がかかる。具体的に言うと他の機体はジャンプした瞬間に向き直るのに、フェイBHは ジャンプの頂点でようやく向き直る というレベル。

装甲もそこまで上がっているわけではないので、基本的にVHを一歩進めて二歩退がらせた感じは否めない。とはいえ武装自体は比較的バランスがいい方なので、使えないというほどの機体でもない。
さらに言えばBHを使うプレイヤーはキャラ愛ゆえにあえて使う達人であることが多く、対戦で見かけた時に弱機体と侮ると圧倒的技量差でボコボコにされる羽目になるだろう。

TF-14C フェイ・イェン with Panic Heart

ムーンゲート内の戦闘で、一躍時の人となったファンソーラ中尉に因む再現モデルの一つ。
彼女が出撃時に装備していた初期装備であるボウガン型ビームランチャー「亡者の懺悔」装備機を再現したもので、さらに遠くさかのぼればSRV-14-Aが標準装備として搭載していたものに近い伝統のモデルでもある。

●ゲーム内性能
OMGに先祖返りしたフェイ。機体特徴も似た感じで、火力の微妙な弱さから正面切っての撃ち合いは他のフェイほど強くない。が、2on2という環境が幸いして遠距離火力の強さの価値が急上昇。
高誘導LW援護のあたりっぷりは全機体中屈指といってもいいほどで、LWとCW命中時の状態以上効果を含め、極めて強力な援護機として存在感を放っている。しかも援護機の中ではタイマン性能も決して悪い方ではない。
フェイの中では最も役割がわかりやすい機体で、装甲の薄さだけは痛いが初心者にもかなりおすすめできる性能。

ただしLWは発射SEが死ぬほど目立つため、熟練者が相手の場合音だけであっさり回避されてしまったりするので、敵プレイヤーの技量によってプレッシャー度がかなり変動する。
「逃げながら援護」が最良のスタイルではあるが、そうは運ばなかった時に前に出て戦局に絡んでいく判断力も求められる。

箱版では誘導が強くなった影響で、援護火力がさらに向上。音を聞いてもよけられない場合が多くプレッシャーが跳ね上がったため、放置される可能性はまずなくなった。
ダブルアタックを受けることもしばしばだが、パニハは逃げ回る足を十分にもっているので全然問題ない。
もはや完全なる強キャラと化したのは間違いなく、人によっては厨キャラと看做す場合もあるほど。
被弾した時?
被弾しなければいいんだよ。

勝ちポーズは指鉄砲を作り「ばきゅん☆」とやる。かわいい。

TF-14m フェイ・イェン with Cinderella Heart

打撃艦隊フォースのアイドル的存在である折鶴蘭大尉(21)に因む再現モデル。
元々折鶴大尉はRNAに所属するパイロット(当時は少尉)だったのだが、ある作戦で乗機『VOX Lee』を撃破され、個人装備すら失って一人さ迷い歩くことになってしまった。
しかしそんな彼女の元にウェイトレス服の謎の少女が現れ、持っていたトレイ「魔法の呪文」を与えて消える。

その後折鶴少尉は絶体絶命の危機に陥るのだが、少女からもらったトレイをもって「魔法の呪文」を唱えると、実はVディスクだったトレイが光を放ち、少尉の体はTF-14と同じ姿に、つまりVRそのものになっていた。
彼女はその力を使って危機を乗り切ったが、力尽きて倒れてしまう。

そんな彼女を救助したのは、フォースの総司令官にしてTSCドランメンの総帥でもあるセレブ中のセレブ、アンベルIVであった。彼女はフォース強化の為に優秀なパイロットを集めていたアンベルIVの目にとまったのである。
RNAの下っ端哨戒隊員から、アンベルIVに直接救助され、人類圏有数の精鋭部隊であるフォースに転属した彼女はまさしく「電脳暦のシンデレラ」であり、その逸話は世界的な人気を集めた。

CHはそんな彼女の逸話に因んだものであり、謎の少女からトレイを渡されたという点から着想して、『ペイシェント・トレー』と呼ばれる実体…実体…実体お盆?を主兵装として搭載している。
ちなみにTF-14のソーラクス換装機能は、本来フォースにおいて彼女の搭乗機のためにスタッフが作り上げた機能である。
●ゲーム内性能
インターミッションに表示されるワイヤーフレームが特徴的で、パーフェクト勝利ポーズがかわい過ぎる。天使。
ただ、射撃攻撃力はCWを除いて系列中でかなり低い点に注意。避けて削る戦法を強いられる。
他にも、TLWでトレーを投擲した後、トレーが戻って来てない状態でもどこからともなくスペアのトレーを取り出すため近接が可能という特徴がある。


シックに決めず、
ファンシーにいくのがアニヲタ流です!
さあ、みんなもきらめく戦火を練り歩こう!
ハイパー・モードで
ゴージャスまとって繰り出すよ!
ポストスクリプト・ミー!

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最終更新:2023年05月17日 21:35