回想シーン

登録日:2016/02/05 (金) 23:52:01
更新日:2023/07/01 Sat 17:57:26
所要時間:約 3 分で読めます




概要

回想とは『過去に経験した出来事を懐かしい事として思い巡らすこと』

登場人物が過去の出来事を思い描く場面のことを「回想シーン」と呼ばれており、これらは物語を盛り上げたり、伏線の回収、補完など重要な役割を果たしているのでアニメや漫画などの創造作品においてはよく採用されている。
いわゆるお約束要素。
回想シーンを使う際は、時間軸を区別するため様々な手法が使われている。

  • 漫画の場合
黒い枠になる。
吹き出しがフラッシュ。

  • アニメやドラマ等の映像作品
セピア調や白黒になる。
人物の周りにモヤがかかったエフェクトになる。
回想時での声のトーンが通常時より異なる。



回想シーンの種類

幾つか種類がある。

  • 解説、説明
世界観や作戦を事前に解説させ、読者に分かりやすく伝える目的で使われる回想。
例にあげるなら
戦争にて敵軍と戦うA
A「司令官、作戦Xを使います」
司令官「わかった。失敗するなよ!」
A「はい」
~Aの回想シーン~
司令官「いいか、作戦Xの解説をする」
戦争の前夜、司令官がA達を集めて作戦Xを説明する


  • その人物の幼少期や若い頃のエピソード紹介
本編開始時では青年または成人になっているが幼少期での印象的な話を挟み込む。
主に修行、仲間との出会いの経緯、目標にしている理由などに使われる。
また幼少時代から現代までの様子を大まかに使われる場合もある。
シリーズ物ではつかみの第1話で本編開始までの経緯をダラダラやるとファンをつかめず打ち切りになることもあるので、
「第1話は『すでにいつものパターンになっている』所から始め、ある程度ファンをつかめてから『なぜこうなったのか?』を回想で説明」
(例えばヒーローものなら「事件が起こるが皆が知るヒーローが駆け付け解決」が第1話で、「なぜ彼はヒーローになったのか?」とかを回想で挿入など。)
という手法をするのはもはや王道のレベル。*1

今は現役を引退した老人だが、若い頃の活躍を使われる事があり、こちらは非常に燃える展開。

ひろしの回想


  • 悪の道に走る、闇堕ちなどの理由
悪行を行う、闇堕ちした経緯を語る。
バトル漫画、推理ものなどでよく使われており、本編では鬼畜まがいの悪行を働かせて、読者からは嫌われていたが悲惨な過去を語った後は同情される場合があり、再評価されて人気キャラになることも。


  • 故人の活躍
本編では既に死亡している人物の活躍などを紹介する。
その人物をよく知る第三者が話すが、数百年前などの時代軸がかなり離れた場合は本などの道具を用いる、当時の人を呪術などで蘇らせる、黄泉の国から呼び寄せるなどの手段を使ってコンタクトをとる方法がある。


  • 過去の事件、戦争
過去にあった大きな事件などを関係者が語りだす際に使われる。
後者は戦争などの大規模なものは単行本1冊以上の長編になる。
例を挙げると、
鋼の錬金術師の『イシュヴァール殲滅戦』
NARUTOの『第三次忍界大戦』
ベルセルクの『黄金時代編』など


  • 伏線回収
伏線を回収目的のために回想を用いるケース。
ただしこの場合は後付けと言われることがある。


  • 回想の回想
回想シーン内の登場人物が更に以前の事を話す際などに使われる回想の重ねがけ。
ただしこの手法は後述する問題になってしまうこともある。



回想シーンによる問題

しかし一部の読者や視聴者から回想シーンを快く思ってない人がいる。
理由は「本編が進まずにテンポが悪くなる」、「あまり回想が長いと本編から脱線し過ぎて話の軸が乱れる」

前述の通りに回想シーンは読者への解説、感情移入させやすくさせるなどの物語を盛り上げることができるが、あくまでも本編から脇道に逸れた付録的要素なので、キャラの過去などを1から10まで丁寧に遡ろうとしたばっかりに本編を食ってしまう程長くなったり、何回も挟まれたりすると物語がグダグダになり、話が進まないことに読者を苛立たせる要因になってしまうので、注意が必要。
特に漫画などからアニメ化した場合、主に尺稼ぎの為アニメオリジナルエピソードとしてよく追加される事が多いが、その場合はよりファンからの風当たりは厳しくなる傾向がある。
特に回想シーンに登場する人物が回想にはいると言う回想の回想になると本編に戻るタイミングが余計に遅くなり、どっちが本編なんだか分からなくなることも。

なお、時間を要することを逆手に取り、「くそっ、回想シーンで時間を取りすぎた!」と言う前代未聞のセリフを吐いたアニメもある。
また制作サイド的メタ視点においては「回想シーンを作る事でより予算が圧迫される(特に実写ドラマ・特撮)」という事もあり、
モンティ・パイソンでは「回想シーンに入ろうとするが予算が無いので回想シーンに入れなくなる」というスケッチ(コント)内のネタがあったりする(スケッチタイトルが「BBCは予算不足」なので思いっきり放送局であるBBCを皮肉った自虐ネタ)。

また、ボボボーボ・ボーボボには「回想シーンは長くなる」という風潮を逆に利用し、敵が回想に入った瞬間に回想が長すぎると怒ってぶん殴るというボーボボらしい理不尽なギャグもある。

  • 捏造

多くはギャグ要素として見られる。
カブトボーグシドニー・マンソンは、まるまる1回分「仲間のアイツとの思い出」を語る話で出番の大半が「作られた」キャラ。
またニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨンは「総集編と銘打った完全新作」を流すことで視聴者のニューロンを笑いと困惑に陥れた。相変わらずラリっておる喃、スタッフは……。
実際には敵の偽装した幻影という形だが魔法陣グルグルには「ライオン師匠」というキャラが登場。

「アルスよ!決してあきらめるな ガオーン!!」「知らない……そんな師匠は知らない……」 ※読者も無論知りません。

ちなみにアルスはこの時に(地の王の試練)ニケが名乗らされていた名。
元ネタは恐らく掲載誌が同じで、グルグルのパロディ元の一つでもある「正統派国産RPG系作品」のひとつロト紋の主人公の名前。
物語後半、特に名前が変えられた過去もない主人公ニケに「今名乗らされてる名前」で呼びかける「過去のキャラクター」のはずの師匠。あーもう時系列とかめちゃくちゃだよ、としか言えない。


このネタは言ってみれば「イギー・アヴドゥル・花京院・ちくわ大明神……終わったよ」「誰だ最後の」みたいな感じである。
マンソンは登場シーン数の多さ的に、こういう一瞬の捏造ネタのアッパーバージョンといえよう。
ニケのような「知らない」というツッコミに見られるように、上記の時間取りすぎと同じくメタ的というか「知らない人がいるー!?」「誰だお前は!」という認知が重要なためギャグ漫画に多くなる。

敵がガチの能力としてやってくるケースもあるけどな!本気で工作行動としてやられると如何にシャレにならないか、を最近多くの人が知ったのは月島さんのおかげ。
またエロゲ―含む催眠要素のある作品でもこういったケースは一定数存在する。エロゲー的な用法を一般誌でやった実例としては鰤の先輩漫画である幽白が挙げられる。

このシーンはちょっとシリアスな笑いに近いものがある、というか皮肉な笑いであろうか。
ここでは台詞からすると吐き気を催す邪悪としか思われない痴皇が「お花畑の中で笑いながら子供と一緒に遊んでいる」というシーンが描かれているが、
ハピバの花を見て真実を知った後で読み返すと「誰だオメーは(態度的な意味で)」と思うほどにこやかな笑顔の「きれいな痴皇」状態である。
本体のゲスさとニセの記憶のギャップに寒気がすると共に「こんなクズがこうなる催眠術の力ってすげー!」という意味で笑えてしまう。(垂金権造が聖人として偶像を立てられ崇拝されるくらいアホなギャップがある)

なおこのように「本編で出てねーだろ!」とか「んな奴いるのかよ!」とか「そんなシーンが!?」というのがこのネタの肝だが、逆にそこを逆手に取ったパターンもある。
ハーメルンのバイオリン弾きで出て来たトンチキなコトダマ「タケノコ魔人タケノッコーン」。初出では誰もが「まあいつものギャグやろ」と思っていた。が……伏線かよ!?
まさかの「最終決戦に来てくれた頼もしいアイツ」枠の一角をちゃっかり占めているので、覚えている読者も多かろうと思われる。

またFINAL FANTASY Ⅶでは序盤でクラウドの回想シーンがあるのだが、この回想はかなり捏造が混じったものになっている事が後半で判明する。
クラウドが初めて自分の過去を語る場面であるため、これを捏造と初見で見抜けたプレイヤーは少ないだろう。
しかし、ティファのパンツを盗んだのは捏造なのかマジなのか……


  • 勘違い、食い違い

実は前述のような要素がなくとも、回想シーンとは「正確無比な絶対的真実そのもの」というほどの信頼性は実はない。
この事は語り手が信頼できると確定してる場合はあまり問題とならないが、作品によっては大きなファクターとなる可能性がある。

例えば清水玲子の漫画「秘密」は、死者の脳を刺激し信号として脳内の映像を読み出す技術を用いた捜査モノである。
しかしあるとき被害者の小学生の脳を読み込んだ際、見えた映像は少年の精神を反映して非現実的な要素が含まれてしまっていた。
つまり監視カメラのような証拠性のあるものではないし、見たい対象の個人特定がきちんとできるものでもなかったのだ。

これほどSF的なものでなくても、推理モノであれば「俺はあいつを見たんだ!」と犯人の犯行や怪しい人物Aの姿を誰かが語ったとする。
しかしそれは真実ではなかった。ではその人がAを陥れるためのウソをついたのか?

ウソの場合もあるが、実は真犯人Bが演技・変装等の技術を用いて「Aのふりをしていただけ」というケースがある。
「あなたが見たのはあの人の特徴的な服装だけですね?」「顔は・・・そういえば・・・!」
さもAのように見える特徴的な動きや服が回想に映っていたからといって、それが真実とも限らないのである。






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最終更新:2023年07月01日 17:57

*1 極端なケースだと江戸時代の滑稽本『東海道中膝栗毛』は連載が全部終わってから時系列最初の「発端」が書かれ、弥次喜多が旅に出た経緯を説明している。