大淀(艦これ)

登録日:2016/01/12 Tue 22:15:45
更新日:2023/07/12 Wed 15:44:14
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ここでは、艦これにおける軽巡洋艦の大淀について解説する。


概要

日本の最新鋭軽巡洋艦。最後の連合艦隊旗艦として有名である。

旗艦といえば最大最強の艦を使うというイメージを持つ人達もいるかも知れない。
確かに、目視や伝令に頼っていた時代なら司令塔は前線に出て戦況を把握し、的確に指示を出す必要があったため、旗艦が最強である必要があった。
しかし、無線通信が発達した近代以降の海戦で旗艦に最も求められる能力は情報処理や通信の能力である。
また、戦艦を旗艦にすると、堅牢な装甲などで簡単に潰されない反面、司令部を守らなければならず前線に出しづらくなり、戦艦という貴重な戦力が遊んでしまう。
日本でも元々大和が連合艦隊旗艦であったが、その後に大淀が旗艦となったのは、戦艦戦力を遊ばせられないという事情が影響していたのである。*1

次世代の水雷戦隊旗艦として作られた阿賀野型四姉妹と異なり、最初の建造目的は潜水艦の艦隊旗艦としての役回りを務めることであった。
そのため、防空能力や偵察能力に特化した設計がされており、防空能力などは充実している反面、魚雷は最初からついていなかった。

大淀の就役は1943年2月…既にミッドウェーに敗れた後。日本海軍が坂道を転がり落ちていく中での就役。
1944年、潜水艦隊旗艦から連合艦隊旗艦となるべく改装を受け、旗艦の任に就く。しかし、マリアナ沖海戦でも指揮は陸上から行われ、やがて司令部は陸上に移され、大淀も連合艦隊旗艦の任を解かれることとなった。
つまり、連合艦隊旗艦としての大淀の武勲はほとんどない。
それでも大淀の出番は決して終わりではなかった。

レイテ海戦・エンガノ岬沖海戦では旗艦瑞鶴の予備として瑞鶴から司令部を引き受け、見事に生き残った。
続いては日本海軍最後の組織的・戦術的勝利となった礼号作戦では爆弾の直撃が炸裂しないという雪風のような幸運に恵まれ、作戦を成功させている。*2
作戦後、霞と朝霜が撃沈した清霜の救助へ向かう中、大淀は足柄らと共に撤退命令が出ていたが、命令無視して足柄と共に周辺の水雷艇を掃討し、霞達を守り抜いた。
更には伊勢&日向とともに輸送を行った北号作戦。奇跡的な成功を遂げた輸送任務には大淀も動員され、既に使わなくなっていた司令施設もとっぱらって資材を積み、輸送に貢献する。

そんな彼女の命脈は、停泊していた呉軍港への空襲によって断ち切られる。
1945年3月の呉への空襲で大淀は中破。もう資材もなく、機関の修理もろくにできないままだった。*3
そして満足に戦えない状況の大淀を大規模な空襲が襲う。7月24日に浮力を失い着底した大淀、なおも火災を鎮火させたが28日の空襲で遂に横転し完全に戦闘能力を喪失。
戦後にドックまで運ばれ、そこで解体されたのだった。

ちなみにレイテ・北号・礼号を通し、大淀に功績を重ねさせた艦長は牟田口格郎大佐。
とあるハゲの陸軍中将のせいで風評被害を蒙っているが、苗字が同じだけで特に親族関係ではない。


ゲーム中において


絵師は藤川、声優は川澄綾子。過去にはちょっとそうとは言えなかったのだが後述。
季節のたびに着せ替え*4や限定アイテムを持っていたりとグラフィック面で恵まれている。

かなりのレア艦…のはずだが、提督として着任すれば必ず大淀の姿を見ることにはなるだろう。
そう、任務画面を開くと「お疲れ様です」と言ってくれたり、運営twitter情報を示したり、イベントの時には作戦解説までしてくれるメガネの女性、通称「任務娘」の正体こそが大淀である。
つまり艦これにおける同行キャラの1人。
誌上で大淀と名乗ったために素性が発覚したが、それ以前から艦娘としての正体があるのではないかと予想されていた。
未実装艦かつ前記したような最後の連合艦隊旗艦としての立場から、大淀ではないか? という説はもともとかなり有力であった。
ただし、任務娘と本当に同一人物なのかは微妙にぼかされている18春ミニイベントでは由良が任務娘について「大よ…任務娘さん」と何故か言い直している

任務娘のボイスは東山奈央(実は鳥海のボイスの流用)だったのだが、艦娘として登場した際の声優は前述の通り川澄綾子であった。
……にもかかわらず、大淀の実装後も任務娘のボイスが差し替えられたりはせず、長きにわたって声優が二人いる状態に。本当に同一人物なのか若干の疑惑が生じた。
2016年3月11日のアップデートにて遂に任務娘版のボイスが変更、川澄氏のボイスで統一された。なおこの時点で実装から1年半くらい経過している。
任務関連では何か画面を開く度に毎度喋るため歴戦の提督にはやや不評。これだけならボイス変更前からそうなのだが、任務チェック時も一々喋るようになったためである。
また完了した任務が存在する際の専用ボイスまで実装されたため、デイリー解体任務などでも「流石です!」等と言ってのける事になり鬼畜度が増したとの意見も。逆に簡単すぎる任務でも「流石です!」とか言ってのけるのでポンコツさが増したとも。
2016年春イベントからは限定海域選択時にも大淀が喋るようになったが、これまた旗艦の出撃台詞を遮ってでも喋り倒すため、微妙に不評。大淀本人が悪いわけではないはずなのだが…
そして2016年夏イベントからは、任務娘Voiceオンオフ機能が追加されてしまった。限定海域選択時のボイスもなくなるが、海域突破時のボイスは消えないというオチが付く
余談だが艦これアーケードでも任務娘が任務関連で喋るが、声だけで大淀本人の姿は稼働から1年以上全く映ってなかった。2017年9月のアップデートにてようやく任務画面にて姿を現すようになった。

そんな大淀が艦娘として実装されたのは2014年夏イベントE2の攻略報酬である。
最近はイベントのE2ならそこそこの艦隊を出せば普通にクリアできることが多いが、このイベントのE2は中盤の難所。
攻略を諦める提督は少数だったかもしれないが、相当な消耗戦を強いられた提督は少なくなかっただろう。

さて、イベント攻略報酬として手に入れられなかった提督は、早く大淀を手に入れたほうが良い。
新規実装艦の掘りより大淀の方が優先といっても過言ではない。
イベントの度にドロップ海域があるし、期間限定ドロップも行われたことがあるが、資材を投入して粘ってでも入手すべきである。
また、通常海域では1-6でのドロップも低確率ながら報告されているので、そちらを狙う手も一応あるが、確率は非常に低いと言われる。
出ればそれに越したことはないが、イベント海域を狙うのがやはり良いだろう。

重要なのは、4スロットを持つ軽巡洋艦であること。
軽巡洋艦で4スロットを持っているという特性があるのは2020年1月現在、夕張と大淀、そしてイタリア産のL.d.S.D.d.Abruzzi姉妹とスウェーデン産のGotlandの5人である。

夕張は手に入れやすいが、改の時点では耐久・装甲・回避はかなり弱めで対潜と雷装以外は大淀のほうが優れている。
ただし改二になると5スロット+3種コンバートによって先制雷撃や大発による強力な対地攻撃、無条件開幕対潜が可能になるなど特殊機能で差が出てくる。

イタリア軽巡姉妹は燃費が高い代わりに運まで含めた大半の性能が軽巡トップばかりという超兵器だが*5、こちらは入手法が現在イベント報酬のみであり非常に入手性が悪い。

Gotlandもイタリア軽巡姉妹よりは入手機会が多いがイベント限定で大淀より出現率は低く、また大淀とは雷装・対空・燃費・対潜で上回り火力・装甲・耐久では劣るという相互互換である。

大淀は装甲・耐久・回避とも比較的余裕が有り、索敵値も軽巡トップ、それでも索敵値が足りなければ電探も偵察機も積める。*6
運も終戦ギリギリまで残ったせいか30と高く、装備によってはカットインも狙えるし、連撃や弾着観測射撃も可能。補強増設に増設機銃も装備できるので、探照灯・照明弾・夜偵の夜戦三点セットガン積みや、WG42を3つ装備しつつ夜戦連撃ができるのも強み。*7
火力や雷装が低い*8のは否めないが、カットインや連撃が出ればカバーできるだろう。
また、2017年3月17日のアップデートで突如火力上限が+7もアップし、最大値70になった。これは同日火力上限が+1された神通改二に次ぐ軽巡第五位の火力となる。
あまりにも上がりまくった火力に多くの提督は驚愕したのであった。おかげで「眼鏡の艦娘は脳筋」説が深まった。あと「これで改二は当分来ないだろう」と諦めの声も上がった。

当初は装備への依存が大きい対潜においても対潜装備を多数積める大淀が切り札であったが、2016年8月30日の対潜先制攻撃の実装によりケッコンしてもなかなか対潜が上がらない大淀は対潜要員からはほぼ脱落した。

軽巡洋艦として燃費は良くはなく遠征向きではないが、大淀が手に入る位艦隊が整っている提督なら、戦闘に出す分には誤差の範囲で済むことが多いだろう。
戦艦正規空母の誤差と比べれば可愛いものである。

そして、改になると持ってくる艦隊司令部施設がこれまた非常に重要。
イベントの連合艦隊の際、旗艦に装備させると一定の条件の下で大破艦を退避させることができる。*9
これの有無で大破撤退率が大幅に変わり、イベントの出撃回数が大幅に変わってくることだろう。

2016年冬イベントにおいては礼号作戦の主力艦として活躍。固定ルート要員、あるいは対潜要員として活躍しただけでなく、「ロケラン」ことドイツ製対地装備「WG42 (Wurfgerat 42) 」を複数積みすることで新ボスの集積地棲姫にとんでもない特効ダメージを叩き出す事が発覚。
攻略やレア艦掘りのため盟友たる足柄さんと共に何度も出撃し、喜々として引きこもりメガネっ娘を焼き討ち爆殺しまくる大淀さんが大量発生したのだった。


キャラクター概要

実装時点で7人目の眼鏡艦娘*10である。
眼鏡艦娘で頭脳派というと、霧島はちょっと残念なところがあったり*11鳥海は計算外の事態に狼狽したりという不安要素を抱える。

大淀はそういった不安要素が見当たらない。
提督が寝ているうちに執務をやってくれたり、書類の山をきっちり提督に処理させようとしたり。提督を労わり、提督をプッシュもする。「提督」と呼ぶこと時報24回中19回。
提督を甘やかすでもなくかといって厳しすぎるという感もない。
仮に戦闘に出しても、慌てる様子も全くなく中破しても怯む気配がない。脱げっぷりはすごいが。
セクハラに対しても「仕事の邪魔」というような反応をするあたりは仕事人間過ぎる気もするが、提督の面子を潰さないようにしているだけなのかもしれない。
本当に超有能な秘書なのである。

提督の寝顔を見て喜ぶなど、個人的にも提督に対しては好感情をお持ちの様子。

そんな中で、大淀がよく触れるのが重巡・足柄。史実における礼号作戦仲間である。
足柄同様にカツレツを揚げて提督に振舞ったり、「波長が合う」といっていたりする。
もしかすると大淀も勝利に飢えていたり…しないか。


二次創作での扱い

任務娘としての印象が強すぎるためか、二次創作でも任務娘としての出番が圧倒的。上記した通り戦力としても有能なのだが、艦娘として出撃しているシーンはほとんど見られない。
公式4コマでも任務娘としての解説と大規模作戦における連合艦隊編成がメインで、なんとこの項目が立った直前の更新である110話が初出撃であった。
なんで出撃したかは、この回が2015年秋イベント回であった事、当時は先制対潜爆雷がなく大淀が対潜要員として相対的には非常に有能であったことで察してほしい。
イタイッ! ヤメテヨォッ!!
鎮守府の運営の為、部屋はあるのに寝に帰るだけと忙しい様子。
アニメにも登場したが、やっていることはオペレーターであり、前線に出て行くことも皆無であった。

そして、登場すればほぼ秘書艦。仮に秘書艦でなくとも、アニメのように鎮守府運営のサポートなどの役回りで登場するのが大半。
見た目に違わぬ頭脳派で、時には提督に敢然と異議を述べ、クソ提督には上層部からの指令という形で引導さえ渡し、そうかと思えば提督や艦娘の失敗をフォローし橋渡しとなる「有能すぎる秘書」が定位置と言える。
もちろんそこから提督の素敵な奥さんになっていくことも。

ただし、前記したように、秘書艦として余りにも安定した仕事ぶりが逆に個性に乏しいと思われているのか、キャラ付けとして天然やら残念要素やらを混ぜられることもそれなりに有る。
特に多いのは、デイリー任務で「艦娘の解体」を指令するためか、「腹黒キャラ」という扱い。
ただ、軍の任務は決して綺麗事ばかりでは済まされないので、清廉すぎるのも向いていないとも言え、そういったところまで含めて理想の秘書艦なのかもしれない。*12

姉妹艦はいないがぼっちという感はなく*13、元々は名称不明な鎮守府キャラ同士、ということで「アイテム屋娘」こと明石との絡みもしばしば見られる。
また、史実で礼号作戦を共にした霞、足柄、清霜、朝霜とのグループである通称「礼号組」の絡みが見られる事もあるが…なぜか礼号組ネタだと大淀もはっちゃける側に回る事が非常に多い。
他のメンバーがメンバーなのでこうなると旗艦である霞が一人抑え役にならざるを得なくなる…
そして霞も面倒くさくなったので、そのうち抑え役になるのをやめて付け髭するようになった
なお、公式4コマの霞改二回でも足柄と共にすっげぇノリノリで霞の改二フィッティングを祝っていた。




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最終更新:2023年07月12日 15:44

*1 とはいえ、旗艦=最大最強という感覚は当時もまだまだ根強く、「連合艦隊旗艦としての大淀」は結構貶されていた様子。エンガノ岬沖海戦でも、大淀を旗艦にしようという声もあったが、結局最大の空母である瑞鶴が旗艦になった。大淀が旗艦だったなら、情報の交錯による連携不具合は起きなかったのではないか、という指摘もある。

*2 なお、この作戦の旗艦は駆逐艦の霞で、大淀ではない。その理由は色々考えられるが、当の二水戦司令木村少将曰く「僕は駆逐艦乗りだよ?」だとか

*3 もっとも、ちゃんと動いていたら大和の沖縄特攻(天一号作戦)に投入されて大和や矢矧のような運命をたどった可能性もあったが。

*4 正月なら振袖、夏には浴衣、秋には秋刀魚の缶詰を持っていたり、冬にはサンタコスまでしている。

*5 イタリア軽巡姉妹は「砲が軽巡仕様だから軽巡扱い」であり、排水量などは重巡並である。

*6 索敵に難儀するマンスリー任務の水上反撃部隊任務は、大淀の有無で難易度が大幅に変わると思ってよい。

*7 夕張は偵察機が搭載数0になってしまうため使いづらい。

*8 雷装値は入手直後では0であり、レベルが上がると自然と上昇していくが最大値も49とぶっちぎりで軽巡最下位。この雷装0というのは大淀が表舞台に立った頃には水雷戦の世の中は終わりを告げており、雷装が積まれていなかったというものが由来という説がある。

*9 条件がそれなりに厳しく、仕様を誤解した結果轟沈を招く提督も後を絶たないので気をつけよう。不安ならダメコン搭載艦で練習するという手もある。

*10 その他は鳥海・武蔵・霧島・望月・巻雲・伊8。後に香取・Roma・沖波・天霧が加わり現在は11人である

*11 カチコミ上等な霧島ネキ扱いは二次的なキャラ付けで、不快感を覚える人もいるので注意。ただし、時報で「電気系統がダメなら叩けば直る」発言が出るあたり、公式でも残念要素をお持ちなのは確実である。

*12 史実のエンガノ岬沖海戦において、大淀が瑞鶴から旗艦を引き継いだ際、艦隊司令官である小沢治三郎中将は逃亡したものと取られ、旗艦移乗時や帰投先にて囮扱いを知らされていなかった瑞鶴の乗員から凄まじい罵声を浴びた。しかし罵声に負けてとどまるならば任務放棄であり、時に味方からの罵声を浴びても毅然としているタフさも必要になる。ちなみに、ゲーム中での瑞鶴の方は「小沢っちは元気かな?」と全く気にしている様子がないことを付け加えておこう。なお、瑞鶴の事実上の主役イベントとなった18冬イベントでは作戦解説で小沢機動艦隊の健在を「これは翼なき空母の囮部隊にあらず!」と大淀が説明する一幕もあった。

*13 大淀にも仁淀という妹の計画もあったが、名前だけで起工もされなかった。